JPH0764703B2 - チロジナ−ゼ阻碍剤 - Google Patents

チロジナ−ゼ阻碍剤

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JPH0764703B2
JPH0764703B2 JP61130481A JP13048186A JPH0764703B2 JP H0764703 B2 JPH0764703 B2 JP H0764703B2 JP 61130481 A JP61130481 A JP 61130481A JP 13048186 A JP13048186 A JP 13048186A JP H0764703 B2 JPH0764703 B2 JP H0764703B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、皮膚の美白、シミ、ソバカスの除去、肝臓障
害による皮膚の斑点などの改善に有効な天然チロジナー
ゼ阻碍剤に関する。
(背景) 皮膚への色素過沈着症(Hyperigmentation)の着色の原
因となるメラニン色素は、表皮と真皮との間にあるメラ
ニン細胞(メラノサイト)内のメラニン生成顆粒(メラ
ノゾーム)において生産され、生成したメラニンは、浸
透作用により隣接細胞へ拡散する。このメラノサイト内
における生化学的反応は、現在、一応次のようなものと
推定されている(フレグランス ジャーナル63号、24頁
(1983)他)。
以上の如く、必須アミノ酸であるチロジンが酵素チロジ
ナーゼの作用によりドーパキノンとなり、これが酵素的
又は非酵素的酸化作用により赤色及び無色色素を経て黒
色のメラニンへ変化する過程がメラニン色素の生成過程
である。
(従来の技術の問題点) 従って、反応の第一段階であるチロジナーゼの作用を抑
制すること或は中間段階のキノン類を還元することがメ
ラニンの生成を抑制しうるものと想像され、既に、例え
ばチロジナーゼの活性中心である銅と結合する物質(例
えばチオ尿素、システイン)、チロジナーゼの基質であ
るチロジンと競合基質となりうる物質(例えばN−アセ
チルチロジン、γ−ピロン、ヒノキチオール)、チロジ
ナーゼと基質との酵素反応の誘導期を延長する物質(例
えばツィーン20)、ドーパ等のo−ジヒドロキシ基と選
択的に結合する物質(例えばモリブデンイオン)、o−
キノン類と結合する物質(例えばアニリン)、o−キノ
ン類に対する還元剤(例えばアスコルビン酸、ヒドロキ
ノン及びその誘導体)などが提案されたが、ヒトに対す
る毒性、保存性、官能的影響等を考慮すれば、満足でき
る程のものではない。例えばヒドロキノンは、各国にお
いて長年に亙り、肝斑の治療に使用されてきたが、多量
投与しなければ効果がなく、しかも有効濃度では紅斑や
疼痛などの副作用を生じる。またシステインがドーパ色
素の生成を抑制するのは確かであるが、硫黄臭の点から
化粧品として利用するには問題がある。さらに、アスコ
ルビン酸は酸化に弱く、配合物を褐変させるため、これ
また実用上に問題がある。
さらに近年に至り、植物中のフラボノイド類が注目さ
れ、本発明との関連においてはアロエ中のアントラキノ
ングリコシドであるアロイン(バルバロイン)の抗チロ
ジナーゼ作用が発表されている(安藤:特公昭53−4537
6)。しかしその抗チロジナーゼ作用は、後述の如くそ
れ程顕著ではない。
(発明の目的) 本発明は、民間薬用植物として古来著名なアロエを材料
として、安全かつ確実なチロジナーゼ阻碍剤を開発する
のを目的とする。
(目的達成のための手段) 以上の目的を達成するため、本発明は、アロエの透析画
分中のメタノール可溶性成分であるアロエシン又はアロ
エシンエステルを有効成分とするチロジナーゼ阻碍剤に
存する。
ここに原料のアロエとしては、古来有名なソコトラアロ
エ(Aloe perryi Baker)の他、キダチアロエ(A.arbor
escens Mill.var.natalensis Berger)、キュフソウア
ロエ(A.barbadensis Miller)、ケープアロエ(A.fero
x Miller又はこれとA.afiricans Miller.及びA.spicta
Bakerとの交雑種)ナタールアロエ(A.candelabrum Ber
ger)等の薬用アロエ属植物を利用することができる。
本発明者は、キノコチロジナーゼを利用した阻碍試験に
おいて、特にアロエ透析画分中のメタノール可溶性成分
が顕著なチロジナーゼ活性を有すること、殊に該メタノ
ール可溶性成分中のアロエシン(2−アセトニル−8−
グルコピラノシル−7−ヒドロキシクロモン)(下式
I)及びIのグルコース基の2″−位水酸基がフェルラ
酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸)とエステル
結合した2″−o−フェルロイルアロエシン(下式II)
がアスコルビン酸に勝る顕著なチロジナーゼ阻碍作用を
有する事実を見出した。
以下、本発明の基礎となった実験事実につき記述する。
[材料及び方法] ○ 薄層クロマトグラフィー:メルク製シリカゲル板を
用い、以下の溶媒を使用して実施; 酢酸エチル−メタノール−水(20:3:2); クロロフォルム−エタノール−水(30:7:3)。青い蛍光
を直接又は稀薄硫酸水を散布、加熱後、紫外線下に観
察。
○ 抽出:キダチアロエの新鮮葉1.4kgを磨砕後、9000g
で20分間遠心して上清を集め、これをヴィスキングチュ
ーブ(ユニオン カーバイド社製)に詰め、蒸留水を外
液として48時間透析した。後、外液を凍結乾燥して薄い
黄色の粉末14gを得た。
上の粉末0.4gを蒸留水10ml中に溶かしてアンバライトXA
D−2(ローム・アンド・ハース社製)を充填したクロ
マトカラム(2.5×14cm)に負荷後、蒸留水1で、次
いでメタノール100mlで溶出し、各溶出液を濃縮、乾燥
させて無色粉末310mg及び黄色粉末42mgを得た。
上の如くにして収集した黄色粉末20gをシリカゲルカラ
ム(2.5×40cm)に負荷し、順次酢酸エチル1、酢酸
エチル−アセトン(4:1)混液4、酢酸エチル−アセ
トン(3:1)混液2及びアセトン2を用いて溶出し
たところ、酢酸エチル単独溶出液からクリソファノール
とアロエ−エモジンとを含む黄色粉末0.02gが得られ
た。また酢酸エチル−アセトン(4:1)混液による溶出
液から黄色粉末7.8gが得られた。この粉末をシリカゲル
カラムで再クロマトにかけ、アセトン−ヘキサン混液か
ら最結晶したことろ、無色粉末の2″−o−フェルロイ
ルアロエシン40mgが、また母液からバルバロイン14mgが
得られた。さらに酢酸エチル−アセトン(3:1)混液に
よる溶出液から、融点135℃のアロエニン0.2gが、なお
さらに、アセトン溶出液から無晶状のアロエシン3mgが
夫々収得された。
透析内液は、これを凍結乾燥して無色のポリマーを画分
2gを得た。
[チロジナーゼの測定] チロジナーゼの測定は、ポメランツ法(Pomerantz,S.
H.,(1963)J.Biol.Chem.,238,2351)を一部変形して実
施した。
試料0.4μMを10%ジメチルスルフォキシド1ml中に加
え、超音波で溶解させる。試験液1mlに、1/15Mリン酸塩
バッファー(pH6.8)1ml、キノコ(マシュルーム)チロ
ジナーゼ(96U/ml、シグマケミカル社製)0.5ml及びL
−ドーパ(3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)(1
μM/ml)0.5mlを加え、2分間25℃に保つ。そして反応
混合物中のドーパクローム(紅色)の量を475nmにおけ
る吸収量で測定する。試料の存在又は不存下における47
5nmにおける吸収量の変化は、2分間以内では直線的で
ある。添付の第1図は、ドーパーチロジナーゼ及びチロ
ジン−チロジナーゼ反応の時間的経過を示す。
チロジナーゼ反応の阻碍率は、下式に従って計算され
る。
A:試験試料不在時の475nmにおけるインキュベーション
後の吸収。
B:試験試料不在時の475nmにおけるインキュベーション
前の吸収。
C:試験試料存在時の475nmにおけるインキュベーション
後の吸収。
D:試験試料存在時の475nmにおけるインキュベーション
前の吸収。
なお、475nmにおけるドーパクロームの分子吸収係数
は、3.7×103である。
[高速液体クロマト(HPLC)分析] クラーフ(Graf,E.,Alexa,M.,(1980),Mrchivder Phar
mazie,313,285)の方法を一部変形して実施した。
透析物のアンバライトXAD−2によるクロマト分離で得
られた黄色の粉末3mgを50%メタノール1mlに溶かし、ト
ーヨーパック(東洋曹達(株)製)で予備処理後、以下
の条件で逆相HPLCを行ない、2″−o−フェルロイルア
ロエシンとアロエシンを分析した。
カラム:TSK−ゲルODS 120A−カラム(内径4.6mm×25c
m)。
溶媒系:メタノール−水(1:1,v/v)。
流速:流速1ml/分。
紫外部モニター波長:254nm。
使用機種:655日立液体クロマトグラフ装置、日立可変波
長UVモニター及びSystem 1 computing integrator(Spe
ctra−Pysics)。
保留時間(分):アロエシン(3.36)、アロエニン(5.
03)、2″−o−フェルロイルアロエシン(8.35)、イ
ソバルバロイン(14.81)、バルバロイン(16.56)。
[結果] L−ドーパ(1μM/ml)を基質として使用した場合、添
付第1図が示す通り、最初2分間だけ吸収量が直線的に
増加する。これに反し、L−チロジン(3μM/ml)を基
質とした場合、10分間の遅延期間を経て始めて吸収量の
増加割合が直線的となる。これは、L−ドーパとL−チ
ロジンの競合的阻碍によるものと推測される。
下記第1表は、キノコチロジナーゼによるL−ドーパ酸
化に対するアロエ成分の阻碍作用を要約したものであ
る。因に、全試料は水に溶け難いため、10%ジメチルス
ルフォキシド溶液中に超音波を利用して0.4μM/mlの割
合で溶解させた。
上表が示すように、上清の透析物は5%の阻碍率を示し
たが、高分子物質を含む非透析物は全く活性を示さな
い。炭水化物、カルボン酸、アミノ酸及びフェノール性
成分を含む透析物を非イオン性樹脂アンバライトXAD−
2に吸着させ、順次水及びメタノールで溶出させた両画
分の中では、フェノール性物質を含む後者のみが5%の
阻碍率を示す。このメタノール溶出画分を、シリカゲル
でクロマト分離した種々の成分の中では、2″−o−フ
ェルロイルアロエシン及びアロエシンが、夫々27%及び
30%の阻碍率を示し、これは対照としたL−アスコルビ
ン酸の23%を勝る数字である。これに反し、上記安藤に
よるアロインは、僅かに10%の阻碍率を示し、これは、
上の2″−o−フェルロイルアロエシン及びアロエシン
には勿論、L−アスコルビン酸にも遥かに劣る。なお、
天然には存しないが、アロエニンのアグリコンが8%の
阻碍率を示しことは興味深い。
因に、上の2″−o−フェルロイルアロエシンは、キノ
コチロジナーゼのL−ドーパ酸化に対し非拮抗型の阻碍
(阻碍定数Ki==8.5×10-5M,Vmax=50μM/min/ml;Km=
1.5×10-5M)を示し、フラボノイド類と異なった阻碍形
式を示す。またアロエシンにも同様の阻碍性が認められ
ることから、本2″−o−フェルロイルアロエシンの活
性部位は、アロエシン骨格に由来するものと推定され
る。
[製造] 本発明に係る阻碍剤は、普通、アロエ葉を上の[材料及
び方法]欄記載の通り処理することにより得られる。し
かしながら、最近のレイノイズ氏の報文(Raynolds,T.,
(1985),Botanical J.of the Linnean Society,90,17
9)によれば、240種にも及ぶアロエ属植物の滲出物(樹
脂)中には、夫々14%、35%及び12%もの2″−o−フ
ェルロイルアロエシン、アロエシン及びアロエニンが含
まれているので、本滲出物をそのまま又は精製して利用
することは、最も経済的であると同時に、アロエ属植物
の主産地であるアフリカ諸国に対する救済の一助ともな
るであろう。
[製剤] 本発明に係るチロジナーゼ阻碍剤は、外用医薬品、化粧
品等に利用される。剤形としては、軟膏、チンキ剤、石
鹸、クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシ
ングクリーム、ファンデーションクリーム、化粧水、ア
ストリンジェント、乳液、ファンデーションローショ
ン、クレンジングローション、白粉、パックなどがあ
る。これらの製剤化に際しては、公知の外用剤又は皮膚
用化粧料用基剤乃至添加剤、例えば、イソプロピルミリ
ステート、イソプロピルミテート、流動パラフィン、ヌ
ジョール、ワセリン、固形パラフィン、セレシン、ミク
ロクリスタルワックス、ラノリン、アシル化ラノリン、
カーボワクス、カルボキシビニルポリマー、各種界面活
性剤、蜜蝋、植物油、ホウ砂、晒蜜蝋、植物揮発油、ソ
ルビトール、セタノール、鯨蝋、ステアリン酸、プロピ
レングリコール、グリセリン、メチルセルロース、トリ
エタノールアミン、シリコン油、オゾケライト、二酸化
チタン、ランブリトール・ワックス、エタノール、レモ
ン汁、ペクチン、トラカントゴム、ヘチマ水、クエン
酸、ミョウバン、硫酸亜鉛、ポリエチレングリコール脂
肪酸エステル、タルク、カオリン、沈降炭酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、二酸化亜
鉛、硫黄華、色素、香料、保存料等の成分の他、アスコ
ルビン酸又はそのナトリウム塩、ヒノキチオール、シス
テイン、麹酸、ピロメコン酸、マルトール等の環状α−
ケトール類、ハイドロキノン、カテコールなどの公知の
チロジナーゼ阻碍性化合物を配合することができる。さ
らに、アロエシンのクロモン環の2−位アセトニル基の
2′−ケト基、7−位水酸基及び8−位グルコピラノシ
ル基の2″〜4″−位及び6″位水酸基の全部又は一部
がアシル化されたエステル又はエノールエステル化合物
(2″−位水素がクマロイル基で置換された2″−p−
クマロイルアロエシンはアロエ葉中に実存する。)も本
発明有効成分として利用されることができる。
[処方例] 以下、本発明阻碍剤を含む数種の処方について示すが、
例示は当然単なる説明用のものとして理解されるべきで
ある。
例1(栄養クリーム型コールドクリーム) ○油相 (%) ラノリンアルコール 5.0 アセチル化ラノリン 1.0 鯨蝋 4.0 晒密蝋 10.0 流動パラフィン 20.0 白色ワセリン 20.0 ソルビタン脂肪酸エステル 3.0 ツィーン60 1.0 ポリエチレングリコール400 2.0 メチルセルロース 0.1 アロエシン及び2″−o−フェルロイルアロエシンの凍
結乾燥物 0.5 ○水相 プロピレングリコール 5.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料及び水を加えて 100.0 例2(ハンドクリーム) ○油相 (%) イソプロピルミリステート 3.0 ミクロクリスタルワックス 2.0 セタノール 6.0 ラノリン 1.0 ソルビタンモノラウレート 0.8 アロエシン及び2″−o−フェルロイルアロエシンの凍
結乾燥物 0.5 ○水相 ソルビトール(70%) 5.0 ソルビン酸ナトリウム 0.1 水を加えて 100.0 例3(バニシングクリーム) ○油相 (%) 羊毛蝋ステロール 5.0 アセチル化ラノリンアルコール 2.0 アセチル化及びエトキシ化ラノリン 3.0 ステアリン酸モンモグリセリド 5.0 ステアリン酸 15.0 2″−o−フェルロイルアロエシンの凍結乾燥物 0.5 ○水相 プロピレングリコール 5.0 香料及び水を加えて 100.0 例4(ミルクローション) (%) 流動パラフィン 20.0 ポリエチレングリコール600モノステアレート 5.0 セチルトリメチルアンモニウムクロライド 3.0 イソプロピルミリステート 2.0 プロピレングリコール 4.0 アロエシンの凍結乾燥物 0.5 香料、保存料及び水を加えて 100.0 (効果) 以上、説明した通り、本発明は有効かつ安全なチロジナ
ーゼ阻碍剤を提供しうることにより、肝斑、黒皮症その
他の病的なメラニン過沈着症の治療並びに皮膚の美白効
果を通じて国民の福祉に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ドーパ−チロジナーゼ及びチロジン−チロジ
ナーゼ反応の時間的経過と反応速度との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07D 407/04 309 (C07D 407/04 309:00 311:00)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アロエの透析画分中のメタノール可溶性成
    分であるアロエシン又はアロエシンエステルを有効成分
    とするチロジナーゼ阻碍剤。
  2. 【請求項2】アロエシンエステルが、2″−o−フェル
    ロイルアロエシンである特許請求の範囲第1項記載のチ
    ロジナーゼ阻碍剤。
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