JPH0764297B2 - 自動二輪車のフレ−ム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動二輪車用のフレームに関する。

〔従来の技術〕

クレードル形あるいはダイヤモンド形のフレームにおい
て、従来、シートを支持するためのリヤフレームは、複
数本のパイプ材、つまり、左右一対のシートレールとバ
ックステーとを枠組みして構成される。

ところで、通常、自動二輪車にあっては、シート下の空
間部分に、バッテリを始めとする各種電装部品やエアク
リーナ等が設置されるため、リヤフレームをパイプ材の
組合わせによって構成した従来のフレームでは、リヤフ
レームにサイドカバーを設け、このサイドカバーで上記
電装部品やエアクリーナ等を側方から覆い隠している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、この構成によると、格別なサイドカバーや、
このサイドカバーの取付け部をリヤフレーム側に設ける
必要があるので、部品点数の増大を招き、しかも、リヤ
フレーム自体がパイプ材の組み合わせによって構成され
ることから、リヤフレーム回りの構成がより一層複雑化
してしまい、コストや重量的な面で改善の余地があっ
た。

本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、リヤフレームの構造を簡略化できるとともに、この
リヤフレームを外観要素の一つとして有効に活用するこ
とができ、しかも、このリヤフレームによってメインパ
イプとリヤアームブラケットとの連結部を補強すること
ができ、剛性を充分に確保できる自動二輪車のフレーム
の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、フロントフォーク
およびエンジンを支持するメインフレームと、このメイ
ンフレームから後方に向けて延出され、シートを支持す
るリヤフレームとを備えている自動二輪車のフレームを
前提賭している。

そして、上記メインフレームは、上記フロントフォーク
を枢支するステアリングヘッドパイプと、このステアリ
ングヘッドパイプから後方斜め下向きに延びる左右一対
のメインパイプと、これらメインパイプの後端部に連結
されたリヤアームブラケットとを有し、上記メインパイ
プは、上記ステアリングヘッドパイプの軸方向に沿って
縦長をなす中空の角筒形に形成されているとともに、上
記リヤアームブラケットは、上記メインパイプの上面に
連続して後方に延びる上端面を有し、これらメインパイ
プの後端部の上面とリヤアームブラケットの上端面に夫
々上向きに突出するボス部を形成し、また、上記リヤフ
レームは、プレス成形された平板状の左右一対のフレー
ム素材を備え、これらフレーム素材は、前後方向に長尺
で、かつ上下方向に幅広に形成されるとともに、その幅
広な車体側方に向けた姿勢で配置し、これらフレーム素
材は、上記メインフレームに連なる前端に、上記メイン
パイプのボス部と上記リヤアームブラケットのボス部と
に跨がる結合部を有し、この結合部を上記ボス部に夫々
連結するとともに、上記フレーム素材の間を、少なくと
も上記結合部とボス部との連結部分の近傍において、ク
ロスメンバを介して連結したことを特徴としている。

〔作用〕

この構成によれば、一枚のフレーム素材が従来のシート
レールとバックステーに取って代わるから、その分、部
品点数が少なくて済み、フレーム構成を簡略化すること
ができる。それとともに、フレーム素材の側面がシート
下の空間部分を側方から覆い隠すので、リヤフレーム自
体が従来のサイドカバーと同様の機能を兼用することに
なる。このため、サイドカバーやその取付け部が不要と
なるから、上記フレーム構造の簡略化と相まって部品点
数をより一層削減することができ、フレームの軽量化や
コストの低減が可能となる。

また、リヤフレームが側方から見て上下方向に幅広とな
り、その存在が強調されるので、リヤフレームを外観要
素の一つとして利用することができ、新たなフレーム造
形が可能となる。

さらに、上記構成によると、フレーム素材の前端の結合
部がメインパイプの後端とリヤアームブラケットとの間
に跨がるので、このフレーム素材を利用してメインパイ
プとリヤアームブラケットとを互いに連結することがで
きる。それとともに、左右のフレーム素材は、上記結合
部の近傍で互いに連結されるので、フレーム素材の前端
そのものの強度も高くなり、メインパイプやリヤアーム
ブラケットに格別な補強を施すことなく、これら両者の
連結強度を充分に確保することができる。

〔発明の実施例〕

以下本発明を図面に示す一実施例にもとづいて説明す
る。

図中符号１はクレードル形のフレームであり、このフレ
ーム１は前半分を構成するメインフレーム２と、このメ
インフレーム２から後方に延びるリヤフレーム３とに分
割される。

メインフレーム２は、フロントフォーク４を枢支するス
テアリングヘッドパイプ５と、このステアリングヘッド
パイプ５とリヤアーム８を枢支する左右一対のブラケッ
ト8aとの間を側面視略一直線状に連結する左右一対のメ
インパイプ６と、このメインパイプ６の前端部とブラケ
ット8aの下端部との間を結ぶダウンチューブ７を主たる
構成とするパイプフレームであり、これらメインパイプ
６とダウンチューブ７とで囲まれる空間部分に、エンジ
ン９が搭載されている。

上記メインパイプ６は、ステアリングヘッドパイプ５か
ら後方斜め下向きに延びている。これらメインパイプ６
は、第４図に示すように、その断面形状がステアリング
ヘッドパイプ５の軸方向に縦長となるような偏平な角筒
形に形成され、上記ステアリングヘッドパイプ５に連な
る前端部では、その縦方向寸法がステアリングヘッドパ
イプ５の軸長と略しく定められているとともに、この縦
方向寸法は、後方に進むに従って逐次減少されている。
そして、メインパイプ６の上面6aは、後方斜め下向きに
傾斜されており、この上面6aの後端部には、上向きに突
出するボス部11aが設けられている。

リヤアームブラケット8aは、メインパイプ６の後端部か
ら後方に向けて突出されている。リヤアームブラケット
8aは、その上端に後方斜め下向きに延びる上端面8bを有
し、この上端面8bは、メインパイプ６の上面6aに略面一
に連続されている。そして、この上端面8bには、上向き
に突出するボス部11bが設けられており、このボス部11b
と上記ボス部11aとは前後に並んで配置されている。

一方、上記リヤフレーム３は、メインパイプ６とブラケ
ット8aとの連結部から後方斜め上向きに延びる左右一対
のフレーム素材10を備えている。このフレーム素材10
は、例えば板厚0.8t〜1.7t程度の鋼板をプレス成形した
もので、前後方向に長尺な平板状に形成されている。し
かも、フレーム素材10は上下方向に幅広に形成され、こ
の幅広な側面10aを車体側方に露出させるとともに、こ
の側面10aの上下方向の幅は、従来のシートレールとバ
ックステーとの離間幅に相当する如き寸法に形成されて
いる。また、このフレーム素材10の上下方向の幅は、メ
インフレーム２に連なる前端部において最大となってお
り、この前端部から後方に進むに従って逐次減少されて
いる。したがって、フレーム素材10の側面形状は、後方
に進むに従って先細り状をなしている。

このようなフレーム素材10は、その前端に上記メインパ
イプ６のボス部11aとリヤアームブラケット8aのボス部1
1bとに跨がる結合部10bを有している。結合部10bは、メ
インパイプ６の上面6aおよびリヤアームブラケット8aの
上端面8bに沿って延びており、この結合部10bの前後両
端部が上記ボス部11a,11bに夫々ボルト12を介して締め
付け固定されている。そのため、フレーム素材10の結合
部10bは、メインパイプ６とリヤアームブラケット8aと
を互いに連結する機能を有している。

フレーム素材10の上部には、シート13が載置されてい
る。このシート13の下方の空間部分には、例えばバッテ
リ等の各種電装部品（図示せず）が配置されており、こ
の伝送部品の左右両側は、上記幅広のフレーム素材10の
側面10aによって側方から覆い隠されている。

なお、フレーム素材10の側面10aには、軽量化のための
肉抜き孔28が開設されている。

フレーム素材10の上縁部には、内向きに延びるフランジ
壁14が一体に屈曲成形されており、これらフレーム素材
10のフランジ壁14間には、前後方向に離間した三箇所に
おいてクロスメンバ15が架け渡され、かつボルト16およ
びナット17によって締付け固定されている。これらクロ
スメンバ15のうち、最も前側に位置するクロスメンバ15
は、第２図に示すように、リヤアームブラケット8aのボ
ス部8bとフレーム素材10との連結部分の真上に位置され
ている。

また、フレーム素材10の下縁部には、内向きに延びる他
のフランジ壁18が一体に屈曲成形されており、このフラ
ンジ壁18の先端部は、さらに上方に向って延長されて、
上記幅広な側面10aと対面する補強壁19をなしている。
したがって、本実施例の場合、フレーム素材10の下縁部
には、全長に亙って内向きに巻き込まれたカーリング部
20が形成されている。

このカーリング部20には、同乗者用のリヤフートレスト
21を支持する支持金具22が取付けられている。この取付
け構造について第３図を参照して説明すると、上記支持
金具22は、パイプ材をＵ字形に曲成したもので、その両
端部22aがフランジ壁18に開設した開口23を通じてカー
リング部20内に導入されている。この支持金具22の両端
部22aには、中空円筒状のカラー24が溶接されており、
このカラー24はフレーム素材10の側面10aと補強壁19と
の間に介在されている。そして、側面10aと補強壁19と
の間には、カラー24内を貫通してボルト25が架設されて
おり、このボルト25の挿通端をナット26が締付けること
で、支持金具22の固定がなされると同時に、側面10aと
補強壁19とが連結され、カーリング部20の巻き込み幅が
一定に保たれている。

なお、上記メインフレーム２のメインパイプ6,6間に
は、前方からエンジン９の気化器29に連なるエアクリー
ナ30および燃料タンク31がこの順で設置されており、こ
れらエアクリーナ30および燃料タンク31の周囲は、シー
ト13の前端に連なるとともに、本来の燃料タンクを形ど
るタンクカバー32によって覆われている。

このような本発明の一実施例によれば、リヤフレーム３
は、プレス成形された平板状のフレーム素材10によって
構成されるので、従来のパイプ材を組合わせるものに比
べて部品点数が少なくて済み、その分、フレーム構成を
簡略化することができる。

また、フレーム素材10の幅広な側面10aが車体側方に露
出されるとともに、シート３下に配された電装部品を側
方から覆い隠すので、リヤフレーム３そのものがサイド
カバーとしての機能を兼用することにもなる。このた
め、従来の如き格別なサイドカバーやその取付け部が不
要となるから、上記フレーム構成の簡略化と相まって、
部品点数をより一層削減することができ、フレーム１の
軽量化やコストの低減が可能となる。

しかも、従来のパイプフレームと比較した場合、リヤフ
レーム３がそのものが側方から見て上下方向に幅広とな
るので、その存在が強調され、リヤフレーム３を外観要
素の一つとして取り入れることができるとともに、メイ
ンパイプ６を上下方向に縦長としたことと相まって、い
かにも剛性が高そうな外観が得られ、新たなフレーム造
形が可能となる。

また、フレーム素材10を平板状のプレス成形品としたこ
とから、シート13に乗員が着座すると、フレーム素材10
の下縁部には圧縮（座屈）力が加わるが、本実施例の場
合は、フレーム素材10の下縁部に、内側に巻き込まれた
カーリング部20を形成してあるので、このカーリング部
20が上記圧縮力に対抗するようになる。しかも、この場
合、支持金具22を固定するボルト25がカーリング部20の
補強壁19と側面10aとを連結するので、圧縮力が加わっ
た際のカーリング部20の変形が防止され、このため、格
別な補強部品を何等要することなく、フレーム素材10の
強度を高めることができる。

さらに、このカーリング部20は、リヤフートレスト21の
支持金具22を支持するブラケットとしての機能も兼用す
るから、この点でも部品点数の削減に寄与する利点があ
る。

その上、上記構成によると、上記フレーム素材10の前端
の結合部10bは、メインパイプ６の後端のボス部11aとリ
ヤアームブラケット8aのボス部11bとに夫々ボルト締め
されているので、この結合部10bを利用してメインパイ
プ６とリヤアームブラケット8aとを互いに連結すること
ができる。そして、左右のフレーム素材10は、その結合
部10bとリヤアームブラケット8aとの連結部分の真上に
おいて、クロスメンバ15を介して互いに結合されている
ので、フレーム素材10そのものの強度が高く保たれる。
そのため、メインパイプ６やリヤアームブラケット8aに
格別な補強を施さなくとも、メインパイプ６とリヤアー
ムブラケット8aとの連結強度を高めることができ、その
分、フレーム１の剛性が向上するといった利点がある。

なお、本発明に係るフレームは、クレードル形に限ら
ず、ダイヤモンド形であっても同様に実施できる。

〔発明の効果〕 以上詳述した本発明によれば、リヤフレームの構成が簡
略化されるばかりでなく、サイドカバーやその取付け部
も省略できるから、部品点数をより一層削減でき、軽量
化と同時にコストの低減が可能となる。また、リヤフレ
ームの存在が強調されるから、このリヤフレームを外観
要素の一つとして有効に利用できるとともに、いかにも
剛性が高そうな外観が得られ、新たなフレーム造形が可
能となる。

しかも、フレーム素材の前端の結合部を利用してメイン
パイプとリヤアームブラケットとを互いに連結できると
ともに、これら左右のフレーム素材は、その結合部とボ
ス部との連結部分の近傍において、クロスメンバを介し
て互いに結合されているので、フレーム素材そのものの
強度が高く保たれる。そのため、メインパイプやリヤア
ームブラケットに格別な補強を施さなくとも、これらメ
インパイプとリヤアームブラケットとの連結強度を高め
ることができ、その分、フレームの剛性が向上するとい
った利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は自動二輪車の
側面図、第２図はリヤフレームの側面図、第３図は第２
図中III−III線に沿う断面図、第４図は第１図中IV−IV
線に沿う断面図である。 １……フレーム、２……メインフレーム、３……リヤフ
レーム、４……フロントフォーク、５……ステアリング
ヘッドパイプ、６……メインパイプ、6a……上面、8a…
…リヤアームブラケット、8b……上端面、９……エンジ
ン、10……フレーム素材、10a……面（側面）、10b……
結合部、11a,11b……ボス部、15……クロスメンバ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントフォークおよびエンジンを支持す
   るメインフレームと、 このメインフレームから後方に向けて延出され、シート
   を支持するリヤフレームと、を備えている自動二輪車の
   フレームにおいて、 上記メインフレームは、上記フロントフォークを枢支す
   るステアリングヘッドパイプと、このステアリングヘッ
   ドパイプから後方斜め下向きに延びる左右一対のメイン
   パイプと、これらメインパイプの後端部に連結されたリ
   ヤアームブラケットとを有し、 上記メインパイプは、上記ステアリングヘッドパイプの
   軸方向に沿って縦長をなす中空の角筒形に形成されてい
   るとともに、上記リヤアームブラケットは、上記メイン
   パイプの上面に連続して後方に延びる上端面を有し、こ
   れらメインパイプの後端部の上面とリヤアームブラケッ
   トの上端面に夫々上向きに突出するボス部を形成し、 また、上記リヤフレームは、プレス成形された平板状の
   左右一対のフレーム素材を備え、これらフレーム素材
   は、前後方向に長尺で、かつ上下方向に幅広に形成され
   るとともに、その幅広な面を車体側方に向けた姿勢で配
   置し、 これらフレーム素材は、上記メインフレームに連なる前
   端に、上記メインパイプのボス部と上記リヤアームブラ
   ケットのボス部とに跨がる結合部を有し、この結合部を
   上記ボス部に夫々連結するとともに、 上記フレーム素材の間を、少なくとも上記結合部とボス
   部との連結部分の近傍において、クロスメンバを介して
   連結したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。