JPH0763779B2 - 順送り金型への材料先端送込み方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、順送り金型への材料先端送込み方法及び装置
に関するものである。

（従来の技術） プレス加工の中で、もっとも生産性の高いものとして、
複数の上下型を一定ピッチで直列状に配置した順送り金
型を用いる加工方法が知られている。この加工方法で
は、帯板状の材料をプッシュローラ等の送り装置によっ
て一定ピッチで順送り金型に間欠送りすることで、プレ
スの１ストロークで多工程の抜きや成形を要する部品が
速く連続的に生産できる。

（発明が解決しようとする課題） 前記順送り金型を用いる加工方法には一つの問題があ
る。これは、打抜きだけで加工が終了する場合はあまり
問題がないのであるが、複雑な立体形状部品では、順送
り金型内で工程を追って曲げや成形また絞り加工するた
め、材料の順送り金型への先端挿入時において、材料の
先端部分の非加工部分に「そり」や「ゆがみ」等の変形
が生じ、この変形が、材料が順送り金型を通過する際に
ガイド等に接触して、材料通過の妨げとなる。

このため、従来においては、プレス機械を単動運転状態
にしておき、作業者が１工程ずつ順送り金型の一つの上
下型に対して位置合わせしながら手で送り、材料の先端
部分が順送り金型の全工程を通過するまで単発的に加工
を行っており、材料の先端部分が順送り金型の全工程を
通過した後は、非加工部分に「そり」や「ゆがみ」等の
変形がない正常なストリップレイアウトの状態で順送り
されて行くので、連続自動プレスができるのである。

なお、複雑な立体形状部品を製作する場合、材料の先端
部を順送り金型に、加工しない状態で予め通過させてお
き、材料の途中から順送り金型で連続自動プレスするこ
とはできず（１ストロークで全工程の上型が下降し、ま
た、通常第１ステージにてパイロット孔が形成される等
のため）、必ず材料の先端から順送り金型に挿入しなけ
ればならない。

したがって、せっかく自動加工ができる仕事でありなが
ら、順送り金型への材料の先端挿入のために、１コイル
ごとにかなりの時間が費やされ、作業能率が著しく低下
し、稼働率の向上を図る上で大きな妨げとなっていた。

そこで本発明は、このような従来の課題に鑑み、材料を
順送り金型に先端部分から自動的に送込むことができる
送込み方法および装置を提供するものである。

（課題を解決するための手段） 本発明に係る送込み方法は、複数のステージＩ〜Ｖを一
定ピッチＰで配列した順送り金型４に、材料１を一定ピ
ッチＰづつ送りながら順次加工を積重ねて行くものにお
いて、順送り金型４に材料を送込むに際し、材料１の先
端が順送り金型４の全工程を通過するまでの間、順送り
金型４の手前で材料１の加工部15の外形に相当する部分
を一定ピッチＰをおいて打抜きながら、材料１を送り込
んで行くものである。

本発明に係る送込み装置は、複数のステージＩ〜Ｖを一
定ピッチＰで配列した順送り金型４に、材料１を一定ピ
ッチＰづつ送りながら順次加工を積重ねて行くものにお
いて、順送り金型４の手前側に、その第１ステージＩか
ら前記一定ピッチＰの整数倍分ｎ・Ｐだけ離れた位置
に、材料１の加工部15の外形に相当する部分を打抜くた
めのダミー金型14を設け、このダミー金型14を、材料１
の先端が順送り金型４の全工程を通過するまでの間、順
送り金型４に同期して作動させると共に、材料１の先端
の順送り金型４全工程通過後に該作動を解除するように
した連動手段21を設けたものである。

（作用） 順送り金型４に材料１の先端を送込む際には、順送り金
型４に同期してダミー金型14を作動させ、このダミー金
型14により一定ピッチＰで材料１の加工部15の外形に相
当する部分を打抜いて行く。

そして、材料１の先端が順送り金型４の全工程を通過す
ると、連動手段21を解除してダミー金型14を停止させ
る。

これによれば、材料１の先端が順送り金型４の全工程を
通過するまでは、順送り金型４を作動させておいても、
該順送り金型４の各ステージＩ〜Ｖにおいて、材料１に
対する加工が行われず、したがって、材料１はその先端
部分の非加工部分に「そり」や「ゆがみ」等の変形が生
じない状態で、順送り金型４内を良好にくぐり抜けてい
くため、従来のように材料を手送りする必要がなく、自
動的に材料１の先端が送込まれる。

また、この装置は、ダミー金型14、連動手段21を設けれ
ば良いので、順送り金型４自体に特別な改造等を加える
必要がなく、自動送りを容易に実施できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。

第１図及び第２図において、１は帯板状の材料、２はベ
ッド、３はフレームである。４は順送り金型で、複数の
ステージ、例えば第１〜第５ステージＩ〜Ｖを直列状に
備え、材料１を一定ピッチＰづつ送りながら各ステージ
Ｉ〜Ｖで順次加工を積重ねて行くようになっている。即
ち、順送り金型４はベッド２上に固定された下金型５
と、この下金型５の上方に昇降自在に設けられた上金形
６とを備え、これら下金型５及び上金型６には各ステー
ジＩ〜Ｖ毎に、材料１に対して成形、絞り、曲げ等の所
定の加工を加える加工金型部７〜11が上下相対応するよ
うに夫々設けられている。上金型６はサブプレート12を
介してフレーム３側の昇降ラム13に取付けられている。
14はダミー金型で、順送り金型４の手前側に、各ステー
ジＩ〜Ｖ相互間の一定ピッチＰの整数倍分（ｎ・Ｐ）だ
け第１ステージＩから離れて配置されている。このダミ
ー金型14は、第３図に示すように加工金型部７〜11によ
り材料１に施される加工部15の外径と同一又はそれより
も大形の近似外形孔16を材料１にあけるためのものであ
って、ベッド２上に固定された下金型17と、この下金型
５の上方に配置されかつ昇降フレーム18に取付けられた
上金型19とを有する。昇降フレーム18はその両端部でベ
ッド２上に立設された２本のガイド棒19に支持案内され
ると共に、各ガイド棒19に套嵌されたバネ20により上方
に付勢されている。21は順送り金型４に同期してダミー
金型14を作動させるための連動手段で、サブプレート12
と昇降フレーム18との間に配置されるストライカ22と、
このストライカ22を出退させるためのシリンダ23とを備
え、シリンダ23の伸縮によりストライカ22をサブプレー
ト12、昇降フレーム18間に出退させることによって、連
動・解除を選択できるようになっている。シリンダ23は
サブプレート12に取付けられ、またストライカ22はサブ
プレート12の下面に沿って摺動自在となっている。24は
フィードローラ、25はプルフィードローラである。

上記構成において、コイル状に巻取られた材料１を繰出
してその先端を順送り金型４に送込むには、材料１をフ
ィードローラ24及びダミー金型14に通し、また連動手段
21のシリンダ23を伸ばし、ストライカ22をサブプレート
12と昇降フレーム18との間に介在させる。次に順送り金
型４を作動させると、昇降ラム13によりサブプレート12
及び上金型６が昇降動作する。そして、サブプレート12
の下降時にストライカ22が昇降フレーム18を下方に打撃
しバネ20に抗して下降させるので、この昇降フレーム18
に取付けられたダミー金型14の上金型19が下降し、下金
型17と上金型19とから成るダミー金型14が材料１に近似
外形孔16を打抜く。

この動作は、材料１の一定ピッチＰづつの順送り動作と
共に、順送り金型４の作動に同期して順次行なわれるの
で、材料１には第３図に示すように一定ピッチＰで近似
外形孔16が形成され、この材料１が順送り金型４の下金
型５と上金型６との間に送込まれて行く。従って、順送
り金型４の上金型６が昇降しても、その各ステージＩ〜
Ｖの加工金型部７〜11は近似外形孔16を上下に通過する
のみであって、材料１に対する加工は何等行われない。

この動作は、材料１の先端がプルフィードローラ25に挿
入されるまで行い、材料１がプルフィードローラ25に挟
まれると、シリンダ23を縮めてストライカ22をサブプレ
ート12、昇降フレーム18間から抜き、連動手段21による
連動を解除する。このためサブプレート12が下降して
も、昇降フレーム18は上昇位置に停止したままであり、
ダミー金型14は作動しない。

なお、実施例では、ストライカ22を立方体状に構成して
いるが、円柱状、楔状にしても良い。またシリンダ23に
代えてソレノイド等を用いても良い。

更に連動手段21はストライカ22によるものに限定され
ず、例えば昇降フレーム18をクランク機構で駆動するよ
うに構成し、その駆動源側にクラッチを介装したもので
あっても良い。

（発明の効果） 本発明によれば、材料１の先端が順送り金型４の全工程
を通過するまで、ダミー金型14により一定ピッチＰで材
料１の加工部15の外形に相当する部分を打抜いて行くこ
とによって、材料１の先端部分の非加工部分に「そり」
や「ゆがみ」等の変形を生じさせることなく、材料１先
端を順送り金型４内に良好に通過させることができ、従
来のように材料の挿入時において該材料を手送りする必
要がなく、順送り金型４を作動させたままで自動的に材
料１の先端を送込むことができ、したがって、自動で材
料１を順送り金型４に挿入させ、そのまま自動的に連続
加工することができ、従来に比べて稼働率が著しく向上
する。

また本発明に係る装置では、順送り金型４自体に特別な
改造等を加える必要がなく、自動送りを容易に実施でき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は側面図、第２
図は正面図、第３図は材料の平面図である。 １……材料、４……順送り金型、Ｉ〜Ｖ……ステージ、
14……ダミー金型、17……下金型、18……昇降フレー
ム、19……上金型、21……連動手段、22……ストライ
カ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のステージ（Ｉ）〜（Ｖ）を一定ピッ
   チ（Ｐ）で配列した順送り金型（４）に、材料（１）を
   一定ピッチ（Ｐ）づつ送りながら順次加工を積重ねて行
   くものにおいて、 順送り金型（４）に材料を送込むに際し、材料（１）の
   先端が順送り金型（４）の全工程を通過するまでの間、
   順送り金型（４）の手前で材料（１）の加工部（15）の
   外形に相当する部分を一定ピッチ（Ｐ）をおいて打抜き
   ながら、材料（１）を送り込んで行くことことを特徴と
   する順送り金型への材料先端送込み方法。
2. 【請求項２】複数のステージ（Ｉ）〜（Ｖ）を一定ピッ
   チ（Ｐ）で配列した順送り金型（４）に、材料（１）を
   一定ピッチ（Ｐ）づつ送りながら順次加工を積重ねて行
   くものにおいて、 順送り金型（４）の手前側に、その第１ステージ（Ｉ）
   から前記一定ピッチ（Ｐ）の整数倍分（ｎ・Ｐ）だけ離
   れた位置に、材料（１）の加工部（15）の外形に相当す
   る部分を打抜くためのダミー金型（14）を設け、このダ
   ミー金型（14）を、材料（１）の先端が順送り金型
   （４）の全工程を通過するまでの間、順送り金型（４）
   に同期して作動させると共に、材料（１）の先端の順送
   り金型（４）全工程通過後に該作動を解除するようにし
   た連動手段（21）を設けたことを特徴とする順送り金型
   への材料先端送込み装置。