JPH0123625Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案はプレス機械におけるコンパウンド金型
に関するものであつて、詳しくは順送り打抜きを
行う場合のパンチ構造に関している。

（従来の技術） コンパウンド金型とは、穴あけと外径抜きのよ
うな複数の加工を一度に行う金型である。第５
図、第６図はコイル材から順送り打抜きによつて
ドーナツ形の製品を製造するレイアウトであつ
て、３回の加工で完成品が得られるものであつ
て、図面は３列取りを表わしている。コイル材ｍ
は左から右へ向つて送られ、ロールフイードＲで
間欠的に引張られ、自動的に順次移送されるよう
になつている。

第１工程（）で外径抜きと穴あけがなされ、
すでに製品Ｗとスクラツプ板Ｓとに分離される
が、この工程では打抜き加工後に、製品及びスク
ラツプの取出及び製品の打抜向きの規制の関係
で、再び製品はコイル材の抜き穴へ、スクラツプ
板は製品の抜き穴へ圧入されて元の板状にして次
のステージへ送られる。第２工程（）では、ス
クラツプ板Ｓの周縁を折曲して小径なスクラツプ
S1として製品の抜き穴から脱落させ、さらに第
３工程（）ではコイル材の抜き穴に圧入されて
いる製品を突落して製品とする。

ところで第２工程、第３工程におけるパンチ
は、前工程で所定の加工がなされていなければ前
記した加工が正しく行えない。従つて加工されて
いないコイル材を初めから第３工程のパンチまで
供給してプレス運転を行うと、第２、第３工程の
パンチを破損したりあるいは材料の変形による送
り不能の原因となる。このため、上記の加工を連
続運転で行うには、まず、コイル材を第１ステー
ジへ送つてプレス加工を行い、次にコイル材を第
２工程のパンチまで手作業で送つて第２工程の加
工を行い、さらに第３工程のパンチへ材料を送り
定位置に合せて打抜く。

前記のようなプレスのレイアウトの場合だと、
通常は材料の先端が材料を引張る装置に達するま
で同じ動作を繰返さないと連続運転に入れなかつ
た。そして連続運転に入るまでの時間を短縮する
ことが望まれていた。

（考案の目的） 本考案は複数の加工ステージをもつコンパウン
ド金型において、材料を最初からフイーダ位置ま
で送つて総ての金型に材料を供給し、第１回目の
プレス加工では第１ステージのパンチ以外のパン
チが、スライドの下降時に材料の送り線以下に下
がらないようにすることによつて金型の保護と材
料の変形を防止した金型を提供しようとするもの
である。

（考案の構成） 上記目的を達成させるため本願考案はスライド
に装着する上型には中心部に摺動自在なノツクア
ウトが設けられた第１パンチと、該第１パンチに
隣接して第２、第３パンチが設けられ、ボルスタ
に装着する下型には第１パンチと対応し第１パン
チのノツクアウトと対応する抜きパンチを有する
ダイと、第２パンチに対応するストリツパと、第
３パンチに対応する抜き穴が設けられており、前
記第２、第３パンチは何れもシリンダ内に摺動自
在でかつ上方に向つて付勢されており、これらパ
ンチ上面とシリンダ上壁との間に支持プレートが
出入自在に装着され、支持プレートをパンチ上面
に挿入したときは付勢部材によるパンチの上昇を
阻止してパンチをスライドと共に動作し、支持プ
レートをパンチ上面から抜き取つたときは支持プ
レートの厚み分だけパンチを上昇させてスライド
の下降によつて当該パンチが材料の送り線よりも
下降しないようにしたことを要旨としている。

（実施例） 第１図及び第２図は本考案の主要部を表わす断
面図であり、第５図はコイル材を打抜いた状態の
平面図である。１はスライドに装着するサブプレ
ートで、上型２が設けられており、上型２に第１
パンチ３、第２パンチ４、第３パンチ５が並設さ
れていて、第１パンチ３で前記した第１工程を、
第２パンチ４で第２工程を、第３パンチ５で第３
工程を加工する。６はボルスタに装着するサブプ
レートで下型７を有し、第１パンチ３と対応する
位置にダイ８を設け、第２パンチ４と対応する位
置にストリツパ９を、第３パンチ５と対応する位
置に製品を取出す抜き穴１０がそれぞれ設けられ
ている。

前記ダイ８には抜きパンチ８ａが設けられると
共に、第１パンチ３と適合するノツクアウト８
ｂ、又、第１パンチ３には抜きパンチ８ａと適合
するノツクアウト３ａが設けられており、第１パ
ンチ３では第１工程として外径抜きと製品内の穴
抜きを行い、第２パンチ４では第２工程としてス
クラツプS1を突き出し、第３パンチ５では第３
工程として製品Ｗを突き出している。

前記第２パンチ４、第３パンチ５の上方にはシ
リンダ１１，１２が設けられ、該シリンダ１１，
１２内に収容したピストン１３，１４が前記パン
チ４，５とピストンロツド１３ａ，１４ａで連結
され、シリンダ底壁とピストン１３，１４との間
にバネ１５，１６を装着してパンチ４，５を上方
に向つて付勢している。又、前記シリンダ１１，
１２の底壁とパンチ４，５との間には支持プレー
ト１７，１８が出入可能に装着されており、支持
プレート１７，１８がパンチ４，５の上方に挿入
されているときに上型２を下降するとパンチ先端
が材料の送り線より下降してプレス加工がなさ
れ、逆に支持プレート１７，１８を抜取つたとき
は、パンチ４，５はバネ１５，１６によつて引上
げられており、上型２の下降によつてはパンチ先
端は材料の送り線に達しないで、プレス加工がさ
れないことになる。

第３図はパンチが単列で設けられたときの支持
プレートを示し、本図は第５図で左側の加工位置
に適合するものである。支持プレート１７，１８
は上型２の外側に突出する長さを有しており、突
出させた端部を連結板１９で互いに連結すると共
に、該連結板１９はプレートの長手方向に作動す
るシリンダ２０のロツドに取付けられている。さ
らに支持プレート１７，１８の先端はＵ字切込み
２１，２２が形成されていて、プレートをパンチ
４，５の上面に挿入すると、Ｕ字切込み２１，２
２にピストン１３，１４のピストンロツド１３
ａ，１４ａが挿入されるようになつている。

第４図はパンチが複列で設けられたときの支持
プレートを示し、第５図で右側の加工位置に適合
するものである。プレート１７ａ，１８ａは２つ
のパンチを同時に支持できるようにするために、
プレートの先端に単列の場合と同様のＵ字切込み
２１，２２を設けるが、シリンダ２０に近い方の
Ｕ字切込み２１ａ，２２ａには切込みに隣接して
パンチ４，５が挿通できる大きさの通孔２３，２
４が設けられている。

（考案の効果） 以上説明したように本考案は、外径抜きと穴あ
けを同時に行う第１パンチに隣接して設けた第
２、第３パンチをシリンダ内に摺動自在に、かつ
上方に向つて付勢させて設け、これらパンチ上面
とシリンダ上壁との間に支持プレートを出入自在
に装着し、支持プレートをパンチ上面に挿入した
ときは付勢部材によるパンチの上昇を阻止してパ
ンチをスライドと共に動作し、支持プレートをパ
ンチ上面から抜き去つたときは支持プレートの厚
み分だけパンチを上昇させてスライドの下降時に
材料の送り線よりも下降しないようにしたから、
外径抜きと穴あけ作業を第１工程で同時に行つた
後スクラツプ抜きと製品抜きを第２、第３工程で
行う場合にコイル材を最初からロールフイードの
位置まで送つて直ちに連続運転ができるので、材
料のセツテイングからプレスの運転開始までの時
間を従来よりも短縮でき、従つて生産能率を向上
させることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のコンパウンド金型の全体を組
立てた縦断面図、第２図は第１図Ａ−Ａ断面図、
第３図、第４図は支持プレートの詳細であつて、
第３図はパンチが単列の場合、第４図はパンチが
複列の場合を表わしている。第５図はコイル材を
打抜く状態の平面図、第６図は同断面図。 １……サブプレート、２……上型、３……第１
パンチ、３ａ……ノツクアウト、４……第２パン
チ、５……第３パンチ、６……サブプレート、７
……下型、８……ダイ、８ａ……抜きパンチ、８
ｂ……ノツクアウト、９……ストリツパ、１０…
…抜き穴、１１，１２……シリンダ、１３，１４
……ピストン、１３ａ，１４ａ……ピストンロツ
ド、１５，１６……バネ、１７，１８……支持プ
レート、１７ａ，１８ａ……支持プレート、１９
……連結板、２０……シリンダ、２１，２２……
Ｕ字切込み、２１ａ，２２ａ……Ｕ字切込み、２
３，２４……通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スライドに装着する上型には中心部に摺動自在
   なノツクアウトが設けられた第１パンチと、該第
   １パンチに隣接して第２、第３パンチが設けら
   れ、ボルスタに装着する下型には第１パンチと対
   応し第１パンチのノツクアウトと対応する抜きパ
   ンチを有するダイと、第２パンチに対応するスト
   リツパと、第３パンチに対応する抜き穴が設けら
   れており、前記第２、第３パンチは何れもシリン
   ダ内に摺動自在でかつ上方に向つて付勢されてお
   り、これらパンチ上面とシリンダ上壁との間に支
   持プレートが出入自在に装着され、支持プレート
   をパンチ上面に挿入したときは付勢部材によるパ
   ンチの上昇を阻止してパンチをスライドと共に動
   作し、支持プレートをパンチ上面から抜き取つた
   ときは支持プレートの厚み分だけパンチを上昇さ
   せてスライドの下降によつて当該パンチが材料の
   送り線よりも下降しないようにしたことを特徴と
   するプレス機械のコンパウンド金型。