JP3085473U - 金属ワッシャ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 板厚の厚いワッシャの製造をプレス加工によ
って行うことができると共に、良質の製品となる金属ワ
ッシャを提供する。 【解決手段】 中央位置に内径孔２が打ち抜かれ、この
内径孔２の両端部周囲に面取り３が施されていると共
に、金属ワッシャ１の外径が、素材金属板に対して、内
径孔２と同軸心の状態で素材金属板の半抜きとこの半抜
き部分の抜き落としの二段回打ち抜きを行うことによ
り、外径１ａの周囲にだれのない状態に打ち抜き形成さ
れている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、機械部品である金属ワッシャ、特に板厚の厚い素材金属板から打 ち抜き形成したワッシャに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、板厚が３ｍｍ程度もある金属製のワッシャを、一般的な抜型を用いた 従来のプレス加工によって製造すると、板厚が厚いために、ワッシャの内外の周 囲にだれやクラックが発生し、品質の良い製品を得ることができない。 このため、従来、板厚の厚いワッシャは、旋盤加工により製作するようにして いた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、旋盤加工によるワッシャの製作は、加工に手間と時間がかかり、量産 に適さないため、コスト的に高い製品になるという問題がある。

【０００４】 そこで、この考案の課題は、板厚の厚いワッシャであっても、内外の周囲にだ れやクラックの発生がない良質の製品を得ることができ、プレス加工による量産 化によって低コストの製品を供給できる金属ワッシャを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記のような課題を解決するため、この考案は、素材金属板から打ち抜き形成 したワッシャであって、中央位置に内径孔が打ち抜かれ、この内径孔の両端部周 囲に面取りが施されていると共に、ワッシャの外径が、素材金属板に対して、内 径孔と同軸心の状態で素材金属板の半抜きとこの半抜き部分の抜き落としの二段 回打ち抜きを行うことにより、周囲にだれのない状態に打ち抜き形成されている 構成を採用したものである。

【０００６】 上記、金属ワッシャの外径を打ち抜き形成する二段回打ち抜き工程は、素材金 属板と一部連なり部分を残した状態で金属ワッシャを半抜きするワッシャ半抜き 工程と、一部連なり部分を打ち抜くことにより素材金属板から金属ワッシャを抜 き落とすワッシャ打ち抜き工程とからなり、ワッシャ半抜き工程は、ポンチによ るワッシャの半抜きを、ポンチとダイパーツで素材金属板を挟み込んだ状態で、 ポンチの下降による半抜き部分に追従してダイパーツを下降させ、ワッシャの外 径を素材金属板と板厚の略３分の１程度の一部連なり部分を残した状態で半抜き にするようになっている。

【０００７】 このように、素材金属板からの金属ワッシャの打ち抜きを、二段回打ち抜き工 程とすることにより、板厚が３ｍｍ程度の厚い素材金属板から金属ワッシャを一 工程で打ち抜いた場合の、周囲のだれやクラックの発生がなくなり、良質の製品 を得ることができる。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施の形態を図示例と共に説明する。

【０００９】 図１（Ｃ）は、この考案の金属ワッシャ１を示し、金属板から打ち抜いた所定 の外径１ａを有する円板状で、円形の外径１ａとその中央位置に円形の内径孔２ が同軸心の配置で打ち抜き形成され、この内径孔２の両端部周縁に面取り３が施 された構造になっている。

【００１０】 図１（Ａ）は、この考案の金属ワッシャ１を製作する製造工程を示し、この製 造工程によって、上記ワッシャ１を素材金属板Ａから製作するために、プレス機 とこれに取り付ける金型が用いられる。ちなみに、一例として、使用する素材金 属板Ａは、その板厚が３ｍｍで、外径１ａが２０ｍｍ前後、内径孔２の内径が８ ｍｍ前後の金属ワッシャ１を打ち抜き製作するものである。

【００１１】 上記製造工程は、素材金属板Ａの両側にパイロット孔４を長さ方向に一定間隔 の配置で打ち抜くパイロット孔打ち抜き工程ａと、このパイロット孔４を利用し て素材金属板Ａを間歇的に送りながら、素材金属板Ａのパイロット孔４で囲まれ た中央の位置にワッシャ１の内径孔２を打ち抜く内径孔打ち抜き工程ｂと、この 内径孔２の両端部周囲に面取り３を施す面打ち工程ｃと、素材金属板Ａに内径孔 ２と同軸心の状態で金属ワッシャ１を半抜きにするワッシャ半抜き工程ｄと、半 抜きの金属ワッシャ１を素材金属板Ａから抜き落とす打ち抜き工程ｅとからなっ ている。

【００１２】 上記各工程ａ乃至ｅを実施するための金型が、素材金属板Ａの間歇送りピッチ に一致もしくは倍数の間隔で、素材金属板Ａの移動方向に沿って配置され、プレ ス機により各工程ａ乃至ｅを同時に実施するようになっている。

【００１３】 図１（Ｂ）は、上記ワッシャ半抜き工程ｄを行う金型の具体的な構造を示し、 素材金属板Ａの上面側から金属ワッシャ１を半抜きするポンチ５と、素材金属板 Ａの下面側から金属ワッシャ１の半抜き部分を支持するダイパーツ６で素材金属 板Ａを挟み、このダイパーツ６でポンチ５による半抜き方向の圧力を可動的に支 持することで、金属ワッシャ１の外径１ａを素材金属板Ａと一部連なり部分を残 した状態で半抜きにするようになっている。

【００１４】 上記ダイパーツ６によるポンチ５の半抜き方向の圧力を弾力的かつ可動的支持 する手段は、例えば、ダイパーツ６を油圧シリンダで支持し、該シリンダに供給 する油圧の圧力を制御するように形成され、ポンチ５による金属ワッシャ１の半 抜きを行うには、ポンチ５とダイパーツ６で素材金属板Ａを上下から挟み込み、 油圧の圧力制御を行うことでポンチ５の下降による金属ワッシャ１の抜き移動に 追従してダイパーツ６を下降させ、金属ワッシャ１の外径を素材金属板Ａと板厚 の略３分の１程度の一部連なり部分７を残した状態で半抜きにするようになって いる。なお、ダイパーツ６を可動的に支持する手段としては、上記油圧シリンダ 以外に、コイルスプリング、ガスクッション等を採用することができる。

【００１５】 また、次の半抜き金属ワッシャ１を抜き落とす打ち抜き工程ｅでは、上記半抜 き金属ワッシャ１の一部連なり部分７を打ち抜くことにより、素材金属板Ａから 金属ワッシャ１を抜き落とすことにより、外径１ａを形成するものである。

【００１６】 上記製造工程を用いてこの考案の金属ワッシャ１を製作するには、素材金属板 Ａの両側に長さ方向に一定間隔の配置でパイロット孔４を打ち抜き、このパイロ ット孔４を利用して素材金属板Ａを間歇的に送りながら、先ず、内径孔打ち抜き 工程ｂで素材金属板Ａのパイロット孔４で囲まれた中央の位置にポンチとダイで 内径孔２を打ち抜く。

【００１７】 次に、内径孔２が面打ち工程ｃに移動し、上下に配置した面打ちポンチで内径 孔２の両端部周囲に面取り３を施し、面取り後の内径孔２はワッシャ半抜き工程 ｄに移動する。

【００１８】 このワッシャ半抜き工程ｄは、素材金属板Ａの上面側から金属ワッシャ１を半 抜きするポンチ５と、素材金属板Ａの下面側から金属ワッシャ１の打ち抜き部分 を支持するダイパーツ６で素材金属板Ａを挟み、このダイパーツ６でポンチ５に よる半抜き方向の圧力を可動的に支持することで、金属ワッシャ１の外径１ａを 素材金属板Ａと板厚の略３分の１程度の一部連なり部分７を残した状態で半抜き にする。

【００１９】 上記のようにして、素材金属板Ａと一部連なり部分７を残して半抜きにされた 金属ワッシャ１は、次の打ち抜き工程ｅに移動し、図示省略したが、この打ち抜 き工程ｅの上側のポンチと下部のダイで上記一部連なり部分７を破断することで 、半抜きの金属ワッシャ１を素材金属板Ａから抜き落とせば、図１（Ｃ）のよう な外径１ａの金属ワッシャ１が完成する。

【００２０】 このように、ワッシャ半抜き工程ｄにおいて素材金属板Ａと一部連なり部分７ を残した状態で金属ワッシャ１を半抜きにし、その後、打ち抜き工程ｅで上記一 部連なり部分７を破断して金属ワッシャ１を完全に打ち抜く二段階の打ち抜き工 程を行うことにより、板厚が厚い素材金属板Ａから金属ワッシャ１を打ち抜く場 合の、外径１ａにおける周囲のだれやクラックの発生がなくなり、良質の製品を 得ることができることになる。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように、この考案によると、中央位置に内径孔が打ち抜かれ、この内径 孔の両端部周囲に面取りが施されていると共に、ワッシャの外径を、素材金属板 に対して、内径孔と同軸心の状態で素材金属板の半抜きとこの半抜き部分の抜き 落としの二段回打ち抜きを行うことにより、周囲にだれのない状態に打ち抜き形 成したので、外径の周囲がだれやクラックの発生がない良好な仕上がりとなり、 板厚が厚い良質の金属ワッシャを得ることができる。

【００２２】 また、板厚が厚い金属ワッシャをプレスでの打ち抜きによって製作することで 、量産化によって低コストの製品を供給することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はこの考案に係る金属ワッシャの製造工
程の順番を示す平面図、（Ｂ）は同上におけるワッシャ
半抜き工程と半抜き金属ワッシャを素材金属板から抜き
落とす打ち抜き工程の拡大縦断面、（Ｃ）はこの考案の
金属ワッシャを示す斜視図

【符号の説明】

１ 金属ワッシャ １ａ 外径 ２ 内径孔 ３ 面取り ４ パイロット孔 ５ ポンチ ６ ダイパーツ ７ 一部連なり部分 ａ パイロット孔打ち抜き工程 ｂ 内径孔打ち抜き工程 ｃ 面打ち工程 ｄ ワッシャ半抜き工程 ｅ 半抜きワッシャを素材金属板から抜き落とす打ち抜
き工程

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 素材金属板から打ち抜き形成したワッシ
   ャであって、中央位置に内径孔が打ち抜かれ、この内径
   孔の両端部周囲に面取りが施されていると共に、ワッシ
   ャの外径が、素材金属板に対して、内径孔と同軸心の状
   態で素材金属板の半抜きとこの半抜き部分の抜き落とし
   の二段回打ち抜きを行うことにより、周囲にだれのない
   状態に打ち抜き形成されている金属ワッシャ。
2. 【請求項２】 上記ワッシャの外径と内径孔が共に円形
   で、その板厚が３ｍｍ程度である請求項１に記載の金属
   ワッシャ。