JPH08309448A - 段絞り加工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小径及び径に対する絞り高さが高い部品の段
絞り加工方法に関し、加工中のポンチの破損という強度
的課題を解決し、生産性の向上とコスト低減を図った段
絞り加工方法を提供することを目的とする。 【構成】 １次絞り加工１１後、段絞り部の上段になる
部分のみに段絞りポンチを挿入し、段絞りダイの中に下
段部内径が中空の状態で押し込むように段絞りを行う方
法とすることにより、段絞りポンチと絞り底面穴開けポ
ンチの強度アップが図れ、製作も容易とすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は小径の段絞り加工、さら
には絞り底面に穴開け加工が必要な段絞り加工品を加工
する段絞り加工方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の段絞り加工ならびに絞り底面の穴
開け加工を行う段絞り加工方法について以下に図面を用
いて説明する。

【０００３】図８（ａ），（ｂ）は順送型を用いた段絞
り加工と、絞り底面に穴開け加工を行う工程を説明する
ために示したフープ材の平面図と断面図である。

【０００４】図８（ａ），（ｂ）において８１はフープ
材１に１次絞り加工を行った状態を示し、８２は上記１
次絞り加工８１を行った後、２次絞り加工である段絞り
加工を行った状態を示し、８３は段絞り加工８２を行っ
た後、絞り底面に穴開け加工を行った状態を示す。

【０００５】図９は段絞りポンチ９１と段絞りダイ９２
で段絞り加工８２が行われる状態を示し、図１０は絞り
底面穴開けポンチ１０１と絞り底面穴開けダイ１０２に
より絞り底面に穴開け加工が行われる状態を示したもの
であり、このような方法により、段絞り加工と絞り底面
に穴開け加工を連続して行っていたものであった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の方法では、段絞り加工部の形状が小径及び径に対する
絞り高さが高くなった場合に、段絞りポンチ９１及び絞
り底面穴開けポンチ１０１が段絞り加工中及び絞り底面
穴開け加工中に破損するなどの強度問題と段絞りポンチ
９１及び絞り底面穴開けポンチ１０１自体の製作が困難
となるという課題を有したものであった。

【０００７】本発明は上記従来の課題を解決し、小径及
び径に対する絞り高さが高い段絞り加工、ならびに絞り
底面に穴開け加工を安定して行うことが可能な段絞り加
工方法を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の段絞り加工方法は、１次絞り加工を行って
後、この１次絞り加工品の外径よりも小径に形成された
絞りダイの中に１次絞り加工後の材料を内径中空状態で
押し込む２次絞り加工を行うことにより段絞り加工を行
う方法としたものである。

【０００９】

【作用】この方法により小径及び径に対する絞り高さが
高い段絞り加工や絞り底面に穴開け加工する場合でも、
小径側の絞り加工を中空状態で行うために絞り工具の先
端を細くする必要がないために工具の破損が減少し、さ
らに加工工具の製作も容易となるため生産性の向上、コ
スト低減を図ることができ、今まで不可能であった小径
及び径に対する絞り高さの高い段絞りや絞り底面に穴開
け加工することが容易にできるようになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。

【００１１】図１（ａ），（ｂ）は同実施例による段絞
り加工方法の工程を説明するために示したフープ材の平
面図と断面図である。

【００１２】図２は、図１の絞り底面穴開け加工１２の
加工工具の構成を示し、図３は図１の段絞り加工１３の
加工工具の構成を示すものである。

【００１３】図１（ａ），（ｂ）において１１はフープ
材１に１次絞り加工を行った状態を示し、１２は上記１
次絞り加工１１を行った後、絞り底面穴開け加工を行っ
た状態を示し、１３は絞り底面穴開け加工後、２次絞り
加工である段絞り加工を行った状態を示す。

【００１４】図２は１次絞り加工１１後に絞り底面穴開
け加工１２を行う際の加工工具の構成を示すもので、絞
り底面穴開けポンチ２１と絞り底面穴開けダイ２２によ
り穴開け加工が行われる。

【００１５】このように１次絞り加工１１後の状態で絞
り径が大きい時に先行して絞り底面穴開け加工１２を行
うことにより、絞り底面穴開けポンチ２１の外径を大き
くできるために強度アップが図れ、穴開け加工中の絞り
底面穴開けポンチ２１の破損が減少し、絞り底面穴開け
ポンチ２１自体の製作も容易となる。

【００１６】図３は絞り底面穴開け加工１２後に段絞り
加工１３を行う際の加工工具の構成を示すもので、段絞
りポンチ３１と段絞りダイ３２により構成されており、
以下これらの動作について説明する。

【００１７】図４は絞り底面穴開け加工１２が完了した
フープ材１が段絞り加工部に送られ、上型に取り付けら
れた段絞りポンチ３１が下降を行っている途中の状態を
示す。

【００１８】図５は上型がさらに下降し、段絞りポンチ
３１が絞り加工部に入り込んだ状態を示す。

【００１９】図６は上型がさらに下降し、段絞りポンチ
３１により絞り加工部が段絞りダイ３２の上段部に入り
込んだ状態を示す。

【００２０】図７は上記図６よりさらに上型が下降し、
絞り加工部先端が段絞りダイ３２の下段に内径が中空の
状態で押し込まれるように段絞り加工が行われた下死点
状態を示している。この時、段絞り加工と共に絞り底面
に開けられていた穴径が縮小され、目的とする穴の大き
さとなる。

【００２１】上記のような方法とすることにより、小径
及び径に対する絞り高さが高い段絞り加工や、この絞り
底面に穴開け加工する場合において、段絞りポンチでは
下段の径の細い部分が不要となり、絞り底面穴開けポン
チでは最終目的とする穴径よりも大きな径でさらに先端
の切刃長さを短くすることができるため、加工中の工具
の破損が減少し、加工工具の製作も容易となるため生産
性の向上、コストの低減を図ることができ、今まで不可
能であった小径及び径に対する絞り高さの高い段絞り
や、絞り底面の穴開け加工ができるようになる。

【００２２】なお、上記実施例においては、段絞り部の
取り数を１列取りとしたが、２列取り、３列取り…とそ
れ以上の取り数においても加工すること、さらに段絞り
の条件によっては、上記実施例のように１工程による段
絞り加工ではなく、複数工程に分けた段絞り加工におい
ても加工することができるのは言うまでもない。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明による段絞り加工方
法は、段絞りの下段部分にあたる段絞りの径の細い部分
が必要でなくなり、また絞り底面に穴開け加工する場合
では穴開け後絞りにより穴径を縮小させていくことによ
り最終目的とする径より大きな径の穴を前もって開ける
ことができるため、加工中の工具の破損が減少し、加工
工具の製作も容易となり、生産性の向上、コストの低
減、さらに今まで不可能であった小径及び径に対する絞
り高さの高い段絞りや、絞り底面の穴開け加工が可能と
なるという貢献度の大きなものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明の一実施例の段絞り加工方法によ
るフープ材の平面図 （ｂ）同断面図

【図２】図１の絞り底面穴開け加工の加工工具の構成を
示す断面図

【図３】図１の段絞り加工の加工工具の構成を示す断面
図

【図４】絞り底面穴開け加工が完了したフープ材が段絞
り加工部に供給された状態を示す断面図

【図５】図４の上型が下降を始めた状態を示す断面図

【図６】図５の上型がさらに下降した状態を示す断面図

【図７】図６の上型がさらに下降し下死点の状態を示す
断面図

【図８】（ａ）順送型を用いた段絞り加工と絞り底面穴
開け加工の工程を説明するためのフープ材の平面図 （ｂ）同断面図

【図９】従来の段絞り加工を示す断面図

【図１０】従来の絞り底面穴開け加工を示す断面図

【符号の説明】

１ フープ材 １１ １次絞り加工 １２ 絞り底面穴開け加工 １３ 段絞り加工 ２１ 絞り底面穴開けポンチ ２２ 絞り底面穴開けダイ ３１ 段絞りポンチ ３２ 段絞りダイ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １次絞り加工を行って後、この１次絞り
   加工品の外径よりも小径に形成された絞りダイの中に１
   次絞り加工後の材料を内径中空状態で押し込む２次絞り
   加工を行うことにより段絞り加工を行う段絞り加工方
   法。
2. 【請求項２】 １次絞り加工を行った後、絞り加工した
   底面に穴開け加工を行ってから２次絞り加工を行う請求
   項１記載の段絞り加工方法。