JPH05154575A - 穴フランジング工法及び穴フランジング金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工程数を増やさないで、従来の加工限界より
も深い穴フランジング加工が可能な穴フランジング工法
及び穴フランジング金型を提供することを目的としてい
る。 【構成】 板材７に下穴を開け、この下穴部分を下穴と
同心軸上で動作するダイ２と円柱型パンチ１とを使用し
てプレス加工し、前記下穴部分を押し拡げて中空円筒突
起状穴フランジに加工する穴フランジング工法におい
て、円柱型パンチ１の先端から円柱外側面上を所定距離
はなれ位置の円柱外側面に、円柱型パンチ１の根本方向
に向かって所定の角度を有して拡がるテーパー面からな
る張出ショルダー部１０を設け、円柱型パンチ１が下死
点に達する直前に、この張出ショルダー部１０が、板材
７の前記下穴部分が押し拡げられて加工された中空円筒
突起状穴フランジの根本部に当たって板材７のその部分
の材料を中空円筒突起状穴フランジの方向に押し出すよ
うにして、その部分の板厚を減少させ、押し出した分だ
け中空円筒突起状穴フランジを長くするようにすること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレス加工方法とそれ
に使用する金型に関し、特に、機構部品の中空円筒突起
状穴フランジングのプレス加工、例えば、位置決め用、
嵌合ピン用の穴、又は、シャフトとして使用する中空円
筒突起等を成形するプレス加工に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、機構部品とし使用されるプレス加
工部品には、必要部品数削減の目的や、複数部品を一つ
の部品にプレス加工して組立精度向上を計るために、１
個の部品により多くの機能を持たせることが要求されて
きている。そのために、従来のプレス加工方法の加工限
界を越えるような加工が要求されたり、プレス加工の工
程数が増加したりしている。

【０００３】その中で、板材に下穴を開け、この下穴部
分を下穴と同心位置で動作するダイと円柱型パンチを使
用してプレス加工し、前記下穴部分を押し拡げて中空円
筒突起状穴フランジに加工する穴フランジング工法にお
いては、中空円筒突起部の長さを、従来のプレス加工方
法の加工限界を越えて長くする要求が出てきている。

【０００４】次に、第１従来例の穴フランジング工法を
図４、図５に基づいて説明する。

【０００５】図４において、円柱状パンチ２１とダイ２
２とが同心軸２９上にあり、下穴２８が開けられた板材
２７が、下穴２８を同心軸２９上に位置してダイ２２上
に載置され、ダイ２２内にはエジェクタ２５があり、エ
ジェクタ２５はスプリング２６で押し上げられている。
円柱状パンチ２１はストッパ２３及びスプリング２４と
共に下降し、ストッパ２３がスプリング２４の力で板材
２７を押さえた後に、円柱状パンチ２１が板材２７の下
穴２８部分を押し拡げて中空円筒突起状穴フランジを成
形して行く。この成形の際に、円柱状パンチ２１はエジ
ェクタ２５を押し下げている。

【０００６】図５は、第１従来例の穴フランジング加工
が完了した状態を示している。図５の状態の後に、円柱
状パンチ２１とストッパ２３及びスプリング２４が上昇
し、プレスされた製品は、エジェクタ２５に押し上げら
れて取り出される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、加工された中
空円筒突起部をシャフトとして使用するために、中空円
筒突起部の長さを長くする必要がある場合、上記の第１
従来例では、この中空円筒突起部を長くするために、円
柱状パンチ２１の円柱側面全体に小さなテーパを付け
て、成形中の中空円筒突起部をしごいて強制的に引き延
ばすことになり、この引き延ばす力が、ダイ２２のコー
ナー部に当たっている板材の部分に集中してかかり、そ
の部分が破断することが多くなるという問題点がある。
この場合、下穴２８の径を小さくして、中空円筒突起部
の成形深さを深くする方法が試みられたが、下穴２８周
辺部が破断してしまうという問題点が生じる。

【０００８】この対策として、第２従来例は、図６から
図９に示すように、図６に示す板材２７に、図７に示す
張出部３０を予め成形し、図８に示すように穴３１を張
出部３０の底部に設け、その後に、図９に示すような穴
フランジング加工している。

【０００９】この第２従来例で、穴フランジング加工が
可能であるが、この第２従来例では、金型の数が増加
し、金型全体が大きくなって、金型コストが増加し、且
つ、プレス加工の工程が増加して、製品が大幅にコスト
アップするという問題点がある。

【００１０】本発明は、上記の問題点を解決して、工程
数を増やさないで、従来の加工限界よりも深い穴フラン
ジング加工が可能な穴フランジング工法及び穴フランジ
ング金型を提供することを課題としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の穴フランジング
工法は、上記の課題を解決するために、板材に下穴を開
け、この下穴部分を下穴と同心軸上で動作するダイと円
柱型パンチとを使用してプレス加工し、前記下穴部分を
押し拡げて中空円筒突起状穴フランジに加工する穴フラ
ンジング工法において、円柱型パンチの先端から円柱外
側面上を所定距離はなれた位置の円柱外側面に、円柱型
パンチの根本方向に向かって所定の角度を有して拡がる
テーパー面からなる張出ショルダー部を設け、円柱型パ
ンチが下死点に達する直前に、この張出ショルダー部
が、板材の前記下穴部分が押し拡げられて加工された中
空円筒突起状穴フランジの根本部に当たって板材のその
部分の材料を中空円筒突起状穴フランジの方向に押し出
すようにして、その部分の板厚を減少させ、押し出した
分だけ中空円筒突起状穴フランジを長くするようにする
ことを特徴とする。

【００１２】本発明の穴フランジング金型は、上記の課
題を解決するために、ダイと円柱型パンチとを有し、下
穴を開けた板材を、その下穴部分が前記ダイと円柱型パ
ンチに対して同心軸上に位置するように置いて、前記ダ
イと円柱型パンチとによって、この下穴部分を押し拡げ
て中空円筒突起状穴フランジに加工する穴フランジング
金型において、円柱型パンチが下死点に達する直前に、
ダイの上面の肩部に位置する円柱型パンチの円柱外側面
部分に、円柱型パンチの根本方向に向かって所定の角度
を有して拡がるテーパー面からなる張出ショルダー部を
設けることを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明の穴フランジング工法及び穴フランジン
グ金型は、円柱型パンチが下死点に達する直前に、ダイ
の上面の肩部に位置する円柱型パンチの円柱外側面部分
に、円柱型パンチの根本方向に向かって所定の角度を有
して拡がるテーパー面からなる張出ショルダー部を設
け、円柱型パンチが下死点に達する直前に、この張出シ
ョルダー部が、板材の前記下穴部分が押し拡げられて加
工された中空円筒突起状穴フランジの根本部に当たって
板材のその部分の材料を中空円筒突起状穴フランジの方
向に押し出すように作用することによって、中空円筒突
起状穴フランジを長くする。

【００１４】従来例では、引き延ばすことによって、中
空円筒突起を長くしようとしたので、この引っ張り力が
一部分に加わり破断していたが、本発明では、押し出し
作用によって中空円筒突起を長くしているので、破断す
るような力が加わらず、一工程で、従来よりも長い中空
円筒突起状穴フランジの加工が容易にできる。

【００１５】

【実施例】本発明の一実施例を図１から図３に基づいて
説明する。

【００１６】図１において、円柱型パンチ１の軸に対し
て所定の頂角（約３０度から約１５０度）を持ったテー
パー面からなる張出ショルダー部１０を設けた円柱状パ
ンチ１とダイ２とが同心軸９上にあり、下穴８が開けら
れた板材７が、下穴８を同心軸９上に位置してダイ２上
に載置され、ダイ２内にはエジェクタ５があり、エジェ
クタ５はスプリング６で押し上げられている。 円柱状
パンチ１はストッパ３及びスプリング４と共に下降し、
ストッパ３がスプリング４の力で板材７を押さえた後
に、円柱状パンチ１が板材７の下穴８部分を押し拡げて
中空円筒突起状穴フランジを成形して行く。この成形の
際に、円柱状パンチ１はエジェクタ５を押し下げてい
る。

【００１７】図２は、図１に示す位置から、円柱型パン
チ１が下降して、板材７の下穴８部分を押し拡げて中空
円筒突起状穴フランジを成形しながら、下死点に近づ
き、張出ショルダー部１０が、成形中の中空円筒突起状
穴フランジの肩部１１に当接した状態を示す。

【００１８】図３は、図２に示す位置から、円柱型パン
チ１が更に下降して、下死点に到達した状態を示す。張
出ショルダー部１０が成形中の中空円筒突起状穴フラン
ジの肩部１１部分（図２）を下方に押し、張出ショルダ
ー部１０の円錐面に沿ったテーパー部１２を成形すると
共に、押し退けた材料を、中空円筒突起状穴フランジの
方向に押し出す。その結果、中空円筒突起状穴フランジ
を後方から材料を供給しながら押し出すことになり、無
理なく、中空円筒突起状穴フランジの長さを長くでき
る。本実施例では、従来例に比べて、約１．３から１．
５倍の長さにできる。成形完了後、円柱状パンチ１とス
トッパ３及びスプリング４が上昇し、プレスされた製品
は、エジェクタ５に押し上げられて取り出される。

【００１９】本発明は、上記の実施例に限らず種々の態
様が可能である。例えば、実施例では、上をパンチ、下
をダイとして説明したが、上をダイ、下をパンチにして
何ら問題は無い。

【００２０】

【発明の効果】本発明の穴フランジング工法及び穴フラ
ンジング金型は、張出ショルダー部１０が成形中の中空
円筒突起状穴フランジの肩部１１部分を下方に押し、張
出ショルダー部１０の円錐面に沿ったテーパー部１２を
成形すると共に、押し退けた材料を、中空円筒突起状穴
フランジの方向に押し出すので、従来例が中空円筒突起
状穴フランジ部を引き延ばして長くしているのに比較し
て、無理がなく、一工程で従来例の約１．３から１．５
倍長い中空円筒突起状穴フランジを得ることができると
いう効果を奏する。

【００２１】又、中空円筒突起状穴フランジの穴の周囲
にできたテーパー部１２は、軸等を挿入する場合のガイ
ド部となり、組立性が向上するという効果も生じる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例方法を使用した金型の断面図
である。

【図２】図１の動作を示す断面図である。

【図３】図１の動作を示す断面図である。

【図４】第１従来例の金型の断面図である。

【図５】図４の動作を示す断面図である。

【図６】第２従来例の板材の断面図である。

【図７】第２従来例の板材の断面図である。

【図８】第２従来例の板材の断面図である。

【図９】第２従来例の板材の断面図である。

【符号の説明】

１ 円柱状パンチ ２ ダイ １０ 張出ショルダー部

フロントページの続き (72)発明者 丹新 雅也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板材に下穴を開け、この下穴部分を下穴
   と同心軸上で動作するダイと円柱型パンチとを使用して
   プレス加工し、前記下穴部分を押し拡げて中空円筒突起
   状穴フランジに加工する穴フランジング工法において、
   円柱型パンチの先端から円柱外側面上を所定距離はなれ
   た位置の円柱外側面に、円柱型パンチの根本方向に向か
   って所定の角度を有して拡がるテーパー面からなる張出
   ショルダー部を設け、円柱型パンチが下死点に達する直
   前に、この張出ショルダー部が、板材の前記下穴部分が
   押し拡げられて加工された中空円筒突起状穴フランジの
   根本部に当たって板材のその部分の材料を中空円筒突起
   状穴フランジの方向に押し出すようにして、その部分の
   板厚を減少させ、押し出した分だけ中空円筒突起状穴フ
   ランジを長くするようにすることを特徴とする穴フラン
   ジング工法。
2. 【請求項２】 ダイと円柱型パンチとを有し、下穴を開
   けた板材を、その下穴部分が前記ダイと円柱型パンチに
   対して同心軸上に位置するように置いて、前記ダイと円
   柱型パンチとによって、この下穴部分を押し拡げて中空
   円筒突起状穴フランジに加工する穴フランジング金型に
   おいて、円柱型パンチが下死点に達する直前に、ダイの
   上面の肩部に位置する円柱型パンチの円柱外側面部分
   に、円柱型パンチの根本方向に向かって所定の角度を有
   して拡がるテーパー面からなる張出ショルダー部を設け
   ることを特徴とする穴フランジング金型。