JPH0762585A - 電解用電極基体及びその製造方法 - Google Patents

電解用電極基体及びその製造方法

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JPH0762585A
JPH0762585A JP5230841A JP23084193A JPH0762585A JP H0762585 A JPH0762585 A JP H0762585A JP 5230841 A JP5230841 A JP 5230841A JP 23084193 A JP23084193 A JP 23084193A JP H0762585 A JPH0762585 A JP H0762585A
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oxide
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孝之 島宗
Yasuo Nakajima
保夫 中島
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Permelec Electrode Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の電解用電極基体には、高電流密度下で
の電解やフッ素成分等の腐食性物質を含む電解に対して
耐性を有するものがあるが、正負反転を伴う電解に対し
て十分な耐性を有する電極基材は存在しなかった。本発
明は、各種耐久性特に正負反転を伴う電解に対して十分
な耐性を有する電極基材を提供することを目的とする。 【構成】 導電性金属基材表面に部分酸化物を含む被覆
層を形成して成る電解用電極基体の前記被覆層中に白金
族金属を添加する。該白金族金属が正負反転を伴う電解
に対して十分な耐性を有し、前記部分酸化物の有する高
電流密度や腐食物質に対する耐性とともに、本発明に係
わる電解用電極基体の各種耐性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性を有する電解用
電極基体及びその製造方法に関し、より詳細には高電流
密度で使用され主として酸素発生反応に対する耐久性と
電流逆転に対する耐性を有する電解用電極基体及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】工業電解特に無機酸を主体と
する電解は金属の電解製錬、電気めっき、有機物及び無
機物の電解合成等極めて広い範囲で行われている。これ
らの電解用電極特に陽極として鉛又は鉛合金電極、白金
めっきチタン電極、カーボン電極等が提案されているが
いずれの電極も欠点があり、幅広い用途の電解には使用
されていない。例えば鉛電極は表面に比較的安定で良導
電性である二酸化鉛が形成されるが、この二酸化鉛も通
常の電解条件で数mg/AHの溶解があり、しかも過電
圧が大きいという欠点がある。又白金めっきチタン電極
は高価なわりに寿命が短く、更にカーボン電極は陽極反
応が酸素発生反応であると該カーボン電極が発生酸素と
反応して二酸化炭素として自身を消耗させかつ導電性が
悪いという欠点がある。これらの各電極の欠点を解消す
るために寸法安定性電極(DSE)が提案され幅広く使
用されている。
【0003】このDSEはチタンに代表される弁金属を
基体とし陽極として使用される限りは、表面が不働態化
し、化学的に極めて安定な長寿命電極として機能する。
しかし該DSEも陰極として使用され陰分極を受ける
と、発生する水素と反応して水素化物となり基体自体が
脆弱化したり腐食により表面の被覆が剥離したりして電
極寿命を著しく縮めることになり、特に正負が反転する
つまり電流方向が反転する電解にDSEを使用する際の
大きな欠点となっている。
【0004】これを避けるために陰分極に対して耐性の
あるニッケルやステンレススチールを使用すると、これ
らの材料は中性から酸性の溶液中では陽極として使用す
ることができないため、正負が反転する電解用の電極と
して不適切であることは明らかである。又陽分極及び陰
分極の両者に対する耐性があるとされるグラファイト等
の炭素電極はガス発生とともに表面が崩落する傾向にあ
り、特に正負反転を行う際にはその傾向が大きくなり、
理論的に使用可能であっても実用的価値は少なかった。
【0005】更にこれらの中間層や改質層は、前述の有
機物やある種の腐食性のハロゲン化物に対して耐性を有
するものの決して十分でなく、前記中間層や改質層が薄
いため、基体自体の耐食性に頼ってしまうという問題点
があった。前述の従来技術の欠点、特に中間層の不働態
化を防止するためにタンタルの線材を溶射して中間層を
形成する方法が提案されている(特開平5−156480
号)。このタンタル溶射では金属タンタルと酸化タンタ
ルの混合した部分酸化物からなる中間層が形成されると
報告されている。しかしタンタルは酸化されやすくつま
り他の金属より不働態化が進行しやすく、特に過酷な条
件下での使用では長寿命を期待できず、更に高価である
ため用途が限定されてしまうという欠点を有している。
【0006】前記弁金属や鉄族金属やその合金の中に陰
陽両分極に対して安定な材料が実質的に存在しないこと
は前述の通りである。しかし金属酸化物の1種であるセ
ラミクスの中には陰陽両分極に対して安定で、ある程度
の導電性を与えるものが存在する。しかしこの導電性は
金属と比較すると相当小さく、しかも工業用に使用され
るこの種の電極にあっては多結晶質の焼結体にならざる
を得ないため、より大きな抵抗を有することになり不適
当であった。
【0007】
【発明の目的】本発明は、従来の電極基体特にDSE等
の基体に関する前述の問題点を解消し、高電流密度下で
の十分な耐久性と化学的な安定性を有し、かつ正負反転
を伴う電解等における陰分極下での使用及び腐食性物質
を含む電解液中での使用に対して安定で長期間使用でき
る電解用電極基体及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明は、導電性金属
基材、及び該基材表面に形成された、白金族金属と、チ
タン、タンタル及びニオブの少なくとも1種の金属と酸
素を含む非化学量論的組成の部分酸化物の厚さ10から20
0 μmの被覆層を含んで成ることを特徴とする電解用電
極基体である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明の特
徴は、導電性金属基材上に、白金族金属を含む非化学量
論的組成の部分酸化物から成る被覆層を形成し、該酸化
物が本来的に有する導電性及び耐食性を活かすととも
に、前記白金族金属の有する正負反転電解に対する耐性
と比較的大きい導電性も利用し、従来技術では実現でき
なかった高電流密度下での十分な耐久性と化学的な安定
性を有し、かつ正負反転を伴う電解等における陰分極下
での使用及び腐食性物質を含む電解液中での使用に対し
て安定で長期間使用できる電解用電極基体を提供する点
にある。
【0010】本発明で使用する導電性金属基材は、電極
としての使用時に表面に形成される被覆層により隔離さ
れるため導電性であれば通常は特に制約されないが、時
としてピンホールの存在の可能性もあり例えば強酸中で
陽極として使用される場合は比較的耐食性の高いチタン
等で代表される弁金属を使用することが望ましく、特に
加工性が良好で、比較的価格の安いチタンやチタン合金
の使用が望ましい。勿論他の電解ではニッケル等の鉄族
金属やステンレス又は商品名ハステロイ等の耐食合金も
目的に応じて使用できることはいうまでもない。
【0011】本発明では、この基材上に被覆層を形成す
るに先立って、該基材表面の粗面化を行うことが望まし
い。前記被覆層は表面層としては厚い10〜200 μmの厚
さを有するため該被覆層を保持しより強固な付着性を得
るためのアンカー効果及び前記基材と該被覆層との強い
化学結合を得るために前記粗面化を行う。代表的な粗面
化法として物理的方法と化学的方法とがある。この粗面
化は粗面化後の基材表面に不純物が残らないこと及び化
学的に不安定な加工層が残らないよう注意して行う。粗
面化の程度は特に限定されないが、JISRa =10〜20
μm、JISRmax =50〜200 μm程度が望ましい。
【0012】前述の粗面化の物理的方法としては、例え
ばブラストによる粗面化があり、アルミナ等のセラミク
スサンドにより基材表面を研磨して凹凸を形成する。こ
のブラスト法の場合には、最終的に生成する電極の基材
表面まで電解液が浸透する可能性を考慮してブラスト粉
として酸やアルカリに耐性のあるアルミナやシリカを使
用することが好ましい。アルミナ等を使用するとたとえ
粉末が基材表面に残留しても電極として異常溶出が起こ
ることがなく安定に使用することができる。勿論表面に
食い込んだこれらの粉末の残留を防止するために酸洗処
理等を行うことは更に望ましい。
【0013】又前述の化学的粗面化法は薬品で基材表面
に凹凸を形成して粗面化する方法である。例えばチタン
やチタン合金を基材とする場合には、85〜90℃程度の約
20%の塩酸水溶液中に予め洗浄した前記基材を浸漬し数
時間保持することにより粒界腐食を起こして粗面化が行
われる。又基材がチタンやステンレスの場合には40〜60
℃の程度の約10%のヨウ素酸水溶液に前記基材を浸漬す
ることにより、所謂ピッティングコロージョンを起こし
て表面が粗面化される。
【0014】この基材表面に直接白金族金属と部分酸化
物を含む被覆層を形成しても良いが、特に前記基材と前
記被覆層の構成金属が異なる場合には前記基材と前記被
覆層の密着性が不良になる恐れがあり、溶射を用いる場
合にはその恐れが更に大きくなる。この場合には両者間
に金属酸化物から成る結合層を形成することが望まし
い。その形成理由から該結合層は基材金属と被覆層形成
金属の両者の酸化物の混合物であることが好ましい。該
結合層は導電性でなければならず、構成金属塩の溶液を
前記基材上に塗布し300 〜600 ℃で熱分解を行った半導
性酸化物であることが望ましい。又予め非導電性酸化物
を形成し、その後その表面にプラズマ炎を当てることに
より部分的に酸化物の酸素を引き抜いて半導性酸化物に
することもできる。
【0015】次いで前記粗面化された基材表面又は結合
層表面に、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム等
の白金族金属と、前述のセラミクスと同様な性質を有す
る金属酸化物とを含む被覆層を形成する。該金属酸化物
は、チタン、タンタル及びニオブの少なくとも1種の金
属とそれらの酸化物を含む非化学量論的な部分酸化物か
ら成る。この被覆層は導電性を有し、実質的に前記導電
性基材又はその結合層を完全に被覆していることが必要
である。該被覆層中の部分酸化物は非化学量論的組成つ
まり組成式RO2-x (Rは金属成分を表し、0<x<1
である)で表されればその形成方法は特に限定されな
い。
【0016】この被覆層中のチタン、タンタル及びニオ
ブの少なくとも1種の酸化物はセラミクスそのものであ
り、電解液中に混入するフッ素成分や有機物を含有する
電解に対して安定である。しかし正負が反転する電解で
は金属基体よりは遙かに安定であるが、特に陰分極では
極めて小さい水素イオンの浸入を完全には防ぎきれず、
液体及び固体の両者を通って水素イオンが基材金属まで
達し該基材金属が陰分極時に破壊される可能性がある。
これを回避するために本発明では前記被覆層中に白金族
金属を添加することにより、真の意味での電流反転に耐
えることのできる電極を提供することを可能にする。
【0017】その真の理由は不明であるが、前記基材を
陽極として使用するときに生ずる酸素イオンの移動を阻
止しかつ陰極として使用するときには同様に生ずる水素
イオンの移動を阻止するためと考えられる。この白金族
金属は多量に存在する必要はなく、5g/m2 以下で十
分であるが、表面全体に均一に分散していることが好ま
しい。
【0018】この白金族金属と部分酸化物を含む被覆層
の形成はどのような方法により行ってもよいが、プラズ
マ溶射やアーク溶射等の溶射法によることが望ましい。
溶射により金属と金属酸化物を含む被覆層を金属基材上
に形成すると、該被覆層がアーク溶射やプラズマ溶射独
自の緻密で実質表面積が大きい層となり、電解での使用
時に実質的な電流密度を下げることができ、更に金属に
よる良好な導電性及び溶射被覆層と基材金属との強固な
付着性を確保でき、かつ多量に存在する金属に起因する
部分酸化物の酸素不足による導電性酸化物形成により生
ずる良好な耐性を有する電解用電極基体が得られ、更に
チタン等の有する通常の電解条件における耐酸化性のた
め不働態化の進行が抑制され、長期間の使用が可能にな
る。
【0019】使用する溶射粒子の粒度は目的に応じて選
択すればよいが、勿論電極基体である以上、実質表面積
が大きい方が望ましい。電極基体としての表面粗度はほ
ぼJISRmax ≧100 μm、JISRa ≧10μmである
ことが望ましく、この表面粗度を達成するためには、粒
径が20〜100 μmの溶射粒子を使用することが好ましい
が線材を溶射することも可能である。粒径が20μm未満
であると緻密な被覆層が形成できるが、表面粗度が小さ
くなり溶射時の酸化が進行しすぎる可能性がある。一方
100 μmを越えると、緻密で貫通孔のない溶射層の形成
が困難になる。又溶射材料を金属のみとする場合は、ア
ーク溶射法により金属ワイヤを原料として溶射層を形成
することができる。この場合は、プラズマ溶射より緻密
性が5〜10%程度劣るが、その分表面の凹凸が大きくな
るという特徴があるので、用途に応じて選択できる。な
お溶射に使用する酸化チタン、酸化タンタル及び酸化ニ
オブとしては、それぞれ精製したルチル鉱、タンタライ
ト鉱及びコロンバイト鉱をそのまま用いることができ
る。
【0020】形成される被覆層の厚さは10〜200 μmが
適当であり、10μm未満であると貫通孔が残る恐れが大
きく、又200 μmを越えると被覆層が重くなり過ぎて剥
離しやすくなり、かつ該被覆層の導電率は10-2〜10-3Ω
cmであり高電流密度下ではオーム損が大となり局部的
な発熱により電極寿命を短縮させる傾向が強い。
【0021】溶射法により前記被覆層中に白金族金属を
含有させるためには、予め金属チタンや酸化チタン等の
溶射用粒子の表面に白金族金属化合物の薄層を担持させ
ておけば良い。つまり溶射する金属及び/又は酸化物粒
子の表面を塩酸等の揮発性の酸で活性化した後、塩化白
金酸等の白金族金属の塩の水溶液やアルコール溶液に浸
漬する等して前記粒子表面に白金族金属塩を担持させ
る。この粒子を乾燥後400 〜800 ℃程度で熱処理して前
記化合物を熱分解して白金族金属を前記粒子表面に析出
させ、次いでこの粒子を前記基材表面に溶射し、該基材
上に、白金族金属が分散した部分酸化物から成る被覆層
を形成することができる。溶射前の粒子表面上の白金族
金属化合物は溶射により熱が加わるため、溶射前に熱分
解して白金族金属に還元しておく必要はないが、予め熱
分解をして白金族金属を析出させておいた方が白金族金
属の歩留りは向上する。
【0022】なお溶射用粒子の全部に白金族金属を担持
させる必要はなく、白金族金属又はその化合物を担持さ
せた粒子と担持させない粒子の混合粒子を溶射して被覆
層を形成することもできる。又白金族金属を含まない被
覆層を溶射等により形成し、その後該被覆層表面に白金
族金属を蒸着によりあるいは熱分解法により担持させ均
一に分散させるようにして白金族金属と部分酸化物とを
含む被覆層を形成するようにしてもよい。
【0023】前述の非化学量論的な部分酸化物を形成す
るためには溶射法が最適である。通常のプラズマ溶射に
より溶射物を形成すると、溶射物自体は強い還元性雰囲
気にあり、該雰囲気では酸化物生成はないが、実際の被
覆形成時には冷却過程で金属が酸化物に変換されやすく
酸化物表面が形成されることがある。従来はこの酸化物
形成を防止するために窒素やアルゴン等の不活性ガスを
シールガスとして使用し酸化を抑制していた。しかし非
化学量論的な部分酸化物の形成を意図する本発明では、
むしろ積極的にこの酸化物を形成する現象を利用し、金
属粒子を溶射するのみで溶射金属の一部を金属酸化物に
変換して非化学量論な組成化を進め導電性酸化物を含む
被覆層の形成を意図する。溶射法による非化学量論的な
部分酸化物の形成法として他に次の2種類の方法つまり
酸化性シールガスの使用及び酸化物溶射粒子の使用によ
る酸化物生成方法がある。
【0024】粗面化した基材表面に通常の溶射条件に従
って、溶射金属粒子や線材をアルゴンとヘリウムの混合
ガスをプラズマガスとして溶射する。その際に周囲のシ
ールガスを酸化性ガスとすると溶射される金属の一部が
酸化されて溶射金属と金属酸化物とを含む部分酸化物で
ある混合被覆層が形成される。生成する酸化物量は条件
によって異なるが、例えば酸化性ガスを空気とし、溶射
金属であるチタンの粒径を30〜60μmとすると、溶射チ
タンの20〜30%が酸化チタンに変換され、70〜80%の溶
射チタンと30〜20%の酸化チタンとを含む部分酸化物で
ある混合被覆層が形成される。酸素の含有量を50%程度
に高めると酸化物量も50%程度まで上昇する。しかし金
属酸化物量を更に高めると絶縁酸化物が形成され導電性
が損なわれる恐れがあり、かつ爆発的に酸化が進行する
危険がある。
【0025】又溶射物として前述の金属粒子又は線材だ
けでなく、金属酸化物粉末又は線材を混合し、同様の溶
射条件で溶射すると、所定の割合で金属と金属酸化物を
含む部分酸化物である混合被覆層が形成される。なおチ
タン、タンタル及びニオブの全ての金属及び金属酸化物
を被覆層中に含ませることが望ましいことがある。その
場合にこの酸化物粉末を粒子粉末の一部として使用する
方法では各金属同士及び溶射金属と溶射酸化物との割合
を所定値に設定できるため非常に好都合であり、幅広い
用途に本発明を適用することが可能になる。
【0026】このような構成から成る本発明の電極基体
に、例えば酸化イリジウムを含む電極物質の被覆を形成
して電極とし、各種電解用、特に正負が反転する電解用
として使用すると、前記電極基体が従来の電極基体より
遙かに大きい耐性特に酸素イオン及び水素イオンの透過
を阻止する能力を有するため、不働態化を遅らせ、これ
により実質的な電極寿命が極めて長くなる。
【0027】
【実施例】次に本発明による電極基体の製造の実施例を
記載するが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0028】
【実施例1】精製した天然ルチル鉱とタンタライト鉱
を、チタンとタンタルが重量比で9:1となるように混
合しボールミルにより粉砕した。12時間粉砕後分級し、
粒度が20〜50μmであるものを選んだ。この混合粒子を
20%の沸騰塩酸中に分散し30分間保持した後、市水で洗
浄して鉄分を除去した。この操作により一部の粒子が20
μm未満となったのでこの粒子を湿式分級により除去し
た。
【0029】残った粒子を乾燥し、そのうちの30%を塩
化白金酸に浸漬しその後取り出して空気を断った炉中、
550 ℃で1時間焼成して前記粒子表面に金属白金を担持
した。白金担持量は2g/100 g−粒子であった。白金
を担持した30%分の粒子を白金を担持していない70%の
粒子と十分に混合し、プラズマ溶射用粉末とした。
【0030】一方縦100 mm、横100 mm、厚さ3mm
の市販のJIS第2種の純チタン板を基材として、その
表面を直径1.2 mmのアルミナ砂でサンドブラスト処理
して表面組織を破壊した後、その表面をアセトンで洗浄
脱脂した。プラズマガスとしてヘリウムを10%含むアル
ゴンガスを使用し、基材である前記チタン表面に前記プ
ラズマ溶射用粉末を溶射して、約100 μmの厚さの被覆
層を形成し、試料基体とした。白金担持量は計算上で3
g/m2 であった。生成した試料基体の表面粗度はR
max =200 μmであった。
【0031】この試料基体表面に、酸化イリジウム及び
酸化タンタルの2:1(モル比)混合物である電極物質
を熱分解法により被覆形成し試料電極とした。被覆量は
それぞれ7gイリジウム/m2 及び3gタンタル/m2
であった。pHを0.5 〜1に調整した250 g/リットル
の硫酸ナトリウムを含む硫酸水溶液中に前記試料電極を
2枚浸漬し、温度を60℃に維持し2分毎に正負反転しな
がら通電して電解を行った。電流密度は300 A/dm2
あり、1200時間経過後も電解を継続することができた。
【0032】
【比較例1】全ての粒子に白金を担持させなかったこと
以外は実施例1の操作と同様にして試料電極を作製し、
この試料電極を使用して実施例1と同じ電解条件で電解
を行ったところ、電解開始後700 時間で通電不能になっ
た。
【0033】
【実施例2】タンタライトの代わりにコロンバイト鉱を
使用して実施例1と同様の操作でチタン:ニオブ:タン
タル=16:3:1(モル比)から成る白金担持前の粉末
を作製した。この粉末を実施例1と同様にして酸洗し除
鉄した後、チタン量に対して10%の粒径調整したスポン
ジチタンを加え十分混合した。この粒子を塩化白金酸の
イソプロピルアルコール溶液に浸漬し、その後100 ℃の
空気中で乾燥して溶射用粉末とした。白金担持量は5g
/kg−粒子であった。
【0034】一方実施例1と同じ純チタン板を実施例1
と同様にサンドブラスト処理した後、20%の沸騰塩酸中
で処理して表面を活性化し基材とした。この基材表面
に、チタン:タンタル=9:1(モル比)となるように
四塩化チタンと五塩化タンタルの5%塩酸水溶液を塗布
し、流通空気中540 ℃で15分間焼き付け、これを4回繰
り返してルチル型酸化物から成る結合層を形成した。
【0035】この結合層表面に前記溶射用粉末を、実施
例1と同じ条件でプラズマ溶射して約100 μm厚の被覆
層を形成し、試料基体とした。白金担持量は歩留り計算
上から約3g/m2 であり、生成した試料基体の表面粗
度はRmax =約220 μmであった。この試料基体上に実
施例1と同じ電極物質を実施例1と同じ操作で被覆した
後、実施例1と同じ電解条件で電解を行ったところ、開
始後1200時間を経過しても電解の継続が可能であった。
【0036】
【実施例3】全ての粒子に白金を担持させていない溶射
用粉末を実施例1の操作に従って作製し、かつ該溶射用
粉末を実施例1と同じ基材上にプラズマ溶射して白金を
含まない被覆層を形成した。この被覆層表面に物理蒸着
法により白金を白金担持量が3g/m2 となるように付
着させ、かつ600 ℃で3時間保持して十分に拡散させ
た。その表面に実施例1と同じ操作で電極物質を被覆し
て試料電極とした。この試料電極を使用して実施例1と
同じ条件で正負反転電解を行ったところ1300時間の電極
寿命を得ることができた。
【0037】
【発明の効果】本発明は、導電性金属基材、及び該基材
表面に形成された、白金族金属と、チタン、タンタル及
びニオブの少なくとも1種の金属と酸素を含む非化学量
論的組成の部分酸化物の厚さ10から200 μmの被覆層を
含んで成ることを特徴とする電解用電極基体である。
【0038】本発明に係わる電極基体は、被覆層中の部
分酸化物のみでも高電流に対する耐性やフッ素成分等に
対する耐性を有するが、正負反転電解時の耐性は十分と
は言えない。しかし該部分酸化物とともに存在する白金
族金属がこの正負反転電解に対する耐性を有し、前記被
覆層は高電流に対する耐性やフッ素成分等に対する耐性
とともに、正負反転電解時の耐性も有することになり、
この被覆層により電極基材がほぼ完全に保護され、実質
的な電極寿命が極めて長くなる。
【0039】又前記金属基材と被覆層との間の密着性が
不十分になりやすい場合には、両者間つまり基材表面に
好ましくは前記基材及び被覆層を構成する金属を含む金
属酸化物から成る結合層を形成して密着性を向上させる
ことができる。
【0040】前記基材上に、このような白金族金属と部
分酸化物とを含む被覆層を形成して本発明に係わる電解
用電極基体を製造するためには、部分酸化物のみを含む
層を前記基材上に形成しその後、この層に蒸着や熱分解
法により白金族金属を添加して被覆層とするか、あるい
は溶射法の場合のように白金族金属を担持させた金属や
金属酸化物を予め作製しこれを前記基材上に被覆して被
覆層とすることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性金属基材、及び該基材表面に形成
    された、白金族金属と、チタン、タンタル及びニオブの
    少なくとも1種の金属と酸素を含む非化学量論的組成の
    部分酸化物の厚さ10から200 μmの被覆層を含んで成る
    ことを特徴とする電解用電極基体。
  2. 【請求項2】 導電性金属基材、該基材表面に形成され
    た金属酸化物から成る結合層、及び該結合層表面に形成
    された、白金族金属と、チタン、タンタル及びニオブの
    少なくとも1種の金属と酸素を含む非化学量論的組成の
    部分酸化物の厚さ10から200 μmの被覆層を含んで成る
    ことを特徴とする電解用電極基体。
  3. 【請求項3】 導電性金属基材上に、チタン、タンタル
    及びニオブの少なくとも1種の金属と酸素を含む非化学
    量論的組成の部分酸化物の厚さ10から200 μmの被覆層
    を形成し、次いで該被覆層表面に白金族金属化合物を含
    む塗布液を塗布し、該白金族金属化合物を熱分解して前
    記被覆層中に白金族金属を分散させることを特徴とする
    電解用電極基体の製造方法。
  4. 【請求項4】 導電性金属基材上に、チタン、タンタル
    及びニオブの少なくとも1種の金属と酸素を含む非化学
    量論的組成の部分酸化物の厚さ10から200 μmの被覆層
    を形成し、次いで該被覆層表面に白金族金属を蒸着し、
    該白金族金属を前記被覆層中に分散させることを特徴と
    する電解用電極基体の製造方法。
  5. 【請求項5】 導電性金属基材上に、少なくともその一
    部に白金族金属又はその化合物を担持させたチタン、タ
    ンタル及びニオブの少なくとも1種の金属及び/又は金
    属酸化物の粒子を溶射し、白金族金属と、チタン、タン
    タル及びニオブの少なくとも1種の金属と酸素を含む非
    化学量論的組成の部分酸化物の厚さ10から200 μmの被
    覆層を形成することを特徴とする電解用電極基体の製造
    方法。
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