JP3259870B2 - 電解用電極基体及びその製造方法 - Google Patents

電解用電極基体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性を有する電解用
電極基体及びその製造方法に関し、より詳細には高電流
密度で使用され主として酸素発生反応に対する耐久性、
フッ素に対する耐性及び電流逆転に対する耐性を有する
電解用電極基体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】工業電解特に無機酸を主体と
する電解は金属の電解製錬、電気めっき、有機物及び無
機物の電解合成等極めて広い範囲で行われている。これ
らの電解用電極特に陽極として鉛又は鉛合金電極、白金
めっきチタン電極、カーボン電極等が提案されているが
いずれの電極も欠点があり、幅広い用途の電解には使用
されていない。例えば鉛電極は表面に比較的安定で良導
電性である二酸化鉛が形成されるが、この二酸化鉛も通
常の電解条件で数mg/AHの溶解があり、しかも過電
圧が大きいという欠点がある。又白金めっきチタン電極
は高価なわりに寿命が短く、更にカーボン電極は陽極反
応が酸素発生反応であると該カーボン電極が発生酸素と
反応して二酸化炭素として自身を消耗させかつ導電性が
悪いという欠点がある。これらの各電極の欠点を解消す
るために寸法安定性電極(DSE)が提案され幅広く使
用されている。
【0003】このDSEはチタンに代表される弁金属を
基体とし陽極として使用される限りは、表面が不働態化
し、化学的に極めて安定な長寿命電極として機能する。
しかし該DSEも陰極として使用され陰分極を受ける
と、発生する水素と反応して水素化物となり基体自体が
脆弱化したり腐食により表面の被覆が剥離したりして電
極寿命を著しく縮めることになり、特に正負が反転する
つまり電流方向が反転する電解にDSEを使用する際の
大きな欠点となっている。更にフッ素やフッ化物等ある
種のハロゲンイオンが存在し又はアルコールやアルデヒ
ド類などの有機物が存在する液中で電解を行うと、それ
らの量が微量でも基体の異常腐食が起こったり活性溶解
を起こして表面に形成された電極物質を剥離させ、短期
間で通電不能になるという問題があった。
【0004】又10〜20KA/m2 という極めて大きな電
流密度で使用すると電極物質と基体間の界面が不働態化
してしまい、最終的に通電不能になるという問題点があ
り、この問題点を解決するために本発明者らは基体表面
に酸素障壁層として、白金の薄層を設けたり、予め基体
表面を半導性の酸化物になるように改質してたとえ不働
態化しても通電が可能になる構造としたり、酸化スズの
ような酸化状態で極めて安定であると共に導電性を失わ
ない中間層を有したりする電極を提案した。
【0005】これらの電極は極めて有効であり、中間層
又は基体を改質しない電極と比較して2〜10倍又はそれ
以上の電極寿命を有することが確認されている。しかし
ながらこのような大電流密度下では改質層や中間層を有
していてもそれらを通して基体側に不働態層を数μmの
厚さで形成し電極物質が活性を維持しているにもかかわ
らず、通電不能に陥る場合がしばしば認められ、より長
寿命で電極物質をより有効に使用するためのより効果的
な表面改質法や中間層形成法が要請されていた。又電解
条件によっては、必然的に逆電流が生ずることがあり、
その場合は例えば酸化スズは瞬間的に還元されて脱離
し、改質層も比較的容易に電極物質を脱落させるという
問題点を有していた。
【0006】更にこれらの中間層や改質層は、前述の有
機物やある種の腐食性のハロゲン化物に対して耐性を有
するものの決して十分でなく、前記中間層や改質層が薄
いため、基体自体の耐食性に頼ってしまうという問題点
があった。前述の従来技術の欠点、特に中間層の不働態
化を防止するためにタンタルの線材を溶射して中間層を
形成する方法が提案されている(特開平5−156480
号)。このタンタル溶射では金属タンタルと酸化タンタ
ルの混合した部分酸化物からなる中間層が形成されると
報告されている。しかしタンタルは酸化されやすくつま
り他の金属より不働態化が進行しやすく、特に過酷な条
件下での使用では長寿命を期待できず、更に高価である
ため用途が限定されてしまうという欠点を有しており、
更に有効で比較的安価に製造できる電解用電極基体が要
請されている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、従来の電極基体特にDSE等
の基体に関する前述の問題点を解消し、高電流密度下で
の十分な耐久性と化学的な安定性を有し、かつ正負反転
を伴う電解等における陰分極下での使用及び腐食性物質
を含む電解液中での使用に対して安定で長期間使用でき
る電解用電極基体及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明は、導電性金属
基材、及び該基材表面に形成された該基材金属を含む部
分酸化物から成る結合層、及び結合層表面に溶射により
形成される弁金属酸化物の被覆層を含んで成る電解用電
極基体及びその製造方法である。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明の特
徴は、導電性金属基材上に、該基材構成金属を含む金属
の部分酸化物から成る結合層を形成し、該結合層上に弁
金属酸化物の被覆層を形成して電解用電極基体を構成す
ることにより、従来技術では実現できなかった高電流密
度下での十分な耐久性と化学的な安定性を有し、かつ正
負反転を伴う電解等における陰分極下での使用及び腐食
性物質を含む電解液中での使用に対して安定で長期間使
用できる電解用電極基体及びその製造方法を提供する点
にある。
【0010】本発明で使用する導電性金属基材は、電極
としての使用時に表面に形成される結合層や被覆層によ
り隔離されるため導電性であれば通常は特に制約されな
いが、前記結合層や被覆層の厚さが一般に10〜200 μm
程度であることを考慮すると時としてピンホールの存在
の可能性もあり例えば強酸中で陽極として使用される場
合は比較的耐食性の高いチタン等の弁金属やその合金を
使用することが望ましく、特に加工性が良好で、比較的
価格の安いチタンやチタン合金の使用が望ましい。勿論
他の電解ではニッケル等の鉄族金属やステンレス又は商
品名ハステロイ等の耐食合金も目的に応じて使用できる
ことはいうまでもない。
【0011】本発明では、この基材上に結合層や被覆層
を形成するに先立って、該基材表面の粗面化を行うこと
が望ましい。前記結合層が中間層としては厚い10〜200
μmの厚さを有するためこれらを保持しより強固な付着
性を得るためのアンカー効果及び前記基材と該結合層等
との強い化学結合を得るために前記粗面化を行う。代表
的な粗面化法として物理的方法と化学的方法とがある。
この粗面化は粗面化後の基材表面に不純物が残らないこ
と及び化学的に不安定な加工層が残らないよう注意して
行う。粗面化の程度は特に限定されないが、JISRa
=10〜20μm、JISRmax =50〜200 μm程度が望ま
しい。
【0012】前述の粗面化の物理的方法としては、例え
ばブラストによる粗面化があり、アルミナ等のセラミク
スサンドにより基材表面を研磨して凹凸を形成する。こ
のブラスト法の場合には、最終的に生成する電極の基材
表面まで電解液が浸透する可能性を考慮してブラスト粉
として酸やアルカリに耐性のあるアルミナやシリカを使
用することが好ましい。アルミナ等を使用するとたとえ
粉末が基材表面に残留しても電極として異常溶出が起こ
ることがなく安定に使用することができる。勿論表面に
食い込んだこれらの粉末の残留を防止するために酸洗処
理等を行うことは更に望ましい。
【0013】又前述の化学的粗面化法は薬品で基材表面
に凹凸を形成して粗面化する方法である。例えばチタン
やチタン合金を基材とする場合には、85〜90℃程度の約
20%の塩酸水溶液中に予め洗浄した前記基材を浸漬し数
時間保持することにより粒界腐食を起こして粗面化が行
われる。又基材がチタンやステンレスの場合には40〜60
℃程度の約10%のヨウ素酸水溶液に前記基材を浸漬する
ことにより、所謂ピッティングコロージョンを起こして
表面が粗面化される。
【0014】この基材表面に直接弁金属酸化物から成る
被覆層を形成すると、特に前記基材と前記被覆層の構成
金属が異なる場合には前記基材と前記被覆層の密着性が
低下して剥離する恐れがあり、溶射を用いる場合にはそ
の恐れが更に大きくなる。従って本発明では両者間つま
り前記基材表面に少なくとも該基材構成金属の酸化物を
含む結合層を形成する。
【0015】前記基材がチタン等の弁金属である場合に
は同様の弁金属の溶射粒子を使用して該弁金属を主とす
る部分酸化物から成る結合層を形成し、前記基材がステ
ンレスの場合には例えば10〜30%のステンレスと残部の
チタンから成る溶射粒子を基材表面に溶射して酸化され
たステンレスと酸化チタンの混合溶射層(結合層)を形
成することができる。該結合層は導電性でなければなら
ず実質的に前記導電性基材又はその結合層を完全に被覆
していることが必要である。導電性を付与するために前
述の通り該結合層は前記酸化物を含む非化学量論的な部
分酸化物とする。該部分酸化物は組成式RO2-x (Rは
金属成分を表し、0<x<1である)で表され、溶射法
により形成される。これにより基材表面と結合層間に化
学結合を生じさせることができる。
【0016】通常のプラズマ溶射により溶射物を形成す
ると、溶射物自体は強い還元性雰囲気にあり、該雰囲気
では酸化物生成はないが、実際の被覆形成時には冷却過
程で金属が酸化物に変換されやすく酸化物表面が形成さ
れることがある。従来はこの酸化物形成を防止するため
に窒素やアルゴン等の不活性ガスをシールガスとして使
用し酸化を抑制していた。しかし非化学量論的な部分酸
化物の形成を意図する本発明では、むしろ積極的にこの
酸化物を形成する現象を利用し、金属粒子を溶射するの
みで溶射金属の一部を金属酸化物に変換して非化学量論
な組成化を進め導電性酸化物を含む結合層の形成を意図
する。溶射法による非化学量論的な部分酸化物の形成法
として他に次の2種類の方法つまり酸化性シールガスの
使用及び酸化物溶射粒子の使用による酸化物生成方法が
ある。
【0017】粗面化した基材表面に通常の溶射条件に従
って、溶射金属粒子や線材をアルゴンとヘリウムの混合
ガスをプラズマガスとして溶射する。その際に周囲のシ
ールガスを酸化性ガスとすると溶射される金属の一部が
酸化されて溶射金属と金属酸化物とを含む部分酸化物で
ある混合結合層が形成される。生成する酸化物量は条件
によって異なるが、例えば酸化性ガスを空気とし、溶射
金属であるチタンの粒径を30〜60μmとすると、溶射チ
タンの20〜30%が酸化チタンに変換され、70〜80%の溶
射チタンと30〜20%の酸化チタンとを含む部分酸化物で
ある混合結合層が形成される。酸素の含有量を50%程度
に高めると酸化物量も50%程度まで上昇する。しかし金
属酸化物量を更に高めると絶縁酸化物が形成され導電性
が損なわれる恐れがあり、かつ爆発的に酸化が進行する
危険がある。
【0018】又溶射物として前述の金属粒子又は線材だ
けでなく、金属酸化物粉末又は線材を混合し、同様の溶
射条件で溶射すると、所定の割合で金属と金属酸化物を
含む部分酸化物である混合被覆層が形成される。なおチ
タン、タンタル及びニオブ等の各種の金属及び金属酸化
物を結合層中に含ませることが望ましいことがある。そ
の場合にこの酸化物粉末を粒子粉末の一部として使用す
る方法では各金属同士及び溶射金属と溶射酸化物との割
合を所定値に設定できるため非常に好都合であり、幅広
い用途に本発明を適用することが可能になる。
【0019】使用する溶射粒子の粒度は目的に応じて選
択すればよいが、勿論電極基体である以上、実質表面積
が大きい方が望ましい。電極基体としての表面粗度はほ
ぼJISRmax ≧100 μm、JISRa ≧10μmである
ことが望ましく、この表面粗度を達成するためには、粒
径が20〜100 μmの溶射粒子を使用することが好ましい
が線材を溶射することも可能である。粒径が20μm未満
であると緻密な結合層が形成できるが、表面粗度が小さ
くなり溶射時の酸化が進行しすぎる可能性がある。一方
100 μmを越えると、緻密で貫通孔のない結合層の形成
が困難になる。又溶射材料を金属のみとする場合は、ア
ーク溶射法により金属ワイヤを原料として結合層を形成
することができる。この場合は、プラズマ溶射より緻密
性が5〜10%程度劣るが、その分表面の凹凸が大きくな
るという特徴があるので、用途に応じて選択できる。な
お溶射に酸化物を使用する場合には酸化チタン、酸化タ
ンタル及び酸化ニオブとして、それぞれ精製したルチル
鉱、タンタライト鉱及びコロンバイト鉱をそのまま用い
ることができる。
【0020】形成される結合層の厚さは10〜200 μmが
適当であり、10μm未満であると貫通孔が残る恐れが大
きく、又200 μmを越えると結合層が重くなり過ぎて剥
離しやすくなり、かつ該結合層の導電率は10-2〜10-3Ω
cmであり高電流密度下ではオーム損が大となり局部的
な発熱により電極寿命を短縮させる傾向が強い。
【0021】次いで溶射により形成された結合層表面
に、弁金属酸化物の被覆層を溶射により形成する。この
被覆層は実質的に酸化物でなければならず、所定の弁金
属酸化物の溶射粒子を作製し、該溶射粒子を通常の溶射
条件に従って溶射する。前述の通り溶射時は還元性雰囲
気になり酸化物が部分還元され不安定な酸化物となるこ
とが考えられるため、シールガスとして酸化性ガスを使
用することができる。このようにして形成された酸化物
はセラミクスそのものであり、電解液中に混入するフッ
素成分や有機物を含有する電解に対して安定である。
【0022】このような構成から成る本発明の電極基体
に、例えば酸化イリジウムを含む電極物質の被覆を形成
して電極とし、各種電解用、特に正負が反転する電解用
として使用すると、前記電極基体が従来の電極基体より
遙かに大きい耐性特に酸素イオン及び水素イオンの透過
を阻止する能力を有するため、不働態化を遅らせ、これ
により実質的な電極寿命が極めて長くなる。
【0023】
【実施例】次に本発明による電極基体の製造の実施例を
記載するが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0024】
【実施例1】縦100 mm、横100 mm、厚さ3mmの市
販のJIS第1種チタン板を基材として使用し、その表
面を平均粒径1.2 mmのアルミナサンドを使用してブラ
スト掛けを行った。この基材を超音波洗浄器中でアセト
ンで洗浄し脱脂とともに表面に付着しているアルミナサ
ンドを除去した。この基材の表面粗度はRmax =約150
μm、JISRa =15μmであった。
【0025】この基材表面に、プラズマガスとしてヘリ
ウム30%−アルゴン70%の混合ガスを使用しシールガス
として空気を流しながら、粒度範囲30〜60μmのチタン
金属粒子をプラズマ溶射した。1回の走査で30〜40μm
の表面が淡青色の結合層が得られた。X線回折で観察し
たところ、チタン金属の他にルチル型酸化物並びに同定
不能の回折線が見られた。この回折結果から前記結合層
はチタン金属を主とし空気による酸化により部分酸化物
が生じた層であると考えられ、同定不能の回折線はチタ
ンの低次酸化物と推測される。
【0026】更にこの表面に、天然ルチル:チタン金属
=90:10とした粒径30〜60μmの粒子を5%の水素を混
合したアルゴンガスをプラズマガスとしてプラズマ溶射
して被覆層を成形した。2回の走査で平均100 μmの厚
さの被覆層が得られた。このようにして得られた試料の
表面粗度はRmax =200 μm、JISRa =20μmであ
った。
【0026】この試料の表面に銀ペーストを塗布し、こ
れを電極として該電極とチタン板間の抵抗損を測定した
ところ、投影電流密度1A/cm2 にて5mVであり、
酸化物溶射層の厚さを100 μmとすると、抵抗は5×10
-3Ωcm程度であり実用上差し支えない範囲であった。
この試料の電解的なショックに対する耐性を確認するた
めに、40℃の飽和硫酸ナトリウム水溶液(pHは6〜
9)中に浸漬し、300 A/dm2 の負電流を1分間通電
し次いで1分間停止する操作を繰り返したが、50時間経
過後も被覆の剥離は見られず電解が継続できた。
【0027】
【比較例1】中間の結合層を形成せず、つまり前処理を
行った基材表面に直接天然ルチルとチタン金属を溶射し
たこと以外は実施例1と同一操作で試料を作製した。こ
の試料の抵抗損を測定したところ実施例1と同じ5×10
-3Ωcmであった。又実施例1と同じように電解的ショ
ックに関する実験を行ったところ、開始後34時間で被覆
の剥離が生じた。
【0028】
【実施例2】実施例1と同じチタン板をアセトンで脱脂
した後、90℃の20%塩酸中で1時間酸洗した。これによ
り粒界腐食が起こりその表面のRmax が140 μm、JI
SRa が12μmとなった。このチタン板を基材とし、粒
度範囲30〜50μmのチタンスポンジをアルゴン:酸素=
1:1(モル比)のシールガスを使用して実施例1と同
様にしてプラズマ溶射して結合層を形成した。該プラズ
マ溶射により、チタン金属約50%とマグネリ相酸化チタ
ン(回折図としてはルチルとほぼ同じ)50%から成る厚
さ約50μmの層が得られた。
【0029】この表面に、チタン:タンタル=9:1
(モル比)となるように精製した天然ルチル鉱とタンタ
ライト鉱の粉砕混合物を、5%の水素を混合したアルゴ
ンガスをプラズマガスとしてプラズマ溶射した。更にこ
の層の表面に、熱分解法により酸化イリジウムと酸化タ
ンタルから成る電極物質の被覆層を形成して試料電極と
した。この試料電極を、20ppmのフッ素イオンを含む
15%硫酸中での電流密度が160 A/dm2 である電解用
として使用したところ、1000時間の電解後も電解が継続
できた。
【0030】
【比較例2】チタンとタンタルから成る中間の結合層を
形成しなかったこと以外は実施例2と同様にして試料電
極を作製した。この試料電極を使用して実施例2と同一
条件で電解を行ったところ、110 時間経過後に被覆が剥
離し通電不能となった。
【0031】
【発明の効果】本発明は、導電性金属基材、及び該基材
表面に形成された該基材金属を含む部分酸化物から成る
結合層、及び結合層表面に溶射により形成される弁金属
酸化物の被覆層を含んで成る電解用電極基体である。
【0032】本発明に係わる電極基体は、結合層として
耐フッ素性及び正負反転に対する耐性等を有する部分酸
化物の比較的厚い層を導電性基材上に安定に保持し、か
つ該結合層が表面被覆層に対し導電性金属基材への強い
密着性を与えているため、前記電極基体は長期間運転し
ても被覆層が剥離せず、電極寿命を長くすることができ
る。
【0033】更に結合層が優秀な各種耐性を有するた
め、本発明の電極基体は電極としてフッ素イオンを有し
あるいは正負反転を伴う過酷な電解条件でも安定した操
業を継続することができる。又本発明に係わる電解用電
極基体の製造方法によると、溶射法により本発明の目的
に合致した結合層と被覆層を形成し、上述の卓越した性
能を有する電解用電極基体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−54182(JP,A) 特開 平6−33287(JP,A) 特開 平5−148675(JP,A) 特開 平4−301062(JP,A) 特開 平7−62585(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性金属基材、及び該基材表面に形成
    された該基材金属を含む部分酸化物から成る結合層、及
    び結合層表面に溶射により形成される弁金属酸化物の被
    覆層を含んで成ることを特徴とする電解用電極基体。
  2. 【請求項2】 導電性金属基材上に、該基材を構成する
    金属を含む溶射粒子を酸化性雰囲気下で溶射して部分酸
    化物から成る結合層を形成し、該結合層表面に弁金属酸
    化物を溶射して該弁金属酸化物の被覆層を形成すること
    を特徴とする電解用電極基体の製造方法。
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