JPH0761210B2 - 水田作業機の傾き検出構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は田植機に代表される水田作業機において、機体
を田面に対して平行に保つローリング制御用の傾き検出
構造に関する。

〔従来の技術〕

水田作業機においては機体を田面に対して平行に保つロ
ーリング制御の研究が行われており、田面に対する機体
の左右の傾きを検出する傾き検出機構として次のような
ものがある。

独立に上下動自在な一対の接地センサーを機体の左右に
配置し、機体左右方向に一対のクランク軸を回転自在に
支持して、両クランク軸から延出されたクランクアーム
の各々をロッド等を介して接地センサーに連結する。こ
れにより、機体が田面に対し傾いて左右の接地センサー
が上下動するのを、一対のクランク軸の回転角度の差と
して検出し、田面に対する機体の左右の傾きを検出する
構造である。

〔発明が解決しようとする課題〕

前述の接地センサーは傾き検出の精度を上げるために機
体の左右両端付近に設けられることが多く、クランク軸
のクランクアームも機体の左右両端付近に配置されるこ
とになる。これにより、接地センサーの上下動作を回転
動作に変換してクランク軸に伝達するクランクアーム
が、外部の干渉物に接触して破損するおそれがあった。

本発明は前述のような水田作業機の傾き検出構造におい
て、接地センサーの上下動作を回転動作に変換してクラ
ンク軸に伝達するクランクアームの破損を、簡素な構造
によって防止できるように構成することを目的としてい
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴は以上のような水田作業機の傾き検出構造
において、次のように構成することにある。

独立に上下動自在な一対の接地センサーを機体左右に配
置し、機体固定部に連結固定された支持ブラケットを介
して、一対のクランク軸を機体左右方向に回転自在に支
持し、 支持ブラケットより機体内方側のクランク軸部位よりク
ランクアームを延出し、このクランクアームと接地セン
サーとを連結して、左右の接地センサーの上下動作を回
転動作に変換してクランク軸に伝達するように構成する
と共に、 一対のクランク軸の回転角度の差により、田面に対する
機体の左右の傾きを検出する傾き検出機構を備えてあ
る。

〔作用〕

本発明のように構成すると例えば第１図に示すように、
クランク軸(7)，(8)から延出されるクランクアーム(7
a)，(8a)は、クランク軸(7)，(8)用の既存の部材である
支持ブラケット(15)の機体内方側に位置することにな
り、この支持ブラケット(15)によりクランクアーム(7
a)，(8a)が外側から保護される。

〔発明の効果〕

以上のように、左右一対の接地センサー及びクランク軸
を備えた水田作業機の傾き検出構造において、クランク
軸用の既存の部材である支持ブラケットに若干の改造を
施すだけで、クランクアームが外部の干渉物に接触して
破損するおそれを少なくすることができ、傾き検出機構
の信頼性を向上させることができた。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を水田作業機の一例である乗用型
田植機により図面に基づいて説明する。

第４図に示すように、植付ミッション(1)（機体固定部
に相当）の後部で回転駆動される植付爪(2)、植付ミッ
ション(1)の上部のガイドレール(3)上でスライド駆動さ
れる苗のせ台(4)等により苗植付装置が構成されてお
り、苗植付装置が四連リンク機構(5)を介して走行機体
（図外）に昇降自在に連結され、四連リンク機構(5)の
前後軸芯（P₁）周りにローリング自在に支持されてい
る。前後軸芯（P₁）よりも上方の四連リンク機構(5)の
部分と苗のせ台(4)の背面の支持部材(14)に亘って、複
動型の油圧シリンダ(12)が架設されており、油圧シリン
ダ(12)を伸縮操作することによって、苗植付装置の全体
が前後軸芯（P₁）周りにローリング操作される。

次に、田面に対する苗植付装置の左右の傾きを検出する
構造について説明する。第１図及び第４図に示すよう
に、苗植付装置の左右部位の横軸芯（P₂）周りに、独立
に上下揺動自在な接地センサー(6a)，(6b)が取り付けら
れている。接地センサー(6a)，(6b)の上方に位置する植
付ミッション(1)に、支持ブラケット(15)が連結固定さ
れ前方に延出されており、支持ブラケット(15)の軸芯
（P₃）周りに回転自在に、一対のクランク軸(7)，(8)が
一直線状に対向配置されている。クランク軸(7)，(8)の
両外方端側において、支持ブラケット(15)より機体内方
側のクランク軸(7)，(8)部位より機体後方に、第１クラ
ンクアーム(7a)，(8a)（クランクアームに相当）が延出
され、第１クランクアーム(7a)，(8a)と接地センサー(6
a)，(6b)の前部とがロッド(16)を介して連結されてい
る。

両クランク軸(7)，(8)の両対向側に突出方向が180°異
なる第２クランクアーム(7b)，(8b)（傾き検出機構に相
当）が設けられ、第２クランクアーム(7b)，(8b)の両端
部に亘ってアーム(9)（傾き検出機構に相当）が架設さ
れており、アーム(9)の中心点と油圧シリンダ(12)に対
する制御弁(10)とが連係ロッド(11)を介して連結されて
いる。

苗植付装置が田面に対して左右に傾き、左右の接地セン
サー(6a)，(6b)が上下動した際のアーム(9)の動作は次
のとおりである。第１図及び第２図に示すように、苗植
付装置が進行方向に向って右側に傾いて右側の接地セン
サー(6b)が上方に揺動すると、この上下動作がロッド(1
6)及び第１クランクアーム(8a)を介し回転動作としてク
ランク軸(8)に伝達され、アーム(9)が第２クランクアー
ム(8b)により、他方の第２クランクアーム(7b)との連結
点周りに回転させられる。

このようにアーム(9)が回転するとアーム(9)の中心が、
クランク軸(7)，(8)の回転軸芯である軸芯（P₃）から上
方に変位して、この変位が苗植付装置の傾きとして検出
され制御弁(10)に伝達される。これにより、制御弁(10)
から油圧シリンダ(12)に対して作動油の給排操作が行わ
れて、苗植付装置が田面に対し平行となるようにローリ
ング操作が行われる。

苗植付装置の全体が下方に変位して左右の接地センサー
(6a)，(6b)が上方に揺動した場合は、第３図に示すよう
に両クランク軸(7)，(8)が同方向に回転することにな
る。この場合、第２クランクアーム(7b)，(8b)の突出方
向が正反対の方向に向いているので、アーム(9)は軸芯
（P₃）周りに回転することになり、アーム(9)の中心は
軸芯（P₃）から変位することはない。

又、苗植付装置の中央下部に設けられたフロート(13)は
昇降制御用であり、横軸芯（P₂）周りに上下揺動自在に
取り付けられている。これにより、フロート(13)の上下
動作を検出し四連リンク機構(5)によって、苗植付装置
の全体を昇降操作して田面より一定高さに保つのであ
る。

本発明の傾き検出構造は歩行型田植機や水田直播機にも
適用できる。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするた
めに符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る水田作業機の傾き検出構造の実施例
を示し、第１図は接地センサー及び傾き検出機構等の全
体斜視図、第２図は苗植付装置が進行方向に向って右側
に傾いた場合のアームの動きを示す側面図、第３図は苗
植付装置の全体が下方に変位した場合のアームの動きを
示す側面図、第４図は苗植付装置の全体側面図である。 (1)……機体固定部、(6a)，(6b)……接地センサー、
(7)，(8)……クランク軸、(7a)，(8a)……クランクアー
ム、(7b)，(8b)，(9)……傾き検出機構、(15)……支持
ブラケット。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】独立に上下動自在な一対の接地センサー(6
   a)，(6b)を機体左右に配置し、機体固定部(1)に連結固
   定された支持ブラケット(15)を介して、一対のクランク
   軸(7)，(8)を機体左右方向に回転自在に支持し、 前記支持ブラケット(15)より機体内方側のクランク軸
   (7)，(8)部位よりクランクアーム(7a)，(8a)を延出し、
   このクランクアーム(7a)，(8a)と接地センサー(6a)，(6
   b)とを連結して、前記左右の接地センサー(6a)，(6b)の
   上下動作を回転動作に変換して前記クランク軸(7)，(8)
   に伝達するように構成すると共に、 前記一対のクランク軸(7)，(8)の回転角度の差により、
   田面に対する機体の左右の傾きを検出する傾き検出機構
   (7b)，(8b)，(9)を備えてある水田作業機の傾き検出構
   造。