JPH076116B2 - 無杼織機の保全管理方法 - Google Patents

無杼織機の保全管理方法

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JPH076116B2
JPH076116B2 JP63030904A JP3090488A JPH076116B2 JP H076116 B2 JPH076116 B2 JP H076116B2 JP 63030904 A JP63030904 A JP 63030904A JP 3090488 A JP3090488 A JP 3090488A JP H076116 B2 JPH076116 B2 JP H076116B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、ウォータジェット・ルームやエアジェット・
ルームなどの無杼織機の効率的な保全管理方法に関する
ものである。
〔従来技術〕
従来、無杼織機のヨコ入れにおける保全管理方法として
は、停台が多発し始めてから不良個所を探して修理する
という方法や、停台の多発を未然に防ぐため、部品の良
し悪しにかかわらず、一定稼働時間が経過したら強制的
に部品を交換してしまうという方法などがとられてい
た。しかし、このような方法では、本来無杼織機が有す
る高い生産性を十分に生かすことができないばかりか、
多額の保全費用を必要とするという欠点があった。
そこで、ヨコ入れ状態を定量的に分析することにより、
停台多発寸前の状態や、どの部分が悪くなりかけている
かを知ることができないかという発想のもとに、ヨコ糸
供給側のグリッパとノズルとの間でヨコ糸張力を検知
し、その検知信号を電磁オッシロスコープに記録する方
法を用いて分析しようとする試みが提案されている(特
開昭60-52652号公報参照)。
しかし、この方法では、1ピック当たりのヨコ糸飛走状
態は容易に分析できるものの、複数ピックの統計的な分
析をするには、記録紙の各ポイントからデータを数百か
ら数千個読みだし、そのデータをコンピュータに入力し
て計算させる必要があり、多大な労力を要する。したが
って、保全の工数がかかり過ぎることになるため、保全
費用の削減を実現することは不可能であることは明白で
ある。結局は、ヨコ入れ状態を定量的に分析して停台の
多発を未然に防ぐようにする方法は、いまだ実現されて
いないのが現状である。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上述のような従来技術の問題を解消
し、停台多発原因となる不良個所を事前に、しかも速や
かに探し出し、停台の多発を防ぐことにより生産性を上
げ、また部品を寿命いっぱいまで使い切ることにより、
部品代,部品交換工数を削減して保全費用を低減するよ
うにする無杼織機の保全管理方法を提供することにあ
る。
〔発明の構成〕
上記目的を達成する本発明の保全管理方法は、ヨコ糸供
給側のグリッパとノズルの間に張力検出器を設け、この
張力検出器により前記ノズルから噴射した飛走中のヨコ
糸の張力を連続的に検出すると共に、該張力を織機1回
転当たりの全クランク角に対応する波形曲線に変換する
に当たり、該波形曲線として少なくともヨコ入れ用機器
のヨコ入れタイミング条件,ポンプ条件及びノズル条件
の異常時に形成する異常波形曲線をそれぞれ予め求めて
おき、織機調整完了直後の稼動時に取り出した正常な波
形曲線と一定の稼動時間経過後に取り出した診断対象の
波形曲線とを重ねて比較することにより前記異常波形曲
線を見出し、この異常波形曲線をもたらした前記ヨコ入
れ用機器の各条件の異常診断をすることを特徴とするも
のである。
本発明は上述のようにノズルから噴射されたヨコ糸の張
力をグリッパとノズルの間で連続的に検出するように
し、そのヨコ糸張力を織機1回転当たりのクランク角に
対応した波形曲線として取り出すようにしたことに特徴
がある。このようにクランク角に対応した波形曲線とし
て取り出すことによって、1ピック当たりのヨコ糸飛走
状態を連続した変化として知ることができ、さらにはこ
の波形曲線を重ね合わせて、それら波形曲線の相互を比
較することによって、より一層ヨコ糸飛走状態を正確に
把握できるのである。このような方法で取り出した、実
質的に織機調整完了直後の稼動開始後の正常な波形曲線
と一定稼働時間を経過した後の診断対象の波形曲線とを
比較することにより、その波形曲線の相違によって異常
を見出すのである。この検出する異常波形曲線は、本発
明者の知見によれば、ヨコ入れ用機器におけるヨコ入れ
条件,ポンプ条件,ノズル条件などの各条件毎に発生す
る異常によって互いに異なったものとなる。すなわち、
ポンプのカムや弁座の摩耗度、ポンプのスプリングの疲
労度、グリッパのヨコ糸把持状態、ノズルの磨耗度など
のヨコ入れ用機器の異常によって互いに異なった異常波
形曲線になるので、それからヨコ入れ用機器のどの部分
に異常があるかをリアルタイムに知ることができるよう
になる。
本発明において、ヨコ糸張力は無杼織機のグリッパとノ
ズルとの間に設置した張力検出器によって検知すること
ができる。この張力検出器としては、検出原理は特に限
定されないが、コンピュータで処理して上述したクラン
ク角に対応する波形曲線にするため、検出張力を電気信
号に変換するようなものがよい。かかる張力検出装置と
しては、従来走行糸の張力検出機構としてよく使用され
る複数レバーを用いた3点式のものや、第8図に示すよ
うなグリッパー4とノズル3との間を飛走するヨコ糸に
1本の検知レバー10aを糸を屈曲させた状態に接触させ
るものなどが好ましく使用される。
上述のように織機調整完了直後に稼動したときの正常な
波形曲線と一定稼動時間を経過した後の診断対象の波形
曲線とを比較するには、予め織機調整完了後に稼動した
ときの波形曲線をプリンタに印刷しておき、一定時間稼
動した後の波形曲線は表示装置に表示させるようにする
とよい。また、各々の波形曲線を表示装置の画面上に直
接重ねて表示するようにしてもよい。
織機調整完了直後に稼動時のものと一定稼動時間経過後
のものとの少なくとも二つの波形曲線を比較することに
より、両波形曲線には相異が発生する。この波形曲線の
相異はポンプ等のヨコ入れ用機器が正常であるときはほ
とんどないが、機器のどこかに異常摩耗やヘタリなどの
異常があるときは、クランク角に沿った或る角度部分で
顕著な相異を発生する。したがって、この二つの波形曲
線から顕される相異から、特にヨコ入れ用機器における
異常の有無を簡単に発見することができる。
また、ヨコ入れ用機器に異常があった場合の一定の稼動
時間経過後の波形曲線の形態は、ヨコ入れ用機器の異常
原因毎に違ったものになる。すなわち、ヨコ入れ用機器
の異常原因としては、ポンプ・カムの摩耗、ポンプ・弁
座の摩耗、ポンプ・スプリングの疲労(へたり)、ノズ
ルの摩耗、グリッパの摩耗などがあるが、これらの異常
原因毎に波形曲線の異常形態が異なったものとなる。し
たがって、このような異常原因毎の異常波形曲線を予め
調べておくことにより、これらの予め調べた異常波形曲
線と検査中の波形曲線とを比較すれば、異常の有無のみ
ならず、どの個所に異常があるかを簡単にリアルタイム
に知ることができることになる。
また、このように予め調べた異常原因毎の波形曲線をコ
ンピュータのメモリに記憶させておき、これを検査中の
波形曲線と比較させるようにすれば、自動的に異常の有
無や異常個所を表示させることができる。
本発明においていう一定時間経過後とは、最低3日程度
をいう。すなわち、停台が多発するまでに波形曲線の異
常を見つけだすためには、波形曲線を観察する周期は短
ければ短い方がよいが、各部品はそれのど急激に劣化す
るものではなく、また頻繁な観察は生産効率の低下にも
なるので、最低3日に1度程度の観察で十分である。
以下、図に示す実施例を参照することにより本発明を説
明する。
第1図は本発明の方法を実施するためのウォータジェッ
ト・ルームの一例を示すものである。このウォータジェ
ット・ルームにおいて、多数本の引き揃えられたタテ糸
Yaは、一定速度で引き出されながら一対の綜絖5,5の交
互の上下運動により、筬1の後方に杼口2を形成する。
この杼口2の両側部にはカッタ12,12が設けられ、その
一方のカッタ12の外側にノズル3が設けられ、さらにそ
の外側にグリッパ4が設けられている。
ノズル3にはポンプ6が接続され、このポンプ6からヨ
コ入れ毎に圧水が供給され、それによってノズル3から
圧水と共にヨコ糸Ybが杼口2に向けて噴射される。杼口
2に噴射されたヨコ糸Ybは、飛走終了と同時に筬1によ
って布F側に打ち込まれ、同時に両耳部をカッタ12,12
によってカットされる。ヨコ糸Ybはパッケージ7から供
給ローラ8によって連続供給されるが、いったん負圧の
貯溜パイプ9に吸引貯溜される。その吸引貯溜されたも
のがヨコ入れ毎にノズル3によって引き出され、残余の
不足部分が供給ローラ8から直接供給されるようになっ
ている。
このような無杼織機において、上記グリッパ4とノズル
3の間には、飛走中のヨコ糸張力を検出するための張力
検出器10が設けられている。また、ノズル設置側と反対
側のヨコ糸Ybが到達する側には、その到達を検出するた
めのフィーラ11が設けられている。
第2図は本発明を実施するための保全管理装置20を概略
的に示すもので、上記無杼織機に設けた張力検出器10が
検出するヨコ糸張力から、クランク角に対応する波形曲
線を形成するコンピュータを内蔵している。また、この
実施例では、この保全管理装置20はフィーラ11の検出信
号に基づくフィーラ通電量をクランク角に対応した波形
曲線としても形成するようにしている。
上記保全管理装置20は、入力部としてA/D(アナログ/
デジタル)コンバータ21を有し、またデータ処理部とし
て中央演算装置(CPU)22およびメモリ23を有してい
る。さらに中央演算装置22には、出力装置として表示装
置24とプリンタ25が接続され、またデータ保存用にフロ
ッピディスク26も接続されている。また、運転条件等を
入力するためのキーボード27が接続されている。
上記A/Dコンバータ21には、無杼織機側に設置した張力
検出器10とフィーラ11の信号が入力するようにそれぞれ
接続されている。張力検出器10は検出張力の大きさに応
じて電気信号を発生し、またフィーラ11はヨコ糸の到達
の有無を電気信号として発生する。このフィーラ11は一
対の電極からなり、水を含んだヨコ糸がブリッジしたと
き、電気を通電して信号を発生するようになっている。
このフィーラ11の信号は、制御盤30の増幅器28により増
幅されてA/Dコンバータ21に入力される。
また、無杼織機側にはフィーラタイミング検出鉄片31と
近接スイッチ32がクランク角検出器として設けられてい
る。フィーラタイミング検出鉄片31は織機の回転数と同
じ回転数で回転し、織機1回転につき1回ずつ近接スイ
ッチ32に近づくことにより近接スイッチ32にパルスを発
生させるもので、そのパルス信号は、制御盤30の増幅器
29を介して中央演算装置22に入力されるようになってい
る。
上述した保全管理装置20を使用して、織機の運転状態が
正常か否かを点検するには、まずキーボード27により、
その検査対象の織機の運転条件を中央演算装置22に入力
する。一方、張力検出装置10とフィーラ11が検出したタ
テ糸張力信号とフィーラ信号とはA/Dコンバータ21にお
いてディジタル信号に変換され、中央演算装置22に入力
される。中央演算装置22はこれらの信号を近接スイッチ
32から入力するフィラタイミング信号(回転信号)と共
に以下に説明するように処理し、その結果をクランク角
に対応する波形曲線として表示装置24,プリンタ25,フロ
ッピディスク26等に出力する。
第3図A,Bによって具体的に説明すると、キーボード27
により運転条件を入力した後、データサンプリングの開
始指令を中央演算装置22に送ると、第3図Aのデータ表
示フローはF6からF1に移り、第3図Bのデータサンプリ
ングフローを呼び出す。このデータサンプリングフロー
では、最初にデータカウンタを0にクリアし、S1で近接
スイッチ32からのフィーラタイミング信号(織機回転信
号)ハが中央演算装置22に入るのを待つ。
このフィーラタイミング信号ハが入ったらS2に移り、上
記ヨコ糸張力信号イおよびフィーラ信号ロをA/D変換
し、この変換したデータをS3で記憶する。次いで、S4で
織機2回転後のフィーラタイミング信号ハが入ったかど
うかをチェックする。この信号ハが入っていなかったら
S5に移り、データカウンタをインクリメントする。そし
て、次のフィーラタイミング信号ハが入ってくるまで
は、S2,S3,S4,S5,S2……のループを繰り返し、張力信号
イとフィーラ信号ロのA/D変換を続ける。この間の時間
は一定であるため、データカウンタは一定時間間隔でイ
ンクリメントされていくことになる。
そして、S4のチェックで、織機2回転後のフィーラタイ
ミング信号ハが入ったときS6に移り、呼び出したデータ
表示フローのF2に移る。このようにして、前のフィーラ
タイミング信号ハと織機2回転後のフィーラタイミング
信号ハとの間にサンプリングされたデータは、クランク
角に対応した波形曲線として形成されることになる。こ
こで、織機2回転後のデータをサンプリングするのは、
織機1回転分のデータでは、フィーラタイミングから次
のフィーラタイミングまでのデータしか取れないため、
クランク角0〜360°のデータを連続に得ることができ
ないからである。ただし、クランク角0°を別の検知器
で検知するようにすれば、織機1回転分のデータで0〜
360°のデータを連続に得ることは可能である。
データ表示フローのF2に移った後は、回転数が安定して
いるか否かをチェックする。これは織機の起動や停止時
の張力信号イやフィーラ信号ロは不安定なデータである
ので、これらのデータは検査用のデータから省くように
することが望ましいからである。したがって、F2でチェ
ックしたとき、もし回転数が安定していなければF6に戻
り、再度データを取り直すようにするのである。F2のチ
ェックで回転数が安定していればF3に移り、本発明に従
い重ね表示するか、かたは前回のサンプリングデータ波
形の消去を行うか否かをチェックする。
上記チェックの結果重ね表示をしない場合はF4に移り、
いったん前回の波形を消去してF5に移り、新しいデータ
の波形表示をするようにし、またチェックの結果重ね表
示をする場合はF5に移り、前回表示した波形の上に重ね
て新しいデータを表示する。
以下、F6,F1,F2,F3,(F4),F5,F6……のループを繰り返
す。
上述したように、上記保全管理装置20は、張力検出器10
で検出したヨコ糸Ybの張力信号と、フィーラタイミング
検出鉄片31および近接スイッチ32が織機1回転毎に発生
するフィーラタイミング信号(回転信号)により、クラ
ンク角に対応したヨコ糸張力の波形曲線を形成表示す
る。また、同時にフィーラ11が検知する通電量の信号に
より、同じくクランク角に対応した通電量の波形曲線を
形成表示する。
このうちヨコ糸張力の波形曲線は、ヨコ糸の飛走状態が
正常であるときは、例えば第4図に示すような波形曲線
になる。この波形曲線は、クランク角に対応してa,b,
b′,c,d,d′,e,e′の各位置でヨコ糸張力の顕著な変化
を有したものとなる。
ここで、aはヨコ糸カット時(ヨコ糸カット角)であ
り、筬打ちとほぼ同時にカットされるためヨコ糸張力が
高くなっており、そのカット直後から急激に張力が低下
する。また、bは次のヨコ入れのためノズル3が噴射開
始したとき(噴射開始角)、b′は噴射開始によりヨコ
糸が水に引っ張られたことにより発生する張力ピーク
(噴射開始張力ピーク角)、cはノズル3からヨコ糸が
飛走開始したとき、(飛走開始角)、eはその飛走が終
了したとき(飛走終了角)、e′は飛走していた糸がグ
リッパに挟まれ、飛走速度が急激に下がることにより張
力ピークが発生したとき(飛走終了張力ピーク角)であ
る。飛走開始角cと飛走終了角eの中間dは、拘束開始
角といわれる。すなわち、cからdまでは貯溜パイプ9
内の貯溜分のヨコ糸が無拘束状態に引き出される過程で
あり、その貯溜分が無くなって供給ローラ8に拘束され
つつ引き出され始める時点で上記拘束開始角dになる。
上記b〜cの間を先行角、c〜dの間を自由飛走角、d
〜eの間を拘束飛走角といい、無拘束で引き出される自
由飛走角ではヨコ糸張力は比較的低いが、拘束されなが
ら引き出される拘束飛走角では高くなる。また、d′は
自由飛走から拘束飛走に移行し、飛走速度が急激に供給
ローラ8の供給速度まで下がることにより張力ピークが
発生したとき(拘束飛走張力ピーク角)であり、非常に
大きなピークを作る。
このような波形曲線を織機複数回転分について表示表示
装置24又はプリンタ25によって重ね表示すると、それら
複数の波形曲線から描かれた曲線は、第5図や第6図の
ように帯状にバラツキ幅をもったものになる。これらの
うち第5図は織機調整完了直後の稼動のものであり、第
6図は3か月間稼動後のものである。第5図の機器調整
完了直後の稼動ではヨコ糸飛走状態は安定しており、そ
の波形曲線は織機1回転当たりのクランク角に対して、
どの角度においてもほヾ一定の張力幅内に収まってい
る。これに対し第6図のものは、停台回数がやヽ増えて
きたもので、ヨコ糸飛走状態が不安定になっている。具
体的には、ポンプスプリングが疲労し、ヘタリを生じて
いるときのものである。この場合、ヨコ糸張力は拘束飛
走張力ピーク角d′や飛走終了張力ピーク角e′におけ
るバラツキの度合が、他の噴射開始張力ピーク角b′や
飛走開始角cに比べて異常に大きくなっている。したが
って、このような異常な張力バラツキを見出すことによ
り、運転状態に異常のあることをリアルタイムに知るこ
とができる。しかも、これらバラツキの形態は異常の原
因によって異なっており、第6図に示すようにポンプ・
スプリングが疲労しているときは、拘束開始角dが正常
時に比べてクランク角に対して遅れを生じ、しかも飛走
終了張力ピーク角e′でのヨコ糸張力が拘束飛走張力ピ
ーク角d′よりも異常に高くなり、正常時の場合と逆転
している。したがって、このような異常時の波形曲線を
予め得ておけば、これと比較により異常原因が何処にあ
るかを簡単に知ることができる。
なお、この実施例では、ポンプ・スプリング疲労の場合
の異常波形曲線について例示したが、他のヨコ入れ用機
器であるポンプ・カムの摩耗、ポンプ弁座の摩耗、ノズ
ルの摩耗、グリッパの摩耗などの場合についても同様の
異常波形曲線を作ることができ、これらを予め作ってお
くことにより上記同様の点検を行うことができる。
また、ヨコ糸の到達を検知するフィーラ11の通電量の信
号とフィーラタイミング検出鉄片31および近接スイッチ
32の回転信号からは、第7図のようなクランク角に対応
した波形曲線が形成される。この第7図において、拘束
開始角dに前後して表れる細幅のピークPWは、ヨコ糸に
先立って水だけがフィーラ11に到達したことを示し、ま
た飛走終了角eに前後して表れる大きな幅のピークP
Tは、水を含んだヨコ糸が到達したことを示している。
このような大きな幅のピークPTができないときは、ヨコ
糸の到達がないことを表している。
〔発明の効果〕 上述したように、本発明の保全管理方法によれば、織機
の運転状態の経時的な変化をリアルタイムに把握し、特
にヨコ入れ用機器の異常を停台が多発するまでに、しか
もその原因をも確実につかむことができる。そのため、
従来方法のように点検作業のために深い経験は不要であ
り、簡単かつ迅速に点検作業したり、不良部品の交換作
業をすることができる。したがって、本発明によれば効
率的な無杼織機の保全管理を可能にし、無杼織機が本来
有する高い生産性を一層向上し、保全費用の低減を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための無杼織機(ウォータジ
ェット・ルーム)の概略斜視図、第2図は同無杼織機に
装備した保全管理装置のブロック図、第3図A,Bは、そ
れぞれ同保全管理装置を運転するためのデータ流れ図
(第3図A)とデータサンプリング流れ図(第3図B)
である。第4図は同保全管理装置によって形成されるヨ
コ糸張力のクランク角に対応する波形曲線図、第5図は
織機調整完了直後の稼動時の波形曲線を重ね表示したと
きの図、第6図は同織機を3か月間稼動後の波形曲線を
重ね表示したときの図である。第7図は同保全管理装置
によって形成されるヨコ糸フィーラが検出する通電量の
クランク角に対応する波形曲線図である。第8図は張力
検出器の一例を示す斜視図である。 Ya……タテ糸、Yb……ヨコ糸、2……杼口、3……ノズ
ル、4……グリッパ、6……ポンプ、10……張力検出
器、11……フィーラ、20……保全管理装置、21……A/D
コンバータ、22……中央演算装置、23……メモリ、24…
…表示装置、25……プリンタ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヨコ糸供給側のグリッパとノズルの間に張
    力検出器を設け、この張力検出器により前記ノズルから
    噴射した飛走中のヨコ糸の張力を連続的に検出すると共
    に、該張力を織機1回転当たりの全クランク角に対応す
    る波形曲線に変換するに当たり、該波形曲線として少な
    くともヨコ入れ用機器のヨコ入れタイミング条件,ポン
    プ条件及びノズル条件の異常時に形成する異常波形曲線
    をそれぞれ予め求めておき、織機調整完了直後の稼働時
    に取り出した正常な波形曲線と一定の稼働時間経過後に
    取り出した診断対象の波形曲線とを重ねて比較すること
    により前記異常波形曲線を見出し、この異常波形曲線を
    もたらした前記ヨコ入れ用機器の各条件の異常診断をす
    ることを特徴とする無杼織機の保全管理方法。
  2. 【請求項2】織機複数回転分の波形曲線を表示装置の画
    面上に重ねて表示する請求項1記載の無杼織機の保全管
    理方法。
  3. 【請求項3】織機複数回転分の波形曲線をプリンタによ
    り紙上に重ねて印刷表示する請求項1記載の無杼織機の
    保全管理方法。
  4. 【請求項4】ヨコ糸供給側のグリッパとノズルの間に張
    力検出器を設け、この張力検出器により前記ノズルから
    噴射した飛走中のヨコ糸の張力を連続的に検出すると共
    に電気信号に変換し、この電気信号をA/Dコンバータに
    よりコンピュータに取り込み、織機1回転当たりの全ク
    ランク角に対応する波形曲線として表示装置に表示する
    に当たり、前記波形曲線として少なくともヨコ入れ用機
    器のヨコ入れタイミング条件,ポンプ条件及びノズル条
    件の異常時に形成する異常波形曲線をそれぞれ予め求め
    ておき、織機調整完了直後の稼働時に取り出した正常な
    波形曲線と一定の稼働時間経過後に取り出した診断対象
    の波形曲線とを重ねて比較することにより前記異常波形
    曲線を見出し、この異常波形曲線をもたらした前記ヨコ
    入れ用機器の各条件の異常診断をすることを特徴とする
    無杼織機の保全管理方法。
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