JPH0758273B2 - イオン感応膜 - Google Patents

イオン感応膜

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JPH0758273B2
JPH0758273B2 JP62237558A JP23755887A JPH0758273B2 JP H0758273 B2 JPH0758273 B2 JP H0758273B2 JP 62237558 A JP62237558 A JP 62237558A JP 23755887 A JP23755887 A JP 23755887A JP H0758273 B2 JPH0758273 B2 JP H0758273B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は溶液中のイオン活量測定用のイオン選択性電極
に用いるイオン感応膜に関する。詳しくは、イオン選択
性電極の塩素イオンに対する感度を著しく向上すること
が可能なイオン感応膜である。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
近年、イオン選択性電極を医療用に応用し、血液中や尿
等の生体液に溶解しているイオン、例えばナトリウムイ
オン、カリウムイオン、塩素イオンなどの定量を行う試
みがさかんに行われている。これは、生体中の特定のイ
オン濃度が生体の代謝反応と密接な関係にあることにも
とずいて該イオン濃度を測定することにより、高血圧症
状、腎疾患、神経障害等の種々の診断を行うものであ
る。
一般に、イオン選択性電極は、第1図に示すように試料
液に浸漬する部分(一般には底部)がイオン感応膜22で
構成された筒状容器21中に、内部電解液23及び内部基準
電極24を設けることにより基本的に構成される。
かかるイオン選択性電極を用い、溶液中のイオンの活量
の測定を行なうためのイオン測定装置の代表的な構造を
第2図に示す。即ち、イオン選択性電極11は塩橋12と共
に試料溶液13中に浸漬され、塩橋の他の一端は比較電極
14と共に飽和塩化カリウム溶液16に浸漬される。両電極
間の電位差はエレクトロメータ15で読み取られ、該電位
差より試料溶液中の特定のイオン種のイオン活量を求め
ることができる。このようなイオン測定装置に用いるイ
オン選択性電極の性能は、それに用いるイオン感応膜に
よって決定される。
従来から、陰イオン、特に塩素イオンを選択的に検出す
るためのイオン感応膜として種々の膜が提案されてい
る。例えば、 a) 塩化銀を主体とする固体成形膜 b) ポリ塩化ビニル等の重合体、四級アンモニウム塩
などの感応物質及び可塑剤を混合して成膜した膜 c) トリメチルアンモニオ基、ピリジニオ基等のイオ
ン交換性基を有する重合体よりなるイオン交換膜 等の膜が知られている。しかしながら、(a)のタイプ
のイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、溶液中に
臭素イオン、イオウイオン、シアンイオン、チオシアン
酸イオン等が存在していると、これらイオンの影響で膜
表面が化学変化するため電位が安定化しにくく、甚しい
場合には電位計測が不可能となる場合がある。また、種
々の生体液等の測定においては、タンパク質等の影響を
受け易く、やはり電位が安定しないという欠点がある。
(b)のタイプのイオン感応膜を用いたイオン選択性電
極は、応答速度が遅く、また、膜中の感応物質が徐々に
溶液中に溶解するため、電極寿命が短かいという欠点が
ある。(c)のタイプのイオン感応膜を用いたイオン選
択性電極は、イオン性基が膜を構成する重合体に共有結
合で導入されているため寿命が長くまた生体液中に含ま
れるタンパク質等の影響を受けにくいという長所を有し
ている。しかしながら、前記した陰イオン交換膜をイオ
ン感応膜として用いた場合、塩素イオン以外の妨害イオ
ン、例えば、リン酸イオン、炭酸イオン、等の影響が大
きく、また得られる電位も不安定であるという欠点を有
している。
従って、生体液中の塩素イオンを高感度でかつ安定して
測定可能なイオン選択性電極用のイオン感応膜の開発が
望まれていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる問題点を解決し得るイオン感応膜
を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の重合
体と特定の有機化合物を主構成成分とする膜状物を、イ
オン感応膜として用いることにより、長寿命でしかも塩
素イオンを高感度でかつ安定して測定可能なイオン選択
性電極が得られることを見い出し本発明を完成するに至
った。
即ち、本発明は (i) 陰イオン交換性基又は陽イオン交換性基を有す
る分子量5000以上の重合体 及び (ii) 2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連
鎖中に含む1本の長鎖疎水基と、上記重合体の有するイ
オン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有す
る有機化合物 を主構成成分とする混合物より成り、該混合物中の陰イ
オン交換性基は陽イオン交換性基よりも多く存在する膜
状物から成るイオン感応性膜である。
また、更に本発明の別の態様は、 (i) 陰イオン交換性基又は陽イオン交換性基を有す
る分子量5000以上の重合体 及び (ii) 2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連
鎖中に含む1本の長鎖疎水基と、上記重合体の有するイ
オン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有す
る有機化合物 を主構成成分とし、更に繊維状物を加えた混合物より成
り、該混合物中の陰イオン交換性基は陽イオン交換性基
よりも多く存在する膜状物から成るイオン感応性膜であ
る。
本発明のイオン感応膜の主構成成分の1つは陰イオン交
換性基又は陽イオン交換性基を有する重合体である。上
記の陰イオン交換性基としては公知の塩基性基が、また
陽イオン交換性基としては公知の酸性基が特に制限なく
採用される。ここで酸性または塩基性とはブレンステッ
ド酸またはブレンステッド塩基を意味し、酸性基として
は一般にスルホン基、カルボキシル基、リン酸基、フェ
ノール性水酸基、およびこれらが塩となったもの、塩基
性基としては一般にアミノ基、置換アミノ基、第四級ア
ンモニオ基、およびこれらが塩となったもの等で、可動
性対イオンとの可逆的な結合/分離によって対イオンを
交換し得る解離基である。
前記イオン交換性基を有する重合体は特に限定されず公
知のものを用いうるが、イオン感応膜の強度及び安定性
を勘案すれば一般には分子量が5,000以上のものを用い
る必要がある。また、該重合体に含まれるイオン交換性
基の量はその種類、後述する直鎖有機化合物等によって
異なり一概に限定出来ないが一般には0.1meq/g以上、好
ましくは1.0meq/g以上のものが望ましい。
イオン交換性基を有する重合体を得るために使用される
モノマーとしては、前記したイオン交換性基を有するモ
ノマーが何ら制限なく使用される。一般に好適に使用さ
れるモノマーを例示すれば次の通りである。即ち、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;スチレン
スルホン酸、ビニルスルホン酸、アルケンスルホン酸、
t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基
を有するモノマー;ビニルホスホン酸、アクリロイルオ
キシアルキルホスホン酸、メタクリロイルオキシアルキ
ルホスホン酸等のリン酸基を有するモノマー;ビニルフ
ェノール等のフェノール系モノマー;リジン、エチレン
イミン、ビニルピリジン、ジメチルアミノプロピルメタ
クリルアミド等のカチオン系モノマーあるいはこれらモ
ノマーに置換基を置換した置換誘導体等が好適に使用さ
れる。
また、前記イオン交換性基を有するモノマーと共重合体
可能なビニルモノマーも特に限定されず公知のものが使
用できる。一般に好適に使用される代表的なものを具体
的に示せば、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等
のオレフィン化合物;塩化ビニル、ヘキサフルオロプロ
ピレン等のオレフィン化合物のハロゲン誘導体;ブタジ
エン、ペンタジエン等のジオレフィン化合物およびその
ハロゲン誘導体;スチレン、ビニルナフタレン等の芳香
族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル化合
物;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタク
リルアミド等のアクリル酸およびメタクリル酸誘導体;
アクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;メチルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル化合物等が挙げられ
る。
本発明に於いて一般に好適に使用されるイオン交換性基
を有する重合体を一般式で示せば次のとおりである。
カルボキシル基を有する重合体 但し、Rは水素原子、アルキル基又はカルボキシメチル
基であり、Xは−CH2−基、 (但し、R′はアルキル基又はアリール基)であり、M
は水素原子、金属原子又は低級アンモニウムである。c
は0〜2の整数であり、a,bは0又は1である。ここ
で、aが0のときはb=1、c=0、Rは水素原子であ
り、aが1のときはb=0,c=0〜2、Rは水素原子、
アルキル基又はカルボキシメチル基である。
スルホン酸基を有する重合体 但し、R″は水素原子又はアルキル基であり、Yは (但し、eは正の整数)であり、Mは水素原子、金属原
子又は低級アンモニウムであり、dは0又は1である。
第四級アンモニオ基を有する重合体 但し、Rは水素原子又はアルキル基であり、Zは (但し、gは正の整数)であり、Xはハロゲン原子又は
安定な陰イオンを形成する原子団である。
上記一般式〔I〕,〔II〕及び〔III〕中、R,R′,R″及
びRで示されるアルキル基としては、その炭素数に限
定されず、いかなるものでも使用できるが、一般には炭
素数が1〜4のものが好適である。また、上記一般式
〔II〕及び〔III〕中、e及びgは正の整数であれば良
いが、就中、原料の入手の容易さから1〜4の整数であ
ることが好ましい。
以上に説明したイオン交換性基を有する重合体の製造方
法としては、前記したイオン交換性基を有するモノマー
を単独重合させるか又は二種以上を共重合させる方法が
一般に採用される。また前記したイオン交換性基を有す
るモノマーと共重合可能なビニルモノマーとを共重合さ
せることにより、イオン交換性基を有する重合体を得る
こともできる。また、イオン交換性基を導入することの
できる重合体に、化学反応させることによって、イオン
交換性基を導入させる方法もしばしば好適に採用され
る。例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水
カルボン酸の単独或いは共重合体を加水分解することに
より、カルボキシル基を有する重合体を得る方法、又
は、ポリビニルアルコールを硫酸エステル化反応させる
ことにより、スルホン酸基を有する重合体を得る方法等
が挙げられる。
本発明に於けるイオン交換性基を有する重合体としては
前記したように合成することによって得た合成重合体の
他に、イオン交換性基を有する天然高分子も使用可能で
ある。一般に本発明に於いて使用されるイオン交換性基
を有する天然高分子を例示すると、アルギン酸、アルギ
ン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヘパリ
ン、コンドロイチン硫酸及びこれらの誘導体等が挙げら
れる。
本発明において、陰イオン交換性基又は陽イオン交換性
基を有する重合体は、上記条件を満たすものであれば2
種以上を混合して用いても差し支えない。
本発明のイオン感応膜の主構成成分の他の1つは、2本
又は3本の長鎖疎水基、または剛直性部分を連鎖中に含
む1本の直鎖疎水基を有し、かつ前記重合体のイオン交
換性基と反対荷電のイオン交換性基を有する有機化合物
(以下、直鎖有機化合物と略称する)である。
上記の長鎖有機化合物において直鎖疎水基は、得られる
イオン感応膜の耐水性及び原料の入手の容易さから炭素
数10〜30の直鎖アルキル基またはそのハロゲン置換体で
あることが好ましい。尚、本発明でいう長鎖疎水基は完
全に直鎖状のものに限らず、炭素数2個迄の分枝を有す
る分枝状のものも含むものである。
本発明の直鎖有機化合物の一つの態様は、2本又は3本
の長鎖疎水基を有するものである。該長鎖疎水基が1本
であるとイオン感応膜の耐水性が十分でなく、また4本
以上になると製造が困難となる。
また、本発明の直鎖有機化合物の他の一つの態様は、剛
直性部分を連鎖中に含む1本の直鎖疎水基を有する、一
般には炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を含む長鎖疎水
基などである。
本発明において剛直性部分とは次の,及びに示す
基をいう。
直結あるいは、炭素−炭素多重結合、炭素−窒素多
重結合、窒素−窒素多重結合、エステル結合、アミド結
合等を介して連結された少なくとも2個の芳香環で構成
される2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 等の2価の基が挙げられる。
2個の芳香環の結合が複数であるか、複数原子間の
単結合であって、その回転がエネルギー的に束縛を受け
ている2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 等の2価の基が挙げられる。
芳香環が縮合環を形成しているもので、この縮合環
が多分子間で積層した場合に、その回転が互いに立体的
に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に例示すると、 等の2価の基が挙げられる。
剛直性部分を連鎖中に含む1本の直鎖疎水基を有する直
鎖有機化合物の直鎖疎水基の炭素数は、剛直性部分及
び、剛直性部分と該直鎖疎水基との結合部分を除いた部
分の炭素数を意味する。上記剛直性部分と直鎖疎水基と
の結合部分は、一般に炭素−炭素単結合、エステル結
合、エーテル結合が好適である。
剛直性部分を連鎖中に含む直鎖疎水基を1本に限定する
のは、もし2本以上になると重合体との混合およびその
後の成形加工の際に著しく困難が生じ、またイオン感応
膜の安定性に難が生じることが多く望ましくないからで
ある。
本発明において、直鎖有機化合物は上記した直鎖疎水基
と共に、前記したイオン交換性基を有する重合体のイオ
ン交換性基と反対の荷電のイオン交換性基を有すること
が、該重合体と共に形成される膜の水中での安定性を向
上させる上で必要である。かかるイオン交換性基として
は重合体におけるイオン交換性基と同様なイオンが適用
される。特に、重合体のイオン交換性基が陽イオン交換
性基である場合、該直鎖有機化合物のイオン交換性基は
第四級アンモニウム基又はその塩であることが、得られ
るイオン感応膜の耐水性が優れているために好ましい。
また、本発明の直鎖有機化合物中に含まれるイオン交換
性基の数は得られるイオン感応膜の成形加工性の点か
ら、1つであることが好ましい。
本発明の直鎖有機化合物は、上記をみたすものであれば
特に限定されず公知のものが用いられる。一般に好適に
使用される代表的なものを以下に具体的に示す。
但し、R1,R2は同種又は異種の炭素数12〜30の直鎖アル
キル基又はそのハロゲン置換体であり、R3,R4は同種又
は異種の炭素数1〜4のアルキル基、又はそのハロゲン
原子及び/又は水酸基による置換体である。
但し、R1,R2は上記と同じであり、Aは、BjCH2
k(但し、Bは であり、jは0又は1であり、kは正の整数である。)
であり、h,iは正の整数である。R3,R4,R5は上記のR3
及びR4の説明と同じである。
但し、R1,R2,R3,R4,R5及びAは上記と同じであり、
lは1又は2、mは0又は1である。
但し、R1,R2,R3,R4及びR5は上記と同じであり、nは
正の整数である。
但し、R3,R4及びR5は上記と同じであり、R6は炭素数4
〜30のアルキル基、アルキルオキシ基、若しくはアルキ
ルオキシカルボニル基又はこれらのハロゲン置換体であ
り、Dは であり、pは0又は1である。)EはCH2 q又は−O
CH2 rである。(但し、q,rは正の整数である。) 但し、R1,R2は同種又は異種の炭素数6〜30の直鎖アル
キル基又はそのハロゲン置換体である。
上記一般式〔B〕,〔D〕及び〔E〕中、k,n,q及びr
は正の整数であれば良いが、一般には原料の入手の容易
さから1〜16であることが好ましい。また、上記一般式
〔B〕中、h及びiは、正の整数を何ら制限なく取り得
るが、一般には原料の入手の容易さから1〜4であるこ
とが好ましい。さらに、上記一般式〔A〕,〔B〕,
〔C〕,〔D〕,〔E〕及び〔F〕中、R1,R2,R3
R4,R5及びR6で示されるハロゲン置換アルキル基のハロ
ゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原
子が挙げられる。
本発明のイオン感応膜を構成する直鎖有機化合物はイオ
ン交換性基を有する重合体のイオン交換性基と反対の荷
電のイオン交換基を有するものであれば2種以上を混合
して用いても差し支えない。
本発明のイオン感応膜は、前記イオン交換性基を有する
重合体と前記直鎖有機化合物を主構成成分とするが、該
イオン感応膜が塩素イオンに対して高い応答性(選択
性)を示すためには、陰イオン交換性基が陽イオン交換
性基に対して過剰に存在することが必要である。該イオ
ン感応膜中の陰イオン交換性基と陽イオン交換性基の比
(陰イオン交換性基/陽イオン交換性基)は当量比で1
を超え、2.00以下となる範囲、好ましくは1.05〜1.50の
範囲が好適に採用される。尚、イオン交換性基の量は元
素分析値より求めることができる。イオン感応膜中の陰
イオン交換性基と陽イオン交換性基の比が上記範囲より
小さい場合には塩素イオンに対して高い応答性が得られ
ず、また、その比が上記範囲より大きい場合には、イオ
ン感応膜が水中で溶解し易くなり実用的でない。
本発明において、イオン感応膜中の陰イオン交換性基と
陽イオン交換性基の比は、一般に前記イオン交換性基を
有する重合体と前記直鎖有機化合物の混合比によって調
整することができる。また、本発明のイオン感応膜は、
前記イオン交換性基を有する重合体と前記直鎖有機化合
物の他に、得られるイオン感応膜に悪影響を与えない範
囲で陰イオン交換性基を有する疎水性化合物等を用いて
も差し支えない。上記の化合物が疎水性である必要性
は、得られるイオン感応膜の水中での安定性を向上させ
るためである。陰イオン交換性基を有する疎水性化合物
として好適に使用される代表的なものを以下に具体的に
示す。
(但し、R3,R4,R5は同種又は異種の炭素数1〜4のア
ルキル基、又はそのハロゲン原子及び/又は水酸基によ
る置換体であり、nは10〜20の整数であり、Xはハロゲ
ン原子又は安定な陰イオンを形成する原子団である。) (但し、R6は炭素数6〜20のアルキル基又はフェニル基
であり、Xは上記Xと同じである。) 上記陰イオン交換性基を有する疎水性化合物を用いる場
合、得られるイオン感応膜の水中での安定性を勘案すれ
ば、その割合は、主構成成分の直鎖有機化合物に対する
該疎水性化合物の当量比(疎水性化合物/直鎖有機化合
物)が0.05〜0.5となる範囲が好適である。
なお、上記した疎水性化合物の陰イオン交換性基の量も
本発明のイオン感応性膜において陽イオン交換性基との
比の対象となる。
本発明のイオン感応膜の製造方法は特に限定されず、ど
のような方法であっても良い。一般に、好適な製造方法
としては、前記イオン交換性基を有する重合体と前記直
鎖有機化合物を主構成成分とする組成物(以下イオン交
換性組成物と略称する)を製造した後、これを膜状物に
成形する方法が挙げられる。上記の方法を用いることに
よりイオン感応膜をイオン選択性電極に装着する際の操
作性が向上する。
上記のイオン交換性組成物の製造方法も特に限定されな
いが、好適な製造方法としては、例えば、イオン交換性
基を有する重合体とそれと反対荷電のイオン交換性基を
有する直鎖有機化合物とを、それぞれ同一または異なる
溶媒に溶解あるいは懸濁せしめ、これらを混合し生じた
沈殿を集める方法がある。ここで使用される溶媒は同一
の溶媒の場合、水、或いは水と相溶性のある有機溶媒と
の混合溶媒例えば水/メタノール混合溶媒、水/エタノ
ール混合溶媒、水/アセトン混合溶媒等が一般に好適で
ある。重合体と直鎖有機化合物とで異なる溶媒を使用す
る場合、重合体の溶媒には一般に水が好適である。直鎖
有機化合物の溶媒としては水、メタノール、エタノー
ル、2−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、エチル
エーテル、ベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、アセトニトリル等が好適に用いられる。こ
の時互いに混和しない溶媒の場合には、一般に混合の際
に激しく攪拌する等の方法でエマルジョンにする操作が
沈澱物を得るのに有効である。一般に上記の方法によっ
て得られる沈殿物は水に難溶性である。これはイオン交
換性基を有する重合体とそれと反対荷電を有する直鎖有
機化合物とがイオン対を形成するためと考えられる。こ
の事は、前記沈殿物において混合前の構成成分の有する
対イオンの相当量が消失していることからも支持され
る。
また、(i)の方法で得られた沈殿物に、更に必要に応
じてイオン交換性基を有する重合体、イオン交換性基を
有する直鎖有機化合物、または陰イオン交換性基を有す
る疎水性化合物を添加混合して、陰イオン交換性基が陽
イオン交換性基に対して当量比で過剰になるように調製
することもできる。上記の混合方法は特に限定されない
が、これらの各構成成分を可溶性溶媒に溶解した後、溶
媒を蒸発せしめる方法が好適に採用される。ここで用い
られる可溶性溶媒としては、各構成成分の溶解性によっ
て相異するが、一般にはジメチルホルムアミド、ジクロ
ルメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロ
ルエタン、クロルベンゼンを用いることが好ましい。
このようにして製造された本発明で用いられるイオン交
換性組成物は、一般に無色、白色あるいは淡黄色の固体
である。また水には難溶であるが、有機溶媒、例えばジ
メチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロルメタン、
ジクロルエタン、テトラヒドロフラン、クロルベンゼン
等には、室温〜100℃で溶解する。
上記製造方法によって得られるイオン交換性組成物を膜
状物に成形する方法は特に限定されず、どのような方法
であってもよい。一般に好適に使用される方法を例示す
れば以下の通りである。
本発明のイオン交換性組成物を可溶性溶媒に溶解
し、適当な基板上に流延させた後、溶媒を除去せしめる
等の方法で膜状物を得る方法。ここで使用される溶媒は
本発明のイオン交換性組成物を溶解するものであれば特
に限定されないが、前記したイオン交換性組成物の製法
で述べた可溶性溶媒が好適に用いられる。上記溶媒の除
去には、一般に風乾、加熱乾燥、減圧乾燥等が特に制限
されず用いられる。
本発明のイオン交換性組成物を加熱成形及び延伸す
ることによって膜状物とする方法。加熱成形時の温度
は、イオン交換性組成物の軟化点付近が採用され、イオ
ン交換性組成物の種類によって異なるが、一般には、50
〜200℃の範囲で選択される。
本発明のイオン感応膜の厚みは特に限定されないが、一
般に0.1μ〜5mm、好ましくは5〜1000μの範囲とするこ
とが得られるイオン感応膜に実用に十分な膜強度を付与
することができ好ましい。
本発明のイオン感応膜は、一般にその基本的性質として
液晶性を示す事が多い。液晶性を示す温度範囲は、通常
0〜200℃の範囲内にある。液晶性は一般に示差走査熱
量計による測定によって確認される。もし液晶ならばあ
る温度で固体から液晶への転移に伴なう熱量が観測さ
れ、その温度は固体−液晶転移温度と呼ばれる。従っ
て、本発明のイオン感応膜は上記の固体−液晶転移温度
以下で、より好ましくは固体−液晶転移温度より10℃以
上低い温度で使用することが望ましい。固体−液晶転移
温度以上で使用した場合、種々の陰イオン、特に2価の
陰イオンに対する選択性が低下し、また電極寿命も短か
くなる場合がある。
本発明のイオン感応膜の塩素イオンに対する選択性を向
上させるために、用いるイオン感応膜をその固体−液晶
転移温度以上の水中に1分間以上浸漬することが好まし
い。かかる操作によりイオン感応膜における塩素イオン
の炭酸水素イオンに対する選択性が向上し、これをイオ
ン選択性電極の感応膜として使用することにより塩素イ
オンを高い感度で測定することができ、また、測定され
る電位も安定することが多い。
本発明のイオン感応膜において、該イオン感応膜内に繊
維状物を存在させることにより、イオン感応膜の反覆使
用耐久性を著しく向上させることができる。即ち、本発
明のイオン感応膜は被測定液中において、構成物質の溶
出等がなく、長寿命であるが、該液中への浸漬及び空気
中での乾燥を繰り返すとイオン選択性が低下することが
ある。本発明者等は、イオン感応膜中に繊維状物を存在
させることにより、イオン選択性を低下させることな
く、かかる現象を防止し得ることを見い出したのであ
る。
また、イオン感応膜中に繊維状物を混入させることによ
り、イオン感応膜の機械的強度をも向上させることがで
き、これをイオン選択性電極として使用する際、その操
作性の向上も図ることができる。
かかる繊維状物の材質としては、繊維状に成形可能なも
のであれば特に制限されず、公知の材質が使用される。
一般に好適に使用される材質を例示すれば以下の通りで
ある。即ち、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラ
ス類、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリパラフェニレンテレフタ
ルアミド、6,6−ナイロン等の合成高分子、木綿、絹、
セルロース等の天然高分子が好適に採用される。前記繊
維状物の直径としては、0.1μm〜100μmの範囲が好適
に採用される。直径が0.1μmより小さい場合には膜強
度の向上が顕著でなく、また、100μmより大きい場合
にはイオン感応膜の応答性が悪化する傾向がある。前記
繊維状物の長さとしては1μm〜1cmの範囲が好適に採
用される。長さが1μmより短かい場合には膜強度の向
上が顕著でなく、また、該長さが1cmより大きい場合に
はイオン感応膜の応答性が悪化する傾向がある。
繊維状物を本発明のイオン感応膜に混入させる方法は特
に限定されず、どのような方法であってもよい。一般に
好適に使用される方法を例示すれば、本発明のイオン交
換性組成物を可溶性溶媒に溶解した後、繊維状物を溶液
中に分散させ、適当な基板上に流延させた後、溶媒を除
去せしめる等の方法でイオン感応膜を得る方法が挙げら
れる。ここで使用される溶媒は、本発明のイオン交換性
組成物を溶解するものであれば特に限定されないが、前
記したイオン交換性組成物の製法で述べた可溶性溶媒が
好適に用いられる。上記溶媒の除去には、一般に風乾、
加熱乾燥、減圧乾燥等が特に制限されず用いられる。ま
た、前記溶液中に繊維状物を分散させる方法としては、
攪拌、振とう、超音波照射等が特に制限されず用いられ
る。
また、他の方法として、本発明のイオン交換性組成物を
加熱し、繊維状物を加え混合した後、膜状に成形し、必
要に応じて延伸することによってイオン感応膜を得る方
法が挙げられる。加熱混合時の温度は、イオン交換性組
成物の軟化点付近が好適に採用される。かかる温度は、
イオン交換性組成物の種類によって異なるが、一般に
は、50〜200℃の範囲で選択される。
本発明のイオン感応膜中に繊維状物を混入させる場合、
該繊維状物とイオン交換性組成物の混合比(繊維状物/
イオン交換性組成物、重量比)は、0.01〜0.3の範囲が
好適である。上記の繊維状物の混合比が0.01より小さい
場合には、膜強度の向上が顕著でなく、また、0.3より
大きい場合にはイオン感応膜の応答性が悪化する傾向が
ある。
〔効果〕
本発明のイオン感応膜は、重合体とそれとイオン結合し
た直鎖有機化合物を主構成成分としているため、構成物
質の溶出等がほとんどなく、長寿命である。また、本発
明のイオン感応膜は、血液、尿等の生体液中に存在する
炭酸水素イオン等の妨害イオンに対して塩素イオンの反
応性が著しく高いため、これをイオン選択電極のイオン
感応膜として使用することにより、血液、尿等の生体液
中の塩素イオンの定量を極めて正確に行なうことが可能
であり、その工業的価値は極めて大きい。
また、上記イオン感応膜中に繊維状物を存在させること
により、反覆使用耐久性を著しく向上することができる
と共に、強度も向上し、取り扱いが容易となる。
本発明のイオン感応膜が適用可能なイオン選択性電極
は、公知の構造を有するものが特に制限なく採用され
る。一般には、試料溶液に浸漬する部分の少なくとも一
部が前記イオン感応膜で構成された容器内に内部標準電
極、及び内部電解液を内蔵した構造が好適である。例え
ば代表的な態様としては前記の第1図に示した構造があ
る。即ち、第1図のイオン選択性電極は、電極筒体21の
底部にイオン感応膜22を装着して構成される容器内に、
内部電解液23が満たされ、且つ内部基準電極24を設けて
なるものである。なお、25は液シール用のOリングであ
る。
該電極においては、イオン感応膜以外の材質等は特に制
限されず、従来のものが限定なく採用される。例えば電
極筒体の材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリ
ル酸メチル等、内部電解液としては塩化ナトリウム水溶
液、塩化カリウム水溶液等、内部基準電極としては白
金、金、カーボグラファイトなどの導電性物質あるいは
銀−塩化銀、水銀−塩化水銀等の難溶性金属塩化物等が
使用される。
本発明のイオン感応膜を適用し得るイオン選択性電極
は、第1図に示した構造に限定されず、前記イオン感応
膜を有する電極であればいかなる構造であってもよい。
他のイオン選択性電極の好適なものを例示すれば、金、
白金グラファイト等の導電体あるいは、塩化銀、塩化水
銀等のイオン導伝体に前記イオン感応膜を貼付けて構成
されるイオン選択性電極等である。
また、本発明のイオン感応膜を使用したイオン選択性電
極が公知の方法で使用することができる。例えば、前記
した第2図に示すような使用態様が基本的である。即
ち、イオン選択性電極11は、塩橋12と共に試料溶液13中
に浸漬され、塩橋の他の1端は比較電極14と共に飽和塩
化カリウム溶液16に浸漬される。上記比較電極としては
一般に公知のものが採用されるが、好適に使用されるも
のを例示すれば、カロメル電極、銀−塩化銀電極、白金
板、カーボングラファイト等である。
〔実施例〕
以下に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を
挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
尚、本発明の実施例中の膜強度の測定は以下に示す方法
で行なった。即ち、外径8mm,内径4mm長さ20mmのポリ塩
化ビニル製パイプ2本を、直径9mmのイオン感応膜の両
側にシアノアクリレート系接着材を用い接着する。これ
を、室温で1時間放置した後、金属製のアタッチメント
を取り付け、クロスヘッドスピード10mm/minの引張り試
験機で引張り強度を測定した。
また、本発明の実施例中のイオン感応膜の反覆使用耐久
性の測定は以下に示す方法で行なった。即ち、外径8mm
内径4mm長さ20mmのポリ塩化ビニル製パイプの片端に直
径8mmのイオン感応膜をシアノアクリレート系接着剤を
用い接着する。これを空気中と水中にそれぞれ1日ずつ
交互に放置し、30日経過後に膜中にひび割れが生じたか
どうかについて観察した。
製造例1 第1表に示す直鎖有機化合物50mmolを水1000mlに超音波
分散させ乳白色の溶液を得た。ポリスチレンスルホン酸
ナトリウム(粘度平均分子量:600万)50mmol(モノマー
単位)を水1000mlに溶解した。両者を混合して生成した
沈殿をろ過によって集め、水500ml中で1時間、次いで
メタノール500ml中で1時間攪拌した。再びろ過によっ
て沈殿を集め、減圧乾燥により固形物を第1表示す量得
た。元素分析により得られた固形物の組成比(有機化合
物/重合体、当量比)を求めた。結果をまとめて第1表
に示す。
製造例2 化合物 20mmolを水500mlに超音波分散させ乳白色の溶液を得
た。第2表に示す重合体18mmol(モノマー単位)を水50
0mlに溶解した。両者を混合して生成した沈殿を過に
よって集め、水500ml中で1時間、次いでメタノール500
ml中で1時間攪拌した。再びろ過によって沈殿を集め、
減圧乾燥により白色の固形物を第2表に示す量得た。元
素分析により得られた固形物の組成化(直鎖有機化合物
/重合体、当量比)を求めた。結果を第2表にまとめて
示す。
製造例3 第3表に示す直鎖有機化合物10mmolを水300mlに超音波
分散させ乳白色の溶液を得た。第3表に示す重合体10mm
ol(モノマー単位)を水300mlに溶解した。両者を混合
して生成した沈殿をろ過によって、水500ml中で1時
間、次いでメタノール中で1時間攪拌した。再びろ過に
よって沈殿を集め、減圧乾燥により固形物を得た。元素
分析により得られた固形物の組成比(直鎖有機化合物/
重合体、当量比)を求めた。結果を第3表にまとめて示
す。
実施例1 製造例1〜3で得られた固形物と、第4表に示す直鎖有
機化合物とを第4表に示す量50mlのクロロホルムに溶解
した後、テフロン(登録商標名)製シャーレに流延し
た。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ均一
で透明な膜状物を得た。元素分析により陰イオン交換性
基と陽イオン交換性基の当量比を求めた。結果をまとめ
て第4表に示す。
上記の第4表に示す膜No.1〜18のイオン感応膜を80℃の
水中に5分間浸漬した後、それぞれ第1図に示すように
電極に装着した。これを用いて第2図に示した装置によ
り、種々の陰イオンについて、濃度と電位差の関係を測
定した。得られた結果より公知の方法〔G.J.Moody,J.D.
Thomas著,宗森信,日色知夫訳「イオン選択性電極」,
共立出版,18ページ(1977)に記載の方法」により各陰
イオンに対する塩素イオンの選択係数を求めた。結果を
第5表に示す。尚、比較膜1として、ポリ塩化ビニル、
塩化メチルトリドデシルアンモニウム及びジブチルフタ
レートを成分とするイオン感応膜〔Analitical Chemist
ry,56535-538(1984)に記載されたもの〕について同様
な方法で求めた塩素イオンの選択係数を、また、比較膜
2として市販の陰イオン交換膜(商品名ネオセプタACS,
徳山曹達社製)について同様な方法で求めた塩素イオン
の選択係数を第5表に併せて示す。
第5表よりわかるように本発明のイオン感応膜を用いた
イオン選択性電極は生体液中に存在するリン酸イオン、
硫酸イオン、炭酸水素イオン等に対する塩素イオンの選
択性が著しく優れており、生体液中の塩素イオン濃度の
測定に好適である。
実施例2 製造例1で得られた固形物500mgと第6表に示す疎水性
化合物50mgをクロロホルム50mlに溶解した後、テフロン
製シャーレに流延した。クロロホルムを50℃、大気圧の
条件下で蒸発させ均一で透明な膜状物を得た。元素分析
により得られた膜状物の陰イオン交換性基と陽イオン交
換性基の当量比を求めた。結果をまとめて第6表に示
す。
上記の第6表に示す膜No.19〜21のイオン感応膜につい
て、実施例1と同様な方法により塩素イオンに対する選
択係数を測定した。結果を第7表に併せて示す。
実施例3 第8表に示す直鎖有機化合物と重合体を第8表に示す量
各々水500mlに溶解した。両者を混合し生成した沈殿を
過によって集めた後減圧下に乾燥し固形物を第8表に
示す量を得た。得られた固形物500mgをクロロホルム30m
lに溶解しテフロン製シャーレに流延した。クロロホル
ムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ透明で均一な膜状物
を得た。元素分析により得られた膜状物の陰イオン性交
換基と陽イオン性交換基の当量比を求めた。結果をまと
めて第8表に示す。
上記の第8表に示す膜No.22〜27のイオン感応膜につい
て、実施例1と同様な方法により塩素イオンに対する選
択係数を測定した。結果を第9表に併せて示す。
実施例4 膜No.1のイオン感応膜を80℃の水中に5分間浸漬した後
第1図に示すように電極に装着した。これを用いて第2
図に示した装置により、10-4 Mから10-1 Mの塩化ナトリウ
ム水溶液を試料溶液として20℃での比較電極(カロメル
電極)とイオン選択性電極の電位差を測定した。得られ
た電位差と試料溶液の塩素イオン濃度の関係を第3図に
示した。第3図からわかるように、本発明のイオン選択
性電極は10-4 Mから10-1 Mの範囲で直線応答を示す。ま
た、この時電位勾配は58mV/decadeであった。この値
は、ネルンスト式より求まる計算値59mV/decadeとよく
一致しており、この結果より本発明のイオン感応膜が塩
素イオンに対して十分な感度を有していることが明らか
である。
実施例5 膜No.1のイオン感応膜を80℃の水に5分間浸漬した後、
第1図の如くに電極に装着した。これを用い第2図に示
す装置により、試料溶液中の塩化ナトリウムの濃度を1m
Mから3.1mMへ急激に変化させた時の出力電位の値を第11
表に示す。また、上記塩化ナトリウムの濃度と出力電位
との関係を第4図に示す。第4図からわかるように本発
明のイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は98%応答
が4秒以内であり迅速な測定が可能である。また前記測
定を500回繰り返しても出力電位の変化はほとんど観測
されなかった。
用途例 前記した実施例1〜3において得られた膜No.1〜27のイ
オン感応膜および比較膜1〜3を80℃の水に浸漬した後
第1図の如く電極に装着した。これを用い第2図に示す
装置により、1.06mMと3.83mMの塩化ナトリウム水溶液を
試料溶液とした時の出力電位を測定した。測定値より塩
化イオン濃度と出力電位の検量線を作製した。一方、試
験溶液として塩化ナトリウム2.13mM、炭酸水素ナトリウ
ム0.64mM、リン酸二水素ナトリウム0.64mM、硫酸ナトリ
ウム10mMを含む水溶液を用い出力電位を測定し、前記検
量線より塩素イオン濃度を求めた。その結果を第10表に
示す。この結果より、本発明のイオン感応膜を用いて得
られた測定値は試験溶液中の実際の塩素イオン濃度2.13
mMとよく一致しており、本発明のイオン感応膜を用いた
イオン選択性電極が、種々の陰イオンを含む溶液中の塩
素イオン濃度を正確に測定できることが明らかである。
実施例6 製造例1〜3で得られた固形物と、第11表に示す直鎖有
機化合物とを第11表に示す量50mlのクロロホルムに溶解
した。得られた溶液に平均直径2μm平均長さ1mmのガ
ラス繊維を第11表に示す量加え、超音波照射により分散
させた。次いで、テフロン製シャーレに流延した後、ク
ロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ均一で透明
な膜状物を得た。元素分析により陰イオン交換性基と陽
イオン交換性基の当量比を求めた。結果を第11表にまと
めて示す。
上記の第11表に示す膜No.28〜45のイオン感応膜の引張
り強度を測定した。また、参考のため、ガラス繊維の混
入されていない膜No.1〜18のイオン感応膜の引張り強度
を測定した。結果をまとめて第12表に示す。更に、上記
第11表に示す膜No.28〜45のイオン感応膜の反覆使用耐
久性も測定した。結果をあわせて第12表に示す。
また、上記第11表に示す膜No.28〜45のイオン感応膜を8
0℃の水中に5分間浸漬した後、実施例1と同様な操作
で各陰イオンに対する塩素イオンの選択系数を求めた。
結果を第13表に示す。
第12表よりかわるように、本発明のイオン感応膜に繊維
状物を混入することにより、膜強度が著しく向上してい
る。また、第13表よりわかるように、イオン選択性電極
として使用した場合にもリン酸イオン、炭酸水素イオ
ン、硫酸イオンに対する塩素イオンの選択性が良好であ
るため、生体液中の塩素イオン濃度の測定に好適であ
る。
実施例7 製造例1で得られた固形物500mgと第14表に示す疎水性
化合物50mgをクロロホルム50mlに溶解した。得られた溶
液に第14表に示す繊維状物を第14表に示す量加え、超音
波照射により分散させた。テフロン製シャーレに流延し
た後、クロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ膜
状物を得た。元素分析により陰イオン交換性基と陽イオ
ン交換性基の当量比を求めた。結果を第14表にまとめて
示す。
上記第14表に示す膜No.46〜48のイオン感応膜の引張り
強度を測定した。また、参考のため、繊維状物の混入さ
れていない膜No.19〜21のイオン感応膜の引張り強度を
測定した。結果をまとめて第15表に示す。更に、上記第
14表に示す膜No.46〜48のイオン感応膜の反覆使用耐久
性を測定した結果をあわせて第15表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のイオン感応膜を用いるイオン選択性電
極の一例の構成を示す断面図である。第2図は第1図の
イオン選択性電極を用いて電位差を測定する装置の説明
図である。第3図は実施例1において測定した塩素イオ
ン濃度と電位差の関係を示す図である。第4図は実施例
3において測定した本発明のイオン選択性電極の応答速
度を示す図である。 第1図及び第2図中で各番号は次の内容を示す。 11……イオン選択性電極、12……塩橋、13……試料溶
液、14……比較電極、15……エレクトロメーター、16…
…飽和塩化カリウム水溶液、17……記録形、21……電極
筒体、22……イオン感応膜、23……内部電解液、24……
内部基準電極、25……Oリング。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) 陰イオン交換性基又は陽イオン交
    換性基を有する分子量5000以上の重合体 及び (ii) 2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連
    鎖中に含む1本の長鎖疎水基と、上記重合体の有するイ
    オン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有す
    る有機化合物 を主構成成分とする混合物より成り、該混合物中の陰イ
    オン交換性基は陽イオン交換性基よりも多く存在する膜
    状物から成るイオン感応性膜。
  2. 【請求項2】(i) 陰イオン交換性基又は陽イオン交
    換性基を有する分子量5000以上の重合体 及び (ii) 2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連
    鎖中に含む1本の長鎖疎水基と、上記重合体の有するイ
    オン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有す
    る有機化合物 を主構成成分とし、更に繊維状物を加えた混合物より成
    り、該混合物中の陰イオン交換性基は陽イオン交換性基
    よりも多く存在する膜状物から成るイオン感応性膜。
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