JP2567895B2 - イオン感応膜 - Google Patents

イオン感応膜

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JP2567895B2 JP63022128A JP2212888A JP2567895B2 JP 2567895 B2 JP2567895 B2 JP 2567895B2 JP 63022128 A JP63022128 A JP 63022128A JP 2212888 A JP2212888 A JP 2212888A JP 2567895 B2 JP2567895 B2 JP 2567895B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶液中のイオンの活量測定用のイオン選択
性電極に用いるイオン感応膜に関する。詳しくは、イオ
ン選択性電極の塩素イオンに対する感度を著しく向上す
ることが可能なイオン感応膜である。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
近年、イオン選択性電極を医療用に応用し、血液中や
尿等の生体液に溶解しているイオン、例えばナトリウム
イオン、カリウムイオン、塩素イオンなどの定量を行う
試みがさかんに行われている。これは、生体中の特定の
イオン濃度が生体の代謝反応と密接な関係にあることに
基づいて該イオン濃度を測定することにより、高血圧症
状、腎疾患、神経障害等の種々の診断を行うものであ
る。
一般に、イオン選択性電極は、第1図に示すように試
量液に浸漬する部分(一般には低部)がイオン感応膜22
で構成された筒状容器21中に、内部電解液23及び内部基
準電極24を設けることにより基本的に構成される。
かかるイオン選択性電極を用い、溶液中のイオンの活
量の測定を行うためのイオン測定装置の代表的な構造を
第2図に示す。即ちイオン選択性電極11は塩橋12と共に
試量溶液13に浸漬され、塩橋の他の一端は比較電極14と
共に飽和塩化カリウム溶液16に浸漬される。また、塩橋
の代わりに液絡部を設ける場合もある。両電極間の電位
差はエレクトロメータ15で読み取られ、該電位差より試
量溶液中の特定のイオン種のイオン活量を求めることが
できる。このようなイオン測定装置に用いるイオン選択
性電極の性能は、それに用いるイオン感応膜によって決
定される。
従来から、陰イオン、特に塩素イオンを選択的に検出
するためのイオン感応膜として種々の膜が提案されてい
る。例えば、 a)塩化銀を主体とする固体成形膜 b)ポリ塩化ビニル等の重合体、四級アンモニウム塩な
どの感応物質及び可塑剤を混合して製膜した膜 c)トリメチルアンモニオ基、ピリジニオ基等のイオン
交換性基を有する重合体よりなるイオン交換膜 等の膜が知られている。しかしながら、(a)のタイプ
のイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、溶液中に
臭素イオン、シアンイオン、チオシアン酸イオン等が存
在していると、これらイオンの影響で膜表面が化学変化
するため電位が安定化しにくく、甚だしい場合には電位
計測が不可能となる場合がある。また、種々の生体液等
の測定においては、タンパク質等の影響を受け易く、や
はり電位が安定しないという欠点がある。(b)のタイ
プのイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、応答が
遅く、また、膜中の感応物質が徐々に溶液中に溶解する
ため、電極寿命が短いという欠点がある。(c)のタイ
プのイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、イオン
性基が膜を構成する重合体に共有結合で導入されている
ため寿命が長くまた生体液中に含まれるタンパク質等の
影響を受けにくいという長所を有している。しかしなが
ら、前記した陰イオン交換膜をイオン感応膜として用い
た場合、塩素イオン以外の妨害イオン、例えば、リン酸
イオン、重炭酸イオン等の影響が大きく、また得られる
電位も不安定であるという欠点を有している。
従って、生体液中の塩素イオンを高感度でかつ安定し
て測定可能なイオン選択性電極を与えるイオン感応膜の
開発が望まれていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる問題点を解決し得るイオン感応
膜を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の重
合体と特定の有機化合物及び長鎖の直鎖状アルコールを
主構成成分とする膜状物とよりなる膜状物を、イオン感
応膜として用いることにより、長寿命でしかも塩素イオ
ンを高感度でかつ安定して測定可能なイオン選択性電極
が得られることを見い出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は (i)陰イオン交換性基又は陽イオン交換性基を有する
分子量5000以上の重合体 (ii)2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連鎖
中に含む1本の直鎖疎水基と、上記重合体の有するイオ
ン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有する
有機化合物 及び (iii)炭素数10以上の直鎖状アルコール 以上(i),(ii)及び(iii)を主構成成分とする混
合物よりなり、該混合物中の陰イオン交換性基は陽イオ
ン交換性基より多く存在し、且つ直鎖状アルコールが上
記(i)の重合体と(ii)の有機化合物の合計重量に対
して10〜150重量%の割合で存在する膜状物からなるイ
オン感応膜である。また上記イオン感応膜には、繊維状
物からなる補強材が膜状物中に分散しいる態様も含まれ
る。
本発明のイオン感応膜の主構成成分の1つは陰イオン
交換性基又は陽イオン交換性基を有する重合体である。
上記の陰イオン交換性基としては公知の塩基性基が、ま
た陽イオン交換性基としては公知の酸性基が特に制限な
く採用される。ここで酸性または塩基性とはブレンステ
ッド酸またはブレンステッド塩基を意味し、酸性基とし
ては一般にスルホン酸、カルボキシル基、リン酸基、フ
ェノール性水酸基、およびこれらが塩となったもの、塩
基性基としては一般にアミノ基、置換アミノ基、第四級
アンモニオ基、およびこれらが塩となったものが好適に
使用される。
前記イオン交換性基を有する重合体は、分子量が5000
以上であれば特に限定されず公知のものが用いられる。
かかる分子量のイオン交換性基を有する重合体を用いる
ことにより、イオン感応膜の強度及び安定性などを著じ
るしく向上させることができる。また、該重合体に含ま
れるイオン交換性基の量はその種類、後述する直鎖有機
化合物等によって異なり一概に限定出来ないが一般には
0.1meq/g以上、好ましくは1.0meq/g以上のものが望まし
い。
イオン交換性基を有する重合体を得るために使用され
るモノマーとしては、前記したイオン交換性基を有する
モノマーが何ら制限なく使用される。また前記したイオ
ン交換性基を化学反応によって導入し得る基を有するモ
ノマーも同様に使用し得る。この場合には重合後にイオ
ン交換性基の導入を化学反応によって行えばよい。一般
に好適に使用されるモノマーを例示すれば次の通りであ
る。即ち、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸等のカルボキシル基を有するモノ
マー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アルケ
ンスルホン酸、t-ブチルアクリルアミドスルホン酸等の
スルホン酸基を有するモノマー;ビニルスルホン酸、ア
クリロイルオキシアルキルホスホン酸、メタクリロイル
オキシアルキルホスホン酸等のリン酸基を有するモノマ
ー;ビニルフェノール等のフェノール系モノマー;リジ
ン、エチレンイミン、ビニルピリジン、ジメチルアミノ
プロピルメタクリルアミド等のカチオン系モノマーある
いはこれらモノマーに置換基を置換した置換誘導体等が
好適に使用される。またイオン交換性基を導入し得る基
を有するモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、酢酸ビニル(ポリビニルアルコール)等が挙げ
られる。
更に本発明に用いられるイオン交換性基を有する重合
体は、イオン交換性基を有するモノマーと該モノマーと
共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体であって
もよい。その場合前記イオン交換性基を有するモノマー
と共重合可能なビニルモノマーも特に限定されず公知の
ものが使用できる。一般に好適に使用される代表的なも
のを具体的に示せば、例えば、エチレン、プロピレン、
ブテン等のオレフィン化合物;塩化ビニル、ヘキサフル
オロプロピレン等のオレフィン化合物のハロゲン誘導
体;ブタジエン、ペンタジエン等のジオレフィン化合物
およびそのハロゲン誘導体;スチレン、ビニルナフタレ
ン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエス
テル化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、
メタクリルアミド等のアクリル酸およびメタクリル酸誘
導体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;メ
チルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物等が挙げ
られる。
本発明に於いて一般に好適に使用されるイオン交換性
基を有する重合体を一般式で示せば次のとおりである。
カルボキシル基を有する重合体 但し、Rは水素原子、アルキル基又はカルボキシメチ
ル基であり、Xは-CH2-基、 基又は 基(但し、R′はアルキル基又はアリール基)であり、
Mは水素原子、金属原子又は低級アンモニウムである。
cは0〜2の整数であり、a,bは0又は1である。ここ
で、aが0のときはb=1、c=0、Rは水素原子であ
り、aが1のときはb=0、c=0〜2、Rは水素原
子、アルキル基又はカルボキシメチル基である。
スルホン酸基を有する重合体 但し、R″は水素原子又はアルキル基であり、Yは ‐O-又はCH2 e(但し、eは正の整数)であり、Mは
水素原子、金属原子又は低級アンモニウムであり、dは
0又は1である。
第四級アンモニオ基を有する重合体 但し、Rは水素原子又はアルキル基であり、Zは (但し、gは正の整数)であり、Xはハロゲン原子又は
安定な陰イオンを形成する原子団である。
上記一般式〔I〕,〔II〕及び〔III〕中、R,R′,R″
及びRで示されるアルキル基としては、その炭素数は
限定されず、いかなるものでも使用できるが、一般には
炭素数が1〜4のものが好適である。また、上記一般式
〔II〕及び〔III〕中、e及びgは正の整数であれば良
いが、就中、原料の入手の容易さから1〜4の整数であ
ることが好ましい。
以上に説明したイオン交換性基を有する重合体の製造
方法としては、前記したイオン交換性基を有するモノマ
ーを単独重合させるか又は二種以上を共重合させる方法
が一般に採用される。また前記したイオン交換性基を有
するモノマーと共重合可能なビニルモノマーとを共重合
させることにより、イオン交換性基を有する重合体を得
ることもできる。また、イオン交換性基を導入すること
のできる重合体に、化学反応させることによって、イオ
ン交換性基を導入させる方法もしばしば好適に採用され
る。例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水
カルボン酸の単独或いは共重合体を加水分解することに
より、カルボキシル基を有する重合体を得る方法、又
は、ポリビニルアルコールを硫酸エステル化反応させる
ことにより、スルホン酸基を有する重合体を得る方法等
が挙げられる。
本発明に於けるイオン交換性基を有する重合体として
は前記したように合成することによって得た合成重合体
の他に、イオン交換性基を有する天然高分子も使用可能
である。一般に本発明に於いて使用されるイオン交換性
基を有する天然高分子を例示すると、アルギン酸、アル
ギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヘパ
リン、コンドロイチン硫酸及びこれらの誘導体等が挙げ
られる。
本発明において、陰イオン交換性基又は陽イオン交換
性基を有する重合体は、上記条件を満たすものであれば
2種以上を混合して用いても差し支えない。
本発明のイオン感応膜の主構成成分の他の1つは、2
本又は3本の直鎖疎水基、または剛直性部分を連鎖中に
含む1本の直鎖疎水基を有し、かつ前記重合体のイオン
交換性基と反対荷電のイオン交換性基を有する有機化合
物(以下、直鎖有機化合物と略称する)である。
上記の直鎖有機化合物において直鎖疎水基は、得られ
るイオン感応膜の耐水性及び原料の入手の容易さから炭
素数10〜30の直鎖アルキル基またはそのハロゲン置換体
であることが好ましい。尚、本発明でいう直鎖疎水基は
完全に直鎖状のものに限らず、炭素数2個迄の分枝を有
する分枝状のものも含むものである。
本発明の直鎖有機化合物の一つの態様は、2本又は3
本の直鎖疎水基を有するものである。該直鎖疎水基が1
本であるとイオン感応膜の耐水性が十分でなく、また4
本以上になると製造が困難となる。
また、本発明の直鎖有機化合物の一つの態様は、剛直
性部分を連鎖中に含む1本の直鎖疎水基を有するもので
ある。
本発明において剛直性部分とは次の,及びに示
す基をいう。
直結あるいは、炭素‐炭素多重結合、炭素‐窒素多重
結合、窒素‐窒素多重結合、エステル結合、アミド結合
等を介して連結された少なくとも2個の芳香環で構成さ
れる2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 等の2価の基が挙げられる。
2個の芳香環の結合が複数であるか、複数原子間の単
結合であって、その回転がエネルギー的に束縛を受けて
いる2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば 等の2価の基が挙げられる。
芳香環が縮合環を形成しているもので、この縮合環が
多分子間で積層した場合に、その回転が互いに立体的に
束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に例示すると、 等の2価の基が挙げられる。
剛直性部分を連鎖中に含む1本の直鎖疎水基を有する
直鎖有機化合物の直鎖疎水基の炭素数は、剛直性部分及
び、剛直性部分と該直鎖疎水基との結合部分を除いた部
分の炭素数を意味する。上記剛直性部分と直鎖疎水基と
の結合部分は、一般に炭素‐炭素単結合、エステル結
合、エーテル結合が好適である。
剛直性部分を連鎖中に含む直鎖疎水基を1本に限定す
るのは、もし2本以上になると重合体との混合およびそ
の後の成形加工の際に著しく困難が生じ、またイオン感
応膜の安定性に難が生じることが多く望ましくないから
である。
本発明において、直鎖有機化合物は上記した直鎖疎水
基と共に、前記したイオン交換性基を有する重合体のイ
オン交換性基と反対の荷電のイオン交換性基を有するこ
とが、該重合体と共に形成される膜の水中での安定性を
向上させる上で必要である。かかるイオン交換性基とし
ては重合体におけるイオン交換性基と同様なイオンが適
用される。特に、重合体のイオン交換性基が陽イオン交
換性基である場合、該直鎖有機化合物のイオン交換性基
は第四級アンモニウム基又はその塩であることが、得ら
れるイオン感応膜の耐水性が優れているために好まし
い。また、本発明の直鎖有機化合物中に含まれるイオン
交換性基の数は得られるイオン感応膜の成形加工性の点
から、1つであることが好ましい。
本発明の直鎖有機化合物は、上記の要件をみたすもの
であれば特に限定されず公知のものが用いられる。一般
に好適に使用される代表的なものを以下に具体的に示
す。
但し、R1,R2は同種又は異種の炭素数12〜30の直鎖ア
ルキル基又はそのハロゲン置換体であり、R3,R4は同種
又は異種の炭素数1〜4のアルキル基、又はそのハロゲ
ン原子及び/又は水酸基による置換体である。
但し、R1,R2は上記と同じであり、Aは、BjC
H2 k(但し、Bは であり、jは0又は1であり、kは正の整数である。) であり、h,iは正の整数である。R3,R4,R5は上記のR3
及びR4の説明と同じである。
但し、R1,R2,R3,R4,R5及びAは上記と同じであ
り、lは1又は2、mは0又は1である。
但し、R1,R2,R3,R4及びR5は上記と同じであり、n
は正の整数である。
但し、R3,R4及びR5は上記と同じであり、R6は炭素数
4〜30のアルキル基、アルキルオキシ基、若しくはアル
キルオキシカルボニル基又はこれらのハロゲン置換体で
あり、Dは (但し、Fは‐N=CH-,-N=N-,-CH=CH-, ‐O-, であり、pは0又は1である。)EはCH2 q又は‐O
CH2 rである。(但し、q,rは正の整数である。) 但し、R1,R2は同種又は異種の炭素数6〜30の直鎖ア
ルキル基又はそのハロゲン置換体である。
上記一般式〔B〕,〔D〕及び〔E〕中、k,n,q及び
rは正の整数であれば良いが、一般には原料の入手の容
易さから1〜16であることが好ましい。また、上記一般
式〔B〕中、h及びiは、正の整数を何ら制限なく取り
得るが、一般には原料の入手の容易さから1〜4である
ことが好ましい。さらに、上記一般式〔A〕,〔B〕,
〔C〕,〔D〕,〔E〕及び〔F〕中、R1,R2,R3
R4,R5及びR6で示されるハロゲン置換アルキル基のハロ
ゲン原子としては、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素の各原
子が挙げられる。
本発明のイオン感応膜を構成する直鎖有機化合物はイ
オン交換性基を有する重合体のイオン交換性基と反対の
荷電のイオン交換基を有するものであれば2種以上を混
合して用いても差し支えない。
前記したイオン交換性基を有する重合体及び直鎖有機
化合物のみによりイオン感応膜を構成することも可能で
あり、炭酸イオン等の妨害イオンに対して塩素イオンの
応答性が高いものである。
本発明にあっては、上記構成成分に炭素数が10以上の
直鎖状アルコール(以下、単に直鎖状アルコールとい
う)を加えることにより、塩素イオンに対する選択応答
性が更に改良され、且つ耐久性の優れたイオン感応膜を
得ることを可能としたものである。即ち、上記の直鎖状
アルコールの炭素数が10未満の場合は、得られるイオン
感応膜の耐水性が乏しく、極めて短期間でアルコール添
加による選択応答性の向上効果が消失する。また、直鎖
状である必要性は、他の構成成分との相溶性を向上さ
せ、アルコールの添加による効果を充分発揮させると共
に、イオン感応膜の強度を低下させないことにある。
本発明の直鎖状アルコールは、上記を満たすものであ
れば、特に限定されず公知のものが用いられる。一般
に、得られるイオン感応膜の耐水性、原料の入手の容易
さを勘案すれば、炭素数16〜18の直鎖状アルコールが好
適に使用される。
本発明のイオン感応膜において、前記直鎖状アルコー
ルは、前記重合体と前記直鎖有機化合物の合計量に対し
て、10〜150重量%の割合で含有される。直鎖状アルコ
ールが10重量%以下であると、得られるイオン感応膜の
イオン選択性の向上効果が十分でないことがある。ま
た、150重量%以上であると、得られるイオン感応膜の
耐水性及び強度が不十分となることがある。
本発明のイオン感応膜は、前記イオン交換性基を有す
る重合体と前記直鎖有機化合物を主構成成分とするが、
該イオン感応膜が塩素イオンに対して高い応答性(選択
性)を示すためには、陰イオン交換性基が陽イオン交換
性基に対して過剰に存在することが必要である。該イオ
ン感応膜中の陰イオン交換性基と陽イオン交換性基の比
(陰イオン交換性基/陽イオン交換性基)は当量比で1
を超え、2.00以下となる範囲、好ましくは1.05〜1.50の
範囲が好適に採用される。尚、イオン交換性基の量は元
素分析値より求めることができる。イオン感応膜中の陰
イオン交換性基と陽イオン交換性基の比が上記範囲より
小さい場合には塩素イオンに対して高い応答性が得られ
ず、また、その比が上記範囲より大きい場合には、イオ
ン感応膜が水中で溶解し易くなり実用的でない。
本発明において、イオン感応膜中の陰イオン交換性基
と陽イオン交換性基の比は、一般に前記イオン交換性基
を有する重合体と前記直鎖有機化合物の混合比によって
調整することができる。また、本発明のイオン感応膜
は、前記イオン交換性基を有する重合体と前記直鎖有機
化合物の他に、得られるイオン感応膜に悪影響を与えな
い範囲で陰イオン交換性基を有する疎水性化合物等を用
いても差し支えない。上記の化合物が疎水性である必要
性は、得られるイオン感応膜の水中での安定性を向上さ
せるためである。陰イオン交換性基を有する疎水性化合
物として好適に使用される代表的なものを以下に具体的
に示す。
(但し、R3,R4,R5は同種又は異種の炭素数1〜4のア
ルキル基、又はそのハロゲン原子及び/又は水酸基によ
る置換体であり、nは10〜20の整数であり、Xはハロゲ
ン原子又は安定な陰イオンを形成する原子団である。) (但し、R6は炭素数6〜20のアルキル基又はフェニル基
であり、Xは上記Xと同じである。) 上記陰イオン交換性基を有する疎水性化合物を用いる
場合、得られるイオン感応膜の水中での安定性を勘案す
れば、その割合は、主構成成分の陰イオン交換性基に対
する該疎水性化合物の陰イオン交換性基の当量比(陰イ
オン交換性基を有する疎水性化合物/主構成成分の陰イ
オン交換性基)が0.05〜0.5となる範囲が好適である。
なお、上記した疎水性化合物の陰イオン交換性基の量
も本発明のイオン感応性膜において陽イオン交換性基と
の比の対象となる。
本発明のイオン感応膜の製造方法は特に限定されず、
どのような方法であっても良い。一般に、好適な製造方
法としては、前記イオン交換性基を有する重合体と前記
長鎖有機化合物を主構成成分とする組成物(以下イオン
交換性組成物と略称する)を製造した後、これに直鎖状
アルコールを添加混合し、膜状物に成形する方法が挙げ
られる。上記の方法を用いることによりイオン感応膜の
アルコール添加による効果がより向上する。
上記のイオン交換性組成物の製造方法も特に限定され
ないが、好適な製造方法としては、例えば、イオン交換
性基を有する重合体とそれと反対荷電のイオン交換性基
を有する直鎖有機化合物とを、それぞれ同一または異な
る溶媒に溶解あるいは懸濁せしめ、これらを混合し生じ
た沈殿を集める方法がある。ここで使用される溶媒は同
一の溶媒の場合、水、或いは水と相溶性のある有機溶媒
との混合溶媒例えば水/メタノール混合溶媒、水/エタ
ノール混合溶媒、水/アセトン混合溶媒等が一般に好適
である。重合体と直鎖有機化合物とで異なる溶媒を使用
する場合、重合体の溶媒には一般に水が好適である。直
鎖有機化合物の溶媒としては水、メタノール、エタノー
ル、2-プロパノール、アセトン、酢酸エチル、エチルエ
ーテル、ベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、テト
ラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、アセトニトリル等が好適に用いられる。この
時互いに混和しない溶媒の場合には、一般に混合の際に
激しく攪拌する等の方法でエマルジョンにする操作が沈
澱物を得るのに有効である。一般に上記の方法によって
得られる沈殿物は水に難溶性である。これはイオン交換
性基を有する重合体とそれと反対荷電を有する直鎖有機
化合物とがイオン対を形成するためと考えられる。この
事は、前記沈殿物において混合前の構成成分の有する対
イオンの相当量が消失していることからも支持される。
また、上記の方法で得られた沈殿物に、更に必要に応
じてイオン交換性基を有する重合体、イオン交換性基を
有する直鎖有機化合物、または陰イオン交換性基を有す
る疎水性化合物を添加混合して、陰イオン交換性基が陽
イオン交換性基に対して当量比で過剰になるように調製
することもできる。上記の混合方法は特に限定されない
が、これらの各構成成分を可溶性溶媒に溶解した後、溶
媒を蒸発せしめる方法が好適に採用される。ここで用い
られる可溶性溶媒としては、各構成成分の溶解性によっ
て相異するが、一般にはジメチルホルムアミド、ジクロ
ルメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロ
ルエタン、クロルベンゼンを用いることが好ましい。
このようにして製造された本発明で用いられるイオン
交換性組成物は、一般に無色、白色あるいは淡黄色の固
体である。また水には難溶であるが、有機溶媒、例えば
ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロルメタ
ン、ジクロルエタン、テトラヒドロフラン、クロルベン
ゼン等には、室温〜100℃で溶解する。
上記製造方法によって得られるイオン交換性組成物
に、直鎖状アルコールを添加混合し膜状物に成形する方
法は特に限定されず、どのような方法であってもよい。
一般に好適に使用される方法を例示すれば以下の通りで
ある。
本発明のイオン交換性組成物と直鎖状アルコールを可
溶性溶媒に溶解し、適当な基板上に流延させた後、溶媒
を除去せしめる等の方法で膜状物を得る方法。ここで使
用される溶媒は本発明のイオン交換性組成物を直鎖状ア
ルコールを溶解するものであれば特に限定されないが、
前記したイオン交換性組成物の製法で述べた可溶性溶媒
が好適に用いられる。上記溶媒の除去には、一般に風
乾、加熱乾燥、減圧乾燥等が特に制限されず用いられ
る。
イオン交換性組成物と直鎖状アルコールを可溶性溶媒
に溶解した後、溶媒を除去せしめ、加熱成形及び延伸す
ることによって膜状物とする方法。ここで用いられる可
溶性溶媒としては、各構成成分の溶解性によって相異す
るが、一般にはジメチルホルムアミド、ジクロルメタ
ン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロルエタ
ン、クロルベンゼン、1,1,2,2-テトラクロルエタンを用
いることが好ましい。上記溶媒の除去には、一般に風
乾、加熱乾燥、減圧乾燥等が特に制限されず用いられ
る。上記の加熱成形時の温度は、イオン交換性組成物の
軟化点付近が採用され、イオン交換性組成物の種類によ
って異なるが、一般には、50〜200℃の範囲より選択さ
れる。
本発明のイオン感応膜の厚みは特に限定されないが、
一般に0.1μ〜5mm、好ましくは5〜1000μの範囲とする
ことが得られるイオン感応膜に実用に十分な膜強度を付
与することができ好ましい。
本発明のイオン感応膜は、一般にその基本的性質とし
て液晶性を示す事が多い。液晶性を示す温度範囲は、通
常0〜200℃の範囲内にある。液晶性は一般に示差走査
熱量計による測定によって確認される。もし液晶ならば
ある温度で固体から液晶への転移に伴なう熱量が観測さ
れ、その温度は固体‐液晶転移温度と呼ばれる。従っ
て、本発明のイオン感応膜は上記の固体‐液晶転移温度
以下で、より好ましくは固体‐液晶転移温度より10℃以
上低い温度で使用することが望ましい。固体‐液晶転移
温度以上で使用した場合、種々の陰イオン、特に2価の
陰イオンに対する選択性が低下し、また電極寿命も短か
くなる場合がある。
本発明のイオン感応膜の塩素イオンに対する選択性を
向上させるために、用いるイオン感応膜をその固体‐液
晶転移温度以上の水中に1分間以上浸漬することが好ま
しい。かかる操作によりイオン感応膜における塩素イオ
ンの炭酸水素イオンに対する選択性が向上し、これをイ
オン選択性電極の感応膜として使用することにより塩素
イオンを高い感度で測定することができ、また、測定さ
れる電位も安定することが多い。
本発明のイオン感応膜において、該イオン感応膜に繊
維状物を存在させることにより、イオン感応膜の反復使
用耐久性を著しく向上させることができる。即ち、本発
明のイオン感応膜は被測定液中において、構成物質の溶
出等がなく、長寿命であるが、該液中への浸漬及び空気
中での乾燥を繰り返すとイオン選択性が低下することが
ある。本発明者らは、イオン感応膜中に繊維状物を存在
させることにより、イオン選択性を低下させることな
く、かかる現象を防止し得ることを見い出したのであ
る。
また、イオン感応膜中に繊維状物を混入させることに
より、イオン感応膜の機械的強度をも向上させることが
でき、これをイオン選択性電極として使用する際、その
操作性の向上も図ることができる。
かかる繊維状物の材質としては、繊維状に成形可能な
ものであれば特に制限されず、公知の材質が使用され
る。一般に好適にしようされる材質を例示すれば以下の
通りである。即ち、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス等
のガラス類、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド、6,6-ナイロン等の合成高分子、木
綿、絹、セルロース等の天然高分子が好適に採用され
る。前記繊維状物の直径としては、0.1μm〜100μmの
範囲が好適に採用される。直径が0.1μmより小さい場
合には膜強度の向上が顕著でなく、又、100μmより大
きい場合にはイオン感応膜の応答性が悪化する傾向があ
る。前記繊維状物の長さとしては1μm〜1cmの範囲が
好適に採用される。長さが1cmより小さい場合には膜強
度の向上が顕著でなく、また、該長さが1cmより大きい
場合にはイオン感応膜の応答性が悪化する傾向がある。
繊維状物を本発明のイオン感応膜に混入させる方法は
特に限定されず、どのような方法であってもよい。一般
に好適に使用される方法を例示すれば、本発明のイオン
交換性組成物と直鎖状アルコールを可溶性溶媒に溶解し
た後、繊維状物を溶液中に分散させ、適当な基板上に流
延させた後、溶媒を除去せしめる等の方法でイオン感応
膜を得る方法が挙げられる。ここで使用される溶媒は、
本発明のイオン交換性組成物及び直鎖状アルコールを溶
解するものであれば特に限定されないが、前記したイオ
ン交換性組成物の製法で述べた可溶性溶媒が好適に用い
られる。上記溶媒の除去には、一般に風乾、加熱乾燥、
減圧乾燥等が特に制限されず用いられる。また、前記溶
液中に繊維状物を分散させる方法としては、攪拌、振と
う、超音波照射等が特に制限されず用いられる。
本発明のイオン感応膜中に繊維状物を混入させる場
合、該繊維状物とイオン交換性組成物の混合比は(繊維
状物/イオン交換性組成物、重量比)は、0.01〜0.3の
範囲が好適である。上記繊維状物の混合比が0.01より小
さい場合には、膜強度の向上が顕著でなく、また、0.3
より大きい場合にはイオン感応膜の応答性が悪化する傾
向がある。
〔効果〕
本発明のイオン感応膜は、重合体とそれとイオン結合
した直鎖有機化合物を主構成成分としているため、構成
物質の溶出等がほとんどなく、長寿命である。また、本
発明のイオン感応膜は、血液、尿等の生体液中に存在す
る炭酸水素イオンを始めとする種々の妨害イオンに対し
て塩素イオンの応答性が著しく高いため、これをイオン
選択電極のイオン感応膜として使用することにより、血
液、尿等の生体液中の塩素イオンの定量を極めて正確に
行なうことが可能であり、その工業的価値は極めて大き
い。
また、上記イオン感応膜中に繊維状物を存在させるこ
とにより、反復使用耐久性を著しく向上することができ
ると共に、強度も向上し、取扱が容易となる。
本発明のイオン感応膜が適用可能なイオン選択性電極
は、公知の構造を有するものが特に制限なく採用され
る。一般には、試料溶液に浸漬する部分の少なくとも一
部が前記イオン感応膜で構成された容器内に内部標準電
極、及び内部電解液を内蔵した構造が好適である。例え
ば代表的な態様としては前記の第1図に示した構造があ
る。即ち、第1図のイオン選択性電極は、電極筒体21の
底部にイオン感応膜22を装着して構成される容器内に、
内部電解液23が満たされ、且つ内部基準電極24を設けて
なるものである。なお、25は液シール用のOリングであ
る。
該電極においては、イオン感応膜以外の材質等は特に
制限されず、従来のものが限定なく採用される。例えば
電極筒体の材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリメタク
リル酸メチル等、内部電解液としては塩化ナトリウム水
溶液、塩化カリウム水溶液等、内部基準電極としては白
金、金、カーボグラファイトなどの導電性物質あるいは
銀‐塩化銀、水銀‐塩化水銀等の難溶性金属塩化物等が
使用される。
本発明のイオン感応膜を適用し得るイオン選択性電極
は、第1図に示した構造に限定されず、前記イオン感応
膜を有する電極であればいかなる構造であってもよい。
他のイオン選択性電極の好適なものを例示すれば、金、
白金グラファイト等の導電体あるいは、塩化銀、塩化水
銀等のイオン導伝体に前記イオン感応膜を貼付けて構成
されるイオン選択性電極等である。
また、本発明のイオン感応膜を使用したイオン選択性
電極は公知の方法で使用することができる。例えば、前
記した第1図に示すような使用態様が基本的である。即
ち、イオン選択性電極11は、塩橋12と共に試料溶液13中
に浸漬され、塩橋の他の1端は比較電極14と共に飽和塩
化カリウム溶液16に浸漬される。上記比較電極としては
一般に公知のものが採用されるが、好適に使用されるも
のを例示すれば、カロメル電極、銀‐塩化銀電極、白金
板、カーボングラファイト等である。
〔実施例〕
以下に本発明をさらに具体的に説明するために実施例
を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
尚、本発明の実施例中の膜強度の測定は以下に示す方
法で行なった。即ち、外径8mm,内径4mm長さ20mmのポリ
塩化ビニル製パイプ2本を、直径9mmのイオン感応膜の
両側にシアノアクリレート系接着材を用い接着する。こ
れを、室温で1時間放置した後、金属製のアタッチメン
トを取り付け、クロスヘッドスピード10mm/minの引張り
試験機で引張り強度を測定した。
また、本発明の実施例中のイオン感応膜の反覆使用耐
久性の測定は以下に示す方法で行なった。即ち、外径8m
m内径4mm長さ20mmのポリ塩化ビニル製パイプの片端に直
径8mmのイオン感応膜をシアノアクリレート系接着剤を
用い接着する。これを空気中と水中にそれぞれ1日ずつ
交互に放置し、30日経過後に膜中にひび割れが生じたか
どうかについて観察した。
製造例1 第1表に示す直鎖有機化合物50mmolを水1000mlに超音
波分散させ乳白色の溶液を得た。ポリスチレンスルホン
酸ナトリウム(粘度平均分子量:600万)50mmol(モノマ
ー単位)を水1000mlに溶解した。両者を混合して生成し
た沈殿をろ過によって集め、水500ml中で1時間、次い
でメタノール500ml中で時間攪拌した。再びろ過によっ
て沈殿を集め、減圧乾燥により固形物を第1表示す量得
た。元素分析により得られた固形物の組成比(有機化合
物/重合体、当量比)を求めた。結果をまとめて第1表
に示す。
製造例2 化合物 20mmolを水500mlに超音波分散させ乳白色の溶液を得
た。第2表に示す重合体18mmol(モノマー単位)を水50
0mlに溶解した。両者を混合して生成した沈殿を過に
よって集め、水500ml中で1時間、次いでメタノール500
ml中で1時間攪拌した。再びろ過によって沈殿を集め、
減圧乾燥により白色の固形物を第2表に示す量得た。元
素分析により得られた固形物の組成比(直鎖有機化合物
/重合体、当量比)を求めた。結果を第2表にまとめて
示す。
製造例3 第3表に示す直鎖有機化合物10mmolを水300mlに超音
波分散させ乳白色の溶液を得た。第3表に示す重合体10
mmol(モノマー単位)を水300mlに溶解した。両者を混
合して生成した沈殿をろ過によって、水500ml中で1時
間、次いでメタノール中で1時間攪拌した。再びろ過に
よって沈殿を集め、減圧乾燥により固形物を得た。元素
分析により得られた固形物の組成比(直鎖有機化合物/
重合体、当量比)を求めた。結果を第3表にまとめて示
す。
実施例1 製造例1で得られた製造No.1の固形物500mgとn-オク
タデシルアルコールを第4表に示す量、及び化合物 50mgをクロロホルム50mlに溶解した後、ポリテトレフル
オロエチレン(以下PTFEと略記する)製のシャーレに流
延した。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ
均一で透明な膜状物を得た。元素分析により陰イオン交
換性基と陽イオン交換性基の当量比を求めた。また、比
較膜1としてn-オクタデシルアルコールを含まない膜に
ついても同様に製膜した。結果を第4表にまとめて示
す。
上記の第4表に示す膜No.1〜8及び比較膜1のイオン
感応膜を80℃の水中に5分間浸漬した後、それぞれ第1
図の示すように電極に装着した。これを用いて第2図に
示した装置により、種々の陰イオンについて、濃度と電
位差の関係を測定した。得られた結果より公知の方法
〔G.J.Moody,J.D.Thomas著,宗森信,日色知夫訳「イオ
ン選択性電極」,共立出版,18ページ(1977)に記載の
方法〕により各陰イオンに対する塩素イオンの選択係数
を求めた。結果を第5表に示す。
第5表よりわかるように本発明のイオン感応膜を用い
たイオン選択性電極は、生体液中に存在する硫酸イオン
に対する塩素イオンの選択性が優れており、且つ直鎖状
アルコールを添加することにより、チオシアン酸イオ
ン、過塩素酸イオン、硝酸イオン等に対する塩素イオン
の選択性が著しく改善されており、生体液中の塩素イオ
ン濃度の測定に好適である。
実施例2 製造例1で得られた製造No.1の固形物500mgと第6表
に示す直鎖状アルコールを第6表に示す量、及び化合物 80mgをクロロホルム50mlに溶解した後、PTFE製のシャー
レに流延した。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸
発させ均一で透明な膜状物を得た。元素分析により陰イ
オン交換性基と陽イオン交換性基の当量比を求めた。ま
た、比較膜2として直鎖状アルコールを含まない膜につ
いても同様に製膜した。結果を第6表にまとめて示す。
上記の第6表に示す膜No.9〜14及び比較膜2のイオン
感応膜を90℃の水中に4分間浸漬した後、それぞれ第1
図の示すように電極に装着した。これを用いて第2図に
示した装置により、種々の陰イオンについて、濃度と電
位差の関係を測定した。得られた結果より公知の方法
〔G.J.Moody,J.D.Thomas著,宗森信,日色知夫訳「イオ
ン選択性電極」,共立出版,18ページ(1977)に記載の
方法〕により各陰イオンに対する塩素イオンの選択係数
を求めた。結果を第7表に示す。
第7表よりわかるように本発明のイオン感応膜を用い
たイオン選択性電極は、生体液中に存在する硫酸イオン
に対する塩素イオンの選択性が優れており、且つアルコ
ールを添加することにより、チオシアン酸イオン、過塩
素酸イオン、硝酸イオン等に対する塩素イオンの選択性
が著しく改善されており、生体液中の塩素イオン濃度の
測定に好適である。
実施例3 製造例1〜3で得られた固形物500mgとn-オクタデシ
ルアルコール250mg、及び第8表に示す化合物を第8表
に示す量クロロホルム50mlに溶解した後、PTFE製のシャ
ーレに流延した。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で
蒸発させ均一で透明な膜状物を得た。元素分析により陰
イオン交換性基と陽イオン交換性基の当量比を求めた。
結果を第8表にまとめて示す。
上記の第8表に示す膜No.15〜30のイオン感応膜を90
℃の水中に3分間浸漬した後、それぞれ第1図の示すよ
うに電極に装着した。これを用いて第2図に示した装置
により、種々の陰イオンについて、濃度と電位差の関係
を測定した。得られた結果より公知の方法〔G.J.Moody,
J.D.Thomas著,宗森信,日色知夫訳「イオン選択性電
極」,共立出版,18ページ(1977)に記載の方法〕によ
り各陰イオンに対する塩素イオンの選択係数を求めた。
結果を第9表に示す。尚、比較膜3として、ポリ塩化ビ
ニル、塩化メチルトリドデシルアンモニウム及びジブチ
ルフタレートを成分とするイオン感応膜〔Analitical
Chemistry,56,535-538(1984)に記載されたもの〕につ
いて同様な方法で求めた塩素イオンの選択係数を第9表
に併せて示す。
第9表よりわかるように本発明のイオン感応膜を用い
たイオン選択性電極は、生体液中に存在する硫酸イオン
に対する塩素イオンの選択性が優れており、且つアルコ
ールを添加することにより、チオシアン酸イオン、過塩
素酸イオン、硫酸イオン等に対する塩素イオンの選択性
が著しく改善されており、生体液中の塩素イオン濃度の
測定に好適である。
実施例4 製造例1で得られた固形物500mgと第10表に示す疎水
性化合物50mg及びn-オカタデシルアルコール300mgをク
ロロホルム50mlに溶解した後、PTFE製シャーレに流延し
た。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で蒸発させ均一
で透明な膜状物を得た。元素分析により陰イオン交換性
基と陽イオン交換性基の当量比を求めた。結果を第10表
にまとめて示す。
上記の第10表に示す膜No.31〜33のイオン感応膜につ
いて、実施例1と同様な方法により塩素イオンに対する
選択係数を測定した。結果を第11表に示す。
実施例5 第12表に示す直鎖有機化合物と重合体を第12表に示す
量各々水500mlに溶解した。両者を混合し生成した沈澱
を濾過によって集めた後減圧下に乾燥し固形物を第12表
に示す量得た。得られた固形物500mgとn-オクタデシル
アルコール250mgをクロロホルム30mlに溶解しPTFEシャ
ーレに流延した。クロロホルムを50℃大気圧の条件下で
蒸発させ透明で均一な膜状物を得た。元素分析により得
られた膜状物の陰イオン性交換性基と陽イオン交換性基
の当量比を求めた。結果をまとめて第12表に示す。
上記の第12表に示す膜No.34〜39のイオン感応膜につ
いて、実施例1と同様な方法により塩素イオンに対する
選択係数を測定した。結果を第13表に示す。
実施例6 n-オクタデシルアルコール200mgと製造例1〜3で得
られた固形物及び第14表に示す直鎖有機化合物を第14表
に示す量500mlのクロロホルムに溶解した。得られた溶
液に平均直径2μm平均長さ1mmのガラス繊維を第13表
に示す量加え、超音波照射により分散させた。次いで、
PTFE製シャーレに流延した後、クロロホルムを50℃大気
圧の条件下で蒸発させ均一で透明な膜状物を得た。元素
分析により陰イオン交換性基と陽イオン交換性基の当量
比を求めた。結果を第14表にまとめて示す。
上記の第14表に示す膜No.40〜55のイオン感応膜の引
張り強度を測定した。また、参考のため、ガラス繊維の
混入されていない膜No.1,8,17〜30のイオン感応膜の引
張り強度を測定した。結果をまとめて第15表に示す。更
に、上記第14表に示す膜No.40〜51のイオン感応膜の反
復使用耐久性も測定した。結果を併せて第15表に示す。
また、上記第13表に示す膜No.28〜45のイオン感応膜
を80℃の水中に5分間浸漬した後、実施例1と同様な操
作で各イオンに対する塩素イオンの選択係数を求めた。
結果を第16表に示す。
第16表よりわかるように、本発明のイオン感応膜に繊
維成仏を混入することにより、膜強度が著しく向上して
いる。また、第15表よりわかるように、イオン選択性電
極として使用した場合にもチオシアン酸イオン、過塩素
酸イオン、硝酸イオンに対する塩素イオンの選択性が良
好であるため、生体液中の塩素イオン濃度の測定に好適
である。
実施例7 製造1で得られた固形物500mgと第16表に示す疎水性
化合物50mg及びn-オクタデシルアルコール300mgをクロ
ロホルム50mlに溶解した。得られた溶液に第17表に示す
繊維状物を第17表に示す量加え、超音波照射により分散
させた。PTFE製シャーレに流延した後、クロロホルムを
50℃大気圧の条件下で蒸発させ均一で透明な膜状物を得
た。元素分析により陰イオン交換性基と陽イオン交換性
基の当量比を求めた。結果を第17表にまとめて示す。
上記の第17表に示す膜No.56〜58のイオン感応膜の引
張り強度を測定した。また、参考のため、ガラス繊維の
混入されていない膜No.31〜33のイオン感応膜の引張り
強度を測定した。結果をまとめて第18表に示す。
更に、上記第17表に示す膜No.56〜58のイオン感応膜
の反復使用耐久性も測定した。結果を併せて第18表に示
す。
また、上記第17表に示す膜No.56〜58のイオン感応膜
を80℃の水中に5分間浸漬した後、実施例1と同様な操
作で各イオンに対する塩素イオンの選択係数を求めた。
結果を第19表に示す。
第18表よりわかるように、本発明のイオン感応膜に繊維
成仏を混入することにより、膜強度が著しく向上してい
る。また、第19表よりわかるように、イオン選択性電極
として使用した場合にもチオシアン酸イオン、過塩素酸
イオン、硝酸イオンに対する塩素イオンの選択性が良好
であるため、生体液中の塩素イオン濃度の測定に好適で
ある。
実施例8 膜No.1のイオン感応膜を80℃の水中に5分間浸漬した
後第1図に示すように電極に装着した。これを用いて第
2図に示した装置により、10-4Mから10-1Mの塩化ナトリ
ウム水溶液を試料溶液として20℃での比較電極(カロメ
ル電極)とイオン選択性電極の電位差を測定した。得ら
れた電位差と試料溶液の塩素イオン濃度の関係を第3図
に示した。第3図からわかるように、本発明のイオン選
択性電極は10-4Mから10-1Mの範囲で直線応答を示す。ま
た、この時電位勾配は58mV/decadeであった。この値
は、ネルンスト式より求まる計算値59mV/decadeとよく
一致しており、この結果より本発明のイオン感応膜が塩
素イオンに対して十分な感度を有していることが明らか
である。
実施例9 膜No.1のイオン感応膜を80℃の水に5分間浸漬した
後、第1図の如くに電極に装着した。これを用い第2図
に示す装置により、試料溶液中の塩化ナトリウムの濃度
を1mMから3.1mMへ急激に変化させた時の出力電位の値を
第20表に示す。また、上記塩化ナトリウムの濃度と出力
電位との関係を第4図に示す。第4図からわかるように
本発明のイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は98%
応答が4秒以内であり迅速な測定が可能である。また前
記測定を500回繰り返しても出力電位の変化はほとんど
観測されなかった。
用途例 前記した実施例1〜3において得られた膜No.1〜27の
イオン感応膜および比較膜1〜3を80℃の水に浸漬した
後第1図の如く電極に装着した。これを用い第2図に示
す装置により、1.06mMと3.83mMの塩化ナトリウム水溶液
を試料溶液とした時の出力電位を測定した。測定値より
塩素イオン濃度と出力電位の検量線を作製した。一方、
試験溶液として塩化ナトリウム2.13mM、炭酸水素ナトリ
ウム0.64mM、リン酸二水素ナトリウム0.64mM、硫酸ナト
リウム10mMを含む水溶液を用い出力電位を測定し、前記
検量線より塩素イオン濃度を求めた。その結果を第21表
に示す。この結果より、本発明のイオン感応膜を用いて
得られた測定値は試験溶液中の実際の塩素イオン濃度2.
13mMとよく一致しており、本発明のイオン感応膜を用い
たイオン選択性電極が、種々の陰イオンを含む溶液中の
塩素イオン濃度を正確に測定できることが明らかであ
る。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明のイオン感応膜を用いるイオン選択性電
極の一例の構成を示す断面図である。第2図は第1図の
イオン選択性電極を用いて電位差を測定する装置の説明
図である。第3図は実施例1において測定した塩素イオ
ン濃度と電位差の関係を示す図である。第4図は実施例
3において測定した本発明のイオン選択性電極の応答速
度を示す図である。 第1図及び第2図中で各番号は次の内容を示す。 11…イオン選択性電極、12…塩橋、13…試料溶液、14…
比較電極、15…エレクトロメーター、16…飽和塩化カリ
ウム水溶液、17…記録形、21…電極筒体、22…イオン感
応膜、23…内部電解液、24…内部基準電極、25…Oリン
グ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)陰イオン交換性基又は陽イオン交換
    性基を有する分子量5000以上の重合体 (ii)2本又は3本の長鎖疎水基又は剛直性部分を連鎖
    中に含む1本の直鎖疎水基と、上記重合体の有するイオ
    ン交換性基とは反対の荷電のイオン交換性基とを有する
    有機化合物 及び (iii)炭素数10以上の直鎖状アルコール 以上(i),(ii)及び(iii)を主構成成分とする混
    合物よりなり、該混合物中の陰イオン交換性基は陽イオ
    ン交換性基より多く存在し、且つ直鎖状アルコールが上
    記(i)の重合体と(ii)の有機化合物の合計重量に対
    して10〜150重量%の割合で存在する膜状物からなるイ
    オン感応膜。
  2. 【請求項2】膜状物中に、繊維状物よりなる補強材が分
    散している特許請求の範囲第1項記載のイオン感応膜。
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JPH01197647A (ja) 1989-08-09

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