JPH07103252B2 - イオン感応膜の製造方法 - Google Patents

イオン感応膜の製造方法

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JPH07103252B2
JPH07103252B2 JP2100239A JP10023990A JPH07103252B2 JP H07103252 B2 JPH07103252 B2 JP H07103252B2 JP 2100239 A JP2100239 A JP 2100239A JP 10023990 A JP10023990 A JP 10023990A JP H07103252 B2 JPH07103252 B2 JP H07103252B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は溶液中のイオンの活量測定用のイオン選択性電
極に用いる新規なイオン感応膜の製造方法に関する。詳
しくは、イオン選択性電極の境界膜として使用した場
合、塩素イオンに対して優れた感応性を有するイオン感
応膜の製造方法である。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 近年、イオン選択性電極を医療用に応用し、血液や尿等
の生体液中に溶解しているイオン、例えばナトリウムイ
オン、カリウムイオン、塩素イオンなどの定量を行う試
みが盛んに行われている。これは、生体液中の特定のイ
オン濃度が生体の代謝反応と密接な関係にあることに基
づいて該イオン濃度を測定することにより、高血圧症
状、心臓疾患、腎疾患、神経障害等の種々の診断を行う
ものである。
一般に、イオン選択性電極は、第1図に示すように試料
液に浸漬する部分(一般には底部)に境界膜としてイオ
ン感応膜12を設けて構成された筒状容器11中に、内部電
解液13及び内部基準電極14を設けることにより基本的に
構成される。
かかるイオン選択性電極を用い、溶液中のイオンの活量
の測定を行うためのイオン測定装置の代表的な構造を第
2図に示す。即ちイオン選択性電極21は塩橋22と共に試
料溶液23に浸漬され、塩橋の他の一端は比較電極24と共
に飽和塩化カリウム溶液26に浸漬される。両電極間の電
位差はエレクトロメータ25で読み取られ、該電位差より
試料溶液中の特定のイオン種のイオン活量を求めること
ができる。このようなイオン測定装置に用いるイオン選
択性電極の性能は、それに用いるイオン感応膜の性能に
よって決定される。
従来から、陰イオン、特に塩素イオンを選択的に検出す
るためのイオン感応膜として種々の膜が提案されてい
る。例えば、 a)塩化銀を主体とする固体成形膜 b)ポリ塩化ビニル等の重合体、四級アンモニウム塩な
どのイオン感応物質及び可塑剤を混合して製膜した膜 c)トリメチルアンモニウム基、ピリジニウム基等のイ
オン交換性基を有する重合体よりなる陰イオン交換膜 等の膜が知られている。しかしながら,(a)のタイプ
のイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、溶液中に
臭素イオン、シアンイオン、チオシアン酸イオン等が存
在していると、これらイオンの影響で膜表面が化学変化
するため電位が安定化しにくく、甚だしい場合には電位
計測が不可能となる場合がある。また、種々の生体液等
の測定においては、タンパク質等の影響を受け易く、や
はり電位が安定しないという欠点がある。(b)のタイ
プのイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、応答が
遅く、また、膜中のイオン感応物質が徐々に溶液中に溶
解するため、電極寿命が短いという欠点がある。(c)
のタイプのイオン感応膜を用いたイオン選択性電極は、
イオン性基が膜を構成する重合体に共有結合で導入され
ているため寿命が長いという長所を有しているが、前記
した交換基を有する陰イオン交換膜は一般に電解用に用
いられるイオン交換膜であり、イオン感応膜として用い
た場合、塩素イオン以外の妨害イオン、例えば、リン酸
イオン、炭酸水素イオン等の影響が大きく、また得られ
る電位も不安定であるという欠点を有している。本発明
者は、上記イオン感応膜の塩素イオンに対する選択性を
改善するために長鎖アルキル基等の特定の疎水性基を導
入した直鎖状重合体よりなるイオン感応膜を提案した。
(特開平01−232250)。しかしながら、上記したイオン
感応膜は良好なイオン選択性を示すものの、試料溶液中
の有機物によって汚染され易いという問題を有してい
る。従って、生体液中の塩素イオンを高感度で測定でき
かつ、耐有機汚染性の優れたイオン選択性電極を与える
イオン感応膜の開発が望まれていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、かかる問題点を解決し得るイオン感応膜
を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、前期イオン
感応膜を構成する特定の疎水性基導入した直鎖状重合体
を構成するユニットに特定のユニットを組み合わせて架
橋することにより、塩素イオンに対して優れたイオン感
応性を有し、且つ良好な耐有機汚染性を有するイオン感
応膜が得られることを見い出し本発明を完成するに至っ
た。
即ち、本発明は下記の一般式[I]又は[II] (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
基、X-はハロゲンイオン、又は陰イオンを形成する原子
団、Zは −OCOR3−、−CONHR3−、及び −NHCOR3−(但し、R3はCH2 、 −CH2CH2OCH2 mCH2−、又は −CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)−、 (但し、mは1〜10の整数)、nは1〜10の整数であ
る)から選ばれた基、R1,R2は炭素数5以下のアルキル
基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及
びベンジル基より選ばれた同種又は異種の基、Aは2本
又は3本の長鎖疎水基、又は剛直性部分を連鎖中に含む
1本の直鎖疎水基のいずれかを有する非イオン性の1価
の基であり、B1,B2は同種又は異種の非イオン性の1価
の長鎖疎水基を示す。)で表されるユニットを10mol%
以上含み,且つ 下記の一般式[III] (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
基、R4は水素または炭素数5以下のアルキル基より選ば
れた基を示す。)で表されるユニットを10mol%以上含
む直鎖状重合体を膜状に成形した後、該直鎖状重合体を
架橋することを特徴とするイオン感応膜の製造方法であ
る。
本発明の方法において使用する直鎖状重合体は、その分
子中に前記一般式[I]及び[II]に示される特定の第
4級アンモニウム基を有するユニットを含有することが
イオン感応膜の塩素イオンに対する選択性を飛躍的に向
上させるために必要である。
本発明において、前記一般式[I]及び[II]中、Yで
示されるアルキル基は、その炭素数について限定されな
いが、原料の入手の容易さから炭素数1〜4のものが好
適に使用される。X-で示されるハロゲンイオンとして
は、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素の各イオンが、X-で示
される安定な陰イオンを形成する原子団としては、公知
の原子団が特に制限なく使用されるが、一般にNO3 -,ClO
4 -,OH-,SCN-,CH3COO-等が好適に使用される。更に、前
記一般式[I]及び[II]中、R1,R2で示される炭素数
5以下のアルキル基、又はそのハロゲン置換体、もしく
は水酸基置換体としては、一般に公知のものが特に制限
なく使用されるが、好適に使用されるものを例示すれ
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、クロルメチル基、2,2−ジクロルエチル基、2
−クロルエチル基、3−クロルプロピル基、2−ブロモ
エチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル
基、3−ヒドロキシプロピル基等である。上記アルキル
基の炭素数が6以上になると、得られるイオン感応膜の
選択性が低下することがある。前記一般式[I]及び
[II]中、Zは、 −OCOR3−、−CONHR3−、及び −NHCOR3−(但し、R3はCH2 、 −CH2CH2OCH2 mCH2−、又は −CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)−、 (但し、mは1〜10、好ましくは1〜4の整数)、n
は、1〜10、好ましくは1〜4の整数)から選ばれた基
である。これらの基を用いることにより原料の入手、重
合体の製造が容易となる。
本発明において、前記一般式[I]中、Aは、2本又は
3本の長鎖疎水基、又は剛直性部分を連鎖中に含む1本
の直鎖疎水基のいずれかを有する非イオン性の1価の基
(以下、疎水性基と略称する。)である。本発明のイオ
ン感応膜を構成する重合体中にかかる前記疎水性基が存
在することにより、得られるイオン感応膜の選択感応性
が向上すると共に、水中で使用する際の安定性が増加す
ることができる。
本発明において疎水性基のうち長鎖疎水基は、得られる
イオン感応膜のイオン選択性、及び原料の入手の容易さ
から、炭素数10〜30の直鎖アルキル基またはそのハロゲ
ン置換体であることが好ましい。尚、本発明でいう長鎖
疎水基とは、完全に直鎖状のものの他に、炭素数2個ま
での分枝を有する分枝状のものをも含むものである。
本発明の疎水性基の一態様は、2本又は3本の長鎖疎水
基を有するものである。該長鎖疎水基が1本であると得
られるイオン感応膜の耐水性が十分でなく、また4本以
上になると重合体製造上原料の入手に難がある。
また、前記疎水性基の他の一態様の、剛直性部分を連鎖
中に含む1本の直鎖疎水基を有する非イオン性の1価の
基において、剛直性部分は、次の,及びに示す基
が挙げられる。
直結あるいは、炭素−炭素多重結合、炭素−窒素多
重結合、エステル結合、アミド結合等を介して連結され
た少なくとも2個の芳香環で構成される2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば 等の2価の基が挙げられる。
芳香環間の結合が、複数であるか、又は原子団を介
してあるいは介さないで単結合であって、その回転がエ
ネルギー的に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に例示すると、 芳香環が縮合を形成しているもので、この縮合環が
多分子間で積層した場合に、その回転が互いに立体的に
束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に例示すると、 等の2価の基が挙げられる。
剛直性部分を連鎖中に含む1本の直鎖疎水基を有する疎
水性基の直鎖疎水基の炭素数は、得られるイオン感応膜
の耐水性及び原料の入手の容易さより4〜30であること
が好ましい。なお、ここでいう上記炭素数は、剛直性部
分及び、剛直性部分と該直鎖疎水基との結合部分を除い
た部分の炭素数を意味する。上記剛直性部分と直鎖疎水
基との結合部分は、一般に炭素−炭素結合、エステル結
合、エーテル結合が好適である。剛直性部分を連鎖中に
含む直鎖疎水基は1本であることが必要である。即ち、
該直鎖疎水基が2本以上になると重合体との混合及びそ
の後の成形加工の際に著しく困難が生じ、またイオン感
応膜の安定性に難が生じることが多く望ましくない。
本発明において、前記疎水性基は、上記をみたすもので
あれば特に限定されず公知のものが用いられる。一般に
好適に使用される代表的なものを以下に具体的に示す。
但し、R5,R6は同種又は異種の炭素数12〜30の直鎖アル
キル基又はそのハロゲン置換体であり、Dは、E
CH2 (但し、Eは であり、jは0又は1であり、kは正の整数である。)
であり、h,iは正の整数である。
但し、R5,R6,D,及びjは上記と同じでありlは1又は2
である。
但し、R5及びR6は上記と同じであり、kは正の整数であ
る。
R7−V−G− [D] 但し、R7は、炭素数4〜22のアルキル基、アルキルオキ
シ基、もしくはアルキルオキシカルボニル基又は、これ
らのハロゲン置換体であり、Vは、 (但し、Wは−N=CH−,−N=N−,−CH=CH−,−
NO=N−,−CONH−,−COO−,−O−,−CO−,−C
CH3−, または、 であり、jは上記と である。)Gは、CH2 又は、 −OCH2 である。(但し、pは正の整数であ
る。) 上記一般式[A],[B],[C],[D]中、k,pは
正の整数であれば良いが、一般には原料の入手の容易さ
から1〜16であることが好ましい。また、上記一般式
[A]中、h及びiは、正の整数をなんら制限なく取り
得るが、一般には原料の入手の容易さから1〜4である
ことが好ましい。さらに、上記一般式[A],[B],
[C]及び[D]中、R5及びR6で示されるハロゲン置換
アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素の各原子が挙げられる。
前記一般式[II]中B1、B2は同種又は異種の非イオン性
の1価の長鎖疎水基である。本発明に用いる重合体中に
前記長鎖疎水基が存在することにより、得られるイオン
感応膜の選択性が向上すると共に、水中で使用する際の
安定性が増加する。上記長鎖疎水基は、原料の入手の容
易さから、炭素数12〜30の直鎖アルキル基またはそのハ
ロゲン置換体、直鎖アルキルカルボキシアルキル基、ま
たは直鎖アルキルオキシカルボニルアルキル基から選ば
れた基であることが好ましい。また、更に好適な基を具
体的に例示すれば以下の通りである。
R8T−U [E] (但し、R8は炭素数12〜30の直鎖アルキル基又はそのハ
ロゲン置換体であり、Tは、−COO−あるいは−OCO−で
あり、UはCH2 であり、jは前記と同様であ
る。) 上記一般式[E]中、qは正の整数であればなんら制限
なく採用されるが、原料の入手の容易さから1から5で
あることが好ましい。さらに、R8で示されるハロゲン置
換アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、
臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。
本発明の方法において使用する直鎖状重合体は前記一般
式[III]で示されるその分子中に特定のメチロール基
を有するユニットを含有することがイオン感応膜の耐有
機汚染性を飛躍的に向上させるために必要である。
本発明のイオン感応膜を構成する重合体において前記一
般式[III]中、Yで示されるアルキル基は、その炭素
数について限定されないが、原料の入手の容易さから炭
素数1〜4のものが好適に使用される。R4で示される基
は、水素又は炭素数5以下のアルキル基であれば特に制
限されないが、後述する架橋反応の容易さから水素が特
に好適に使用される。
本発明において、直鎖状重合体を構成する一般式[I]
又は[II]で示されるユニットの全重合体に対するモル
分率は、10mol%以上、好ましくは30mol%以上であるこ
とが好ましい。上記ユニットの分率が10mol%未満であ
ると、得られるイオン感応膜の塩素イオン選択性が不十
分となることがあると共に、水中で使用する際の安定性
が悪化することがある。また、本発明のイオン感応膜を
構成する重合体において、一般式[III]で示されるユ
ニットの全重合体に対するモル分率は、10mol%以上、
好ましくは30mol%以上であることが好ましい。上記ユ
ニットの分率が10mol%未満であると、得られるイオン
感応膜の架橋が不十分となり耐有機汚染性が向上しない
ことがある。
本発明に使用する直鎖状重合体は、前記した一般式
[I]又は[II]で示される少なくとも1種のユニット
並びに[III]で示される少なくとも1種のユニットに
より基本的に構成されていればよいが、直鎖状重合体を
形成する他のユニットを含有しても良い。かかるユニッ
トとしては、次式[IV]で示されるユニットが好適に用
いられる。
(但し、Pは水素、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル
基、またはカルボキシル基であり、Qはアルキル基、カ
ルボキシル基、フェニル基、ナフチル基、アルキルカル
ボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アミノカル
ボニル基、アルキルオキシ基、アミノ基、アルキルアミ
ノ基、トリメチルアンモニオアルキル基及びそのハロゲ
ン置換体又は水酸基置換体である。) 上記一般式[IV]で示されるユニットの炭素数は、原料
の入手の容易さ及び得られる重合体の製膜性を勘案し、
10以下であることが好ましい。また、その重合体に対す
るモル分率は40mol%以下が好ましい。
本発明に使用する直鎖状重合体の分子量は特に制限され
ないが、好ましくは数平均分子量が5000以上、更に好ま
しくは10000以上であることが好ましい。数平均分子量
が5000以下であると、得られるイオン感応膜が脆弱とな
る。また、数平均分子量が10000以下であると得られる
イオン感応膜の水中での安定性が不十分となることがあ
る。
本発明に用いる直鎖状重合体は以上に説明したように一
般式[I]又は[II]及び[III]で示されるユニット
を特定の量以上有する重合体(以下イオン交換性重合体
と略記する。)を構成成分とするものである。前記イオ
ン交換性重合体の製造方法としては、特に限定されず公
知の方法が採用されるが、一般に好適な方法を例示すれ
ば以下の方法が挙げられる。
下記一般式[V]または[VI]で示される構造のモ
ノマーを、下記一般式[VII]で示される構造のモノマ
ーと共重合させる方法。
(但し、Y、Z、X-、R1、R2、R4、A、B1、B2の定義な
らびに好ましい例については、前記したとおりであ
る。)上記重合時にこれらのモノマーと共重合可能なビ
ニルモノマーを添加することにより、第3成分を含有し
たイオン交換性重合体を得ることもできる。一般式
[V]または[VI]及び[VII]で示されるモノマーと
共重合可能なビニルモノマーとしては、公知のモノマー
が特に限定されず使用できる。一般に好適に使用される
代表的なものを具体的に示せば、例えば、エチレン、プ
ロピレン、ブテン等のオレフィン化合物;塩化ビニル、
ヘキサフルオロプロピレン等のオレフィン化合物のハロ
ゲン誘導体;スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビ
ニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルア
ミド等のメチロール基を有さないアクリル酸誘導体およ
びメタクリル酸誘導体;アクリロニトリル等の不飽和ニ
トリル化合物;メチルビニールエーテル等のビニルエー
テル化合物;ヨウ化メチルビニルピリジニウム、塩化ト
リメチルアンモニオエチルメタクリレート等の第4級ア
ンモニウム化合物等が挙げられる。また、上記した以外
にアクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸化合
物;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホ
ン酸化合物等も好適に使用し得るが、該陰イオン性のモ
ノマーを用いた場合、陰イオンに対して応答しないイオ
ン感応膜となることがあるため、重合体中の陰イオン性
基/陽イオン性基の比(当量比)を1未満にする必要が
ある。
上記イオン交換性重合体を製造する際の重合方法は、イ
オン重合、ラジカル重合等制限されないが、ラジカル開
始剤の存在下に重合を行うことが望ましい。重合操作
も、一般に公知の操作が特に制限されず用いられるが、
得られる重合体の均一性及び共重合体の組成比の調節の
容易さ等の点から溶液重合が好適に用いられる。溶液重
合を行う際の溶媒としては、用いるモノマーが溶解する
ものであれば特に制限されない。一般に好適に使用され
るものとしては、水、メタノール、エタノール、アセト
ン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジクロルメタ
ン、テトラクロルメタン、クロロホルム、テトラヒドロ
フラン、ジクロルエタン、クロルベンゼン等が挙げられ
る。上記溶媒は、2種以上を混合して用いても差し支え
ない。重合温度は、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜100
℃が更に好ましい。また、イオン交換性重合体の単離法
としては、当分野で公知の種々の方法を用いることがで
きるが、溶液重合の場合には、生成重合体を溶解しない
溶媒中に反応混合物を投入する再沈澱法が好ましい。
下記一般式[V]または[VI]で示される構造のモ
ノマーを、下記一般式[VIII]で示される構造のモノマ
ーと共重合させた後重合物をメチロール化する方法。
(但し、Y、Z、X-、R1、R2、R4、A、B1、B2の定義な
らびに好ましい例については、前記したとおりであ
る。)上記重合時にこれらモノマーと共重合可能なビニ
ルモノマーを添加することにより、第3成分を含有した
イオン交換性重合体を得ることもできる。一般式[V]
または[VI]及び[VIII]で示されるモノマーと共重合
可能なビニルモノマーとしては、公知のモノマーが特に
限定されず使用できる。一般に好適に使用される代表的
なものを具体的に示せば、例えば、エチレン、プロピレ
ン、ブテン等のオレフィン化合物;塩化ビニル、ヘキサ
フルオロプロピレン等のオレフィン化合物のハロゲン誘
導体;スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化
合物;酢酸ビニル等のビニルエステル化合物;アクリル
酸メチル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、アクリル酸エステル誘導体およびメタ
クリル酸エステル誘導体;アクリロニトリル等の不飽和
ニトリル化合物;メチルビニールエーテル等のビニルエ
ーテル化合物;ヨウ化メチルビニルピリジニウム、塩化
トリメチルアンモニオエチルメタクリレート等の第4級
アンモニウム化合物等が挙げられる。また、上記した以
外にアクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸化
合物;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスル
ホン酸化合物等も好適に使用し得るが、該陰イオン性の
モノマーを用いた場合、陰イオンに対して応答しないイ
オン感応膜となることがあるため、重合体中の陰イオン
性基/陽イオン性基の比(当量比)を1未満にする必要
がある。
上記重合体を製造する際の重合方法は、イオン重合、ラ
ジカル重合等特に制限されないが、ラジカル開始剤の存
在下に重合を行うことが望ましい。重合操作も、一般に
公知の操作が特に制限されず用いられるが、得られる重
合体の均一性及び共重合体の組成比の調節の容易さ等の
点から溶液重合が好適に用いられる。溶液重合を行う際
の溶媒としては、用いるモノマーが溶解するものであれ
ば特に制限されない。一般に好適に使用されるものとし
ては、水、メタノール、エタノール、アセトン、ベンゼ
ン、ジメチルホルムアミド、ジクロルメタン、テトラク
ロルメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジク
ロルエタン、クロルベンゼン等が挙げられる。上記溶媒
は、2種以上を混合して用いても差し支えない。重合温
度は、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜100℃が更に好ま
しい。また、イオン交換性重合体の単離法としては、当
分野で公知の種々の方法を用いることができるが、溶液
重合の場合には、生成重合体を溶解しない溶媒中に反応
混合物を投入する再沈澱法が好ましい。
上記重合物をメチロール化する方法は一般に公知の方法
が特に制限なく使用される。一般に好適な方法を例示す
れば以下の通りである。即ち、ホルムアルデヒド水溶液
中に重合物を入れ5℃以上の温度で30分以上反応する方
法。この時ホルムアルデヒド水溶液中には水と混和可能
な溶媒が存在しても差し支えない。反応温度が0℃以下
あるいは反応時間が30分以下であると、得られるイオン
交換性重合体のメチロール化が不十分となりイオン感応
膜の耐有機汚染性が悪い場合がある。
以上のようにして製造されたイオン交換性重合体は、一
般に無色、白色あるいは淡黄色の固体である。また、水
には難溶であるが、有機溶媒、例えばジメチルホルムア
ミド、クロロホルム、テトラクロルメタン、ジクロルメ
タン、テトラクロルエタン、テトラヒドロフラン等に
は、室温〜100℃で溶解する。一般に、イオン交換性重
合体中の前記した一般式[I]又は[II]及び[III]
で示されるユニットの含量は元素分析により求められ
る。
本発明においてイオン感応膜はイオン交換性重合体をを
膜状に成形した後、架橋反応をすることによって得られ
る。
前記製造方法によって得られるイオン交換性重合体を膜
状物に成形する方法は特に限定されず、どのような方法
であってもよい。一般に好適に使用される方法を例示す
れば以下の通りである。
イオン交換性重合体を可溶性溶媒に溶解し、適当な
基板上に流延させた後、溶媒を除去せしめる等の方法で
膜状物を得る方法。ここで使用される溶媒はイオン交換
性重合体を溶解するものであれば特に限定されないが、
前記したイオン交換性重合体の製法で述べた可溶性溶媒
が好適に用いられる。上記溶媒の除去には、一般に風
乾、減圧乾燥等が特に制限されず用いられる。
イオン交換性重合体を加熱成形及び延伸することに
よって膜状物とする方法。加熱成形時の温度は、イオン
交換性重合体の軟化点付近が採用され、イオン交換性重
合体の種類によって異なるが、一般には、50〜200℃の
範囲で選択される。
上記成形により得られる膜状物の厚みは特に限定されな
いが、一般に0.1μm〜5mm、好ましくは5〜100μmの
範囲とすることが、得られるイオン感応膜に実用に十分
な膜強度を付与することができ好ましい。
本発明においてイオン感応膜は前記のイオン交換性重合
体を架橋反応することによって得られる。架橋方法とし
ては一般に公知のN−メチロール基の架橋方法がそのま
ま採用される。一般に好適に採用される方法を例示すれ
ば以下の通りである。
イオン交換性重合体を加熱することにより架橋する
方法。加熱は温度制御の容易さから水中で行うことが望
ましい。この時反応温度は30℃以上、より好ましくは40
℃以上で行うことが十分な架橋反応を起こさせるために
有効である。
イオン交換性重合体を酸水溶液に浸漬し架橋する方
法。用いる酸水溶液としては、一般に公知の酸水溶液が
使用可能であるが好適に使用される酸溶液を例示すれ
ば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、パラトルエン
スルホン酸、硝酸、酢酸、リン酸等である。用いる酸水
溶液中に水と混和可能な有機溶媒を存在させても差し支
えない。浸漬は一般に5℃以上で5分以上行うことが得
られるイオン感応膜の耐有機汚染性を向上させるために
必要である。より好ましくは50℃以上の酸水溶液中で10
分間以上浸漬することが得られるイオン感応膜の耐有機
汚染性を著しく向上させるために有効である。
一般に上記した架橋反応の生成は、得られたイオン感応
膜が前記したイオン交換性重合体を溶解する溶媒に不溶
となることによって確認できる。
以上のようにして得られたイオン感応膜は、一般にその
基本的性質として液晶性を示すことが多い。液晶性を示
す温度範囲は、0〜200℃の範囲にある。液晶性は一般
に示差走差熱量計による測定によって確認される。液晶
である場合には、ある温度で固体から液晶への転移に伴
う熱量が観測され、その温度は固体−液晶転移温度と呼
ばれる。従って、本発明の方法によって得られるイオン
感応膜は上記の固体−液晶転移温度以下で、より好まし
くは固体−液晶転移温度より10℃以上低い温度で使用す
ることが望ましい。固体−液晶転移温度以上で使用した
場合、種々の陰イオン、特に2価の陰イオンに対する選
択性が低下する場合がある。
本発明のイオン感応膜の塩素イオンに対する選択性を向
上させるために、用いるイオン交換性重合体を架橋する
前にその固体−液晶転移温度以上の水中に1分間以上浸
漬することが好ましい。かかる操作により、得られるイ
オン感応膜の塩素イオンに対する選択性及び感度が向上
し、これをイオン選択性電極の感応膜として使用するこ
とにより塩素イオンを高い感度で測定することができ、
また、測定される電位も安定することが多い。
本発明の方法において、イオン交換性重合体中に炭素数
10以上の直鎖状アルコールを存在させることにより、得
られるイオン感応膜の塩素イオンの選択感応性を更に向
上させることができる。即ち、本発明のイオン感応膜は
2価の陰イオンに対する塩素イオンの選択感応性が良好
であり生体液中の塩素イオンの測定に好適であるが、本
発明者らは、該イオン感応膜中に炭素数10以上の直鎖状
アルコールを存在させることにより2価の陰イオンに対
する選択感応性を低下させることなく、チオシアン酸イ
オン、過塩素酸イオン、硝酸イオン等の脂溶性の1価の
陰イオンに対する選択感応性を更に向上できることを見
いだした。
該直鎖状アルコールの炭素数が10未満であると、得られ
るイオン感応膜の耐水性が不十分となる。また、該アル
コールが直鎖状である必要性は、他の構成成分との相溶
性を向上させるためである。
本発明において使用する直鎖状アルコールは、上記を満
たすものであれば、特に限定されず公知のものが用いら
れる。一般に、得られるイオン感応膜の耐水性、原料の
入手の容易さを勘案すれば、炭素数16〜18の直鎖状アル
コールが好適に採用される。
本発明において、前記直鎖状アルコールは、前記イオン
交換性重合体の量に対して、10〜150重量%の割合で含
有される。直鎖状アルコールが10重量%以下であると、
得られるイオン感応膜のイオン選択性の改善が十分でな
いことがある。また、150重量%以上であると、得られ
るイオン感応膜の耐水性及び強度が不十分となることが
ある。
前記イオン交換性重合体に、直鎖状アルコールを添加重
合し膜状物に成形する方法は特に限定されず、どのよう
な方法であってもよい。一般に好適に使用される方法を
例示すれば以下の通りである。
イオン交換性重合体と直鎖状アルコールを可溶性溶
媒に溶解し、適当な基板上に流延させた後、溶媒を除去
せしめる等の方法で膜状物を得る方法。ここで使用され
る溶媒はイオン交換性重合体及び直鎖状アルコールを溶
解するものであれば特に限定されないが、前記したイオ
ン交換性重合体の製法で述べた可溶性溶媒が好適に用い
られる。上記溶媒の除去には、一般に風乾、加熱乾燥、
減圧乾燥等が特に制限されず用いられる。
イオン交換性重合体と直鎖状アルコールを可溶性溶
媒に溶解した後、溶媒を除去せしめ、加熱成形及び延伸
することによって膜状物とする方法。ここで用いられる
可溶性溶媒としては、各構成成分の溶解性によって相異
するが、一般にはジメチルホルムアミド、ジクロルメタ
ン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジクロエタ
ン、クロルベンゼン、1,1,2,2−テトラクロルエタンを
用いることが好ましい。上記溶媒の除去には、一般に風
乾、加熱乾燥、減圧乾燥等が特に制限されず用いられ
る。上記加熱成形時の温度は、イオン交換性重合体の軟
化点付近が採用され、イオン交換性重合体の種類によっ
て異なるが、一般には、50〜200℃の範囲で選択され
る。
[効果] 本発明で得られるイオン感応膜は、イオン感応部分であ
る特定の構造の第4級アンモニウム基が共有結合で重合
体中に固定化されているものである。従って、構成成分
の溶出がほとんどなく長寿命である。また、本発明のイ
オン感応膜は、血液、尿等の生体液中に存在する炭酸水
素イオン、リン酸イオン等の妨害イオンに対して塩素イ
オンの応答性が著しく高いため、これをイオン選択性電
極のイオン感応膜として使用することにより、血液、尿
等の生体液中の塩素イオンの定量を極めて正確に行うこ
とが可能である。更に、イオン感応膜が架橋構造である
ため耐有機汚染性に著しく優れており、生体液中の塩素
イオンの定量を長期にわたって安定に測定することが可
能である。一般にイオン感応膜の耐有機汚染性はアニオ
ン性の界面活性剤を含む水溶液に浸漬した後の、特定の
濃度の塩素イオンを含む水溶液の電位の安定性より確認
できる。また、上記イオン感応膜中に炭素数10以上の直
鎖状アルコールを存在させるこにより、硝酸イオン、過
塩素酸イオン、チオシアン酸イオン等の脂溶性陰イオン
に対する塩素イオンの選択性を向上させることができ、
生体液中の塩素イオンの定量を更に正確に行うことが可
能である。以上の点より、本発明のイオン感応膜の工業
的価値は極めて大きい。
本発明の方法により得られるイオン感応膜が適用可能な
イオン選択性電極は、公知の構造を有するものが特に制
限なく採用される。一般には、試料溶液に浸漬する部分
の少なくとも一部が前記イオン感応膜で構成された容器
内に内部標準電極、及び内部電解液を内蔵した構造が好
適である。例えば代表的な態様としては前記の第1図に
示した構造がある。即ち、第1図のイオン選択性電極
は、電極筒体11の低面部にイオン感応膜12を装着して構
成される容器内に、内部電解液13が満たされ、且つ内部
基準電極14を設けてなるものである。なお、15は液シー
ル用のOリングである。
該電極においては、イオン感応膜以外の材質等は特に制
限されず、従来のものが限定なく採用される。例えば電
極筒体の材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリ
ル酸メチル等、内部電解液としては塩化ナトリウム水溶
液、塩化カリウム水溶液等、内部基準電極としては白
金、金、カーボングラファイトなどの導電性物質あるい
は銀−塩化銀、水銀−塩化水銀等の難溶性金属塩化物等
が使用される。
本発明の方法によって得られるイオン感応膜を適用し得
るイオン選択性電極は、第1図に示した構造に限定され
ず、前記イオン感応膜を有する電極であればいかなる構
造であってもよい。他のイオン選択性電極の好適なもの
を例示すれば、金、白金、グラファイト等の導電体ある
いは、塩化銀、塩化水銀等のイオン導伝体に前記イオン
感応膜を貼付けて構成されるイオン選択性電極等であ
る。
また、かかるイオン感応膜を使用したイオン選択性電極
は公知の方法で使用することができる。例えば、前記し
た第2図に示すような使用態様が基本的である。即ち、
イオン選択性電極21は、塩橋22と共に試料溶液23中に浸
漬され、塩橋の他の一端は比較電極24と共に飽和塩化カ
リウム溶液26に浸漬される。上記比較電極としては一般
に公知のものが採用されるが、公的に使用されるものを
例示すれば、カロメル電極、銀−塩化銀電極、白金板、
カーボングラファイト等である。
以下に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を
挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
本発明の実施例中、イオン交換性重合体中の前記一般式
[I]又は[II]出示されるユニットのモル分率を疎水
性ユニット分率と、[III]で示されるユニットのモル
分率をメチロールユニット分率と略記する。
製造例1 第1表に示すモノマー5mmol、N−メチロールアクリル
アミド、7.5mmol、アゾビスイソブチロニトリル5mgをベ
ンゼン10ml、エタノール10mlと共に試験管に入れた。試
験管内を窒素雰囲気下にした後、密栓をし50℃で48時間
重合させた。内容物をメタノール500ml中に注ぎ生成し
た沈澱を濾過によって集めた。減圧乾燥によりイオン交
換性重合体として固形物を第1表に示す量得た。元素分
析によりイオン交換性重合体中の各ユニットのユニット
分率を求めた。結果をまとめて第1表に示す。
製造例2 第2表に示すモノマーを第2表に示す量、N−メチロー
ルアクリルアミドを10mmol、過酸化ベンゾイル7mgをク
ロロホルム30ml、メタノール5mlと共に試験管に入れ
た。試験管内を窒素雰囲気下にした後、密栓をし60℃で
30時間重合させた。内容物をメタノール500ml中に注ぎ
生成した沈澱を濾過によって集めた。減圧乾燥により、
イオン交換性重合体として固形物を第2表に示す量得
た。元素分析によりイオン交換性重合体中の各ユニット
のユニット分率を求めた。結果をまとめて第2表に示
す。
製造例3 以下に示すモノマー10mmol、 (メタ体,パラ体混合物;m:p=2.1:1) N−メチロールアクリルアミド10mmol、第3表に示すモ
ノマー10mmol及びアゾビスイソブチロニトリル2mgをベ
ンゼン−エタノール混合溶媒(1:1,重量比)30mlと共に
試験管にいれた。試験管内を窒素雰囲気下にした後、密
栓をし65℃で30時間重合させた。内容物をメタノール80
0ml中に注ぎ生成した沈澱を濾過によって集めた。減圧
乾燥により、イオン交換性重合体として固形物を第3表
に示す量得た。元素分析によりイオン交換性重合体中の
各ユニットのユニット分率を求めた。結果をまとめて第
3表に示す。
製造例4 第4表に示すモノマー10mmolとアクリルアミド10mmol及
びアゾビスイソブチロニトリル2mgををベンゼン−エタ
ノール混合溶媒(1:1,重量比)40mlと共に試験管に入れ
た。試験管内を窒素雰囲気下にした後、密栓をし45℃で
60時間重合させた。内容物をアセトニトリル1000ml中に
注ぎ生成した沈澱を濾過によって集めた。減圧乾燥によ
り、重合体として固形物を第4表に示す量得た。元素分
析により重合体中の各ユニットのユニット分率を求め
た。結果をまとめて第4表に示す。
製膜例1 製造例1〜3で製造した製造No.1〜41のイオン交換性重
合体500mgをクロロホルム10mlに溶解しポリテトラフル
オロエチレン(以下PTFEと略記する。)製シャーレに流
延した。クロロホルムを60℃大気圧の条件下で蒸発させ
均一で透明な膜状物を得た。得られた膜状物をそれぞれ
第1図に示すように電極に装着した後、第5表に示す条
件下で熱処理した。放冷後、第5表に示す条件下で架橋
反応を行った。得られた膜のナンバーとクロロホルムに
対する溶解性をまとめて第5表に示した。
第5表からわかるように得られたイオン感応膜はクロロ
ホルム不溶となっており架橋反応が起こっていることを
示している。
製膜例2 製造例4で製造した製造No.42〜63の重合体500mgをクロ
ロホルム10mlに溶解しPTFE製シャーレに流延した。クロ
ロホルムを60℃大気圧の条件下で蒸発させ均一で透明な
膜状物を得た。得られた膜状物をそれぞれ第1図に示す
ように電極に装着した後、1M−NaCl溶液中で90℃,5分間
熱処理を行った。放冷後、第6表に示す条件でメチロー
ル化を行った。第6表に元素分析より得られたメチロー
ルユニット分率を示した。続いて第6表に示す条件下で
架橋反応を行った。得られた膜のナンバーとクロロホル
ムに対する溶解性をまとめて第6表に示した。
第6表よりわかるように得られたイオン感応膜中にはホ
ルムアルデヒド処理によりメチロール基が導入されてお
り、かつ架橋反応が起こっている。
実施例1 製膜例1、2で得られた膜No.1〜64のイオン感応膜を用
いて第2図に示した装置により、種々の陰イオンについ
て、室温での濃度と電位差の関係を測定した。得られた
結果より公知の方法[G.J.Moody、J.D.Thomas著,宗森
信,日色和夫訳「イオン選択性電極」,共立出版,18ペ
ージ(1977)に記載の方法]により各陰イオンに対する
塩素イオン選択係数を求めた。結果を第7表にまとめて
示す。尚、比較膜1として、ポリ塩化ビニル、塩化メチ
ルトリドデシルアンモニウム及びジブチルフタレートを
成分とするイオン感応膜[Analitical Chemistry,56,53
5−538(1984)に記載されたもの]について同様な方法
で求めた塩素イオンの選択係数を、また、比較膜2とし
て市販のイオン交換膜(商品名ネオセプタACS,徳山曹達
社製)について同様な方法で求めた塩素イオンの選択係
数を第7表に併せて示す。
本実施例中のイオン選択係数は、その値が小さいほどイ
オン感応膜の塩素イオンに対する選択性が良好であるこ
とを示している。第7表よりわかるように本発明のイオ
ン感応膜を用いたイオン選択性電極は、生体液中に存在
する硫酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素
イオン、ヨウ素イオンに対する塩素イオンの選択性が優
れており生体液中の塩素イオン濃度の測定に好適であ
る。
更に得られたイオン感応膜の耐有機汚染性を調べるため
ドデシル硫酸ナトリウム(以下SDSと略称する)による
汚染試験を行った。即ち、第2図に示した装置を用いて
以下の溶液を順に試料としたときの電位差を測定する。
1.100mMの塩化ナトリウム水溶液 2.0.1重量%SDS水溶液 3.100mM塩化ナトリウム水溶液 この時3の電位差の値が1の電位差の値と比較して±1m
V以内になる時間を測定し耐汚染性の指標とした。一般
にイオン感応膜がSDSを吸着することにより電位差の値
が小さくなる。続いて塩化ナトリウム溶液中に浸漬する
ことにより徐々に吸着されたSDSが溶液中に再溶解する
ため電位差が元の値に戻る。
この再溶解する時間が短いほど耐有機汚染性が優れたイ
オン感応膜といえる。
第8表に得られたイオン感応膜のSDS汚染試験の結果を
示した。比較のため架橋反応を行っていない同じ組成の
イオン感応膜についても同様の試験をし、その結果も合
わせて第8表に示した。
第8表からわかるように、本発明のイオン感応膜は架橋
反応を行うことにより耐有機汚染性が著しく向上してお
り、生体液等の試料を長期間にわたって正確に測定する
イオン選択性電極のイオン感応膜として好適である。
製膜例3 製造例1〜3で製造した製造No.1〜41のイオン交換性重
合体500mgと第9表に示す直鎖状アルコールを第9表に
示す量をクロロホルム10mlに溶解しPTFE製シャーレに流
延した。クロロホルムを60℃大気圧の条件下で蒸発させ
均一で透明な膜状物を得た。得られたイオン感応膜をそ
れぞれ第1図に示すように電極に装着した後、第10表に
示す条件下で熱処理した。放冷後、第10表に示す条件下
で架橋反応を行った。得られた膜のナンバーとクロロホ
ルムに対する溶解性をまとめて第10表に示した。
第10表からわかるように得られたイオン感応膜はクロロ
ホルム不溶となっており架橋反応が起こっていることを
示している。
製膜例4 製造例4で製造した製造No.42〜63の重合体500mgとステ
アリルアルコール300mgをクロロホルム10mlに溶解しPTF
E製シャーレに流延した。クロロホルムを60℃大気圧の
条件下で蒸発させ均一で透明な膜状物を得た。得られた
膜状物をそれぞれ第1図に示すように電極に装着した
後、1M−NaCl溶液中で90℃,5分間熱処理を行った。放冷
後、第11表に示す条件でメチロール化を行った。第11表
に元素分析より得られたメチロールユニット分率を示し
た。続いて第11表に示す条件下で架橋反応を行った。得
られた膜のナンバーとクロロホルムに対する溶解性をま
とめて第11表に示した。
第11表よりわかるように得られたイオン感応膜中にはホ
ルムアルデヒド処理によりメチロール基が導入されてお
り、かつ架橋反応が起こっている。
実施例2 製膜例3、4で得られた膜No.65〜128のイオン感応膜を
用いて第2図に示した装置により、種々の陰イオンにつ
いて、室温での濃度と電位差の関係を測定した。得られ
た結果より実施例1と同様にして各陰イオンに対する塩
素イオン選択係数を求めた。結果を第12表に示す。
第12表よりわかるように直鎖状アルコールを本発明のイ
オン感応膜に含有させることにより、チオシアン酸イオ
ン、過塩素酸イオン、硝酸イオン等の脂溶性陰イオンに
対する塩素イオンの選択性が著しく向上しており、生体
液中の塩素イオン濃度の測定に好適である。
第13表に実施例1と同様にして求めた得られたイオン感
応膜のSDS汚染試験の結果を示した。比較のため架橋反
応を行っていない同じ組成のイオン感応膜についても同
様の試験をし、その結果も合わせて第13表に示した。
第13表からわかるように、本発明のイオン感応膜は架橋
反応を行うことにより耐有機汚染性が著しく向上してお
り、生体液等の試料を長期間にわたって正確に測定する
イオン選択性電極のイオン感応膜として好適である。
実施例3 膜No.64を用いて第2図に示した装置により、10-4Mから
10-1Mの範囲で塩化ナトリウム水溶液を試料溶液として2
0℃での比較電極(カロメル電極)とイオン選択性電極
の電位差を測定した。得られた電位差と試料溶液の塩素
イオン濃度の関係を第14表及び第3図に示す。第3図よ
りわかるように、本発明のイオン感応膜を用いたイオン
選択性電極は10-4Mから10-1Mの範囲で直線応答を示す。
また、このとき電位勾配は58mV/decadeであった。この
値は、ネルンスト式より求まる計算値59mV/decadeとよ
く一致している。この結果より、本発明のイオン感応膜
が塩素イオンに対して十分な感度を有していることが明
らかである。
実施例6 膜No.64を用い第2図に示す装置により、試料溶液中の
塩化ナトリウムの濃度を1.2mMから3.3mMへ急激に変化さ
せた時の出力電位の差を第15表に示す。また、上記塩化
ナトリウムの濃度と出力電位差の関係を第4図に示す。
第4図からわかるように本発明のイオン感応膜を用いた
イオン選択性電極は98%応答が4秒以内であり迅速な測
定が可能である。また、前記測定を500回繰り返しても
出力電位差の変化はほとんど観測されなかった。
用途例 前記した実施例4において得られた膜No.115〜152のイ
オン感応膜を90℃の水中に10分間浸漬した後第1図の如
くに電極に装着した。これを用い第2図に示す装置によ
り、1mMと4mMの塩化ナトリウム水溶液を試料溶液とした
ときの出力電位を測定した。測定値より塩素イオン濃度
と出力電位の検量線を作製した。一方、試験溶液として
塩化ナトリウム3mM、炭酸水素ナトリウム1mM、リン酸一
水素ナトリウム1mM、硝酸ナトリウム0.005mM、硫酸ナト
リウム10mMを含む水溶液を用い出力電位を測定した。得
られた値を前記検量線に代入し、塩素イオン濃度を求め
た。その結果を第16表に示す。比較膜1,2についても同
様にして塩素イオン濃度を求めた。結果を併せて第16表
に示す。
第16表よりわかるように、本発明のイオン感応膜を用い
て得られた測定値は試験溶液中の実際の塩素イオン濃度
3mMとよく一致しており、本発明のイオン感応膜を用い
たイオン選択性電極が、種々の陰イオンを含む溶液中の
塩素イオン濃度を正確に測定できることが明らかであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のイオン感応膜を用いるイオン選択性電
極の一例の構成を示す断面図である。第2図は第1図の
イオン選択性電極を用いて電位差を測定する装置の説明
図である。第3図は実施例1において測定した塩素イオ
ン濃度と電位差の関係を示す図である。第4図は実施例
3において測定した本発明のイオン選択性電極の応答速
度を示す図である。 第1図及び第2図中で各番号は次の内容を示す。 11……電極筒体、12……イオン感応膜、 13……内部電解液、 14……内部基準電極、15……Oリング、 21……イオン選択性電極、22……塩橋、 23……試料溶液、24……比較電極、 25……エレクトロメーター、 26……飽和塩化カリウム水溶液、 27……記録計

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)一般式 (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
    基、X-はハロゲンイオン、又は陰イオンを形成する原子
    団、Zは −OCOR3−、−CONHR3−、及び −NHCOR3−(但し、R3はCH2 、 −CH2CH2OCH2 mCH2−、又は −CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)−、 (但し、mは1〜10の整数)、nは1〜10の整数であ
    る)から選ばれた基、R1,R2は炭素数5以下のアルキル
    基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及
    びベンジル基より選ばれた同種又は異種の基、Aは2本
    又は3本の長鎖疎水基、又は剛直性部分を連鎖中に含む
    1本の直鎖疎水基のいずれかを有する非イオン性の1価
    の基であり、B1,B2は同種又は異種の非イオン性の1価
    の長鎖疎水基を示す。)で表されるユニットを10mol%
    以上含み,且つ (ii)一般式 (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
    基、R4は水素または炭素数5以下のアルキル基より選ば
    れた基を示す。)で表されるユニットを10mol%含む直
    鎖状重合体を膜状に成形した後、該直鎖状重合体を架橋
    することを特徴とするイオン感応膜の製造方法。
  2. 【請求項2】(i)一般式 (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
    基、X-はハロゲンイオン、又は陰イオンを形成する原子
    団、Zは −OCOR3−、−CONHR3−、及び −NHCOR3−(但し、R3はCH2 、 −CH2CH2OCH2 mCH2−、又は −CH2CH(CH3)OCH2CH(CH3)−、 (但し、mは1〜10の整数)、nは1〜10の整数であ
    る)から選ばれた基、R1,R2は炭素数5以下のアルキル
    基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及
    びベンジル基より選ばれた同種又は異種の基、Aは2本
    又は3本の長鎖疎水基、又は剛直性部分を連鎖中に含む
    1本の直鎖疎水基のいずれかを有する非イオン性の1価
    の基であり、B1,B2は同種又は異種の非イオン性の1価
    の長鎖疎水基を示す。)で表されるユニットを10〜90mo
    l%以上含み,且つ (ii)一般式 (但し、Yは水素、アルキル基、シアノ基より選ばれた
    基、R4は水素または炭素数5以下のアルキル基より選ば
    れた基を示す。)で表されるユニットを90〜10mol%含
    む直鎖状重合体に対して10〜200wt%の割合で炭素数10
    以上の直鎖アルコールを含有する組成物を膜状に成形し
    た後、該直鎖状重合体を架橋することを特徴とするイオ
    ン感応膜の製造方法。
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