JP3965571B2 - 硝酸イオンセンサー - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸イオンセンサー用のイオン感応膜及び電極チップ並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
以前、硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩錯体を表面に有する硝酸イオン電極チップの製造方法に関する特許出願(特願2002-161647)が出された。しかし、その生産において、液膜溶媒である2-ニトロフェニルオクチルエーテル及び溶媒のテトラヒドロフランの有害性が指摘される。そこで、環境にやさしい化学物質への変更を視野に入れた硝酸イオン感応膜、硝酸イオン電極及び硝酸イオン電極チップ、並びにそれらの製造方法を提供することが、本発明の目的である。また、より感度の良いイオンセンサーを提供することも、本発明の目的である。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の項1〜9の硝酸イオンセンサー用のイオン感応膜及び電極チップ並びにそれらの製造方法に関する。
項1. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜。
項2. ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、項1に記載のイオン感応膜。
項3. テトラアルコキシシラン類がテトラエトキシシラン、ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、項1に記載のイオン感応膜。
項4. テトラアルコキシシラン類:ArSi(O-G)3のモル比が15〜40:85〜60である、項1に記載のイオン感応膜。
項5. テトラエトキシシラン:フェニルトリエトキシシランのモル比が30:70である、項3に記載のイオン感応膜。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のイオン感応膜を含むイオン電極。
項7. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を支持体に塗布し、乾燥させるイオン感応膜を製造する方法。
項8. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜を有する電極チップ。
項9. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を繊維状電極チップ支持体に塗布し、乾燥させ、イオン感応物質層を作る、電極チップの作製方法。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明において、塩化ジメチルオクタデシル-3-トリメトキシシリルプロピルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩の硝酸イオン感応物質(0.1モル)、テトラアルコキシシラン類(0.5〜8モル)、ArSi(O-G)3(ここでArはフェニル基などのアリール基を表し、Gはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基又はフェニル基などのアリール基を表す。)(0.5〜8モル)、メタノール、水などの溶媒(1〜20モル)、並びに硫酸などの触媒(0.05〜0.5モル)を混合した混合物を乾燥させてイオン感応膜を製造する。
【0005】
本発明におけるテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3は加水分解縮合してマトリックス樹脂になる。従って、本発明におけるマトリックス樹脂は、下記の2つの単位構造を有する。テトラアルコキシシラン類:ArSi(O-G)3のモル比が15〜40:85〜60である。
【0006】
【化1】
【0007】
本発明におけるArSi(O-G)3として、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフェノキシシランなどが挙げられ、特に好ましいのは、フェニルトリエトキシシランである。
【0008】
本発明におけるテトラアルコキシシラン類には、単量体を用いるが、2量体や3量体などの部分縮合物を用いても良い。テトラアルコキシシラン類としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケートなどが挙げられる。
【0009】
マトリックス樹脂の1例として、テトラエトキシシランとフェニルトリエトキシシランの縮合物があり、そのテトラエトキシシラン:フェニルトリエトキシシランのモル比は、約30:70が好ましい。
【0010】
本発明によると、硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を、イオン感応膜を上に形成する従来の支持体に塗布し、乾燥させることにより、イオン感応膜を支持体上に形成し、これを従来のイオン電極中に用いることができる。
【0011】
例えば、上記混合物を繊維状電極チップ支持体に塗布することにより、0.1〜3000μm、好ましくは10〜500μmの厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを製造することができる。ここでいう、繊維状電極チップ支持体とは、銀などを繊維にメッキした導電性繊維の構造物(編物、不織布、織物など)をいう。
【0012】
本発明における応答電位測定は、ガラス比較電極を基準電極として、硝酸ナトリウム水溶液のような硝酸イオンの水溶液に、本発明により作られたイオン電極又は電極チップを浸漬し(25℃)、その応答電位測定を行なう。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例において使用される電極チップ支持体は、次のようにして作られた:100dの銀メッキが施されたナイロン繊維を用いて1×1リブ編みで編物を作製し、5mm×80mmサイズにカットした後、スライドガラス6mm×60mmの2枚により、挟み込み、内部を接着剤にてシールした。感応電極部は5mm×5mmサイズである。
【0014】
実施例1
硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩(信越化学工業(株)製LS-6985) 1100 mg(0.00088 mol)、テトラエトキシシラン(TEOS)1250 mg(0.0060 mol)及びフェニルトリエトキシシラン(PTEOS)3365 mg(0.0140 mol)、溶媒としてメタノール2950 mg及び水1000 mg、並びに触媒として硫酸50 mg(0.0005 mol)を混合し、上記電極チップ支持体に塗布することにより、25μm厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0015】
ガラス比較電極を基準電極として硝酸ナトリウム水溶液(10-6〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲)に作製電極チップを浸漬し(25℃)、その測定された応答電位をプロットし、直線性(応答こう配)を求めた。
【0016】
25℃、1価の陰イオンにおけるネルンストの式:
E = E0 + 2.303RT/ZF・log a = E0 − 0.059・logC
式中、
E0:25℃における標準電極電位
R:気体定数
T:絶対温度
Z:イオンの価数
F:ファラデー定数
a:イオン活量
C:試料溶液中の硝酸イオン濃度(mol/l)
である;
の理論的な勾配-59 mVに非常に近い勾配-58.1 mVの直線が、10-5.5〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の■)。
【0017】
比較例1
硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩を以下のように合成した。
【0018】
分液漏斗に蒸留水、硝酸ナトリウム約2.5g、クロロホルム約20ml、バソクプロイン(同仁化学研究所製)200mg、塩化銅(I)30mgを入れて、よく振り混ぜ、バソクプロインの銅錯体を合成した。有機相を分離し、クロロホルム臭がなくなるまで、数日間自然乾燥した。さらに乾燥後の生成物中のバソクプロイン銅錯体の純度をあげるために、エタノール・蒸留水の混合溶媒で再結晶をおこない、硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩[Cu(bcp)2] NO3を得た。
【0019】
得られたバソクプロイン銅(I)硝酸塩[Cu(bcp)2] NO315mg(0.00002 mol)とマトリックス樹脂としてPVC 90 mg、液膜溶媒としてNPOE 200 mg(0.0008 mol)、溶媒としてTHF 2 gを混合した。該混合物を、上記電極チップ支持体のスライドガラスに挟まれていない部分の、5mm×5mmサイズに塗布・乾燥を3度繰り返すことにより、25μm厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0020】
応答電位測定方法は、ガラス比較電極を基準電極として硝酸ナトリウム水溶液(10-6〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲)に作製電極チップを浸漬し(25℃)、その応答電位をプロットし、直線性(応答こう配)を求めた。
【0021】
応答勾配-52.5mVの直線が、10-4〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の+)
比較例2
硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩(信越化学工業(株)製LS-6985) 770mg(0.00062 mol)、テトラエトキシシラン1250mg(0.0060 mol)及びアルコール可溶メトキシメチル化ポリアミド(帝国化学産業(株)製トレジン)6250mg、溶媒として、メタノール4500mg及び水500mg、触媒として硫酸50mg(0.0005 mol)を混合した。その混合液を、上記電極チップ支持体のスライドガラスに挟まれていない部分の、5mm×5mmサイズに塗布・乾燥を3度繰り返し、25μm厚みの硝酸イオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0022】
実施例1と同様に、直線性(応答こう配)を求めた。
【0023】
応答勾配-55.9mVの直線が、10-5〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の◆)。
【0024】
【発明の効果】
本発明では、マトリックス樹脂がテトラエトキシシランとアルコール可溶メトキシメチル化ポリアミドの混合物であるイオン電極(比較例2)よりも、硝酸イオン濃度のより広い範囲において、ネルンスト式に合う応答電位が得られ、より感度の良いイオン電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1における応答電位測定の結果を示す。図1において、横軸は硝酸イオン濃度[mol/l]の常用対数、縦軸は応答電位(mV)である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸イオンセンサー用のイオン感応膜及び電極チップ並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
以前、硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩錯体を表面に有する硝酸イオン電極チップの製造方法に関する特許出願(特願2002-161647)が出された。しかし、その生産において、液膜溶媒である2-ニトロフェニルオクチルエーテル及び溶媒のテトラヒドロフランの有害性が指摘される。そこで、環境にやさしい化学物質への変更を視野に入れた硝酸イオン感応膜、硝酸イオン電極及び硝酸イオン電極チップ、並びにそれらの製造方法を提供することが、本発明の目的である。また、より感度の良いイオンセンサーを提供することも、本発明の目的である。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の項1〜9の硝酸イオンセンサー用のイオン感応膜及び電極チップ並びにそれらの製造方法に関する。
項1. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜。
項2. ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、項1に記載のイオン感応膜。
項3. テトラアルコキシシラン類がテトラエトキシシラン、ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、項1に記載のイオン感応膜。
項4. テトラアルコキシシラン類:ArSi(O-G)3のモル比が15〜40:85〜60である、項1に記載のイオン感応膜。
項5. テトラエトキシシラン:フェニルトリエトキシシランのモル比が30:70である、項3に記載のイオン感応膜。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のイオン感応膜を含むイオン電極。
項7. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を支持体に塗布し、乾燥させるイオン感応膜を製造する方法。
項8. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜を有する電極チップ。
項9. 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を繊維状電極チップ支持体に塗布し、乾燥させ、イオン感応物質層を作る、電極チップの作製方法。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明において、塩化ジメチルオクタデシル-3-トリメトキシシリルプロピルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩の硝酸イオン感応物質(0.1モル)、テトラアルコキシシラン類(0.5〜8モル)、ArSi(O-G)3(ここでArはフェニル基などのアリール基を表し、Gはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基又はフェニル基などのアリール基を表す。)(0.5〜8モル)、メタノール、水などの溶媒(1〜20モル)、並びに硫酸などの触媒(0.05〜0.5モル)を混合した混合物を乾燥させてイオン感応膜を製造する。
【0005】
本発明におけるテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3は加水分解縮合してマトリックス樹脂になる。従って、本発明におけるマトリックス樹脂は、下記の2つの単位構造を有する。テトラアルコキシシラン類:ArSi(O-G)3のモル比が15〜40:85〜60である。
【0006】
【化1】
【0007】
本発明におけるArSi(O-G)3として、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフェノキシシランなどが挙げられ、特に好ましいのは、フェニルトリエトキシシランである。
【0008】
本発明におけるテトラアルコキシシラン類には、単量体を用いるが、2量体や3量体などの部分縮合物を用いても良い。テトラアルコキシシラン類としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケートなどが挙げられる。
【0009】
マトリックス樹脂の1例として、テトラエトキシシランとフェニルトリエトキシシランの縮合物があり、そのテトラエトキシシラン:フェニルトリエトキシシランのモル比は、約30:70が好ましい。
【0010】
本発明によると、硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を、イオン感応膜を上に形成する従来の支持体に塗布し、乾燥させることにより、イオン感応膜を支持体上に形成し、これを従来のイオン電極中に用いることができる。
【0011】
例えば、上記混合物を繊維状電極チップ支持体に塗布することにより、0.1〜3000μm、好ましくは10〜500μmの厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを製造することができる。ここでいう、繊維状電極チップ支持体とは、銀などを繊維にメッキした導電性繊維の構造物(編物、不織布、織物など)をいう。
【0012】
本発明における応答電位測定は、ガラス比較電極を基準電極として、硝酸ナトリウム水溶液のような硝酸イオンの水溶液に、本発明により作られたイオン電極又は電極チップを浸漬し(25℃)、その応答電位測定を行なう。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例において使用される電極チップ支持体は、次のようにして作られた:100dの銀メッキが施されたナイロン繊維を用いて1×1リブ編みで編物を作製し、5mm×80mmサイズにカットした後、スライドガラス6mm×60mmの2枚により、挟み込み、内部を接着剤にてシールした。感応電極部は5mm×5mmサイズである。
【0014】
実施例1
硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩(信越化学工業(株)製LS-6985) 1100 mg(0.00088 mol)、テトラエトキシシラン(TEOS)1250 mg(0.0060 mol)及びフェニルトリエトキシシラン(PTEOS)3365 mg(0.0140 mol)、溶媒としてメタノール2950 mg及び水1000 mg、並びに触媒として硫酸50 mg(0.0005 mol)を混合し、上記電極チップ支持体に塗布することにより、25μm厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0015】
ガラス比較電極を基準電極として硝酸ナトリウム水溶液(10-6〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲)に作製電極チップを浸漬し(25℃)、その測定された応答電位をプロットし、直線性(応答こう配)を求めた。
【0016】
25℃、1価の陰イオンにおけるネルンストの式:
E = E0 + 2.303RT/ZF・log a = E0 − 0.059・logC
式中、
E0:25℃における標準電極電位
R:気体定数
T:絶対温度
Z:イオンの価数
F:ファラデー定数
a:イオン活量
C:試料溶液中の硝酸イオン濃度(mol/l)
である;
の理論的な勾配-59 mVに非常に近い勾配-58.1 mVの直線が、10-5.5〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の■)。
【0017】
比較例1
硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩を以下のように合成した。
【0018】
分液漏斗に蒸留水、硝酸ナトリウム約2.5g、クロロホルム約20ml、バソクプロイン(同仁化学研究所製)200mg、塩化銅(I)30mgを入れて、よく振り混ぜ、バソクプロインの銅錯体を合成した。有機相を分離し、クロロホルム臭がなくなるまで、数日間自然乾燥した。さらに乾燥後の生成物中のバソクプロイン銅錯体の純度をあげるために、エタノール・蒸留水の混合溶媒で再結晶をおこない、硝酸イオン感応物質であるバソクプロイン銅(I)硝酸塩[Cu(bcp)2] NO3を得た。
【0019】
得られたバソクプロイン銅(I)硝酸塩[Cu(bcp)2] NO315mg(0.00002 mol)とマトリックス樹脂としてPVC 90 mg、液膜溶媒としてNPOE 200 mg(0.0008 mol)、溶媒としてTHF 2 gを混合した。該混合物を、上記電極チップ支持体のスライドガラスに挟まれていない部分の、5mm×5mmサイズに塗布・乾燥を3度繰り返すことにより、25μm厚みのイオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0020】
応答電位測定方法は、ガラス比較電極を基準電極として硝酸ナトリウム水溶液(10-6〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲)に作製電極チップを浸漬し(25℃)、その応答電位をプロットし、直線性(応答こう配)を求めた。
【0021】
応答勾配-52.5mVの直線が、10-4〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の+)
比較例2
硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩(信越化学工業(株)製LS-6985) 770mg(0.00062 mol)、テトラエトキシシラン1250mg(0.0060 mol)及びアルコール可溶メトキシメチル化ポリアミド(帝国化学産業(株)製トレジン)6250mg、溶媒として、メタノール4500mg及び水500mg、触媒として硫酸50mg(0.0005 mol)を混合した。その混合液を、上記電極チップ支持体のスライドガラスに挟まれていない部分の、5mm×5mmサイズに塗布・乾燥を3度繰り返し、25μm厚みの硝酸イオン感応物質層を有する電極チップを作製した。
【0022】
実施例1と同様に、直線性(応答こう配)を求めた。
【0023】
応答勾配-55.9mVの直線が、10-5〜10-1 mol/lの硝酸イオン濃度範囲において得られた(図1の◆)。
【0024】
【発明の効果】
本発明では、マトリックス樹脂がテトラエトキシシランとアルコール可溶メトキシメチル化ポリアミドの混合物であるイオン電極(比較例2)よりも、硝酸イオン濃度のより広い範囲において、ネルンスト式に合う応答電位が得られ、より感度の良いイオン電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1における応答電位測定の結果を示す。図1において、横軸は硝酸イオン濃度[mol/l]の常用対数、縦軸は応答電位(mV)である。
Claims (9)
- 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜。
- ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、請求項1に記載のイオン感応膜。
- テトラアルコキシシラン類がテトラエトキシシラン、ArSi(O-G)3がフェニルトリエトキシシランである、請求項1に記載のイオン感応膜。
- テトラアルコキシシラン類:ArSi(O-G)3のモル比が15〜40:85〜60である、請求項1に記載のイオン感応膜。
- テトラエトキシシラン:フェニルトリエトキシシランのモル比が30:70である、請求項3に記載のイオン感応膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のイオン感応膜を含むイオン電極。
- 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を支持体に塗布し、乾燥させるイオン感応膜を製造する方法。
- 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、及びマトリックス樹脂としてテトラアルコキシシラン類とArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)の縮合物を含むイオン感応膜を有する電極チップ。
- 硝酸イオン感応物質である第4級アンモニウム塩、テトラアルコキシシラン類及びArSi(O-G)3(ここでArはアリール基を表し、Gはアルキル基又はアリール基を表す)を含む混合物を繊維状電極チップ支持体に塗布し、乾燥させ、イオン感応物質層を作る、電極チップの作製方法。
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WO2011099257A1 (ja) * | 2010-02-09 | 2011-08-18 | パナソニック株式会社 | 電極板とその製造方法およびそれを用いた電気集塵機 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6450943A (en) * | 1987-08-21 | 1989-02-27 | Hitachi Ltd | Anion selecting electrode |
JP2567895B2 (ja) * | 1988-02-03 | 1996-12-25 | 株式会社トクヤマ | イオン感応膜 |
JP2504513B2 (ja) * | 1988-03-11 | 1996-06-05 | 株式会社トクヤマ | イオン感応膜 |
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