JP6634805B2 - 塩素イオン選択性電極 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素イオン選択性電極に関する。
例えば、生体液の測定や環境モニタリングにおいて、塩素イオン選択性電極が広く用いられている。塩素イオン選択性電極の一種である、ビスチオウレア骨格を有するニュートラルキャリア型のイオン感応物質を含有するイオン感応膜を備えるものは、高いイオン選択性を有する塩素イオン選択性電極として知られている(非特許文献1)。
しかし、該イオン感応物質は親油性が低く、電極が試料水に浸漬された際にイオン感応物質が溶出しやすい。そのため、該イオン感応物質を用いた塩素イオン選択性電極は1ヶ月程度の使用でも感度が低下し、耐久性が不十分である。
耐久性を高めた塩素イオン選択性電極としては、ビスチオウレア骨格を有するイオン感応物質を共有結合によりイオン感応膜の高分子骨格に結合して固定化した電極が提案されている(特許文献1)。該電極では、イオン感応物質がイオン感応膜に固定化されていることで試料水中に溶出しないため、長期使用においても感度が低下することが抑制される。
特開平11−337515号公報
Analytical Chemistry, 1997, Vol. 69, No. 6, 1038-1044.
しかし、特許文献1の電極は、イオン感応物質をイオン感応膜の高分子骨格に固定化するための合成過程が複雑で製造が煩雑である。
本発明は、塩素イオン選択性及び耐久性に優れ、かつ簡便に製造できる塩素イオン選択性電極を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を採用した。
[1]高分子物質からなる母材と、下式(1)で表される基を有する化合物(A)の2〜10質量%と、ジフェニルエーテルのハロゲン誘導体(B)の50〜70質量%と、を含有するイオン感応膜を備える、塩素イオン選択性電極。
Figure 0006634805
(ただし、前記式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、Zは硫黄原子又は酸素原子である。)
[2]前記化合物(A)が、下式(2)で表される化合物(A1)を含む、[1]に記載の塩素イオン選択性電極。
Figure 0006634805
(ただし、前記式(2)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又はR11とR12が連結した炭素数1〜40のアルキレン基である。R21及びR22はそれぞれ独立に炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、R21及びR22がともに置換基を有する単環のアリーレン基である場合、それらアリーレン基は炭素数1〜6のアルキレン基で連結されていてもよい。Z11及びZ12はそれぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子であり、Xは酸素原子又は−NH−である。)
[3]前記化合物(A1)が、下式(3)で表される化合物(A11)を含む、[2]に記載の塩素イオン選択性電極。
Figure 0006634805
(ただし、前記式(3)中、R111及びR121はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基である。)
[4]前記イオン感応膜が、さらに第4級アンモニウム塩を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の塩素イオン選択性電極。
本発明の塩素イオン選択性電極は、塩素イオン選択性及び耐久性に優れ、かつ簡便に製造できる塩素イオン選択性電極を提供することを目的とする。
本発明の塩素イオン選択性電極の一例を示した断面図である。 本実施例における塩素イオン選択性電極の浸漬日数と電位差測定でのスロープ値との関係を示したグラフである。
本発明の塩素イオン選択性電極は、高分子物質からなる母材と、イオン感応物質である化合物(A)と、可塑剤であるジフェニルエーテルのハロゲン誘導体(B)(以下、単にハロゲン誘導体(B)ともいう。)と、を含有するイオン感応膜を備える電極である。
(電極の構成)
本発明の塩素イオン選択性電極においては、母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)を含有するイオン感応膜を備えていれば、それ以外は公知の構成を採用できる。本発明の塩素イオン選択性電極の一例として、塩素イオン選択性電極1について図1に基づいて説明する。
塩素イオン選択性電極1は、電極ボディ10と、内部電極12と、イオン感応膜14とを備える。電極ボディ10は、筒状の側面部10aと、側面部10aの上端を閉じる平板状の上面部10bとを備えている。イオン感応膜14は、電極ボディ10の下端開口を閉塞するように、電極ボディ10の下端に取り付けられている。電極ボディ10の内部には内部液16が収容されている。内部電極12は、内部液16に浸漬された状態で電極ボディ10内に収納されている。内部電極12には、電極ボディ10の上面部10bを貫通して外部機器と繋がるリード線18が接続されている。
電極ボディ10を形成する材料としては、適度に強度があり成型加工しやすい高分子樹脂が好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。内部電極12としては、ハロゲン化銀が好ましく、例えば、銀−塩化銀電極等が使用できる。内部液16としては、陽イオンとしてアルカリ金属やアルカリ土類金属、陰イオンとしてハロゲン化物イオンを含む水溶性の塩の溶液が好ましく、例えば、KCl水溶液等が使用できる。
(イオン感応膜)
イオン感応膜は、母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)を必須成分として含有し、必要に応じて、化合物(A)以外のイオン感応物質(以下、イオン感応物質(X)ともいう。)、ハロゲン誘導体(B)以外の可塑剤(以下、可塑剤(Y)ともいう。)を含有する。
[母材]
母材としては、塩素イオン選択性電極に使用される公知の高分子物質を使用でき、例えば、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、シリコン、ウレタン等が挙げられる。なかでも、取扱いが容易な点から、ポリ塩化ビニルが好ましい。
母材としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[化合物(A)]
化合物(A)は、下式(1)で表される基(以下、基(1)ともいう。)を有する化合物である。化合物(A)は、塩素イオン選択性を有する。
Figure 0006634805
ただし、前記式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、Zは硫黄原子又は酸素原子である。
のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Rのアルキレン基の炭素数は、1〜20であり、親油性向上の点から、1〜6が好ましい。
におけるアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Rのアルキレン基の炭素数は、1〜50であり、親油性向上の点から、20〜40が好ましい。
におけるアリーレン基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。Rのアリーレン基が置換基を有する場合、置換基の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。
におけるアリーレン基の置換基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜6のアルキレン基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。置換基としてのアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。
置換基としてのアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、置換基としてのアルキレン基の炭素数は、3〜5が好ましい。
としては、イオン選択性向上の点から、置換基を有してもよい単環のアリーレン基が好ましく、置換基として炭素数1〜20のアルキル基を有する単環のアリーレン基がより好ましく、置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有する単環のアリーレン基が特に好ましい。
としては、錯体形成力の向上の点から、硫黄原子が好ましい。
化合物(A)としては、塩素イオン選択性に優れる点から、下式(2)で表される化合物(A1)を含むことが好ましく、化合物(A1)のみからなることがより好ましい。化合物(A1)は、基(1)を2つ有する化合物である。
Figure 0006634805
ただし、前記式(2)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又はR11とR12が連結した炭素数1〜40のアルキレン基である。R21及びR22はそれぞれ独立に炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、R21及びR22がともに置換基を有してもよい単環のアリーレン基である場合、それらは炭素数1〜6のアルキレン基で連結されていてもよい。Z11及びZ12はそれぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子であり、Xは酸素原子又は−NH−である。
11及びR12がアルキル基である場合、該アルキル基は、Rの炭素数1〜20のアルキレン基の末端に水素原子が結合した基である。
11及びR12におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R11及びR12のアルキル基の炭素数の好ましい範囲は、Rのアルキレン基の炭素数の好ましい範囲と同じである。
11及びR12がそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基である場合、それらは同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
11及びR12が互いに連結したアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R11及びR12が連結したアルキレン基の炭素数は、親油性向上の点から、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
11及びR12としては、親油性向上の点から、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
21及びR22における炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基の好ましい態様は、Rにおけるアルキレン基又はアリーレン基の好ましい態様と同じである。R21及びR22は、同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
21及びR22がともに置換基を有する単環のアリーレン基である場合、それらアリーレン基が置換基である1〜6のアルキレン基で連結されていてもよい。2つのアリーレン基を連結するアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、該アルキレン基の炭素数は、3〜5が好ましい。
21及びR22としては、イオン選択性向上の点から、それぞれ独立に、置換基を有してもよい単環のアリーレン基が好ましい。
また、R21及びR22においては、互いのアリーレン基が炭素数1〜6のアルキレン基で連結されていることがより好ましく、アリーレン基におけるXと結合している炭素原子の、窒素原子と結合している炭素原子とは反対側の炭素原子同士が炭素数1〜6のアルキレン基で連結されていることがさらに好ましい。また、この場合、アリーレン基にはさらに別の置換基として炭素数1〜20のアルキル基を有することが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基を有することがより好ましい。
11及びZ12は、同じであってもよく、異なっていてもよい。Z11及びZ12としては、イオン選択性向上の点から、硫黄原子が好ましい。
としては、イオン選択性向上の点から、酸素原子が好ましい。
化合物(A1)としては、塩素イオン選択性に優れる点から、下式(3)で表される、ビスチオウレア骨格を有するニュートラルキャリア型の化合物(A11)を含むことが好ましく、化合物(A11)のみからなることがより好ましい。
Figure 0006634805
ただし、前記式(3)中、R111及びR121はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基である。
111及びR121のアルキル基は、Rの炭素数1〜20のアルキレン基の末端に水素原子が結合した基である。
111及びR121のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R111及びR121のアルキル基の炭素数の好ましい範囲は、Rのアルキレン基の炭素数の好ましい範囲と同じである。R111及びR121は同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
化合物(A11)としては、合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。化合物(A11)の具体例としては、例えば、商品名「Bisthiourea−1」(2,7−ジ−tert−ブチル−9,9−ジメチル−4,5−ビス(N’−ブチルチオウレイレン)−キサンテン、式(3)のR111及びR121が−(CHCHである化合物。同仁化学社製)が挙げられる。
化合物(A)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[ハロゲン誘導体(B)]
ハロゲン誘導体(B)は、ジフェニルエーテルにおけるベンゼン環上の1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された化合物である。
ハロゲン誘導体(B)が有するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、イオン感応膜から化合物(A)が溶出することを抑制する効果がより高い点から、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン誘導体(B)が有するハロゲン原子は、1個でもよく、2個以上でもよい。ハロゲン誘導体(B)が有するハロゲン原子の数は、1〜5個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
ハロゲン誘導体(B)の具体例としては、例えば、2−フルオロフェニル−2−ニトロフェニルエーテル、2,4−ジクロロフェニル(4−ニトロフェニル)エーテル、2−ブロモフェニル−3−ブロモフェニルエーテル等が挙げられる。なかでも、イオン感応膜から化合物(A)が溶出することを抑制する効果がより高い点から、2−フルオロフェニル−2−ニトロフェニルエーテルが好ましい。
ハロゲン誘導体(B)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[イオン感応物質(X)]
本発明の塩素イオン選択性電極のイオン感応膜は、化合物(A)以外のイオン感応物質(X)を含有してもよい。
イオン感応物質(X)としては、塩素イオン選択性電極に使用される公知のイオン感応物質を使用でき、第4級アンモニウム塩が好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウム塩(トリドデシルメチルアンモニウムクロライド等)が挙げられる。テトラアルキルアンモニウム塩が有するアルキル基の炭素数は、10〜20が好ましく、12〜18がより好ましい。
イオン感応物質(X)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[可塑剤(Y)]
本発明の塩素イオン選択性電極のイオン感応膜は、ハロゲン誘導体(B)以外の可塑剤(Y)を含有してもよい。
可塑剤(Y)としては、塩素イオン選択性電極に使用される公知の可塑剤を使用でき、例えば、ジフェニルエーテル、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、炭素数10〜20の直鎖アルコール(n−トリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール等)等が挙げられる。
可塑剤(Y)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[各成分の割合]
イオン感応膜中の母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)の合計質量(100質量%)に対する化合物(A)の割合は、1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。化合物(A)の割合が前記下限値以上であれば、塩素イオン選択性電極の感度が高くなる。化合物(A)の割合が前記上限値以下であれば、性能を維持しつつコストを抑えることができる。
イオン感応膜中の母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)の合計質量(100質量%)に対するハロゲン誘導体(B)の割合は、40〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。ハロゲン誘導体(B)の割合が前記下限値以上であれば、イオン感応膜から化合物(A)が溶出することを抑制する効果が充分に得られやすい。ハロゲン誘導体(B)の割合が前記上限値以下であれば、膜強度を維持することができる。
イオン感応膜中の化合物(A)に対するハロゲン誘導体(B)の質量比B/Aは、2〜80が好ましく、5〜35がより好ましい。質量比B/Aが前記下限値以上であれば、イオン感応膜から化合物(A)が溶出することを抑制する効果が充分に得られやすい。質量比B/Aが前記上限値以下であれば、塩素イオン選択性電極の感度が高くなる。
イオン感応膜中にイオン感応物質(X)が含有される場合、イオン感応物質(X)の割合は、化合物(A)に対するモル比で、25〜100モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。イオン感応物質(X)の割合が前記下限値以上であれば、塩素イオン選択性電極の応答勾配が良くなる。イオン感応物質(X)の割合が前記上限値以下であれば、良好なイオン選択性が得られる。
イオン感応膜中に可塑剤(Y)が含有される場合、可塑剤(Y)の割合は、ハロゲン誘導体(B)に対するモル比で、10〜100モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。可塑剤(Y)の割合が前記上限値以下であれば、良好な応答勾配を維持できる。
[イオン感応膜の製造方法]
イオン感応膜の製造方法は、母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)を組み合わせて用いる以外は、公知の方法を採用できる。
例えば、母材、化合物(A)及びハロゲン誘導体(B)と、必要に応じて使用するイオン感応物質(X)及び可塑剤(Y)とを溶媒(テトラヒドロフラン等)に加えて撹拌する。次いで、得られた溶液を基材上や容器内に流涎し、溶媒を蒸発させることによりイオン感応膜を得ることができる。
(作用効果)
本発明の塩素イオン選択性電極は、イオン感応膜から化合物(A)が試料水中に溶出することが抑制されるため、長期使用においても感度が低下しにくく、優れた耐久性を有している。このような効果が得られる要因としては、以下のように考えられる。
本発明の塩素イオン選択性電極では、イオン感応膜において、化合物(A)とハロゲン誘導体(B)とが組み合わせて用いられている。ハロゲン誘導体(B)は、ベンゼン環上の水素原子がハロゲン原子で置換されていることで、極性が高い。そのため、ハロゲン誘導体(B)を含有するイオン感応膜は、ハロゲン誘導体(B)を含有しないイオン感応膜に比べて極性が高い膜となる。これにより、イオン感応膜と試料水との極性の差が小さくなり、親油性が低い化合物(A)がイオン感応膜から試料水中に溶出することが抑制されると考えられる。
また、本発明の塩素イオン選択性電極は、イオン感応膜が化合物(A)を含有するため、塩素イオン選択性に優れている。また、ハロゲン誘導体(B)は誘電率が高いため、本発明におけるハロゲン誘導体(B)を含有するイオン感応膜は、電気を通しやすく、インピーダンスが低い膜となる。
また、塩素イオン選択性電極は、化合物(A)とハロゲン誘導体(B)とを併用するだけでよく、化合物(A)を共有結合によりイオン感応膜の高分子骨格に結合して固定化する必要がないため、製造が簡便である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[製造例1:イオン感応膜(α)の製造]
テトラヒドロフラン(THF)2mLに対して、化合物(A)として商品名「Bisthiourea−1」(同仁化学社製)、ハロゲン誘導体(B)として2−フルオロフェニル−2−ニトロフェニルエーテル(FNDPE)(誘電率44.5、同仁化学社製)、及び母材として分子量1万以上のポリ塩化ビニルの3成分を合計で400mg(3成分の質量比=2:66:32)加えた。さらに、Bisthiourea−1に対して50モル%の割合でトリドデシルメチルアンモニウムクロライドを加えて、室温で均一になるまで約1時間撹拌した。次いで、得られた溶液をガラス製シャーレ内に流延し、室温、大気圧の条件下でTHFを蒸発させ、均一で透明なイオン感応膜(α)を得た。
[製造例2:イオン感応膜(β)の製造]
FNDPEの代わりに、2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)(誘電率24.2、同仁化学社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてイオン感応膜(β)を製造した。
[実施例1]
製造例1で得たイオン感応膜(α)を用いて、以下の構成の塩素イオン選択性電極を作製した。
(塩素イオン選択性電極の構成)
内部電極:銀−塩化銀電極、
内部液:0.1mol/LのKCl水溶液、
イオン感応膜:イオン感応膜(α)、
電極ボディ:PVC樹脂製。
[比較例1]
イオン感応膜(α)の代わりに製造例2で得たイオン感応膜(β)を用いた以外は、実施例1と同様にして塩素イオン選択性電極を作製した。
[評価方法]
(1)試料水
試料水として、以下の試料水A〜Cを用いた。
試料水A:85mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液。
試料水B:102.5mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液。
試料水C:120mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液。
(2)電位差測定
断面積約0.1cmのポリ塩化ビニル製のフローセルの上流側に、各例で得た塩素イオン選択性電極、下流側に比較電極として銀−塩化銀電極(内部液:3.3mol/LのKCl水溶液)を取り付けた。次いで、試料水A〜Cのそれぞれをリン酸バッファ液(pH7.95)で約30倍に希釈して、前記電極を取り付けたフローセル内に導入した。希釈した試料水が塩素イオン選択性電極のイオン感応膜に到達してから6秒後における塩素イオン選択性電極と比較電極との電位差を測定した。
(3)スロープ値の算出
試料水の濃度と電位差との関係から、ネルンストの式によりスロープ値を算出した。
上記の電位差測定及びスロープ値の算出は、実施例1では、測定開始日から7、14、21、28、60、90、120日後にもそれぞれ実施した。また、比較例1では、測定開始日から7、14、21、28日後にもそれぞれ実施した。実施例1及び比較例1においては、電位差測定を行っていないときの塩素イオン選択性電極は、測定装置から取り外し、保存容器内で、試料水Bをリン酸バッファ液(pH7.95)で約30倍希釈した液に浸漬した状態で保存した。
実施例1及び比較例1における塩素イオン選択性電極の浸漬日数と、電位差測定でのスロープ値との関係を図2に示す。
図2に示すように、化合物(A)とハロゲン誘導体(B)とを併用したイオン感応膜(α)を備える実施例1の塩素イオン選択性電極は、4ヶ月程度経過してもスロープ値が維持されていた。このように、実施例1の塩素イオン選択性電極では、感度の低下が抑制されており、優れた耐久性を示した。
一方、FNDPEの代わりにNPOEを用いたイオン感応膜(β)を備える比較例1の塩素イオン選択性電極では、1ヶ月程度でスロープ値が大きく低下した。このように、十分に高い誘電率を有しているものの、FNDPEに比べて極性が低いNPOEでは、電極の感度低下を抑制する効果は得られなかった。
1 塩素イオン選択性電極
10 電極ボディ
12 内部電極
14 イオン感応膜
16 内部液
18 リード線

Claims (4)

  1. 高分子物質からなる母材と、下式(1)で表される基を有する化合物(A)の2〜10質量%と、ジフェニルエーテルのハロゲン誘導体(B)の50〜70質量%と、を含有するイオン感応膜を備える、塩素イオン選択性電極。
    Figure 0006634805
    (ただし、前記式(1)中、R1は炭素数1〜20のアルキレン基であり、R2は炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、Z1は硫黄原子又は酸素原子である。)
  2. 前記化合物(A)が、下式(2)で表される化合物(A1)を含む、請求項1に記載の塩素イオン選択性電極。
    Figure 0006634805
    (ただし、前記式(2)中、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又はR11とR12が連結した炭素数1〜40のアルキレン基である。R21及びR22はそれぞれ独立に炭素数1〜50のアルキレン基、又は置換基を有してもよい単環のアリーレン基であり、R21及びR22がともに置換基を有する単環のアリーレン基である場合、それらアリーレン基は炭素数1〜6のアルキレン基で連結されていてもよい。Z11及びZ12はそれぞれ独立に硫黄原子又は酸素原子であり、Xは酸素原子又は−NH−である。)
  3. 前記化合物(A1)が、下式(3)で表される化合物(A11)を含む、請求項2に記載の塩素イオン選択性電極。
    Figure 0006634805
    (ただし、前記式(3)中、R111及びR121はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基である。)
  4. 前記イオン感応膜が、さらに第4級アンモニウム塩を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩素イオン選択性電極。
JP2015241145A 2015-12-10 2015-12-10 塩素イオン選択性電極 Active JP6634805B2 (ja)

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