JP5254123B2 - リチウムイオン選択性電極 - Google Patents

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本発明は、リチウムイオン選択性電極に関する。特に、血液などの生体液中や、冷却水などの工業用水中などに含まれるリチウムイオン濃度を、迅速かつ精度良く測定するのに好適なリチウムイオン選択性電極に関する。
イオン選択性電極は、様々なイオンを含む混合溶液中において、特定のイオンを選択的に検出することができるセンサであり、小型化が可能、使用法が簡便、応答が速いといった利点を有することから、環境、工業、臨床などの分野で実用化が進められている。
イオンセンサシステムの典型的な構成は、イオン選択性電極、参照電極、直流電位差計などを含み、イオン選択性電極および参照電極が同時に試料溶液中に浸される時に生じる電位差(応答電位)を測定することにより、測定対象イオンの濃度を求めることができる。
リチウムイオン濃度の測定は、臨床分野または工業分野などにおいて行われている。例えば臨床分野においては、リチウムが精神疾患の治療薬として用いられており、治療期間中は生体液(例えば、血清、血漿、尿、髄液または全血液など)中のリチウム濃度の注意深い監視が必要とされる。また工業分野では、例えば、特許文献1に記載されているように、冷却水系などの循環水系水中に水処理用薬品と共にトレーサ物質としてリチウムイオンを添加し、このリチウムイオン濃度を測定することにより、安定的かつ効率的な水処理用薬品の濃度管理を行う方法が実施されている。
臨床分野、工業分野のいずれの場合も、他のイオンに妨害されることなくリチウムイオンを低濃度まで精度良く測定することが求められ、特に、リチウムイオンと同じアルカリ金属であり、かつ、試料溶液中に高濃度に存在するナトリウムイオンに対してリチウムイオンの選択性の高いセンサが必要である。
この目的のために、リチウムイオンセンサの感応物質として、リチウムイオンを選択的に捕捉可能なイオン選択性配位分子(イオノフォアまたはイオン感応物質とも呼ばれる)を用いるイオン選択性電極が提案されている。イオン選択性電極には通常、イオン選択性配位分子、可塑剤、アニオン排除剤を高分子マトリクスに分散させた感応膜が用いられる。リチウムイオンを選択的に捕捉可能な様々なイオン選択性配位分子が開発されてきたが、特に特許文献2に記載される下記化学式で示されるイオン選択性配位分子は高いリチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性を有している。
Figure 0005254123

上記化学式において、R〜Rはそれぞれ独立して、Hまたは炭化水素基であって、R〜Rのうちの少なくとも1つは炭化水素基である。
また、可塑剤について、特許文献2には、2−ニトロフェニルオクチルエーテルまたはセバシン酸(ジ−2−エチルヘキシル)を用いた例が記載されている。
特許文献2では可塑剤の影響について検討されていないが、可塑剤として2−ニトロフェニルオクチルエーテルまたはセバシン酸(ジ−2−エチルヘキシル)を用いたリチウムイオン選択性電極には、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性が不十分である、組成の異なるサンプル溶液に電極を漬け替えた際の応答が遅い、寿命が短いといった問題がある。
特開2004−4045号公報 特開平6−73045号公報
本発明の目的は、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性が高いリチウムイオン選択性電極を提供することにある。
本発明は、下記式(1)で示されるイオン選択性配位分子と、下記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物とを含む感応膜を有するリチウムイオン選択性電極である。
Figure 0005254123

(1)
(式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ベンジル基、ベンジルオキシメチル基、フェニル基、シクロヘキシル基から選択されるいずれか1種であり、R〜Rはそれぞれ独立して炭化水素基である。)
Figure 0005254123

(2)
(式(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ニトロ基、ハロゲン基から選択されるいずれか1種である。)
また、前記リチウムイオン選択性電極において、前記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物が、2−ニトロフェニルフェニルエーテル、2−フルオロフェニル−2−ニトロフェニルエーテルから選択されるいずれか1種であることが好ましい。
本発明では、前記式(1)で示されるイオン選択性配位分子と、前記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物とを含む感応膜を有することにより、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性が高いイオン選択性電極を提供することができる。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン選択性電極の構成の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るリチウムイオン選択性電極を用いたリチウムイオン濃度の測定原理を説明するための概略図である。 本発明の実施例におけるリチウムイオン選択性電極について、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性の測定結果を示す図である。 本発明の実施例におけるリチウムイオン選択性電極について、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性の経時変化を示す図である。 本発明の実施例におけるリチウムイオン選択性電極について、液性変化に対する応答速度を測定した図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン選択性電極の構成の一例を図1に示す。リチウムイオン選択性電極1は、感応膜10と、外筒12と、内部液14と、内部電極16とを備える。なお、本構成は一例であって、これに限定されるものではない。
リチウムイオン選択性電極1において、感応膜10はイオン選択性配位分子、可塑剤、アニオン排除剤などを高分子マトリクスに分散させて乾燥させたもので、外筒12に固定されている。外筒12の中には内部液14が充填され、ここに内部電極16が浸漬されている。応答電位はこの内部電極16からリード線などを通じて取り出される。
リチウムイオン選択性電極1において、感応膜10は、イオン選択性配位分子として下記式(1)で示される化合物と、可塑剤として下記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物とを含む。感応膜10は、これらイオン選択性配位分子、可塑剤を、必要に応じてアニオン排除剤などとともに高分子マトリクスに分散させて乾燥させたものである。
Figure 0005254123

(1)
式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ベンジル基、ベンジルオキシメチル基、フェニル基、シクロヘキシル基から選択されるいずれか1種であり、R〜Rはそれぞれ独立して炭化水素基である。アルキル基は、例えば、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基である。炭化水素基は、例えば、アルキル基、アリール基などである。また、R〜Rが結合して環を形成してもよい。
Figure 0005254123

(2)
式(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ニトロ基、ハロゲン基から選択されるいずれか1種である。アルキル基は、例えば、炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基である。ハロゲン基は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などである。
式(1)で示されるイオン選択性配位分子と、式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物とを含む感応膜10を有することにより、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性が高くなる。また、組成の異なるサンプル溶液に漬け替えた際の応答が早く、電極の寿命が長くなる。
イオン選択性配位分子である上記式(1)で示される化合物において、イオン選択性配位分子に親油性を持たせ、感応膜から溶液への流出を抑制するなどのために、R〜Rのうち少なくとも1つは炭素数6以上20以下の炭化水素基であることが好ましい。そのような化合物の例としては、例えば、2,2,3,3−テトラメチル−9−テトラデシル−1,4,8,11−テトラオキサシクロテトラデカン(下記式(3))が挙げられる。
Figure 0005254123

(3)
上記式(1)で示される化合物において、R〜Rが結合して環を形成してもよい。そのような化合物の例としては、例えば、7−テトラデシル−2,6,9,13−テトラオキサトリシクロ[12.4.4.01.14]ドコサン(下記式(4))が挙げられる。
Figure 0005254123

(4)
上記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物としては、下記式(5)で示される化合物であることが好ましく、下記式(6)で示される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005254123

(5)
Figure 0005254123

(6)
式(5),(6)において、Rは、式(2)における定義と同様である。
上記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物としては、例えば、2−ニトロフェニル フェニル エーテル(NPPE)(下記式(7))や、2−フルオロフェニル 2−ニトロフェニル エーテル(FPNPE)(下記式(8))が挙げられる。
Figure 0005254123

(7)
Figure 0005254123

(8)
可塑剤として、上記式(2)で示される構造を有するジフェニルエーテル化合物を用いることによってリチウムイオン選択性電極の性能が向上する理由として、2つのベンゼン環による嵩高い立体構造が高分子マトリクス中に、上記式(1)の構造を有するイオン選択性配位分子を良く分散させるための隙間を形成するためであると考えられる。このことは、実施例(図5)でも示すとおり、液性変化に対して追随が良くなること、すなわち感応膜中でのイオン選択性配位分子の配向が速やかに行われることからも支持される。
アニオン排除剤としては、感応膜中に保持され得る有機性の陰イオン分子であれば特に限定されないが、保持性能や入手のし易さなどから、カリウム テトラキス(4−クロロフェニル)ボレート(KTCPB)、カリウム テトラキス(4−ビフェニル)ボレート、カリウム テトラキス(4−tert−ブチルフェニル)ボレート、カリウム テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ナトリウム テトラ(p−トリル)ボレート、ナトリウム テトラキス(4−フルオロフェニル)ボレート二水和物、ナトリウム テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ナトリウム テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ボレート三水和物、ナトリウム テトラフェニルボレートなどが好ましく用いられる。
高分子マトリクスとしては、イオン選択性配位分子、アニオン排除剤、可塑剤などを膜状に保持できる物質であればよく、特に限定されないが、入手のし易さなどから、ポリ塩化ビニル、ポリアニリン、ポリウレタン、セルロース トリアセテートなどの樹脂が好ましく用いられる。特に、耐久性の観点からポリ塩化ビニルの使用が好ましい。
感応膜10中の各成分の成分比は、イオン選択性配位分子は、感応膜10中の全成分量に対して0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。イオン選択性配位分子が0.1重量%未満ではリチウムイオンへの応答が出現しない場合があり、10重量%を超えると応答電位が不安定となる場合がある。アニオン排除剤は、イオン選択性配位分子に対して物質量比(単位モル)で10%以上、100%未満であることが好ましい。アニオン排除剤が10%未満では溶液中に含まれる陰イオンの影響を受け易く、100%以上では応答電位が不安定となる場合がある。可塑剤は、感応膜10中の全成分量に対して50重量%以上、85重量%以下であることが好ましい。可塑剤が50重量%未満では感応膜が硬過ぎ、感応膜中のイオン移動が阻害されるため応答が出現しない場合があり、85重量%を超えると感応膜が柔らか過ぎて保持できない場合がある。なお通常は、残余が高分子マトリクスである。
感応膜10の形成方法としては、特に限定されない。例えば、所定量のイオン選択性配位分子、アニオン排除剤、可塑剤、高分子マトリクスを、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に加えて溶解させ、よく撹拌した後に、ガラスシャーレなどの上に展開して、例えば室温〜60℃で乾燥させて膜を形成する。その後、膜を切り出し、ポリ塩化ビニルなどの樹脂をテトラヒドロフランなどの有機溶媒に溶解させた溶液を接着剤として用い、外筒12の先端部などに取り付ければよい。
外筒12としては、例えば、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を構成材料とするものを用いることができる。
内部液14としては、リチウムイオンを含む溶液を用いることができ、例えば、0.001〜1mol/Lの塩化リチウム溶液などが好ましく用いられる。
内部参照電極16としては、内部液14中で安定に動作するものを用いればよく、例えば、銀−塩化銀電極などが好ましく用いられる。
次に、リチウムイオン選択性電極1を用いたリチウムイオン濃度の測定原理を、図2を用いて説明する。リチウムイオンの測定では、リチウムイオン選択性電極1と、参照電極20との組合せからなる一対の電極が用いられる。なお、本明細書ではこの一対の電極を総称して「リチウムイオン電極」と呼ぶことがある。リチウムイオン選択性電極にはリチウムイオンに対して選択的に応答する感応膜10があり、この感応膜10が試料溶液中のリチウムイオンに接すると、その濃度に応じた膜電位を生じる。容器24中の試料溶液26に浸漬させた参照電極20をリチウムイオン選択性電極1の対極として直流電位差計22に接続し、両電極間の電位差を測定することにより膜電位が測定される。このとき直流電位差計22により測定される相対電位を応答電位という。なお、試料溶液26は撹拌機28により撹拌してもよい。
応答電位Eと試料溶液中のリチウムイオン濃度Cとの間には、一般に下記式(A)の関係が成立する。この式はネルンスト式と呼ばれる。式(A)において、Eは25℃での標準電極電位、Rは気体定数、Tは絶対温度、Zは測定対象イオンの電荷数、Fはファラデー定数、Logは常用対数である。式(A)中の[2.303RT/(ZF)]をネルンスト定数と呼び、イオン濃度が10倍変化した場合のこの定数値を理論応答勾配またはネルンスト勾配という。1価イオンであるリチウムイオンの場合、25℃でのネルンスト勾配理論値は約59mVとなる。イオン電極測定法については、例えば、参考文献(JIS K−0122(イオン電極測定方法通則))に詳しく記載されている。
Figure 0005254123

(A)
参照電極20としては、基準電位を発生するものであればよく、例えば、銀/塩化銀電極が好ましく用いられる。
直流電位差計22としては、高入力インピーダンスの回路であればよく、特に低ノイズの回路が好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン選択性電極1は、例えば、臨床分野、工業分野などにおいて用いることができる。例えば、血液などの生体液中や、冷却水などの工業用水中などに含まれるリチウムイオン濃度を測定するのに好ましく用いることができる。臨床分野においては、例えば、精神疾患の治療薬などとして用いられるリチウムの生体液(例えば、血清、血漿、尿、髄液または全血液など)中の濃度を測定するのに用いることができる。また、工業分野では、例えば、冷却水系などの循環水系水中に水処理用薬品と共にトレーサ物質としてリチウムイオンを添加し、このリチウムイオン濃度を測定することにより、安定的かつ効率的な水処理用薬品の濃度管理を行うことができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例および比較例>
[リチウムイオン選択性電極の作製]
感応膜は、所定量のイオン選択性配位分子、アニオン排除剤、可塑剤、高分子マトリクスとしてポリ塩化ビニルを、テトラヒドロフランに加えて室温下で溶解させ、10分間撹拌した後にガラスシャーレ上に展開して一昼夜風乾させた。その後、直径6mmの膜を切り出し、ポリ塩化ビニルの50mg/mLテトラヒドロフラン溶液を接着剤として用いて、外筒に取り付けた。内部液として、0.01mol/LのLiCl溶液を入れ、内部電極を挿入し、リチウムイオン選択性電極を完成させた。外筒は市販のイオン電極キット(東亜ディーケーケー製)、内部電極は銀線に塩化銀を電着させたものを用いた。
感応膜の組成は表1の通りとした。イオン選択性配位分子としては、上記式(3)で示される2,2,3,3−テトラメチル−9−テトラデシル−1,4,8,11−テトラオキサシクロテトラデカン(同仁化学研究所製)を、アニオン排除剤としては、カリウム テトラキス(4−クロロフェニル)ボレート(KTCPB、同仁化学研究所製)を、高分子マトリクスとしては、ポリ塩化ビニル(Fluka製)をそれぞれ用いた。ここでイオン選択性配位分子に対するアニオン排除剤の物質量(単位モル)比は30%となる。
可塑剤としては、実施例1として、上記式(7)で示される2−ニトロフェニル フェニル エーテル(NPPE)(Fluka製)と、実施例2として、上記式(8)で示される2−フルオロフェニル 2−ニトロフェニル エーテル(FPNPE)(Fluka製)を用いた。また、比較例1として、2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)(同仁化学研究所製)と、比較例2として、セバシン酸(ジ−2−エチルヘキシル)(DOS)(Fluka製)を、参考例1として、2−(ドデシルオキシ)ベンゾニトリル(CPDDE)と、参考例2として、一般的な可塑剤の一つであるフタル酸エステル系のジブチル フタレート(DBP)(Fluka製)を用い、それぞれ感応膜を調製した。
Figure 0005254123
[測定]
応答電位の測定は、参照電極として銀−塩化銀電極(東亜ディーケーケー製、HS−205C)、直流電位差計としてイオンメータ(東亜ディーケーケー製、IM−55G)を用いて行った。
[リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性の測定]
イオン選択性電極の選択性は一般に選択係数によって表される。選択係数は、測定対象イオンに対して妨害イオンがどれだけ応答電位に影響を与えるかを示す数値であり、この値の大きさによってイオン選択性電極の性能が評価される。測定方法に関する詳細は、参考文献(JIS K−0122(イオン電極測定方法通則))に記載されている。
リチウムイオン選択性電極は一般に同族元素であるナトリウムイオンの影響を最も大きく受けることが知られている。そこで、実施例1,2、比較例1,2および参考例1,2のリチウムイオン選択性電極について、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性を、上記参考文献に記載の方法に従って試験を行い評価した。実際の測定手順は以下の通りである。
(測定手順)
(1)0.1M NaCl溶液にリチウムイオン電極を浸漬させて、応答電位の測定を開始
(2)リチウムイオン電極を浸漬した溶液にLiCl溶液を順次添加し、応答電位を測定
得られたデータをLi濃度が0.01mol/Lの時の応答電位を基準にプロットしたものが図3である。また、この図から上記参考文献に記載の方法により算出した、リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択係数の常用対数値を表2に示す。両者から明らかな通り、可塑剤としてNPPE、FPNPEを用いた実施例1,2のリチウムイオン選択性電極は、従来のNPOE、DOSを用いた比較例1,2のリチウムイオン選択性電極や、CPDDE、DBPを用いた参考例1,2のリチウムイオン選択性電極に比べて、より低濃度のリチウムイオンを定量可能である。
Figure 0005254123
[リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性の経時変化]
製作したリチウムイオン選択性電極は測定を行わない間、相模原市水を5倍濃縮した水にリチウムイオンを1mg/Lとなるよう添加した溶液に常時浸漬させておいた。このリチウムイオン選択性電極について、製作直後、および製作から60日後、80日後、130日後にリチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性を測定した結果を図4に示す。リチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択係数は、上記参考文献に記載の方法に従って算出した。図4から明らかな通り、比較例1,2のNPOE、DOSや、参考例1,2のCPDDE、DBPに比べて、実施例1,2のNPPE、FPNPEを可塑剤として用いたリチウムイオン選択性電極の方が、より長期間にわたり、高いリチウムイオンのナトリウムイオンに対する選択性を維持できることがわかる。
[液性変化に対する応答性]
液性の異なる試料溶液にリチウムイオン選択性電極を漬け替えた際の応答速度を比較した。測定手順は以下の通りである。
(測定手順)
(1)相模原市水を5倍濃縮して全溶解成分の濃度を高めた水に、リチウムイオンを1mg/Lとなるように添加した溶液を準備
(2)上記の溶液にリチウムイオン電極を浸漬させて一晩放置
(3)リチウムイオン電極を、リチウム濃度1mg/Lを含む0.01mol/L 塩化アンモニア溶液に漬け替えて測定開始
測定結果を図5に示す。漬け替え直前の応答電位を基準(図5における点線)にプロットしてある。可塑剤にNPOEを用いた比較例1のリチウムイオン選択性電極は応答が遅い。また上記(1)で用いた溶液と(3)で用いた溶液は同じリチウムイオン濃度であることから、応答電位の差(ΔE)は0mVであることが好ましいが、比較例1のリチウムイオン選択性電極では1時間経過後も約4mVの差が生じている。これは液性の異なるサンプル毎に校正が必要であることを示している。一方、実施例1,2のNPPE、FPNPEを可塑剤として用いたリチウムイオン選択性電極は応答が速く、また比較例1のNPOEのような液性変化に伴う応答電位の差異はほとんど認められない。
以上のように、上記式(1)で示されるリチウムイオン選択性配位分子を用いたリチウムイオン選択性電極について、可塑剤の影響が大きいことを見出し、上記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物を可塑剤として用いることにより、生体液中や工業用水中などでの測定で妨害となるナトリウムイオンに対して高いリチウムイオン選択性を長期間にわたり得ることが可能となった。これにより、リチウムイオン濃度を精度良く測定し、かつリチウムイオン選択性電極の交換頻度を減じることが可能となった。また、液性の異なる溶液にリチウムイオン選択性電極を漬け替えた際の応答速度を大幅に改善したことにより、例えば校正時間の短縮が可能となった。
1 リチウムイオン選択性電極、10 感応膜、12 外筒、14 内部液、16 内部電極、20 参照電極、22 直流電位差計、24 容器、26 試料溶液、28 撹拌機。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で示されるイオン選択性配位分子と、下記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物とを含む感応膜を有することを特徴とするリチウムイオン選択性電極。
    Figure 0005254123

    (1)
    (式(1)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ベンジル基、ベンジルオキシメチル基、フェニル基、シクロヘキシル基から選択されるいずれか1種であり、R〜Rはそれぞれ独立して炭化水素基である。)
    Figure 0005254123

    (2)
    (式(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ニトロ基、ハロゲン基から選択されるいずれか1種である。)
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン選択性電極であって、
    前記式(2)で示されるジフェニルエーテル化合物が、2−ニトロフェニルフェニルエーテル、2−フルオロフェニル−2−ニトロフェニルエーテルから選択されるいずれか1種であることを特徴とするリチウムイオン選択性電極。
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