JPH10147654A - 水素結合に基づくイオノフォアを用いる液膜型塩化物イオン選択性電極 - Google Patents

水素結合に基づくイオノフォアを用いる液膜型塩化物イオン選択性電極

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JPH10147654A
JPH10147654A JP8346441A JP34644196A JPH10147654A JP H10147654 A JPH10147654 A JP H10147654A JP 8346441 A JP8346441 A JP 8346441A JP 34644196 A JP34644196 A JP 34644196A JP H10147654 A JPH10147654 A JP H10147654A
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selective
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Yoshio Umezawa
喜夫 梅澤
Buelmann Philippe
ブュールマン フィリップ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】陰イオン選択性電極において、選択性を高め
る。 【解決手段】水素結合に基づいて塩化物イオンと会合す
るニュートラルキャリア型のリガンドを感応膜中に用い
る。 【効果】極めて高い選択性が得られ、測定精度が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は陰イオン選択性電極
に係り、特に生体液の測定や環境モニタリングに使用す
るに好適な、ニュートラルキャリア型の感応物質に基づ
く塩化物イオン測定用の陰イオン選択性電極に関する。
【従来の技術】生体液中の塩化物イオンの測定や環境中
の塩化物イオンのモニタリングのためには各種の測定方
法が考案されているが、なかでも迅速、簡便な測定法と
して、オン選択性電極を使用する方法が広く採用されて
いる。塩化物イオンの測定に使用される陰イオン選択性
電極としては、銀塩化銀に基づく固体膜電極や、ポリ塩
化ビニルの如き高分子支持膜中に有機化合物からなる感
応物質(リガンド)を担持させた高分子支持膜形電極が
報告されている。前者は臭化物イオンなどの妨害が大き
いばかりでなく蛋白質の吸着の問題もあるため、生体液
中の塩化物イオンの測定には後者の電極、特にリガンド
として第4級アンモニウム塩等のイオン交換体を用いる
ものが一般に広く使用されている。この種の電極として
は、例えばミクロシミカ・アクタ、第3巻、(1984
年)、第1頁〜16頁(Mikrochimica A
cta,III,(1984),pp1−16)に記載
されている、リガンドとしてトリドデシルメチルアンモ
ニウムクロライド等を用いるものが代表的である。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のイオン交換体型リガンドに基づく陰イオン選択性電極
の選択性はいわゆるホフマイスター序列によって支配さ
れ、親油性の高い陰イオンが共存すると塩化物イオンの
測定値が妨害を受けやすいという問題があった。可塑剤
の最適化による改善等が試みられているが、塩化物イオ
ンの選択性を抜本的に改善するには至っていない。一
方、感応物質としてイオン交換体ではなく、いわゆるニ
ュートラルキャリアを用いる陰イオン選択性電極も各種
報告されている。この範疇に属するものとしては、例え
ば有機錫化合物、有機水銀化合物、金属ポルフィリン化
合物に基づくもの等が知られている。しかしながら、こ
れらのニュートラルキャリアに基づく陰イオン選択性電
極は、選択性が十分でなかったり、あるいは長期安定性
が不十分であったりするなどの問題があるため、実用的
な塩化物イオン選択性電極が提供されるまでには至って
いない、という課題があった。本発明の目的は、高分子
支持膜形の陰イオン選択性電極において、塩化物イオン
の選択性が高く、生体液等の測定を高精度に行うことが
できる陰イオン選択性電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記目的は、高分子支持
膜形の陰イオン選択性電極において、水素結合に基づい
て塩化物イオンと会合するニュートラルキャリア型のリ
ガンドを感応膜中に用いることにより、達成される。具
体的には、このリガンドとしては一般式(化1 (但し、X1、X2及びZ1は5A族又は6A族の原
子、R1及びR2は2価の有機基、)で表される有機基
を1つ以上分子中に有する化合物を使用する。より具体
的には、一般式(化4) (但し、R1及びR2はそれぞれ炭素数2ないし20の
炭化水素基、)で表されるビスチオウレア型の化合物を
リガンドとして感応膜中に使用することにより、達成さ
れる。
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
する。図1は本発明が適用される陰イオン選択性電極の
構成断面図の一例である。電極筒1には内部液2と内部
電極3が収納されており、電極筒1の端部にはイオン感
応膜4が形成されている。なお、イオン感応膜4につい
ては下記に詳述する。このイオン感応膜4を図1の電極
筒1の大きさに応じて適当な大きさに打ち抜いて電極筒
1の端部に接着した。この陰イオン選択性電極を、カロ
メル電極などからなる参照電極とともに試料溶液に浸漬
し、参照電極を基準とした陰イオン選択性電極の起電力
を、常法に従って電位差測定を行った。典型的なセル構
成は下記(式1)のようになる。 ここでHEPESは2−[4−(2−hydroxye
thyl)−1−piperazinyl]ethan
esulfonic acidであり、また試料溶液は
やはり0.1M HEPESでpHを7.0としてあ
る。本発明におけるイオン感応膜としては、リガンド、
高分子膜母材、可塑剤、そして場合により添加剤を含有
する、高分子支持液膜型のイオン感応膜が好適に使用で
きる。このイオン感応膜は、これらの構成成分をテトラ
ヒドロフランに溶解後、ガラスシャーレ内にキャストし
た後、テトラヒドロフランを蒸散させることにより、形
成される。以下、これら各構成成分について好ましい実
施の形態を説明する。本発明におけるリガンドとして
は、水素結合に基づいて塩化物イオンと会合するニュー
トラルキャリア型の化合物を使用する点に最大の特徴が
あり、この化合物としては一般式(化1) (但し、X1、X2及びZ1は5A族又は6A族の原
子、R1及びR2は2価の有機基、)で表される有機基
を1つ以上分子中に有する化合物が使用できる。より詳
細には、一般式(化4) (但し、R1及びR2はそれぞれ炭素数2ないし20の
炭化水素基、)で表されるビスチオウレア型の化合物が
特に好適に使用できる。この一般式(化4)で表され、
R1及びR2がそれぞれ炭素数4のブチル基である化合
物、即ち2,7−Di−tert−butyl−9,9
−dimethyl−4,5−bis(N’−buty
lthioureylene)−xantheneの合
成法の概略は以下の通り。2,7−Di−tert−b
utyl−9,9−dimethyl−4,5−xan
thenedicarboxylic acidと、d
iphenyl phosphoryl azide
と、triethylamineと、benzyl a
lcoholとのトルエン中での反応によって2,7−
Di−tert−butyl−9,9−dimethy
l−4,5−xanthenediylbiscarb
amicacid dibenzylesterが合成
される。これを水酸化カリウムによって加水分解するこ
とにより、2,7−Di−tert−butyl−9,
9−dimethyl−4,5−xanthenedi
amineが得られる。この化合物とbutyl is
othiocyanateとの反応により、2,7−D
i−tert−butyl−9,9−dimethyl
−4,5−(N’−butylthioureylen
e)−xantheneが合成される。 本発明におけ
るこのリガンドには、2つのチオ尿素骨格に合計4つの
N−H基が存在し、それらが水素結合の供与体として作
用する。一方、塩化物イオンClは水素結合の良い受
容体として知られており、水素結合の供与体XHとの
相互作用により、XH…Clの型の水素結合を形成
しうる。この錯体の水素結合を行いうる水素原子のNM
R化学シフトをNMR滴定法により評価したところ、リ
ガンドと塩化物イオンとは実際に錯形成比1:1で錯体
を形成し、その錯安定度定数は約813[l/M]と極
めて高いことが確認された。従って、これらのリガンド
は塩化物イオンと水素結合に基づく安定な1:1錯体を
形成する、換言すると2つのチオ尿素骨格の間の4つの
水素結合により塩化物イオンを安定に取り込むと考えら
れる。ただし場合によっては他の錯形成比、例えば2:
1の錯形成比をとる場合もありうる。この様に本発明に
おけるリガンドは電荷を帯びない中性の状態で塩化物イ
オンと安定な錯体を形成するため、ニュートラルキャリ
ア型リガンドとして機能する。このため、従来のイオン
交換体型リガンドと異なり、いわゆるホフマイスター序
列に囚われない、高い選択性が達成される。本発明にお
ける高分子膜母材としては、各種の公知の化合物が使用
できるが、例えば重合度約1100のポリ塩化ビニルが
好適に使用できる。本発明における可塑剤としては、各
種の公知の化合物が使用できるが、本発明においては可
塑剤の選択により特に好ましい効果が得られるため、以
下に可塑剤の種類について詳述する。本発明第1、第
2、第3の実施の形態は、感応膜中にリガンドとして上
記一般式(化4) で表され、R1及びR2がそれぞれ炭素数4のブチル基
である化合物、即ち2,7−Di−tert−buty
l−9,9−dimethyl−4,5−bis(N’
−butylthio urcylene)−xant
heneを使用し、高分子膜母材としては重合度約11
00のポリ塩化ビニルを使用する点が共通であるが、可
塑剤としてそれぞれo−NPOE(オルトニトロフェニ
ルオクチルエーテル)、DOS(ジ(2−エチルヘキシ
ル)セバケート)、クロロパラフィンを使用した点が異
なる。本実施の形態のイオン感応膜成分の組成比(wt
%)としては主としてリガンド:高分子膜母材(ポリ塩
化ビニル):可塑剤(o−NPOE、DOS又はクロロ
パラフィン)が約1:33:66となるようにキャスト
液を調合した。また後述の理由により、対リガンドモル
比で50%のTDDMACl(トリドデシルメチルアン
モニウムクロライド)も、添加剤として各感応膜中に含
有させた。これらの実施の形態によるイオン感応膜を用
いて上記のようにして製作したイオン選択性電極の、塩
化物イオン濃度に対する応答の直線性を調べた結果を図
2に示した。図示の通り、図中の番号6で示したように
DOSに基づく第2の実施の形態ではほとんど応答が得
られず、また図中の番号5で示したようにクロロパラフ
ィンに基づく第3の実施の形態では全く応答が得られな
かったのに対し、図中の番号7で示したようにo−NP
OEに基づく第1の実施の形態では、10−5Mないし
10−2Mの塩化物イオン濃度範囲において直線的な応
答が得られ、Nernstの理論値に近い約−54.0
mV/decの良好なスロープ感度と、6.5×10
−6Mの極めて低い検出下限が得られ、即ち良好な応答
特性が得られた。クロロパラフィンに基づく第3の実施
の形態で応答が得られなかったのは、膜の電気抵抗が約
1ギガオームと極めて高かったためと考えられる。DO
Sに基づく第2の実施の形態ではほとんど応答が得られ
なかったのは、DOSのエステル結合におけるカルボキ
シル基がリガンドの水素結合サイトと水素結合して、リ
ガンドの塩化物イオンに対する錯形成能を低減させたこ
とが一因と考えられる。以上により、本発明における可
塑剤としてはo−NPOEが最も好適な可塑剤であると
判断される。本発明のイオン感応膜には、リガンド、高
分子膜母材、可塑剤以外に、上記の様に必要に応じて添
加剤を含有することができる。添加剤としては測定対象
であるアニオンと逆の電荷を有する化合物、この場合は
TDDMAClなどの親油性のカチオンを使用できる
が、本発明においては添加剤の膜中濃度の選択により特
に好ましい効果が得られるため、以下に添加剤の膜中濃
度について詳述する。本発明第4、第5、第6、第7の
実施の形態は、感応膜中にリガンドとして上記一般式
(化4) で表され、R1及びR2がそれぞれ炭素数4のブチル基
である化合物、即ち2,7−Di−tert−buty
l−9,9−dimethyl−4,5−bis(N’
−butylthioureylene)−xanth
eneを使用し、高分子膜母材として重合度約1100
のポリ塩化ビニル、可塑剤としてo−NPOEを使用す
る点が共通であるが、添加剤としてTDDMAClをそ
れぞれ対リガンドモル比で35%、50%、100%、
150%含有する点が異なる。これらの実施の形態のイ
オン感応膜成分の組成比としては、上記第1ないし第3
の実施の形態と同様、概ねリガンド:高分子膜母材(ポ
リ塩化ビニル):可塑剤(o−NPOE)が約1:3
3:66となるようにキャスト液を調合した。これらの
実施の形態によるイオン感応膜を用いて上記のようにし
て製作したイオン選択性電極は、数秒以内と十分迅速な
時間応答を示し、また起電力の時間ドリフトは毎分0.
1mV以下と安定であった。これらの実施の形態による
イオン選択性電極の応答特性を表1に示したが、どの実
施の形態も低い検出限界と広いダイナミックレンジを示
した。また、TDDMAClの対リガンドモル比35%
の第4の実施の形態以外は、ほぼNernstの理論値
通りの高いスロープ感度を示した。モル比がそれぞれ5
0%、100%の第5、第6の実施の形態はほぼ同等の
特性を示した。しかしモル比が150%の第7の実施の
形態は検出下限がやや高かった。これは、この条件では
膜中における自由なリガンドの濃度が他の場合より低い
ことが原因と考えられる。これらの電極の選択係数を、
塩化物イオン濃度が10−2.34ないし10
−2.04Mの領域でマッチドポテンシャル法で評価し
た結果の一例を前記表1に合わせて記した。 本発明における第4ないし第7の実施の形態による電極
は、塩化物イオンを基準とした場合の対重炭酸イオン選
択性が極めて高かったため、この条件では正確な選択性
の評価が行えなかった。一方、対臭化物イオンや対チオ
シアン酸イオン選択性については、モル比が50%の第
5の実施の形態による電極が、それ以外の実施の形態に
よる電極よりも優れていた。以上を総合的に考慮する
と、添加剤TDDMAClの膜中濃度としては対リガン
ドモル比で50%が最も好適な濃度であると判断され
る。次に、本発明に基づく実施の形態の効果について説
明する。ここで、本発明との対比のために従来例を示
す。この従来例は、上記の公知例として引用した文献に
基づく電極、即ちリガンドとしてTDDMAClを6重
量パーセント、可塑剤としてo−NPOEを65重量パ
ーセント、高分子膜母材としてポリ塩化ビニルを29重
量パーセントを含有する感応膜に基づく電極である。即
ちこの従来例は、リガンドとして、陽電荷を有するイオ
ン交換体型の化合物を使用する点が、水素結合に基づく
ニュートラルキャリア型の化合物を使用する本発明と異
なる。この従来例と本発明各実施の形態とを同一の条件
下での比較を行うために、本発明の各実施の形態と同時
にこの従来例相当の電極を製作して同条件下で比較検討
を行い、その結果を従来例として前記表1に合わせて示
した。本発明の第4ないし第7の実施の形態の特性とこ
れらの従来例と比較すると明らかなように、本発明によ
る各電極はこの従来例よりも低い検出限界と広いダイナ
ミックレンジを示した。スロープ感度は本発明で最も好
ましいと判断された第5の実施の形態に関しては、従来
例と同等であった。選択性についても、本発明第5の実
施の形態は従来例と比較して対チオシアン酸イオンで
2.4桁、対臭素イオンで0.7桁選択性が高かった。
対重炭酸イオンは本発明による各実施の形態では選択性
が高すぎて測定限界以下となり評価が困難であったのに
対し、従来例は同条件下で測定可能であったことから、
やはり本発明第5の実施の形態の方が優れていた。ま
た、その他の実施の形態も、従来例と比較して高い選択
性を示した。次に、その他の種類のイオンに対する選択
性も含めて、本発明において最も好ましいと判断された
第5の実施の形態による電極の選択性をより詳細に比較
検討した結果を表2に示した。表2の第2列目は、上記
と同様、塩化物イオン濃度が10−2.34ないし10
−2.04Mの領域でマッチドポテンシャル法で選択性
を評価した結果である。この濃度範囲での評価が有効で
あるのは、この濃度範囲で十分なスロープ感度を示す親
油性イオンの場合である。一方親水性イオンについて
は、本電極は一般に選択性が高く、上記のようにこれら
のイオンについてはこの塩化物イオン濃度では正確な選
択性の算出が行えなかった。そこで主としてこれら親水
性イオンのために、表2の第1列目に、塩化物イオン濃
度が10−5ないし10−4.7Mの領域でマッチドポ
テンシャル法で選択性を評価した結果を示した。また比
較のために、上記従来例の報告値(文献の第6頁の表3
の第3列に記載されている値)も表2の第3列目に示し
た。ただし、対サリチル酸イオン選択性についてのみ、
第2の公知例、即ちアナリティカル・シミカ・アクタ、
第327巻、(1996年)、第17〜28頁(Ana
l.Chim.Acta,327,(1996),pp
17−28)に記載された値を引用した。 妨害の大きい親油性イオンに対する選択性については、
本発明第5の実施の形態は従来例と比較して、表2の第
2列目と第3列目の比較からわかるとおり、対サリチル
酸イオン選択性が1.4桁、対チオシアン酸イオン選択
性が2.2桁、対硝酸イオン選択性が1.4桁、対ヨウ
化物イオン選択性が2.9桁、対臭化物イオン選択性が
1.0桁、それぞれ優れている。このように本発明に基
づく電極は、親油性イオンを排除して塩化物イオンを選
択的に検知する能力が従来の電極と比較して極めて高い
ことが理解される。本発明によるリガンドが水素結合を
利用して陰イオンと錯体を形成するため、例えば酢酸イ
オンと1:1の安定な錯体を形成しやすい。このことか
ら考えると対サリチル酸イオン選択性が従来例より低い
おそれがあったが、驚くべきことに実際には逆に従来例
よりも対サリチル酸イオン選択性は高かった。これは、
本実施の形態のように添加剤の対リガンドモル比がやや
低い場合は、リガンドと塩化物イオンとは2:1の錯体
が形成されやすく、一方サリチル酸の場合は立体障害の
ためにこの2:1の錯体を形成しにくいためと考えられ
る。一方、妨害の少ない親水性イオンについては、本発
明第5の実施の形態は従来例と比較して、表2の第2列
目と第3列目の比較からわかるとおり、対硫酸イオン選
択性が0.1桁、対酢酸イオン選択性が1.2桁、対重
炭酸イオン選択性が1.6桁、対リン酸イオン選択性が
2.2桁以上それぞれ優れている。このように本発明に
基づく電極は、親水性イオンを排除して塩化物イオンを
選択的に検知する能力も従来の電極と比較して一般に高
いことが理解される。即ち、本発明による電極は、親油
性と親水性、どちらの種類の妨害イオンに対しても従来
と比較して高い選択性を有する、という効果がある。最
後に、本発明の第5の実施の形態に基づく電極と、上記
従来例に基づく電極を用いて、標準血清中の塩化物イオ
ン濃度を測定し、両者の測定精度を比較検討した。標準
血清としては電量滴定法により塩化物イオン濃度が10
2.3mMと検定されているものを使用した。本発明の
第5の実施の形態に基づく電極を用いてこの標準血清を
標準添加法により6回測定したところ、結果は102.
1mMであり、変動係数は0.42%であった。従っ
て、本発明第5の実施の形態に基づく電極により、極め
て信頼性の高い血清塩化物イオン濃度測定が行えること
が示された。一方、従来法の電極による2回の測定値は
それぞれ112.5、115.8mMであった。従っ
て、本発明の電極は従来例の電極よりも血清塩化物イオ
ン濃度測定の正確度、精密度がともに優れる、という効
果がある。
【発明の効果】この様に本発明によれば、高分子支持膜
形の陰イオン選択性電極において、水素結合に基づいて
塩化物イオンと会合するニュートラルキャリア型のリガ
ンド、具体的には一般式(化1) (但し、X1、X2及びZ1は5A族又は6A族の原
子、R1及びR2は2価の有機基、)で表される有機基
を1つ以上分子中に有する化合物、より具体的には、一
般式(化4) (但し、R1及びR2はそれぞれ炭素数2ないし20の
炭化水素基、)で表されるビスチオウレア型の化合物を
感応膜中に使用することにより、塩化物イオンの選択性
が高く、生体液等の測定を高精度に行うことができる陰
イオン選択性電極を提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく陰イオン選択性電極の構成断面
図。
【図2】本発明に基づく第1、第2、第3の実施の形態
による陰イオン選択性電極の、塩化物イオン濃度に対す
る応答の直線性の一例を示す図。
【符号の説明】
1…電極筒、2…内部液、3…内部電極、4…イオン感
応膜、5…クロロパラフィンによる電極の電位応答(E
MF)の試料濃度依存性、6…DOSによる電極の電位
応答の試料濃度依存性、7…o−NPOEによる電極の
電位応答の試料濃度依存性。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(化1) (但し、X1、X2及びZ1は5A族又は6A族の原
    子、R1及びR2は2価の有機基、)で表される有機基
    を1つ以上分子中に有する化合物の少なくとも一種を感
    応物質として含有することを特徴とする陰イオン選択性
    感応膜。
  2. 【請求項2】一般式(化2) (但し、X1、X2、X3、X4、Z1及びZ2は5A
    族又は6A族の原子、R1、R2及びR3は2価の有機
    基、)で表される有機基を分子中に有する化合物の少な
    くとも一種を感応物質として含有することを特徴とする
    陰イオン選択性感応膜。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の陰イオン選択性感応膜に
    おいて、前記一般式(化2)で表される有機基におけ
    る、R1及びR3が1価の有機基又は水素である、前記
    化合物の少なくとも一種を感応物質として含有すること
    を特徴とする陰イオン選択性感応膜
  4. 【請求項4】請求項3に記載の陰イオン選択性感応膜に
    おいて、前記一般式(化2)で表される有機基におけ
    る、R1及びR3が2価の有機基であり、それぞれのX
    1及びX4に結合していない末端部分が互い結合してい
    る、前記化合物の少なくとも一種を感応物質として含有
    することを特徴とする陰イオン選択性感応膜
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4に記載の陰イオン
    選択性感応膜において、前記一般式(化1)または(化
    2)で表される有機基における、X1、X2、X3及び
    X4が窒素であり、Z1及びZ2が硫黄又は酸素であ
    る、前記化合物の少なくとも一種を感応物質として含有
    することを特徴とする陰イオン選択性感応膜
  6. 【請求項6】一般式(化3) (但し、R2及びR3は2価の有機基、R1及びR4は
    1価の有機基又は水素、X1、X2、X3、X4は窒
    素、Z1及びZ2は硫黄又は酸素、X5は酸素又は窒
    素、)で表される化合物の少なくとも一種を感応物質と
    して含有することを特徴とする陰イオン選択性感応膜。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の陰イオン選択性感応膜に
    おいて、前記の一般式(化3)で表される化合物におけ
    る、2価の有機基R2及びR3が別の有機基を介して互
    いに結合されていることを特徴とする陰イオン選択性感
    応膜。
  8. 【請求項8】一般式(化4) (但し、R1及びR2はそれぞれ炭素数2ないし20の
    炭化水素基、)で表されるビスチオウレア型の化合物を
    少なくとも感応物質の一つとして含有することを特徴と
    する陰イオン選択性感応膜。
  9. 【請求項9】請求項1ないし請求項8に記載の陰イオン
    選択性感応膜において、オルトーニトロフェニルオクチ
    ルエーテルを少なくと可塑剤の一つとして含有すること
    を特徴とする陰イオン選択性感応膜。
  10. 【請求項10】請求項1ないし請求項8に記載の陰イオ
    ン選択性感応膜において、メチルトリドデシルアンモニ
    ウムクロライドに代表される第4級アンモニウム塩を少
    なくとも添加剤の一つとして、感応物質に対するモル比
    で25%ないし100%含有することを特徴とする陰イ
    オン選択性感応膜。
  11. 【請求項11】請求項1ないし請求項10に記載の陰イ
    オン選択性感応膜を用いることを特徴とする、塩化物イ
    オン選択性電極。
JP8346441A 1996-11-20 1996-11-20 水素結合に基づくイオノフォアを用いる液膜型塩化物イオン選択性電極 Pending JPH10147654A (ja)

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JP8346441A JPH10147654A (ja) 1996-11-20 1996-11-20 水素結合に基づくイオノフォアを用いる液膜型塩化物イオン選択性電極

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002519633A (ja) * 1998-06-23 2002-07-02 カリフォルニア・インスティチュート・オブ・テクノロジー ポリマー/可塑剤に基づくセンサー
CN105301069A (zh) * 2015-09-30 2016-02-03 王竞 一种采用离子选择电极法的液体分析方法和装置
JP2017106823A (ja) * 2015-12-10 2017-06-15 東亜ディーケーケー株式会社 塩素イオン選択性電極

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CN105301069A (zh) * 2015-09-30 2016-02-03 王竞 一种采用离子选择电极法的液体分析方法和装置
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