JP2000119284A - アルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体、製造方法および用途 - Google Patents

アルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体、製造方法および用途

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JP2000119284A
JP2000119284A JP10291074A JP29107498A JP2000119284A JP 2000119284 A JP2000119284 A JP 2000119284A JP 10291074 A JP10291074 A JP 10291074A JP 29107498 A JP29107498 A JP 29107498A JP 2000119284 A JP2000119284 A JP 2000119284A
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Keiichi Kimura
恵一 木村
Satoshi Yamada
智 山田
Akio Hayashi
昭男 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規なアルコキシシリル化クラウンエーテル誘
導体を提供する。該アルコキシシリル化クラウンエーテ
ル誘導体は感応膜と反応させて、耐久性に優れた生体内
に長期留置可能なイオン活量測定用感応膜に適する。 【解決手段】下記の一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は炭素数
1〜20の炭化水素基、−CO−O−、−CO−NH
−、−O−、−O−CO−O−、−CO−ONH−ある
いは−NH−O−CO−O−NH−で、Aはクラウンエ
ーテル環を有する基であるイオノフォアを示し、x、y
は、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y=4を満足す
る整数である。)で表されるアルコキシシリル誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコキシシリル
化クラウンエーテル誘導体、製造方法およびその用途に
関する。更に詳しくは、アルコキシシリル化クラウンエ
ーテル誘導体とその製造方法および該アルコキシシリル
化クラウンエーテル誘導体を反応させてなるナトリウム
等のイオン活量測定用ゾル−ゲル感応膜イオノフォアに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、いろいろな分野において、センサ
ーによる化学物質の計測や検出が行われている。その中
のひとつとして、生体中のイオン活量は、いろいろな疾
病において変動することから、患者の血液(血清あるい
は血漿等を含む)や尿などを検体として用い、選択的に
イオン活量を測定することは非常に重要である。従来、
選択性高くイオン活量を測定する方法としては、分光法
・炎光法・比色法・原子吸光法などの測定方法が用いら
れてきた。しかし、前記の方法は、大型の機器を必要と
するのみならず、簡便性および迅速性に優れた測定方法
ではないため、臨床の現場からは、選択的にイオン活量
を測定するための簡便、かつ、迅速な手段が求められて
きた。このような問題を解決するため、生体中のイオン
活量を選択的に測定することはもとより、簡便、かつ、
迅速に測定する手段として、イオンセンサー、例えば、
イオン電極を用いる方法あるいはイオン電界効果型トラ
ンジスタを用いる方法が提案されている。ここで、イオ
ン電極とは、溶液中の特定イオン活量を膜電極が示す膜
電位で測定できるようにした電極であり、簡便、かつ、
迅速に選択的にイオン活量を測定することが可能で、例
えば、pH測定用のガラス電極等に代表されるものであ
る。また、イオン電界効果型トランジスタは、電界効果
型トランジスタのゲート部の金属の変わりに、イオン感
応膜を付着させたものであり、溶液中のイオン活量をト
ランジスタ中を流れる電流値の変化として測定すること
が可能なものである。
【0003】ところで、イオンセンサーは、その選択
性、簡便性および迅速性において優れた方法であり、イ
オノフォア(ニュートラルキャリヤーともいわれる)を
含有する感応膜を使用することにより、測定対象となる
イオンへの選択性を向上させることが知られている(特
開昭61−50972号公報、特開昭59−5180号
公報、特開昭60−202875号公報および特開昭6
2−77374号公報など)。これらの技術では、イオ
ノフォアとアニオン排除剤を保持するための支持体とし
て、ポリ塩化ビニル、シリコンゴム、ポリメタクリル酸
メチル、ポリ酢酸ビニル、パラフィンあるいはコロジオ
ンなどが用いらている。これらの重合体はイオノフォ
ア、アニオン排除剤を保持するためだけであり、イオノ
フォアは支持体と結合してはいない。 また、このよう
なイオン選択性に優れたイオノフォアを保持した感応膜
を調製するためには、前記の樹脂等に適度な可塑剤を配
合して成形性を向上させることが必要であった。従っ
て、これらの感応膜は、可塑剤およびイオノフォアの漏
出等の問題があり、生体外(in vitro)あるい
はセミディスポーザブルな使用には支障がないが、セン
サーの耐久性が低いばかりでなく、生体内(in vi
vo)で長時間使用する場合、可塑剤あるいはイオノフ
ォアの生体に対する毒・刺激性等については全く不十分
なものであった。
【0004】一方、このようなセンサーを生体内の化学
物質の計測に使用する場合、センサー表面に検体中に含
まれるタンパク質および血液細胞などが吸着することよ
る感応膜の物質透過性の低下が生じるため、生体内で長
時間使用することは不可能であった。このような問題点
について、発明者らは、鋭意検討の結果、ゾル−ゲル体
感応膜を用いて、これらのセンサー表面へのタンパク質
および血液細胞などの吸着がほとんどないことを明らか
にした(Anal.Chem.,第69巻(13),2
379−2383頁,1997年)。しかし、前記ゾル
−ゲル体をマトリックスとするイオン感応膜は、ゾル−
ゲルマトリックス中にイオノフォアを含有することより
なるため、前述のようにイオノフォア等が感応膜から漏
出する可能性が強く、センサーの耐久性および生体内の
イオンの計測に使用する場合、イオノフォア等の漏出か
ら、生体への毒・刺激性等の危惧に対する対応は必ずし
も十分ではなかった。さらに、陽イオン活量を有効に測
定するためには、親油性陰イオンによる目的となる陽イ
オン測定への影響を制御するためにアニオン排除剤等を
含有させる必要もあった。一般にアニオン排除剤として
はボロン誘導体が用いられる。これらの物質は細胞組織
の崩壊剤、皮下注射による局部麻酔効果、写真乳剤の増
感剤、合成樹脂の触媒等として機能も有することから前
記のようにイオノフォアと同様に、これらの溶出やその
安全性等についても同様に問題があった。
【0005】しかしながら、最近では、その臨床学的な
有用性からイオンセンサーによる生体内イオン活量の長
期モニタリングの必要性が高まってきており、生体内で
長期間の測定に耐え得るばかりでなく、生体に対して、
毒・刺激性を与えることのないイオンセンサーの開発が
望まれていた。これまで、感応膜等に有用な官能性基を
有するアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体は知
られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、上記の種々の問題を解決するための新規なアルコキ
シシリル化クラウンエーテル誘導体を提供することにあ
る。また、本発明の第2の目的は、該化合物の製造方法
を提供することにある。またさらに、本発明の第3の目
的は、新規なアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導
体を用いて結合させてなるナトリウムイオン活量測定用
に有用なゾル−ゲル感応膜イオノフォアを提供すること
にある。さらに詳しくは、耐久性に優れ、すなわち、可
塑剤やイオノフォア等を漏出することのない新規なアル
コキシシリル化クラウンエーテル誘導体を提供すること
にある。またその化合物の製造方法を提供することにあ
る。また、生体に対して無毒・無刺激性であり、かつ、
長期にわたって生体内に留置可能なイオン感応膜に適す
るアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体イオノフ
ォアを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を鋭意検討した結果、新規なアルコキシシリル基を
含有するクラウンエーテル誘導体を見い出し、本発明を
完成した。すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)で
ある。
【0008】(1)下記の一般式(I)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、R2は、炭素数1〜20の炭化水素基、−CO−O
−、−CO−NH−、−O−、−O−CO−O−、−C
O−ONH−あるいは−NH−O−CO−O−NH−
で、Aはクラウンエーテル環を有するイオノフォアを示
し、x、yは、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y=
4を満足する整数である。)で表されるアルコキシシリ
ル化クラウンエーテル誘導体。
【0011】(2)下記の一般式(II)
【0012】
【化5】
【0013】{式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、R2は、−(CH2)n−基(ここでnは1〜20の
数)、x、yは、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y
=4を満足する整数である。また、zは1〜6の整数を
示す。}で表されるアルコキシシリル化クラウンエーテ
ル誘導体。
【0014】(3)下記の一般式(III)
【0015】
【化6】
【0016】{式中、R1は炭素数1〜6のアルキル
基、R2は、−(CH2)n−、(ここでnは1〜20の
数)、R3は、水素原子あるいは炭素数1〜4の炭化水
素基、x、yは、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y
=4を満足する整数である。また、zは1〜6の整数を
示す。}で表されるアルコキシシリル化ビスクラウンエ
ーテル誘導体。
【0017】(4)トリクロロシランと不飽和基を有す
るクラウンエーテル誘導体とを反応させるアルコキシシ
リル化クラウンエーテル誘導体の製造方法。
【0018】(5)トリクロロシランと不飽和基を有す
るビスクラウンエーテル誘導体とを反応させるアルコキ
シシリル化ビスクラウンエーテル誘導体の製造方法。
【0019】(6)ゾル−ゲル感応膜のマトリックス成
分が、テトラエトキシシランあるいはジエトキシジメチ
ルシランの少なくとも一方に、請求項1〜3記載のアル
コキシシリル化クラウンエーテル誘導体を結合させてな
るナトリウムイオン活性測定用ゾル−ゲル感応膜イオノ
フォア。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導
体は、下記の一般式(I)で表される化合物である。
【0021】
【化7】
【0022】ここで、式中、R1は炭素数1〜6のアル
キル基、R2は、炭素数1〜20の炭化水素基、−CO
−O−、−CO−NH−、−O−、−O−CO−O−、
−CO−ONH−あるいは−NH−O−CO−O−NH
−で、Aはクラウンエーテル環を有するイオノフォアを
示し、x、yは、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y
=4を満足する整数である。
【0023】より好ましくは、下記の一般式(II)
【0024】
【化8】
【0025】で表されるアルコキシシリル化クラウンエ
ーテル誘導体が挙げられる。ここで、式中、R1は炭素
数1〜6のアルキル基、R2は、−(CH2)n−基(こ
こでnは1〜20の数)、x、yは、1≦x≦3、1≦
y≦3でかつx+y=4を満足する整数である。また、
zは1〜6の整数を示す。
【0026】またより好ましくは、下記の一般式(II
I)
【0027】
【化9】
【0028】で表されるアルコキシシリル化ビスクラウ
ンエーテル誘導体が挙げられる。ここで、式中、R1
炭素数1〜6のアルキル基、R2は、−(CH2)n−、
(ここでnは炭素数1〜20の数)、R3は、水素原子
あるいは炭素数1〜4の炭化水素基、x、yは、1≦x
≦3、1≦y≦3でかつx+y=4を満足する整数であ
る。また、zは1〜6の整数を示す。
【0029】一般式(I)の化合物の具体例としては、
例えば前記の一般式(II)の化合物、一般式(III)の
化合物が挙げられる。さらに詳しくは、つぎの構造の化
合物が挙げられる。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】本発明のアルコキシシリル化クラウンエー
テル誘導体の製造方法は次の2とうりの方法が挙げられ
る。 <製造方法1>前記一般式(I)で表されるアルコキシ
シリル化クラウンエーテル誘導体はクロロシランおよび
クラウンエーテル誘導体を適当な無水の溶媒中で触媒の
存在下、結合させることによりクロルシリル化クラウン
エーテル誘導体を得て、溶媒を留去し、このクロルシリ
ル化クラウンエーテル誘導体を無水アルコールと反応さ
せて溶媒を留去することにより得ることができる。クロ
ロシランとしては、トリクロロシラン、ジクロロシラ
ン、モノクロロシランが挙げられる。好ましくは、トリ
クロロシランである。
【0047】原料のイオノフォアとしては、公知のクラ
ウンエーテル誘導体が使用できる。原料として用いるク
ラウンエーテル誘導体としては、クロロシランと反応で
きる官能基を有していればよい。そのような官能基が無
い場合は公知の方法により適当な官能基を導入すればよ
い。その末端にCH2=CH−基、CH2=C(CH3
−等で表される官能基を導入すればよい(例えば、Te
trahedronLett.,第33巻、第3032
〜3034頁、1978年およびBull.Chem.
Soc.Jpn 第55巻、2005〜2009頁、1
982年)。このようなイオノフォアとしては、具体的
には例えば、バリノマイシン、モネンシン、ビスクラウ
ンエーテル誘導体、ビス(モノアザ−12−クラウン−
4)誘導体、ビス大環状ポリエーテルジアミド誘導体あ
るいはクラウンエーテル誘導体等が挙げられる。クロロ
シランとイオノフォアとの結合反応に用いる溶媒として
は、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、アセトニトリル、ジニ
トロベンゼン等が挙げられる。好ましくは、ベンゼンが
挙げられる。溶媒は無水状態で用いられるが、水分が存
在すると、Si−Cl結合が加水分解してシリル基、シ
リル基が更に加水分解してシラノール基となり、ガラス
や金属等の容器に結合し、あるいはポリシロキサンを結
合する可能性がある。また用いる触媒としては、有機過
酸化物、紫外線、三級アミン、ホスフィンおよび白金、
ロジウム、パラジウム系の遷移金属物質等が挙げられ
る。好ましくは白金である
【0048】用いるクロロシリル化イオノフォアのアル
コキシル化反応に用いる溶媒としては、メタノール、エ
タノール、1−あるいは2−プロパノール、1−あるい
は2−ブタノール、1−、2−あるいは3−ヘプタノー
ル、1−、2−あるいは3−ヘキサノール等が挙げられ
る。好ましくは、エタノールである。最終的にエバポレ
ーター等の操作により溶媒を留去することによりアルコ
キシシリル化イオノフォアとしてのアルコキシシリル化
クラウンエーテル誘導体を得ることができる。なお、還
流時間としては、0.5時間〜30時間程度であり、好
ましくは、5〜15時間である。また反応は、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。反応温
度としては、低温であることが望ましく、−10℃〜1
0℃である。反応式としては次の式が挙げられる
【0049】
【化26】
【0050】<製造方法2>前記の一般式(I)で表さ
れるアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体は、シ
ランカップリング剤と適当な官能基を有するクラウンエ
ーテル誘導体を適当な無水の溶媒中、触媒等の存在下、
結合させることによっても得ることができる。シランカ
ップリング剤としては、ビニルエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシランが使用できる。好ましくは、ビニル
エトキシシランである。イオノフォアであるクラウンエ
ーテル誘導体としては、公知のクラウンエーテル誘導体
が原料として使用できるが、クロロシランと結合できる
官能基を有していればよい。クロロシランと結合基がな
い場合は、有機合成により末端基にCH2=CH−、C
2=C(CH3)−、−OH、−CO−O−H、−CO
−NH2、−O−CO−OH、CO−O−NH2あるいは
−NH−O−CO−O−NH2で表される官能基を導入
すればよい。このようなイオノフォア化合物としては、
具体的には例えば、バリノマイシン、モネンシン、ビス
クラウンエーテル誘導体、ビス(モノアザ−12−クラ
ウン−4)誘導体、ビス大環状ポリエーテルジアミド誘
導体あるいはクラウンエーテル誘導体等が挙げられる。
以下、クロロシランとイオノフォアとの反応溶媒等の条
件は前記製造方法1に記載の方法に準じて行うことがで
きる。反応式としては次の式が挙げられる。
【0051】
【化27】
【0052】本発明のアルコキシシリル化クラウンエー
テル誘導体は、通常、イオン感応膜用に用いられるベー
スのテトラエトキシシランまたはジエトキシジメチルシ
ラン等を含有する高分子マトリックスのゾル−ゲル体に
反応して用いられる。アルコキシシリル化クラウンエー
テル誘導体をベース高分子と反応した感応膜を調製する
方法としては、本発明のアルコキシシリル化クラウンエ
ーテル誘導体とゾル−ゲル体とを適当な酸性または塩基
性溶媒下で混合し、目的部位にキャストすることにより
得ることができる。反応に用いるベースの高分子マトリ
ックスとしての、ゾル−ゲル体としては本発明で用いる
アルコキシシリル化クラウンエーテル(イオノフォア)
と結合可能なゾル−ゲル体であればよい。好ましくは、
テトラエトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン等が
挙げられ、どちらか一方もしくは両方を含むゾル−ゲル
体である。
【0053】反応に用いる溶媒としては、エタノール、
メタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコー
ル、親水性の有機溶媒およびこれらの混合液の水溶液が
挙げられる。より好ましくは、エタノール水溶液であ
る。シランカップリング反応を行う条件としては、酸性
または塩基性条件下でかき混ぜるか、キャスト後加熱す
るとよい。酸性条件とする場合に用いる酸としては、塩
酸、硫酸、酢酸、硝酸等を挙げることができる。より好
ましくは塩酸である。また、塩基性条件とする場合に用
いる塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン等のトリアルキルアミン;ピリジン、アニリン等の芳
香族アミン;アンモニア等が挙げられる。より好ましく
は、アンモニアである。キャストするまでの時間として
は、液が粘ちょう性を有している間、すなわち、混合液
を調製後、0.5〜50時間、好ましくは、1〜36時
間までに目的部位にキャストするのが好ましい。
【0054】また、感応膜におけるイオノフォアとして
の本発明のアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体
の含有量は、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
20重量%の範囲が望ましい。アルコキシシリル化クラ
ウンエーテル誘導体の含有量が、0.1重量%より少な
すぎるときは応答が悪くなり、アルコキシシリル化クラ
ウンエーテル誘導体の含有量が、50重量%より多いと
それに見合うだけの効果が得られず不経済だからであ
る。
【0055】感応膜における本発明のアルコキシシリル
化クラウンエーテル誘導体とともにアニオン排除剤とし
て用いる際の該排除剤の含有量は、イオノフォアに対し
て、0.1〜100モル%、好ましくは5〜50モル%
の範囲が望ましい。アニオン排除剤の含有量が、0.1
モル%未満であると、感度や応答性が低下し、100モ
ル%より多いとイオン選択制が低下するので好ましくな
い。
【0056】本発明のアルコキシシリル化クラウンエー
テル誘導体は、テトラエトキシシラン、ジエトキシジメ
チルシラン等を含有する感応膜に反応させて、市販のイ
オンセンサーの測定部位にキャストすることによりイオ
ン活性測定装置に組み込むことができる。例えば、イオ
ンセンサーがイオン電極の場合には、電極に上記感応膜
溶解液をキャストし、適当な条件下、例えば加熱、減圧
等により溶媒を除去すればよく、一般的には、30〜8
0℃、好ましくは、40〜60℃で加熱することにより
溶媒を除去すればよい。このようにして得られたイオン
センサーの感応膜の膜厚としては、10〜500μm、
好ましくは、50〜300μmである。
【0057】また、イオンセンサーがイオン電界効果型
トランジスタである場合には、電界効果型トランジスタ
のゲート部の金属の変わりに、イオン感応膜をイオン電
極で示した方法と同様にしてキャストして得ることがで
きる。なお、感応膜を用いてイオンセンサーを構成する
場合、その構造はイオン電極や電界効果型トランジスタ
の分野で知られた構造を適宜採用することも可能であ
る。例えば、本発明の化合物を反応させてなる感応膜を
イオン電極にゾル−ゲル体で形成させた装置は、概略図
4に示される。また、電界効果型トランジスタに本発明
の化合物をアニオン排除剤として感応膜のゾル−ゲル体
に形成させた装置は概略図5に示される。
【0058】測定の対象となるイオンについては、選択
するイオノフォアの構造にもよるが、イオンとして、カ
リウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、セシウ
ム、ルビジュウム、ストロンチウム、カルシウムあるい
はマグネシウムが挙げられる。特に測定において頻度あ
るものとして、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、
カルシウムあるいはマグネシウムが挙げられる。なお前
記のように測定対象とするイオンに対応するイオノフォ
アとして各種のクラウンエーテル誘導体から適宜選択し
て本化合物と同様に反応させてアルコキシシリル化化合
物を得て、それを用いることにより各種イオンの測定が
できる。
【0059】本発明のイオン活量測定装置は、前記のよ
うにして製造した電極を試料溶液に漬けてイオンの量を
電圧として測定できる。
【0060】なお、本発明において、イオノフォアは、
イオンの輸送をする働きを有する有機化合物で、イオン
を取り込む物質を意味する。ここでは、原料としてのク
ラウンエーテル誘導体、およびシリル化した後の誘導体
も含めて意味する。また、「結合」は化学結合で、感応
膜に固定されることを意味する。また「感応膜」は、目
的とするイオンが近傍にきた時に捕捉・放出ができるこ
とを意味する。
【0061】
【発明の効果】本発明のアルコキシシリル化クラウンエ
ーテル誘導体は、新規なアルコキシシリル化クラウンエ
ーテル誘導体である。本発明の新規なアルコキシシリル
化クラウンエーテル誘導体は、イオン活量を測定するた
めのイオノフォアとともに膜に結合させることができる
イオン感応膜に適した化合物である。本発明の新規なア
ルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体の製造方法
は、容易に該アルコキシシリル化クラウンエーテル誘導
体を製造することができる。本発明の該アルコキシシリ
ル化クラウンエーテル誘導体を結合させてなる感応膜
は、イオン活量を測定するため膜に結合させてなるイオ
ン感応膜である。従って、本発明によれば生体に対して
無毒・無刺激性であり、化学結合しているので 耐久性
に優れ、長期間にわたって使用可能なイオン活量測定用
感応膜が得られる。本発明のクラウンエーテル誘導体を
反応させた官能膜は前記のように耐久性に優れ、長期使
用できるので生体内等での留置可能なイオン活量測定装
置に組み込むことができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。 1.アルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体の製造 本発明によるアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導
体および物性値を説明する。ただし、原料として用いる
クラウンエーテル誘導体は、公知の方法に従って製造し
た。また、イオノフォアとしての機能を有するアルコキ
シシリル化クラウンエーテル誘導体の合成例および物性
値も併せて示す。
【0063】実施例1;16−クラウン−5−アルコキ
シシリル誘導体の製造 一般式(II)において、R1=CH3CH2−、R2=−C
2−、x=3、y=1およびz=2の16−クラウン
−5−トリエトキシシリル誘導体を次のように合成し
た。15−メチレン−16−クラウン−5は、Tetr
ohedron Lett.,第33巻,第3032−
3034頁,1978年.に記載の方法により調製し
た。15−メチレン−16−クラウン−5、1.2mm
olとトリクロロシラン、1.48mmolを無水ベン
ゼン、30mlに溶解し、ヘキサクロロ白金酸・1水和
物、10mg−テトラヒドロフラン溶液、2mlを加
え、アルゴン雰囲気下で攪拌し、10時間還流加熱し
た。ベンゼンを留去後、残渣に無水エタノール、50m
lを加えて氷冷下、攪拌した。遠心分離により沈殿物を
回収することにより触媒を含んだエタノールを除去し、
さらに余剰のエタノールを留去した。その結果、15−
トリエトキシシリルメチル−16−クラウン−5(CA
S−1と略す)を粘ちょうな液体として得た(収率91
%)。1H−NMR、IRで測定した物性値を以下に示
す。1 H−NMRの分析結果;1 H−NMR{δ(ppm)、CDCl3中、270MH
z、TMS} 0.8(2H,t,J=7.1Hz,SiC 2)、
1.2(9H,t,J=7.1Hz,CH2 3
3.4−3.8(27H,m,SiOC 2,OC 2
) IR分析結果; IR(cm-1);2950,2865,1260。 以上の結果から、得られたアルコキシシリル化クラウン
エーテルが次式の構造であることを確認した。
【0064】
【化28】
【0065】実施例2;ビス(12−クラウン−4)−
アルコキシシリル誘導体の製造 一般式(III)において、R1=CH3CH2−、R2=−
(CH23−、R3=CH3−、x=3、y=1およびz
=2のビス(12−クラウン−4)−トリエトキシシリ
ル誘導体を以下のように合成した。ヒドロキシエチル−
12−クラウン−4は、Anal.Chem.,第64
巻,第2508−2511頁,1992年.に記載の方
法に従って調製した。ヒドロキシエチル−12−クラウ
ン−4、90mmolと2−アリル−2−メチルマロニ
ルクロライド(40mmol)を無水ベンゼン、60m
lに溶解し、これにシアン化銀20gを加え懸濁液とし
た。混合液をかき混ぜながら、7日間還流加熱した。反
応後、シアン化銀を濾別し、さらに濾液をセライトカラ
ムに通した。ベンゼンで溶出後、回収液からベンゼンを
留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、ゲル濾過によ
りさらに精製した。その結果、ビス[(12−クラウン
−4−)イルメチル]−2−アリル−2−メチルマロネ
ートを粘ちょうな液体として得た(収率30%)。1
−NMR、IR、質量分析で測定した物性値を以下に示
す。1 H−NMRの分析結果;1 H−NMR{δ(ppm)、CDCl3中、270MH
z、TMS} 1.40(3H,s,C 3)、2.60(3H,d,
J=7.6Hz,C 2C)、3.5−3.8(30
H,m,C 2OC 2,OC)、4.1−4.3(4
H,m,COOC 2)、5.0−5.1(2H,m,
2=CH)、5.6−5.8(1H,m,CH2=C
) IR分析結果; IR(cm-1);2910,2860,1730,16
50,1240 質量分析の結果;MS(m/z[%rel.inten
sity])=535(M+、100)
【0066】最終的に、15−メチレン−16−クラウ
ン−5を前述で得られたビス[(12−クラウン−4
−)イルメチル]−2−アリル−2−メチルマロネート
とする以外は実施例1と同様にして、ビス[(12−ク
ラウン−4)イルメチル]−2−トリエトキシシリルプ
ロピル−2−メチルマロネート(CAS−2と略す)を
粘ちょうな液体として得た(収率83%)。1H−NM
R、IRで測定した物性値を以下に示す。1 H−NMRの分析結果;1 H−NMR{δ(ppm、CDCl3中、270MH
z、TMS} 0.10(2H,t,J=7.6Hz,SiC 2)、
1.21(9H,t,J=6.5Hz,CH2 3)、
1.42(3H,s,CH2CC 3)、1.6−1.9
(4H,m,SiCH2(C 22OC)、3.4−
3.9(36H,m,SiOC 2,C 2OC 2,O
)、4.1−4.3(4H,m,COOC 2) IR分析結果; IR(cm-1);2960,2870,1730,12
60,1100,805。
【0067】以上の結果から、得られたアルコキシシリ
ル化クラウンエーテルが次式の構造であることを確認し
た。
【0068】
【化29】
【0069】合成例1;アルコキシシリル化ボロン誘導
体の合成 テトラヒドロフラン、30ml中で4−ブロモフェニル
エーテル、40mmolとマグネシウムリボン、40m
molとを反応させ、4−アリルオキシフェニル−マグ
ネシウムブロマイドを調製した。この液をトリフェニル
クラウンエーテル、40mmolを含むジクロロメタン
溶液、30mlに加え、室温下、3時間かき混ぜた。溶
媒を留去した後、残渣に塩化ナトリウム飽和溶液、50
mlを加えて溶解後、ジクロロメタン、30mlで3回
抽出した。ジクロロメタン抽出液を集め、溶媒を留去
し、抽出物を得た。キシレンによる再結晶を行い、抽出
物からナトリウム(4−アリルオキシフェニル)トリフ
ェニルボレートの結晶を得た。融点、1H−NMR、I
R、質量分析で測定した物性値を以下に示す。 融点測定の結果;mp.260℃(分解温度)1 H−NMR分析の結果;1 H−NMR{δ(ppm)、CDCl3中、270MH
z、TMS} 6.0−6.2(1H,m,CH2=C)、4.59
(2H,d,J=5.1Hz,CHC 2O)、5.3
−5.5(2H,m,C 2=CH)、6.6−6.7
(19H,m,aromatic H)。 IR分析の結果; IR(cm-1);3060,3000,1640,15
80,1480,1185,745。 質量分析の結果; Mass(m/z[%rel intensity])
=398(M+、10),153(100)。
【0070】最終的に、15−メチレン−16−クラウ
ン−5を、前述で得られたナトリウム(4−アリルオキ
シフェニル)トリフェニルボレートとする以外は実施例
1と同様にして、ナトリウム[4−(トリエトキシシリ
ルプロピルオキシ)フェニル]−トリフェニルボレート
(BAS−1と略す)を粘ちょうな液体として得た(収
率91%)。1H−NMR、IRで測定した物性値を以
下に示す。1 H−NMR分析の結果;1 H−NMR{δ(ppm)、CDCl3中、270MH
z、TMS) 0.81(2H,t,J=7.6Hz,SiC 2)、
1.24(9H,t,J=7.3Hz,CH2 3)、
3.73(6H,q,J=6.8Hz,C 2CH3)、
4.3−4.5(4H,m,SiCH2(C 22)、
7.4−7.8(19H,m,aromatic H) IR分析の結果; IR(cm-1);2930,2860,1585,14
80,1415,1190,1075,740。 以上の結果から化合物は下記に示す構造を確認した。
【0071】
【化30】
【0072】ここでph基はフェニル基を示す。
【0073】2.イオン感応膜装着イオンセンサーの作
製 参考例1;16−クラウン−5−アルコキシシリル誘導
体結合ゾル−ゲル感応膜装着電界効果型トランジスタの
作製 電界効果型トランジスタ(Shindengen El
ectric Inc.)のゲート部(10μm×37
0μm)に、1μlの1%ポリ(3−オクチルチオフェ
ン)−クロロホルム液をキャストし、減圧乾燥を行い、
電界効果型トランジスタのゲート部に約10μmのポリ
(3−オクチルチオフェン)層を形成させた。続いて、
テトラエトキシシラン、0.0012mol、ジエトキ
シジメチルシラン、0.0035mol、エタノール、
69μl、0.1mol/L塩酸(21μl)、合成例
1により調製したBAS−1、0.2mgおよび実施例
1で調製したCAS−1、1mgを混合した液を調製
し、この混合液の1μlをポリ(3−オクチルチオフェ
ン)層を形成させた電界効果型トランジスタのゲート部
にキャストした。50℃で2日間加熱乾燥後、ゲート部
に約150−200μmの膜厚を有する16−クラウン
−5−アルコキシシリル誘導体結合ゾル−ゲル感応膜装
着電界効果型トランジスタ(Na+−ISFETs−1
と略す)を作製することができた。
【0074】参考例2;;ビス(12−クラウン−4)
−アルコキシシリル誘導体結合ゾル−ゲル感応膜装着電
界効果型トランジスタの作製 CAS−1をCAS−2とする以外は参考例1と同様に
してビス(12−クラウン−4)−アルコキシシリル誘
導体結合ゾル−ゲル感応膜装着電界効果型トランジスタ
(Na+−ISFETs−2と略す)を作製することが
できた。
【0075】3.イオンセンサーとしての評価 参考例3;イオン活量および電極間電位差による検量線
の作製 参考例1で作製した電界効果型トランジスタ、Na+
ISFETs−1を3mol/Lの塩化ナトリウム液に
12時間浸してコンディショニングした後、試料溶液の
ナトリウムイオンの活量〔a〕Na+および電極間電位差
(E/mV)による検量線の作製を行った。なお、測定
は、電界効果型pH/mVメーター(Shindeng
en Electnic Inc.)を用い、25℃で
行った。参照電極は、内液を3mol/Lの塩化カリウ
ム、外液を1mol/Lの酢酸リチウムとするダブルジ
ャンクションタイプのものを用いた。その結果、図1に
示すように、検量線は、ナトリウムイオン活性〔a〕Na
+が3×10-5〜1Mの広い範囲で直線性を有し、か
つ、ネルンストによる応答を示した。
【0076】参考例4;時間応答性の評価 参考例2で作製した電界効果型トランジスタ、Na+
ISFETs−2を用い、一定量のナトリウムイオンを
含有する試料溶液の電極間電位差(E/mV)を測定し
た。なお、実験条件は参考例1に準じて行った。その結
果、時間応答性は約4秒という非常に短時間の間に最大
電極間電位差(E/mV)の90%を示した。従って、
時間応答性は非常に良好であることを確認した。
【0077】参考例5;イオン選択性の評価 参考例1および2で作製した電界効果型トランジスタ、
Na+−ISFETs−1およびNa+−ISFETs−
2を用いて、イオン選択制について検討した。いろいろ
な妨害イオンM(M+は、H+、Li+、K+、NH4 +、M
2+、Ca2+を意味する)に対する選択係数KNaMで評
価した。KNaMは、測定試料溶液における妨害イオンM
の活量を一定のaMに保ち、aNaを変化させて電極間電
位を測定し、ネルンスト応答を示さなくなるaNaを求
め、aNa/(aM2/m(ただしmはMの価数)から計算
した。図2に結果を示す。図から明らかなように、本発
明によるイオノフォアを結合するイオン活量測定用ゾル
−ゲル感応膜は、各種妨害イオンに対し、5〜10倍選
択係数が高かった。なお図2中の1はNa+−ISFE
Ts−1を、2はNa+−ISFETs−2を用いたイ
オン選択性を示す。
【0078】参考例6;耐久性試験 参考例1で作製した電界効果型トランジスタ、Na+
ISFETs−1を100日間試料溶液に浸し続け、試
料溶液の電極間電位差(E/mV)を測定した。なお、
実験条件は参考例3に準じて行った。その結果を図3に
示した。(図中の黒丸)
【0079】比較参考例1 CAS−1をビス[(12−クラウン−4−)イルメチ
ル]−2−アリル−2−メチルマロネート、BAS−1
をナトリウム(4−アリルオキシフェニル)トリフェニ
ルボレートとする以外は実施例2に従いイオノフォア含
有ゾル−ゲル感応膜液を調製し、CAS−1を前述のイ
オノフォア含有ゾル−ゲル感応膜液とする以外は実施例
2と同様にしてビス(12−クラウン−4)−イルメチ
ル] 2−アリル−2−メチルマロネート誘導体含有ゾ
ル−ゲル感応膜装着電界効果型トランジスタを作製し、
参考例6に従って、耐久性試験を実施した。その結果を
図3に併せて示した。(図中の白丸)
【0080】図3の横軸は時間(日)、縦軸はイオンセ
ンサーの性能の劣化度を表す指標であるイオン活量変化
に対する電位変化(slope/mV dacad
-1)を示す。ここに示されるように、本発明の感応膜
イオノフォアを用いたイオノフォア結合型ゾル−ゲル感
応膜装着電界効果型トランジスタは、測定期間中(10
0日間)、性能の劣化は全く認められなかったが、イオ
ノフォア含有型ゾル−ゲル感応膜装着電界効果型トラン
ジスタでは、約30日で性能が劣化した。
【0081】以上のように、本発明の、イオン活量を測
定するためのイオノフォア結合ゾル−ゲル感応膜によれ
ば、イオノフォアが結合されているので、耐久性に優
れ、かつ、生体に対して無刺激性であり、長期間にわた
って生体内に留置可能なイオン活量の測定装置を提供す
ることができる。
【0082】本発明の化合物を感応膜に結合させ、イオ
ン電極に用いた概略図を図4に示した。また、参考例1
の電界効果型トランジスタに用いた概略図を図5に示し
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のアルコキシシリル化クラウ
ンエーテル誘導体を反応させた感応膜を使用したナトリ
ウムイオン電界効果型トランジスタの検量線を例示する
グラフである。なお図中、参考例1のNa+−ISFE
Ts−1(白丸)で、参考例2のNa+−ISFETs
−2(黒丸)である。
【図2】 本発明の感応膜のイオン選択性を示したグラ
フである。
【図3】 図3は、本発明の化合物を結合させた感応膜
を使用したナトリウムイオン電界効果型トランジスタの
耐久性を示す図である。なお、図3中の黒丸は、本発明
の化合物を結合させた参考例1のNa+−ISFETs
−1を示し、白丸は結合させていない比較参考例1のも
のを示す。
【図4】 図4は、本発明の化合物を感応膜に結合させ
て用いた電極構成の一例を示す断面図である。
【図5】 図5は、本発明の化合物を感応膜に結合させ
て用いた電界効果型トランジスタのイオン活量測定装置
のISFETの構造の概略断面図である。
【符号の説明】
1.感応膜 2.参照電極 3.試料溶液 4.内部液 5.内部極 6.液絡溶液 7.塩橋 8.ゲート 9.ポリチオフェン膜 10.チャンネル 11.ドレイン電圧 12.ゲート電流 13.ゲート電圧
フロントページの続き Fターム(参考) 4C022 NA01 NA02 4H049 VN01 VP01 VQ69 VR20 VR40 VU06 VU24 VU31 VW02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は、炭素
    数1〜20の炭化水素基、−CO−O−、−CO−NH
    −、−O−、−O−CO−O−、−CO−ONH−ある
    いは−NH−O−CO−O−NH−で、Aはクラウンエ
    ーテル環を有するイオノフォアを示し、x、yは、1≦
    x≦3、1≦y≦3でかつx+y=4を満足する整数で
    ある。)で表されるアルコキシシリル化クラウンエーテ
    ル誘導体。
  2. 【請求項2】下記の一般式(II) 【化2】 {式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は、−
    (CH2)n−基(ここでnは1〜20の数)、x、y
    は、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y=4を満足す
    る整数である。また、zは1〜6の整数を示す。}で表
    されるアルコキシシリル化クラウンエーテル誘導体。
  3. 【請求項3】下記の一般式(III) 【化3】 {式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は、−
    (CH2)n−、(ここでnは炭素数1〜20の数)、
    3は、水素原子あるいは炭素数1〜4の炭化水素基、
    x、yは、1≦x≦3、1≦y≦3でかつx+y=4を
    満足する整数である。また、zは1〜6の整数を示
    す。}で表されるアルコキシシリル化ビスクラウンエー
    テル誘導体。
  4. 【請求項4】トリクロロシランと不飽和基を有するクラ
    ウンエーテル誘導体とを反応させる請求項2記載のアル
    コキシシリル化クラウンエーテル誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】トリクロロシランと不飽和基を有するビス
    クラウンエーテル誘導体とを反応させる請求項3記載の
    アルコキシシリル化ビスクラウンエーテル誘導体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】ゾル−ゲル感応膜のマトリックス成分が、
    テトラエトキシシランあるいはジエトキシジメチルシラ
    ンの少なくとも一方に、請求項1〜3記載のアルコキシ
    シリル化クラウンエーテル誘導体を結合させてなるナト
    リウムイオン活性測定用ゾル−ゲル感応膜イオノフォ
    ア。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004077388A (ja) * 2002-08-21 2004-03-11 Gunze Ltd 硝酸イオンセンサー

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