JPH0757966B2 - 建物の壁構造 - Google Patents

建物の壁構造

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JPH0757966B2
JPH0757966B2 JP63335004A JP33500488A JPH0757966B2 JP H0757966 B2 JPH0757966 B2 JP H0757966B2 JP 63335004 A JP63335004 A JP 63335004A JP 33500488 A JP33500488 A JP 33500488A JP H0757966 B2 JPH0757966 B2 JP H0757966B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は、建物の壁構造に関し、特に、木造建築とし
て快適な住宅環境にできる建物の壁構造に関する。
【従来の技術】
従来の木造家屋は、木の独特の性質を生かして住み良さ
を実現していた。木は、湿度が高いときには水分を吸湿
し、また、乾燥すると水分を放出する特性がある。この
特性が生かされて、木造家屋は、室内空気の湿度を調整
する作用がある。さらに、木造家屋は、木材が直接に室
内空気に接触するので、木材から好ましい香り等の住み
心地を快適にする成分が分散される。 ところが、現在の家屋は、木造家屋であっても、木の使
用量が減少し、新建材の使用量が増加している。木は、
室内環境を良くする性質があるが、現在の家屋に使用さ
れている建築用の木材は、ほとんどのものが表面塗装さ
れ、あるいは、表面に合成樹脂を圧入して、木の呼吸を
阻止しているので、吸湿、排湿作用が極めて少ない。 ところで、内装用の壁板に使用できるものは、木目が奇
麗で高級なものに限られる。安価なものは、装飾用には
使用できない。従って、木製の内壁材は、高級な家屋に
は使用出来ても、安価な建物には到底使用出来ない。 また、木を内装材に使用する建物は、室内の意匠に制限
を受ける。木で内装すると、周囲とのトータルバランス
が良くないことがある。このような建物には、種々の色
や模様の新建材を使用せざるを得ない。 本発明者は、旧来の木造家屋の特長を、現在のあらゆる
種類の建物に生かすことを目的に、この発明の開発に着
手し、類似する公報を調査した。 その結果、壁の中空部に充填する壁面充填材として、木
くずを使用したもの(特開昭61-176734号公報)を見つ
けた。この充填材は、木くずと、海綿状の無機質粒体と
をセメントで結合している。セメントは木くずの周囲を
包み込んで、燃焼を防止している。この充填材は、下記
の方法で現場施工される。 木くずと、無機質粒体と、セメントとを混合する。木
くずと粒体とはほぼ等量とし、セメントは粒体の半分の
重さとして、これに水を加えて混練りする。 混合物を、壁の上部に設けた注入口から流し込み、重
力と流動性とで、壁内の隅々まで行きわたらせる。 ところが、この充填材は、壁面の断熱材、防音材、耐火
材として使用できるが、木くずをセメントで被覆してい
るので、木の吸湿性を有効に利用して、室内の湿度を調
節することは出来ない。 また、チップを使用した断熱防水工法が、特開昭62-236
950号公報に開示されている。この工法は、チップにパ
ーライトを混入したモルタルを、屋根の下地材にしてい
る。この工法は、木材を小さく切断したチップを使用し
ているが、モルタルを一緒に使用し、また、屋根に使用
されているので、チップで室内の湿度を調節することは
できない。 さらに、通気性のあるフラッシュ構造の板材の内部に、
ゼオライトを充填して吸湿性と、吸臭性とを持たせた板
材も開発されている(実公昭63-29547号公報)。この公
報に記載される板材は、表面板に貫通孔を設けて、内部
に通気できるようにしている。したがって、室内の空気
に含まれる湿気や悪臭を吸着できる特長がある。 さらにまた、建物内の湿度を調節するパネルも開発され
ている(実公昭57-56858号公報)。この公報に記載され
るパネルは、孔のある中空板に木削片を充填し、また
は、木削片を接着材でパネル状に成形している。さら
に、木粉を使用した屋根下地用の吸湿シートも開発され
ている(実公昭59-14577号公報)。この公報に記載され
るパネルは、木粉等の吸湿芯材を多孔質の外皮で被覆
し、変形できるシート状としている。
【発明が解決しようとする課題】
これ等の公報に記載される板材は、室内に設置し、ある
いは壁に固定することによって室内の湿度を調整でき
る。しかしながら、これ等の公報に記載される湿度調整
パネルは、多量の室内空気を効率よく吸湿材と接触させ
ることが難しい。このため、吸湿材が室内空気を快適な
環境とする作用が弱く、効果的に室内環境を改善できな
い。吸湿材は、実質的な表面積を大きくすることによっ
て、室内空気を快適環境とする作用を増大できる。しか
しながら、小さく裁断した木材片等の吸湿材は、空隙が
小さくなって、空気の通過抵抗が大きくなる。このた
め、小さく裁断した吸湿材は、空気を快適環境とする潜
在的な能力はあっても、多量の空気と接触できず、実質
的には期待できるように、空気を快適環境とすることは
ない。 モーターで駆動されるファンを使用して、室内空気を強
制的に送風することによって、吸湿材と室内空気とを効
果的に接触させることは可能である。しかしながら、強
制送風するファンを設けると、設備コストとランニング
コストとが高くなり、さらに、24時間ファンを運転する
ので、騒音も大きくなる。また、ファンのメンテナンス
にも手間がかかるようになる。このため、室内の生活空
間を快適な環境とするための構造として、ファン等を使
用することは決して好ましくない。 この発明は、これらの欠点を解消することを目的に開発
されたものである。本発明の重要な目的は、木の特長を
生かし、しかもあらゆるタイプの家屋に、簡単かつ容易
に施工できる建物の壁構造を提供するにある。 また、この発明の他の重要な目的は、湿度調節能力が極
めて大きく、しかも、安価に構築できる建物の壁構造を
提供するにある。 さらにまた、この発明の他の重要な目的は、必要なら
ば、木造家屋の香りを室内に漂わせることもできる建物
の壁構造を提供するにある。
【課題を解決する為の手段】
この発明の建物の壁構造は、前述の目的を達成するため
に、下記の構成を備えている。 (a)建物の壁には、外壁材1と内壁材2との間に、木
材片4を充填するために、中空の空隙部3を設けてい
る。 (b)空隙部3には、木材を小片状に切断した無数の木
材片4、例えば、チップや木材を小さいブロック状に切
断したものを充填している。 (c)木材片4は、表面から水分を吸湿し、また、吸湿
水分を放出するように、表面に木材が表出して、非通気
性の膜で覆われない状態としている。 (d)空隙部3に充填された木材片4は、間を空気が通
過できる状態で通気性の袋10に充填され、通気性の袋10
を介して外壁材1と内壁材2との間の空隙部3に配設さ
れている。 (e)通気性の袋10は、空隙部3に充填される木材片4
をブロック状に集合しており、木材片4をブロック状に
集合する通気性の袋10によって空隙部3に、垂直に空気
対流ダクト3Aを設けている。 (f)空気対流ダクト3Aを流れる室内空気は、通気性の
袋10を介して木材片4に循環される。 (g)内壁材2を貫通し、空隙部3の空気対流ダクト3A
に連通して、内壁材2の上部と下部とに空気循環路5が
設けられており、室内の空気が、空気循環路5を通過し
て、空気対流ダクト3Aに循環される。
【作用】
この発明の建物の壁構造は、内壁材と外壁材の間の空隙
部3に、木材片4を充填した通気性の袋10を配設する。
通気性の袋10は、木材片4をブロック状に集合する。ブ
ロック状に集合された木材片4は、通気性の袋10と内壁
材2の間に、縦方向に延長して空気対流ダクト3Aを形成
する。空気対流ダクト3Aは、内壁材2の上下に開口され
た空気循環路5を介して室内に連結される。この構造の
建物の壁構造は、空気対流ダクト3Aに強制的に室内空気
を循環させて、室内空気と木材片4とを効率よく接触で
きる特長がある。それは、壁の内部に、上下方向に延長
して空気対流ダクト3Aがあり、通気性の袋10に充填され
た木材片4が、外壁材1で加熱または冷却されるからで
ある。例えば、夏期においては、外壁材1が相当に高温
に加熱される。外壁材1が加熱されると、通気性の袋10
に充填された木材片4と、木材片4の間の空気が加熱さ
れて軽くなって上昇する。 空気が上昇すると、空気対流ダクト3Aの下部からは、室
内の涼しい空気が吸入され、これが加熱されて上昇し
て、上部の空気循環路5から室内に排出される。すなわ
ち、加熱された外壁材1によって、室内空気が空気対流
ダクト3Aを通過して効率よく木材片4に接触される。こ
のため、外壁材1の熱を有効に利用して、ファン等を使
用することなく、室内空気を木材片4の表面に通過でき
る。冬期は、以上の状態とは反対に、外壁材1が冷却さ
れる。冷却された外壁材1は、木材片4とその間の空気
を冷却して降下流とする。したがって、冬期は、室内空
気が空気対流ダクト3Aの上部から吸入されて、下部から
室内に排出される。このように、外壁材1の加熱、冷却
を有効に利用して、室内空気が効果的に空気対流ダクト
3Aに流入されると、空気対流ダクト3Aには、通気性の袋
10を介して多量の木材片4を充填しているので、空気対
流ダクト3Aを流動する空気は、通気性の袋10を通過し
て、木材片4の隙間に流動される。このため、本発明の
建物の壁構造は、木材片によって室内空気を極めて快適
な環境に調整することができる。たとえば、多湿な室内
空気の水分を吸湿して湿度を低下させ、あるいは、乾燥
空気に水分を補給して湿度を高くし、あるいはまた、木
材片に含まれる香り等の快適成分を空気に補給して、室
内を快適な居住環境とする。とくに、木材には、フィッ
トンチットと呼ばれる有効成分が含まれており、空気に
接触すると、微量のフィットンチットが空気中に飛散す
ると言われている。フィットンチットは、人間を心地よ
くする有効成分で、これを有効に飛散させることによっ
て、快適な居住環境となる。 このように、本発明の建物の壁構造は、木材片を直接に
空隙部に充填することなく、これを通気性の袋に入れて
配設することにより、旧来の木造家屋に勝るともおとら
ない快適な居住環境を実現する。とくに、内壁材と外壁
材との間にできる空隙部を有効に利用して室内環境を快
適にするので、内壁材の表面模様に制約を受けず、内装
を、木造家屋ではなく洋風にして、旧来の木造建築より
も、さらに優れた居住環境とすることもできる。 さらにまた、本発明の壁構造は、木材片4を通気性の袋
10に入れて空隙部3に配設すると共に、通気性の袋10と
内壁材2との間に空気対流ダクト3Aを設けている。この
構造の壁構造は、木材片が変質しても、室内空気を効率
よく木材片に接触できる特長がある。木材片は天然の木
を小片状に切断したものである。木材は、ガラス繊維や
ロックウールのような無機質材でない。無機質材でない
天然の木材は、長い年月が経過すると劣化して一部が粉
末となる。とくに、本発明の壁構造のように、室内空気
で乾燥と吸湿を繰り返す木材片は、木目から割れやす
い。木目から割れると木材片は次第に小さな粉末状にな
る。粉末状の木材は、木材片の間に詰まって、空気の循
環作用を著しく低下させてしまう。このため、木材片を
直接に空隙部に充填した壁構造は、粉末状になった木材
が下部に体積して、空気の通過を阻害する。木材片の空
隙に室内空気を流通できなくなると、木材片が室内空気
を快適にする作用は失われてしまう。建物は数十年の極
めて長期にわたって使用される。この間、木材片の割れ
皆無にすることはほとんど不可能である。したがって、
空隙部に直接に木材片を充填した壁構造では、長い年月
使用するにしたがって、木材片による快適な室内環境の
調整作用が低下する。本発明の壁構造は、独特の構成で
この弊害を防止する。木材片は通気性の袋に充填して空
隙部に配設され、通気性の袋と内壁材の間に空気対流ダ
クトを設けている。通気性の袋に充填された木材片は、
一部が小さな粉末状になっても、空隙部に詰まることは
ない。通気性の袋の底に堆積するからである。袋の底に
粉末状の木材が堆積しても、袋の上部は空気対流ダクト
に接触し、袋を通過してほとんどの木材片は、効率よく
空気対流ダクトの空気に対流される。このため、本発明
の壁構造は、数十年も使用して、木材片の一部が粉末状
に変質しても、木材片と室内空気とを能率よく接触さ
せ、木材片でもって室内環境を快適に調整できる。
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。 但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思想を具体
化する為の建物の壁構造を例示すものであって、この発
明の建物の壁構造は、構成部品の材質、形状、構造、配
置を下記の構造に特定するものでない。この発明の建物
の壁構造は、特許請求の範囲に記載の範囲に於て、種々
の変更が加えられる。 更に、この明細書は、特許請求の範囲が理解し易いよう
に、実施例に示される部材に対応する番号を、特許請求
の範囲に示される部材に付記している。ただ、特許請求
の範囲に記述される部材を、実施例に示す部材に特定す
るものでは決してない。 第1図に示す建物の壁構造は、外壁材1と内壁材2との
間に中空の空隙部3が設けられている。空隙部3には、
木材を小片状に切断した無数の木材片4を充填した通気
性の袋10を配設している。 この発明は、内壁材と外壁材の材質を特定しない。これ
等の板材には、現在使用され、また、これから開発され
る全てのものを使用できる。 空隙部3の幅は、壁の厚さで決定される。普通の木造家
屋は、壁厚が8〜15cmであるので、空隙部3の厚さは、
この厚さから外壁材1と内壁材2の厚さを引いた間隔と
なる。木造の壁構造は、特別に空隙部3を設ける必要は
なく、内壁材2と外壁材1との間に空隙部3ができる。
この空隙部3を利用して、木材片4を充填できる。 ただ、この発明は、建物を木造に特定しない。鉄骨、鉄
筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートの建物にも利用
できる。鉄骨の建物は、木造と同様に、内壁材2と外壁
材1とに間に空隙部3ができるので、ここに木材片4を
充填する。 コンクリートの建物は、壁を中空として内部に空隙部3
を設け、空隙部3に木材片4を充填する。 木材片4には、あらゆる種類の木材、例えば、ヒノキ、
スギ、マツ、モミ、ブナ、ケヤキ、ツガ、クリ、サク
ラ、カシ、クス、キリ等の木材を小さく切断したものを
使用できる。 木材片4に、ヒノキやクスを使用したものは、ここを通
過する空気を殺菌し、また、防虫効果もある。 木材を小片状に加工するには、最も簡単には、パルプ用
のチップと同じように切断する。ただ、この発明は、木
材片4の形状をチップ形状に特定するものでない。例え
ば、木材を小さいブロック状に加工することも可能であ
る。 木材片4は、通気性の袋10に入れて、空隙部3に充填さ
れる。通気性の袋10には、孔をあけた合成樹脂袋、ある
いは、通気性の紙や不織布の袋を使用できる。通気性の
袋10には、木材片と一緒に芳香剤等を一緒に入れること
もできる。さらに、木材片4には、これに芳香剤や殺菌
剤を含浸させることもできる。 空隙部3に充填される木材片4は、木材片4の間に空隙
ができる状態に充填される。木材片4の間の空隙は、木
材片4の形状で調整できる。木材片4が小さい程、空隙
が狭くなって空気が通り難くなる。反対に、木材片4を
大きくする程空隙が大きくなって空気が通過し易くな
る。 木材片4の大きさは、空気の通過率を考慮して、通常0.
5〜100立方cm、好ましくは1〜20立方cmの範囲に調整さ
れる。 空隙部3は、木材片4を通気性の袋10に入れてブロック
状に集合させることによって、内部に垂直に空気対流ダ
クト3Aを設けている。この構造の建物の壁は、内壁材2
を張る前に外壁材1の内面に通気性の袋10を固定し、内
壁材2と通気性の袋10との間に空気対流ダクト3Aを設け
ている。通気性の袋10を固定した後、内壁材2を固定し
て、通気性の袋を簡単に配設できる。 ところで、木材片4は、表面から水分を吸湿し、また、
吸湿水分を放出して、室内空気の湿度を調節する。従っ
て、木材片4は表面に木材を表出させる必要があり、表
面を、非通気性の膜で覆うとよくない。 この発明は、壁に設けられる空隙部に、通気性の袋を介
して木材片を充填することを特長としているが、木材片
と一緒に、セラミック粒や紙等を、増量材として充填す
ることもできる。 空隙部3の空気対流ダクト3Aには、室内空気が循環され
る。したがって、内壁材2を貫通し、室内に連通して空
気循環路5が設けられる。空気循環路5は、室内の上部
と下部とに設けられる。 第1図に示す建物の壁構造は、空気循環路5を、天井よ
りも下方に位置して開口している。空気循環路5の前面
には、第2図に示すように、見切材6を固定することも
できる。見切材6は、内壁材2の空気循環路5を閉塞し
ないように、空気孔7を設けている。空気孔7は、内壁
材2の空気循環路5を室内に連通する。このように、空
気循環路5を見切材6で隠す構造は、内壁材2の外観を
美しく仕上げることができる。ただ、第1図に示すよう
に、空気循環路5の前面を見切材で閉塞しない構造とす
ることもできる。 内壁材2の下端に設けられる空気循環路5は、第1図に
示すように、床よりも上に位置して設けられている。空
気循環路5の前面は、第3図に示すように、幅木8で閉
塞されている。幅木8は、空気循環路5を閉塞しないよ
うに、空気孔9を設けている。空気孔9は、内壁材2の
空気循環路5に連結されており、空隙部3は、空気循環
路5と空気孔9とを介して室内に連結されている。 複数の板材を張って内壁材とする場合、板材の間に空気
が通過できる隙間を設けて空気循環路とすることも可能
である。 空気循環路は、空隙部と室内とで空気を流通させるため
に設けられる。従って、この明細書において、内壁材の
空気循環路とは、空隙部と室内とを連結できる全ての空
隙を意味するものとする。
【発明の効果】
本発明の建物の壁構造は、外壁材を通過する熱を有効に
利用して、室内空気を効果的に接触させる。それは、本
発明の建物の壁構造が、木材片を通気性の袋に入れてブ
ロック状に集合する状態として空隙部に充填すると共
に、空隙部には垂直に延長して空気対流ダクトを設け、
さらに、この空気対流ダクトは上下を室内に連通する独
特の構成としているからである。この構造の建物の壁構
造は、夏期には外壁材が高温に加熱され、また、冬期に
は外壁材が低温に冷却される。外壁材が加熱されると、
空気対流ダクト内の空気は軽くなって上昇し、反対に外
壁材が冷却されと、空気対流ダクトの空気は重くなって
降下する。空気対流ダクトに、上昇、あるいは降下する
対流が起こると、室内空気が強制的に空気対流ダクトに
循環される。空気対流ダクトに強制的に流入される空気
は、通気性の袋を通過して、木材片の隙間に流入する。
このとき、木材片の隙間に流入する空気の循環量は、フ
ァン等を使用して強制的に送風しないで多くできる。こ
のため、本発明の建物の壁構造は、室内空気と木材片と
を効率よく接触させることができ、木材片によって、高
湿度の時には多量の水分が吸湿され、また、乾燥時には
水分が補給され、さらに木材片に含まれる香り等の有効
成分を補給できる。小さい小片状に切断された木材片
は、単位重量当りの表面積を、板材に比べて著しく広く
できる。表面積が広い木材片を、室内空気に効率よく接
触できるなら、室内空気と木材片との間で、湿度調整を
速やかにでき、さらに、木材片の有効成分を室内空気に
補給できる特長が実現できる。 室内に木板を表出させる従来の木造家屋は、木板を直接
に室内空気に接触できる。しかしながら、表面積が内壁
材の面積に制限される。表面に凹凸を設けたとしても、
それほど表面積を広くできない。ところが、この発明の
建物の壁構造は、木材と室内空気との接触面積を、内壁
材の表面積とは比較にならない程広くでき、しかも、室
内空気と木材片とを効果的に接触できる。木材片の総合
表面積は、木材片を小さくすることによって簡単に大き
くできる。 さらに、本発明の建物の壁構造は、室内環境を快適にす
るためのコストアップを少なくできる特長もある。それ
は、木材を小さく切断し、これを通気性の袋に充填して
空隙部に配設して施工できるからである。とくに、木材
片は、外観からは見えない空隙部に収納するので、綺麗
に加工する必要がない。したがって、木材加工は極めて
簡単である。例えば、木材をチップに加工する装置を使
用して、簡単かつ容易に、しかも、迅速に小片状に加工
できる。このため、加工費を著しく低減できる特長があ
る。さらに、木材片は、材料コストも著しく安くでき
る。 木材片に加工される原料木材には、ほとんどの種類のも
のを使用でき、また、形状にも制限を受けないからであ
る。木材片の原料には、極めて安価な廃材や間伐材を使
用できる。原料コストと加工手間とを安価にできる木材
片は、極めて安価に多量生産できる。さらに、木材片を
充填する通気性の袋も見えない空隙部に配設するので、
安価なものが使用でき、袋に充填することによって、運
搬と施工経費を簡素化して低減できる特長もある。 さらにまた、この発明の建物の壁構造は、外壁材と内壁
材との間にできる空隙部を有効に利用して室内空気の湿
度を調節するので、室内の内装を、従来の建物と同一に
できる。言い代えれば、室内装飾のデザインを制約する
ことなく、室内の居住環境を向上できる。このため、壁
板には、室内のトータルデザインによくマッチした新建
材等を使用して、居住環境は、旧来の木造建築を卓越す
る「快適な住み心地」を実現する。 このように、外壁材と内壁材との間にできる空隙部を有
効に利用する本発明の建物の壁構造は、充填できる木材
片の総量を極めて多量にできる特長がある。それは、外
壁材と内壁材との間にできる空隙部の容積が相当に大き
く、しかも、木材片を安価に多量生産できるからであ
る。 ところで、従来の木造家屋の壁面に張られている木製の
内装材は、厚くなると高くなる。コストが厚さを制限し
ている。普通、内装用の壁板には、3mm以下の板材が使
用されている。ところが、内壁材と外壁材との間隔は、
普通の建物でも数cmにできる。したがって、通常の家屋
で、空隙部の厚さを内壁材の暑さの数十倍近くにでき
る。大きな容積の空隙部に、多量の木材片を充填した壁
面は、内装用の木板とは比較にならない、水分の「吸湿
−放出」能力を実現する。 いま仮に、下記の条件の部屋を想定すると、空隙部の容
積は1,1512,000立方cmとなる。 部屋の大きさは6畳。この部屋の半分の壁に空隙部を
設けている。 空隙部の間隔は8cm。 壁の高さは3m。 この空隙部に、総体積が空隙部3の半分の木材片を充填
したとすれば、木材片の総体積は、756,000立方cmとな
る。この木材片が、体積の僅か20%の水分を吸水したと
しても、木材片4全体の吸水量は、151,200立方cm、す
なわち、約150リットルもの水分を保有することにな
る。 暖房時に、室内空気を加湿する為に使用される加湿機の
水タンクは、わずかに、4〜5リットルに過ぎない。壁
の空隙部に充填された木材片は、加湿機の水タンクの数
十倍もの水を含有できる。以上の計算結果からしても、
本発明の壁構造は、いかに効果的に室内空気の湿度調節
能力が大きいかが明白である。 従って、この発明の建物の壁構造は、室内のデザインに
影響を与えることなく、室内空気の湿度調節能力を向上
して、極めて快適な居住空間を実現する。 さらにまた、この発明の建物の壁構造は、木材片に香り
のよい「桧」等を使用することにより、室内に木造建築
に独特の香りを漂わせことも可能である。 さらに本発明の壁構造は、極めて長期間にわたって、木
材片でもって室内環境を快適に調整できる優れた特長が
ある。それは、本発明の建物の壁構造が、木材片を通気
性の袋に入れて空隙部に配設すると共に、通気性の袋と
内壁材との間に空気対流ダクトを設けているからであ
る。木材片は天然の木を小片状に切断したものであるか
ら、数十年もの長い年月にわたって、乾燥と吸湿とを繰
り返すと、劣化して木目から割れて一部が粉末となる。
木材片を通気性の袋に入れないで、直接に空隙部に充填
すると、粉末状の木材が木材片の間に詰まって、空気の
循環作用を失い、木材片が室内空気を快適にする作用を
失なう。これに対して、本発明の壁構造は、木材片を通
気性の袋に充填して空隙部に配設し、通気性の袋と内壁
材の間に空気対流ダクトを設ける独特の構成で、この弊
害を解消する。通気性の袋に充填された木材片は、一部
が小さな粉末状になっても、通気性の袋の底に堆積する
ので、室内空気を空気対流ダクトに循環させる作用を低
下させない。袋の底に木材の粉末が堆積しても、袋の上
部は空気対流ダクトに接触し、袋を通して木材片は効率
よく空気対流ダクトの空気に対流される。このため、本
発明の壁構造は、数十年も使用する建物に使用して、木
材片でもって室内環境を快適に調整できる極めて優れた
特長を実現する。とくに、このような建物として大切な
特長を、安価な施工費用で実現できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す建物の壁構造の断面
図、第2図は内壁材の上部に設けられた空気循環路を示
す正面図、第3図は内壁材の下端に設けられた空気循環
路を示す正面図である。 1……外壁材、2……内壁材 3……空隙部、3A……空気対流ダクト 4……木材片、5……空気循環路 6……見切材、7……空気孔 8……幅木、9……空気孔 10……通気性の袋

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の全ての構成を有する建物の壁構造。 (a)建物の壁には、外壁材(1)と内壁材(2)との
    間に中空の空隙部(3)を設けている。 (b)空隙部(3)には、木材を小片状に切断した無数
    の木材片(4)を充填している。 (c)木材片(4)は、表面から水分を吸湿し、また、
    吸湿水分を放出するように、表面に木材を表出させてい
    る。 (d)空隙部(3)に充填された木材片(4)は、間に
    空隙ができる状態で通気性の袋(10)に充填され、通気
    性の袋(10)を介して外壁材(1)と内壁材(2)との
    間の空隙部(3)に配設されている。 (e)通気性の袋(10)は、空隙部(3)に充填される
    木材片(4)をブロック状に集合しており、木材片
    (4)をブロック状に集合する通気性の袋(10)によっ
    て、通気性の袋(10)と内壁材(2)との間に、垂直に
    空気対流ダクト(3A)を設けている。 (f)空気対流ダクト(3A)を流れる室内空気は、通気
    性の袋(10)を介して木材片(4)に循環される。 (g)内壁材(2)を貫通し、空隙部(3)の空気対流
    ダクト(3A)に連通して、内壁材(2)の上部と下部と
    に空気循環路(5)が設けられており、室内の空気が、
    空気循環路(5)を通過して、空気対流ダクト(3A)に
    循環され、空気対流ダクト(3A)の空気が通気性の袋
    (10)を透過して木材片(4)に接触されるように構成
    されている。
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