JPH0757889B2 - 冷却速度制御鋳造材を用いた一方向性電磁鋼板の製造法 - Google Patents

冷却速度制御鋳造材を用いた一方向性電磁鋼板の製造法

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JPH0757889B2 JP1197429A JP19742989A JPH0757889B2 JP H0757889 B2 JPH0757889 B2 JP H0757889B2 JP 1197429 A JP1197429 A JP 1197429A JP 19742989 A JP19742989 A JP 19742989A JP H0757889 B2 JPH0757889 B2 JP H0757889B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電気機器の鉄心材料として用いられる軟磁性
材料である一方向性電磁鋼板の製造法に関するものであ
る。
(従来の技術) 一方向性電磁鋼板は、鋼板面が{110}面で圧延方向に
<001>軸を有する所謂ゴス方位(ミラー指数で{110}
<001>と表す)をもつ結晶粒から構成されており、軟
磁性材料として変圧器或は発電機用の鉄心に使用され
る。一方向性電磁鋼板は、磁気特性として磁化特性と鉄
損特性が良好であることが要求される。
磁化特性は、かけられた一定の磁場力の下で鉄心内に誘
起される磁束密度の高低によってその良否が評価され
る。高い磁束密度をもつ一方向性電磁鋼板は、結晶粒の
方位を{110)<001>に高度に揃えることによって得ら
れる。
鉄損特性は、鉄心に所定の交流磁場を与えた場合に熱エ
ネルギとして消費される電力損失の多寡によってその良
否が評価される。鉄損特性の良否には、磁束密度、板
厚、比抵抗、結晶粒径等の因子が影響する。高い磁束密
度をもつ一方向性電磁鋼板は、電気機器を小型化するこ
とを可能ならしめるとともに、鉄損特性を良好ならしめ
るので非常に好ましい。
ところで、一方向性電磁鋼板は、熱間圧延、冷間圧延お
よび焼鈍の適切な組み合わせによって最終板厚とした鋼
板に、高温の仕上焼鈍を施すことによって{110}<001
>方位を有する一次再結晶粒が選択的に成長する。所
謂、二次再結晶によって得られる。
二次再結晶は、二次再結晶前の鋼板中に微細な析出物、
たとえばMnS、AlN、MnSe等が存在すること或いはSn、S
b、P等の粒界存在型の元素が存在することによって達
成される。これら鋼板中の微細な析出物或は粒界存在型
の元素は、仕上焼鈍中の{110}<001>方位以外の一次
再結晶粒の成長を抑え、{110}<001>方位粒を選択的
に成長させる機能を持つ。このような粒成長の抑制作用
を、一般に、インヒビター効果と呼んでいる。従って、
当該技術分野における研究開発の重点課題は、如何なる
種類の析出物或は粒界存在型の元素を用いて二次再結晶
を安定させるか、そして正確な{110}<001>方位粒の
存在割合を高めるために、それらの適切な存在状態を如
何にして達成するかにある。
現在、工業生産されている代表的な一方向性電磁鋼板の
製造方法は、3種類ある。
第1の技術は、M.F.リットマンによる、特公昭30−3651
号公報に開示された、MnSをインヒビターとして機能さ
せる2回冷延法による製造方法である。
第2の技術は、田口、板倉による、特公昭40−15644号
公報に開示された、AlN+MnSをインヒビターとして機能
させる最終冷間圧延を80%以上の強圧下率の適用下に行
う製造方法である。
第3の技術は、今中等による、特公昭51−13469号公報
に開示された、MnS(または、およびMnSe)+Sbをイン
ヒビターとして機能させる2回冷延法による製造方法で
ある。
これらの技術においては、何れも析出物を微細、均一に
分散、析出せしめる手段として熱間圧延に先立つ鋳片の
加熱段階での加熱温度を、第1の技術にあっては、1260
℃以上、第2の技術にあっては、特開昭48−51852号公
報に開示されているように、素材におけるSi含有量によ
るが、3%Siの場合で1350℃、第3の技術にあっては、
特開昭51−20716号公報に開示されているように、1230
℃以上、高い磁束密度を有する製品が得られる実施例で
は、1320℃といった極めて高い温度に鋳片を加熱するこ
とによって、粗大な状態で存在する析出物を一旦固溶さ
せ、その後の熱間圧延或は熱処理中に微細に分散、析出
させるようにしている。
鋳片の加熱温度を高くすることには、加熱時の使用エネ
ルギの増大、ノロと呼ばれる溶融スラグの発生に起因す
る歩留りの低下ならびに加熱炉の補修頻度が高くなるこ
とによるメインテナンスコストの増大および設備稼動率
の低下といった問題があるほか、特公昭57−41526号公
報に開示されているように、二次再結晶不良が発生する
ために、連続鋳造鋳片を使用するには種々の対策が必要
であり、さらに、特公昭59−7758号公報に開示されてい
るように、製品板厚を薄くすると、この二次再結晶不良
が一層増加する等の問題があった。鋳片の高温加熱に起
因する、これらの問題を解決するための技術として、特
公昭61−60896号公報に開示された技術がある。この技
術においては、鋳片は、1280℃未満、実施例ではたとえ
ば1150℃といった低温に加熱されるから、上述の従来技
術における問題は、根本的に解決される。しかしなが
ら、この技術にあっても、高い磁束密度を有する製品を
安定して製造し得ることおよびさらなる低コスト化のた
めに、解決さるべき課題がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、鋳片加熱時に、インヒビターの作り込みをす
ることなく、脱炭焼鈍から仕上焼鈍における二次再結晶
開始までの何れかの段階で鋼板を窒化処理することによ
り、二次再結晶に必要な析出物を形成せしめることを基
盤とする一方向性電磁鋼板の製造方法において、極めて
安定した二次再結晶を実現させることにより、高磁束密
度を有する製品を得ることを達成しかつ、基本的には熱
間圧延を省略した鋳造薄帯を素材とすることにより、よ
り低コストのプロセスを実現することを課題とするもの
で、就中良好な磁気特性を有する製品を低コストで製造
し得る一方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1) 重量で、Si:1.5〜4.7%、AlR:0.006〜0.032%
(但し、AlR=酸可溶性Al−Al as AlN+27/14(N as Ti
N+N as BN))、total N≦0.0095%を含み、残部が実
質的にFeからなる鋼板に、1回或は中間焼鈍を挟む2回
以上の冷間圧延を施して最終板厚とし、次いで脱炭焼
鈍、焼鈍分離剤塗布を施した後、二次再結晶を目的とす
る仕上焼鈍を施すプロセスにあって、脱炭焼鈍から仕上
焼鈍における二次再結晶開始までの何れかの段階で鋼板
の窒化処理を施す一方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、冷間圧延素材として鋳造時の(α+γ)二相共存域
における冷却速度を8.5℃/s以上として凝固時のαおよ
びγ中のSiの成分分配比を小さくした鋳造薄帯を用いる
ことを特徴とする冷却速度制御鋳造材を用いた一方向性
電磁鋼板の製造法。
(2) 冷間圧延に先立って、冷間圧延素材を800〜112
0℃の温度域で焼鈍する請求項1記載の冷却速度制御鋳
造材を用いた一方向性電磁鋼板の製造法。
(3) αおよびγに対応する部分のSi比Si inα/Si i
n γを1.04以下とした鋳造薄帯を冷間圧延素材とする前
項1または2記載の冷却速度制御鋳造材を用いた一方向
性電磁鋼板の製造法。
以下に、本発明を詳細に説明する。
先に述べたように、高配向{110}<001>方位粒を安定
して発現させるためには、二次再結晶に必要な析出物を
鋼鋳に均一に存在させる必要がある。鋼中の析出物に疎
密がある場合、たとえば、高配向の{110}<001>方位
粒出現潜在的位置の析出物が密で、その他の方位粒位置
の析出物が疎であると、高配向{110}<001>方位粒の
成長開始前にその他の方位粒の成長が始まり、二次再結
晶不良或は低配向二次再結晶になると考えられる。特に
製品厚が薄くなり、板厚方向における一次再結晶粒の個
数が少なくなってくると、析出物の疎密の悪影響が顕著
に現れる。
ところで、本発明で基盤とする析出物形成法は一次再結
晶完了後から二次再結晶開始までの何れかの段階で鋼板
を窒化処理することにより、一部Mnを含むこともある
(Al,Si)Nを主体とする複成分析出物を形成せしめる
ものである。従って、 (Al,Si)Nを鋼中に均一に形成せしめるためには、こ
の析出物の構成元素であるAl,Siが鋼板全域に亙って均
質でなければならない。本発明者等は、従来、一般に行
なわれている鋳造スラブを出発材とするプロセスにおい
ては、鋼板にSiのミクロ偏析が見られることを知見し
た。就中、鋳造後のスラブを、インヒビターとしての析
出物を1400℃前後の温度域で溶体化すべく、高温、長時
間加熱する従来プロセスとは異なり、スラブ加熱段階で
は析出物を溶体化しない本発明の基盤となるプロセスに
おいては、鋳造時のSi偏析は、解消し難い。而して、こ
のSi偏析は、Al、Nの存在にも影響すると考えられる。
即ち、高Si部にはフリーのAl,Nが少なく、低Si部にはフ
リーのAl,Nが多く存在すると思われる。
このような知見に基づき、本発明者等はさらに研究を進
めた結果、鋳造時の鋳片の冷却速度を一定以上に速くし
て凝固速度を高めると、成分が均質になり、鋼板の窒化
処理によって(Al,Si)Nを均一に形成せしめるのに極
めて有効であることを発見した。而して、これによって
二次再結晶が安定し、特に、本発明者等の一部が先に特
願平1−82393号にて提案した、高配向な二次再結晶を
得るのに有効である最終冷延後の一次再結晶温度を高く
する条件下でも二次再結晶が生じるので、高磁束密度を
有する一方向性電磁鋼板を安定して製造できる。
以下に、Si含有鋼における凝固速度とSi偏析状況を示
し、そのときの二次再結晶挙動を説明する。
重量で、Si:3.35%、C:0.063%、Mn:0.12%、S:0.008
%、酸可溶性Al:0.030%、total N:0.0075%を含有する
溶鋼を、1150℃までの冷却速度として、5.4℃/min、54
℃/min、600℃/minで凝固させ、その後水中に浸漬して
急冷させて2.8mm厚さの鋳造薄帯を作成した。
この鋳造薄帯について、EPMAで組織に沿って線分析を行
い、Siの成分分布状況を調査した。第1図に、5.4℃/mi
n、54℃/minの冷却速度のものについて、Siの成分分布
状況を実測した結果を示す。この組織の隣接した部位に
ついて、Siの測定値の高い領域と低い領域とを対応させ
て第2図に示す。なお、このようなSiの不均一状態は、
Fe−Si−C状態図で、溶鋼が冷却される過程で、αから
γが晶出する際にSi分配が生じ、γ中のSiは排出され、
α中に濃く固溶したために生じたと考えられる。第2図
におけるX軸は、Siの低い領域即ちγ域、Y軸はSiの高
い領域即ちα域を示す。第2図から、凝固時の冷却速度
が高くなるとSiの不均一さが少なくなることが分る。次
に、この鋳造薄帯に1120℃×1分間の焼鈍を施した後、
0.23mm厚さまで冷間圧延し、次いで、800〜920℃の温度
域でそれぞれ3分間、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍し、Mg
O中に5%の窒化フェロマンガンを添加した焼鈍分離剤
を塗布、乾燥した後1200℃×20hrsの仕上焼鈍を施し
た。
こうして得られた製品の磁束密度(B8値)と二次再結晶
不良に起因する細粒発生の程度を、第3図に示す。第3
図から明らかなように、本発明で基盤としている二次再
結晶前、一次再結晶後に鋼板を窒化することによってイ
ンヒビターを形成する製造プロセスにおいては、特願平
1−82235号に示すように、特に、一次再結晶と脱炭を
行う焼鈍工程において、一次再結晶温度を高くすると、
製品の磁束密度が高くなるけれども、一定温度以上では
二次再結晶しなくなる。また、凝固時の冷却速度を高く
することによって、二次再結晶不良が発生する温度レベ
ルが高くなることが分る。従って、凝固時の冷却速度を
高くすることにより、高温の脱炭および一次再結晶焼鈍
を採用できるから、磁束密度の高い製品を得ることを可
能にする。
本発明者等による、鋳造時の冷却速度を変えた実験によ
れば、510℃/min(8.5℃/s)以上の冷却速度であれば、
Siの偏析が少なく二次再結晶が安定する。このときのSi
in α/Si in γは1.04である。
このような二次再結晶安定化の効果は、凝固時の冷却速
度を高めると、成分が均一になるため窒化後の析出物が
均一に形成され、脱炭焼鈍温度を高くしても結晶粒が均
一に成長し、所謂混粒にならなかったために得られたと
考えられる。
以下、本発明の実施態様について述べる。
先ず、素材成分であるが、SiとAlが本発明では二次再結
晶に必要な析出物として(Al,Si)Nを用いるところか
ら、必須である。
Siが1.5%未満では、仕上焼鈍時に鋼がα+γ二相にな
り、二次再結晶方位が破壊されるので1.5%以上とす
る。一方、Siが4.7%を超えると、鋼板を冷間圧延する
ときに割れが大きくなるので、4.7%以下とする。
Alについては、鋼板を窒化処理するときに析出物を形成
可能な状態、即ち、固溶Al量として、AlR=Al−Al as A
lN+27/14(N as TiN+N as BN)を規定し、二次再結晶
が安定して生じるに必要な量として、0.006〜0.032%を
限定範囲とする。
ここで、AlRを説明する。通常の分析で測定される酸可
溶性Alは、固溶AlとAlNであるので先ず酸可溶性AlからA
lNとしてのAlを減じる。また、溶鋼にTi,Bが含まれる場
合、TiNとBNが凝固中に安定的に析出し鋼中のNを固定
するからその分だけAlNとして析出する量が減少し、固
溶Alが増加することになるので、27/14(N as TiN+N a
s BN)だけAlが増加したことになる。前記両者を加えた
ものが、窒化物形成可能な量であり、これをAlRとす
る。
次にtotal Nについて述べるとtotal Nが0.0095%を超え
ると、ブリスターと呼ばれる鋼板の脹れが著しいので、
0.0095%以下とする。
その他の成分については、本発明の基本思想を逸脱しな
い範囲で含有せしめることは差し支えない。
一般に、元素は、その傾向の大小はあるが、α/γに分
配されるものであるから、基本的には含有しない方が窒
化物形成には望ましい。特に本発明の効果が著しいの
は、α−γ変態が多い場合であり、Si:1.5〜4.7%の範
囲で、この変態が生じる成分系での本発明の意義が大き
い。例えば、Si:2.0%では、Cとして約0.02%以上、S
i:4.7%では、Cとして約0.042%以上の場合に、α−γ
変態が生じ、その中間のSi含有量領域ではCがこの0.02
〜0.042%の範囲にある場合に、本発明の手段が明確な
効果を現わすことになる。
一方、Mn、Ni等のγ生成元素が含まれると、この変態出
現C量限界値が下がる。
これら成分を含有する溶鋼を、鋳造してスラブとする。
従来の、厚さ150〜300mmのスラブをアウトプットする連
続鋳造プロセスでは、8.5℃/s以上の冷却速度は実現で
きず、従来のプロセスでは、ほぼ15℃/min(0.25℃/s)
前後にある。8.5℃/s以上の冷却速度を実現するために
は、薄帯を直接的に鋳造によって得るプロセスが必要と
なる。たとえば、5mm以下の厚さの薄帯を連続鋳造によ
って得る場合、特に困難な作業もなく連続的に冷却する
ことが可能である。冷却速度が高い程、成分偏析が少な
く望ましいから、冷却速度を高く採れるようにすべく鋳
造薄帯の厚さをより薄くすることが望ましいけれども、
後述するように、高い磁束密度を有する製品を得るため
には高い冷延率での圧延を必要とし、従って、自ずから
鋳造薄帯の厚さが限定される。たとえば、0.06mmの製品
厚さのものを、90%の冷延率で得ようとすると、冷延素
材厚さ即ち鋳造薄帯の厚さは、0.6mmとなる。鋳造過程
での冷却速度が高い程、成分偏析が少なく、均一な析出
物の形成のために有利であるが、8.5℃/s以上の冷却速
度であれば、ほぼ満足できる。
この冷却速度を規定する領域は、α→γ変態範囲であ
る。たとえば、C:0.040%、Si:3.35%の鋼の場合、ほぼ
1320〜820℃であるが、低温域ではSiの拡散速度が極め
て低く、Siの拡散による分配が生じるのは、実質的には
1150〜1320℃の温度域における冷却速度による。
上記鋳造薄帯は、既に薄くなっており、また、本発明に
おいて基盤としているプロセスの場合、従来プロセスに
おけるように、スラブ加熱段階で析出物を溶体化して熱
間圧延、焼鈍等の工程で析出させて二次再結晶発現に必
須なインヒビターを形成させることが必要ではなく、特
公昭62−45285号公報において述べているように、むし
ろ有害であるから、熱間圧延することなく直接冷間圧延
工程に移る。但し、鋳造プロセスにおいて、鋳造薄帯の
形状を矯正すべく、軽度の加工を加えることは問題な
い。この鋳造薄帯に、結晶粒の状態を均質にするため
に、800〜1120℃の温度域で短時間の焼鈍を施すと、製
品の磁束密度が安定的に向上する。この鋳造薄帯を直接
に或は焼鈍後に冷間圧延し、最終板厚とする。高い磁束
密度を有する製品を得るためには、80%以上、望ましく
は88%以上の強圧下を適用する冷間圧延をすることが適
切である。
なお、冷間圧延回数として、中間焼鈍を含む複数回の冷
間圧延工程を採ることもできるが、コストの上昇を招く
から複数回の冷間圧延工程を採る意義は小さい、1回の
冷間圧延工程で十分本発明の目的は達せられる。最終板
厚とされた材料は、次いで湿水素雰囲気中で短時間の脱
炭焼鈍を行う。
本発明のように、従来プロセスにおけるような熱間圧延
工程或は熱延板焼温工程で微細な析出物を作り込むこと
なく、冷間圧延した素材を脱炭焼鈍する場合、焼鈍温度
を高くして行くと結晶粒は円滑に成長し、その鋼板を二
次再結晶させると、高配向{110}<001>が得られる。
しかし、限度以上に焼鈍温度を高くすると、二次再結晶
不良が発生する。この二次再結晶不良が出始める温度
は、鋳造時の冷却速度が高い程高くなる。この脱炭焼鈍
板に、焼鈍分離剤を塗布する。次いで、二次再結晶を目
的とする仕上焼鈍を行う。
本発明では、脱炭焼鈍後の鋼板を窒化能のある雰囲気中
で短時間焼鈍する方法、或は仕上焼鈍における昇温中、
二次再結晶開始までの間に窒化する方法の何れか一方ま
たは双方を組合せることにより、二次再結晶に有効な窒
化物を形成させることを、必須とする。
なお、後者は、鋼板を積層した状態或はストリップコイ
ルの状態で焼鈍がなされるところから、雰囲気による窒
化はでき難いので、焼鈍分離剤中に窒化能のある化合物
を添加することが、均一な窒化のために有効である。
(実施例) 実施例1 重量で、C:0.068%、Si:3.35%、Mn:0.12%、S:0.008
%、酸可溶性Al:0.033%、total N:0.0067%、残部実質
的にFeからなる溶鋼をほゞ1400℃からほゞ1000℃までを
平均冷却速度54℃/minおよび600℃/minで厚さ2.0mmに鋳
造した。この板を1050℃×1.5min焼鈍後、0.1mm、0.2m
m、0.3mm厚さに冷間圧延し、860℃で脱炭焼鈍し、焼鈍
分離剤としてMgO中に5%の窒化フェロマンガンを添加
したものを塗布し、1200℃×20hrの仕上焼鈍を行なっ
た。この時の磁性と二次再結晶状況を第1表に示す。
鋳造時の冷却速度が早い600℃/minのものは成品厚に拘
らず、二次再結晶が安定し、その時の配向度が良好で磁
束密度が高い。第1表における二次再結晶欄の不良発生
とは、いわゆる細粒が発生したことを示しており、良好
とは細粒の発生が認められなかったことを示すものであ
る。
実施例2 Si:3.4%、Mn:0.12%、S:0.008%、酸可溶性Al:0.034
%、total N:0.0069%、残部実質的にFeからなり、Cと
して0.008%と0.067%だけ含有する2種類の溶鋼をほゞ
1400℃からほゞ1000℃までを平均冷却速度54℃/minと60
0℃/minとで板厚2.0mmに鋳造した。この板を1050℃×1.
5min焼鈍後、0.15mm厚に冷間圧延し、860℃で脱炭焼鈍
し、焼鈍分離剤としてMeO中に5%の窒化フェロマンガ
ンを添加したものを塗布し、1200℃×20hrの仕上焼鈍を
行なった。この時の磁性と二次再結晶状況を第2表に示
す。
鋳造時の冷却速度が早い600℃/minのものは、いずれの
C量についても二次再結晶が安定し、かつ磁束密度が高
い。Cが低くα単相のものよりも、Cが高くα+γ二相
のものの方が磁束密度が高い。
実施例3 Si:ほゞ3.4%、Mn:0.12%、S:0.007%、total N:ほゞ0.
0073%、残部実質的にFeから成る溶鋼で第3表に示すよ
うな酸可溶性AlとBとTiとがそれぞれ異る5種類の溶鋼
をほゞ1400℃からほゞ1000℃までを平均冷却速度600℃/
minで板厚2.0mmに鋳造した。この板を1050℃×1.5min焼
鈍後、0.15mm厚さに冷間圧延し、860℃で脱炭焼鈍し、
焼鈍分離剤としてMgO中に5%の窒化フェロマンガンを
添加したものを塗布し、1200℃×20hrの仕上焼鈍を行な
った。この時の磁性と二次再結晶状況を第3表に示す。
AlRが低くても、高くても二次再結晶不良が発生する
が、AlRが適切であれば、二次再結晶、磁束密度ともに
良好である。
実施例4 実施例2の鋳造片を1120℃×1.5min焼鈍後、板厚0.15mm
に冷間圧延し、860℃で脱炭焼鈍した。その後の窒化処
理として下記の3種類の方法を行なった。
焼鈍分離剤としてMgOを塗布する。
焼鈍分離剤としてMgO+5%窒化フェロマンガンを塗
布する。
脱炭焼鈍後にアンモニア含有水素雰囲気で800℃×30s
ecの窒化焼鈍後に焼鈍分離剤としてMgOを塗布する。
かくして得られた3種類の板について1200℃×20hrの仕
上焼鈍を行なった。この時の磁性と二次再結晶状況を第
4表に示す。
窒化を目的とした処理をしないの条件によれば二次再
結晶不良が発生し磁性が悪いが、窒化をさせた、の
条件によれば二次再結晶、B8いずれも良好である。
実施例5 実施例2の冷却速度600℃/minの鋳造片について、焼
鈍せず、800℃×1.5min、1000℃×1.5min、1120
℃×1.5minの4種類の焼鈍を行なった後、板厚0.20mmに
冷間圧延した。湿水素中で860℃の脱炭焼鈍を行ない、
焼鈍分離剤としてMgO中に5%の窒化フェロマンガンを
添加したものを塗布し、1200℃×20hrの仕上焼鈍を行な
った。この時の磁性と二次再結晶状況を第5表に示す。
鋳造材を焼鈍することにより、磁束密度が高くなるが、
とりわけ800℃以上の温度で焼鈍した場合に高磁束密度
が得られる。
(発明の効果) 本発明によれば、仕上焼鈍における二次再結晶の発現が
極めて安定するので、磁気特性の優れた一方向性電磁鋼
板を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は、5.4℃/min、54℃/minの平均
冷却速度で2.8mm厚さの薄帯を鋳造したものについて、E
PMAで組織に沿って線分析を行い、Siの成分分布状況を
実測した結果を示す図、第2図は、第1図における組織
の隣接した部位について、Siの高い領域と低い領域とを
対応させて示す図、第3図は、鋳造過程における冷却速
度水準別に、脱炭焼鈍温度と製品の磁束密度および二次
再結晶不良発生の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/02 (72)発明者 高橋 延幸 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式曾社第3技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−97923(JP,A) 特開 昭63−93824(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、Si:1.5〜4.7%、AlR:0.006〜0.03
    2%(但し、AlR=酸可溶性Al−Al as AlN+27/14(N as
    TiN+N as BN))、total N≦0.0095%を含み、残部が
    実質的にFeからなる鋼板に、1回或は中間焼鈍を挟む2
    回以上の冷間圧延を施して最終板厚とし、次いで脱炭焼
    鈍、焼鈍分離剤塗布を施した後、二次再結晶を目的とす
    る仕上焼鈍を施すプロセスにあって、脱炭焼鈍から仕上
    焼鈍における二次再結晶開始までの何れかの段階で鋼板
    の窒化処理を施す一方向性電磁鋼板の製造方法におい
    て、冷間圧延素材として鋳造時の(α+γ)二相共存域
    における冷却速度を8.5℃/s以上として凝固時のαおよ
    びγ中のSiの成分分配比を小さくした鋳造薄帯を用いる
    ことを特徴とする冷却速度制御鋳造材を用いた一方向性
    電磁鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】冷間圧延に先立って、冷間圧延素材を800
    〜1120℃の温度域で焼鈍する請求項1記載の冷却速度制
    御鋳造材を用いた一方向性電磁鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】αおよびγに対応する部分のSi比Si inα/
    Si in γを1.04以下とした鋳造薄帯を冷間圧延素材とす
    る請求項1または2記載の冷却速度制御鋳造材を用いた
    一方向性電磁鋼板の製造法。
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