JPH0757668B2 - 枚葉印刷機の板取り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は枚葉印刷機において、裏移り防止などのために
印刷後、排紙装置の紙積台に積載された紙が所定量に達
するごとに機械を停止させることなく取り出す板取り装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

枚葉印刷機による印刷作業においては、排紙爪のくわえ
から解放されて紙積台上に落下積載される紙が多量にな
ると、その重量により下層紙の間で裏移りが発生するの
で、これを防止するための板取り装置が設けられてい
る。

従来におけるこの種の板取り装置は、水平方向へ開閉自
在な左右一対のガイドレールを備えており、積載紙が所
定枚数に達するごとにガイドレールを閉じてこれにより
板取り板を素早く挿入したのち、この板取り板上へ落下
紙を積載するように構成されている。そして、板取り板
上へ積載中にこの板取り板と、その下方に位置する前回
に積載済の板取り板との間に積載紙よりやや高い横木を
置き、この横木が上方の板取り板に当接するまでの下方
の板取り板を上昇させたのち、ガイドレールを開くこと
により板取り板上への紙の落下積載が続けられる。

しかしながら、このような板取り装置においては上記の
ように板取りのたびごとに横木を置かなければならず、
作業が面倒で熟練を要するので、これに代るものとして
昇降チエーン式の板取り装置が提案されている。この装
置は落下紙の４隅に、同期して昇降する昇降チエーンを
それぞれ垂直状に張架してこの昇降チエーンに左右一対
を１組とする何組かのガイドレールを一定間隔で支架
し、各組のガイドレールに順次板取り板を挿入して落下
紙を積載したのち、所定量積載ごとに昇降チエーンを下
降させて、空のガイドレールを板取り板挿入位置まで下
降させるという動作を繰返すものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の昇降チエーン式の板取
り装置においては、１回ごとの紙積量を変えたい場合の
操作に問題があつた。すなわち、このような板取り作業
においては、紙厚やその他の条件によつて紙積高さを変
えたい場合があり、この場合には従来、作業者の判断に
より各段のガイドレールに板取り板を挿入したり、１段
おきのガイドレールに板取り板を挿入したりすることに
よつてこれに対応していたので、近年開発が進められて
いる自動式の板取り板挿入装置を用いる場合に対応する
ことができないという問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本発明においては昇
降チエーン式の板取り装置において、複数個のガイドレ
ールを支持して排紙とともに自動降下する無端帯側に、
一定間隔で設けた各支持部材に、それぞれ検知部材を着
脱自在に設けるとともに、機台側には、この検知部材の
対向を検知してガイドレールを自動降下から高速降下に
切替えさせる上部検知器と、高速降下から自動降下に切
替えさせる下部検知器とを上下に配設した。

〔作用〕

最上段のガイドレールに板取り板を挿入して印刷作業を
開始すると、排紙がこの板取り板上に落下積載されると
ともに、ガイドレールが紙の積載にしたがつた無端帯の
走行により自動降下する。紙が所定量積載されて無端帯
側の検知部材が上部検知器に対向すると、これを検出し
て信号を発することにより、ガイドレールが自動降下か
ら高速降下に切替えられて降下し、検知部材が下部検知
器に対向すると、再び自動降下に切替えられ、高速降下
中に挿入された上方の空の板取り板への紙積が再開され
る。このあと、紙が所定量積載されるたびにこの動作が
繰返される。紙の積載量を増やす場合には、無端帯に装
着されている検知部材の一部を取り外して１つ飛びか２
つ飛びにする。

〔実施例〕

第１図ないし第５図は本発明に係る板取り装置の実施例
を示し、第１図はその要部の正面図、第２図は第１図の
Ａ視正面図、第３図は第２図のBB断面図、第４図は第１
図の一部展開Ｃ視平面図、第５図は全体の概要平面図で
ある。これらの図において、枚葉印刷機の排紙装置に
は、排紙フレーム１と床面２とに支持されて直立する４
個の支柱３（２個のみ図示）が一対の角ステー４で前後
を連結されて設けられており、前後の支柱３の上端部間
と下端部間とには、左右１対ずつのスプロケツト軸５が
第５図の手前側から紙背側へ延設されて回転自在に軸架
されている。各スプロケツト軸５には、前後１対ずつの
スプロケツト６が軸着されており、各上下のスプロケツ
ト６間には、チエーン７が排紙装置の４隅に位置して垂
直状に張架されている。各チエーン７は、後述する制御
装置を介し原動側から駆動され、図に矢印Ｄで示すよう
に内側が下降する方向に走行する。各チエーン７には、
断面コ字状に形成された三ケ月形の支持部材としての連
結こま８が、チエーン７のリンクピンで枢着されて等間
隔で配設されており、第４図に示す連結こま８の水平部
材8aには、レバー９がピン10で枢着されている。11は断
面Ｌ字状に形成された左右１対を１組とする複数組のガ
イドレールであつて、ピン12と長孔11aとの係合により
上記レバー９に前後両端をそれぞれ支持されており、チ
エーン７の走行により第５図に示す軌跡を左右同位相で
周回するように構成されている。左右のガイドレール11
には、後述するタイミングにより最上段に位置したとき
に板取り板12が挿入され、この板取り板12上へは、排紙
チエーンの爪のくわえから解放された紙13が落下して積
載される。

このようなチエーン７には、その走行を制御する制御装
置が付設されている。先ず最上段の板取り板12上に落下
積載される紙13の上端面を検出して信号を発する図示し
ないセンサが設けられており、紙13が積載されてその上
端面位置が変化することにより信号を発してガイドレー
ル11すなわちチエーン７を自動降下させ、紙13の上端面
を常に同一高さに保持するように構成されている。さら
に、機台側である前記支柱３の１つと角ステー４とに上
下両端部を固定されて直立するブラケツト14には、上下
一対のセンサとしてのリミツトスイツチ15,16が基板17
を介して固定されており、各リミツトスイツチ15,16
は、チエーン７下降用の制御装置と電気接続されてい
る。一方、前記各連結こま８には、チエーン７の降下に
よりリミツトスイツチ15,16とこの順に対向してその接
点を開閉させるストライカとしてのカム18が着脱自在に
枢着されている。そして、これらのカム18は、後述する
紙積量制御のために、すべての連結こま８に装着された
り、１つ飛びまたは２つ飛びに装着されたりするように
構成されている。

以上のように構成された板取り装置の動作を説明する。
最上段のガイドレール11へのみ板取り板12を挿入して印
刷作業を開始すると、印刷後搬送されて爪のくわえから
解放される紙13は、この板取り板12上に落下、積載され
る。この場合、紙13の積載によつてその上端面が次第に
高くなるが、上端面の高さを検出するセンサが設けられ
ていて高さが高くなるとチエーン７を自動降下させるの
で、紙13の上端面は常に同一高さを保持する。

こうして紙13が所定量積載されてガイドレール11がその
分だけ下降すると、連結こま８に枢着されたカム18が上
部のリミツトスイツチ15の接点に当接してこれを閉成さ
せ、制御位置へ信号を発することにより、チエーン７の
降下が、自動降下から高速降下へと切替えられ、チエー
ン７は紙積と関係なくやや速度を増して降下する。こう
して降下したチエーン７側のカム18が、下部のリミツト
スイツチ16の接点に当接してこれを閉成させ、制御装置
へ信号を発すると、チエーン７が停止して再び自動降下
に切替えられる。このチエーン７の停止直前には、第５
図に示すように空のガイドレール11が周回してきて所定
高さに位置するので、このガイドレール11に次の板取り
板12を挿入する。本実施例の場合、図示しない自動挿入
装置により所定のタイミングで板取り板12が挿入され
る。このとき、チエーン７は自動降下に切替つており、
紙13の落下積載は新たな板取り板12に対して行なわれ
る。

紙厚や印刷状態等によつて板取り板12上への紙13の積載
量を増やしたい場合には、各連結こま８に枢着されてい
るカム18の半分取り外して１つ飛びにしたり、さらに取
り外して２つ飛びにしたりすれば、上部のリミツトスイ
ツチ15へカム18が対向してから次のカムが対向するまで
が長くなるから紙13の積載量が増える。

このように、カム18を一定間隔に１度設定しておけば、
紙13が所定量積載されるたびに自動降下と高速降下との
切替えを繰返しながら、各板取り板12上に所定量の紙13
が自動的に正しく積載される。また、板取りを行なわず
にすべての紙13を連続して１枚の板取り板12上に積載す
るいわゆる棒積みの場合には、チエーン７の２等分位置
に１個ずつ計２個のカム18を装着すればよい。

なお、本実施例では、カム18に対向する検知器としてリ
ミツトスイツチを例示したが、近接スイツチ等各種のス
イツチやセンサを用いることができる。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によれば枚葉
印刷機の昇降チエーン式板取り装置において、複数個の
ガイドレールを支持して排紙とともに自動降下する無端
チエーン側に一定間隔で設けた各支持部材に、それぞれ
ストライカを着脱自在に設けるとともに、機台側には、
このストライカの対向を検知してガイドレールを自動降
下から高速降下に切替えさせる上部検知器と、高速降下
から自動降下に切替えさせる下部検知器とを上下に配設
したことにより、所望の紙積載量にしたがつてストライ
カの装着にピツチを選定してチエーンの支持部材に装着
しておけば、紙が所定量積載されるたびにガイドレール
が自動的に自動降下と高速降下との間で切替えながら降
下を続け、切替え時に板取り板を挿入すれば、各板取り
板上には設定した量の紙が自動的に正しく積載される。
すなわち、簡単な操作で紙積量の調整が可能であり、設
定した積載量にしたがつて自動的かつ正確に板取りする
ことができるので、作業性が大幅に向上するとともに、
自動式の板取り板挿入装置を用いる場合、これに対し容
易に対応することができ、省力化と生産性の向上が計れ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明に係る枚葉印刷機の板取り
装置の実施例を示し第１図はその要部の正面図、第２図
は第１図のＡ視正面図、第３図は第２図のBB断面図、第
４図は第１図の一部展開Ｃ視平面図、第５図は全体の概
要正面図である。 ７……チエーン、８……連結こま、９……レバー、11…
…ガイドレール、12……板取り板、13……カム、14……
ブラケツト、15,16……リミツトスイツチ、18……カ
ム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】排紙位置の垂直状無端帯に左右一対を１組
   とする複数組のガイドレールを一定間隔で支架し、排紙
   とともに自動降下するガイドレール中の最上段のガイド
   レールへ順次板取り板を挿入してこの上に紙を積載する
   枚葉印刷機の板取り装置において、前記無端帯側に一定
   間隔で設けた各支持部材にそれぞれ検知部材を着脱自在
   に設けるとともに、基台側には、前記検知部材の対向を
   検知して前記ガイドレールを自動降下から高速降下に切
   替える信号を発する上部検知器と、前記検知部材の対向
   を検知して前記ガイドレールを高速降下から自動降下に
   切替える下部検知器とを上下に配設したことを特徴とす
   る枚葉印刷機の板取り装置。