JPH0757239A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH0757239A
JPH0757239A JP20328293A JP20328293A JPH0757239A JP H0757239 A JPH0757239 A JP H0757239A JP 20328293 A JP20328293 A JP 20328293A JP 20328293 A JP20328293 A JP 20328293A JP H0757239 A JPH0757239 A JP H0757239A
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JP
Japan
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layer
film
polyester
alumina
recording medium
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JP20328293A
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English (en)
Inventor
Shigehiro Masuda
成裕 増田
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Diafoil Co Ltd
Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドロップアウトの少ない磁気記録媒体を提供
する。 【構成】 二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面
(A面)に強磁性金属薄膜が蒸着されてなる磁気記録媒
体であって、前記二軸配向ポリエステルフィルムのA面
を構成する層(A層)が平均一次粒径0.001〜0.
10μmのγ−アルミナ、δ−アルミナおよびθ−アル
ミナから選ばれた少なくとも1種類のアルミナ粒子を含
有する共押出積層された層であり、かつ、A面の平均中
心線粗さRa A が2〜10nmであることを特徴とする
磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性金属薄膜を記録
層とする磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】強磁
性金属薄膜を記録層とする磁気記録媒体は、磁性粉をバ
インダ−と混合し、ベースフィルムに塗っていく塗布型
の磁気記録媒体と比べて、抗磁力が大で、角形比が良
く、薄膜化によって自己減磁損失と厚み損失を改善し、
数倍の残留磁束密度を有するなど、優れた特徴を持つも
のである。ところで、この磁気記録媒体に使用するベー
スフィルムには、記録層が薄膜であるために、表面が超
平坦であることが要求される。たとえばベースフィルム
上に0.1μmの高さを持つ突起が存在しても、そこは
ドロップアウトとなってしまう。このため、塗布型の磁
気記録媒体のように、ベースフィルム中に微粒子を存在
させて、フィルム表面に微細な突起を形成させる方法を
用いることができない。強磁性金属薄膜磁気記録媒体の
場合、そのベースフィルムを製膜する際に、表面が超平
坦であるために、たとえば延伸ロールとの接触により表
面に擦り傷が入りやすくなる。
【0003】特に、最近の長時間記録化の傾向により、
ベースフィルムを薄くして、その代わりに弾性率を向上
させることも必要になるが、このためベースフィルムは
いわゆる再延伸を施す必要があり、この際により大きな
延伸応力が加わり、さらに表面に擦り傷が生じやすくな
る問題も発生している。また、まったく傷のない状態で
フィルムを製膜することができたとしても、このベース
フィルムの表面に強磁性金属薄膜を蒸着する際に、ガイ
ドロールとの接触等により、擦り傷が発生することもあ
る。これらの擦り傷は、強磁性金属薄膜を蒸着した後に
も確実に存在し、磁気記録情報のドッロプアウトにつな
がるものである。これらの問題に対して、これまで様々
な改良方法が提案されて来たが、まだ満足できる状態で
はなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、様々な検
討を行った結果、ある特定の構成を有する磁気記録媒体
ならば、上記課題を解決できることを見いだした。すな
わち、本発明の要旨は、二軸配向ポリエステルフィルム
の一方の面(A面)に強磁性金属薄膜が蒸着されてなる
磁気記録媒体であって、前記二軸配向ポリエステルフィ
ルムのA面を構成する層(A層)が平均一次粒径0.0
01〜0.10μmのγ−アルミナ、δ−アルミナおよ
びθ−アルミナから選ばれた少なくとも1種類のアルミ
ナ粒子を含有する共押出積層された層であり、かつ、A
面の平均中心線粗さRaA が2〜10nmであることを
特徴とする磁気記録媒体に存する。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
磁気記録媒体は、二軸配向ポリエステルフィルムを基材
として、その片面に強磁性金属薄膜層が蒸着された構成
であることが必要である。さらに、この基材のポリエス
テルフィルムは、少なくとも2層以上の層が共押出しに
よって積層されている必要がある。基材となるポリエス
テルフィルムの層構成は、強磁性金属薄膜が蒸着される
ポリエステル表面(A面)を構成するA層、A層と隣り
合うポリエステル層(以下、B層と称する)が存在し、
A層とB層は、A/Bの積層体でもよいし、両表面にA
層が積層されたA/B/Aの構成である積層体であって
もよい。また、B層自体が積層構造を持つ3層以上の積
層体でもよい。
【0006】A層およびB層を構成するポリエステル
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはポ
リエチレンナフタレート(PEN)であることが好まし
いが、5モル%以下であれば第3成分、たとえばテレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフ
ェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、トリエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリ
コール、p−ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキ
シカルボン酸等を共重合したポリエステルを用いてもよ
い。
【0007】A層は、平均一次粒径が0.001〜0.
10μmの範囲である、γ−アルミナ、δ−アルミナお
よびθ−アルミナの群から選ばれた少なくとも1種類の
アルミナ粒子を含有することが必要である。α−アルミ
ナは、強磁性金属薄膜を蒸着する表面を粗面化するため
好ましくない。γ−アルミナ、δ−アルミナまたはθ−
アルミナであっても、その平均一次粒径が0.10μm
以上である場合には、やはり蒸着面を粗面化するので好
ましくない。また、アルミナ粒子は、一般に凝集形態で
存在することが多いが、この凝集体がフィルムの製膜中
に適度にほぐれて好ましい分散状態となる。しかし、平
均一次粒径が0.001μm未満のアルミナ粒子は、非
常に強固な凝集体を形成していることがほとんどであ
り、溶融押出し時や延伸する際に凝集体がほぐれないた
め、好ましくない。本発明においては、特に0.03〜
0.08μmのγ−アルミナ、δ−アルミナあるいはそ
れらの混合物を用いたときに、蒸着面の平面性が保たれ
て、蒸着面の擦り傷が抑えられるため好ましい。一方、
平均一次粒径が上記範囲内でも、A層厚みよりも大きい
場合には、やはり蒸着面の粗面化が起こる恐れがある。
【0008】A層中に必要な上記アルミナの濃度は、A
層が厚い場合には高濃度のアルミナが好ましく、逆にA
層が薄い場合には低濃度のアルミナでも十分である。具
体的には、ポリエステルA層の厚みtA (μm)と、A
層中のアルミナ濃度wA (重量%)との積(tA ・w
A )が0.05〜2.0であることが好ましく、さらに
0.07〜1.5の範囲にあるとき、基材フィルムの製
膜時、あるいは強磁性金属薄膜を蒸着する際に、A層表
面の擦り傷の発生が抑えられると同時に、A層表面の平
面性が保たれるため好ましいものとなる。tA ・wA
0.05よりも小さい場合には、A層表面の擦り傷の発
生を抑えるのに不十分となることがある。逆に、2.0
を超える場合には、擦り傷の発生は抑えられるが、A層
の平面性が悪化する恐れがある。
【0009】このようにA層中にアルミナ粒子を存在さ
せることで、A面の平均中心線粗さRaA を2〜10n
m、好ましくは3〜7nmとする。RaA が10nmよ
りも大きい場合には、磁気ヘッドとのスペ−シングロス
が大きくなり、電磁変換特性が低下するため好ましくな
い。また、RaA が2nmよりも小さいと、強磁性金属
薄膜層と磁気ヘッドとの摩擦が極端に大きくなるため好
ましくない。さらに、A面の最大突起高さ(RtA )と
RaA との比(RtA /RaA )は、15以下であるこ
とが好ましい。基材となるポリエステルフィルムは、強
磁性金属薄膜を蒸着する面の反対側の表面に、蒸着工程
その他の際に最低限必要な走行性・巻き性を付与するこ
とが好ましい。この目的のため、たとえば基材ポリエス
テルフィルムがA/Bの積層構造を有する場合には、B
層中に微粒子を存在させて、B層表面上に微細な突起を
形成することで、走行性・巻き性を確保することもでき
る。しかしこの場合には、B層中の微粒子によってA層
表面にうねりが発生することがないよう、使用する微粒
子の粒子径dB (μm)は、A層の厚みtA (μm)の
1/10以下とすることが好ましい。この目的で使用で
きる微粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリン、タルク、ア
ルミナ、シリカ、カーボンブラック、架橋ポリスチレン
樹脂・架橋アクリル樹脂などの架橋有機粒子等を挙げる
ことができるが、特に、粒子径が単分散である球状ある
いは楕円球状の粒子が走行性に優れるため好ましい。ま
た、これらの添加量は、B層中に0.001〜1.0重
量%であることが好ましい。
【0010】また、B層中に微粒子を存在させる方法以
外に、B層表面に走行性・巻き性を付与する方法とし
て、ポリマーあるいは滑剤とポリマーを水分散体とし
て、これを縦延伸の終了したポリエステルフィルムに塗
布し、次いでテンターで横延伸・熱固定する際に、薄膜
化・乾燥・熱硬化を同時に行う、いわゆるインラインコ
ーティングによるコート層を形成する方法も用いること
もできる。このコート層には、ポリエステル、ポリウレ
タン、ポリアクリル、ポリオール、およびそれらの変性
体の少なくとも1種類を水分散体としたものを主材とし
て、これに滑剤としてアルミナ、シリカ、酸化チタン、
カオリン、硫化モリブデンなどの無機粒子、あるいは架
橋ポリスチレン、架橋ポリアクリル、架橋メラミンなど
の高分子化合物の粒子、あるいはワックスなどのポリオ
レフィン系潤滑剤、ジメチルポリシロキサンなどのシリ
コーン系潤滑剤を添加したものを用いることができる。
さらにこのコート層にはセルロース、ゼラチン、ポリア
クリル酸などを用いて、塗布後の延伸工程で得られる縦
長突起を形成させる方法も用いることができる。
【0011】インラインコーティングによって形成され
るコート層は、基材となるポリエステルフィルムの積層
構造がA/B/Aである場合にも用いることができ、片
方の表面にコート層を形成させ、その反対面に強磁性金
属薄膜層を蒸着することも可能である。さらに、積層構
造がA/Bであって、B層中に微粒子を添加した場合で
あっても、B層表面にコート層を形成する方法を併用し
てもよい。本発明の磁気記録媒体は、その基材に、再延
伸を施して、縦・横・縦横方向に強度を向上させたポリ
エステルフィルムを使用することもできる。特に基材フ
ィルムのヤング率で、縦方向に500〜2000kg/
mm2 、あるいは横方向に500〜2000kg/mm
2 、あるいは縦横方向にヤング率の合計が1000〜2
000kg/mm2 となるように再延伸を施したポリエ
ステルフィルムが好ましい。一般的に、記録時間を増や
すためフィルムの厚みを薄くし、その代償としてフィル
ムの縦方向の強度を上げることが良く行われる。この場
合にはロール延伸法で再延伸を行うことが多く、この際
にフィルムに非常に大きな張力がかかり、フィルム表面
に微細な擦り傷が一面に発生してしまう。しかしながら
本発明の磁気記録媒体は、前述したA層が存在するた
め、この表面には、再延伸の際にも擦り傷がほとんど発
生しないものである。
【0012】本発明の磁気記録媒体に用いる磁性層は、
基材となるポリエステルの一方のA層表面に、磁性体と
なる強磁性金属を真空薄膜形成技術によって成膜され
る。この真空薄膜形成技術としては、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレ−ティング法などが挙げられ
るが、これらの方法のうち、VTRテ−プのように大面
積のテ−プが必要となる場合には真空蒸着法が有効であ
る。強磁性金属としては、コバルト、ニッケル、鉄、あ
るいはこれらの合金、またはこれらとクロム、タングス
テンとの合金を用いることができるが、主にコバルト−
ニッケル磁性合金を用いるのが一般的であり、その蒸着
厚みは1000〜3000Åとするのが好ましい。ま
た、この蒸着には、結晶成長方向が交互となるように行
い、磁性層を3層構造とする技術や、蒸着時に極微量の
酸素を存在させる技術も使用することができる。
【0013】さらに、必要に応じて強磁性金属を保護す
る目的で、A層表面に公知の下地処理や、磁性層表面に
公知の保護膜を形成することができる。本発明の磁気記
録媒体は、反磁性面に非磁性材バックコート層を設ける
ことが好ましい。このバックコート層には従来から知ら
れてる公知のもの、たとえば、カーボンブラック、アル
ミナ、酸化チタンなどの無機粒子、滑剤、帯電防止剤、
その他の添加剤を樹脂バインダーに分散し、塗布によっ
て形成させたものなどが使用できる。
【0014】次に本発明の磁気記録媒体の基材となるポ
リエステルフィルムの製膜方法について例を挙げて説明
する。A層用レジンとB層用レジンを必要に応じて各々
に別々に乾燥した後、別個の押出機により押出し、フィ
ードブロックタイプの共押出装置により、口金前で積層
するか、あるいは、マルチマニホールドタイプの共押出
装置により、口金内で積層するなどして一体複合化させ
た後、シート状に溶融押出を行い、キャスティングドラ
ム上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。この際
に静電密着法を用いて冷却固化を行うことがフィルムの
平面性を得る上で好ましい。またA層用の押出機には#
1200メッシュ相当以上のB層用の押出機には#60
0メッシュ相当以上のフィルターを各々取り付け、濾過
を行いつつ押出しすることが粗大突起を低減させ、ドロ
ップアウトを減少できる点で好ましい。さらに、各々の
メルトラインにはスタティックミキサー、定量ポンプを
設置することがフィルムおよびフィルム厚みの均一性を
得る上で好ましい。
【0015】かくして得られた未延伸フィルムを二軸延
伸して二軸配向させる。延伸には縦延伸、次いで横延伸
を行う、いわゆる逐次二軸延伸方法が好ましい。縦延伸
には、延伸温度を50〜180℃、延伸倍率を2.0〜
9.0倍の範囲の中から、ポリエステルの組成に適切な
条件を選択して行う。またこの延伸を1段で行うことも
できるが、この延伸温度・倍率の範囲であれば延伸を2
段以上に分けて行うことが、A層中のアルミナ粒子を良
好な分散状態にほぐすことができ、好ましい。この際、
延伸温度は各段で同じであっても異なっていてもよい。
また、縦延伸の延伸速度は5000〜70000%/分
の範囲であることが、フィルム厚みの均一性を得る上で
好ましい。
【0016】また、この段階で前述したインラインコー
ティングを行うこともできる。幅方向の延伸方法として
はテンターを用いる方法が好ましい。幅方向の延伸に
は、延伸温度80〜170℃の範囲で、3.0〜6.0
倍の延伸倍率、100〜20000%/分の延伸速度と
するのが好適である。さらに、必要に応じて前述した再
延伸を行うこともできる。この再延伸は縦方向、横方
向、縦横方向いずれの場合も行なうことができ、100
〜220℃の延伸温度で、1.05〜1.50の再延伸
倍率の範囲内から選ぶことができる。次にこの延伸フィ
ルムに熱固定を行う。この場合、熱固定温度は、170
〜250℃、好ましくは180〜230℃、熱固定時間
は1〜60秒の範囲が好適であり、この熱固定によっ
て、縦方向・横方向共に180℃で3分熱処理後の収縮
率が5.0%以下となるように行うことが好ましい。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、実施例および比
較例における基材フィルムの物性・磁気記録媒体の特性
の測定方法は以下に示すとおりである。 表面粗度(中心線平均粗さRa、十点平均粗さRz) 基材ポリエステルフィルムの表面粗度を、JIS B0
601−1976記載の方法に従って行った。測定には
小坂研究所(株)製表面粗さ計SE−3Fを用いた。触
針径2μm、触針加重30mg、カットオフ値0.08
mm、測定長2.5mmの条件で、中心線平均粗さ、十
点平均粗さを求め、これを12か所の測定点で行い、こ
のうち最大値と最小値をそれぞれカットし、10点の平
均値を求めてRa,Rzとした。
【0018】アルミナの粒子径 基材ポリエステルフィルムのA層の表面に、プラズマエ
ッチング装置(ヤマト科学(株)製プラズマリアクター
PR−41型)を用いて、アルゴン雰囲気下エッチング
を行い、A層中の粒子を露出させた。このフィルムを、
走査型電子顕微鏡を用いて観察し、30000倍の倍率
で写真撮影し、存在するアルミナ粒子の一次粒径をラン
ダムに100個選んで測定し、その平均値で表した。ま
た、この測定は、磁気記録媒体となったものについて
も、強磁性金属薄膜層に酸処理を施し、基材ポリエステ
ルに影響を及ぼさないように除去することで、同様に行
うことができる。
【0019】基材フィルムの厚み構成 磁気記録媒体あるいは基材ポリエステルフィルムを、厚
み方向の断面を観察できるように樹脂に包埋して固定
し、厚さ100nmの切片をミクロトームを用いて切り
出し、日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡H−900
0で観察して、各積層部の厚み構成を測定した(倍率1
0000〜20000倍、加速電圧100kV)。A層
とB層との境界はアルミナ粒子の有無で判断できる。
【0020】基材ポリエステルフィルムのA層表面の
キズ 基材ポリエステルフィルムのA層表面を、表面粗度の
測定で使用した触針式粗度計を用いて、表面キズの入っ
ている方向と直角方向に、触針加重30mg、カットオ
フ値0.08mm、測定長100mmで測定を行い、凹
形のピークで深さ0.05μmを超えるものの数をカウ
ントした。この数を実施例1を1.0とした相対値で各
々のサンプルのキズの程度を比較した。
【0021】電磁変換特性 電磁変換特性の評価には、ハイバンド8mmビデオデッ
キ(ソニー(株)EV−S900)とカラービデオノイ
ズメーター(シバソク(株)925C型)を用いて行
い、C−S/Nを測定した。評価は、実施例1の値を
0.0dBとした相対値(dB)で表した。
【0022】ドロップアウト ドロップアウトの評価には、電磁変換特性の評価に使用
したビデオデッキおよびドロップアウトカウンター(大
倉インダストリー(株)製)を用いて行い、再生信号の
減衰が−16dB以上で15μsec以上継続したもの
をドロップアウトとして、約20分間測定を行って1分
間当たりの平均値を算出した。各々のサンプルの比較
は、実施例1を1.0とした相対値で示した。
【0023】基材フィルムのヤング率 インテスコ(株)製引張試験機モデル2001型を用い
て、温度23℃、湿度50%RHに調整された室内に2
4時間以上調温・調湿し、長さ300mm、幅20mm
の試料フィルムを、10%/minのひずみ速度で引張
り、引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて次
の式によって計算した。 ヤング率(Kg/mm2 )=Δσ/Δε (上記式中、Δσは直線上の2点間の元の平均断面積に
よる応力差、Δεは同じ2点間のひずみ差を表す) 基材フィルムの熱収縮率 無負荷状態で、180℃、3分間の熱処理によって、元
の長さLが熱処理後の長さlとなったとき、収縮率
(%)は次式で示される。 {(L−l)/L}×100
【0024】実施例1 〈ポリエステルレジンの製造〉 ポリエステル1 ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートオリゴ
マー100部の存在下、テレフタル酸87部とエチレン
グリコール42部とを常圧下260℃で反応させてエス
テル化を行い、エステル化率97%のポリエステルオリ
ゴマーを得た。次いで、エチルアシッドホスフェート
0.014部、三酸化アンチモン0.022部および酢
酸マグネシウム0.086部を添加し重縮合反応を行
い、極限粘度0.65のポリエステルを得た。
【0025】ポリエステル2 ポリエステル1の製造で、エステル化率97%のポリエ
ステルオリゴマーを得た段階で、平均一次粒径0.06
μmのδ−アルミナを、ポリマー中濃度で2.0重量%
となるように、エチレングリコールスラリーとして添加
した。それ以外はポリエステル1の製造とまったく同様
に重合を行い、極限粘度0.65のポリエステルを得
た。
【0026】ポリエステル3 ポリエステル1の製造で、エステル化率97%のポリエ
ステルオリゴマーを得た段階で、平均粒径0.2μmの
単分散球状シリカを、ポリマー中濃度で0.60重量%
となるように、エチレングリコールスラリーとして添加
した。それ以外はポリエステル1の製造とまったく同様
に重合を行い、極限粘度0.65のポリエステルを得
た。
【0027】〈ポリエステルフィルムの製造〉A層用と
してポリエステル2を用い、B層用としてポリエステル
1を用いて、それぞれ別々に180℃4時間乾燥した
後、2層の共押出装置に供し、290℃の押出温度で溶
融押出を行った。この際、A層用、B層用共に、#20
00メッシュ相当のフィルターで濾過を行い、その後、
途中でフィードブロックにより合流積層させた。さらに
口金よりシート状に押出し、静電密着法を用いつつ50
℃のキャスティングロール上で冷却固化して、2層構造
の未延伸シートを得た。この時、A層が表1に示した厚
みとなるように各押出機の吐出量を調節した。
【0028】次に、この未延伸シートを83℃で長さ方
向に2.9倍延伸し、さらに76℃で1.25倍延伸し
た。この延伸にはロール延伸法を用いた。次いでこのフ
ィルムのB面上に、スルホニルイソフタル酸変成ポリエ
チレンテレフタレート95部と、平均粒径0.07μm
のシリカゾル5部および水1900部からなる水性の塗
布剤を塗布した。塗布後のフィルムをテンターに導き、
110℃で3.8倍幅方向に延伸した。この後、220
℃で15秒間熱固定を行って、総厚み10μmの2軸配
向フィルムを得た。
【0029】〈磁気テープの製造〉まず、真空チャンバ
ーに上記フィルムを設置し、Co80Ni20合金をターゲ
ットとし用いて真空蒸着を行い、ポリエステルフィルム
のA面に膜厚が2000Åとなるように磁性層を形成し
た。さらにこの磁性層の表面にパーフルオロポリエーテ
ルを100Åの厚さに塗布してトップコート層を形成し
た。この磁気テープの反磁性面側に、下記の組成のバッ
クコート材料を予めボールミルで48時間分散・混合し
たものを、乾燥後の厚みで0.5μmの厚みとなるよう
に塗布し、乾燥させた。
【0030】
【表1】 カーボン 90重量部 ポリウレタン樹脂 60重量部 メチルエチルケトン 300重量部 トルエン 150重量部 さらに、この磁気テープを8mm幅にスリットした後8
mm用カセットに組み込み、VTR用テープを作成し
た。
【0031】実施例2 実施例1で、A層用としてポリエステル2とポリエステ
ル1とを1:3の割合で混合したものを用い、B層用と
してポリエステル1を用いて、A層とB層の厚み比を変
更する以外は、実施例1とまったく同様に製膜・インラ
インコートを行い、総厚み10μmの二軸配向フィルム
を得た。このフィルムを用いて、実施例1とまったく同
様に、磁性層・トップコート層・バックコート層を形成
し、スリットをして8mm用カセットに組み込んでVT
R用テープを作成した。
【0032】実施例3 実施例1で、A層用としてポリエステル2とポリエステ
ル1とを1:3の割合で混合したものを用い、B層用と
してポリエステル3とポリエステル1とを1:3の割合
で混合したものを用いて、A層とB層の厚み比および総
厚みを変更する以外は、実施例1と同様に共押出・長手
方向の延伸を行った。このフィルムを、インライコート
を行わずにそのままテンターに導き、110℃で3.8
倍幅方向に延伸した。さらに再度縦方向にロール延伸法
を用いて、120℃で1.25倍延伸を行った。この
後、220℃で15秒間熱固定を行って、総厚み8μm
の2軸配向フィルムを得た。このフィルムを用いて、実
施例1とまったく同様に、磁性層・トップコート層・バ
ックコート層を形成し、スリットをして8mm用カセッ
トに組み込んでVTR用テープを作成した。
【0033】実施例4 〈ポリエステルレジンの製造〉 ポリエステル4 ナフタレンー2、6−ジカルボン酸ジメチル100部、
エチレングリコール55部および酢酸マグネシウム0.
09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール
を留去しつつエステル交換反応を行った。反応開始後約
4時間を要して240℃まで昇温し、実質的にエステル
交換反応を終了した。この後エチルアシッドホスフェー
ト0.4部、三酸化アンチモン0.02部を加えた後、
反応系の温度を徐々に常圧より減じ、最終的に1mmH
gとした。4時間後系内を常圧に戻し、固有粘度0.6
0のポリエステルレジンを得た。 ポリエステル5 ポリエステル4の製造で、実質的にエステル交換反応を
終了した時点で、平均一次粒径0.06μmのδ−アル
ミナを、ポリマー中濃度で2.0重量%となるように、
エチレングリコールスラリーとして添加した。他は、ポ
リエステル4の製造とまったく同様に重縮合反応を行
い、固有粘度0.60のポリエステルレジンを得た。
【0034】〈ポリエステルフィルムの製造〉A層用と
してポリエステル5を用い、B層用としてポリエステル
4を用いて、それぞれ別々に180℃4時間乾燥した
後、2層の共押出装置に供し、300℃の押出温度で溶
融押出を行った。この際、A層用、B層用共に、#20
00メッシュ相当のフィルターで濾過を行い、その後途
中でフィードブロックにより合流積層させた。さらに口
金よりシート状に押出し、静電密着法を用いつつ50℃
のキャスティングロール上で冷却固化して、2層構造の
未延伸シートを得た。この時A層は、表1.に示した厚
みとなるように各押出機の吐出量を調節した。
【0035】次に、この未延伸シートを130℃で長さ
方向に4.5倍延伸した。この延伸にはロール延伸法を
用いた。次いでこのフィルムのB面上に、スルホニルイ
ソフタル酸変成ポリエチレンテレフタレート95部と、
平均粒径0.07μmのシリカゾル5部および水190
0部からなる水性の塗布剤を塗布した。塗布後のフィル
ムをテンターに導き、140℃で4.0倍幅方向に延伸
した。この後、220℃で15秒間熱固定を行って、総
厚み8μmの2軸配向フィルムを得た。 〈磁気テープの製造〉このフィルムを用いて、実施例1
とまったく同様に、磁性層・トップコート層・バックコ
ート層を形成し、スリットをして8mm用カセットに組
み込んでVTR用テープを作成した。
【0036】実施例5 実施例1において、A層用としてポリエステル2を用
い、B層用としてポリエステル1を用いて、積層構成が
A/B/Aとなるように3台の押出機を用いて共押出を
行った。この時、両表面のA層厚さが二軸配向フィルム
で同じ0.2μmになるように吐出量を調節した以外は
実施例1とまったく同様に押出・製膜および片方の表面
にインラインコートを行い、総厚み10μmの二軸配向
フィルムを得た。このフィルムを用いて、実施例1とま
ったく同様に、磁性層・トップコート層・バックコート
層を形成し、スリットをして8mm用カセットに組み込
んでVTR用テープを作成した。
【0037】実施例6 実施例1において、A層用としてポリエステル2を用
い、B1層用としてポリエステル1を用い、B2層用と
してポリエステル3を用いて、積層構成がA/B1/B
2となるように3台の押出機を用いて共押出を行った。
この時、表面のA層およびB2層の厚さが二軸配向フィ
ルムで同じ0.2μmになるように吐出量を調節した以
外は実施例1とまったく同様に押出・製膜およびB2層
表面にインラインコートを行い、総厚み10μmの2軸
配向フィルムを得た。このフィルムを用いて、実施例1
とまったく同様に、磁性層・トップコート層・バックコ
ート層を形成し、スリットをして8mm用カセットに組
み込んでVTR用テープを作成した。
【0038】比較例1 実施例1において、A層用、B層用共にポリエステル1
を用いるほかは、すべて実施例1と同様に製膜・インラ
インコートを行い、総厚み10μmの二軸配向フィルム
を得た。このフィルムを用いて、実施例1とまったく同
様に、磁性層・トップコート層・バックコート層を形成
し、スリットをして8mm用カセットに組み込んでVT
R用テープを作成した。このテープの特性を表2に示
す。この磁気記録媒体は、ポリエステルA層に、粒子が
添加されていないため、製膜工程中にキズが発生しやす
く、この結果ドロップアウトが多くなってしまう。
【0039】比較例2 実施例1において、A層用としてポリエステル3を用
い、B層用としてポリエステル1を用いる以外は、すべ
て実施例1.と同様に製膜・インラインコートを行い、
総厚み10μmの二軸配向フィルムを得た。このフィル
ムを用いて、実施例1とまったく同様に、磁性層・トッ
プコート層・バックコート層を形成し、スリットをして
8mm用カセットに組み込んでVTR用テープを作成し
た。このテープの特性を表2に示す。この磁気記録媒体
は、ポリエステルA層に添加された粒子がアルミナでな
いため、製膜工程中にキズが発生しやすく、また球状シ
リカの脱落も発生し、この結果ドロップアウトが多くな
ってしまう。
【0040】比較例3 実施例1において、A層用としてポリエステル2とポリ
エステル1とを1:9の割合で混合したものを用い、B
層用としてポリエステル1を用いる以外は、すべて実施
例1と同様に製膜・インラインコートを行い、総厚み1
0μmの二軸配向フィルムを得た。このフィルムを用い
て、実施例1とまったく同様に、磁性層・トップコート
層・バックコート層を形成し、スリットをして8mm用
カセットに組み込んでVTR用テープを作成した。この
テープの特性を表2に示す。この磁気記録媒体は、ポリ
エステルA層に添加された粒子がアルミナであっても、
A ・wA が0.04と小さいため、やはり製膜工程中
にキズが発生しやすく、この結果ドロップアウトが多く
なってしまう。以上、得られた結果をまとめて下記表1
〜3に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、基材フィルム
の強磁性金属薄膜を蒸着すべき面が、キズの発生が抑え
られているため、キズによるドロップアウトの発生が少
ないものである。特に、基材フィルムの高強度化で記録
容量を増やす際にも用いることができるため、8mm
用、ハイバンド8mm用はもちろん、HDTV用デジタ
ルあるいはアナログ記録媒体、D−1・D−2・D−3
・D−5などのフォ−マットのデジタルVTR用記録媒
体、コンピューター用高密度記録媒体として、高い信頼
性を有するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエステルフィルムの一方の
    面(A面)に強磁性金属薄膜が蒸着されてなる磁気記録
    媒体であって、前記二軸配向ポリエステルフィルムのA
    面を構成する層(A層)が平均一次粒径0.001〜
    0.10μmのγ−アルミナ、δ−アルミナおよびθ−
    アルミナから選ばれた少なくとも1種類のアルミナ粒子
    を含有する共押出積層された層であり、かつ、A面の平
    均中心線粗さRaA が2〜10nmであることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 A層の厚みtA (μm)と、A層中のア
    ルミナ粒子濃度wA(重量%)との積(tA ・wA )が
    0.05〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項
    1に記載の磁気記録媒体。
JP20328293A 1993-08-17 1993-08-17 磁気記録媒体 Pending JPH0757239A (ja)

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