JPH0756286Y2 - ケーブルリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、固定体と、この固定体に対して回転する可動
体との間の電気的接続をフラツトケーブル等の可撓性ケ
ーブルを用いて行うようにしたケーブルリールに係り、
特に、自動車のステアリング装置に用いて好適なケーブ
ルリールに関する。

〔従来の技術〕

ケーブルリールは、フラツトケーブル等の可撓性ケーブ
ルの一端を固定体に、他端を可動体にそれぞれ固定し、
可動体を回転させたときに、可撓性ケーブルを可動体側
に巻き込んだり、またはそれから巻き戻すことによつ
て、可動体を所定量回転させることができるようにした
ものである。

かかるケーブルリールは、自動車のステアリング装置に
組み込まれ、例えばエアバツクシステムのロータ側とス
テータ側間の電気的接続機構として使用されている。こ
の場合において、固定体はステアリングコラムに固定さ
れ、可動体にはステアリングシヤフトが挿入・固定さ
れ、ステアリングホイールを時計または反時計回り方向
に回転すると、この回転力がステアリングシヤフトを介
して可動体に伝達されるようになつている。

ところで、前述の如くケーブルリールをステアリング装
置に組み込むに際し、ケーブルリール側の可動体の回転
中心とステアリング装置側のステアリングシヤフトの回
転中心とは必ずしも一致するとは限らず、むしろ各部品
の加工精度や組立誤差等に起因してずれる（偏心する）
傾向にある。そこで、従来のケーブルリールでは、可動
体が固定体に対して径方向に移動できるように両者間に
ガタをもたせ、このガタによつて上記偏心を吸収するよ
うにしていたが、このようにすると可動体の径方向の寸
法が大きくなり、それに伴つて可撓性ケーブルの巻き付
け径が大きくなるため、可動体の有限回転数が減ぜられ
るという問題があつた。また、ステアリングシヤフトの
回転時は、上記ガタに起因して可動体と固定体が不所望
な衝当を繰り返すため、走行中に異音が発生するという
問題があつた。

そこで本出願人は、実開平２−86981号公報において、
可動体とステアリングシヤフト間の偏心を吸収すること
ができるケーブルリールを提案した。このものは、可撓
体の内側に径方向に移動可能な連結体を配設すると共
に、該連結体に可動体に形成した凸部と係合可能な凹部
を形成したものであり、可動体と連結体に嵌挿したステ
アリングシヤフト間の偏心を連結体が径方向に移動する
ことで吸収することができ、ステアリングシヤフトの回
動力を連結体の凹部が可動体の凸部に係合することで可
動体に伝達することができる。

〔考案が解決しようとする課題〕

このように、上記公報に記載された従来提案のケーブル
リールによれば、可動体を固定体に対して緊密状態に装
着したとしてもステアリンシヤフトとケーブルリール間
の偏心を吸収することができるものの、問題がないわけ
ではない。すなわち、ステアリングシヤフトとケーブル
リール間の偏心は同一平面内の全ての方向に生じる可能
性があるため、連結体の凹部と可動体の凸部との間に連
結体が全ての径方向へ移動できる程度のクリアランスを
形成する必要があり、その結果、ステアリングホイール
の回転方向を一方から他方向へ切り換えた際に、凹部の
壁面が凸部に衝当して不快音を発生するという問題があ
つた。

本考案は、上述した従来技術の実情に鑑みてなされたも
ので、その目的は、ステアリングシヤフトとケーブルリ
ール間の偏心を吸収する機能を備えた上で騒音の低減化
が図れるケーブルリールを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、固定体と、この
固定体に対して回転自在に装着された可動体と、これら
固定体と可動体との間に複数ターン巻回されて収納され
た可撓性ケーブルとを備え、この可撓性ケーブルによつ
て前記固定体と可動体との間の電気的接続を行うように
したケーブルリールにおいて、前記可動体の回転中心位
置にステアリングシヤフトが嵌挿される連結体を配設
し、これら可動体と連結体との間に周方向に位置決めさ
れた弾性部材を介設したことを特徴とするものである。

〔作用〕

ステアリングシヤフトとケーブルリール間に偏心があつ
た場合、この偏心は弾性部材が径方向に変形することで
吸収される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図に基づき説明する。

第１図は本考案の第１実施例に係るケーブルリールの縦
断面図、第２図はそのケーブルリールの偏心吸収動作を
示す説明図である。

これらの図において、１は内部に収納空間を有する固定
体を示し、該固定体１は互いに接合・一体化された外筒
体２とカバー３とで構成されている。４は前記固定体１
の中央に回転自在に嵌合された可動体であり、これら固
定体１と可動体４間に画成された空間にはフラツトケー
ブル５が複数ターン巻回されている。このフラツトケー
ブル５は複数本の導体を可撓性フイルムでラミネートし
た公知のもので、図示省略してあるがフラツトケーブル
５の一端は固定体１に固定されて外部に導出されてお
り、他端は可動体４に固定されて外部に導出されてい
る。

前記可導体４の中央には軸挿入孔６を有する連結体７が
配設されており、可動体４の内壁と連結体７の外壁とは
蛇腹体８によつて繋がれている。この蛇腹体８は山部と
谷部が同心円状に連続するアコーデイオンタイプのもの
で、蛇腹体８が伸縮することによつて、連結体７は可動
体４の径方向の面内を移動することができる。

第１図に示す如く組み立てられたケーブルリールはステ
アリング装置に組み込まれて使用されるが、この場合、
ステアリング装置のステータ側部材である図示せぬステ
アリングコラムに固定体１が固定され、ロータ側部材で
あるステアリングシヤフト９が連結体７の軸挿入孔６に
嵌挿固定される。かかる組み込み時において、ステアリ
ングシヤフト９の中心とケーブルリールの可動体４の中
心とが一致するとは限らず、むしろ偏心することが多い
が、この偏心は蛇腹体８が伸縮することによつて吸収さ
れる。例えば、ステアリングシヤフト９の中心が可動体
４の中心に対して第２図の矢印Ａ方向に偏心している場
合、蛇腹体８は同図の矢印Ａ側が縮んで矢印Ａ′側が伸
び、同様に両者が矢印Ｂ方向に偏心している場合、蛇腹
体８は矢印Ｂ側が縮んで矢印Ｂ′側が伸び、蛇腹体８は
第２図の面内方向の全ての偏心を吸収する。

このようにしてケーブルリールをステアリング装置に組
み込んだ後、図示せぬステアリングホイールを介してス
テアリングシヤフト９を一方側に回転させると、この回
転力が連結体７および蛇腹体８を介して可動体４に伝達
されため、フラツトケーブル５は例えば可動体４の周壁
に巻き込まれ、反対にステアリングシヤフト９を他方側
に回転させると、フラツトケーブル５は固定体１の周壁
側へ巻き戻され、いずれの状態においても、固定体１と
可動体４との間の電気的接続はフラツトケーブル５を介
して維持される。

第３図は本考案の第２実施例に係るケーブルリールの縦
断面図、第４図はその要部平面図であり、第１図および
第２図に対応する部分には同一符号を付してある。

この第２実施例が前述した第１実施例と異なる点は、偏
心吸収機構として蛇腹体の代りに弾性腕10を用いたこと
にあり、その余の基本構成は同様である。すなわち、連
結体７の下部には斜め上方へ延びる弾性腕10が90度間隔
で４本設けてあり、これら弾性腕10の先端は可動体４の
上部に設けた各凹部11にそれぞれ嵌合している。従つ
て、可動体４と連結体７との間の偏心は弾性腕10が変形
することによつて吸収され、また連結体７の回転力は、
弾性腕10が凹部に嵌合されているため可動体４にガタな
く伝達される。なお、前記弾性腕10は所定間隔を存して
３本以上あれば良く、また上記実施例と反対に、弾性腕
10を可動体４側に凹部11を連結体７側に設けても良く、
あるいは弾性腕10と凹部11を作動体４と連結体７に交互
に設けても良い。

このように上記一実施例にあつては、ステアリングシヤ
フト９とケーブルリール間の偏心を蛇腹体８あるいは弾
性腕10の変形によつて吸収できるばかりでなく、これら
蛇腹体８や弾性腕10は可動体４と連結体７とを周方向に
クリアランスを設けることなく直接繋ぐものであるか
ら、ステアリングホイールの回転方向を切り換えた際に
発生していた異音をなくすことができる。

なお、可動体４と連結体７を繋ぐ弾性部材は上記実施例
の蛇腹体８や弾性腕10に限定されず、ゴム材やフレキシ
ブルジヨイント等を用いることも可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、可動体と連結体
間が弾性部材を介して繋がれているため、ステアリング
シヤフトとケーブルリール間の偏心を弾性部材の径方向
の変形で確実に吸収できるばかりではなく、連結体の回
転力が周方向にも変形可能な弾性部材を介して可動体に
伝達されるため、ステアリングシヤフトの回転方向を換
える際に発生していた騒音をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係るケーブルリールの縦
断面図、第２図はそのケーブルリールの偏心吸収動作を
示す説明図、第３図は本考案の第２実施例に係るケーブ
ルリールの縦断面図、第４図はその要部平面図である。 １……固定体、４……可動体、５……フラツトケーブル
（可撓性ケーブル）、６……軸挿入孔、７……連結体、
８……蛇腹体（弾性部材）、９……ステアリングシヤフ
ト、10……弾性腕（弾性部材）、11……凹部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定体と、この固定体に対して回転自在に
   装着された可動体と、これら固定体と可動体との間に複
   数ターン巻回されて収納された可撓性ケーブルとを備
   え、この可撓性ケーブルによつて前記固定体と可動体と
   の間の電気的接続を行うようにしたケーブルリールにお
   いて、前記可動体の回転中心位置にステアリングシヤフ
   トが嵌挿される連結体を配設し、これら可動体と連結体
   との間に周方向に位置決めされた弾性部材を介設したこ
   とを特徴とするケーブルリール。
2. 【請求項２】前記弾性部材が、山部と谷部が同心円状に
   連続する蛇腹体からなることを特徴とする請求項（１）
   記載のケーブルリール。
3. 【請求項３】前記弾性部材が、前記可動体または前記連
   結体のいずれか一方または両方に突設された３個以上の
   弾性腕からなり、これら弾性腕が周方向に所定間隔を存
   して配列されていることを特徴とする請求項（１）記載
   のケーブルケール。