JPH0716688Y2 - ケーブルリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、固定体と可動体との間で電気的接続をフラツ
トケーブルを利用して行うケーブルリールに係り、特に
自動車のステアリング装置に用いて好適なケーブルリー
ルに関する。

〔従来の技術〕

ケーブルリールは、フラツトケーブルの一端を固定体
に、他端を可動体にそれぞれ固定し、該可動体を回転さ
せたときに、フラツトケーブルを可動体側に巻き込んだ
り、またはそれから巻き戻しすることによつて、可動体
を所定量回転させることができるようにしたもので、自
動車のステアリング装置等に用いられている。

第３図ないし第５図はこの種の自動車用ケーブルリール
の従来例を説明するもので、第３図は分解斜視図、第４
図は縦断面図、第５図は可動体の一部を省略して示す平
面図である。これらの図において、１は可動体を示し、
該可動体１の中央には軸挿入孔２を有する回転筒３が垂
設されており、該回転筒３の外側には円筒状のホルダ４
が配置されている。このホルダ４は上下方向に延びるス
リツト4aを有すると共に内面に凹部4bを有し、前記回転
筒３の外周面と所定の間隔を存するように可動体１の天
板部に固着されている。

５は導体箔を埋設した可撓性を有するフラツトケーブル
で、該フラツトケーブル５の一端はホルダ４のスリツト
4aを通つて凹部4bに達した後、凹部4b内で約45度の折曲
線を介して直角方向に折り返されて可動体１の外部に延
出されている。この折り返し部分において、フラツトケ
ーブル５は長手方向に沿つて２つの導出部5a,5aに分割
され、各導出部5a,5aは互いに重なる位置でそれぞれ折
り返されている。そして、これら導出部5a,5aは、互い
にスナツプ結合され可動体１の天板部に固着された第１
および第２のストツパ6,7間に挟持・固定され、この状
態において、第１のストツパ６に形成したテーパ部6aが
両導出部5a,5aの折り返し部分に挿入されるようになつ
ている。

一方、８は固定体を示し、該固定体８の中央には前記可
動体１の回転筒３が回動自在にスナツプインする中心孔
９が形成され、またその外周には前記フラツトケーブル
５を収納する外輪壁10が立設されている。この外輪壁10
の一部には斜め下方に向けてガイド部11が突出形成され
ており、前述したフラツトケーブル５の他端は外輪壁10
の内側で直角に折り返された後、ガイド部11に沿って固
定体８の外部に延出されている。さらに、外輪壁10には
歯車12を備えた位置合せ機構13が設けてあり、この歯車
12は前記可動体１の外周に設けた係合突起14と係合する
ことにより所定角度ずつ回動するようになつている。

ケーブルリールは大略このように構成され、各種の装
置、例えば自動車のステアリング装置のステアリングホ
イール側に前記可動体１が、ステアリングシヤフトの軸
受側に前記固定体８がそれぞれ取付けられて使用され
る。この場合、ステアリングホイール（可動体１）を一
方側に回転させると、フラツトケーブル５は可動体１の
ホルダ４側に巻き込まれ、反対にステアリングホイール
を他方側に回転させると、フラツトケーブル５は固定体
８の外輪壁10側に巻き戻され、いずれの状態において
も、可動体１と固定体８との間の電気的接続はフラツト
ケーブル５を介して維持されるようになつている。ま
た、可動体１が１回転する毎に、歯車12が係合突起14に
当接して所定角度ずつ回転するため、歯車12における特
定の歯と位置合せ機構のケース側とにそれぞれマークを
付すことによつて、フラツトケーブル５の正逆各方向へ
の回転量に差が生じないようにすることができ、フラツ
トケーブル５の破損や座屈が防止されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、前述した従来のケーブルリールにあつては、
フラツトケーブル５の内側の端部を可動体１の外部に延
出するのに際し、フラツトケーブル５をその長手方向に
２分割した後、各導出部5a,5aをそれぞれ同位置で折り
返して重ねていた。このようにすると，フラツトケーブ
ル５の内側の折り返し部分における幅（第５図のＡ寸
法）が分割しない場合に比べて約半分になるため、フラ
ツトケーブル５の内側を巻き付ける部材（前述の従来例
はホルダ４）の径寸法を小さくでき、ケーブルリールの
径方向の寸法を小型化できるという利点がある。

しかしながら、フラツトケーブル５を分割してそれぞれ
折り返すという作業は煩雑であり、また分割した両導出
部5a,5aの先端に外部機器接続用のコネクタを取付ける
必要があるため、コスト高になるという問題があつた。

従つて本考案の目的は、上記従来技術の問題点を解消
し、小型化および低コスト化が可能で、組立の容易なケ
ーブルリールを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、中央に回転筒を
有する可動体と、この可動体を回転自在に支持する固定
体と、これら可動体と固定体との間に複数回巻回された
収納されたフラツトケーブルとを備え、前記フラツトケ
ーブルの一端が第１の折返部を介して前記可動体の外部
に導出されると共に、該フラツトケーブルの他端が第２
の折返部を介して前記固定体の外部に導出されているケ
ーブルリールにおいて、前記回転軸の外方に該回転軸の
中心に対して偏心するように円筒状の内輪壁を設け、こ
の内輪壁の内方に前記フラツトケーブルの第１の折返部
を配置したことを特徴とするものである。

〔作用〕

上記の如く、フラツトケーブルの内周側が巻き付けられ
る内輪壁を、可動体の中央に設けた回転筒に対してその
中心がずれるよう偏心して配設すると、偏心によつて生
じるスペースを利用してフラツトケーブルの折返部を内
輪壁の内側に配置できる。従つて、フラツトケーブルの
内周端を分割することなく可動体の外部に延出したとし
ても、それによつて内輪壁の径寸法が大きくなることは
なくなり、換言すると、フラツトケーブルの内周側を巻
き付けるのに必要とされる周長さを確保した状態で、ケ
ーブルリールの径方向の寸法を小型化できる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第１図は本考案の一実施例に係るケーブルリールの縦断
面図、第２図は可動体の一部を省略して示す平面図であ
り、第３図ないし第５図に対応する部分には同一符号を
付すことで重複する説明は省略する。

これらの図において、15は第１のストツパ、16は第２の
ストツパで、これらストツパ15,16はスナツプ結合によ
って一体化されると共に、可動体１の天板部に嵌入・固
定されるようになつている。第１のストツパ15はケーブ
ルリールの内部まで達しており、その一部には周面部15
aが形成されると共に、該周面部15aの内方には先端が三
角形状にテーパ部15bが形成されている。一方、可動体
１の中央には前述した回転筒３が垂設されると共に、そ
の外方には回転筒３と一部が連続する隔壁17が垂設され
ており、これら隔壁17と前記第１のストツパ15の周面部
15aとがなす連続した周面が、平面的にほぼ真円の内輪
壁18を形成している。この内輪壁18の中心をＯ′、前記
回転筒３の中心をＯとすると、これらは第２図に示すよ
うに所定量ｈだけ位置ずれ（オフセツト）しており、回
転筒３の外周から内輪壁18までの長さは、上記したオフ
セツト量ｈによつて一方（第１のストツパ15側）が充分
に長くなつている。

フラツトケーブル５は、可動体１の前記内輪壁18と固定
体８の外輪壁10間に複数回巻回されて収納され、その外
周側の端部は前述した従来例と同様に、外輪壁10の内側
で直角に折り返された後、ガイド部11に沿つて固定体８
の外部に延出されている。一方、フラツトケーブル５の
内周側の端部は、第１のストツパ15と隔壁17間のスリツ
トを通つて第１のストツパ15の内方へ挿入された後、当
該位置で直角に折り返されて可動体１の外部に延出さ
れ、この折り返し部分に前記テーパ部15bが位置するよ
うになつている。この場合、前述したように第１のスト
ツパ15の内方には充分なスペースが確保されているた
め、フラツトケーブルを分割することなくその折り返し
部分を内輪壁18の内方に配置でき、こうして折り返され
たフラツトケーブル５は両ストツパ15,16に挟持・固定
されて可動体１の外部に延出されている。

本実施例に係るケーブルリールは前述の如く構成されて
おり、これを自動車のステアリング装置に組み込んだ場
合、ステアリングホイール（可動体１）の一方向への回
転により、フラツトケーブル５は第１のストツパ15と隔
壁17とによつて形成される内輪壁18の外周面に巻き込ま
れ、ステアリングホイールの他方向への回転により、フ
ラツトケーブル５は固定体８の外輪壁10側に巻き戻され
る。この場合、外輪壁10と内輪壁18間に巻回されるフラ
ツトケーブル５は、内輪壁18の中心Ｏ′を回転筒３の中
心Ｏに対して所定量ｌだけオフセツトすることにより、
第１にストツパ15側が反対側に比べて密状態になるが、
第１のストツパ15の外方に巻回状態のフラツトケーブル
５厚の総和以上のスペースがあれば、フラツトケーブル
５の回転に支障をきたすことはない。

このように構成された一実施例にあつては、フラツトケ
ーブル５の内方側の巻き付け径を確保するのに必要な内
輪壁18を、回転筒３の中心に対して偏心状態に設けるこ
とにより、内輪壁18と回転筒３間に形成されるスペース
が部分的に広くなつているため、フラツトケーブル５を
分割することなくその折り返し部分を前記スペース内に
配置することができ、組立作業が簡単になると共に、コ
ネクタの数も少なくなつてコストダウンを図れる。ま
た、前記内輪壁18が、可動体１に一体形成した隔壁17と
可動体１に固着される第１のストツパ15の周面部15aと
で形成されているため、前述した従来例で必要とされて
いたホルダを省略することができ、この点からも一層の
コストダウンを図ることができる。

なお、上記一実施例では、内輪壁18を第１のストツパ15
と隔壁17とで構成した場合について説明したが、これの
代わりに円筒状のホルダを内輪壁として用い、該ホルダ
を回転筒３の中心に対しオフセツトして可動体１に固着
することも可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案は、フラツトケーブルの内
周側を巻き付けるための内輪壁を、可動体の中央に設け
た回転筒に対し偏心して設けると共に、その偏心によつ
て生じたスペースの拡張部分にフラツトケーブルの折返
部を配置したものであるから、フラツトケーブルの内周
端を分割することなくその幅のまま折り返して可動体の
外部に延出できると共に、フラツトケーブルの延出端に
付設されるコネクタの数も分割した場合に比べると減ず
ることができ、よつて小型化および低コスト化が可能
で、組立の容易なケーブルリールを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るケーブルリールの縦断
面図、第２図はそのケーブルリールに備えられる可動体
の一部を省略して示す平面図、第３図ないし第５図は従
来のケーブルリールに係り、第３図は分解斜視図、第４
図は縦断面図、第５図は可動体の一部を省略して示す平
面図である。 １……可動体、２……軸挿入孔、３……回転筒、５……
フラツトケーブル、８……固定体、９……中心孔、10…
…外輪壁、15……第１のストツパ、15a……周面部、15b
……テーパ部、16……第２のストツパ、17……隔壁、18
……内輪壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央に回転筒を有する可動体と、この可動
   体を回転自在に支持する固定体と、これら可動体と固定
   体との間に複数回巻回されて収納されたフラツトケーブ
   ルとを備え、前記フラツトケーブルの一端が第１の折返
   部を介して前記可動体の外部に導出されると共に、該フ
   ラツトケーブルの他端が第２の折返部を介して前記固定
   体の外部に導出されているケーブルリールにおいて、前
   記回転軸の外方に該回転軸の中心に対して偏心するよう
   に円筒状の内輪壁を設け、この内輪壁の内方に前記フラ
   ツトケーブルの第１の折返部を配置したことを特徴とす
   るケーブルリール。