JPH0454714Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、固定体と可動体との間の電気的接続
をフラツトケーブル等の帯状ケーブルを利用して
行うケーブルリールに関するものである。

〔従来の技術〕

第６図および第７図はこの種のケーブルリールの
従来例を示すもので、第６図は分解斜視図、第７
図は横断面図である。

これらの図において、１は可動体を示し、該可
動体１は中央に垂設した筒部１ａを有し、該筒部
１ａの外周には内輪壁を構成するホルダ２が固着
されている。このホルダ２は軸線方向に延びるス
リツト２ａを有する。３はフラツトケーブルを示
し、該フラツトケーブル３は一対のベースフイル
ム間に複数本の導体をラミネートしたもので、複
数ターン巻回されている。このフラツトケーブル
３の内周側は前記スリツト２ａを通つてホルダ２
と筒部１ａ間で直角方向に折返された後、可動体
１に固着されたケーブル取出部４を介して外部に
導出されており、その先端にはコネクタ５ａ，５
ｂが取付けられている。

前記可動体１は、その筒部１ａの下端を固定体
６の中央の係合孔７にスナツプ係止することによ
り、該固定体６に回動自在に装着される。この固
定体６は周縁に外輪壁８を有し、該外輪壁８と前
記可動体１のホルダ（内輪壁）２との間に画成さ
れる空間部に前記フラツトケーブル３が収納され
るようになつている。このフラツトケーブル３の
外周側は、前記外輪壁８より斜め下方へ突出する
支持壁９に沿つて外部に導出されるようになつて
おり、その先端にはコネクタ１０が取付けられて
いる。

フラツトケーブル３の外周側を固定体６に固定
するために、前記外輪壁８の上端にはリング状の
固定部材１１が装着されるようになつている。こ
の固定部材１１には前述した固定体６の支持壁９
と協働してその間にフラツトケーブル３を挟持す
る支持壁１２が突設されており、該支持壁１２の
内側には先端がナイフエツジ状となつたカツタ１
３が垂設されている。そして、フラツトケーブル
３の外周側は折返し部３ａを介して直角方向に方
向転換せしめられ、第７図に示すように、この折
返し部３ａにおける折れ目線を前記カツタ１３の
先端に対向させた状態で、両支持壁９，１２間よ
り外部に導出されている。

前述したケーブルリールは、例えば自動車のス
テアリング装置の回動側部材であるステアリング
シヤフトに可動体１の筒部１ａが挿入固定され、
車体の固定側部材に固定体６が取付けられて使用
されるようになつている。この組付け状態におい
て、ステアリングホイールを正逆両方向にほぼ同
量だけ回動することができるようになつていなけ
ればならず、そのために可動体１と固定体６間に
は両者の位置合わせを行うための位置合わせ機構
が設けられている。この位置合わせ機構は、外輪
壁８から突出する延出部１４に軸支された歯車１
５と、可動体１の周縁に形成された係合突起１６
とで構成されており、可動体１を１回転させたと
きに、係合突起１６によつて歯車１５を90度送り
回転できるようになつている。従つて、例えば延
出壁１４と歯車１５に指針としてのマークを形成
しておけば、両者の相対位置を目視することによ
つて、可動体１と固定体６との位置合わせを行う
ことができる。

次に、前述の如く構成された従来例に係るケー
ブルリールの作用について説明する。

ケーブルリールをステアリング装置に組付ける
に際しては、位置合わせ機構によつて可動体１と
固定体６とを適正な状態に位置合わせした状態で
組付ける。このように適正な組付けが行われた場
合、ステアリングホイールを一方側へ回動する
と、その回動ストロークエンド位置でフラツトケ
ーブル３がホルダ２に巻き込まれ、反対に、ステ
アリングホイールを他方向へ回動すると、その回
動ストロークエンド位置でフラツトケーブル３は
外輪壁８側に巻き戻され、いずれの状態において
も、可動体１（回動側部材）と固定体６（固定側
部材）間の電気的接続はフラツトケーブル３を介
して維持される。

前述の如き位置合わせ機構を付設したとして
も、例えばそれを見落とす等の理由で、ケーブル
リールが誤組付けされることがある。ここで、フ
ラツトケーブル３の巻き戻し方向における可動体
１の回動量が少なくなるように誤組付けが行われ
た場合においては、この方向に可動体１（ステア
リングホイール）を回動させたときに、その回動
量が所定量以上となつても、フラツトケーブル３
が反転するという不都合は生じるものの、回動自
体は可能である。しかしながら、フラツトケーブ
ル３の巻き込み方向における可動体１の回動量が
少なくなるように誤組付けが行われた場合におい
ては、この方向に可動体１を所定量以上回動させ
ると、フラツトケーブル３によつて可動体１の回
動がロツクされてしまい、可動体１をそれ以上回
動できなくなる。そこで、このような場合には、
フラツトケーブル３に作用する張力を利用して、
該フラツトケーブル３をカツタ１３によつて強制
的に切断し（第７図参照）、可動体１がロツクさ
れるのを防止している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前述の如く構成された従来のケ
ーブルリールにあつては、リング状の固定部材１
１を固定体６の外輪壁８にスナツプ結合等の手段
で固定することによつて、フラツトケーブル３の
外周端を固定体６に固定するようになつているた
め、フラツトケーブル３の固定構造が複雑で組立
が煩雑になるばかりでなく、固定部材１１によつ
て小型化が妨げられるという問題があつた。

従つて、本考案の目的は、上記した従来技術の
課題を解消し、構造が簡単で小型化が可能なケー
ブルリールを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、外輪壁
を有する固定体と、内輪壁を有し前記固定体に回
動自在に装着された可動体と、前記外輪壁と内輪
壁間に複数ターン巻回された帯状ケーブルと、該
ケーブルの外周側に形成された折返し部に対向す
るカツタとを備え、前記可動体が前記内輪壁側の
巻き込み方向へ所定量以上回動せしめられたとき
に、前記カツタによつて前記ケーブルを切断する
ように構成されているケーブルリールにおいて、
前記固定体の前記外輪壁近傍に前記カツタと収納
隔壁とをそれ立設し、前記ケーブルの外周側端部
に該ケーブルと外部機器への接続線とを電気的に
接続するコネクタを設け、該コネクタを前記収納
隔壁内に固定したことを特徴とするものである。

〔作用〕

フラツトケーブル等の帯状ケーブルの外周側に
はコネクタが取付けられ、該コネクタによつてケ
ーブルの各導体とハーネス等の外部接続線とが接
続される。一方、固定体の外輪壁近傍にはカツタ
と収納隔壁とがそれぞれ立設されており、前記ケ
ーブルは、その折返し部がカツタに、コネクタが
収納隔壁内にそれぞれ挿入されることにより固定
体に固定される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の一実施例に係るケーブルリー
ルの一部横断面図、第２図はそのケーブルリール
の縦断面図、第３図はフラツトケーブルの内周側
固定部分の斜視図、第４図はフラツトケーブルの
外周側固定部分の斜視図、第５図はカツタの説明
図である。

これらの図において、１７は可動体を示し、該
可動体１７は中央に垂設した筒体１８を有すると
共に、天板部に平面コ字状に突設した保持型１９
を有する。前記筒体１８の上端には段部１８ａが
形成され、また筒体１８の内周壁には180度の対
向位置に一対の凹部１８ｂ，１８ｃが形成され、
一方の凹部１８ｂにはテーパ状の切欠き１８ｄが
形成されている。

一方、２０は固定体を示し、該固定体２０は中
央に穿設した透孔２１を有すると共に、周縁に突
設した外輪壁２２を有する。この外輪壁２２の内
側にはカツタ２３が立設され、さらに該カツタ２
３を包囲する第１の隔壁２４と周壁２５、並びに
該第１の隔壁２４と所定間隔を存して対向する第
２の隔壁２６とがそれぞれ立設されている。第５
図に示すように、前記カツタ２３は階段状になつ
ており、その先端にナイフエツジ状の歯部２３ａ
が形成されている。

２７はフラツトケーブルを示し、該フラツトケ
ーブルは一対のベースフイルム間に複数本の導体
がラミネートされたものであり、可動体１７の筒
体１８と固定体２０の外輪壁２２との間に複数タ
ーン巻回されて収納されている。第３図に示すよ
うに、フラツトケーブル２７はその内周端側にお
いて、第１の折返し部２７ａを介して直角方向に
方向転換されており、第１の折返し部２７ａの先
端には第１のコネクタ２８が取付けられている。
この第１のコネクタ２８は長方体に形成され、そ
の内部においてフラツトケーブル２７の各導体が
各ハーネス２９にそれぞれ接続されており、さら
に各ハーネス２９の先端には外部機器へ接続する
ための図示省略したコネクタが取付けられてい
る。前記第１の折返し部２７ａは筒体１８の切欠
き１８ｄ内に位置し、第１のコネクタ２８は前記
保持壁１９内に挿入されるようになつており、該
第１のコネクタ２８を含むフラツトケーブル２７
の内周端は後述する回動リングによつて可動体１
７に固定されるようになつている。

一方、第４図に示すように、前記フラツトケー
ブル２７の外周端には円弧状の第２のコネクタ３
０が取付けられており、該第２のコネクタ３０の
内部においてフラツトケーブル２７の各導体は各
ハーネス３１に接続され、各ハーネス３１の先端
には図示省略した外部機器接続用のコネクタが取
付けられている。また、フラツトケーブル２７の
外周側には第２の折返し部２７ｂが形成されてお
り、該第２の折返し部２７ｂは外輪壁２２と周壁
２５間に差し込まれ、第２の折返し部２７ｂの折
れ目線がカツタ２３の歯部２３ａと対向するよう
になつている。そして、フラツトケーブル２７の
外周端は前記第２のコネクタ３０を両隔壁２４，
２６と外輪壁２２とで画成される空間内に挿入固
定することにより固定体２０に固定され、各ハー
ネス３１は固定体２０の底面に開設した切欠き３
２を介して固定体２０の外部に導出される。

第２図に示すように、前記可動体１７と前記固
定体２０とは回動リング３３によつて回動自在に
連結されている。この回動リング３３は中央やや
下方に鍔部３４を有すると共に、上端に係止爪３
５を有する。また、回動リング３３の上部には
180度の対向位置に第１および第２の突部３６，
３７が突設されており、各突部３６，３７の両側
には軸線方向に延びる複数のスリツト３８が形成
されている。この回動リング３３は、固定体２０
の透孔２１より可動体１７の筒体１８内に挿入さ
れ、係止爪３５が筒体１８の段部１８ａに係止す
ることにより可動体１７に固定される。この場
合、両突部３６，３７は筒体１８の各凹部１８
ｂ，１８ｃ内に位置し、切欠き１８ｄより凹部１
８ｂの壁面に沿つて上方へ延出する前記フラツト
ケーブル２７の内周側は、該第１の突部３６と凹
部１８ｂの壁面とで挟持されて可動体１７に固定
される。

なお、３９は前記外輪壁２２に突設した延出壁
を示し、図示省略してあるが、該延出壁３９内に
はその回転軸を可動体１７の回転軸と直交するよ
うに歯車が設けられると共に、可動体１７の周縁
には該歯車を回転させるための係合突起が形成さ
れており、これらで位置合わせ機構が構成される
ようになつている。

本実施例は前述のように構成されるもので、次
にその作用について説明する。

ケーブルリールを組立てるに際しては、まず、
第２のコネクタ３０を両各壁２４，２６間に、第
２の折返し部２７ｂを外輪壁２２と周壁２５間に
それぞれ差し込むことにより、フラツトケーブル
２７の外周端を固定体２０に固定し、各ハーネス
３１を切欠き３２から固定体２０の外部に導出す
る。次に、可動体１７を固定体２０に装着し、第
１のコネクタ２８を筒体１８の内側から取出して
保持壁１９内に挿入した後、回動リング３３を固
定体２０の透孔２１側から可動体１７の筒体１８
に挿入する。この挿入途中で係止爪３５は各スリ
ツト３８によつて内側に撓み、挿入端部で係止爪
３５が筒体１８の段部３５ａに係止することによ
り、可動体１７と回動リング３３は固定体２０に
対して回動自在に装着される。そして、フラツト
ケーブル２７の内周端は第１の折返し部２７ａが
回動リング３３と筒体１８とで挟持されることに
より、可動体１７に固定される。なお、固定体２
０の切欠き３２には必要に応じてカバー（図示せ
ず）が被着され、また第１のコネクタ２８と保持
壁１９間にも必要に応じて接着剤が充填される。

このように組立てられたケーブルリールは、前
述した位置合わせ機構を用いて、可動体１７と固
定体２０とを適正な状態に位置合わせしてステア
リング装置に組付けられる。このように適正な組
付けが行われた場合、ステアリングホイールを一
方側ー回動すると、その回動ストロークエンド位
置でフラツトケーブル２７が筒体１８の周面に巻
き込まれ、反対に、ステアリングホイールを他方
向へ回動すると、その回動ストロークエンド位置
でフラツトケーブル２７は外輪壁２２側へ巻き戻
される。

一方、ケーブルリールがステアリング装置に誤
組付けされた場合、特に、フラツトケーブル２７
の巻き込み方向における可動体１７の回動量が少
なくなるように誤組付けが行われた場合におい
て、この方向にステアリングホイール（可動体１
７）を所定量以上回動すると、フラツトケーブル
２７に第２の折返し部２７ｂの折れ目線をカツタ
２３の歯部２３ａに押し付ける大きな張力が作用
するため、フラツトケーブル２７が切断される。
従つて、例えば可動体１７から導出されるハーネ
ス２９と固定体２０から導出されるハーネス３１
との間の導通状態を電気的に検出することによ
り、ケーブルリールが誤組付けされたことを発見
できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、コネク
タを収納隔壁に挿入することで帯状ケーブルの外
周端を固定体に固定できるため、構造が簡単で小
型のケーブルリールを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の一実施例に係る
ケーブルリールを説明するもので、第１図は一部
横断面図、第２図は縦断面図、第３図はフラツト
ケーブルの内周側固定部分の斜視図、第４図はフ
ラツトケーブルの外周側固定部分の斜視図、第５
図はカツタの正面図、第６図は従来例にかかるケ
ーブルリールの分解斜視図、第７図はその横断面
図である。 １７……可動体、１８……筒体（内輪壁）、２
０……固定体、２２……外輪壁、２３……カツ
タ、２３ａ……歯部、２４……第１の隔壁、２５
……周壁、２６……第２の隔壁、２７……フラツ
トケーブル（帯状ケーブル）、２７ｂ……第２の
折返し部、３０……第２のコネクタ、３１……ハ
ーネス（接続線）、３３……回動リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外輪壁を有する固定体と、内輪壁を有し前記固
   定体に回動自在に装着された可動体と、前記外輪
   壁と内輪壁間に複数ターン巻回された帯状ケーブ
   ルと、該ケーブルの外周側に形成された折返し部
   に対向するカツタとを備え、前記可動体が前記内
   輪壁側の巻き込み方向へ所定量以上回動せしめら
   れたときに、前記カツタによつて前記ケーブルを
   切断するように構成されているケーブルリールに
   おいて、前記固定体の前記外輪壁近傍に前記カツ
   タと収納隔壁とをそれぞれ立設し、前記ケーブル
   の外周側端部に該ケーブルと外部機器への接続線
   とを電気的に接続するコネクタを設け、該コネク
   タを前記収納隔壁内に固定したことを特徴とする
   ケーブルリール。