JPH0754295A - 紙用のコーティング剤 - Google Patents

紙用のコーティング剤

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JPH0754295A
JPH0754295A JP20643493A JP20643493A JPH0754295A JP H0754295 A JPH0754295 A JP H0754295A JP 20643493 A JP20643493 A JP 20643493A JP 20643493 A JP20643493 A JP 20643493A JP H0754295 A JPH0754295 A JP H0754295A
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均 丸山
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Tetsuya Katayama
哲也 片山
Yoshiki Miyaki
良樹 宮木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレードコーターあるいはロールコーター適
性に著しくすぐれた紙用コーティング剤を開発するこ
と。 【構成】 自己乳化性を有するビニルエステル系樹脂よ
りなる紙用コーティング剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紙用のコーティング剤に
関し、特にブレードコーターあるいはロールコーター適
性に著しく優れた自己乳化性を有するビニルエステル系
樹脂よりなる紙用のコーティング剤に関する。
【0002】
【従来技術】従来よりポリビニルアルコール(以下、P
VAと略記する)は紙の表面強度,平滑度,光沢あるい
はバリヤー性の向上など表面特性を改善するためのクリ
アーコーティング剤として、また顔料コーティングにお
けるバインダーとして広く使用されている。PVAは、
造膜性および強度において他の糊剤の追随を許さぬ優れ
た性能を有することが広く知られている。しかしなが
ら、近年、塗布スピードの上昇あるいはロールコーター
による塗布など塗布方法の変更にともない、従来の如き
水溶液による塗布では、例えばブレードコーターにおけ
る高剪断速度条件下での粘度上昇(ダイラタンシー)、
あるいは高速ロール塗布におけるスジ状塗膜の発生、霧
状飛散の発生など問題点が多く、安定した均一塗布がで
きないという状況に至っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
PVAの造膜性および強度などの特徴を維持したまま、
塗布適性に著しく優れた紙用のコーティング剤を提供す
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するため鋭意検討した結果、自己乳化性を有す
るビニルエステル系樹脂を用いることにより、上記課題
が達成できることを見出した。本発明はこのような知見
に基いて完成したものである。すなわち、本発明は自己
乳化性を有するビニルエステル系樹脂よりなる紙用のコ
ーティング剤を提供するものである。本発明でいう自己
乳化性とは、樹脂を水中に投入したとき、他の分散剤の
力を借りることなく、樹脂そのものだけで水中に微粒子
状に分散し、安定な乳化状態を作り出すことを意味す
る。
【0005】本発明で用いられる自己乳化性を有するビ
ニルエステル系樹脂は、イオン性基含有ビニルエステル
系樹脂のイオン性基含有量やけん化度を適宜選択するこ
とにより得ることができるが、通常イオン性基含有量と
しては0.01〜20モル%、好ましくは0.03〜10モ
ル%、さらに好ましくは0.05〜5モル%であり、けん
化度としては通常は0〜70モル%から選択して用いら
れる。イオン性基含有量が高い場合にはけん化度は低い
方が好ましく、イオン性基含有量が低い場合にはけん化
度は高い方が好ましい。
【0006】更に、乳化状態におけるビニルエステル系
樹脂が、水溶液の液滴(液−液層分離の形態)として乳
化しているものがより好ましく、この点でイオン性基0.
2〜3モル%、けん化度20〜60モル%が好ましく用
いられる。乳化状態のビニルエステル系樹脂が水溶液の
液滴であるか、固体の粒子であるかは、乳化状態の分散
液を遠心分離法で二層に分離させることにより判定でき
る。即ち、透明で界面の明確な二層を形成する場合は液
滴であり、界面が不明確で一方が乳濁している場合は固
体粒子である。粒子の粒子径としては1μm以下が好ま
しく、0.5μm以下がより好ましい。また、このビニル
エステル系樹脂の重合度については、特に制限はない
が、強度物性の点から重合度の下限は550が好まし
く、700がより好ましく、1000が特に好ましい。
一方、重合度の上限は30000が好ましい。
【0007】本発明で用いられるビニルエステル系樹脂
のビニルエステルとしては、酢酸ビニル,プロピオン酸
ビニル,ギ酸ビニル,ピバリン酸ビニル,バーサチック
酸ビニル等が挙げられるが、実用上は酢酸ビニルが好ま
しい。本発明で用いられるビニルエステル系樹脂に含有
されるイオン性基としては、例えばカルボキシル基,ス
ルホン酸基等のアニオン性基、第四級アンモニウム塩基
等のカチオン性基が挙げられる。
【0008】これらのイオン性基の導入方法としては、
通常は該イオン性基を有するオレフィン性不飽和単量
体とビニルエステルとの共重合により主鎖中に導入する
方法、イオン性基を有するチオール化合物またはアル
デヒド化合物存在下でのビニルエステルの重合による主
鎖末端へ導入する方法あるいは主鎖末端へのチオール
基を導入したPVAの存在下でのイオン性基を有するオ
レフィン性不飽和単量体の重合によりPVA−イオン性
含有ポリマーといったブロック共重合体の形で導入する
方法などが採用されるが、これらの方法に限定されるも
のではない。
【0009】本発明のコーティング剤には、必要に応じ
てグリオキザール,尿素樹脂等の耐水化剤、グリコール
類やグリセリン等の可塑剤、アンモニア,カセイソー
ダ,炭酸ソーダあるいはリン酸等のpH調節剤、消泡
剤,離型剤,界面活性剤等公知の添加剤を添加すること
もできる。さらに他のコーティング剤、例えばPVA,
変性PVA(例えば、カルボキシル基変性PVA,スル
ホン酸基変性PVA,アクリルアミド変性PVA,カチ
オン基変性PVA,長鎖アルキル基変性PVA),澱
粉,変性澱粉,カゼイン,カルボキシメチルセルロース
(CMC)あるいは合成樹脂エマルジョン(スチレン−
ブタジエンラテックス,ポリアクリル酸エステルエマル
ジョン,酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合エマル
ジョン,酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン)等
を混合することもできる。
【0010】本発明のコーティング剤は、クリアーコー
ティング剤,顔料コーティング剤として用いることがで
き、特に高速ロールコーター,ブレードコーターによる
塗布において効果が顕著であるが、それに限定されるも
のではない。本発明のコーティング剤を水性分散液とし
て用いる場合は、コーティング剤中の上記ビニルエステ
ル系樹脂の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜4
0重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好まし
い。また、顔料コーティング剤として用いる場合の顔料
の濃度は、2〜70重量%が好ましく、5〜60重量%
がより好ましく、10〜50重量%が特に好ましい。本
発明のコーティング剤におけるビニルエステル系樹脂の
固形分塗布量としては1〜30g/m2 が好ましい。本
発明のコーティング剤が、上述の如く著しく優れている
理由については以下の如く推定される。すなわち、塗布
時には粒子あるいは液滴として挙動するため、粘度が低
く、溶液状のPVAの場合に比べて塗布適性が著しくよ
く、塗布後の乾燥時に容易に造膜し、強度等を発現する
ためと推定される。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明の紙用のコーティ
ング剤について、さらにくわしく説明する。以下「部」
又は「%」とあるのは断りのないかぎり重量基準であ
る。 ハイシアー粘度:直径0.5mm,長さ5.0mmのキャピ
ラリーからなる押出し粘度計を用い、20℃で測定。 表面強度:IGT印刷適性試験機を用い、インクM、ス
ピードPで測定。 透気度:王研式透気度測定機により測定。 また、単に重合度とあるのは、該当するポリ酢酸ビニル
(PVAc)を完全にけん化し、得られた完全けん化P
VAを2モル%濃度の食塩水溶液に溶解し、0.5〜2%
といった低濃度における比粘度よりJIS K 672
6(1977年)に示される式から導かれるPVAの重
合度をいう。
【0012】実施例1 スルホン酸基2モル%を含有し、重合度1000,けん
化度25モル%のポリ酢酸ビニル(PVAc)10部を
水40部に投入し、攪拌して濃度20%の乳化液を調製
した。この乳濁液は24時間以上安定であった。また、
この乳濁液をガラス管中で遠心分離したところ、透明な
二層に相分離し、両相とも水溶液状であることが確認さ
れた。次に、この乳化液40部を、カオリンクレー10
0部を水70部に分散したスラリー中に混合し、固形分
50%のコーティング組成物を調製した。このスラリー
のハイシアー粘度(剪断速度=5×105 sec -1)は6
0センチポイズ(cp)(20℃)であった。このコー
ティング組成物を、20℃にてブレードコーターを用い
て上質紙原紙に固形分塗布量が20g/m2 となるよう
に塗布した後、105℃で2分間乾燥し、表面温度80
℃,線圧100kg/cmの条件下にカレンダー仕上げ
を行った。得られた塗布紙を、温度20℃,相対湿度6
5%の恒温室で72時間調湿した後、その性能を評価し
た。結果を第1表に示す。
【0013】比較例1〜2 実施例1で用いた自己乳化性のビニルエステル系樹脂に
替えて、重合度1000,けん化度98.5モル%のPV
Aの均一水溶液あるいは通常のエマルジョン重合で得ら
れたポリ酢酸ビニル(PVAc)エマルジョンを用いた
こと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を併
せて第1表に示す。
【0014】
【表1】
【0015】*1:20℃,剪断速度=5×105 se
-1 *2:>1000 *3:ダイラタンシーが大のため高速での均一塗布が不
可能
【0016】実施例2〜5 第2表に示す如き自己乳化性ビニルエステル系樹脂の乳
化液を、20℃にてゲートロールコーター(3本ロール
コーター)を用いて300m/分の速度で透気度10秒
の紙に固形分塗布量4g/m2 となるように塗布し、1
05℃,2分間乾燥後、透気度を測定した。結果を第2
表に示す。
【0017】比較例3〜4 実施例2で用いた自己乳化性ビニルエステル系樹脂に替
えて、第2表に示す如きPVA(比較例3)またはPV
Ac(比較例4)を用いたこと以外は、実施例2と同様
の操作を行った。結果を併せ第2表に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】実施例6 実施例1で用いた自己乳化性ビニルエステル系樹脂の4
%乳化水溶液を調製した。この乳化液を3本ロールコー
ターの第1ロールと第2ロールの間に投入し、500m
/分の速度で回転し、第2ロールと第3ロールとの間か
らの水スラリーの飛散状況を観察した。飛散は殆どな
く、液はロール上に均一に転写した。
【0021】比較例5 実施例6で用いた乳化液に替えて、比較例1で用いたP
VAの4%均一水溶液を用いたこと以外は、実施例6と
同様の操作を行った。この場合、PVA水溶液が霧状に
飛散した。
【0022】
【発明の効果】本発明の紙用コーティング剤は、PVA
の造膜性および強度などの特徴を維持しつつ、塗布適
性、特にブレードコーターあるいはロールコーター適性
に著しくすぐれたものである。
フロントページの続き (72)発明者 片山 哲也 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 宮木 良樹 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己乳化性を有するビニルエステル系樹
    脂よりなる紙用のコーティング剤。
JP20643493A 1993-08-20 1993-08-20 紙用のコーティング剤 Expired - Fee Related JP3294682B2 (ja)

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