JPH0752998B2 - 超耐熱ボイスコイルの製造法 - Google Patents

超耐熱ボイスコイルの製造法

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JPH0752998B2
JPH0752998B2 JP62277976A JP27797687A JPH0752998B2 JP H0752998 B2 JPH0752998 B2 JP H0752998B2 JP 62277976 A JP62277976 A JP 62277976A JP 27797687 A JP27797687 A JP 27797687A JP H0752998 B2 JPH0752998 B2 JP H0752998B2
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voice coil
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雄三 山崎
俊郎 西沢
清美 土屋
仁 吉川
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Totoku Electric Co Ltd
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Totoku Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はステレオ等の音響機器のスピーカーに用いられ
るボイスコイルに関し、特に耐熱区分がH種に相当する
耐熱性に優れたボイスコイルの製造法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
ボイスコイルは、導体上に絶縁皮膜を介して接着塗料を
塗布焼付した自己融着性絶縁電線を、溶剤を塗布しなが
ら、接着層を有する紙管上に整列に数層密巻し製造され
る。従来自己融着性絶縁電線の接着層を溶解する溶剤に
は、低沸点のアルコール系溶剤が用いられたため、接着
塗料の主剤を必然的に脂肪族系の主鎖を有する合成樹
脂、例えばポリビニルブチラール系やアルコール可溶性
ポリアミド系の樹脂に限定され、耐熱区分がA種あるい
はE種といった低いものしか得られなかった。
近年ステレオ等の音響機器は高出力、高性能が要求さ
れ、スピーカーに加わる負荷もますます苛酷となり、こ
れに用いられるボイスコイルも耐振性・耐熱性に優れる
ことが必要条件とされる。そこで、熱可塑性接着剤の主
剤であるアルコール可溶性ポリアミド系樹脂に各種の硬
化剤を配合した接着塗料を、自己融着性絶縁電線及び紙
管の接着剤に使用し耐熱性を上げることが行なわれてい
るが、いずれも熱的特性を十分満足するものではない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来のボイスコイルは、自己融着性絶縁電線及び紙管の
接着剤に使用される接着塗料が、前述の如く脂肪族系の
主鎖を有する合成樹脂を主剤とし、アルコール系溶剤に
より接着層を溶解膨潤させつつ製造されるものであるた
め、小型高出力スピーカーに必要とされる耐熱区分がH
種に相当する超耐熱ボイスコイルを得ることは不可能で
ある。本発明は、上記接着塗料の樹脂組成及び接着塗膜
を膨潤溶解せしめる溶剤について検討し、技術的課題で
あるボイスコイルの熱的,機械的特性の改善を図ったも
のである。
〔問題点を解決するための手段〕
ボイスコイルは入力(電気信号)に対し音声(コーン紙
の機械的振動信号)に変換する効率が他の変換器に比較
して著しく劣っており、電気信号の損失は発熱となりボ
イスコイルの昇温に費される。従って小型,高出力にな
るほどボイスコイルの昇温は大きくなり、短時間ではあ
るが450〜500℃の高温になることも希ではない。ボイス
コイルの機械的,熱的破壊現象は、初めに紙管と線輪
間、次いで線間相互の接着界面に発生することが最も多
い。この主たる理由は(1)紙管と線輪の熱膨張率が異
なるため両者間に歪を生ずること(2)振動とコイルの
発熱のため紙管と線輪間にずれを生ずること、等であ
り、これにより最悪の場合線輪が紙管より脱落し、ボイ
スコイルとしての機能を失う。ボイスコイルの昇温が大
きくなってもその熱的,機械的特性を支持するには、接
着塗料の材質は芳香族ヘテロ環状構造のポリマーから選
定され、有機溶剤に可溶で、塗料としての形態が比較的
簡単にとれ、かつ形成された接着塗膜が有機溶剤により
膨潤,再溶解する、といった条件が必要である。このよ
うな条件を満たす耐熱性接着皮膜について検討した結
果、ポリパラバン酸樹脂に熱硬化性成分として芳香族系
ポリアミック酸を添加し、極性非水溶媒に溶解した接着
塗料を半硬化状態に塗布乾燥した塗膜が有効であること
を見出した。
本発明に用いられるポリパラバン酸樹脂の具体例として
は、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとシア
ン化水素の反応により得られる、下記の一般式で示され
る芳香族ポリパラバン酸樹脂が挙げられる。
熱硬化成分としての芳香族系ポリアミック酸は下記の一
般式で示されるもので、例えば極性非水溶媒中でピロメ
リット酸無水物,ジアミノジフェニルエーテルを等モ
ル,低温下で重合させたポリアミック酸が用いられる。
式中R1からなる芳香族環、 R2からなる芳香族環を示す。
上記両樹脂を溶解する有機溶剤には、例えばジメチルア
セトアミド(DMAC),ジメチルホルムアミド(DMF),N
−メチルピロリドン等の極性非水溶媒が用いられる。ボ
イスコイルの支持紙管の材質は、耐熱性に優れ加熱処理
時の寸法変化も小さい全芳香族ポリアミド系の合成紙
(ノーメックス),ポリイミドフィルム(Kapton),ポ
リイミド含浸ガラス不織布,全芳香族ポリアミド繊維と
ガラス繊維からなる不織布,全芳香族ポリアミド繊維と
各種セラミック短繊維からなる複合合成紙、各種金属箔
が使用できる。
ポリパラバン酸樹脂と芳香族系ポリアミック酸からなる
熱硬化性樹脂接着塗料を絶縁導体上に半硬化状態に塗布
乾燥した自己融着性絶縁電線を、予め表面に上記熱硬化
性樹脂接着塗料を半硬化状態に塗布乾燥したコイル支持
紙管面に、極性非水溶媒を塗布し接着層を膨潤溶解させ
ながら密巻した後、加熱硬化して得た本発明に係るボイ
スコイルは紙管と線間が融着一体化し、強固な接着面を
形成する。
〔作用〕
本発明に係るポリパラバン酸樹脂と耐熱硬化成分として
の芳香族系ポリアミック酸からなる接着塗料を塗布乾燥
した塗膜面は、半硬化状態で機械的強度が高く、特にコ
イル巻線時に受ける張力,滑車面との摩耗に十分耐え、
また極性非水溶媒により再活性した接着層は耐熱接着力
に極めて優れる。これはポリパラバン酸樹脂が皮膜形成
特性に優れ、かつ皮膜の摩耗係数が小さく滑性に富み、
一方の芳香族系ポリアミック酸はアミック酸の状態では
極性非水溶媒によく溶解し、比較的低い温度の熱処理に
より簡単にイミドに変換し、ポリイミド樹脂本来の耐熱
性が得られるためである。
〔実施例〕
芳香族ピロメリット酸イミドの合成例 攪拌機,窒素導入管,乾燥管を付けた2500mlのセパラブ
ルフラスコに、その内部が無水状態になるよう十分乾燥
させた窒素ガスを通しながら、ビス(4−アミノフェニ
ル)エーテル100g(0.5モル)を秤量し入れ、脱水処理
を行なったジメチルアセトアミド1881gを加えて溶解さ
せる。この溶液を激しく攪拌しながら2〜3分かけてピ
ロメリット酸無水物109.0g(0.5モル)を投入する。酸
無水物を添加すると反応系が約40℃まで上昇するが、す
ぐに室温に戻る。さらに攪拌を室温で1時間続けると、
固有粘度が1.5〜3.0g/dl(0.5%DMAC溶液30℃)の芳香
族ピロメリットイミド酸の10%溶液2090gが得られた。
耐熱性ボイスコイルの製造法 (1)耐熱接着塗料の調整 ポリパラバン酸樹脂に、熱硬化成分として前記合成例で
調整した芳香族ポリアミック酸を加え、表−1に示す配
合組成の耐熱接着塗料を調整した。
(2)コイル支持紙管の製作 厚さ0.07mmのポリイミドガラスクロスに表−1の配合組
成の耐熱接着塗料を、厚さが0.010mmとなるようにバー
コーターで塗布し、120℃の恒温槽中に5分間置き、半
硬化状態の接着塗膜を有する2種類のコイル支持紙管,
試料1−A及び2−Aを製作した。
(3)自己融着性絶縁電線の製造 導体径0.26mmの銅線にポリアミドイミド絶縁塗料を仕上
外径が約0.280mmとなるように塗布焼付した絶縁導体上
に、表−1の配合組成の耐熱接着塗料を皮膜厚さが5μ
mとなるように均一に塗布し、極性非水溶媒で溶解,再
活性するように半硬化状態に焼付け、2種類の自己融着
性絶縁電線,試料1−B及び2−Bを製造した。
(4)耐熱ボイスコイルの製造 上記により得た2種類のコイル支持紙管,試料1−A及
び2−Aを、幅25mm長さ76mmの短冊形に切断し、接着塗
膜面を外側にし巻線治具に円筒状に取り、その上に表−
2に示す組合せで2種類の自己融着性絶縁電線,試料1
−B及び2−Bを、その表面にジメチルアセトアミド溶
剤を塗布し接着皮膜を膨潤,溶解させながら二層に106
ターン整列に巻回した。
巻線終了後巻線機より取外し、ボイスコイルを巻線治具
に取付けたまま120℃の恒温槽で15分間予備乾燥し、そ
の後230℃の恒温槽で30分間熱処理し、半硬化状態にあ
った線−線間及び線輪−紙管間の接着層を完全に硬化さ
せ、本発明に係る超耐熱ボイスコイルを得た。
得られたボイスコイルの耐熱特性をみるために、常温及
び加熱劣化後の接着力を測定した。接着力の測定は、線
輪の第一層と第二層との間の線−線間接着力及び第一層
と紙管表面との間の線−紙管間接着力について行なっ
た。測定方法は、両面にベアリングを埋込んだ円筒形の
ボイスコイル測定治具に口径25mmのボイスコイルを嵌め
込み、線輪の巻線端を歪計に接続し、測定治具を引張
り、接着力の強度を測定するものである。加熱劣化後の
接着力は、ボイスコイルを200℃,250℃300℃の各温度の
恒温槽中に24時間放置して劣化させた後、恒温槽付の引
張り試験機で180℃の温度雰囲気下で測定したものであ
る。測定結果を表−3に示す。
なお比較例として示したものは、ポリエステルイミドエ
ナメル銅線にポリアミドイミド−エポキシ系の接着塗料
をオーバーコートしてなる熱硬化型の自己融着性絶縁電
線を、予め上記熱硬化型接着塗料を塗布乾燥したコイル
支持紙管面に、メタノールを塗布しながら実施例と同一
条件で密巻し、加熱硬化したボイスコイルの接着特性で
ある。
〔発明の効果〕
本発明の方法により製造したボイスコイルは、コイル支
持紙管表面及び自己融着性絶縁電線の接着塗膜に用いる
接着塗料として、ポリパラバン酸樹脂とヘテロ環状オリ
ゴマーを主成分とした耐熱性樹脂を使用しているため、
両樹脂が有する化学特性から接着層の耐熱特性,機械的
特性が極めて優れ、従来のボイスコイルに比較してコイ
ル発熱が約100deg高くなっても十分に耐え、耐入力を約
30%も向上せしめ得た。本発明によりこのような超耐熱
ボイスコイルが得られたことは意義深く、小型,高出力
のスピーカー,業務用大出力のスピーカーなどに適用し
て大きな効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−226000(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリパラバン酸樹脂と下記の一般式で示さ
    れる芳香族系ポリアミック酸とを極性非水溶媒に溶解
    し、両溶液を混合せしめた熱硬化性樹脂接着塗料を絶縁
    導体上に半硬化状態に塗布乾燥した自己融着性絶縁電線
    を、予め表面に上記熱硬化性樹脂接着塗料を半硬化状態
    に塗布乾燥したコイル支持紙管面に、極性非水溶媒を塗
    布しながら密巻した後、加熱硬化することを特徴とする
    超耐熱ボイスコイルの製造法。 式中 からなる芳香族環、R2は、 からなる芳香族環を示す。
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