JPH0752278Y2 - 木質系防音床板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は木質系防音床板に関する。

［従来の技術］ 集合住宅等のコンクリート床スラブ上に直接貼着して施
工される床板として、実願平１−77982号（実開平３−1
5949号）に示されるように、木質化粧板、ゴムまたは合
成樹脂シート、木質基板、ゴムまたは合成樹脂シート、
木質基板、不織布等の布状物が積層された構成のものが
提案されている。この構成の床板は遮音等級値Ｌ−45〜
50を達成し、実用に供している。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、前記の構成の床板ではゴムまたは合成樹脂シ
ートが多層に渡って積層され、また不織布等の布状物を
使用しているため、歩行感や防音効果が良好であったが
ピアノや家具等の重量物を置くと大きな沈みが発生して
しまう問題点があった。そこでこの問題を解決するた
め、木質化粧板の下面に床下地接地面に凹凸を有する一
層からなる合成樹脂発泡体を貼着した構成が提案され
た。この構成だと、緩衝層を一層としたことにより重量
物による沈みを減少させることができたが、逆に緩衝部
が少なくなったことにより衝撃音が直進的に床下地へ伝
播され防音効果が多少低下する問題が生じた。この考案
は重量物を置いても著しい沈みが発生し難いにもかかわ
らず防音効果の優れた木質系防音床板を提供することを
目的としている。

［課題を解決するための手段］ 前記課題は、表面に薄い化粧単板を貼着した木質基板の
下面に、接着剤を介してゴム又は合成樹脂シートが貼着
され、その下面に接着剤を介して木質基板が貼着され、
その下面に接着剤を介して下面に凹凸を有し、この凹凸
が上下層間で部分的に同調している２層構造の合成樹脂
発泡体が貼着されたことを特徴とした木質系防音床板に
より解決される。

以下、この考案を実施例の図面を参照して詳しく説明す
る。

第１図は木質系防音床板の側面図を示している。

木質基板２は合板、パーティクルボード、MDF、LVL等を
基板とし、この表面に厚さが0.2〜1.0mm程度の薄い化粧
単板１が貼着され、厚さ2.0〜3.5mmの木質化粧板に形成
される。木質化粧板は薄い方が良いが薄すぎると床面か
らの荷重により割れたり凹んだりして床板としての耐久
性能に問題を生じるため、前記の範囲内が適当である。

木質基板２の下面にはゴムまたは合成樹脂シート３が貼
着される。ゴムまたは合成樹脂シート３は厚さが0.5〜
2.0mmの範囲でJIS K 6301号に規定するＣ計硬度計によ
る硬度が10〜40程度の範囲のものが沈み量も比較的少な
く十分に防音効果を発揮する。

ゴムまたは合成樹脂シート３の下面には木質基板４が貼
着される。木質基板４は前記の表面用の木質基板２と同
様で合板、パーティクルボード、MDF、LVL等が用いられ
る。厚さとしては５〜7mmと比較的厚いものが好まし
く、嵌合用の実８、９が形成される。また、コンクリー
ト床スラブ面への馴染みを良くするために、木質基板４
の下面から短手方向に木質基板２に達する位置まで一定
の間隔で切り溝を形成するとよい。

木質基板４の下面には、下面に凹凸を有し、この凹凸
５、７が上下層間で部分的に同調している２層構造の合
成樹脂発泡体６が貼着される。例えば凸部７を基準とし
た場合、同調する面積としては40〜70％前後が良い。40
％以下では床面で発生した衝撃音は床下地まで伝播する
間にその経路が大きく曲折するので、合成樹脂発泡体６
に吸収されやすく防音効果が向上する。ただし、床面か
らの荷重は合成樹脂発泡体６の層間で支持する部分が少
ないので沈みが発生して段差の原因となりやすい。ま
た、70％では衝撃音が伝播する経路の曲折が小さくて直
線的となりやすいので、衝撃音が床下地まで直進的に伝
播して防音効果は減少する。ただし、床面からの荷重に
対しては合成樹脂発泡体６の層間でも支持する部分が多
くなるので沈み量は減少する。合成樹脂発泡体６の下面
に設けた凹凸５、７は、第１図に示したように片側にの
み施した形状に限らず、打ち抜いて開口部を設けてもよ
い。また、合成樹脂発泡体６はポリエチレン樹脂やウレ
タン樹脂等が用いられ、発泡倍率20〜40倍程度で厚さ２
〜3mmの範囲のものを種々に組み合わせる。例えば20倍
（3mm）と20倍（3mm）、20倍（3mm）と30倍（3mm）、20
倍（4mm）と40倍（2mm）等が考えられる。

これらはゴム系やウレタン樹脂、アクリル樹脂系等の常
用の接着剤を用いて積層接着され、コンクリート床スラ
ブ面にエポキシ樹脂接着剤や湿気硬化型接着剤を用いて
施工される。

［作用］ この考案によれば、最下面に貼着された合成樹脂発泡体
が２層で、かつ該２層の下面に形成された凹凸部分が上
下層間で部分的に同調するように構成されていることに
より、布状物と比較して沈み量が少なく、かつ床面から
の衝撃音が合成樹脂発泡体内で緩和されつつ部分的に同
調した凸部によって衝撃音の伝播方向が曲折するので、
単に基板裏面に床下地接地面に凹凸を有する合成樹脂発
泡体を貼着した構成と比較してより一層隣室や階下室に
伝播し難くなり防音効果が向上する。

［実施例］ （実施例１）厚さ0.5mmのナラ化粧単板１、厚さ2mmの合
板２、厚さが1mmでJIS K 6301号に規定するＣ計硬度計
による硬度が27度のゴム系制振シート３、周辺部に嵌合
用の実８、９が形成された厚さ7mmの合板４、下面に深
さ1.5mmの凹部を設けた発泡倍率30倍で厚さ3mmのポリエ
チレン樹脂発泡シート６、６を２枚、凹部と凸部が全体
の60％の面積で同調するように積層接着して凹凸面を下
面側にし、これらを積層一体化して求める木質系防音床
板を得た。

（実施例２）実施例１において、合板４の下面から100m
m間隔で幅3mmの切り溝（図示せず）を形成して求める木
質系防音床板を得た。

そして、上記実施例１、２の木質系防音床板を厚さ150m
m相当のコンクリート板スラブ上にエポキシ樹脂接着剤
を用いて施工し、上面よりタッピングマシンによる軽量
床衝撃音を加え、コンクリート床スラブの下面から騒音
計を用いて周波数毎の騒音を測定し、遮音等級値（Ｌ）
を求めた。

試験の結果、第２図に示すように実施例１はＬ−50、実
施例はＬ−45に合格する性能であった。

また、これらの木質系防音床板の上面に家具等の重量物
を置いてみたが著しい沈みは認められなかった。

［考案の効果］ この考案によれば、最下面に貼着された合成樹脂発泡体
が２層で、かつ該２層の下面に形成された凹凸部分が上
下層間で部分的に同調するように構成されていることに
より、布状物と比較して沈み量が少なく、かつ床面から
の衝撃音が合成樹脂発泡体内で緩和されつつ部分的に同
調した凸部による衝撃音の伝播方向が曲折するので、単
に基板裏面に床下地接地面に凹凸を有する合成樹脂発泡
体を貼着した構成と比較して、より一層隣室や階下室に
伝播し難くなり防音効果が向上する。また、合成樹脂発
泡体の凹凸部分が上下層間で部分的に同調する面積率の
設定を適宜変更することにより、重量物を載置する箇所
など防音効果をあまり必要としないが重みで沈みが発生
し難い床板や、人が頻繁に歩行する箇所など疲れを感じ
させない柔らかな歩行感と防音効果を必要とする床板な
ど、使用目的に応じた防音床板を容易に構成することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例になる木質系防音床板の側面
図、第２図は遮音等級試験結果を示す。 １……化粧単板、２……木質基板 ３……ゴムまたは合成樹脂シート、４……木質基板 ６……合成樹脂発泡体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表面に薄い化粧単板（１）を貼着した木質
   基板（２）の下面に、接着剤を介してゴム又は合成樹脂
   シート（３）が貼着され、その下面に接着剤を介して木
   質基板（４）が貼着され、その下面に接着剤を介して下
   面に凹凸を有し、この凹凸が上下層間で部分的に同調し
   ている２層構造の合成樹脂発泡体（６）が貼着されたこ
   とを特徴とした木質系防音床板。