JPH0751573A - バナジウム−リン酸化物含有触媒前駆体の製造方法 - Google Patents

バナジウム−リン酸化物含有触媒前駆体の製造方法

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JPH0751573A
JPH0751573A JP6026254A JP2625494A JPH0751573A JP H0751573 A JPH0751573 A JP H0751573A JP 6026254 A JP6026254 A JP 6026254A JP 2625494 A JP2625494 A JP 2625494A JP H0751573 A JPH0751573 A JP H0751573A
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alkoxide
compound
catalyst precursor
phosphorus
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Masakatsu Hatano
正克 波多野
Masayoshi Murayama
正義 村山
Kenji Shima
賢二 志摩
Masumi Ito
ますみ 伊藤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)有機溶媒中に、5価のバナジウム化合
物を4価の原子価状態に還元できる還元剤の存在下、5
価のバナジウム化合物としてのバナジウムアルコキシド
と、リン化合物を導入し、(b)リン化合物の添加前又
は後にバナジウムアルコキシドの少なくとも一部を加水
分解し、(c)リン化合物の存在下、工程(b)で得ら
れたバナジウム含有液媒体を加熱することにより、バナ
ジウムの少なくとも一部を4価の原子価状態に還元す
る、ことを特徴とするバナジウム−リン酸化物含有触媒
前駆体の製造方法。 【効果】 良好な成績を与える触媒の形状の設計が可能
となり、工業的に有利な触媒製造プロセスが実現可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バナジウム−リン酸化
物触媒前駆体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バナジウム−リン酸化物は、例えば、炭
素数4以上の炭化水素の気相接触酸化反応による無水マ
レイン酸製造等、炭化水素またはカルボン酸の部分酸化
に有効な触媒成分であることは古くから広く知られてい
る。特に、低反応性であるn−ブタンからの無水マレイ
ン酸の製造の場合には、ピロリン酸ジバナジル〔(V
O)2 2 7 〕と呼ばれる化合物が触媒活性成分とし
て用いられている(E.Bordes,P.Court
ine,J.Catal.,57,236−252,
(1979))。
【0003】この触媒の調製方法は、通常、その前駆体
(プレカーサー)であるリン酸水素バナジル・1/2水
塩(VOHPO4 ・1/2H2 O)を焼成する方法が一
般的であり、該前駆体を加熱、焼成することにより、そ
の構造を保持しながらピロリン酸ジバナジルに転移させ
ることができることが知られている。かかるバナジウム
−リン酸化物触媒前駆体、すなわち、リン酸水素バナジ
ル・1/2水塩の製造方法としては、五酸化バナジウム
を塩酸水溶液に溶解させリン酸を加えた後に濃縮する方
法、五酸化バナジウムをリン酸の共存下、有機溶媒中で
還流する方法等が知られている。これらの製造方法に関
しては数多くの総説が書かれており、例えば、Hodn
ett et al.,CatalysisRevie
w,27,373,(1985)、Hutchings
et al.,Applied Catalysi
s,72,1,(1991)等、学問的にも関心が持た
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法で得られる触媒前駆体の多くは粒径が大きく、例え
ば、流動床用触媒として用いる場合にはミクロンオーダ
ーのサイズにまで粉砕する工程が必要とされる(例え
ば、特公平3−63429号公報参照)。また、このよ
うな粉砕処理を行わないで得られる触媒は、反応特性や
物理的強度の面等で粉砕処理を行った触媒より劣ってい
ることが報告されている(例えば、特公平3−5781
8号公報参照)。
【0005】
【課題を解決するための手段】触媒前駆体の形成時から
触媒の形状、結晶サイズなどを制御することができれば
粉砕工程は不要となり、触媒製造プロセスの簡略化を図
ることが可能になる。そこで、本発明者等は、バナジウ
ム−リン酸化物触媒前駆体の形状設計を可能にする方法
を開発することを目的として鋭意検討した結果、触媒前
駆体の生成工程を適切に規制することによって、触媒前
駆体の形態、大きさ等が充分に制御できることを見出
し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、(a)有機溶媒中
で、5価のバナジウム化合物を4価の原子価状態に還元
できる還元剤の存在下、5価のバナジウム化合物として
のバナジウムアルコキシドと、リン化合物を導入し、
(b)リン化合物の添加前又は後にバナジウムアルコキ
シドの少なくとも一部を加水分解し、(c)リン化合物
の存在下、工程(b)で得られたバナジウム含有液媒体
を加熱することにより、バナジウムの少なくとも一部を
4価の原子価状態に還元する、ことを特徴とするバナジ
ウム−リン酸化物含有触媒前駆体の製造方法に存する。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明の触媒前駆体の原料として使用する5価のバナジウム
化合物は、バナジウムアルコキシドである。このバナジ
ウムアルコキシドは、通常、アルコールと五酸化バナ
ジウムとの脱水縮合反応、バナジウムアルコキシドと
アルコール間の配位子交換反応、VOC3のような三
ハロゲンバナジルとアルコ−ルの脱ハロゲン化反応、な
どにより合成されるが、好ましくはの方法であり、最
も一般的には、炭素数1〜5のアルコールと五酸化バナ
ジウムとの脱水縮合反応により得られる化合物である。
具体的なバナジウムアルコキシドとしては、バナジウム
メトキシド、バナジウムエトキシド、バナジウム−n−
プロポキシド、バナジウム−n−ブトキシド、バナジウ
ム−i−ブトキシド等が挙げられる。
【0008】バナジウムアルコキシドは、通常、合成品
をそのまま使用すればよいが、上記のようなアルコール
とバナジウム化合物との脱水縮合反応後、同じ反応器中
において、そのまま本発明の触媒前駆体の製造に供して
もよい。この場合、原料バナジウム化合物を完全にアル
コキシドに変換しておく必要はないが、通常、原料バナ
ジウム化合物の少なくとも50%以上、好ましくは70
%以上、更に好ましくは80%以上をアルコキシドに変
換しておくことが望ましい。
【0009】本発明で用いるリン化合物としては、例え
ばオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、五酸化リ
ン、リン酸モノアンモニウム、リン酸ジアンモニウム、
リン酸トリアンモニウム等の5価のリン化合物が挙げら
れる。この内、好ましくはオルトリン酸であるが、オル
トリン酸としては、市販の85%リン酸でもよいし、ま
た、オルトリン酸とともにピロリン酸、メタリン酸を含
む混合リン酸、あるいは無水リン酸を用いてもよい。
【0010】以上の原料バナジウムアルコキシドとリン
化合物使用割合は、リン/バナジウムの原子比として、
通常1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.3であ
る。本発明で用いる有機溶媒は、アルコール類、カルボ
ン酸類、エーテル類、エステル類等の有機化合物の中か
ら適宜選択することができるが、還元性の有機化合物を
使用した場合は、該有化合物が反応系において溶媒と還
元剤を兼ねることになるので好ましい。かかる有機化合
物としては、酸化を受けやすい官能基を有するもの、あ
るいは、加熱・反応中に酸化を受けやすい官能基の生成
するものが挙げられ、典型的にはアルコール性水酸基を
有する化合物が好適である。このような化合物の中で
は、炭素数が3〜6程度の脂肪族アルコ−ルが特に好ま
しく、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ヘキサノ−ル、2−
メチルプロパノ−ル等が挙げられる。
【0011】また、有機溶媒中にて、別にヒドラジンや
シュウ酸等の還元剤を添加して還元することも可能であ
る。また、有機溶媒自身が還元力を有する場合でも、さ
らに強い還元力をもつベンジルアルコールなどの不飽和
アルコールや、その他の還元剤添加してもよい。本発明
では、一般に反応系の還元力を強めると、より小粒径の
鱗片状の触媒前駆体が得られやすい。かかる還元力の強
い反応系を形成する方法としては、有機溶媒として、炭
素数が3〜6の脂肪族アルコ−ルとベンジルアルコール
の混合液を用いる方法が好ましい一例である。なお、本
発明においては、バナジウムアルコキシドの加水分解工
程があるために溶媒は実質的に無水である必要はない。
以上の有機溶媒は、原料のバナジウムアルコキシドとリ
ン化合物の総量に対して、通常1〜30重量倍量、好ま
しくは2〜15重量倍量使用する。
【0012】本発明においては、以上のような原料化合
物を使用し、有機溶媒中で、5価のバナジウム化合物を
4価の原子価状態に還元できる還元剤の存在下、5価の
バナジウム化合物としてのバナジウムアルコキシドと、
リン化合物を導入し、リン化合物の添加前又は後にバナ
ジウムアルコキシドの少なくとも一部を加水分解するこ
とを特徴とする。
【0013】第一に、バナジウムアルコキシドの少なく
とも一部を加水分解した後にリン化合物と反応させる態
様について以下に説明する。バナジウムアルコキシドの
加水分解方法は、通常、バナジウムアルコキシドの有機
溶媒溶液に、加水分解に必要な量の水を加えて常温から
溶液の還流温度までの温度範囲、通常0〜150℃、好
ましくは20〜100℃の範囲で行う。加水分解のため
に添加する水の量は、バナジウムアルコキシド1モルに
対し、通常0.5〜20モル、好ましくは1〜5モルで
ある。なお、バナジウムアルコキシドの有機溶媒は、通
常、触媒前駆体の反応に用いる全量を使用してもよい
し、一部であってもよい。また、加水分解後に還元力の
強い溶媒を追加する方法も好適に実施される。
【0014】さらに、本発明においては、加水分解の
際、酸又は塩基を加えることにより、最終的に得られる
触媒前駆体の形状を制御することが可能である。すなわ
ち、塩基を加えると三次元的に発達した大きい粒径の触
媒前駆物体が得られやすく、逆に酸を加えると小さい粒
径の触媒前駆体が得られやすい。加水分解時のpHは、
所望する触媒前駆体の形状にもよるが、pHが通常0〜
12、特に1〜10の範囲である。
【0015】以上の加水分解の反応は、バナジウムアル
コキシドに水を添加した時点から速やかに進行し、比較
的、単時間で実質的に反応が完結していると考えられる
が、水を添加後、しばらくの間反応物をそのまま放置し
て熟成させてもよく、熟成時間は、通常0.1〜10時
間、好ましくは0.2〜1時間である。以上の加水分解
の後、リン化合物を添加し、また、場合によっては有機
溶媒あるいは還元剤を追加し、得られたスラリー状の溶
液を反応させ、バナジウム−リン酸化物触媒前駆体を形
成させる。この場合、通常、上記のスラリー状の溶液を
混合し、通常は有機溶媒の沸点程度、例えば50〜20
0℃に加熱・還流下で、バナジウムの全部または一部を
4価に還元するとともに、リン化合物と反応させ、4価
のバナジウム及びリンを含有する結晶性の酸化物粒子を
得る。また、この場合、リン化合物を添加する前に予め
加熱・還流下を行い、バナジウムの還元をある程度行っ
た後で、リン化合物を添加し、さらに再度、加熱・還流
する方法も可能である。触媒前駆体の形成に必要な加熱
・還流時間は、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜
10時間である。
【0016】上記の原料を得られる酸化物粒子は、必ず
しも結晶性は良好ではないが、リン酸水素バナジル・1
/2水塩を少なくとも一部に含有する。得られた粒子
は、蒸発乾固、噴霧乾燥、遠心分離、濾過等の固液分離
の一般的手法により触媒前駆体として取り出すことがで
きる。第二に、バナジウムアルコキシドの加水分解前に
リン化合物を添加して、バナジウムアルコキシドの加水
分解と、バナジウムの還元、さらに、リン化合物と反応
の反応を並行して行わせる態様について以下に説明す
る。
【0017】この場合、バナジウムアルコキシドを、リ
ン化合物を含む有機溶媒溶液中に添加し、得られたスラ
リー状の溶液を混合し、通常は有機溶媒の沸点程度、例
えば50〜200℃に加熱・還流下で、バナジウムの全
部または一部を4価に還元する。以上の反応の間の適当
な時期に、バナジウムアルコキシドの加水分解に必要な
量の水を反応液に加えることにより、リン化合物と反応
させ、4価のバナジウム及びリンを含有する結晶性の酸
化物粒子を得る。触媒前駆体の形成に必要な加熱・還流
時間は、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜10時
間であり、水の添加時期は、還流開始から0〜2時間の
間が望ましい。また、加水分解のために添加する水の量
は、バナジウムアルコキシド1モルに対し、通常、0.
5〜20モル、好ましくは1〜5モルである。
【0018】以上の方法で得られた酸化物粒子は、本発
明の前記の第一の態様の場合と同様に固液分離の一般的
手法により固体として取り出すことができる。さらに、
本発明では、以上の触媒前駆体生成工程において、他の
金属元素含有化合物を助触媒成分として添加することに
より、触媒の有効な修飾を行うことが可能である。用い
られる金属元素として好適なものとしては、クロム、
鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、ルテニウム及びジルコ
ニウムよりなる群から選ばれる一種あるいは二種以上の
金属元素が挙げられ、これらの金属元素の硝酸塩、塩化
物、硫酸塩、有機酸塩等を、反応の最初から、または、
リン化合物を添加した後に添加することにより触媒の有
効な修飾を行うことができる。これらの金属元素の添加
量は、バナジウム1モルに対し、通常0.001〜0.
30モル、好ましくは0.02〜0.10モルである。
【0019】以上述べた方法で得たバナジウム−リン酸
化物含有触媒前駆体は、通常は、最終的に、通常300
〜700℃で焼成することにより活性化させ、前駆体酸
化物の少なくとも一部をピロリン酸ジバナジルに転換さ
せて触媒として使用する。この焼成条件の例としては、
窒素雰囲気や窒素と空気を適当な割合で混合した雰囲
気、あるいは反応ガス雰囲気での加熱が挙げられる。
【0020】また、本発明の酸化物触媒の前駆体は、そ
のままバインダ−成分あるいは担体成分と混合し、乾
燥、加熱活性化するか、あるいは、前駆体を予め加熱し
て活性化後でバインダ−成分あるいは担体成分と混合
し、乾燥するなどした後、反応器の形態により必要に応
じて成型し、工業的な触媒とする。以上の触媒は、炭化
水素又はカルボン酸の部分酸化反応、特にn−ブタン、
1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、ベンゼ
ン等の炭素数4以上の炭化水素の気相酸化による無水マ
レイン酸の製造に好適に利用される。炭化水素原料とし
て特に経済的に有利なのはn−ブタン及びブテンであ
り、これらは天然ガスからの分離、或いはナフサクラッ
キング生成物からの分離などによって容易に得ることが
できる。 酸化反応の形式は流動床でも固定床でもよ
い。酸化剤としては空気あるいは分子状酸素含有ガスが
用いられる。原料炭化水素は通常0.1〜10容量%、
好ましくは1〜5容量%、酸素濃度は10〜30容量%
で行われる。反応温度は通常300〜550℃、好まし
くは350〜500℃であり、反応圧力は、通常、常圧
もしくは0.05〜10kg/cm2 Gの加圧下で行わ
れる。
【0021】
【作用】本発明では、有機溶媒中、還元剤存在下で、5
価のバナジウム化合物とリン化合物とを反応させてバナ
ジウム−リン酸化物有触媒前駆体を生成させるにあた
り、5価のバナジウム化合物原料としてバナジウムアル
コキシドを用いる。そして、該バナジウムアルコキシド
を加水分解して生成する五酸化バナジウムの水和ゲル状
物とリン化合物とを反応させる点に最大の特徴がある。
【0022】五酸化バナジウムの水和ゲル状物とリン化
合物との反応では、その反応条件を、適宜、選択するこ
とにより、従来、公知の方法と比較して、得られる触媒
前駆体の大きさ、形状、あるいは触媒とした際の反応性
などをより容易に制御することができる。例えば、バナ
ジウムアルコキシドを酸存在下で加水分解すると小粒径
の触媒前駆体が得られやすく、また、塩基存在下で加水
分解すると大粒径の触媒前駆体が得られやすく、更にバ
ナジウムの還元条件を強めると小粒径の触媒前駆体が得
られやすい。
【0023】以上のように、本発明において得られる触
媒前駆体の大きさ、形状などが容易に制御できる理由は
必ずしも明確ではないが、以下のようなことが推定され
る。従来、5価のバナジウム化合物原料として使用され
ているものは、主に五酸化バナジウムである。五酸化バ
ナジウムは、一般に結晶性が高いこと、また、リン酸な
どのリン化合物とは室温では全く反応せず、充分に加熱
してようやく反応することなどを考慮すると、その反応
性は高いとはいえない。従って、反応条件による生成触
媒前駆体の形状などへの影響は大きくないものと考えら
れる。
【0024】一方、、バナジウムアルコキシドを加水分
解して生成する五酸化バナジウムの水和ゲル状物は、多
くの場合、非結晶質と推定され、結晶性の五酸化バナジ
ウムそのものと比較すると、その表面での反応性が高
く、反応条件による生成触媒前駆体の形状などへの影響
を受けやすい状態にあるものと推定される。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明の態様を具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例によって限定されるものではない。また、表−1中
の触媒前駆体の平均径は、触媒前駆体を水中に分散した
後、レーザー散乱型の粒子径分布測定計で測定したもの
で、走査電子顕微鏡写真から得られる値と概略対応して
いる。
【0026】実施例1 バナジウム−n−ブトキシド30gを300ml三ツ口
フラスコに取り、150mlのイソブタノールを溶媒と
して加えた。ここに3.48gの水を溶かしたイソブタ
ノール溶液をゆっくり滴下すると、アルコキシドが加水
分解され、黄色沈澱が生成した。その後14.5gの8
5%リン酸を加え、攪拌しながら加熱し、還流を続ける
と青色の固形物が得られた。6時間、加熱・還流を行っ
た後、冷却、濾過して、触媒前駆体Aを得た。触媒前駆
体Aは、図1及び図2に示すような大きさ、形状を有し
ていた。
【0027】実施例2 バナジウム−n−ブトキシドの代わりにバナジウムエト
キシド21.2gを用いたこと以外は実施例1と同様に
して触媒前駆体Bを得た。触媒前駆体Bは、図3及び図
4に示すような大きさ、形状を有していた。
【0028】実施例3 五酸化バナジウム18.2gに、n−プロパノール60
mlとトルエン60mlを加え、90℃に加熱して生成
水を共沸除去し、バナジウムプロポキシドを合成した。
このとき、五酸化バナジウムの約60%がバナジウムプ
ロポキシドに返還されていた。かかる合成液にイソブタ
ノール70mlを加え、さらに水7.2mlを加えて加
水分解を行ったところ、ゲル状の沈澱が生成した。その
後、イソブタノール200ml、100%リン酸23.
8gを加え、攪拌しながら加熱し、還流を続けると青色
の固形物が得られた。10時間加熱・還流を行った後、
冷却、濾過して、触媒前駆体Cを得た。触媒前駆体C
は、図8に示すような大きさ、形状を有していた。
【0029】比較例1 五酸化バナジウム18.2g、85%リン酸27.7g
をイソブタノール200mlに加えた。該溶液につき、
加熱・還流を6時間行った後、得られた青色の固形物を
濾過分離して触媒前駆物質Dを得た。触媒前駆物質D
は、図5に示すような大きさ、形状を有していた。アル
コキシドを出発原料とした場合に較べて粒径は大きくな
り、また形状そのものにも差異が現れている。
【0030】実施例4 溶媒としてn−プロパノール100mlを用い、さらに
還元剤としてベンジルアルコール56.6gを加えたこ
と以外は実施例1と同様の手順で調製を行い、触媒前駆
体Eを得た。触媒前駆体Eは、図6に示すような大き
さ、形状を有していた。
【0031】実施例5 バナジウム−n−ブトキシド30gを300ml三ツ口
フラスコに取り、150mlのイソブタノールを溶媒と
して加え、昇温した。還流温度に達した後、14.5g
の85%リン酸、3.48gの水を溶かしたイソブタノ
ール溶液を順に加えた。そのまま還流を続けると青色の
固形物が得られた。6時間、加熱・還流を行った後、冷
却、濾過して、触媒前駆体Fを得た。
【0032】実施例6 水/ブタノール溶液を添加する際に、希塩酸でそのpH
を1に調整したこと以外は実施例1と同様にして調製を
行い、触媒前駆体Gを得た。 実施例7 水/ブタノール溶液を添加する際に、希アンモニア水で
そのpHを9に調整したこと以外は実施例1と同様にし
て調製を行い、触媒前駆体Hを得た。
【0033】実施例8 バナジウム−n−ブトキシド30gに、150mlのノ
ルマルプロパノールを溶媒として加えた。ここに3.4
8gの水を溶かしたn−プロパノール溶液をゆっくり滴
下してアルコキシドを加水分解した。14.5gの85
%リン酸、11.3gのベンジルアルコール、1.49
gの塩化第二鉄(六水塩)を加え、攪拌しながら昇温
し、還流を続けると青色の固形物が得られた。6時間、
加熱・還流を行った後、冷却、濾過して、触媒前駆体I
を得た。触媒前駆体Iは図7に示すような大きさ、形状
を有していた。
【0034】反応例1 実施例1〜8及び比較例1で得られた触媒前駆体を用い
てn−ブタンの気相接触酸化を行った。触媒前駆体を窒
素雰囲気下約600℃で焼成して錠剤に成型した後24
〜60meshに粉砕し、GHSV 1000hr-1
条件で反応を行った。分析はオンライン接続したガスク
ロマトグラフによって行った。最高無水マレイン酸収率
及びそれを与える最適反応温度/最適転化率を求めた。
結果を表−1にまとめて示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明方法によれば、良好な反応活性あ
るいは機械強度などを与えるような触媒の形状の設計が
可能となる。具体的には、従来の触媒の製造法において
は、バナジウム−リン酸化物触媒前駆体を製造の後、か
かる酸化物をペレット成形する際、あるいは噴霧乾燥の
ためのスラリー形成の際などにおいて、粉砕などの物理
的な手法で酸化物の粒径を調整する必要があったが、本
発明方法によればこの粉砕工程を省略することもでき、
簡便に工業触媒を得ることが可能である。
【0037】本発明で製造されるバナジウム−リン酸化
物触媒前駆体より得られる触媒は、飽和および不飽和の
炭化水素およびカルボン酸類の部分酸化、例えば、n−
ブタン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエ
ン、ベンゼン等の炭素数4以上の炭化水素からの無水マ
レイン酸の製造、イソブタンからのブテン、メタクリル
酸等の製造、プロパンからのアクリル酸、アクロレイン
等の製造、イソ酪酸からのメタクリル酸の製造などに好
適に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた触媒前駆体Aの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
【図2】実施例1で得られた触媒前駆体Aの結晶粒子一
個の形状を示す模式図である。
【図3】実施例2で得られた触媒前駆体Bの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
【図4】実施例2で得られた触媒前駆体Bの結晶粒子一
個の形状を示す模式図である。
【図5】比較例1で得られた触媒前駆体Dの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
【図6】実施例4で得られた触媒前駆体Eの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
【図7】実施例8で得られた触媒前駆体Iの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
【図8】実施例3で得られた触媒前駆体Cの粒子構造を
示す写真である(倍率6000倍)。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【図4】
【図1】
【図8】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 ますみ 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)有機溶媒中に、5価のバナジウム
    化合物を4価の原子価状態に還元できる還元剤の存在
    下、5価のバナジウム化合物としてのバナジウムアルコ
    キシドと、リン化合物を導入し、(b)リン化合物の添
    加前又は後にバナジウムアルコキシドの少なくとも一部
    を加水分解し、(c)リン化合物の存在下、工程(b)
    で得られたバナジウム含有液媒体を加熱することによ
    り、バナジウムの少なくとも一部を4価の原子価状態に
    還元する、ことを特徴とするバナジウム−リン酸化物含
    有触媒前駆体の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒中に、5価のバナジウム化合物
    の少なくとも50%以上をバナジウムアルコキシドに変
    換したものを導入する請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 バナジウムアルコキシドが、炭素数1〜
    5のアルコールと五酸化バナジウムとの脱水縮合反応物
    である請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 バナジウムアルコキシドとリン化合物の
    割合が、リン/バナジウムの原子比として1.0〜1.
    5である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機溶媒がアルコール類である請求項1
    〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 バナジウムアルコキシドの少なくとも一
    部を加水分解した後に、リン化合物と反応させる請求項
    1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 バナジウムアルコキシドの加水分解を酸
    または塩基存在下で行う請求項6の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機溶媒中で、5価のバナジウム化合物
    を4価の原子価の状態に還元できる還元剤の存在下、5
    価のバナジウム化合物としてのバナジウムアルコキシド
    と、リン化合物を導入した後、バナジウムアルコキシド
    の少なくとも一部を加水分解する請求項1〜5のいずれ
    かに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 触媒前駆体が、助触媒金属成分として、
    クロム、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、ルテニウム及
    びジルコニウムからなる群より選ばれる一種又は二種以
    上をを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 炭素数4以上の炭化水素の気相酸化に
    よる無水マレイン酸の製造用の触媒前駆体である請求項
    1〜9のいずれかに記載の製造方法。
JP6026254A 1993-01-29 1994-01-28 バナジウム−リン酸化物含有触媒前駆体の製造方法 Pending JPH0751573A (ja)

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