JPH0751070B2 - メナキノン−4の製造法 - Google Patents

メナキノン−4の製造法

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JPH0751070B2 JP23712886A JP23712886A JPH0751070B2 JP H0751070 B2 JPH0751070 B2 JP H0751070B2 JP 23712886 A JP23712886 A JP 23712886A JP 23712886 A JP23712886 A JP 23712886A JP H0751070 B2 JPH0751070 B2 JP H0751070B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、微生物によるメナキノン−4の製造法に関す
る。
メナキノン−4は、医薬用のビタミンK2として知られて
おり、血液の凝固を促進する脂溶性ビタミンで抗出血性
作用を有する重要な生理活性物質である。
〔従来技術、発明が解決しようとする問題点〕
メナキノン−4の従来の製造法としては、合成法および
動植物体組織からの抽出法などが知られている。しかし
ながら、前者は原料化合物の入手が困難なうえにコスト
高であり、また、後者は資源が限られ、かつ、抽出操作
が煩雑でありこれまたコスト高となり、しかも、供給が
不安定である。
一方、メナキノン−4を多量に生産する微生物を見出す
ことができれば、微生物は工業的に大量に生産すること
ができるので、メナキノン−4を容易に、しかも、多量
に生産できることになる。
このような目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、
メナキノン−4を生産しない菌体を親株として、これに
変異処理を行い、菌体内にメナキノン−4を生産する菌
株を得ることに成功して、これについてさきに特許出願
した(特願昭60−55458号)。しかしながら、これらの
菌株を用いるメナキノン−4の製造法は、その生産性が
不安定であり、しかも、実用に供し得る程、十分に高く
ないとの問題があった。
本発明は、前記のような、種々の問題点を解決するため
の発明である。
〔問題を解決するための手段、作用〕
前記の目的を達成すべく、本発明者らが鋭意検討をかさ
ねた結果、メナキノン−4生産菌を培養するに際して、
培養液中の溶存酵素濃度を制御することにより、メナキ
ノン−4を安定的に、かつ、生産性を向上させ得ること
を発見し、この発見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明は、メナキノン−4を生産する能力を
有する微生物を培養してメナキノン−4を生産するに際
し、微生物の増殖を実質的に制限することなく、かつ、
培養液中の溶存酸素濃度が該微生物の対数増殖期におい
て実質的に0〜0.5ppmとしたのちに上昇するように該溶
存酸素濃度を制御して該微生物を培養して該微生物の菌
体内のメナキノン−4の含有率を増大させることを特徴
とするメナキノン−4の製造法である。
本発明に使用される菌株は、メナキノン−4を生産する
微生物であればよく、いずれの菌株でもよい。しかしな
がら、現在の処、メナキノン−4を生産する野性株は知
られておらず、本発明者らが創製した菌株しか現存しな
いが、この菌株に限定されるものではない。
本発明者らが創製した菌株は、たとえば、次のようにし
て得られる。
すなわち、変異処理を行う親株としては、メナキノン−
5のような側鎖に5以上のイソプレン単位を有するメナ
キノンを生産する微生物が用いられる。一般に、メナキ
ノンを生産する微生物は放線菌および細菌であり、ま
た、メナキノン・タイプはメナキノン−5〜14であるの
で、これらすべてのメナキノン生産微生物を親株として
用いることが可能である。これらのメナキノン生産微生
物のうち、メナキノン−4生産菌株が得られる確率が高
いことから、メナキノン−6生産微生物が最も好まし
い。
メナキノン−6生産微生物としては、たとえば、スタフ
ィロコッカス シウリStaphylococcus sciuri,フラボバ
クテリウム アクアタイルFlavobacherium aquatile,フ
ラボバクテリウム プレヴエFlavobacterim breve,フラ
ボバクテリウム オドラツムFlavobacterim odoratum,
フラボバクテリウム サルフレウム ヴァル ミヤミズ
Flavobacterium sulfurem var miyamizu,フラボバクテ
リウム メニゴサプチクムFlavobacterium menigosapti
cum,チトファーガ アクアチリスCytophaga aquatilis
およびチトファーガ ジョンソナルCytophaga johnsona
lなどがあり、これらはいずれも公知菌である。
変異処理方法としては、通常行われている方法でよい
が、就中、UV(紫外線 以下同様)処理、N−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン処理およびエチ
ルメタノサルフアネート処理などが好ましい。
変異処理した後のメナキノン−4生産変異株は、いろい
ろな方法−たとえば、ランダムスクリーニング法、また
は、薬剤耐性株もしくは薬剤感受性株からのスクリーニ
ング等の方法により取得することができる。このときの
薬剤としては、通常はメナキノン生合成阻害物質が使用
される。メナキノン生合成阻害物質として、たとえば、
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ウスニン酸およびメ
ナジオンなどがある。
メナキノン−4生産株を得る代表的な方法を以下に記
す。親株としてフラボバクテリウム アクアタイルFlav
obacterium aquatile No.238−7(微工研菌寄第8113
号)を用いた。本菌株は、自然界より新たに分離された
菌株であるが、その分類学上の特徴から、バージエイズ
マニュアル オブ システマチック バクテリオロジ
ーBergey′s manual of systematic bacteriology第1
巻(1984)によりフラボバクテリウム アクアタイルと
同定した。なお、この菌株の菌学的性質は、「ビタミン
第58巻 第409〜419頁(1984)」に記載されている。
フラボバクテリウム アクアタイル No.238−7から、
たとえば、つぎのようにしてメナキノン−4生産株が得
られる。すなわち、液体培地中で予め生育増殖させたフ
ラボバクテリウム アクアタイル No.238−7の菌体を
N−メチル−N′−ニトロソグアニジンを含むりん酸緩
衝液(pH7.0)中に懸濁させ、これを振盪して変異処理
に付す。この菌体をりん酸緩衝液で洗浄した後、同様な
緩衝液中に懸濁させる。この菌体から、1−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸を含む寒天培地を使用して1−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸耐性株を取得する。これらの耐性
株の中からメナキノン−4を生産するフラボバクテリウ
ム アクアタイム HNA250−15(微工研菌寄第8114号)
が得られる。
さらに、フラボバクテリウム アクアタイルHNA250−15
を親株として、たとえば、つぎのようにしてメナキノン
−4の生産性がより高い菌株が得られる。すなわち、液
体培地で予め生育増殖させたフラボバクテリウム アク
アタイルHNA250−15をりん酸緩衝液(pH7.0)中に懸濁
させ、UV処理を行った。ウスニン酸を含む寒天培地を使
用してウスニン酸耐性株を採取する。これらの耐性株の
中から、親株であるフラボバクテリウム アクアタイル
HNA250−15に比べて明らかに高いメナキノン−4生産性
を有するフラボバクテリウム アクアタイル USN′−
2(微工研菌寄第8115号)が得られる。
さらに、フラボバクテリウム アクアタイル USN′−
2を親株として、たとえば、つぎのようにしてメナキノ
ン−4の生産性がさらに一層高い菌株が得られる。すな
わち、変異処理は前記と同様なUV処理に付し、メナジオ
ンを含む寒天培地を使用してメナジオン耐性株を取得す
る。これらの耐性菌の中から親株であるフラボバクテリ
ウム アクアタイル USN′−2に比べてメナキノン−
4生産性が明らかに一層高いフラボバクテリウム アク
アタイル K3−15(微工研菌寄第8116号)が得られる。
これらのメナキノン−4生産微生物を培養するに当たっ
て用いられる栄養培地は、微生物の培養に用いられる通
常の培地であればよく、炭素源、窒素源および無機塩類
などの培地成分を含有する培地である。
培地成分は、これらの微生物が資化しうる物質であれば
特に制限はない。
炭素源としては、通常は、たとえば、グルコース,フラ
クトース,シュークロース,マルトース,廃糖蜜,でん
粉,でん粉加水分解物などの炭水化物、グリセロール,
ソルビトールなどの糖アルコール類、アスパラギン酸,
グルタミン酸,リジン,アラニン,グリシン,プロリ
ン,メチオニンなどのアミノ酸類、乳酸,ピルビン酸,
酢酸,りんご酸,こはく酸,フマール酸,くえん酸,プ
ロピオン酸,脂肪酸などの有機酸類、エタノール,プロ
パノール,ブタノールなどのアルコール類を単独で、ま
たは、組み合わせて使用することができる。これらのう
ち、グリセロールが好ましい。
窒素源としては、たとえば、硫酸アンモニウム,硝酸ア
ンモニウム,りん酸アンモニウム,尿素,ペプトン,肉
エキスなどが用いられる。これらのうち、ペプトンが好
ましい。
無機塩類としては、りん酸塩,マグネシウム塩,鉄塩、
その他、必要に応じて微量金属塩が用いられる。
さらに、アミノ酸、核酸、ビタミン、酵母エキス,麦芽
エキスなどの生育促進物質も使用される。
一般に、KH2PO4,NaClおよび酵母エキスのそれぞれを添
加した場合には、メナキノン−4の含有率は増大され
る。また、使用菌株が栄養要求性を有する場合には、そ
の要求性物質を培地に添加する。
さらに、これらの微生物の培養に当たって用いられる前
記の培地に、イソペンテニルアルコール,ジメチルアリ
ルアルコール,ゲラニオール,フアルネソールなどのア
ルコール類およびシキミ酸,D−サクシニル安息香酸,L−
チロシン,パラヒドロキシフェニルピルビン酸,セダー
ウッドオイル,α−ピネン,ジフェニルアミンなどのそ
れぞれを添加することにより、無添加の場合に比して菌
体内のメナキノン−4の含有率が増大する傾向がある。
微生物の培養は、pH5〜8.5,培養温度20〜40℃として、
通気撹拌培養することにより行われる。メナキノン−4
の生産のためには、培養液中の溶存酸素濃度を通常の溶
存酸素計によって検知しつつ、微生物の増殖が実質的に
制限されることがなく、かつ、培養液中の溶存酸素濃度
がこの微生物の対数増殖期において実質的に0〜0.5ppm
としたのち、直ちに上昇するように、通気量および/ま
たは撹拌回転数を調節して溶存酸素濃度を制御する。な
お、微生物の対数増殖期における培養液中の溶存酸素濃
度が実質的に0〜0.5ppmとされる期間は、対数増殖期の
一時期でよいが、全期間にわたっても差支えない。前者
の場合には短くとも3時間程度とされる。なお、このと
きの溶存酸素濃度が0.5ppmを越えた場合および/または
この期間が3時間より短い場合には、菌体内のメナキノ
ン−4の含有率は増加しない。
溶存酸素濃度の上昇後において、溶存酸素濃度は1ppm以
上とされる。また、上限は、通常は、常圧における溶存
平衡酸素濃度であるが、ほぼ、8ppm程度とされる。
なお、これらの溶存酸素濃度の測定において、通常の溶
存酸素計には±0.2ppm程度の誤差があるので、この誤差
も考慮する必要がある。
生成されたメナキノン−4は、本質的にはそのほとんど
全量が微生物の菌体内に蓄積されるが、培養時に、ユニ
オン(商品名 高級アルコール),エマルゲン(商品名
ポリオキシエチレンオレイルエーテル),ブラウノン
(商品名 ノニルフェニルとヒマシ油との混合物)など
の非イオン性界面活性剤を培養液中に添加して培養する
ことにより、メナキノン−4の大部分を菌体外へ排出さ
せることも可能である。
菌体、培養液もしくは培養上澄液からのメナキノン−4
の分離回収は、常法によることができる。すなわち、菌
体からのメナキノン−4の分離回収は、たとえば、生菌
体もしくは乾燥菌体をアセトン中に懸濁させて60℃で2
時間抽出する。この抽出物の濃縮物からエーテルで抽出
し、この抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
にかけて得られたメナキノン−4画分を濃縮することに
より行われる。
培養液および培養上澄液のそれぞれからのメナキノン−
4の分離回収は、たとえば、培養液自体もしくは培養上
澄液自体またはこれらの液の濃縮物にヘキサン,ベンゼ
ンもしくはエチルエーテルなどの水に不溶な有機溶媒を
加え、メナキノン−4をこの有機溶媒層に転溶させてメ
ナキノン−4抽出物を得、この抽出物を濃縮した後、こ
の濃縮物をエーテルに溶解した溶液をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにかけ、得られたメナキノン−4画
分を濃縮することにより行われる。
メナキノン−4は、たとえば、高速液体クロマトグラフ
ィー,薄層クロマトグラフィー,UVスペクトル,IRスペク
トルおよびマススペクトルなどによって同定される。ま
た、定量法としては、たとえば、高速液体クロマトグラ
フィーが使用される。
〔実施例〕
本発明を実施例で具体的に説明する。なお、本発明は、
実施例に限定されるものではない。
実施例 1 A メナキノン−4生産株の取得: 親株として、メナキノン−6生産株であるフラボバクテ
リウム アクアタイル No.238−7(微工研菌寄第8113
号)を用いた。
ペプトン−グリセロール液体培地(M31培地−グリセロ
ール 10g,ポリペプトン 15g,酵母エキス 1g,K2PO4
3g,NaCl 2g,MgSO4・7H2O 0.2gおよび純水1000ml、pH
7.0)で30℃で24時間生育増殖させたフラボバクテリウ
ム アクアタイル No.238−7の菌体を、N−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン 100μg/mlを
含む0.1M(mole/以下同様)りん酸緩衝液(pH7.0)中
に108個/mlとなるように懸濁させてこの懸濁液を30℃で
30分間振盪した。その後、遠心分離機で集菌した菌体
を、0.1Mリん酸緩衝液で洗浄後、同様な緩衝液中に106
個/mlとなるように再び懸濁させた。1−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸 350μg/mlを添加したペプトン−グリ
セロール寒天平板培地(前記M−31培地に寒天 20g/
を添加したもの)上に前記の懸濁液 0.1mlを塗布し、
出現したコロニーを1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸耐
性株として取得した。これらの耐性株の中からメナキノ
ン−4生産株としてフラボバクテリウム アクアタイル
HNA250−15(微工研菌寄第8114号)を得た。
さらに、フラボバクテリウム アクアタイル HNA250−
15を親株として、つぎのようにして、菌体内のメナキノ
ン−4の生産性がより高い菌株が得られた。すなわち、
ペプトン−グリセロール液体培地で30℃、24時間生育増
殖させたフラボバクテリウム アクアタイル HNA250−
15を0.1Mりん酸緩衝液(pH 7.0)中に108個/mlとなる
ように懸濁させ、UV処理(10W紫外線ランプ2本、40c
m)を30秒行った。ウスニン酸 4μg/mlを添加したペ
プトン−グリセロール寒天平板培地上に前記のUV処理液
0.1mlを塗布し、出現したコロニーをウスニン酸耐性
株として採取した。これらの耐性株の中から親株である
フラボバクテリウム アクアタイル HNA250−15に比べ
てメナキノン−4生産性が明らかに高いフラボバクテリ
ウム アクアタイル USN′−2(微工研菌寄第8115
号)を得た。
さらに、フラボバクテリウム アクアタイル USN′−
2を親株として、前記と同様にUV処理を行い、メナジオ
ン 20μg/mlを添加したペプトン−グリセロール寒天平
板培地上に前記のUV処理液 0.1mlを塗布し、ここで出
現したコロニーをメナジオン耐性株として取得した。こ
れらの耐性菌の中から親株であるフラボバクテリウム
アクアタイル USN′−2に比べてメナキノン−4生産
性が明らかに一層高いフラボバクテリウム アクアタイ
ル K3−15(微工研菌寄第8116号)を得た。
B 培養: グリセロール液体培地(培地1当たり グリセロール
50g,ポリペプトン 20g,酵母エキス 3g,KH2PO4 6g,
NaCl 2gおよびMgSO4・7H2O 0.2gを含有する培地 pH
7.0)3を5容の小型ジヤーファーメンターに入
れ、120℃で30分間加熱殺菌を行い、同じグリセロール
液体培地を用いて30℃で1日間前培養(フラスコ培養)
されたフラボバクテリウム アクアタイル K3−15を接
種し、通気量0.1/min.,撹拌数400rpm,培養温度30℃で
6日間培養を行った 培養経過における菌体濃度(O.D 610mμ),溶存酸素濃
度およびメナキノン−4の生産量のそれぞれの経時変化
を第1図に示す。
第1図によれば、フラボバクテリウム アクアタイル
K3−15の増殖は実質的に制限されてはおらず(酸素が十
分に供給された場合の第3図の菌体濃度の変化と実質的
に異なる処はない)、対数増殖期において約1日間溶存
酸素濃度を実質的に零としたのち、溶存酸素濃度を直ち
に5ppmに上昇させて、この溶存酸素濃度を約3.5日間保
った。メナキノン−4の生産量は培養液中の溶存酸素濃
度を零とした直後には大きな増加速度で増加し、しか
も、極めて高い生産量となっていることが判る。
培養終了後、培養液を遠心分離して集菌し、これを乾燥
して乾燥菌体29.4gを得た。この乾燥菌体には、1g当た
り4.1mgのメナキノン−4が含有されていた。本実施例
におけるフラボバクテリウム アクアタイル K3−15の
メナキノン−4の生産量は培養液1当たり39.8mgであ
った。
比較例 1 通気量 1.0/min.撹拌数 200rpmで培養した他は、実
施例1と同様にフラボバクテリウム アクアタイル K3
−15を6日間培養した。
培養経過における菌体濃度(O.D610mμ),溶存酸素濃
度およびメナキノン−4の生産量のそれぞれの経時変化
を第2図に示す。
第2図によれば、溶存酸素濃度は2時間後には実質的に
零となり、その後も引き続いて実質的に零を維持し、フ
ラボバクテリウム アクアタイル K3−15の増殖は大幅
に制限され、メナキノン−4の生産量も小さく推移し
た。
培養終了後、培養液を遠心分離して集菌し、これを乾燥
して乾燥菌体8.7gを得た。この乾燥菌体には、1g当たり
0.6mgのメナキノン−4が含有されていた。本比較例に
おけるフラボバクテリウム アクアタイル K3−15のメ
ナキノン−4の生産量は培養液1当たり1.6mgであっ
た。
比較例 2 通気量 0.1/min.撹拌数 500rpmで培養した他は、実
施例1と同様にフラボバクテリウム アクアタイル K3
−15を6日間培養した。
培養経過における菌体濃度(O.D610mμ),溶存酸素濃
度およびメナキノン−4の生産量のそれぞれの経時変化
を第3図に示す。
第3図によれば、溶存酸素濃度は20時間後には4.2ppm程
度となり、その後も引き続いて4〜5ppmを維持し、フラ
ボバクテリウム アクアタイル K3−15の増殖は実質的
に制限されず、また、メナキノン−4の生産量も小さく
推移した。
培養終了後、培養液を遠心分離して集菌し、これを乾燥
して乾燥菌体34.5gを得た。この乾燥菌体には、1g当た
り0.9mgのメナキノン−4が含有されていた。本比較例
におけるフラボバクテリウム アクアタイル K3−15の
メナキノン−4の生産量は培養液1当たり3.3mgであ
った。
なお、実施例および比較例のそれぞれにおいて、メナキ
ノン−4の定量および培養液中の溶存酸素濃度の測定
は、それぞれ、高速液体クロマトグラフィおよび通常の
溶存酸素計によった。
〔発明の効果〕
本発明により、医薬用のビタミンK2として多量に使用さ
れているメナキノン−4を安定して、かつ、容易に工業
的に生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図は、それぞれ実施例1、比
較例1および比較例2における菌の培養経過に伴う菌体
濃度(曲線A)メナキノン−4の生産量(曲線B)およ
び溶存酸素濃度(曲線C)のそれぞれの経時変化を示
す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メナキノン−4を生産する能力を有するフ
    ラボバクテリウム属に属する微生物を培養してメナキノ
    ン−4を生産するに際し、微生物の増殖を実質的に制限
    することなく、かつ、培養液中の溶存酸素濃度が該微生
    物の対数増殖期において実質的に0〜0.5ppmとしたのち
    に上昇するように該溶存酸素濃度を制御して該微生物を
    培養して該微生物の菌体内のメナキノン−4の含有率を
    増大させることを特徴とするメナキノン−4の製造法
JP23712886A 1986-10-07 1986-10-07 メナキノン−4の製造法 Expired - Lifetime JPH0751070B2 (ja)

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