JP2574661B2 - 2−ケト−l−グロン酸生成菌 - Google Patents

2−ケト−l−グロン酸生成菌

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JP2574661B2
JP2574661B2 JP4820895A JP4820895A JP2574661B2 JP 2574661 B2 JP2574661 B2 JP 2574661B2 JP 4820895 A JP4820895 A JP 4820895A JP 4820895 A JP4820895 A JP 4820895A JP 2574661 B2 JP2574661 B2 JP 2574661B2
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健 坂根
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HATSUKO KENKYUSHO
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビタミンC(L−アス
コルビン酸)の合成前駆体として有用な2−ケト−L−
グロン酸を生成する細菌に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンC合成前駆体として有用な2−
ケト−L−グロン酸は、ライヒシュタイン法[ヘルベチ
カ・キミカ・アクタ(Helvetica Chimica Acta)第
17巻、311頁(1934)]によって工業的に生産さ
れてきた。しかし、この方法は工程数が多く、全体とし
ての収率の向上が期待できないため、もっと有効な生産
方法を見出すことが必要になってきた。ライヒシュタイ
ン法に代わる方法として、微生物により、グルコースか
ら5−ケト−グルコン酸を生成し、これを化学的または
微生物によりイドン酸とし、更にこれを微生物的に酸化
して2−ケト−L−グロン酸に導く方法(米国特許第2,
421,611号)やグルコースから微生物により2,5
−ジケト−D−グルコン酸を生成し、化学的または、微
生物により2−ケト−L−グロン酸に還元する方法(特
公昭39−14493号、特公昭53−25033号、
特公昭56−15877号、特公昭59−35920
号)が検討されてきた。しかし、これらの方法に用いら
れる化学的還元工程は、立体特異的でなく、前者ではD
−グルコン酸を、後者では、2−ケト−D−グルコン酸
を副生し収率の低下をきたす。また、この工程を微生物
により行う場合は、還元エネルギー源として余分の炭素
源を供給せねばならない。
【0003】また、L−ソルボースを出発原料として2
−ケト−L−グロン酸を製造する方法が知られており、
この場合は、酸化工程のみで、還元工程を含まずに製造
できる。この方法の例として今までに、グルコノバクタ
ー(Gluconobaster)属、シュードモナス属、セラチア
(Serratia)属、アクロモバクター(Achromobacter)
属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属の細菌を用いた方
法が知られている[バイオテクノロジー・アンド・バイ
オエンジニアリング(Biotechnology and Bioengine
ering)第14巻、799頁(1972)、特公昭41−1
59号、特公昭41−160号、米国特許第3,043,
749号、特公昭49−39838号、中国微生物学
報、第20巻、第246頁(1980)および第21巻、
第185頁(1981)、ソ連特許第526,660号参
照]。しかし、これまでに公表されている菌株によるL
−ソルボースからの2−ケト−L−グロン酸の生成収率
は極めて低く、到底工業的に利用し得るものではなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、L−ソ
ルボースから高収率で2−ケト−L−グロン酸を生成す
る微生物株を得るため、日本国内で採取した土壌試料か
ら多数の菌株を分離し、検索した結果、従来の知見を遥
かに上回る収率(消費糖当り約80%)を示す細菌、分離
菌株番号526−21、526−22および526−4
2の3菌株を見出した。これら3菌株について鋭意研究
を行い、今までに知られていないシュードモナス属の新
菌種であることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、極鞭毛を2本
以上有する運動性桿菌で、グリセロールからジハイドロ
オキシアセトンを生成せず、イソプレンユニット数10
のユビキノンを有し、生育にチアミン、リボフラビン、
およびパントテン酸を必須に要求するシュードモナス属
の新菌種であるシュードモナス・ソルボソキシダンスを
提供するものである。
【0006】本発明の細菌は、シュードモナス・ソルボ
ソキシダンスに属し、L−ソルボースを2−ケト−L−
グロン酸に酸化する能力を有する微生物であり、該微生
物またはその処理物を、L−ソルボースと接触させて、
2−ケト−L−グロン酸を生成、蓄積せしめ、これを採
取することを特徴とする2−ケト−L−グロン酸の製造
法に用いることができる。
【0007】本発明者らが見出した3菌株の分類学的性
状は、次の通りである。 (a)形態 (1)桿菌。0.3〜0.5×0.7〜1.4μm。 (2)多形性は認められない。 (3)運動性があり、2本以上の極鞭毛有する。 (4)胞子を形成しない。 (5)グラム陰性。 (6)非抗酸性。
【0008】(b)生育の状態 (1)肉汁寒天平板培養: 生育中程度。円形、全縁、平
滑、乳白色の集落を形成する。 (2)肉汁寒天斜面培養: 生育中程度。糸状、平滑、乳白
色。 (3)肉汁液体培養: 生育中程度。沈澱を生じる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養: 上部のみ生育するが、ゼラ
チンを液化しない。 (5)リトマスミルク: 酸性化するが、凝固、分解は認め
られない。
【0009】(c)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元は微弱。 (2)脱窒反応陰性。 (3)メチルレッド(MR)テストは弱陽性。 (4)フォーゲス・ブロスカウエル(VP)テストは弱陽
性。 (5)インドールを生成しない。 (6)硫化水素を生成しない。 (7)デンプンの加水分解は陰性。 (8)クエン酸の利用性は陰性。 (9)アンモニウム塩を窒素源として利用できる。 (10)色素の生成は認められない。 (11)ウレアーゼ陽性。 (12)オキシダーゼ陽性。 (13)カタラーゼ陽性。 (14)15〜36℃で生育し、至適生育温度は30℃付
近。pH5.5〜8.7で生育し、至適生育pHは6.0〜
7.5。 (15)好気的。 (16)ヒュー・ライフソンのOFテストは酸化的。 (17)L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコ
ース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ガラク
トース、麦芽糖、しょ糖、乳糖、トレハロースから微弱
に酸を生成するが、ガスは生成しない。D−ソルビッ
ト、D−マンニット、イノシット、グリセリン、デンプ
ンから酸、ガスを生成しない。
【0010】(d)その他の性質 (1)DNAのグアニンとシトシン含量は約67モル%で
ある。 (2)イソプレンユニット数10のユビキノンを有する。 (3)グリセロールからジハイドロオキシアセトンを生成
しない。 (4)生育にチアミン、リボフランビン、パントテン酸を
必須に要求し、ビオチン、カザミノ酸により生育を促進
される。
【0011】以上の分類学的性状を、バージーズ・マニ
ュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(Bergey's Manual of Systematic Bacteriolog
y)第1巻(1984年)に照合してみると、これら菌株は
いずれも、グラム陰性、極鞭毛を有する運動性桿菌で、
好気性、オキシダーゼ陽性であることから、シュードモ
ナス属の細菌種と考えるのが妥当である。生育にビタミ
ン、アミノ酸を要求すること、DNAのグアニンとシト
シンの含量が67モル%であることから、この属のセク
ションIVに分類される。また、イソプレンユニット数
10のユビキノンを有することから、このセクションの
シュードモナス・ディミニュータ(Pseudomonas dimin
uta)およびシュードモナス・ベシキュラリス(Pseudomo
nas vesicularis)に近縁な種と考えられる。しかしな
がら、鞭毛の着生数、糖の資化性等で、前記2菌種と異
なり、シュードモナス属の既知種の中に該当するものを
見出すことができず、この属の新菌種と判断した。そこ
でこれら3菌株をシュードモナス・ソルボソキシダンス
(Pseudomonas sorbosoxidans)と命名し、昭和61年
(1986年)4月11日に財団法人発酵研究所(IFO)
に、また昭和61年(1986年)4月26日に通商産業
省工業技術院微生物工業技術研究(FRI)に寄託した。
これらの3菌株は、その後、昭和62年4月3日にブタ
ペスト条約の下FRIに寄託した。3菌株の分離番号と
菌株保存機関の受託番号は次の通りである。 分離菌株番号 FRI受託番号 IFO受託番号 526−21 FERM P−8750 IFO 14501 (FERM BP−1334) 526−22 FERM P−8751 IFO 14502 (FERM BP−1335) 526−42 FERM P−8752 IFO 14503 (FERM BP−1336)
【0012】本発明の菌株としては、上記した3菌株は
勿論のこと、3菌株を紫外線やX線を照射したり、N−
メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(ニトロ
ソグアニジン)、メチルメタンスルホン酸、ナイトロジ
ェンマスタードのような変異誘起剤で処理して得られる
変異株も有利に用いられる。その例としてシュードモナ
ス・ソルボソキシダンス526−21からニトロソグア
ニジン処理によって誘導されたSB−15株を挙げるこ
とができる。SB−15株はL−ソルボースから2−ケ
ト−L−グロン酸生成能が増強されている他は、親株で
ある526−21株と同じ分類学的性質を示した。ま
た、該SB−15株は、昭和62年4月23日にIFO
に受託番号IFO14604として、昭和62年5月1
日にFRIに受託番号FERM BP−1356とそれ
ぞれ寄託された。前記菌株のいずれかを、L−ソルボー
スを含有する培地で培養してもよく、またL−ソルボー
スに前記菌株の菌体処理物を作用させてもよい。
【0013】本明細書中で用いる「菌体処理物」とは、前
記の菌株のいずれかを培養して得られる培養物の洗浄菌
体、アセトンパウダー、ポリアクリルアミドゲルまた
は、K−カラギーナン包括固定菌体等をいう。原料のL
−ソルボースは、培養当初から、使用する全量を培地に
加えてもよいし、何回かに分けるかまたは、連続的に培
養液に加えてもよい。L−ソルボースと前記細菌とを接
触させて行う反応では、L−ソルボースの濃度は、培地
に対して3〜30%(W/V)、好ましくは、5〜25%
(W/V)である。L−ソルボースと菌体処理物とを接触
させる方法としては、例えば、菌体処理物にL−ソルボ
ース、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(ME
S)緩衝液(0.5M、pH6.5)およびCaCO3を加え、
水で希釈して三角フラスコ中で振盪させる方法が挙げら
れる。L−ソルボースと前記菌体処理物を接触させて行
う反応のL−ソルボースの濃度は0.1〜10%(W/
V)、好ましくは0.3〜3%(W/V)であり、菌体処理
物の量は、処理前の乾燥菌体として1〜30mg/ml、好
ましくは3〜20mg/mlである。反応液のpHは、5.5
〜7.5に調製され、反応温度は約20〜40℃、反応
時間は約1〜100時間である。
【0014】前記細菌株の培養に用いられる培地は、こ
れらが利用し得る栄養源を含むものであれば、液状でも
固体状態でもよいが、大量のものを得るときには、液体
培地を用いるのが好ましい。該培地には、通常微生物の
培養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩類、有機酸塩
および微量栄養素が用いられる。炭素源としては、原料
であるL−ソルボースを使用できるが、補助炭素源とし
て、例えばグルコース、グリセリン、ショ糖、乳糖、麦
芽糖、糖蜜等が使用される。窒素源としては、例えばア
ンモニウム塩、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エ
キス、酵母エキス、乾燥酵母、綿実粕、尿素等の無機お
よび有機の窒素含有物が挙げられる。また、無機塩類と
しては、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛、銅および燐酸の
塩類が用いられる。微量栄養素としては、前記細菌株の
生育必須あるいは促進因子である、ビオチン、チアミ
ン、リボフラビン、パントテン酸およびアミノ酸類、ま
たはこれらを含有する天然物として適宜加えられる。培
養の手段は、静置培養でも、振盪培養あるいは通気撹拌
培養法等の手段を用いてもよいが、大量の処理は、いわ
ゆる深部通気撹拌培養によるのが望ましい。
【0015】培養条件は、使用する菌株、培地の組成、
その他によっても異なり、要するに目的物が最も効率よ
く生産されるように、個々の場合に応じて選択すればよ
い。例えば、培養は25〜35℃において行うのがよ
く、培地のpHは5〜9程度が望ましい。以上のような
条件下で、10〜120時間培養することにより、2−
ケト−L−グロン酸が最高濃度に蓄積される。なお、こ
の場合、目的物の生成に伴ってpHが低下するのが一般
的であるので、適当な塩基性物質、例えば苛性ソーダ、
苛性カリ、アンモニア等を添加して、常に微生物の2−
ケト−L−グロン酸生成に最も適したpHに保持するの
もよく、また培地中に適当な緩衝剤を添加して、最適な
pHが保持されるようにするのもよい。
【0016】このようにして、培養液中、または反応液
中に生成、蓄積された2−ケト−L−グロン酸は、その
性状を利用したそれ自体公知の手段で分離、精製するこ
とができる。2−ケト−L−グロン酸は遊離の酸として
分離してもよく、またはナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、アンモニウム等の塩として分離してもよい。分離
の方法としては、目的に反しない限り、いかなるもので
もよい。例えば、必要に応じて反応生成物から濾過、遠
心沈澱、あるいは活性炭処理等を行って菌体を除去した
後、この溶液をそのまま濃縮し、析出する結晶を濾取
し、更に再結晶させて目的物を取り出す方法、溶媒抽出
法、クロマトグラフィー法、塩析法等を単独または、適
宜組み合わせて、あるいは反復して利用することもでき
る。2−ケト−L−グロン酸が遊離型で得られる場合
は、これを適宜の方法によって、例えばナトリウム、カ
リウム、カルシウム、アンモニウム等の塩にしてもよ
く、また塩として得られる場合は、これを適宜の方法に
よって遊離型あるいは他の塩に変えてもよい。
【0017】本発明の細菌を用いて得られる目的物が、
2−ケト−L−グロン酸であることは、例えば元素分
析、融点、旋光度、赤外線スペクトル等の物理化学的諸
性質の測定によって同定された。反応液、培養液中に生
成した2−ケト−L−グロン酸の定量は、スルホン化ポ
リスチレンゲル充填カラム(島津製作所製、SCR−1
01Hカラム、7.9mm×30cm)を用いる高速液体クロ
マトグラフィー法(移動相:pH2.2の希硫酸、流量:0.
5ml/min、検出器:示差屈折計)で行い、標準品として
は、2−ケト−L−グロン酸ナトリウム1水塩の結晶を
使用した。また、2−ケト−L−グロン酸の検出は、薄
層クロマトグラフィー法で行った。セルロースプレート
(メルク社製)にサンプルをスポットし、フェノール:水:
ギ酸(75:25:5)の溶媒で室温下3時間展開後、プレ
ートを乾燥し発色させると、2−ケト−L−グロン酸
は、硝酸銀試薬では黒褐色の、o−フェニレンジアミン
試薬では黄色の、アニリンフタル酸試薬では桃色のスポ
ットをRf値0.3付近に与えることにより検出された。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。なお、培地の%は、重量/容量%を示す。 実施例1 グルコース2%、ポリペプトン(大五栄養化学社製)1
%、酵母エキス0.2%、NaCl 0.5%、寒天1.5%
(pH7.2)から成る試験管斜面培地上に28℃、2日間
培養したシュードモナス・ソルボソキシダンス526−
21(IFO14501、FERM P−8750)の菌
体1白金耳をグルコース2%、ポリペプトン1%、乾燥
酵母0.5%、CaCO3 2%から成る培地20mlを20
0ml容の三角フラスコに分注して、121℃、15分間
滅菌したものに接種し、28℃、2日間振盪(200rp
m)培養して、種培養液を得た。この種培養液2mlを、蒸
気滅菌した、ポリペプトン1%、カザミノ酸0.2%、
乾燥酵母0.5%、(NH4)2SO4 0.5%、Na223
・5H2O 0.05%、KH2PO4 0.03%、MgSO
4・7H2O 0.05%、FeSO4・7H2O 0.1%、
MnSO4・nH2O0.0005%、チアミン塩酸塩0.0
005%、CaCO3 6%、濾過除菌したL−ソルボー
ス15%から成る発酵培地25mlを200ml容の三角フ
ラスコ(滅菌済)に分注したものに接種して、28℃、3
日間振盪培養した。得られた発酵液を高速液体クロマト
グラフィーにより分析したところ、54.9mg/mlの2
−ケト−L−グロン酸(使用糖当りモル収率34.0%)
を含んでいた。この発酵液1000mlを遠心沈澱して、
菌体等の残渣を除去して得た上澄約980mlをアンバー
ライトIR120(ローム・アンド・ハース社製、H
+型、500ml)カラムに通し、ついで、約300mlの脱
イオン水で洗浄した。この通過液と洗浄液を合わせて、
苛性ソーダでpH6.5に調製した後、50℃で約50ml
まで減圧下で濃縮した。この濃縮液を5℃に24時間放
置することにより生じた無色柱状の結晶を濾取し、少量
の冷メタノールで洗浄後、室温、減圧下に五酸化燐上で
乾燥して38.5gの2−ケト−L−グロン酸モノナトリ
ウム1水塩を得た。得られた結晶の分析値は、融点:1
47〜155℃、元素分析値(C697Na・H2O):
理論値(C;30.78%、H;4.74%)、測定値(C;3
0.84%、H;4.89%)、比旋光度: [α]24 D−23.
3°(C=1.0、水)で、高速液体クロマトグラフィー
の保持時間と薄層クロマトグラフィーのRf値と試薬に
より発色した色調は、標準品のそれらと一致した。
【0019】実施例2 前記実施例1と同じ方法で、シュードモナス・ソルボソ
キシダンス526−22(IFO14502、FERM
P−8751)の種培養液を得た。この種培養液2ml
を、前記実施例1で用いた発酵培地の成分の中でNa2
23・5H2Oを0.1%に変えた培地25mlを200ml
容三角フラスコに分注したものに接種して、30℃、5
日間振盪培養した。得られた発酵液中には、72.9mg
/mlの2−ケト−L−グロン酸が含まれていた。(使用
糖当りモル収率45.1%)
【0020】実施例3 前記実施例1と同じ斜面培地に28℃、2日間成育させ
たシュードモナス・ソルボソキシダンス526−42
(IFO14503、FERM P−8752)の菌体1
白金耳を、グルコース2%、酵母エキス0.3%、コー
ンスチープリカー0.3%、カゼイン0.5%、CaCO3
2%から成る種培地20mlを200ml容三角フラスコ
に分注して、121℃、15分間蒸気滅菌したものに接
種し、28℃にて1日振盪培養して種培養液を得た。こ
の種培養液2mlをコーンスチープリカー2%、Na22
3・5H2O 0.05%、FeSO4・7H2O 0.1
%、(NH4)2SO4 0.3%、FMN 0.0001%、
ビオチン0.00005%、CaCO3 9%から成る培地
20mlを分注した200ml容マイヤーに分注し蒸気滅菌
したものに接種し、濾過除菌した40%L−ソルボース
液を、接種直後に3ml、16時間後に2ml、24時間後
に3ml、40時間後に2ml、48時間後に3ml添加しな
がら30℃、3日間振盪培養した。このようにして得ら
れた発酵液を高速液体クロマトグラフィーにより分析し
たところ、85.4mg/mlの2−ケト−L−グロン酸(使
用糖当りモル収率50.3%; 消費糖当りモル収率86.
0%)が含まれていた。
【0021】実施例4 実施例1で得られたシュードモナス・ソルボソキシダン
ス526−21(IFO14501、FERM P−8
750)の発酵液1000mlから遠心沈澱して得た沈澱
物を約100mlの冷生理食塩水(0.85%)に懸濁し、
1000rpm、5分間遠心して、主にCaCO3から成る
沈澱物を除き、上澄を更に9000rpm、10分間遠心
沈澱して、洗浄菌体を得た。これを35mlの冷生理食塩
水に懸濁したもの8mlに、L−ソルボース600mg、2
−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液
(pH6.5、0.5M)1mlとCaCO3 360mgを加え、
水で総量20mlとし、200ml容三角フラスコ中で30
℃、24時間振盪しながら反応させた。このようにして
得られた反応液中には、21.5mg/mlの2−ケト−L
−グロン酸(使用糖当りモル収率66.5%)が生成して
いた。
【0022】実施例5 シュードモナス・ソルボソキシダンス526−21株を
D−ソルビット2.5%、ペプトン1%、酵母エキス1
%、炭酸カルシウム0.2%、寒天2%からなる斜面培
地に30℃、3日間培養した。この菌体1白金耳をペプ
トン0.5%、酵母エキス0.5%、NaCl 0.2%(pH
7.0)からなるPY培地5mlを含む試験管に植菌し、2
8℃、16時間振盪培養した。得られた培養液2mlに、
1mgのニトロソグアニジンを溶解したPY培地1mlを加
え、28℃で30分間保温して変異剤処理した。この処
理液を170分間遠心分離(5000rpm)して菌体を集
め、これを10mlの新鮮なPY培地に懸濁し遠心分離
(5000rpm、10分間)して、洗浄菌体を得た。次
に、これを5mlのPY培地に懸濁し、28℃で3時間振
盪培養した。得られた培養液をPY培地で適当に希釈
後、その0.1mlをL−ソルボース10%と寒天2%を
加えたPY培地を含むプレート(直径9cm)に撒き、28
℃で7日間培養した。生じたコロニー359個を各々上
記斜面培地に移植し28℃、3日間培養した。各々の斜
面培地の菌体1白金耳をL−ソルボース10%、コーン
スチープリカー2%、乾燥酵母0.3%、Na223
5H2O 0.02%、FeSO4・7H2O 0.1%、硫
安0.3%、ペプトン0.2%、CaCO3 4%(pH6.
6)からなる培地3mlを含む試験管に植菌し、30℃で
5日間振盪培養した。得られたこれらの培養液を120
00rpmで5分間遠心分離し培養液上清を得る。この上
清を希硫酸(0.3N)で5倍に希釈後、再度遠心分離(1
2000rpm、5分間)して希釈上清を得た。これらの希
釈上清1μlをセルロースプレート(メルク社製・米国)
にスポットし、フェノール:水:ギ酸(75:25:5)の溶
媒系で室温で3時間展開した。このプレートを風乾後、
硝酸銀試薬で発色させた。Rf値3.0付近(2−ケト−
L−グロン酸に相当)に最も大きな黒褐色のスポットを
与えた株をSB−15株(IFO−14604、FER
M BP−1356)として選択した。
【0023】実施例6 実施例5で得たシュードモナス・ソルボソキシダンスS
B−15株をD−ソルビット2.5%、ペプトン1%、
酵母エキス1%、炭酸カルシウム0.2%、寒天2%(p
H7.0)からなる斜面培地に30℃、3日間培養した。
この菌体1白金耳を、グルコース2%、ペプトン1%、
酵母エキス1%、炭酸カルシウム2%(pH6.8)から成
る培地20mlを200ml容の三角フラスコに接種し、3
0℃、2日間振盪培養(200rpm)培養して、第1種培
養液を得た。第1種培養液1.5mlを上記と同じ培地を
含む同じフラスコに移植し、30℃で2日間振盪培養
し、第2種培養を得た。得られた第2種培養液2mlを蒸
気滅菌した。乾燥酵母0.5%、コーンスチープリカー
2%、FeSO4・7H2O 0.1%、Na223・5H
2O 0.05%、炭酸カルシウム4%、別滅菌したL−
ソルボース10%からなる発酵培地25mlを200ml容
の三角フラスコ(滅菌済)に分注したものに移植して30
℃で3日間振盪培養した。得られた発酵液を高速液体ク
ロマトグラフィーにより分析したところ、82.0mg/m
lの2−ケト−L−グロン酸を含んでいた。なお、この
時、同じ方法で培養した親株526−21株の2−ケト
−L−グロン酸生成量は47.1mg/ml(使用糖当りモル
収率76.1%)であった。
【0024】実施例7 シュードモナス・ソルボソキシダンスSB−15株を発
酵培地中のL−ソルボースとCaCO3濃度をそれぞれ1
3%と6%にした以外は、実施例6と同じ方法で培養し
た。得られた発酵液を高速液体クロマトグラフィーによ
り分析したところ、84.0mg/mlの2−ケト−L−グ
ロン酸を含んでいた。なお、この時、同じ方法で培養し
た親株526−21株の2−ケト−L−グロン酸蓄積量
は63.8mg/ml(使用糖当りモル収率60.0%)であっ
た。
【0025】
【発明の効果】本発明のシュードモナス・ソルボソキシ
ダンスを用いることにより、L−ソルボースから2−ケ
ト−L−グロン酸を収率よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極鞭毛を2本以上有する運動性桿菌で、
    グリセロールからジハイドロオキシアセトンを生成せ
    ず、イソプレンユニット数10のユビキノンを有し、生
    育にチアミン、リボフラビン、およびパントテン酸を必
    須に要求するシュードモナス・ソルボソキシダンス。
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