JPH04325096A - (R)−2−ハロプロピオン酸および(R)−2−ハロ−n−酪酸の製造法 - Google Patents

(R)−2−ハロプロピオン酸および(R)−2−ハロ−n−酪酸の製造法

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JPH04325096A
JPH04325096A JP3187105A JP18710591A JPH04325096A JP H04325096 A JPH04325096 A JP H04325096A JP 3187105 A JP3187105 A JP 3187105A JP 18710591 A JP18710591 A JP 18710591A JP H04325096 A JPH04325096 A JP H04325096A
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halo
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pseudomonas
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Kiyoshi Nakayama
清 中山
Tadashi Wada
正 和田
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性の医薬、農薬
、液晶化合物その他の合成中間体として有用な(R)−
2−ハロプロピオン酸および(R)−2−ハロ−n−酪
酸を生化学的に工業的に製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来(R)−2−ハロプロピオン酸およ
び(R)−2−ハロ−n−酪酸(以下両者を合せて(R
)−2−ハロ有機酸と略す)を生化学的に製造する方法
としては、2−ハロ酸デハロゲナーゼ(系統名、2−ハ
ロ酸ハリドヒドロラーゼ、国際生化学連合酵素委員会の
酵素分類命名規約に従った分類ではクラス〔3、8、1
.2〕)をそれぞれ(R,S)−2−ハロプロピオン酸
または(R,S)−2−ハロ−n−酪酸に作用させる方
法が知られている〔Eur.J.Biochem.21
,99〜109(1971),J.Biol.Chem
.243,428〜434(1968),Agric.
Biol.Chem.46,837〜838(1982
)〕。しかしながら、これらの方法で使用される細菌は
、シュードモナス属に属する細菌であるが、その生育培
地に、2位の炭素にハロゲンを結合して有する脂肪族有
機酸(例えばモノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、2−ハロ
プロピオン酸など)を含有する培地を使用することによ
ってはじめて2−ハロ有機酸デハロゲナーゼが誘導的に
生成されるものであり、この酵素の生成を誘導する物質
、すなわち上記ハロゲンを結合して有する脂肪族有機酸
は使用細菌の生育に阻害的に作用するため、生育培地か
らえられる細菌の量が制限され、そのため生育培地から
える酵素の収量も低い欠点を有する。従って同じ原料の
量からえる酵素量が少ないので大量の培地原料が必要と
なる。このため工業的製法としては不適なもので、ハロ
ゲン結合を有する有機酸をふくむ培地で生育した菌から
酵素を抽出してその性質が報告されているのみで、誘導
物質であるハロゲン結合を有する有機酸をふくまぬ生育
良好な培地に生育した菌を、1%あるいはそれ以上の濃
度の基質に作用させた例は全くない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題と課題を解決するための
手段】前記したように、従来の方法が培地からの菌体の
収量ひいては酵素の収量が低いため高濃度の基質から高
濃度に(R)−2−ハロ有機酸を生産するのに不適であ
る欠点を克服すべく種々研究を重ねた結果、目的に適し
たシュードモナス属の新菌株を新たに自然界から分離す
ることに成功した。そして菌の生育を阻害するハロゲン
化合物である酵素誘導物質を培地に加えなくても酵素を
生産する(構成性である)新菌株をハロゲン化合物を含
まないで良好な生育を与える培地に生育させることによ
り目的酵素活性の高い菌体を好収量でえて、この菌体ま
たはその処理物を(R,S)−2−ハロ有機酸に作用さ
せて、(S)−2−ハロプロピオン酸または(S)−2
−ハロ−n−酪酸(以下両化合物を合せて(S)−2−
ハロ有機酸と略す)を実質的に代謝して(R)−2−ハ
ロプロピオン酸または(R)−2−ハロ−n−酪酸(以
下両化合物を合せて(R)−2−ハロ有機酸と略す)を
残留させることにより工業的に有利な(R)−2−ハロ
有機酸の製法を発明するに至った。
【0004】
【作用】本発明に使用する微生物はシュードモナス属に
属し、2−ハロ酸デハロゲナーゼを構成的に生産する菌
株である。このような菌株は従来知られているような2
−ハロ酸デハロゲナーゼを誘導的に生成する菌株から突
然変異と選択により導くことも可能であるが、本発明者
らは自然界からの分離によってえることができた。具体
的な菌株の例としてはH1−1およびH−20をあげる
ことができる。両菌株の分類的性質は以下のとおりであ
る。
【0005】1.肉汁寒天培地に生育した菌の形態両菌
株とも桿菌で、H1−1は0.8〜0.7×1.9〜3
.5μ、H20は0.8〜1.1×1.3〜1.5μの
大きさであり、H20はやゝ短く短桿状である。両株と
も多形性はなく、運動性で、極べん毛1本を有する。胞
子をつくらず、グラム陰性で抗酸性はない。 2.肉汁寒天平板培地で、両菌株とも円形、扁平状、全
縁、平滑のコロニーをつくり、コロニーはバター状で光
沢あり、ベージュ〜クリーム色である。リトマス・ミル
ク培地で変色なく、ゼラチン培地でゼラチンを液化しな
い。 3.生理的性質 両菌株とも硝酸塩を還元せず、脱窒反応陰性、メチルレ
ッド反応陰性、Voges−Proskaner反応陰
性、インドールを生成せず、硫化水素を生成しない。ク
エン酸を利用し、硝酸塩、アンモニウム塩を利用する。
【0006】両菌株とも好気性でカタラーゼ陽性であり
、O−Fテストは酸化型である。生育のpHはH1−1
がpH5〜10であり、H−20はpH5〜8である。 生育温度はH1−1が20〜40℃で生育し、H−20
は20〜30℃で生育し、37℃では生育しない。 H1−1はウレアーゼ陽極、オキシダーゼ陽性であるが
H−20はウレアーゼ陰性、オキシダーゼ陰性である。
【0007】両菌株ともD−グルコース、D−フラクト
ース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−キシロ
ース、L−アラビノースを酸化的に利用し、マルトース
、シュクロース、ラクトース、でん粉を利用しない。 トレハロース、D−ソルビトール、D−マニトール、イ
ノシトールは、H1−1株は利用し、H−20は弱く利
用する。H1−1はグリセリンを利用し、H−20のグ
リセリ利用は微弱である。何れの糖でもガスの生成は認
められなかった。H1−1は可溶性蛍光色素を生成する
がH−20は生成しない。両菌株ともポリヒドロキシ酪
酸を蓄積せず、H1−1はアルギニンを分解し、H−2
0は分解しない。芳香環の分解形式はオルソ開裂である
。H1−1はポリヒドロキシ酪酸を蓄積せず、H−20
はこれを蓄積する。
【0008】以上の性質をバーゼーズ・マニュアル・オ
ブ・システマチック・バクテリオロジー(Bergey
’s  Manual  of  Systemati
c  Bacteriology)第2巻(1986年
)の記載と照合すると、両菌株はシュードモナス属の細
菌と認められる。シュードモナス属の中のセクション1
に属し、H1−1は蛍光色素をつくり、アルギニンを分
解するので、シュードモナス・エルギノーサ、シュード
モナス・フルオレッスンス、シュードモナス・クロラフ
ィス、シュードモナス・オーレオファシェンス、シュー
ドモナス・プチダの群に近く、脱窒反応、ゲラチン分解
の点でシュードモナス・エルギノーサと異なり、シュー
ドモナス・プチダにもっとも近いが40℃で生育する点
でこれとことなる。また40℃で生育する点で他の4菌
種とも異なる。H−20は、ポリヒドロキシ酪酸を蓄積
するが芳香環の開裂はオルソ型である。アルギニンを分
解せず、脱窒反応陰性である点ではシュードモナス・セ
パシア、シュードモナス・グラジオリに近いが可溶性色
素をつくらぬ点で異なる。
【0009】両菌株は一致する菌種を見いだせず、それ
ぞれシュードモナス属菌株H1−1およびシュードモナ
ス属菌株H−20として微生物工業技術研究所に寄託し
た。寄託番号は次のとおりである。 H1−1:微工研菌寄第12128号 H−20:微工研菌寄第12196号
【0010】本発明で使用する微生物は、野生株、変異
株の何れも使用でき、微生物の処理物、例えばアセトン
乾燥菌体、凍結乾燥菌体など、さらに菌体から抽出した
酵素を本発明に使用できる。さらに、固定化酵素、固定
化微生物も使用できる。これらの微生物を培養して、必
要な2−ハロ有機酸デハロゲナーゼ活性をふくむ菌体を
えるには、この分野の技術者によく知られている普通の
培養法によればよい。すなわち、グルコースその他微生
物の利用する炭素源、硫酸アンモニウムその他の窒素源
、無機塩、その他菌の必要とする生育因子を含む培地を
用いればよく、従来知られている(S)−ハロ有機酸を
特異的に代謝するシュードモナス属細菌のように、生育
培地に酵素の誘導物質としてのハロゲン結合を有する有
機化合物を加える必要はなく、そのため、誘導物質によ
る生育の阻害を受けることなく高濃度の菌体従って高収
量の2−ハロ酸デハロゲナーゼを培地からえることがで
きる。培地には固形培地、液体培地の何れも使用できる
【0011】このようにして培養によりえた2−ハロ酸
デハロゲナーゼをふくむ微生物菌体またはその処理物を
(R,S)−2−ハロ有機酸に作用させる方法は、基質
である(R,S)−2−ハロ有機酸をふくむ溶液に菌体
または処理物を加えて反応が進行する迄培養すればよい
が、微生物の生育した培養液に基質を加えて反応させて
もよく、また微生物の培養液から分離した菌体、洗浄菌
体、凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体などの物理、生化
学的に処理した菌体、菌体抽出液精製酵素標品、菌体お
よび酵素の固定化処理標品などの形でも基質と接触反応
させることができる。基質濃度は、バッチ式、連続式の
何れによるかによっても異なるが、バッチ式では一般に
媒質中0.1〜30%、好ましくは1〜10%程度で、
連続式ではこれよりやゝ濃度を低くした方がよい。反応
は普通0〜60℃、好ましくは25〜50℃附近、pH
7〜10、好ましくはpH8.5〜9.5で行われる。 反応時間は、静置、かく拌、流下などの手段あるいは酵
素標品の形態、力価によって異なってくるので一様でな
いが、バッチ式では通常1〜150時間程度である。
【0012】反応の進行は薄層クロマトグラフィーによ
る(S)−2−ハロ有機酸の消費、あるいは、(S)−
2−ハロ有機酸から2−ハロ酸デハロゲナーゼにより遊
離される塩素イオンを分析することによって追跡できる
。基質中の(S)−2−ハロ有機酸の代謝(脱塩素反応
)により基質中の(S)−2−ハロ有機酸が実質的にす
べて消費されて、その分量だけ基質として用いた2−ハ
ロ有機酸の濃度が減少した時点で反応を中止し、反応液
を微酸性に調整して、酢酸メチル、エーテル、塩化メチ
レンなどの溶媒で抽出することにより残留する(R)−
2−ハロ有機酸を回収することができる。
【0013】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。実施例1および2から本発明使用菌が2−ハロ酸デ
ハロゲナーゼを構成的につくることがわかる。また参考
例において2−ハロ有機酸が菌が生育に阻害的に働くこ
と、また本発明使用菌は(S)−2−ハロ有機酸を特異
的に代謝して生育に利用できるが(R)−2−ハロ有機
酸は代謝しないことが示されている。 実施例1 シュードモナス属菌株H1−1およびH−20を肉エキ
ス1%、ペプトン1%、酵母エキス1%、塩化ナトリウ
ム0.3%(pH7.2)の組成の培地と、この培地に
1%濃度に(R,S)−2−クロロプロピオン酸を加え
た培地(pH7.0)にそれぞれ植菌して、26℃で1
5時間振とう培養した種培養を、それぞれの種培養と同
じ組成の生育培地50mlを入れた300ml三角フラ
スコに5%の種菌量で植菌して、26℃、毎分220回
転で48時間振とう培養した。この培養から遠心分離に
よりえた菌体を洗浄、遠心分離を2回くり返して菌体を
洗浄後、100mg/mlの湿潤重量濃度に反応液(p
H7.0または9.0のトリス硫酸緩衝液)に加えた。 反応液中の基質〔(R,S)−2−クロロプロピオン酸
)の濃度は10mg/ml(92.2mM)とした。 この反応液5mlをふくむ試験管を30℃で22時間ゆ
るく振とうしながら培養したときの反応液中の塩素イオ
ン濃度を分析して2−クロロプロピオン酸の代謝率を計
算した。また残留する2−クロロプロピオン酸の濃度を
薄層クロマトグラフィーにより分析した。結果は表1に
示した如くで、代謝率は、生育培地中の2−クロロプロ
ピオン酸の有無に関係なく、再菌株が構成的に2−ハロ
酸デハロゲナーゼを生成する菌株であることがわかる。 また残留する2−クロロプロピオン酸は(R)−2−ク
ロロプロピオン酸であり、反応の進行はpH7.0より
pH9.0の方が速いこともわかった。
【表1】
【0014】実施例2 シュードモナス属細菌H1−1を、肉エキス1%、ペプ
トン1%、酵母エキス1%、塩化ナトリウム0.3%(
pH7.2)の組成の培地に振とう培養した種培養を生
育培地50mlをふくむ300ml三角フラスコに植菌
して26℃、毎分220回転で24時間振とう培養した
。生育培地としては、乳酸ナトリウム1%、燐酸1カリ
ウム0.3%、燐酸2カリウム0.1%、硫酸アンモニ
ウム0.5%、硫酸マグネシウム・7水塩0.01%、
微量元素溶液1ml/lの組成の培地(pH7.2)と
、同じ組成の培地に(R,S)−2−クロロプロピオン
酸0.2%を加えた培地(pH7.2)を使用した。微
量元素溶液は次の化合物を水にとかして1リットルとし
たものであるCaCl2・2H2O  10g、FeS
O4・7H2O  10g、MnSO4・4H2O  
5g、Na2MoO4・2H2O  5g、CuSO4
・5H2O  1g、ZnSO4・7H2O  1g、
CoCl2・6H2O  1g、NiCl2・6H2O
  1g、H3BO4  1g、EDTA・2Na  
20g。各生育培地で生育した菌を遠心分離により集め
て洗浄後さらに遠心分離により集菌してから以下の処理
をした。第1は菌体を凍結させ凍結乾燥機で一夜乾燥さ
せて凍結乾燥菌体をえた。重量は湿潤重量に対して凍結
乾燥後は22%の重量に乾燥された。第2は、菌体を少
量の水にけん濁したものを−20℃のアセトンに加え脱
水し、アセトンを除いて風乾し、乾燥菌体をえた(アセ
トン菌体)。第3は凍結乾燥菌体200mgを10ml
の緩衝液にけん濁して振とう後遠心分離して上澄液をえ
た(上澄液)。 太型試験管(25×200mm)に基質である(R,S
)−2−クロロプロピオン酸1%をふくむ200mM 
 NaHCO3−Na2CO3(pH9.5)緩衝液に
表2に示した如く、凍結乾燥菌体、アセトン菌体は10
0mg/10mlの濃度に加えた。上澄液には後から基
質を加えた。これらの反応湿液を26℃または40℃で
振とうまたは静置で反応させたときの24,48,72
時間での2−クロロプロピオン酸の代謝率は表2に示す
如くであった。表にみられる如く、2−クロロプロピオ
ン酸をふくむ培地からえた菌体処理物および、2−クロ
ロプロピオン酸をふくまぬ培地からえた菌体の処理物(
凍結乾燥菌体、アセトン菌体、上澄液)の何れでも50
%前後の2−クロロプロピオン酸代謝率がえられ、2−
ハロ酸デハロゲナーゼが構成的に生産されたことがわか
る。また反応は静置でもよく進行し、4℃でも充分進行
することがわかる。反応は24時間でほゞ完了し、さら
に長時間反応を続けても代謝率は増加せず、反応後に残
留する2−クロロプロピオン酸が(R)−2−クロロプ
ロピオン酸であったこととあわせて、(S)−2−クロ
ロプロピオン酸のみが代謝されることがわかる。
【表2】
【0015】実施例3 シュードモナス属細菌H1−1を、肉エキス1%、ペプ
トン1%、酵母エキス1%、塩化ナトリウム0.3%(
pH7.2)の組成の培地にて振とう培養した種培養を
、種培養培地と同じ組成の生育培地30mlをふくむ3
00ml三角フラスコに植菌して、26℃、毎分220
回転で24時間振とう培養後、遠心分離によりえた菌体
を生育培地と同じ濃度(湿重量で12.2g/l)に5
0mMNa2CO3−NaHCO3緩衝液(pH9.5
)に加えた。この反応混液にはまた基質である(R,S
)−2−クロロプロピオン酸を5%濃度に加えた。この
ような組成の反応混液100mlを300ml三角フラ
スコに入れて振とうしながら96時間反応させたとき、
加えた(R,S)−2−クロロプロピオン酸の46%が
減少し、反応液中に(R)−2−クロロプロピオン酸が
27g/lの濃度に、またD−乳酸が18g/1の濃度
に残留または生成した。反応液から菌体を遠心分離によ
り除いた液からエーテルを抽出剤として向流抽出装置を
用いて残存2−クロロプロピオン酸を抽出し、エーテル
層を分離濃縮して不溶物を濾別して、2−クロロプロピ
オン酸を回収した。1リットルの反応液から21.8g
をえた。このものの比旋光度は〔α〕20oD=+12
.0°(C=3.6、メタノール)であった。
【0016】実施例4 シュードモナス属細菌H1−1を実施例2と同様に培養
して、2−クロロプロピオン酸をふくまぬ生育培地から
生菌体および凍結乾燥菌体をえた。生菌体は11.9m
g/ml、凍結乾燥菌体は10mg/mlの濃度で、基
質〔(R,S)−2−クロロ−n−酪酸〕は1.0%の
濃度で50mM  Na2CO3−NaHCO3(pH
8.5または9.5)の緩衝液中で、26℃で静置のま
ゝ反応させ、反応24および48時間での反応液中の2
−クロロ−n−酪酸の分析から基質の代謝率を示したの
が第3表である。凍結乾燥菌体でpH9.5で48時間
反応した反応液中に残存する2−クロロ−n−酪酸をエ
ーテル抽出して濃縮してえた標品の旋光度は(〔α〕2
0D+8.9°、C=1.0、メタノール)から(R)
−2−クロロ−n−酪酸であることがわかった。
【表3】
【0017】実施例5 基質として(±)2−ブロモプロピオン酸または(R,
S)−2−ブロモ−n−酪酸を用いた。菌体は生菌体、
緩衝液は50mM  Na2CO3−NaHCO3(p
H9.5)を用いた。その他の条件は実施例4と同様に
実施した。結果は第4表に示す。48時間後の反応液中
に残存する2−ブロモプロピオン酸および2−ブロモ−
n−酪酸を抽出して濃縮してえた。それぞれの標品の旋
光度から残存して回収された2−ブロモプロピオン酸〔
〔α〕20D+17.1°(C=1、メタノール)〕、
2−ブロモ−n−酪酸〔〔α〕20D+20.0°(C
=1.0、メタノール)〕は何れも(R)体であること
がわかった。
【表4】
【0018】参考例 (2−クロロプロピオン酸による菌の生育阻害と立体異
性体の特異的代謝利用)燐酸2カリウム0.3%、燐酸
1カリウム0.1%、硫酸アンモニウム0.5%、硫酸
マグネシウム・7水塩0.01%、酵母エキス0.01
%、微量元素溶液(実施例2で用いたもの)1ml/l
(pH7.2)の組成の基礎培地に表5に示した濃度に
(S)−2−クロロプロピオン酸または(R)−2−ク
ロロプロピオン酸を加えてpHを苛性ソーダで中性とし
た培地5mlを試験管に入れたものにシュードモナス属
菌株H1−1を植菌して26℃で振とう培養し、24時
間、48時間、および5日培養したときの生育を測定し
た結果を表5に示す。
【表5】
【0019】表5の結果から、使用菌が(S)−2−ク
ロロプロピオンを特異的に代謝利用し、(R)−2−ク
ロロプロピオン酸は代謝利用しないことがわかる。また
酵母エキスを微量にしか含まない準合成培地では2−ク
ロロプロピオン酸は0.2%以上の濃度で菌の生育を阻
害することもわかる。
【0020】
【発明の効果】本発明により、合成法で安価に供給され
ている(R,S)−2−ハロプロピオン酸および(R,
S)−2−ハロ−n−酪酸から光学活性の医薬、農薬、
液晶化合物その他の中間体として有用な(R)−2−ハ
ロプロピオン酸および(R)−2−ハロ−n−酪酸を生
化学的に効率よく製造することができる。特にプロセス
に必要な酵素の生産が構成性である新菌株細菌を使用す
ることにより生産効率が著しく改善された。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  2−ハロ酸デハロゲナーゼを構成的に
    生成するシュードモナス属細菌またはその菌体処理物を
    (R,S)−2−ハロプロピオン酸もしくは(R,S)
    −2−ハロ−n−酪酸に接触せしめて、(S)−2−ハ
    ロ−プロピオン酸もしくは(S)−2−ハロ−n−酪酸
    を反応代謝させ、反応液中に(R)−2−ハロプロピオ
    ン酸もしくは(R)−2−ハロ−n−酪酸を残留せしめ
    ることを特徴とする(R)−2−ハロプロピオン酸およ
    び(R)−2−ハロ−n−酪酸の製造法。
  2. 【請求項2】  使用する細菌が2位の炭素にハロゲン
    を結合して有する脂肪族有機酸を含まぬ生育培地で生育
    した細菌である請求項1記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111094578A (zh) * 2017-09-28 2020-05-01 拜耳股份公司 手性α卤代链烷酸的制备方法

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