JP2797295B2 - 新規微生物および新規微生物を使用するメナキノン−4の製造法 - Google Patents
新規微生物および新規微生物を使用するメナキノン−4の製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、新規微生物およびこの新規微生物を使用し
たメナキノン−4の製造法に関する。 メナキノン−4は、医薬用のビタミンK2として知られ
ており、血液の凝固を促進する脂溶性のビタミンで抗出
血性作用を有する重要な生理活性物質である。 〔従来の技術,発明が解決しようとする問題点〕 メナキノン−4の製造法としては、合成法および動植
物組織からの抽出法が知られている。しかしながら、前
者は、原料の人手が困難なうえにコスト高であり、一
方、後者は、供給量が限られ、さらに、抽出操作が煩雑
なことも加わってコスト高を免れず、いずれも実用に適
している方法とはいい難い。 これに対して、メナキノン−4を多量に生成,蓄積す
る微生物および/または生成させる条件を見出すことが
できれば、メナキノン−4を大量に生産できるので、非
常に有利である。 本発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、新規
微生物の取得および微生物によるメナキノン−4の効率
のよい生産を目的とするものである。 〔問題を解決するための手段、作用〕 前記の目的を達成すべく、本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、メナキノン−4を生産しない菌株を親株として
変異処理を行い、菌体内および/または菌体外にメナキ
ノン−4を生産する菌株を得ることに成功してさきに特
許出願した(特開昭61−216696および特願昭61−4184
0)。その後、このメナキノン−4生産菌株についてさ
らに研究を重ねた結果、フラボバクテリウム属に属しス
ルホナミド耐性を有する新規な変異株を得、この新規変
異株がより優れたメナキノン−4生産能を有することを
見出し、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、メナキノン−4生産能を有する
フラボバクテリウム アクアタイルCD−31およびその変
異株であり、この新規微生物を培地に培養し,菌体およ
び培養液中のそれぞれにメナキノン−4を蓄積させ、該
菌体および培養液中のそれぞれから蓄積されたメナキノ
ン−4を採取することを特徴とするメナキノン−4の製
造法である。 本発明の新規微生物は、フラボバクテリウム属に属
し、メナキノン−4生産能を有する微生物に変異処理を
施して、スルホナミド耐性変異株を誘導することによっ
て得ることができる。 変異処理としては、通常の変異処理法、たとえば、紫
外線照射(UV処理)ならびにN−メチル−N′−ニトロ
−N−ニトロソグアニジン(NTG),エチルメタンサル
ファネート(EMS)および亜硝酸などの化合物をそれぞ
れ使用する化学処理などのそれぞれを施す常法が採用さ
れる。 本発明の新規微生物は、スルファグアニジン(sulfag
uanidine),スルファピリジン(sulfapyridine)また
はスルファチアゾール(sulfathiazole)などのスルホ
ナミドに対して耐性を有する。 この新規微生物の具体例としては、メナキノン−4生
産能を有するフラボバクテリウム アクアタイル(Flav
obacterium aquatile)K3−15(微工研菌寄 第8116
号)から誘導されたフラボバクテリウム アクアタイル
(Flavobacterium aquatile)CD−31(微工研菌寄 第9
194号)が挙げられる。 ここで使用されるフラボバクテリウム アクアタイル
K3−15は自然界より分離されたフラボバクテリウム ア
クアタイルNo.238−7(微工研菌寄 第8113号)(この
菌学的性質は、「ビタミン」第58巻,P409〜419,(198
4)に記載されている)を親株として、変異処理を3回
行って得られたものである。 以下に、フラボバクテリウム アクアタイルK3−15を
得る方法を説明する。 すなわち、液体培地中で予め生育増殖させたフラボバ
クテリウム アクアタイルNo.238−7の菌体をNTGを含
むリン酸緩衝液(pH7.0)中に懸濁させ、これを振盪し
て変異処理に付す。この菌体をリン酸緩衝液で洗浄した
後、同様な緩衝液中に懸濁させる。この菌体から、1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を含む寒天培地を使用し
て、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸耐性株 フラボバ
クテリウム アクアタイルHNA 250−15(微工研菌寄
第8114号)を得た。 さらに、フラボバクテリウム アクアタイルHNA250−
15を液体培地で予め生育増殖させ、リン酸緩衝液(pH7.
0)中に懸濁させ、UV処理を行った。ウスニン酸を含む
寒天培地を使用して、ウスニン酸耐性株USN−2(微工
研菌寄 第8115号)を得た。 さらにフラボバクテリウム アクアタイルUSN−2を
液体培地で生育増殖させ、リン酸緩衝液(pH7.0)中に
懸濁させ、UV処理を行った。メナジオンを含む寒天培地
を使用して、メナジオン耐性株K3−15(微工研菌寄 第
8116号)を得た。 このようにして得られたフラボバクテリウム アクア
タイルK3−15からフラボバクテリウム アクアタイルCD
−31が得られる。 このフラボバクテリウム アクアタイルCD−31の菌学
的性質は、メナキノン−4生産性およびスルホナミド耐
性を有する点で大きく異なる他はフラボバウテリウム
アクアタイルNo.238−7と実質的に異なる処はない。 このフラボバクテリウム アクアタイルCD−31は、生
成したメナキノン−4を菌体内に蓄積するとともに菌体
外へ排出する。 なお、この菌株の培養に際して、培地または、培養液
に、界面活性剤を添加することにより、メナキノン−4
の菌体外への排出量を増加させることができる。界面活
性剤としては、非イオン界面活性剤が好ましい。この界
面活性剤の代表例としては(商品名として表示する)、
ユニオン(高級アルコール)、エマルゲン(ポリオキシ
エチレンオレイルエーテル)、ブラウノン(ノニルフェ
ニル,ヒマシ油)、レオドール(ポリオキシエチレン
ソルビタン,テトラオレイン酸ポリオキシエチレレ
ン)、リカノン(ポリオキシエチレン オレイルエーテ
ル)、シルバン(ソルビタン モノパルミテート)、ア
ミゼット(ヤシ脂肪酸 モノエタノールアミド)および
ニューコール(特殊ノニオン)などがある。これらの界
面活性剤は、培地または培養液に添加されるが、培地ま
たは培養初期の培養液に添加することが好ましい。 培地または培養液の界面活性剤の濃度は0.01wt/v%
(以下%と記す)乃至生育抑制濃度の範囲内であればよ
く、使用する菌株、培養液の菌体濃度および界面活性剤
の種類などにより適宜選択されるが、通常は、0.01〜1
%程度、好ましくは0.01〜0.3%程度とされる。 この微生物を培養するにあたって用いられる栄養培地
は、炭素源、窒素源および無機塩などを含有する通常の
微生物培養用の培地が用いられる。 この炭素源としては、これらの微生物が資化しうるも
のであればよく、グルコース,フラクトース,シェクロ
ース,マルトース,廃糖蜜、でんぷん、でんぷん加水分
解物などの炭水化物、グリセロール、ソルビトールなど
の糖アルコール、アスパラギン酸,グルタミン酸,リジ
ン,アラニン,グリシン,プロリン,メチオニンなどの
アミノ酸、乳酸,ピルビン酸,酢酸,リンゴ酸,コハク
酸,フマール酸,クエン酸,プロピオン酸,脂肪酸など
の有機酸類,エタノール,プロパノール,ブタノールな
どのアルコール類を単独または組み合わせて使用するこ
とができる。これらのうちグリセロールが特に好まし
い。 窒素源としては、硫酸アンモニウム,尿素,硝酸アン
モニウム,リン酸アンモニウム,ペプトン,肉エキスな
どが用いられる。これらのうちポリペプトンが特に好ま
しい。 無機塩としては、リン酸塩,マグネシウム塩,鉄塩,
その他必要に応じて微量金属塩が用いられ、さらに、ア
ミノ酸,核酸,ビタミン,酵母エキス,麦芽エキスなど
の生育促進物質も使用される。一般に、K2HPO4,NAClお
よび酵母エキスをそれぞれ添加した場合には、メナキノ
ン−4の生成量は増大される。また、使用する菌株が栄
養要求性を示す場合には、その要求性物質を培地に添加
する。 さらに、これらの微生物の培養用いられる前記の培地
に、イソペンテニルアルコール,ジメチルアリルアルコ
ール,ゲラニオール,ファルネソールなどのアルコール
類およびシキミ酸,D−サクシニル安息香酸,L−チロシ
ン,パラヒドロキシフェニルピルビン酸,セダーウッド
オイル,α−ピネン,ジフェニルアミンなどを添加する
ことにより、これらを添加しない場合に比してメナキノ
ン−4の生産量が増大する傾向にある。 本発明で使用される微生物の培養は、pH5〜8.5、培養
温度20〜40℃で1〜10日間好気的に振盪培養または通気
培養することによって行われる。 メナキノン−4は菌体内に蓄積され、さらに、菌体外
に排出されるので、培養液を延伸分離または濾過して培
養上澄液と菌体とを分離した後、菌体および/または培
養上澄液から抽出、単離される。 菌体からメナキノン−4を単離するには、常法による
ことができる。すなわち、たとえば、生菌体または乾燥
菌体をアセトン中に懸濁し、60℃で2時間抽出する。こ
の抽出物を濃縮後、エーテルで抽出し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーを行い、メナキノン−4画分を分
取し、これを濃縮してメナキノン−4が得られる。 培養上澄液中からメナキノン−4を単離するには、常
法によることができる。すなわち、たとえば、培養上澄
液をそのまま、あるいは、濃縮した後、たとえば、ヘキ
サン,ベンゼン,およびエチルエーテルなどの水に不溶
な有機溶媒を加え、有機溶媒層へナメキソン−4を転溶
させ、メナキノン−4抽出物を濃縮後、エーテルに溶解
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、メナ
キノン−4画分を分取し、これを濃縮してメナキノン−
4が得られる。 メナキノン−4の同定は、高速液体クロマトグラフィ
ー,薄層クロマトグラフィー、UVスペクトル,IRスペク
トル,マススペクトルなどによって行った。また、メナ
キノン−4の定量法としては高速液体クロマトグラフィ
ーを使用した。 〔実施例〕 以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明す
る。 実施例1 (A)フラボバクテリウム アクアタイルCD−31の取得 ペプトン−グリセロール液体培地(M31培地)(グリ
セロール15g,酵母エキス1g,KH2PO4 3g,NaCl 2g,MgSO4・
7H2O 0.2gおよび純水1000ml,pH7.0)で30℃ 24時間生
育させたフラボバクテリウム アクアタイルK3−15をNT
G 100μg/mlを含む0.Mリン酸緩衝液(pH7.0)中に108個
/mlとなるように懸濁し、30℃30分間振盪した。その
後、遠心分離で集菌した菌体を0.1Mリン酸緩衝液で洗浄
し同様王な緩衝液中に106個/となるように懸濁した。
スルファグアニジン3.5g/mlを含むペプトン−グリセロ
ール寒天培地(前記ペプトン−グリセロール液体培地に
寒天20g/を添加したもの)上に前記の懸濁液0.1mlを
塗布し、出現したコロニーをスルファグアニジン耐性株
として採取した。これらの耐性株の中からメナキノン−
4を多量生産するフラボバクテリウム アクアタイルCD
−31(微工研菌寄 第9194号)を得た。 (B)メナキノン−4の製造 グリセロール60g/,ポリペプトン23g/,酵母エキ
ス3g/,K2HPO4 7g/,NaCl 5g/,MgSO・7H2O 0.8g/
を含む接地100mlを1容三角フラスコに入れ、120℃で
20分間加熱殺菌を行った。 前記と同様な培地を用いて30℃で1日間前培養(試験
管培養)して得られたフラボバクテリウム アクアタイ
ルCD−31の培養液を、培地に対して1容量%接種し、培
養温度30℃で回転振盪培養を行った。培養開始8日目に
培養を終了した。培養液のpHは、4.95であり、610nmの
吸光度(0.D610nm)は、15.0であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に、
46mg/および菌体中には培養液1あたり63mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、109mg/であった。 実施例2 本培養の培地中に、セダーウッドオイルを0.2%加え
た以外は、実施例1と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは4.85
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、17.5であっ
た。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に43
mg/,および菌体中には培養液1あたり89mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、132mg/であった。 実施例3 本培養の培地中に、リカノンを0.1%加えた以外は、
実施例1と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは6.7
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、7.8であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に94
mg/,および菌体中には培養液1あたり45mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、139mg/であった。 実施例4 本培養の培地中に、セダーウッドオイルおよびリカノ
ンをそれぞれ0.2%および0.1%加えた以外は、実施例1
と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは6.4
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、9.6であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に13
2mg/,および菌体中には培養液1あたり71mg/の
メナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、203mg/であった。 〔発明の効果〕 本発明の新規微生物は、メナキノン−4の生産性が高
く、この新規微生物を使用する本発明のメナキノン−4
の製造法によってメナキノン−4を容易にしかも効率良
く製造することができる。
たメナキノン−4の製造法に関する。 メナキノン−4は、医薬用のビタミンK2として知られ
ており、血液の凝固を促進する脂溶性のビタミンで抗出
血性作用を有する重要な生理活性物質である。 〔従来の技術,発明が解決しようとする問題点〕 メナキノン−4の製造法としては、合成法および動植
物組織からの抽出法が知られている。しかしながら、前
者は、原料の人手が困難なうえにコスト高であり、一
方、後者は、供給量が限られ、さらに、抽出操作が煩雑
なことも加わってコスト高を免れず、いずれも実用に適
している方法とはいい難い。 これに対して、メナキノン−4を多量に生成,蓄積す
る微生物および/または生成させる条件を見出すことが
できれば、メナキノン−4を大量に生産できるので、非
常に有利である。 本発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、新規
微生物の取得および微生物によるメナキノン−4の効率
のよい生産を目的とするものである。 〔問題を解決するための手段、作用〕 前記の目的を達成すべく、本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、メナキノン−4を生産しない菌株を親株として
変異処理を行い、菌体内および/または菌体外にメナキ
ノン−4を生産する菌株を得ることに成功してさきに特
許出願した(特開昭61−216696および特願昭61−4184
0)。その後、このメナキノン−4生産菌株についてさ
らに研究を重ねた結果、フラボバクテリウム属に属しス
ルホナミド耐性を有する新規な変異株を得、この新規変
異株がより優れたメナキノン−4生産能を有することを
見出し、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、メナキノン−4生産能を有する
フラボバクテリウム アクアタイルCD−31およびその変
異株であり、この新規微生物を培地に培養し,菌体およ
び培養液中のそれぞれにメナキノン−4を蓄積させ、該
菌体および培養液中のそれぞれから蓄積されたメナキノ
ン−4を採取することを特徴とするメナキノン−4の製
造法である。 本発明の新規微生物は、フラボバクテリウム属に属
し、メナキノン−4生産能を有する微生物に変異処理を
施して、スルホナミド耐性変異株を誘導することによっ
て得ることができる。 変異処理としては、通常の変異処理法、たとえば、紫
外線照射(UV処理)ならびにN−メチル−N′−ニトロ
−N−ニトロソグアニジン(NTG),エチルメタンサル
ファネート(EMS)および亜硝酸などの化合物をそれぞ
れ使用する化学処理などのそれぞれを施す常法が採用さ
れる。 本発明の新規微生物は、スルファグアニジン(sulfag
uanidine),スルファピリジン(sulfapyridine)また
はスルファチアゾール(sulfathiazole)などのスルホ
ナミドに対して耐性を有する。 この新規微生物の具体例としては、メナキノン−4生
産能を有するフラボバクテリウム アクアタイル(Flav
obacterium aquatile)K3−15(微工研菌寄 第8116
号)から誘導されたフラボバクテリウム アクアタイル
(Flavobacterium aquatile)CD−31(微工研菌寄 第9
194号)が挙げられる。 ここで使用されるフラボバクテリウム アクアタイル
K3−15は自然界より分離されたフラボバクテリウム ア
クアタイルNo.238−7(微工研菌寄 第8113号)(この
菌学的性質は、「ビタミン」第58巻,P409〜419,(198
4)に記載されている)を親株として、変異処理を3回
行って得られたものである。 以下に、フラボバクテリウム アクアタイルK3−15を
得る方法を説明する。 すなわち、液体培地中で予め生育増殖させたフラボバ
クテリウム アクアタイルNo.238−7の菌体をNTGを含
むリン酸緩衝液(pH7.0)中に懸濁させ、これを振盪し
て変異処理に付す。この菌体をリン酸緩衝液で洗浄した
後、同様な緩衝液中に懸濁させる。この菌体から、1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を含む寒天培地を使用し
て、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸耐性株 フラボバ
クテリウム アクアタイルHNA 250−15(微工研菌寄
第8114号)を得た。 さらに、フラボバクテリウム アクアタイルHNA250−
15を液体培地で予め生育増殖させ、リン酸緩衝液(pH7.
0)中に懸濁させ、UV処理を行った。ウスニン酸を含む
寒天培地を使用して、ウスニン酸耐性株USN−2(微工
研菌寄 第8115号)を得た。 さらにフラボバクテリウム アクアタイルUSN−2を
液体培地で生育増殖させ、リン酸緩衝液(pH7.0)中に
懸濁させ、UV処理を行った。メナジオンを含む寒天培地
を使用して、メナジオン耐性株K3−15(微工研菌寄 第
8116号)を得た。 このようにして得られたフラボバクテリウム アクア
タイルK3−15からフラボバクテリウム アクアタイルCD
−31が得られる。 このフラボバクテリウム アクアタイルCD−31の菌学
的性質は、メナキノン−4生産性およびスルホナミド耐
性を有する点で大きく異なる他はフラボバウテリウム
アクアタイルNo.238−7と実質的に異なる処はない。 このフラボバクテリウム アクアタイルCD−31は、生
成したメナキノン−4を菌体内に蓄積するとともに菌体
外へ排出する。 なお、この菌株の培養に際して、培地または、培養液
に、界面活性剤を添加することにより、メナキノン−4
の菌体外への排出量を増加させることができる。界面活
性剤としては、非イオン界面活性剤が好ましい。この界
面活性剤の代表例としては(商品名として表示する)、
ユニオン(高級アルコール)、エマルゲン(ポリオキシ
エチレンオレイルエーテル)、ブラウノン(ノニルフェ
ニル,ヒマシ油)、レオドール(ポリオキシエチレン
ソルビタン,テトラオレイン酸ポリオキシエチレレ
ン)、リカノン(ポリオキシエチレン オレイルエーテ
ル)、シルバン(ソルビタン モノパルミテート)、ア
ミゼット(ヤシ脂肪酸 モノエタノールアミド)および
ニューコール(特殊ノニオン)などがある。これらの界
面活性剤は、培地または培養液に添加されるが、培地ま
たは培養初期の培養液に添加することが好ましい。 培地または培養液の界面活性剤の濃度は0.01wt/v%
(以下%と記す)乃至生育抑制濃度の範囲内であればよ
く、使用する菌株、培養液の菌体濃度および界面活性剤
の種類などにより適宜選択されるが、通常は、0.01〜1
%程度、好ましくは0.01〜0.3%程度とされる。 この微生物を培養するにあたって用いられる栄養培地
は、炭素源、窒素源および無機塩などを含有する通常の
微生物培養用の培地が用いられる。 この炭素源としては、これらの微生物が資化しうるも
のであればよく、グルコース,フラクトース,シェクロ
ース,マルトース,廃糖蜜、でんぷん、でんぷん加水分
解物などの炭水化物、グリセロール、ソルビトールなど
の糖アルコール、アスパラギン酸,グルタミン酸,リジ
ン,アラニン,グリシン,プロリン,メチオニンなどの
アミノ酸、乳酸,ピルビン酸,酢酸,リンゴ酸,コハク
酸,フマール酸,クエン酸,プロピオン酸,脂肪酸など
の有機酸類,エタノール,プロパノール,ブタノールな
どのアルコール類を単独または組み合わせて使用するこ
とができる。これらのうちグリセロールが特に好まし
い。 窒素源としては、硫酸アンモニウム,尿素,硝酸アン
モニウム,リン酸アンモニウム,ペプトン,肉エキスな
どが用いられる。これらのうちポリペプトンが特に好ま
しい。 無機塩としては、リン酸塩,マグネシウム塩,鉄塩,
その他必要に応じて微量金属塩が用いられ、さらに、ア
ミノ酸,核酸,ビタミン,酵母エキス,麦芽エキスなど
の生育促進物質も使用される。一般に、K2HPO4,NAClお
よび酵母エキスをそれぞれ添加した場合には、メナキノ
ン−4の生成量は増大される。また、使用する菌株が栄
養要求性を示す場合には、その要求性物質を培地に添加
する。 さらに、これらの微生物の培養用いられる前記の培地
に、イソペンテニルアルコール,ジメチルアリルアルコ
ール,ゲラニオール,ファルネソールなどのアルコール
類およびシキミ酸,D−サクシニル安息香酸,L−チロシ
ン,パラヒドロキシフェニルピルビン酸,セダーウッド
オイル,α−ピネン,ジフェニルアミンなどを添加する
ことにより、これらを添加しない場合に比してメナキノ
ン−4の生産量が増大する傾向にある。 本発明で使用される微生物の培養は、pH5〜8.5、培養
温度20〜40℃で1〜10日間好気的に振盪培養または通気
培養することによって行われる。 メナキノン−4は菌体内に蓄積され、さらに、菌体外
に排出されるので、培養液を延伸分離または濾過して培
養上澄液と菌体とを分離した後、菌体および/または培
養上澄液から抽出、単離される。 菌体からメナキノン−4を単離するには、常法による
ことができる。すなわち、たとえば、生菌体または乾燥
菌体をアセトン中に懸濁し、60℃で2時間抽出する。こ
の抽出物を濃縮後、エーテルで抽出し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーを行い、メナキノン−4画分を分
取し、これを濃縮してメナキノン−4が得られる。 培養上澄液中からメナキノン−4を単離するには、常
法によることができる。すなわち、たとえば、培養上澄
液をそのまま、あるいは、濃縮した後、たとえば、ヘキ
サン,ベンゼン,およびエチルエーテルなどの水に不溶
な有機溶媒を加え、有機溶媒層へナメキソン−4を転溶
させ、メナキノン−4抽出物を濃縮後、エーテルに溶解
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、メナ
キノン−4画分を分取し、これを濃縮してメナキノン−
4が得られる。 メナキノン−4の同定は、高速液体クロマトグラフィ
ー,薄層クロマトグラフィー、UVスペクトル,IRスペク
トル,マススペクトルなどによって行った。また、メナ
キノン−4の定量法としては高速液体クロマトグラフィ
ーを使用した。 〔実施例〕 以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明す
る。 実施例1 (A)フラボバクテリウム アクアタイルCD−31の取得 ペプトン−グリセロール液体培地(M31培地)(グリ
セロール15g,酵母エキス1g,KH2PO4 3g,NaCl 2g,MgSO4・
7H2O 0.2gおよび純水1000ml,pH7.0)で30℃ 24時間生
育させたフラボバクテリウム アクアタイルK3−15をNT
G 100μg/mlを含む0.Mリン酸緩衝液(pH7.0)中に108個
/mlとなるように懸濁し、30℃30分間振盪した。その
後、遠心分離で集菌した菌体を0.1Mリン酸緩衝液で洗浄
し同様王な緩衝液中に106個/となるように懸濁した。
スルファグアニジン3.5g/mlを含むペプトン−グリセロ
ール寒天培地(前記ペプトン−グリセロール液体培地に
寒天20g/を添加したもの)上に前記の懸濁液0.1mlを
塗布し、出現したコロニーをスルファグアニジン耐性株
として採取した。これらの耐性株の中からメナキノン−
4を多量生産するフラボバクテリウム アクアタイルCD
−31(微工研菌寄 第9194号)を得た。 (B)メナキノン−4の製造 グリセロール60g/,ポリペプトン23g/,酵母エキ
ス3g/,K2HPO4 7g/,NaCl 5g/,MgSO・7H2O 0.8g/
を含む接地100mlを1容三角フラスコに入れ、120℃で
20分間加熱殺菌を行った。 前記と同様な培地を用いて30℃で1日間前培養(試験
管培養)して得られたフラボバクテリウム アクアタイ
ルCD−31の培養液を、培地に対して1容量%接種し、培
養温度30℃で回転振盪培養を行った。培養開始8日目に
培養を終了した。培養液のpHは、4.95であり、610nmの
吸光度(0.D610nm)は、15.0であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に、
46mg/および菌体中には培養液1あたり63mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、109mg/であった。 実施例2 本培養の培地中に、セダーウッドオイルを0.2%加え
た以外は、実施例1と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは4.85
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、17.5であっ
た。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に43
mg/,および菌体中には培養液1あたり89mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、132mg/であった。 実施例3 本培養の培地中に、リカノンを0.1%加えた以外は、
実施例1と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは6.7
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、7.8であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に94
mg/,および菌体中には培養液1あたり45mg/のメ
ナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、139mg/であった。 実施例4 本培養の培地中に、セダーウッドオイルおよびリカノ
ンをそれぞれ0.2%および0.1%加えた以外は、実施例1
と同様にして培養した。 培養開始8日目に培養を終了した。培養液のpHは6.4
であり、610nmの吸光度(0.D610nm)は、9.6であった。 培養液を遠心分離し、培養上澄液中および菌体中のメ
ナキノン−4含量を測定したところ、培養上澄液中に13
2mg/,および菌体中には培養液1あたり71mg/の
メナキノン−4を含んでおり、メナキノン−4の生産性
は、203mg/であった。 〔発明の効果〕 本発明の新規微生物は、メナキノン−4の生産性が高
く、この新規微生物を使用する本発明のメナキノン−4
の製造法によってメナキノン−4を容易にしかも効率良
く製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12R 1:20)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.メナキノン−4生産能を有するフラボバクテリウム
アクアタイルCD−31およびその変異株。 2.メナキノン−4生産能を有するフラボバクテリウム
アクアタイルCD−31および/またはその変異株を培地
に培養し、菌体および培養液中のそれぞれにメナキノン
−4を蓄積させ、該菌体および培養液中のそれぞれから
蓄積されたメナキノン−4を採取することを特徴とする
メナキノン−4の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62029722A JP2797295B2 (ja) | 1987-02-13 | 1987-02-13 | 新規微生物および新規微生物を使用するメナキノン−4の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62029722A JP2797295B2 (ja) | 1987-02-13 | 1987-02-13 | 新規微生物および新規微生物を使用するメナキノン−4の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63198993A JPS63198993A (ja) | 1988-08-17 |
JP2797295B2 true JP2797295B2 (ja) | 1998-09-17 |
Family
ID=12284003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62029722A Expired - Lifetime JP2797295B2 (ja) | 1987-02-13 | 1987-02-13 | 新規微生物および新規微生物を使用するメナキノン−4の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2797295B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2906816B1 (fr) * | 2006-10-04 | 2012-04-06 | Gervais Danone Sa | Variants de bacteries lactiques utiles pour produire la vitamine k2 et leurs applications a la preparation de produits alimentaires |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61216696A (ja) * | 1985-03-19 | 1986-09-26 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | メナキノン−4の製造法 |
-
1987
- 1987-02-13 JP JP62029722A patent/JP2797295B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61216696A (ja) * | 1985-03-19 | 1986-09-26 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | メナキノン−4の製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63198993A (ja) | 1988-08-17 |
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