JPH0747711Y2 - モータのトルク検出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、磁気ひずみ効果を利用してモータ出力軸のト
ルクの検出を行ういわゆる磁歪式のトルク検出装置に関
する。

従来の技術 トルク検出装置として例えば特願昭61−28364号に係る
ものが先に本出願人により提案されている。第２図〜第
４図はその概略を示したもので、同図に示すようで、磁
性体により構成された軸31の外周面に、その軸心方向と
45度の角度をなす複数の溝32a,32bを、軸31の円周方向
を対称中心として左右対称に形成している。そして、軸
31の外周にはその軸心方向に沿って２つの励磁コイル3
3,34を並設するとともに、励磁コイル33,34の外周部
に、軸31との間に間隙35をおいて、例えばパーマロイ等
の高透磁率物質よりなるヨーク36を配設して上記励磁コ
イル33,34を覆っている。

したがって、２つの励磁コイル33,34にそれぞれ交流電
圧を加えることにより、軸31,間隙35およびヨーク36を
通る磁気回路が励磁コイル33,34の回りに形成され、周
知のように励磁コイル33,34を含むブリッジ回路を構成
することにより、軸31のねじりトルクに応じた出力が得
られる。

考案が解決しようとする問題点 上記のような構造のトルク検出装置においては、特に工
作機械等の設備の駆動源であるモータのトルク検出部に
適用するにあたり、ヨーク36の支持する支持手段や軸31
を支持するベアリング等が必要不可欠であり、そのため
にトルク検出部の構造が大型化するとともに、大がかり
な改造作業が必要になり、実用性に欠ける。

例えば、モータとこれにより駆動される負荷（被駆動
物）との間でそのモータのトルクを検出しようとする場
合、一般的にはトルクセンサの軸の両端にモータ出力軸
と負荷側の入力軸とをそれぞれカップリングを介して連
結し、トルクセンサの回り止めを兼ねた支持体でそのト
ルクセンサを支持するかたちとなり、構造が複雑にな
る。

このようなことから、コンパクトにまとめられたモータ
のトルク検出装置の要請が強い。

問題点を解決するための手段 本考案は上記のような要請に応えるためになされたもの
であり、実施例にも示すように、モータの出力軸のトル
クを検出する装置において、磁性体により構成された前
記出力軸の外周面にその軸心方向と所定の角度をなして
形成された複数の溝と、前記出力軸の外周に複数の溝を
囲繞するように配設されて該出力軸を磁路の一部として
磁気回路を構成する複数のコイルとでトルク検出部を構
成するとともに、高透磁率特性を持つ金属にて構成され
たモータハウジングの一端面の中央部に、前記トルク検
出部のヨークを兼ねたボス部をモータハウジングの内側
に向けて突出形成し、このボス部に、前記トルク検出部
を構成する複数のコイルを絶縁体を介して支持させたも
のである。

作用 上記の構造によれば、実質的にトルクセンサがモータ内
部に組み込まれているためにモータ単独でトルク検出の
機能が発揮され、モータのトルク検出装置としてのコン
パクト化を達成できる。

実施例 第１図は本考案の一実施例を示す図で、２はモータ１の
ハウジング、３はボールベアリング４を介してハウジン
グ２に回転可能に支持された出力軸、５は出力軸３と一
体のロータ、６はステータである。また、７はボールベ
アリング４を固定しているホルダ、８はオイルシールで
ある。

前記出力軸３は磁性体により構成され、この出力軸３の
外周面には、第２図と同様に、その軸心方向と45度の角
度をなす複数の溝9a,9bが左右対称に形成されている。
そして、出力軸３の外周には、前記溝9a,9bを囲繞する
ように軸心方向に沿って二つの励磁コイル10,11が並設
されており、これらの励磁コイル10.11は絶縁体12にて
被覆されて、ヨークを兼ねたハウジング２に内挿されて
支持されている。すなわち、ハウジング２の一端面の中
央部にはその内側に向けてボス部2aが一体に突出形成さ
れていて、このボス部2aに絶縁体12で覆われた励磁コイ
ル10,11が挿入されて支持されている。したがって、前
記複数の溝9a,9bと励磁コイル10,11とにより出力軸３そ
のものを磁歪軸とするトルク検出部13が形成されてい
る。

なお、前記出力軸３と絶縁体12との間には間隙Ｇが確保
されており、また、前記ハウジング２は上記のようにヨ
ークを兼ねていることから高透磁率特性をもつ金属にて
構成されている。

上記の構造によれば、ヨークを兼ねたハウジング２のボ
ス部2a内にボールベアリング４とともにトルク検出部13
が内挿されていて、実質的にトルクセンサがモータ１内
部に実装されているものである。したがって、そのモー
タ１単独で出力軸３のトルク検出が可能になるととも
に、モータのトルク検出装置としての一層のコンパクト
化が可能となる。

なお、トルク検出時の作用については第２図に示した構
造のものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略
する。

考案の効果 以上のように本考案によれば、磁性体により構成された
モータ出力軸の外周面にその軸心方向と所定の角度をな
して形成された複数の溝と、前記出力軸の外周に複数の
溝を囲繞するように配設されて該出力軸を磁路の一部と
して磁気回路を構成する複数のコイルとでトルク検出部
を構成するとともに、高透磁率特性を持つ金属にて構成
されたモータハウジングの一端面の中央部に、前記トル
ク検出部のヨークを兼ねたボス部をモータハウジングの
内側に向けて突出形成し、このボス部に、前記トルク検
出部を構成する複数のコイルを絶縁体を介して支持させ
たものであるから、モータ単独でモータ出力軸のトルク
検出を行えることはもちろんのこと、ハウジングの内側
に突出するボス部がヨークを兼ねていてこれにコイルが
支持されているために部品点数が少なく、しかもハウジ
ングの外側にトルク検出部が突出していないためにハウ
ジングの外観形状がシンプルなものとなり、そのトルク
検出部回りの構造の簡素化と小型化を達成できる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のトルク検出装置の一実施例を示す断面
図、第２図は従来のトルク検出装置の断面図、第３図は
第２図の軸の正面図、第４図は第２図のIV−IV線に沿う
断面図である。 １…モータ、２…ハウジング、2a…ボス部、３…出力
軸、9a,9b…溝、10,11…励磁コイル、12…絶縁体、13…
トルク検出部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モータの出力軸のトルクを検出する装置に
   おいて、 磁性体により構成された前記出力軸の外周面にその軸心
   方向と所定の角度をなして形成された複数の溝と、前記
   出力軸の外周に複数の溝を囲繞するように配設されて該
   出力軸を磁路の一部として磁気回路を構成する複数のコ
   イルとでトルク検出部を構成するとともに、 高透磁率特性を持つ金属にて構成されたモータハウジン
   グの一端面の中央部に、前記トルク検出部のヨークを兼
   ねたボス部をモータハウジングの内側に向けて突出形成
   し、 このボス部に、前記トルク検出部を構成する複数のコイ
   ルを絶縁体を介して支持させたことを特徴とするモータ
   のトルク検出装置。