JPH0747655B2 - 補強されたイオン交換膜 - Google Patents

補強されたイオン交換膜

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JPH0747655B2
JPH0747655B2 JP1089826A JP8982689A JPH0747655B2 JP H0747655 B2 JPH0747655 B2 JP H0747655B2 JP 1089826 A JP1089826 A JP 1089826A JP 8982689 A JP8982689 A JP 8982689A JP H0747655 B2 JPH0747655 B2 JP H0747655B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、混合流体より特定成分を吸着、または透過分
離せしめるイオン交換膜に関する。
更に詳しくは、海水濃縮等の電気透析、酸あるいはアル
カリの拡散透析または電池セパレータに有用なイオン選
択透過性が優れ、抵抗が低く、かつ取扱性、寸法安定性
などの機械的性質の優れたイオン交換膜に関する。
[従来の技術] イオン交換膜として、数多くの文献、特許が報告されて
いるが、最も実用的で有益なものとして、スチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体のスルホン化陽イオン交換膜お
よびクロルメチル化重合体のアミノ化陰イオン交換膜が
ある。これらはその耐薬品性、耐熱性に加え、架橋剤で
あるジビニルベンゼンの含有量を変えることにより、イ
オン交換特性や選択透過性を制御できることから、あら
ゆる用途に対し多くの品種を合成し発展してきた。
しかしながら、新しい用途、例えば、工業塩並の安価な
食塩を製造する海水濃縮、レドックフロー電池やメタノ
ール電池用セパレータなど超低抵抗イオン交換膜のニー
ズに対し、従来のスチレン−ジビニルベンゼン系では対
応できない欠点がある。即ち抵抗を低下させるには、膜
厚を薄くせしめる必要があるが、スチレン−ジビニルベ
ンゼン系樹脂は、機械的強度、特に脆さがあるため厚さ
100μm以下のイオン交換膜が得られない。更に、スチ
レン−ジビニルベンゼン系樹脂は、機械的性質に加え、
加工性が悪く、ホローファイバー型や多孔性イオン交換
膜など加工された膜が得られない欠点がある。
一方、限外濾過膜、逆浸透膜やガス分離膜などの分離膜
において、機械的強度、加工性の優れたエンプラ系プラ
スチックが使用されている。特に耐薬品性が優れたポリ
スルホン膜は、膜内にイオン交換基を導入し、限外濾過
や逆浸透での透過性の改良や、イオン選択透過性を付与
し、イオン交換膜への適応が検討されている。
例えば、繰り返し単位が、 からなるポリスルホンのスルホン化物は、USP3709841に
記載されており、特開昭50−99973、特開昭51−14637
9、特開昭61−4505などに、そのようなスルホン化ポリ
スルホンを、異方性限外ろ過膜上に積層した限外ろ過膜
や逆浸透膜が記載されている。
また、上記のポリスルホンのスルホン化重合体または、
クロルメチル化重合体から合成された陽イオン交換膜ま
たは、陰イオン交換膜が、J.Membrane Science,22(198
5)325〜332に記載されている。
しかしながら、これらのポリスルホン系イオン交換膜
は、非架橋であり、イオン交換容量を増加し、抵抗を低
下せしめるとすると、吸水率が急激に増加し、固定イオ
ン濃度の低下を招き、イオン選択透過性が急激に低下
し、またイオン選択性を高めようとする、抵抗が急上昇
する。かかる欠点を克服する方法として、イオン選択透
過性の厚さ数10μmの緻密層とそれより厚さイオン交換
性多孔層からなる非対称性複層膜がJ.Membrane Science
22(1985)325〜332及び西独特許3143804に提案されて
いる。
しかしながら、これら非対称構造のポリスルホン系イオ
ン交換膜は、凝集の際に寸法変化が大きく欠陥ができや
すいこと、イオン交換容量が高くなると水に対する親和
性が増大するため凝集しにくくなり十分な機械的強度を
持った膜が得られない又形状安定性も乏しい等の欠点が
ある。
かかる欠点を改善する目的で、形状安定性や、化学的に
安定な非膨潤性の多孔性ポリスルホン支持膜に数μmの
アニオン交換性ポリスルホンをコーティングした複合ア
ニオン交換膜が開発されている。(繊維と工業44巻1号
P18) しかしながらかかる支持膜であるポリスルホン多孔膜は
表面多孔度が10〜30%と低いため抵抗が高くなり、表面
多孔度を高くしようとすると十分な機械的強度が得られ
ないという欠点がある。
また、多孔度の高いポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)多孔膜にポリスルホン系イオン交換樹脂を埋め込ん
だ例も報告されているが(AICHE Symposium Series248,
82,70(1986).)、PTFE多孔膜の表面自由エネルギー
が低いため溶液コーティングや浸漬によって欠陥のない
膜を得ることが難しく、膜厚が厚くなり、抵抗の低い膜
が得られない欠点がある。更には、イオン交換樹脂が多
孔体膜の入り組んだ孔の中に埋め込まれるため、抵抗は
更に高くなる欠点がある。また、かかる多孔膜は、それ
自体が高価なため、安価なイオン交換膜を市場に供給で
きないという欠点もある。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、従来技術が有していた前述の欠点を解消しよ
うとするものであり、イオン選択透過性が大きく、抵抗
が低い形状安定性や取扱性の優れた補強されたイオン交
換膜を提供する。
本発明は、従来技術では到達しえない電気透析法や電池
セパレータ、又は酸、アルカリ等の拡散透析法に使用で
きる安価なイオン交換膜を大量に提供することを目的と
する。
[問題点を解決するための手段] 本発明の上記目的は、下記する特定の構造を有するポリ
スルホン共重合体からなり、イオン交換容量が0.5〜3.5
ミリ当量/g樹脂、膜厚が1〜100μmのイオン交換体層
と、繊維から形成された多孔度10〜80%、膜厚が10〜20
0μmの多孔性支持層との積層補強膜であることを特徴
とするイオン交換膜によって達成せしめられる。
本発明は、基本的には、上記特定のイオン交換層と、特
定の多孔性支持層を組み合せたものであり、示現される
イオン選択透過性はイオン交換体層のみによって依存さ
せ、多孔体層はもっぱらイオン交換体層を支持補強させ
るという発想に基づき、電気抵抗の高いイオン交換体層
は、イオン選択透過性を発現させるのに必要な最小限の
厚みにし、該イオン交換体層は、電気抵抗が低くかつ機
械的強度が大きい多孔体層をもって、支持せしめるとい
う構成からなる。
以下に本発明を更に詳しく説明すると、本発明のイオン
交換体層としては、多孔体膜との接着性およびイオン交
換膜の薄膜形成性とその機械的強度から、以下の一般式
で表わされる芳香族ポリスルホン重共合体が使用され
る。
(但し、式中Arは 又は Y,Zは互いに同一又は異なる単結合、−O−,−S−,
−SO2−, 又は R1〜R9は互いに同一又は異なる炭素数1〜8の炭化水素
基、a〜dは0〜4、eは0〜3、(f+g)は0〜
7、(h+i)は0〜5、R10,R11は水素又は炭素数1
〜6の炭化水素基、m/n=100/1〜1/100を示す。) 上記ポリスルホン系重合体としては、 などのポリスルホン重合体の他 上記ポリスルホンユニットとそれとは異なるユニット、
例えば などとのブロック共重合体が例示される。
本発明により、容易に入手できる、(a)のポリスルホ
ンを使用して、従来にない高性能な複層イオン交換膜を
得ることができるが、好ましくは、イオン交換容量の制
御が容易である点と、得られるイオン交換体の選択透過
性、機械的性質および耐薬品性の点からポリスルホン系
ブロック共重合体か使用される。
本発明において何故、ブロック共重合体がイオン交換膜
として優れるかは、必ずしも明らかでないが、以下の理
由によるものと説明される。
即ち、イオンの透過速度(膜抵抗)は膜内の吸水率が大
きいほど高く、またイオンの選択透過性(輸率、電流効
率)は、膜内の固定イオン濃度(膜中の含水量あたりの
イオン交換量)が高いほど大きくなる性質がある。この
ため優れたイオン選択透過性を有するイオン交換体を得
るには、イオン交換容量を高め、かつ固定イオン濃度が
低下しないように、吸水率の増加を防止する必要があ
る。従来のスチレン系イオン交換樹脂においては、吸水
率の過大な増加を防止するためジビニルベンゼンにより
架橋する方法が使用されている。しかしながらイオン交
換基の増加と、それに見合う架橋剤の増量は、樹脂の脆
化を招くため、イオン選択透過性と機械的強度のバラン
スからおのずとある一定レベルの壁に突きあたってい
る。
また、ポリスルホンホモポリマーを使用したイオン交換
体においては、イオン交換容量が小さい時は、ポリスル
ホン骨格の凝集力によりイオン交換基に水が導入されず
膜抵抗が高く、またイオン交換容量がある一定以上にな
ると、ポリスルホン骨格の凝集力によるイオン交換基の
吸水性をおさえる効果が失われる結果、急激に吸水率が
増加し固定イオン濃度が低下してイオン選択透過性と機
械的性質の低下を招く。
一方、ポリスルホン系ブロック共重合体においては、イ
オン交換基が導入されやすいセグメントに高い密度で分
布している。このためイオン交換容量が低くても、イオ
ン交換基に水が充分に導入される結果、ホモポリマー系
に比べ膜抵抗が低く、またイオン交換容量を高くして
も、イオン交換基が導入されにくいセグメント間におけ
る凝集力が、擬似的な架橋として作用するため、吸水率
の急激な増加を押えるため固定イオン濃度が低下せずイ
オン選択透過性が高く、かつ機械的強度の低下が起きに
くいと説明される。
ポリスルホン樹脂から合成される陰イオン交換体層とし
ては、ポリスルホン樹脂をハロアルキル化後、アンモニ
ア若しくは第1アミン〜第3級アミンとの反応物からな
るイオン交換容量0.5〜3.5ミリ当量/g樹脂膜厚1〜100
μmのイオン交換体層が使用される。
ハロアルキル基としては、−(CH2nCl,−(CH2nBr,
−(CH2nI,−(CH2nFなどが例示されるが反応性か
ら、−CH2Cl基、−CH2Br基が、また量産性からクロルメ
チル基が好ましく使用され、例えば、芳香族ポリスルホ
ンを含有する重合体を、クロルメチルエーテル、1,4−
ビス(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメトキシ−
4クロロブタンおよびホルマリン−塩化水素、パラホル
ムアルデヒド−塩化水素などの求核性クロルメチル化剤
を触媒の共存下で接触せしめることにより得ることがで
きる。
上記のポリスルホン系重合体に−CH2Cl基を導入する方
法としは、粒状の重合体、あるいは、膜状成形体と前述
したクロルメチル化剤を接触せしめる方法も使用できる
が、反応の均一性と薄膜成形加工性の良い重合体を得る
ため、クロルメチル化剤に対し安定で、ポリスルホン系
重合体を溶解する溶剤で溶解せしめ、液状で反応させる
ことが好ましい。そのような溶剤として、ハロゲン化炭
化水素、例えばトリクロロエタン、テトラクロロエタン
等が使用される。
かくして、ポリスルホン重合体溶液にクロルメチル化剤
と塩化スズ等の触媒を添加せしめ、反応温度、反応時間
を便宜選定することにより、所望するクロルメチル基含
有量を有するクロルメチル化ポリスルホン重合体が得ら
れる。
かくして得たクロルメチル化ポリスルホン重合体は、ト
リクロロエタン、テトラクロロエタン、ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルマイド、ジメチルスルフォキシ
ド、トリエチルホスフェート、N−メチルピロリドンの
単独溶媒の他、水−アセトン混合液、メタノール−テト
ラヒドロフラン混合液などに溶解した後、キャスト乾燥
して成形加工せしめた後、アミノ化するか、またはクロ
ルメチル化ポリスルホン重合体の溶液にアミン、好まし
くはアミノ化ポリスルホン溶液の安定性から第三級アミ
ンを添加し、アミノ化ポリスルホン重合の溶液をキャス
トすることにより、膜厚1〜100μm、好ましくは、5
〜50μmの陰イオン交換体層を形成せしめる。
本発明の陽イオン交換層を得る方法としては、ポリスル
ホン重合体をキャスト成形した後、スルホン化せしめる
方法も使用できるが、好ましくは、スルホン化ポリスル
ホン重合体の溶液をキャスト成形することが、均一な陽
イオン交換体層を得るうえで好ましい。
ポリスルホン重合体のスルホン化方法としては、固形の
ポリスルホン重合体とスルホン化剤と接触せしめる方法
も使用されうるが、好ましくは、スルホン化剤に対し安
定で、ポリスルホンを溶液する溶剤で溶解せしめ、液状
で反応させることが好ますく、そのような溶剤としてハ
ロゲン化炭化水素類、例えば、トリクロロエタン、テト
ラクロロエタン等が使用される。
また、スルホン化剤として、濃硫酸、発煙硫酸、クロロ
スルホン酸、無水硫酸、無水硫酸−トリエチルホスフェ
ート錯体など、制限なく使用できる。
かくして、ポリスルホン溶液にスルホン化剤を添加せし
め、反応温度、反応時間を適宜選定することにより、所
望するイオン交換容量を有するスルホン化ポリスルホン
重合体が得られる。しかしながら、イオン交換容量が0.
5ミリ当量/g樹脂以下では、膜抵抗が著しく高く、また
3.5ミリ当量/g樹脂以上では、重合体の吸水性が著しく
高く、このため吸水性を低減せさせるため、重合体を硬
化せしめることが必要なため、結果として、硬化膜のイ
オン交換容量の低下を招き、また得られる膜の機械的強
度、特に靱性も低下するため、好ましくは、イオン交換
容量0.5〜3.5ミリ当量/g樹脂、特には、0.8〜3.8ミリ当
量/g樹脂になるように反応させる。
かくて得たスルホン化ポリスルホンを、そのまま平膜状
に成形して使用することも出来るが、必要により硬化剤
を加え、成形品の吸水率、機械的強度を改善すること
が、イオン選択透過性、耐薬品性の優れたイオン交換膜
を得ることができる。
かかる硬化方法としては、ポリスルホンが含有する官能
基と反応し、安定な架橋構造を有するものであればなん
ら支障なく使用できるが、特に、ポリスルホン分子の末
端に−SH基を含有するポリスルホン重合体や、ハロメチ
ル基、好ましくはクロルメチル基を含有したポリスルホ
ン重合体を使用することによりポリスルホン樹脂の機械
的性質を損なうことなく、高分子化あるいは架橋化され
た硬化物が得られるので好ましい。
そのような硬化剤としては、−SH基を含有するポリスル
ホン重合体ではエポキシ基を2個以上有するエポキシ化
合物、アミノプラスト樹脂、金属アセチルアセトネー
ト、イソシアネート基を2個以上有する化合物、第VIII
族または第I・B族の金属ハロゲン化物、2個以上のマ
レイミド基を含有する多官能型マレイミド化合物などが
例示される。
かくして、得られたスルホン化ポリスルホン重合体は、
必要により100重量部に対し硬化剤0.1〜100重量部、好
ましくは、0.5〜50重量部添加、混合せしめる。混合方
法としては、重合体と硬化剤との共通溶媒に溶解させる
ことが、均一な混合物を得るうえと、続く成形加工の点
から好ましく使用される。
かかる溶液としては、0.1〜30重量%、好ましくは、1
〜20重量%のスルホン化ポリスルホン重合体を含有する
溶液が使用され、溶媒としては、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、
トリエチルホスフェート、N−メチルピロリドン等の極
性溶媒が使用される。
かかる重合体溶液を、流延した後溶媒を除去せしめ平膜
状の成形品を得ることができる。
また溶媒の除去が、加熱処理によって実施される時は、
緻密な構造の成形品が製造でき、一方、溶媒が残存して
いる状態にて、溶媒を抽出せしめる溶液、特に好ましく
は、重合体の貧溶媒を使用した溶液に浸漬することで、
多孔性構造のイオン交換体層を製造することが出来る。
かくして得られる陽イオン交換体層は50〜350℃好まし
くは、100〜250℃で加熱することにより、重合体と硬化
剤とを反応させて、溶媒に不溶な硬化成形体に変換せし
めた陽イオン交換層が得られる。
次に本発明に使用する多孔性支持体としては、透過性が
大きく、機械的強度の大きく、耐薬品の優れた多孔膜が
使用できるが、溶解性または揮発性化合物からなる造孔
剤と高分子との成形品から製膜される多孔膜では、閉塞
された孔が出来やすく透過性が低く、また強度も高くな
い。またポリマー溶液の凝集法によるミクロ相分離多孔
膜では、貫通した孔が出来やすいが、多孔度を高くしよ
うとすると強度が低下し、また耐薬品性、特に耐溶剤性
に乏しいという欠点がある。更に、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等、結晶性高
分子の中空糸またはフィルム状成型品を延伸により、結
晶ラメラ間を開裂させた延伸開孔法による、ミクロ繊維
で連結した微孔性多孔膜では、透過性、印張強度が優れ
た多孔膜が得られやすいものの、引裂強度や膜の剛性が
必ずしも充分でなく、加えてかかる多孔膜は高価である
という点から、本発明の多孔性支持膜としては、繊維か
ら形成された多孔度10〜90%、好ましくは20〜70%、膜
厚が10〜200μm、好ましくは30〜150μmの多孔性材料
が使用される。
かかる多孔性材料としては、繊維径が0.1〜50μmのモ
ノフィラメント又はマルチフィラメントの織布、例えば
平織、斜文織、朱子織り、からみ織りや繊維長/繊維径
が10以上からなる不織布が例示されるが、イオン交換体
層との複層的な接合が得られやすい点から特に繊維径0.
1〜50μm、好ましくは1〜20μm、繊維長/繊維径が1
0〜106、好ましくは102〜105の不織布が例示される。
かかる不織布としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフ
ッ化ビニデン、ポリテトラフルオロエチレンの不織布が
使用されるが、耐薬品性、材料の入手が容易なことか
ら、特に、ポリエチレン、又はポリプロピレンから不織
布が好ましく使用される。
かくして、本発明のイオン交換膜は、上述したイオン交
換体層と多孔性支持層と積層せしめるが、透過性の大き
なイオン交換膜を得る上で、イオン交換体層と多孔性支
持層とが複層的に積層することが好ましい。
多孔性支持層にイオン交換体層が埋め込まれた場合は、
イオン交換体層の抵抗の少なくとも数倍以上になるため
好ましくは、多孔性支持層は、ポアーの少なくとも1/2
以上、好ましくは3/4以上の多孔性を保持せしめるよう
に積層せしめる。
上記複層的に積層する方法としては、イオン交換体層の
軟化状態、例えば、溶媒が30〜70重量%含有した状態
で、所定の圧力と時間で多孔性支持層とを積層する方法
や、多孔性支持層の表面を、イオン電導性高分子膜で被
覆した後、イオン交換体層を形成せしめる方法も例示さ
れるが、好ましくは、イオン交換体層と多孔性支持層と
を、イオン電導性高分子を含有する溶液、懸濁液、ペー
スト等を介在し、接合、乾燥することにより、積層せし
めることにより、多孔性支持層のポアーを閉塞せずに、
複層型積層ができるので好ましい。
かかるイオン電導性高分子を含有する接着材としては、
レーヨンビスコース液、セルロースの銅アンモニア溶
液、ポリ酢酸ビニル溶液、ポリビニルアルコール水溶液
等も例示されるが、好ましくは、イオン交換体樹脂溶液
が使用される。
かかるイオン交換樹脂溶液としては、本発明のイオン交
換体層のキャスト液をそのまま使用することができる
が、好ましくは、多孔性支持層のポアーの閉塞を防止す
るためイオン交換体層のキャスト液を稀釈して使用す
る。稀釈用溶媒としては、キャスト液と同一の溶媒も使
用されるが、キャストしたイオン交換体層の再溶解を防
止するため、ポリマーに対し、貧溶媒、非溶媒を添加す
ることができる。かかる接着用稀釈溶媒としては、水、
メタノール、ユタノール等のアルコール、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶媒が例示される。
かくて、イオン交換体層と多孔性支持層に、接着剤を塗
布し、重ね合せた後、乾燥、加熱処理により得られる複
層的に補強されたイオン交換膜は、適宜溶液、例えば食
塩水溶液等で、イオン交換基に水和せしめた後、電気透
析用隔膜、電池用セパレーター、拡散透析用隔膜として
使用することができる。
次に本発明を実施例により説明するが、本発明は、かか
る実施例により限定されるものではない。
[実施例] 実施例1 特開昭61−168629に記載された合成法と同様にして4,
4′−ジフェノールとジハロジフェニルスルホンと反応
せしめ、芳香族ポリスルホンのユニットからなるm=10
のプリカーサーを合成し、次いで該プリカーサーとジハ
ロジフェニルスルホンと硫化ナトリウムを反応し次式で
示される芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホ
ン共重合体Aを得た。
m/n=1/1,固有粘度0.65 次に、該共重合体Aは、1.1.2.2.テトラクロルエタンに
溶解した後、クロルメチルメチルエーテル、無水塩化ス
ズを添加し、110℃、4時間反応せしめた後、メチルア
ルコールで沈殿、洗浄し、クロルメチル化共重合体Bを
得た。
次いで共重合体Bをジメチルホルムアミドに溶解した
後、クロルメチル化共重合体B1gに対し、2.0ミリ当量の
トリメチルアミンを添加し、10重量%のアミノ化共重合
体溶液を得た。
かくて得たアミノ化共重合体溶液を、マイラフィルム上
に流延し、110℃30分間加熱乾燥し、膜厚が25μmのイ
オン交換体層を得た。
次にキャスト用アミノ化共重合体溶液にメタノールを加
え、2重量%の溶液にした。該溶液を厚さ25μmイオン
交換体層上に、20μm塗布せしめた後、繊維径が10μm
平均繊維長が30mm目付35g/m2の膜厚80μmからなるポリ
プロピレン不織布を重ね合せ110℃30分間乾燥した後、
マイラフィルムから離型し複層型イオン交換膜を得た。
かくて得たイオン交換膜のイオン交換体層側に、1Mの硫
酸と1Mの硫酸亜鉛の水溶液を、もう一方の側に、イオン
交換水を接触せしめ、イオン交換水側に移動した硫酸及
びZnイオンから透過係数及び選択性を求めたところ、硫
酸の透過係数は、5モル/m2・hr・ΔM,硫酸の透過係数
と硫酸亜鉛の透過係数の比は、1000であった。
また、該膜の0.5N NaCl水溶液中の抵抗は、1.0Ωcm2
あった。
実施例2 実施例1で得たクロルメチル化共重合体Bを、テトラク
ロルエタン溶液に溶解し、該溶液をマイラフィルム上に
流延、加熱乾燥し、膜厚25μmのフィルムを得た。
該フィルム上に実施例1と同様にして、イオン交換樹脂
の接着剤を塗布、ポリプロピレン不織布を重ね合せ加熱
乾燥し、複層膜を得た。
該複層膜を1.2Mトリメチルアミン水溶液に40℃16時間浸
漬し、イオン交換基を導入した。イオン交換体層のイオ
ン交換容量は2.2ミリ当量/g樹脂であった。
かくて得たイオン交換膜は、0.5N NaCl水溶液中の抵抗
は0.6Ωcm2であり、硫酸の透過係数は、10モル/m2・hr
・ΔM,硫酸と硫酸亜鉛の透過係数の比は、100であっ
た。
実施例3 実施例1で得た芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテル
スルホン共重合体Aを、1,1,2トリクロルエタンに溶解
した後、無水硫酸/トリエチルホスフェートが2/1モル
比の錯体を含有するトリクロロエタン溶液と、共重合体
Aの1ユニット当たり2当量分の錯体と接触せしめるよ
うにして、25℃、100時間反応せしめ、次いで洗浄、乾
燥させた。得られたスルホン化共重合体Aのイオン交換
容量は、2.05ミリ当量/g樹脂であった。
一方、実施例1と同様にして、クロルメチル化共重合体
Bを得た。
かくして得られた、スルホン化共重合体A75重量部とク
ロルメチル化共重合体A25重量部を、N−メチルピロリ
ドンに溶解し、固形分濃度20重量%の溶液Cを得た。次
いで該ポリマー溶液をガラス板上に流延し、260℃、1
時間加熱乾燥し、膜厚が25μmの陽イオン交換体層を得
た。
次に、キャスト用溶液にN−メチルピロリドンを加え、
4重量%の溶液にした。該溶液を、厚さ25μmのイオン
交換体層上に、厚さ20μm塗布せしめた後、実施例1で
用いたポリプロピレン不織布を重ね合わせ、260℃、1
時間乾燥し、複層型陽イオン交換膜を得た。
かくして得られた陽イオン交換膜は、0.5N NaCl水溶液
中の交流抵抗は0.8Ωcm2、Na+輸率は0.92であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式を有する芳香族ポリスルホン
    共重合体からなり、イオン交換容量が0.5〜3.5ミリ当量
    /g樹脂、膜厚が1〜100μmのイオン交換体層と、繊維
    から成形された多孔度10〜80%、膜厚が10〜200μmの
    多孔性支持層との積層補強膜であることを特徴とする補
    強されたイオン交換膜。 (但し、式中Arは Yは、単結合,−O−又は Zは−O−,−S−又は−SO2−。 R1〜R9は互いに同一または異なる炭素数1〜8の炭化水
    素基、a〜dは0〜4、eは0〜3、(f+g)は0〜
    7、(h+i)は0〜5、R10〜R11は水素又は炭素数1
    〜6の炭化水素基、m/n=100/1〜1/10を示す。)
  2. 【請求項2】イオン交換体層が、ハロアルキル化ポリス
    ルホン重合体のアンモニア若しくは、第1級〜第3級ア
    ミンとの反応物からなる陰イオン交換体層である請求項
    (1)の膜。
  3. 【請求項3】イオン交換体層が、ポリスルホン重合体の
    スルホン化物からなる陽イオン交換体層である請求項
    (1)の膜。
  4. 【請求項4】多孔性支持層が、繊維径0.1〜50μm、繊
    維長/繊維径が10以上からなる不織布からなる請求項
    (1)、(2)又は(3)の膜。
  5. 【請求項5】イオン交換体層と多孔性支持層との積層補
    強膜が、イオン交換基を含有するポリマー溶液からなる
    接着剤により接着せしめられている請求項(1)〜
    (4)のいずれか一つの膜。
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