JP2828691B2 - 複層陰イオン交換膜 - Google Patents

複層陰イオン交換膜

Info

Publication number
JP2828691B2
JP2828691B2 JP1252247A JP25224789A JP2828691B2 JP 2828691 B2 JP2828691 B2 JP 2828691B2 JP 1252247 A JP1252247 A JP 1252247A JP 25224789 A JP25224789 A JP 25224789A JP 2828691 B2 JP2828691 B2 JP 2828691B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anion
ion
layer
membrane
exchange membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1252247A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03115440A (ja
Inventor
良雄 菅家
浩文 堀江
一郎 寺田
美咲 多田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP1252247A priority Critical patent/JP2828691B2/ja
Publication of JPH03115440A publication Critical patent/JPH03115440A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2828691B2 publication Critical patent/JP2828691B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は混合流体より特定成分を吸着又は透過分離せ
しめる陰イオン交換膜に関する。
さらに詳しくは海水濃縮等の電気透析、酸の拡散透析
又は電池セパレータに有用なイオン選択透過性が優れ、
抵抗が低く、かつ取扱い性、寸法安定性などの機械的性
質の優れた陰イオン交換膜又は透析に有用なホローファ
イバ型陰イオン交換膜など加工性の優れた陰イオン交換
膜の製法に関する。
[従来の技術] イオン交換膜を用いて混合液体からある特定成分を透
析分離するシステムは既に幅広い分野で使用されてい
る。
従来の陰イオン交換膜として数多くの文献、特許が報
告されているが、最も実用的で有益なものとして、クロ
ルメチル化スチレン(又はビニリピリジン)−ジビニル
ベンゼン共重合体のアミノ化(又はピリジニウム化)陰
イオン交換体がある。これらは、耐薬品性、耐熱性、イ
オン交換性に加え、架橋剤であるジビニルベンゼンの含
有量を変えることにより、イオン交換特性や選択透過性
を制御できることから、あらゆる用途に対し、多様な品
種を合成し発展してきた。
例えば、膜抵抗の上昇を極力抑え、イオン選択性を向
上せしめるため、強塩基性陰イオン交換膜の表面を酸化
分解する方法や、陰イオン交換膜表面のイオン交換基を
不活性化する等の表面を改質する方法、膜表面に高架橋
密度の薄層を縮合や光重合により形成する等の複層化す
る方法が知られている。
しかし、新しい用途、例えば工業塩並の安価な食塩を
製造する海水濃縮、電池用セパレータなど、イオン選択
性に優れ、かつ超低抵抗の陰イオン交換膜が求められて
いる。
また拡散透析の分野では、回収酸の付加価値を高める
ため高純度の酸回収システムにおいて、選択性の大きな
陰イオン交換膜が求められ、また、環境保護から、酸の
透過性の大きな陰イオン交換膜による安価な酸回収シス
テムにおいて、酸の回収速度を高めた低抵抗の膜が求め
られている。
しかし、従来のスチレン系−ジビニルベンゼン共重合
膜タイプでは上記の用途に対応できない欠点がある。す
なわち抵抗を低下させるには、イオン交換容量を増加
し、架橋密度を低下せしめるが、イオン選択透過性が低
下する。イオン選択透過性を低下させずに膜の抵抗を低
下させるには、膜厚を薄くする必要があるが、スチレン
−ジビニルベンゼン系樹脂は、機械的強度が充分でな
く、特に脆さがあるため、100μm以下のイオン交換膜
が得られない。
さらに、スチレン−ビニルベンゼン系樹脂は、機械的
性質に加え加工性が悪く、ホローファイバ型イオン交換
膜など加工された膜が得られない欠点がある。
一方、限外濾過、逆浸透膜やガス分離膜などの分離膜
において、機械的強度、加工性の優れたエンジニアリン
グプラスチックが使用されている。特に耐薬品性が優れ
たポリスルホン膜は、膜内にイオン交換基を導入し、限
外濾過や逆浸透での透過性の改良や、イオン選択透過性
を付与し、イオン交換膜への適応が検討されている。
例えば、下記の繰り返し単位からなるポリスルホンの
スルホン化物は、USP3709841に記載されており、特開昭
50−99973、特開昭51−146379、特開昭61−4505など
に、そのようなスルホン化ポリスルホンを、異方性限外
濾過膜上に積層した限外濾過膜や逆浸透膜が記載されて
いる。
また、上記のポリスルホンのクロルメチル化重合体か
ら合成された陰イオン交換膜が、J.Membrane Sci.,22
(1985),325−332に記載されている。
しかし、これらのポリスルホン系イオン交換膜は、非
架橋であり、イオン交換容量を増加し、抵抗を低下せし
めようとすると、吸水率が急激に増加し、固定イオン濃
度の低下を招き、イオン選択透過性が急激に低下し、ま
たイオン選択性を高めようとすると、抵抗が急上昇す
る。かかる欠点を克服する方法として、イオン選択透過
性の数十μmの緻密層とそれより厚いイオン交換性多孔
層からなる非対称性複層膜がJ.Membrane Sci.,22(198
5),325−332及びDE3143804に提案されている。
しかし、これら非対称構造のポリスルホン系イオン交
換膜は、凝集の際に寸法変化が大きく欠陥ができやすい
こと、イオン交換容量が高くなると水に対する親和性が
増大するため凝集しにくくなり充分な機械的強度を持っ
た膜が得られず、形状安定性も乏しい等の欠点がある。
また、従来のスチレン−ジビニルベンゼン系陰イオン交
換膜と膜性質を比較しても不充分であり、代替できな
い。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、従来技術が有していた前述の欠点を解消し
ようとするものであり、イオン選択透過性が大きく、抵
抗が低い形状安定性や取扱性の優れた陰イオン交換を提
供する。
本発明は、従来技術では到達しえない電気透析法や電
池セパレータ、又は酸の拡散透析法に使用できる陰イオ
ン交換を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、固定イオン濃度の高い第1の陰イオン交換
体層と固定イオン濃度の低い第2の陰イオン交換体層と
の少なくとも2層の複層陰イオン交換膜からなり、第1
の陰イオン交換体層が下記一般式(1)で表される芳香
族系ポリスルホン系ブロック共重合体からなり、その芳
香環に陰イオン交換基が導入された固定イオン濃度が6
ミリ当量/gH2O以上、膜厚が0.01〜25μmであることを
特徴とする複層陰イオン交換膜である。
(但し、式中Arは Xは−SO2−、−CO−、−S−又は−O−、 Yは−SO2−、−S−又は−O−、 Zは単結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、又
は−CR10R11−、 R1〜R9は互いに同一又は異る炭素数1〜8の炭化水素
基、 a〜dは0〜4の整数、 eは0〜3の整数、 (f+g)は0〜7の整数、 (h+i)は0〜5の整数、 R10、R11は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基、 m、nは2〜200の整数、m/n=100/1〜1/10を示す) 本発明の好ましい態様では、第1の陰イオン交換体層
のイオン交換容量が第2の陰イオン交換体層のイオン交
換容量より少なくとも0.2ミリ当量/g乾燥樹脂小さく、
かつ第1の陰イオン交換体層の膜厚が全陰イオン交換膜
の膜厚の1/2以下とされる 別の好ましい態様では、第2の陰イオン交換体層が、
上記一般式(1)で表される芳香族系ポリスルホン系ブ
ロック共重合体からなり、その芳香環に陰イオン交換基
が1.2〜4.5ミリ当量/g乾燥樹脂導入された厚みが5〜10
0μmの陰イオン交換体層とされる。
また別の好ましい態様では、クロルメチル化ポリスル
ホン共重合体の溶液に、3級アミンを添加してなる4級
化アンモニウム塩基が導入されたポリスルホン重合体溶
液から流延、加熱処理されて陰イオン交換体層が形成さ
れた陰イオン交換膜において、第1の陰イオン交換体層
を形成する重合体溶液が第2の陰イオン交換体層を形成
する重合体溶液より、アミン添加量を低減させた重合体
溶液とされる。
本発明の第1の陰イオン交換体層は、基本的には、上
記特定の−Ar−単位を有するポリスルホンとX及びY単
位を含有するポリスルホンとのブロック共重合体を骨格
とする。
これは分子内にイオン交換基が導入しやすいセグメン
トとイオン交換基が導入されにくいセグメントを有する
ブロック共重合体を使用することにより、イオン交換容
量が制御できるとともに、イオン選択透過性が優れ、機
械的性質、成形加工性の優れた陰イオン交換体が得られ
るためである。該陰イオン交換体層を複層化することに
より、従来の陰イオン交換体より格段に優れた特性を有
する陰イオン交換膜を提供できる。
本発明において、なぜブロック共重合体がイオン交換
膜として優れるかは、必ずしも明らかでないが、以下の
理由によるものと説明される。
すなわち、イオンの透過速度(膜抵抗と反比例)は膜
内の吸水率が大きいほど高く、またイオンの選択透過性
(輸率、電流効率)は、膜内の固定イオン濃度(膜中の
含水量あたりのイオン交換基量)が高いほど大きくなる
性質がある。
このため、優れたイオン選択透過性を有するイオン交
換体を得るには、イオン交換容量を高め、かつ固定イオ
ン濃度が低下しないように、吸水率の増加を防止する必
要がある。
従来のスチレン系イオン交換樹脂においては、吸水率
の過大な増加を防止するためジビニルベンゼンにより架
橋する方法が使用されている。しかしイオン交換基の増
加とそれに見合う架橋剤の増量は、樹脂の脆化を招くた
め、イオン選択透過性と機械的強度のバランスからおの
ずとある一定レベルの壁に突きあたる。
また、ポリスルホンホモポリマーを使用した陰イオン
交換体においては、イオン交換容量が小さいときは、ポ
リスルホン骨格の凝集力によりイオン交換基に水が導入
されず膜抵抗が高くなり、またイオン交換容量がある一
定以上になると、ポリスルホン骨格の凝集力によるイオ
ン交換基の吸水性をおされる効果が失われる結果、急激
に吸水率が増加し固定イオン濃度が低下してイオン選択
透過性と機械的性質の低下を招く。
一方、ポリスルホン系ブロック共重合体においては、
イオン交換基が導入されやすいセグメントに高い密度で
分布している。このためイオン交換容量が低くても、イ
オン交換基に水が充分に導入される結果、ホモポリマー
系に比べ膜抵抗が低く、またイオン交換容量を高くして
も、イオン交換基が導入されにくいセグメント間におけ
る凝集力が、擬似的な架橋として作用するため、吸水率
の急激な増加を押えるため固定イオン濃度が低下せずイ
オン選択透過性が高く、かつ機械的強度の低下が起きに
くいと説明される。
そのようなポリスルホン系ブロック重合体としては、
例えば下記(a)、(b)、(c)などのポリスルホン
ユニットと、それとは異なるユニット、例えば下記
(d)、(e)、(f)、(g)とのブロック共重合体
が使用される。
本発明のポリスルホンブロック共重合体の一般式
(1)において、クロルメチル基が導入されやすい−Ar
−を含有するセグメントの数mとクロルメチル基が導入
されにくい−X−、−Y−を含有するセグメントの数n
の比が100/1以上では、−X−、−Y−を有するセグメ
ントの凝集力による擬似架橋効果が低減し、固定イオン
濃度低下によるイオン選択透過性の低下を招き、また1/
10以下では、イオン交換容量が大きくないので膜抵抗の
増加を招くので好ましくない。好ましくは、m/n=10/1
〜2/10が使用される。
またm又はn=1の交互共重合体は、セグメント長が
短いため、それぞれのセグメントの作用が充分に発揮さ
れず、また高分子量の共重合体が得られないため機械的
強度が充分でない。よって、好ましくは固有粘度が0.3
以上のブロック共重合体が使用される。
一般式におけるXが−SO2−、Yが−S−で表される
芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共重合
体は、高分子量の共重合体が得られ、また共重合組成の
制御がしやすく、かつ成形加工性、機械的強度、耐薬品
性の点から特に好ましく、本出願人による特開昭61−72
020、特開昭61−76523及び特開昭61−168629に記載され
ている方法によって得られる。
これらの重合体にイオン交換基を導入する方法として
は、次の(A)、(B)が使用できる。反応が容易で、
しかも膜性質に特徴を有する多品質の陰イオン交換膜が
得られやすいことから(B)のハロアルキル化−アミノ
化反応が好ましく使用される。
(A)アミノメチル基を導入、必要によりハロゲン化ア
ルキルで、4級アンモニウム塩に変換する方法。
(B)ハロアルキル基を導入後、アンモニア、1〜3級
アミンでアミノ化する方法。
ハロアルキル基としては、−(CH2nCl、−(CH2n
Br、−(CH2nI、−(CH2nFなどが例示されるが、反
応性からは−CH2Cl、−CH2Brが、また量産性から−CH2C
lが好ましく使用され、例えば、芳香族ポリスルホンを
含有する重合体を、(クロルメチル)メチルエーテル、
1,4−ビス(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメト
キシ−4−クロルブタン及びホルマリン−塩化水素、パ
ラホルムアルデヒド−塩化水素などの求核性クロルメチ
ル化剤を触媒の共存下で接触せしめることにより得るこ
とができる。
上記のポリスルホン系重合体に−CH2Clを導入する方
法としては、粒状の重合体、又は、膜状成形体と前述し
たクロルメチル化剤を接触せしめる方法も使用できる
が、反応の均一性と薄膜成形加工性のよい重合体を得る
ため、クロルメチル化剤に対し安定で、ポリスルホン系
重合体を溶解する溶剤で溶解せしめ、液状で反応させる
ことが好ましい。そのような溶剤として、ハロゲン化炭
化水素、例えば、トリクロルエタン、テトラクロルエタ
ン等が使用される。
かくして、ポリスルホン重合体溶液にクロルメチル化
剤とAlCl3、SbCl5、FeCl3、TeCl2、SnCl4、TiCl4、TeCl
4、BiCl3、ZnCl2等の触媒を添加せしめ、反応温度、反
応時間を便宜選定することにより所望するクロルメチル
基含有量を有するクロルメチル化ポリスルホン重合体が
得られる。
クロルメチル化ポリスルホン系共重合体のクロルメチ
ル基含有量は、続くアミノ化反応用のアミノ化剤の種類
や、陰イオン交換膜として使用する用途により最適な含
有量が異なるが、本発明の第1の陰イオン交換体層の固
定イオン濃度を6ミリ当量/gH2O以上とするには、イオ
ン交換容量が0.5〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂、好ましくは
0.8〜2.0ミリ当量/g樹脂程度になるように選定する。
イオン交換容量の制御は、前述したクロルメチル化反
応条件を適宜選定するほか、クロルメチル基が導入され
るセグメントとクロルメチル基が導入されないセグメン
トとのブロック共重合比を変えることによるイオン交換
容量の制御や、クロルメチル化ポリマー溶液に所定量の
アミノ化剤を添加し、イオン交換容量を制御できる。
かくして得られたクロルメチル化共重合体は、好まし
くは、以下の方法にて陰イオン交換体となしうる。
(イ)クロルメチル化共重合体を溶液化せしめた後、平
膜状又は中空糸状に流延、成形せしめた後、アミノ化溶
液に浸漬し、陰イオン交換膜とする。
(ロ)クロルメチル化共重合体を溶液化せしめた後、ア
ミノ化剤を添加し、陰イオン交換樹脂溶液とするか、ク
ロルメチル化共重合体をアミノ化処理した後、陰イオン
交換樹脂を溶液化せしめた後、平膜状又は中空糸状に流
延、成形せしめ、複層イオン交換膜とする。
かかるアミノ化剤としては、アンモニウム又は1種以
上の1級アミン、2級アミン又は3級アミンが使用され
るが、上記の陰イオン交換膜の製造法において(ロ)の
ように、アミノ化された陰イオン交換樹脂溶液として、
第1の陰イオン交換体層を形成せしめる場合には、溶液
の安定性から好ましくは3級モノアミンが使用され、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールア
ミン等が例示される。
かかる溶液としては、0.1〜30重量%、好ましくは1
〜20重量%の溶液が使用され、溶媒としては、トリクロ
ルエタン、テトラクロルエタン、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、リ
ン酸トリエチル、N−メチルピロリドンの単独溶媒の
他、水−アセトン混合液、メタノール−テトラヒドロフ
ラン混合液などが使用される。
かくして得たクロルメチル化共重合体又はそのアミノ
化共重合体溶液は、流延した後、溶媒を除去し、第1の
陰イオン交換体層0.01〜25μm、好ましくは1〜5μ
m、に形成せしめる。
本発明のポリスルホンブロック共重合体から合成され
る第1の陰イオン交換体層は、架橋構造を有しないにも
かかわらず、イオン交換容量が高くても、高いイオン選
択性及び機械的強度を有する。しかし、場合により、耐
薬品性の改善や膜物性の制御を目的として、架橋構造を
導入できる。
かかる架橋構造の導入方法として、クロルメチル基を
利用し、フリーデルクラフツ触媒の存在下で架橋する方
法や、クロルメチル基と反応する官能基を2個以上有す
る化合物で架橋せしめうる。
架橋構造の導入に使用するフリーデルクラフツ触媒と
しては、AlCl3、SbCl5、FeCl3、TeCl2、SnCl4、TiCl4
TeCl4、BiCl3、ZnCl2等のルイス酸及びHF、H2SO4、H3PO
4等のプロトン酸が使用できる。これらフリーデルクラ
フツ触媒をクロルメチル化ポリマー溶液に添加、キャス
ト製膜後加熱処理により架橋後、アミノ化反応によりイ
オン交換基を導入する方法やクロルメチル化ポリマー
に、クロルメチル基が残るようにアミノ化剤を添加後、
残渣のクロルメチル基を架橋する方法が例示される。
またクロルメチル基と反応性を有する官能基を2個以
上有する化合物としては、イオン交換基の導入と架橋反
応が併発するポリアミン化合物が、膜特性の点で好まし
い。
次に本発明に使用する第2の陰イオン交換体層として
は、第1の陰イオン交換層と比較して、固定イオン濃度
が低くても(すなわちイオン選択透過性が低くても)膜
の抵抗が低く、かつ機械的強度、取扱性のよい陰イオン
交換膜であれば、何ら支障なく使用され、クロルメチル
化スチレン−ジビニルベンゼン系のアミノ化陰イオン交
換膜、ビニルピリジン−ジビニルベンゼン系陰イオン交
換膜、及びクロルメチル化スチレン、ビニルピリジンの
グラフト系陰イオン交換膜又は、J.Membrane Sci.,22
(1985),325−332に記載されたポリスルホン系陰イオ
ン交換膜など、既知の陰イオン交換膜が例示され、かか
る第2の陰イオン交換膜の片面又は両面に本発明の第1
の陰イオン交換体層を複層することにより、イオン選択
性を改良できる。
しかし本発明の第2の陰イオン交換体層としての必要
条件である、抵抗が低くかつ機械的強度の大きな陰イオ
ン交換体層として、最適な陰イオン交換体層としては、
第1の陰イオン交換体層と同様に、一般式(1)で表わ
される芳香族ポリスルホン系ブロック共重合体に陰イオ
ン交換基を導入したものが使用される。
かかる芳香族ポリスルホン系ブロック共重合体に陰イ
オン交換基を導入する方法としては、第1の陰イオン交
換体層で述べた手法と同じような手法が採用されるが、
固定イオン濃度が低くとも、膜の抵抗を低くするには、
少なくとも第1の陰イオン交換層のイオン交換容量より
少なくとも0.2ミリ当量/g乾燥樹脂大きい陰イオン交換
膜が使用される。
イオン交換容量が低いと、イオン選択透過性は優れる
が抵抗が上昇するので、1.2ミリ当量/g乾燥樹脂以上、
好ましくは1.5ミリ当量/g乾燥樹脂以上、特には1.8ミリ
当量/g乾燥樹脂以上が、またイオン交換容量が大きい
と、寸法安定性や機械的性質が低下するので、イオン交
換容量が4.5ミリ当量/g乾燥樹脂以下、好ましくは3.5ミ
リ当量/g乾燥樹脂以下、特には3.0ミリ当量/g乾燥樹脂
以下が得られるように、クロルメチル基含有量を制限す
るか、アミノ化反応率を制御する。
かくして得られたクロルメチル化重合体又はアミノ化
重合体の溶液は、第1の陰イオン交換体において述べた
手法により膜状となしうる。溶媒の除去が加熱処理によ
って実施されるときには、通常、緻密な構造の成形品が
得られる。一方、溶媒が残存している状態にて、溶媒を
抽出する場合は、特に好ましくは、重合体の非溶媒を使
用した溶液に浸漬することで、表面のごく薄い緻密層と
その内部に多孔性層を有する非対称性陰イオン交換膜を
得ることができる。
本発明の複層陰イオン交換膜は、第1の陰イオン交換
体層と第2の陰イオン交換体層を、接合し複合化するこ
ともできるが、好ましくは以下の方法にて複合化せしめ
る。
(ハ)クロルメチル基含有量の異なる第1の陰イオン交
換体層を形成する第1のクロルメチル化共重合体溶液と
第2の陰イオン交換体層を形成する第2のクロルメチル
化共重合体溶液のいずれかを先に流延せしめ溶媒を除去
成形後、他の一方の溶液を、成形膜上に流延せしめ、ク
ロルメチル含有量の異なる複層膜を形成後、アミノ化溶
液に浸漬し、複層陰イオン交換膜とする。
(ニ)クロルメチル基含有量の小さいクロルメチル化共
重合体から得た第1の陰イオン交換体層を形成するアミ
ノ化共重合体溶液と、クロルメチル基含有量の大きなク
ロルメチル化共重合体溶液のいずれか先に流延せしめ溶
媒を除去成形後、他の一方の溶液を成形膜上に流延せし
め溶媒を除去し複層膜を得た後、第2の陰イオン交換体
をアミノ化せしめ複層イオン交換膜とする。
(ホ)陰イオン交換容量が小さなアミノ化共重合体溶液
と陰イオン交換容量の大きなアミノ化共重合体溶液のい
ずれか先に流延せしめ溶媒を除去成形後、他の一方の溶
液を成形膜上に流延、溶媒を除去し複層陰イオン交換膜
とする。
特に(ホ)の方法は、製膜後のアミノ化反応処理が不
要のため、アミノ化反応時の膨潤履歴がなく、固定イオ
ン濃度が高く、また製造工程数が少なく量産性も優れて
いる特徴を有する。
また、陰イオン交換容量が異なるイオン交換体層を得
る方法として、クロルメチル化ポリマー溶液に所定量の
アミノ化剤を添加し、所定イオン交換容量を有する陰イ
オン交換樹脂溶液からキャスト製膜する方法は、1種の
ブロック共重合体と同一の反応条件で得られるクロルメ
チル化ポリマーから、イオン交換容量の異なる多品種の
イオン交換膜が得られる点において、特に好ましい。
かくして得られる複層陰イオン交換膜は、そのままで
も使用できるが、寸法安定性、取扱い性、機械的強度な
どの実用性から、多孔度20〜95%、孔径が0.01〜100μ
m、膜厚が10〜100μmの多孔性膜と積層して使用する
ことが好ましい場合がある。多孔度が20%未満では、膜
抵抗が増加し、多孔度が95%以上では、強度等の改善効
果が少ない。特には40〜80%の多孔性膜が使用されるこ
とが好ましい。
本発明のイオン交換体層を使用した別の好ましい陰イ
オン交換膜としては、実質的にイオン交換基を含有しな
いイオン電導性半透膜とイオン選択透過性を有するイオ
ン交換体層との複層構造からなる陰イオン交換膜があ
る。
かかるイオン交換基を含有しないイオン電導性半透膜
としては、セロハンに代表される水和セルロース膜、銅
アンモニア法再生セルロース膜、酢酸セルロース膜、ビ
ニロンに代表されるポリビニルアルコール系膜、ポリビ
ニルカーボネートの加水分解物であるポリヒドロキシメ
チレン系膜などの含水性高分子膜が使用できる。なかで
も大面積でかつ安価に入手できる、膜厚が20〜100μm
のセロハンフィルム又はビニロンフィルムは、本発明の
複層膜を大量に市場に提供できる点において好ましい。
該半透膜は、前述した多孔体膜と異なり実質的にポア
を有せず、半透膜上にピンホールフリーのイオン交換体
層が形成されるため、イオン交換体層を可及的に薄くで
き、透過性が大きく、選択性の大きい膜が得られる。
かくして得られる複層陰イオン交換膜は、適宜溶液、
例えば、食塩水溶液等で、イオン交換基に水和せしめた
後、電気透析用隔膜、電池用セパレータ、拡散透析用隔
膜等の分離膜として使用できる。
特に複層膜とすることにより、海水濃縮では海水濃縮
濃度の向上、一価イオン選択性向上による純塩率の向
上、また酸の拡散透析に使用した場合には、高純度の酸
を回収できる。
次に本発明を実施例により説明するが、本発明は、か
かる実施例により限定されない。なお、実施例中に記載
されている固定イオン濃度AWは、次式より計算されたも
のである。
AW=AR・W2/(W1−W2) ここで AR:イオン交換容量 ミリ当量/g乾燥樹脂 W1:0.5M H2SO4水溶液に25℃、16時間浸漬時の膜重量g W2:0.5M H2SO4水溶液に浸漬後、イオン交換水に浸漬
し、ドナン塩を溶出後、60℃にて真空乾燥した膜重量g [実施例] 実施例1〜3 特開昭61−168629に記載された合成法と同様にして4,
4′−ジフェノールとジハロジフェニルスルホンと反応
せしめ、芳香族ポリスルホンのユニットからなるm=10
のプリカーサを合成し、次いで該プリカーサとジハロジ
フェニルスルホンと硫化ナトリウムを反応し次式で示さ
れる芳香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共
重合体Aを得た。
次に、該共重合体Aを1,1,2,2−テトラクロルエタン
に溶解した後に、クロルメチルエーテル、無水塩化スズ
を添加し、110℃、4時間反応せしめた後、メチルアル
コールで沈殿、洗浄し、クロルメチル化共重合体Bを得
た。
得られたクロルメチル化共重合体Bを、ジメチルホル
ムアミドに溶解し、10重量%の溶液を得た。次いで、該
溶液に1.2Nトリメチルアミンのジメチルホルムアミド液
を所定量添加し、イオン交換容量が1.3ミリ当量/g乾燥
樹脂、1.5ミリ当量/g乾燥樹脂、1.7ミリ当量/g乾燥樹
脂、及び2.1ミリ当量/g乾燥樹脂の4種のアミノ化ポリ
マー溶液を得た。
得られたアミノ化ポリマー溶液をガラス板上に流延
し、50℃、2時間乾燥せしめ、5μmのイオン交換容量
が異なる陰イオン交換体層を得た。次いで該5μmの陰
イオン交換体層上にイオン交換容量が2.1ミリ当量/g乾
燥樹脂のアミノ化ポリマー溶液を流延し、50℃、2時間
乾燥し、イオン交換容量が2.1ミリ当量/g乾燥樹脂のイ
オン交換体層20μmを積層せしめた。
得られたイオン交換容量が異なる積層膜の低イオン交
換容量の側に3Mの硫酸と0.7Mの硫酸第1鉄を含有する溶
液を満たし、もう一方の室に純水を満たし、拡散透析性
能を求めた。結果を表1に示す。
t :膜厚 μm AR:イオン交換容量 ミリ当量/g乾燥樹脂 AW:固定イオン濃度 ミリ当量/gH2O 酸の透過係数 mol/m2・hr・ΔM Rs:選択透過係数 鉄の透過係数/酸の透過係数 比較例1〜4 実施例1〜3で得たクロルメチル化共重合体Bを、ジ
メチルホルムアミドに溶解し、10重量%の溶液を得た。
次いで該溶液に1.2Nトリメチルアミンのジメチルホルム
アミド液を所定量添加し、イオン交換容量が1.3ミリ当
量/g乾燥樹脂、1.5ミリ当量/g乾燥樹脂、1.7ミリ当量/g
乾燥樹脂及び2.1ミリ当量/g乾燥樹脂の4種のアミノ化
ポリマー溶液を得た。
得られたアミノ化ポリマー溶液をガラス板上に流延
し、50℃、2時間乾燥せしめ、25μmのイオン交換容量
が異なる陰イオン交換体層を得た。
得られた膜の片側に3Mの硫酸と0.7Mの硫酸第一鉄を含
有する溶液を満たし、もう一方の室に純水を満たして拡
散透析性能を求めた。結果を表2に示す。
t :膜厚 μm AR:イオン交換容量 ミリ当量/g乾燥樹脂 AW;固定イオン濃度 ミリ当量/gH2O 酸の透過係数 mol/m2・hr・ΔM Rs:選択透過係数 鉄の透過係数/酸の透過係数 実施例4 実施例1〜3におけるクロルメチル化反応を60℃、4
時間で反応させ、クロルメチル化共重合体Cを得た。共
重合体Cを実施例1〜3と同様にしてジメチルホルムア
ミドに溶解し、10重量%の溶液を得た。該溶液に1.2Nト
リメチルアミンのジメチルホルムアミド液を添加し、ク
ロルメチル基を完全にアミノ基に変換し、イオン交換容
量1.5ミリ当量/g乾燥樹脂のアミノ化ポリマー溶液を得
た。
得られたアミノ化ポリマー溶液をガラス板上に流延
し、50℃、2時間乾燥せしめ、5μmのイオン交換容量
が1.5ミリ当量/g乾燥樹脂の陰イオン交換体層を得た。
次いで該5μmの陰イオン交換体層上に実施例1で得た
イオン交換容量が2.1ミリ当量/g乾燥樹脂のアミノ化ポ
リマー溶液を流延し、50℃、2時間乾燥し、イオン交換
容量が2.1ミリ当量/g乾燥樹脂のイオン交換体層を積層
せしめた。
得られた積層膜の拡散透析性能を求めた。酸の透過係
数は7.0mol/m2・hr・ΔM、選択透過係数は3×10-4
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 81:06 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/22 B01J 47/12 B01D 71/00 - 71/82

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定イオン濃度の高い第1の陰イオン交換
    体層と固定イオン濃度の低い第2の陰イオン交換体層と
    の少なくとも2層の複層陰イオン交換膜からなり、 第1の陰イオン交換体層が、下記一般式(1)で表され
    る芳香族系ポリスルホン系ブロック共重合体からなり、
    その芳香環に陰イオン交換基が導入された、固定イオン
    濃度が6ミリ当量/gH2O以上、膜厚が0.01〜25μmであ
    ることを特徴とする複層陰イオン交換膜。 (但し、式中Arは Xは−SO2−、−CO−、−S−又は−O−、 Yは−SO2−、−S−又は−O−、 Zは単結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、又は
    −CR10R11−、 R1〜R9は互いに同一又は異る炭素数1〜8の炭化水素
    基、 a〜dは0〜4の整数、 eは0〜3の整数、 (f+g)は0〜7の整数、 (h+i)は0〜5の整数、 R10、R11は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基、 m、nは2〜200の整数、m/n=100/1〜1/10を示す)
  2. 【請求項2】第1の陰イオン交換体層のイオン交換容量
    が第2の陰イオン交換体層のイオン交換容量より少なく
    とも0.2ミリ当量/g乾燥樹脂小さく、かつ第1の陰イオ
    ン交換体層の膜厚が陰イオン交換膜の全膜厚の1/2以下
    である請求項1の複層陰イオン交換膜。
  3. 【請求項3】第2の陰イオン交換体層が、一般式(1)
    で表される芳香族系ポリスルホン系ブロック共重合体か
    らなり、その芳香環に陰イオン交換基が1.2〜4.5ミリ当
    量/g乾燥樹脂導入された、厚みが5〜100μmの陰イオ
    ン交換体層である請求項1の複層陰イオン交換膜。
  4. 【請求項4】クロルメチル化ポリスルホン共重合体の溶
    液に、3級アミンを添加してなる4級化アンモニウム塩
    基が導入されたポリスルホン重合体溶液から流延、加熱
    処理されて陰イオン交換体層が形成された陰イオン交換
    膜において、第1の陰イオン交換体層を形成する重合体
    溶液が第2の陰イオン交換体層を形成する重合体溶液よ
    り、アミン添加量を低減させた重合体溶液である請求項
    1、2又は3の複層陰イオン交換膜。
JP1252247A 1989-09-29 1989-09-29 複層陰イオン交換膜 Expired - Fee Related JP2828691B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1252247A JP2828691B2 (ja) 1989-09-29 1989-09-29 複層陰イオン交換膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1252247A JP2828691B2 (ja) 1989-09-29 1989-09-29 複層陰イオン交換膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03115440A JPH03115440A (ja) 1991-05-16
JP2828691B2 true JP2828691B2 (ja) 1998-11-25

Family

ID=17234564

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1252247A Expired - Fee Related JP2828691B2 (ja) 1989-09-29 1989-09-29 複層陰イオン交換膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2828691B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018057987A (ja) * 2015-02-19 2018-04-12 富士フイルム株式会社 複合アニオン交換膜及びその製造方法、イオン交換膜モジュール、並びに、イオン交換装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03115440A (ja) 1991-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0352798B1 (en) Anion exchanger
AU731825B2 (en) Microporous membranes and uses thereof
US8455557B2 (en) Membranes, coatings and films and methods for their preparation
CA2396166A1 (en) Anion exchanger and process for producing anion exchange membrane
JP3399531B2 (ja) 強塩基性アニオン交換膜及びその製造方法
EP0330187B1 (en) Cation exchanger
JP2522356B2 (ja) 新規な架橋構造を有する陰イオン交換体
JP2828691B2 (ja) 複層陰イオン交換膜
JPH0680799A (ja) 耐蝕性陰イオン交換膜
JP2828690B2 (ja) 複層陰イオン交換膜
JP2843947B2 (ja) 複合半透膜
JPH02211257A (ja) 陰イオン交換体
JP3423765B2 (ja) イオン交換膜の積層方法
JPH0813326B2 (ja) 酸の新規な回収方法
JPH0747655B2 (ja) 補強されたイオン交換膜
JP3345086B2 (ja) 複層陰イオン交換膜の製造方法および酸の回収方法
JPH02294338A (ja) 新規な複層イオン交換膜
JP3072850B2 (ja) 陽イオン交換膜
JPH02245035A (ja) 陽イオン交換体
JPH0747654B2 (ja) 複層化されたイオン交換膜
JP3491352B2 (ja) 水素イオンの選択的電気透析方法
JPH07241443A (ja) 一価陽イオン選択電気透析方法
JP2613764B2 (ja) 分離用膜
JPH04145931A (ja) 酸の回収方法
JPH04288347A (ja) イオン交換膜

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees