JPH0680799A - 耐蝕性陰イオン交換膜 - Google Patents

耐蝕性陰イオン交換膜

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JPH0680799A
JPH0680799A JP4253858A JP25385892A JPH0680799A JP H0680799 A JPH0680799 A JP H0680799A JP 4253858 A JP4253858 A JP 4253858A JP 25385892 A JP25385892 A JP 25385892A JP H0680799 A JPH0680799 A JP H0680799A
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JP
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anion exchange
acid
film
membrane
corrosion
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JP4253858A
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Yoshio Sugaya
良雄 菅家
Misaki Kanazawa
美咲 金澤
Haruhisa Miyake
晴久 三宅
Hirotsune Ookubo
洋常 大久保
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】厚みを低減でき、透過性の大きな耐薬品性の優
れた陰イオン交換膜を提供する。 【構成】孔の内壁が親水化された孔径1.0μm、多孔
度80%、膜厚130μmのポリテトラフルオロエチレ
ンの微孔性多孔膜層と、芳香族ポリスルホンとポリチオ
エーテルスルホンとのブロック共重合体からなり、イオ
ン交換容量1.2meq/g、膜厚10μmの陰イオン
交換膜層との積層構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐蝕性陰イオン交換膜
に関するものである。更に詳しくは、塩水の脱塩、濃縮
等の電気透析、電池の分離膜、あるいはメッキ廃液や金
属精製工業を始めとして、多くの産業で排出する酸を含
有する溶液からの酸回収や酸溶液に含有され有価物を分
離回収する際の拡散透析用等に有用な陰イオン交換膜に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】陰イオン交換膜を用いて混合液体からあ
る特定成分を透過分離するシステムは、電気透析、電
解、電池、拡散透析等により既に幅広い分野で使用され
るとともに、さらに新しい利用が検討されている。
【0003】従来、陰イオン交換膜として、数多くの文
献、特許が報告されているが、実用的で有益なものとし
て、スチレン(又はビニルピリジン)−ジビニルベンゼ
ン共重合体のアミノ化(又は4級ピリジウム化)陰イオ
ン交換膜がある。これらは、耐薬品性、耐熱性、陰イオ
ン交換特性に加え、架橋剤であるジビニルベンゼンの含
有量を変えることにより、イオン交換特性や選択透過性
を制御できることから、多くの用途に対し多様な品種が
製造され利用されてきた。
【0004】しかしながら、各種産業から排出される腐
食性や酸化性の高い廃液、例えば硝酸、弗酸、塩素酸、
次亜塩素酸、クロム酸を含有する廃液からの酸の回収、
工業塩並の安価な食塩を製造する海水の高度濃縮、レド
ックスフロー電池やメタノール電池用セパレータ等、大
きい耐蝕性、耐熱性を有し、低抵抗の陰イオン交換膜の
要求に対し、従来のスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体系陰イオン交換膜では、素材の化学的性質、機械的性
質、熱的性質から十分に対応できない欠点がある。
【0005】一方、限外濾過膜、逆浸透膜、ガス分離膜
等の分離膜において、機械的強度、加工性の優れたエン
ジニアリング・プラスチックが使用されている。特に耐
薬品性が優れたポリスルホン膜は、膜内にイオン交換基
を導入し、イオン選択透過性を付与し、イオン交換膜へ
の適応が検討されている。
【0006】例えば繰り返し単位が、
【化2】
【0007】からなるポリスルホンのクロルメチル化/
4級アミノ化反応により合成された陰イオン交換樹脂、
およびポリスルホンのスルホン化反応により合成された
陽イオン交換樹脂が Polymeric Amines and Ammoniumu
Salts, Pergamon, New York, 1980, p.37 、Polmer Pre
prints, Am. Chem.Soc., Div. Polym. Chem., 20(1), 8
35(1979)および USP 3,709,841に記載されている。
【0008】一方、これらのイオン交換樹脂の薄膜は、
ポリマーを溶媒に溶解し、キャスト製膜後、水中で凝集
させることにより製造されることが USP 3,709,841、US
P 3,855,122 、Desalination, 46巻, 327 頁(1983). 、
J. Membrane Sci., 22巻, 1頁および 325頁(1985). 、
Desalination, 70巻, 191 頁 (1988).等に記載されてい
る。
【0009】しかしながら、これら従来のポルスルホン
系イオン交換膜は、透過性を高めるため非対称構造を有
する。このため、寸法変化が大きく欠陥ができやすいこ
と、イオン交換容量を大きくすると水に対する親和性が
増大するため凝集しにくくなり、十分な機械的強度をも
った膜が得られない等の欠点がある。
【0010】また、非対称構造のポリスルホン多孔膜上
に、ポリスルホン系イオン交換樹脂をコーティングした
イオン交換膜が報告されているが(特開昭61−450
5、同61−4506、同61−146303、同62
−79811、「繊維と工業」、44巻,11頁(198
8))、支持膜であるポリスルホン多孔膜は、表面多孔
度が10〜30%と低いため抵抗が高くなり、表面多孔
度を高くしようとすると十分な機械的強度が得られない
という欠点がある。
【0011】多孔度の大きいポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)多孔膜に、ポリスルホン系イオン交換樹
脂を埋め込んだ例も報告されているが(AICHE Symposiu
m Series 248, 82, 70(1986))、PTFE多孔膜の表面
自由エネルギーが低いため溶液コーティングや浸漬によ
って欠陥のない膜を得ることが難しく、膜厚が大きくな
り、抵抗の低い膜が得られないという欠点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の欠点を解消しようとするものであり、新
規な陰イオン交換膜を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、孔の内壁が親
水化された孔径0.01〜10μm、多孔度30〜90
%、膜厚10〜300μmの含フッ素系重合体からなる
微孔性多孔膜層と、繰り返し単位内に一般式(1)−X
−Ar−Y−(ただし、式中X、Yは、−O−、−S
−、炭素数1〜13のアルキレン基又は単結合である。
Arは、
【0014】
【化3】
【0015】を有する。R1 〜R5 は互いに同一又は異
なる負のハメットの置換基定数を有する置換基。aは0
〜3、b+cおよびd+eはいずれも0〜5。)を含有
する重合体からなり、その芳香族環に、陰イオン交換基
が導入されたイオン交換容量0.5〜4.5ミリ当量/
g乾燥樹脂、膜厚が0.01〜50μmからなる陰イオ
ン交換膜層との積層膜によって達成せしめられる。
【0016】従来ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
4−メチルベンゼン−1等のポリオレフィンの多孔膜が
知られているが、これらの多孔膜は、本発明の目的であ
る耐蝕性例えば、硝酸、弗硝酸の使用に対し十分でな
い。
【0017】本発明を構成する微孔性多孔膜層は、耐薬
品性、耐熱性、機械的性質からポリフッ化ビニル、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロ
エチレン/パーフルオロビニルエーテル共重合体および
テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体等の含フッ
素系重合体から形成される。
【0018】微孔性多孔膜層は、孔径0.01〜10μ
m、好ましくは0.1〜5μm、多孔度30〜90%、
好ましくは40〜85%、厚み10〜200μm、好ま
しくは25〜150μmを有するのが適切である。
【0019】孔径が10μmより大きいと、陰イオン交
換膜層を積層化する際に、陰イオン交換膜が、多孔体膜
の入り組んだ孔の内部にまで侵入し、抵抗が高くなるの
で好ましくない。多孔度が30%よりも小さいと抵抗が
高くなり、90%よりも大きいと機械的強度が低下する
ので好ましくない。厚みが200μm以上であると多孔
体孔内で濃度分極が起こり透過性が低くなり好ましくな
い。
【0020】本発明で使用される微孔性多孔膜は、重合
体溶液を貧溶媒中で多孔質に凝固する湿式相転換法、荷
電イオン等の放射線を膜に照射した後、化学エッチング
で穿孔する法、造孔剤と重合体の混合物を膜状に成型
し、成型中又は成型後に造孔剤を除去する方法、又は延
伸開孔法等で製造される。しかしながら、湿式相転換法
では、溶媒に可溶な含フッ素系重合体を使用する点、ま
た、化学エッチングで穿孔する法は、放射線で重合体に
損傷すると、化学的にエッチングされる重合体を使用す
る点で得られる多孔膜の耐薬品性が劣り、また造孔剤を
使用する多孔膜では、孔径が均一で多孔度が大きくかつ
機械的強度の大きいものが得られにくい欠点がある。
【0021】一方、延伸開孔法は、結晶性高分子を中空
糸又はフィルム状に成型した後、延伸により結晶ラメラ
間を開裂させ、さらに熱処理を行って多孔質構造とする
方法であり、物理的手段によって多孔質膜が得られ、残
留溶媒等の問題がなく、多孔度が高くかつ機械的強度の
大きな膜が得られるので本発明で使用されるのに特に好
ましい。
【0022】そのような延伸開孔法で得られる含フッ素
重合体からなる微孔性多孔膜としては、ポリテトラフル
オロエチレンのファインバウダーに潤滑剤を混合し、押
し出し成型した後、延伸開孔、熱処理したPTFE多孔
膜が例示される。
【0023】本発明で使用する微孔性多孔膜は、後述す
る陰イオン交換膜層と積層する前あるいは積層後に親水
化される。微孔性多孔膜と陰イオン交換膜とを積層する
方法としては、両者を加熱、溶融し、圧着する方法、陰
イオン交換膜のポリマー溶液を微孔性多孔膜にコーティ
ングする方法があるが、ポリマー溶液コーティング法は
緻密な薄膜を容易に得ることができるので本発明に使用
するのに好ましい方法である。
【0024】微孔性多孔膜の親水化方法としては、多孔
膜に親水性を有する低分子又は高分子化合物で処理する
方法や、親水性を有する低分子物質を含浸後電子線や紫
外線等で反応させる方法、発煙硫酸、クロルスルホン酸
等により多孔膜表面をスルホン化する方法、クロム酸で
酸化処理する方法、プラズマガス、オゾンガス等の励起
ガス又は活性ガスを用いて表面処理する方法、さらに、
微孔性多孔膜にイオン性界面活性剤を含浸させた後、逆
の電荷を主鎖に有するポリマーで処理する方法、親水性
高分子と親水性無機粒子のハイブリット親水化法、親水
性高分子と錯化剤との錯化体親水化法等が使用される。
【0025】次に、本発明に使用する陰イオン交換膜層
としては、耐薬品性、耐熱性、機械的性質、薄膜成形性
および膜の選択透過性が優れることから、実質的に芳香
族環と連結基から構成された重合体であって、繰り返し
単位内に一般式−X−Ar−Y−(ただし、式中X、Y
は、−O−、−S−、炭素数1〜13のアルキレン基又
は単結合である。Arは、
【0026】
【化4】 を有する。ここでR1 〜R5 は互いに同一又は異なる負
のハメットの置換基定数を有する置換基。aは0〜3、
b+cおよびd+eはいずれも0〜5。)を含有する重
合体からなり、その芳香族環に、陰イオン交換基が導入
されたイオン交換体が使用される。
【0027】上記一般式(1)を有する好ましい具体例
としては、
【化5】
【化6】
【0028】
【化7】 等の重合体で、陰イオン交換基を好ましくは0.5〜
4.5ミリ当量/g乾燥樹脂、特に1.0〜3.5ミリ
当量/g乾燥樹脂導入した陰イオン交換膜が例示され
る。
【0029】本発明では、さらに好ましくは、陰イオン
交換膜層を構成する重合体は、少なくとも2種の繰り返
し単位からなる共重合体であって、一方の繰り返し単位
の芳香族環に陰イオン交換基がブロック的に導入された
ものを使用することが、透過性、選択性が高く、かつ機
械的性質、耐薬品性に優れた膜を得る点で好ましい。
【0030】かかる陰イオン交換膜層を構成する重合体
としては、ポリフェニレンオキシド/ポリエーテルスル
ホン共重合体、ポリフェニレンスルフィド/ポリエーテ
ルスルホン共重合体、ポリアリールエーテルスルホン/
ポリエーテルスルホン共重合体、ポリアリールエーテル
スルホン/ポリチオエーテルスルホン共重合体であり、
例えば、
【0031】
【化8】 等の陰イオン交換基を重合体に導入したものが例示され
る。ただし、m、nは2〜200で、m/nは100/
1〜1/10である。これらの重合体は本出願人による
特開平1−215348、特開平2−245035およ
び特開平2−248434に記載されている方法によっ
て得ることができる。
【0032】上記重合体の芳香族環に陰イオン交換基を
導入する方法としては、(a)芳香族環にアミノアルキ
ル基を導入、必要によりハロゲン化アルキルで4級化す
る。 (b)芳香族環にハロアルキル基を導入後、アンモニ
ア、1〜2級アミン又は3級アミンとの反応によりそれ
ぞれの弱塩基性陰イオン交換基又は強塩基陰イオン交換
基を導入する方法が使用できる。なかでも、反応が容易
で、イオン交換容量の制御が容易であること、イオン強
度の異なるイオン交換基の導入性が優れていること、ハ
ロアルキル基の反応性を利用して架橋を導入できる点
で、(b)のハロアルキル化−アミノ化反応が好ましく
使用される。
【0033】芳香族環へのハロアルキル基の導入方法と
しては、芳香族環にアルキル基が置換されている重合体
を原料とする場合には、塩素化、臭素化等の反応も使用
できる。そうでない場合、クロルメチルエーテル、1,
4−ビス(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメトキ
シ−4−クロルブタン、ホルマリン−塩化水素、パラホ
ルムアルデヒド−塩化水素等を使用した親電子反応性の
クロルメチル化反応によりブロック共重合体の−X−A
r−Y−繰り返し単位の芳香族環にハロアルキル基を選
択的に導入することができる。
【0034】かくて得られたハロアルキル化重合体は、
好ましくは以下の方法にて陰イオン交換膜層とすること
ができる。 (1)ハロアルキル化重合体を溶液化せしめ、アンモニ
ア又は1〜3級アミンと反応させ、陰イオン交換樹脂溶
液とした後、これを板体上に流延し、膜状に成形せしめ
る。
【0035】(2)ハロアルキル化重合体を溶液化せし
め、板体上に流延し、膜状に成形せしめた後、アンモニ
ア又は1〜3級アミンと接触させ、ハロアルキル基を陰
イオン交換基に変換する。 (3)ハロアルキル化重合体を溶液化せしめ、ハロアル
キル基の5〜80モル%の3級アミンを添加し、陰イオ
ン交換樹脂溶液とした後、加熱処理、ルイス酸との接触
処理、又はポリアミンと反応させることにより架橋構造
残余のハロアルキル基を利用して導入する。
【0036】本発明の積層膜を構成する陰イオン交換膜
層は、イオン交換容量が、0.5〜4.5ミリ当量/g
乾燥樹脂、好ましくは1.0〜3.5ミリ当量/g乾燥
樹脂、特には1.6〜3.0ミリ当量/g乾燥樹脂の高
いイオン交換容量を有するにもかかわらず、固定イオン
濃度が4ミリ当量/g水以上、好ましくは6ミリ当量/
g水以上、特には10ミリ当量/g水以上と大きい値を
示し、選択性と透過性が大きい特徴を有する。陰イオン
交換膜層は、本発明の耐蝕性陰イオン交換膜とするた
め、少なくともその片面に微孔性多孔膜層と積層せしめ
られる。積層方法としては、両者を別個に成膜した後、
加熱、加圧により接合する方法、適宜の接着剤、例えば
陰イオン交換樹脂又はその前駆体溶液を使用して接合す
る方法、又は、陰イオン交換膜層を形成する陰イオン交
換樹脂又はその前駆体溶液を、既成の微孔性多孔膜に塗
布、造膜せしめる方法等が使用される。
【0037】上記陰イオン交換膜層を形成する陰イオン
交換樹脂又はその前駆体を溶解する溶媒としては、N,
N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N
−メチルピロリドン、1,1,2−トリクロルエタン、
1,1,2,2−テトラクロルエタン、トリエチルホス
フェートの単独溶媒の他、N,N−ジメチルホルムアミ
ドと2−メトキシエタノールとの混合液、水とアセトン
との混合液、メタノールとテトラヒドロフランとの混合
液等の混合溶媒が使用される。陰イオン交換樹脂又はそ
の前駆体溶液の濃度としては1〜30重量%、特には5
〜20%が好ましい。
【0038】かくして得られる陰イオン交換膜層と微孔
性多孔膜層との複層膜である耐蝕性陰イオン交換膜は、
陰イオン交換膜層の厚みが、0.01〜50μm、好ま
しくは0.1〜25μmで、微孔性多孔膜層の厚みが、
10〜300μm、好ましくは、40〜150μmから
選ばれ全膜厚は40〜350μm、好ましくは40〜1
75μmにせしめる。
【0039】本発明の耐蝕性陰イオン交換膜は、さらに
寸法安定性、取り扱い易さの点で強度を大きくするため
に、別の多孔性基材により補強することができる。かか
る補強の場合イオンの透過性を損なうことを防止する目
的で、微孔性多孔膜層の外側の片面に、不織布又は編物
等の多孔性基材を積層する形態で行うこともできる。膜
の形状は、一般的な平面状だけではなく、袋状、スパイ
ラル状、中空糸、中空管等であってもよい。
【0040】本発明の耐蝕性陰イオン交換膜は、陽イオ
ン交換膜と組み合わせて、電気透析による電解質水溶液
の濃縮、脱塩の他、それ単独で電解用隔膜、電池セパレ
ータ等として使用できる。さらに本発明の耐蝕性陰イオ
ン交換膜は、酸の透過性に優れるので、膜の片面に不純
物を含有する酸溶液を接触し、もう一方の片面に水を接
触せしめ、酸を選択的に透過せしめ、酸を回収する用途
に好ましく使用される。なかでも、従来の陰イオン交換
膜では耐薬品性の点で使用できない硝酸、クロム酸、塩
素酸、次亜塩素酸、過酸化水素を含有する酸溶液からの
酸の回収に使用することができる。
【0041】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明はかかる実施例に限定されるものではない。 [実施例1]特開昭61−168629号に記載された
合成法と同様にして、4,4−ジフェノールとジクロル
ジフェニルスルホンと反応せしめ、芳香族ポリスルホン
のユニットからなる固有粘度0.22の前駆体を合成
し、ついで該前駆体とジクロルジフェニルスルホンと硫
化ナトリウムとを反応し、芳香族ポリスルホンとポリチ
オエーテルスルホンが等モルで、固有粘度0.65のブ
ロック共重合体Aを得た。
【0042】次に、該共重合体Aを、1,1,2,2−
テトラクロルメチルエーテルに溶解させ、これに無水塩
化スズを添加し、110℃で4時間反応せしめた後、メ
タノールを添加して沈殿させて、洗浄することによりク
ロルメチル化共重合体Bを得た。
【0043】かくして得られた共重合体BをN,N−ジ
メチルホルムアミドに溶解して10重量%の溶液を得
た。次いで該溶液に1.2NのトリメチルアミンのN,
N−ジメチルホルムアミド溶液を加え、クロルメチル基
の52%と反応させることにより、イオン交換容量1.
2meq/gの4級アンモニウム基を有する陰イオン交
換樹脂体Cの溶液を調製した。
【0044】一方、孔径1.0μm、多孔度80%、膜
厚130μmのポリテトラフルオロエチレン多孔膜にエ
タノールを含浸後、水に浸漬し、さらにイソプロピルナ
フタレンスルホン酸ナトリウムの1重量%水溶液中に室
温で3分間浸漬した後、60℃で10分間乾燥すること
により、陰イオン界面活性剤を含浸した多孔膜を調製し
た。この多孔膜を0.5重量%のポリ(2−ヒドロキシ
−3−ジメチルアミノプロピルクロライド)水溶液中に
室温で1分間浸漬し、60℃で10分間乾燥することに
より、孔の内壁が親水化されたポリテトラフルオロエチ
レン微孔性多孔膜を得た。
【0045】上記した陰イオン交換樹脂体CのN,N−
ジメチルホルムアミド溶液を、上記ポリテトラフルオロ
エチレン微孔性多孔膜上に塗布した後、50℃で2時間
乾燥を行うことにより、陰イオン交換膜層Cの厚みが
2.5μm、5μm、10μm、25μmの4種類の積
層膜を得た。
【0046】次に上記4種類の積層膜を1.2Nの1,
3−テトラメチルジアミノプロンのメタノール溶液に浸
漬し、陰イオン交換膜層Cの残余のクロルメチル基をア
ミノ化することにより、イオン交換容量2.3ミリ当量
/gの強塩基性陰イオン交換膜層Dを有する積層膜を得
た。該4種類の積層膜の0.5N NaCl中の電気抵
抗と0.5N NaCl/1N NaClの膜電位から
求めたCl- 輸率を表1に示す。
【0047】また、1N H2 SO4 中の膜の電導度お
よび上記積層膜により2室に区画された透析セルの上記
積層膜の陰イオン交換膜層側の室に、6Nの硫酸と0.
5Nの硫酸第1鉄を含有する溶液を満たし、もう一方の
室に純水を満たし、純水側に透過する酸と鉄の透過速度
を求め、表2に、酸の透過速度と、鉄の透過速度/酸の
透過速度の比を示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明の耐蝕性陰イオン交換膜は、内壁
が親水化された耐薬品性の優れた微孔性多孔膜層と、耐
薬品性、耐熱性、機械的性質、薄膜形成性の優れた陰イ
オン交換膜層との積層膜から形成されているので、多孔
膜層の孔径が小さいことおよび内壁が親水化されている
ことと、耐薬品性薄膜成形性の陰イオン交換膜層との組
み合わせにより、厚みを究極的に低減でき、透過性の大
きな、耐薬品性の優れた陰イオン交換膜が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 洋常 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目1番地 旭硝子株式会社京浜工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】孔の内壁が親水化された孔径0.01〜1
    0μm、多孔度30〜90%、膜厚10〜300μmの
    含フッ素系重合体からなる微孔性多孔膜層と、繰り返し
    単位内に一般式−X−Ar−Y−(ただし、式中X、Y
    は、−O−、−S−、炭素数1〜13のアルキレン基又
    は単結合である。Arは、 【化1】 を有する。R1 〜R5 は互いに同一又は異なる、負のハ
    メットの置換基定数を有する置換基。aは0〜3、b+
    cおよびd+eは、いずれも0〜5である。)を含有す
    る重合体からなり、その芳香族環に、陰イオン交換基が
    導入されたイオン交換容量0.5〜4.5ミリ当量/g
    乾燥樹脂、膜厚0.01〜50μmを有する陰イオン交
    換膜層との積層膜からなることを特徴とする耐蝕性陰イ
    オン交換膜。
  2. 【請求項2】微孔性多孔膜層が、ポリテトラフルオロエ
    チレン多孔膜である請求項1の耐蝕性陰イオン交換膜。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の耐蝕性陰イオン交換膜の
    片面に、不純物を含有する酸溶液を接触し、もう一方の
    片面に水を接触せしめ、酸を選択的に透過せしめること
    を特徴とする酸の拡散透析方法。
  4. 【請求項4】不純物を含有する酸溶液が、硝酸、クロム
    酸、塩素酸、次亜塩素酸及び過酸化水素のいずれか1つ
    以上を含有した溶液である請求項3の拡散透析方法。
JP4253858A 1992-08-28 1992-08-28 耐蝕性陰イオン交換膜 Pending JPH0680799A (ja)

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