JP3423765B2 - イオン交換膜の積層方法 - Google Patents

イオン交換膜の積層方法

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JP3423765B2
JP3423765B2 JP06164494A JP6164494A JP3423765B2 JP 3423765 B2 JP3423765 B2 JP 3423765B2 JP 06164494 A JP06164494 A JP 06164494A JP 6164494 A JP6164494 A JP 6164494A JP 3423765 B2 JP3423765 B2 JP 3423765B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、イオン交換膜の積層
方法に関し、詳しくは陽イオン交換膜と陰イオン交換膜
とを簡単な操作により接着性良く積層することでき、同
符号イオン間の優れた選択透過性を有する積層イオン交
換膜を容易に製造することができるイオン交換膜の積層
方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】イオン交
換膜を利用して同符号イオン同士を分離する技術は、主
として海水濃縮による製塩における技術として、すなわ
ち多価イオンが同時に濃縮されることによるスケールの
発生を防止し、目的成分である塩化ナトリウムを高効率
で得る技術として開発された。この目的に向けられたイ
オン交換膜として、例えば、特公昭47−3801号、
特公昭47−3802号、特公昭51−1272号、特
公昭53−43909号、特公昭54−17713号等
の各公報に、諸種のイオン交換膜が提案されている。
【0003】また、特公平4−100521号公報には
一価の陽イオン同士間の選択透過性を有するイオン交換
膜が示されている。
【0004】従来、これらの同符号イオン同士間に選択
性を有するイオン交換膜は、主として陽イオン交換膜上
に陰イオン交換体層を形成することにより製造されてい
た。
【0005】このような製造方法として、例えば、スチ
レン−ジビニルベンゼン共重合体をスルホン化して得ら
れる陽イオン交換膜上に、陰イオン交換性を有するポリ
エチレンイミン等の陰イオン交換体層を形成する方法、
およびスチレン−ジビニルベンゼン共重合体をスルホン
化して得られる陽イオン交換膜上に、第4級アンモニウ
ム塩基と3個以上のビニルベンジル基を有するビニル化
合物の陰イオン交換性重合体層(陰イオン交換体層とも
称する。)を形成方法などが知られている。
【0006】この場合において、陽イオン交換膜上に陰
イオン交換体層を形成する具体的な操作は次の通りであ
る。すなわち、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を
スルホン化して得られる陽イオン交換膜に陰イオン交換
性を有するポリエチレンイミンの層を形成する場合に
は、所定の濃度および所定のpHに維持されたポリエチ
レンイミンの水溶液中に前記陽イオン交換膜を一定時間
浸漬する。一方、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
をスルホン化して得られる陽イオン交換膜上に第4級ア
ンモニウム塩基類と3個以上のビニルベンジル基を有す
るビニル化合物の陰イオン交換性重合体層を形成する場
合には、所定の濃度に維持された前記第4級アンモニウ
ム塩基類と前記ビニル化合物とを有する、一定温度に維
持された水溶液中に、前記陽イオン交換膜を一定時間か
けて浸漬する。その後に得られる膜を、さらに過硫酸カ
リウムおよび亜流酸ナトリウムの水溶液中に窒素雰囲気
下で浸漬し、その後に水洗することにより陽イオン交換
膜上に陰イオン交換体層を形成することができる。
【0007】しかしながら、上述のような陽イオン交換
膜を陰イオン交換体層を形成し得る溶液に浸漬する方法
によると、溶液の濃度や温度、浸漬時間、浸漬の状態等
の浸漬条件を厳密に管理する必要があり、また、形成さ
れるイオン交換体層における固定イオン濃度や単位重量
あたりの交換容量が、要求される範囲内になるように上
記浸漬条件を設定することは容易ではなかった。さら
に、操作自体が複雑で手間がかかるという問題を有して
いた。
【0008】この発明は上記事情に鑑みなされたもので
あり、この発明の目的は、簡単な操作により陽イオン交
換膜と陰イオン交換膜とを積層することができるイオン
交換膜の積層方法を提供することにある。本発明の他の
目的は、イオン交換膜間の接着性に優れるとともに、優
れた同符号イオン間の選択透過性を有する積層イオン交
換膜を得ることができるイオン交換膜の積層方法を提供
することを目的とする。
【0009】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ためのこの発明は、陽イオン交換膜および陰イオン交換
膜を積層してなる積層イオン交換膜を製造するに当た
り、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜のいずれか一
方あるいは両方を水または親水性液体に浸漬し、あるい
は水または親水性液体の蒸気で処理することにより、陽
イオン交換膜および陰イオン交換膜のいずれか両方を膨
潤させ、膨潤したイオン交換膜同士を、膨潤した陽イオ
ン交換膜と膨潤していない陰イオン交換膜とを、あるい
は膨潤した陰イオン交換膜と膨潤していない陽イオンン
交換膜とを、加熱加圧積層することを基本的原理とする
ものである。
【0010】この発明の態様を以下に列挙する。
【0011】この発明の第1の態様は、陽イオン交換膜
および陰イオン交換膜を有してなる積層イオン交換膜を
形成するに際し、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜
のいずれか一方または両方を水もしくは親水性液体また
はそれらの蒸気で膨潤させた後に、陽イオン交換膜と陰
イオン交換膜とを加熱下で加圧することにより積層する
ことを特徴とするイオン交換膜の積層方法であり、この
発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記陽
イオン交換膜が、スチレンまたはその誘導体とジビニル
ベンゼンまたはその誘導体との共重合体を母体とし、強
酸性陽イオン交換基を有する膜であるイオン交換膜の積
層方法であり、この発明の第3の態様は、前記第1の態
様において、陽イオン交換膜がスチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体のスルホン化物を含有してなる膜であるイ
オン交換膜の積層方法であり、この発明の第4の態様
は、前記第1〜3のいずれかの態様において、前記陰イ
オン交換膜は、主鎖に芳香環を含有する重合体を母体と
し、1〜3級アミノ基および4級アンモニウム塩よりな
る群から選択される少なくとも一種の陰イオン交換基が
導入されてなるイオン交換膜の積層方法であり、この発
明の第5の態様は、前記第1〜3のいずれかの態様にお
いて、前記主鎖に芳香環を含有する重合体が、一般式
(化1)
【0012】
【化1】
【0013】で示される少なくとも一の繰り返し単位を
有する芳香族系重合体であるイオン交換膜の積層方法で
あり、この発明の第6の態様は、前記第1〜3のいずれ
かの態様において、前記主鎖に芳香環を含有する重合体
が、一般式(化2)
【0014】
【化2】
【0015】で示される芳香族系ブロック共重合体であ
るイオン交換膜の積層方法であり、この発明の第7の態
様は、前記第1〜6のいずれかの態様において、前記陰
イオン交換膜はそのイオン交換容量が0.5〜3.5ミ
リ当量/g乾燥樹脂であるイオン交換膜の積層方法であ
り、この発明の第8の態様は、前記第1、第4〜7のい
ずれかの態様において、前記陽イオン交換膜が、スルホ
ン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、
スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化
ポリフェニレンオキサイド、およびスルホン化ポリエー
テルイミドよりなる群から選択される陽イオン交換膜で
あるイオン交換膜の積層方法であり、この発明の第9の
態様は、前記第1、第4〜7のいずれかの態様におい
て、塩化ビニル樹脂製またはポリオレフィン樹脂の織布
または不織布を、調製されたスチレン−ジビニルベンゼ
ンモノマーシロップに浸漬させた後に、放射線や熱によ
り重合させ、得られた重合体をスルホン化することによ
り得られる陽イオン交換膜であるイオン交換膜の積層方
法であり、この発明の第10の態様は、前記第1、第4
〜7のいずれかの態様において、塩化ビニル樹脂製また
はポリプロピレン樹脂製の織布を、調製されたスチレン
−ジビニルベンゼンモノマーシロップに浸漬させた後
に、放射線や熱により重合させ、得られた重合体をスル
ホン化することにより得られる陽イオン交換膜であるイ
オン交換膜の積層方法であり、この発明の第11の態様
は、前記第1〜10のいずれかの態様において、前記陽
イオン交換膜の厚みが10〜500μmである前記イオ
ン交換膜の積層方法であり、この発明の第12の態様
は、前記第1〜10のいずれかの態様において、前記陽
イオン交換膜の厚みが50〜300μmである前記イオ
ン交換膜の積層方法であり、この発明の第13の態様
は、前記第1〜10のいずれかの態様において、前記陽
イオン交換膜の厚みが100〜150μmである前記イ
オン交換膜の積層方法であり、この発明の第14の態様
は、前記第6の態様において、前記芳香族系ブロック共
重合体が、ポリフェニレンオキシド/ポリエーテルスル
ホンブロック共重合体、ポリフェニレンスルフィド/ポ
リエーテルスルホンブロック共重合体、ポリアリールエ
ーテルエーテルスルホン/ポリエーテルスルホンブロッ
ク共重合体、ポリアリールエーテルアリレート/ポリア
クリレートブロック共重合体、およびポリアリールエー
テルスルホン/ポリチオエーテルスルホンブロック共重
合体のいずれかである前記イオン交換膜の積層方法であ
り、この発明の第15の態様は、前記第1〜14の態様
において、陰イオン交換膜の厚みが0.05〜100μ
mであるイオン交換膜の積層方法であり、この発明の第
16の態様は、前記第1〜14の態様において、陰イオ
ン交換膜の厚みが0.1〜20μmであるイオン交換膜
の積層方法であり、この発明の第17の態様は、前記第
1〜14の態様において、陰イオン交換膜の厚みが1〜
5μmである前記イオン交換膜の積層方法であり、この
発明の第18の態様は、前記第1〜14の態様におい
て、陽イオン交換膜のフィルムと陰イオン交換膜のフィ
ルムとのいずれか一方またはその両方を水または水蒸気
で、平均膨潤度が10%以上になるまで膨潤させ、その
後に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを重ね合わせ、
50〜190℃の加熱下で、1〜400kg/cm2
圧力を1秒〜30分間かけて一体化するイオン交換膜の
積層方法であり、この発明の第19の態様は、芳香族ポ
リスルホン−ポリチオエーテルスルホン共重合体の4級
アミノ化ポリマーからなる陰イオン交換体薄膜層と、ジ
ビニルベンゼンとアルキルアクリレートとスチレンとニ
トリルゴムと可塑剤と重合開始剤とを含有するモノマー
シロップ液を合成樹脂製の織布に含浸重合させ、次いで
スルホン化することにより得られる陽イオン交換膜を水
で膨潤させてなる膨潤陽イオン交換膜とを、加熱加圧積
層することを特徴とするイオン交換膜の積層方法であ
る。
【0016】以下、この発明について詳細に説明する。
【0017】この発明における陽イオン交換膜として
は、海水濃縮や電解質溶液の濃縮または脱塩に使用され
ている炭化水素系陽イオン交換膜や、水電解や燃料電池
に使用されているパーフルオロスルホン酸重合体からな
る陽イオン交換膜を挙げることができる。
【0018】具体的には、スルホン化ポリスルホン、ス
ルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリアリー
ルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキサ
イド、スルホン化ポリエーテルイミド等からなる陽イオ
ン交換膜を挙げることができるが、これら陽イオン交換
膜の中でも入手が容易なこと、耐久性に優れること、低
電気抵抗であること、積層される陰イオン交換膜との接
着性に優れることなどの利点を有することから、好まし
くはスチレンまたはその誘導体とジビニルベンゼンまた
はその誘導体との共重合体を母体とし、スルホン酸基な
どの強酸性陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜が使
用される。このような陽イオン交換膜の中でも、スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体を母体とし、スルホン酸
基を有する陽イオン交換膜が、調製が容易で安価であ
り、特に耐久性に優れ、低抵抗であることから特に好ま
しい。
【0019】この発明における陽イオン交換膜として
は、均一型および不均一型のいずれでも良く、また必要
に応じて補強体を有していても良い。
【0020】前記補強体としては織布、編布、不織布等
の多孔性基材を挙げることができる。この補強体は、陽
イオン交換膜に埋め込んでそれ自体が補強された陽イオ
ン交換膜として使用することができ、また、補強体と陽
イオン交換膜とを積層して使用することもできる。
【0021】好ましい陽イオン交換膜は、塩化ビニル樹
脂製またはポリオレフィン樹脂たとえばポリプロピレン
樹脂製の織布もしくは不織布または窒素雰囲気下に放射
線により照射処理した織布もしくは不織布を、調製され
たスチレン−ジビニルベンゼンモノマーシロップに浸漬
させた後に、放射線や熱により重合させ、得られた重合
体をスルホン化することにより得られる陽イオン交換膜
である。
【0022】この発明における陽イオン交換膜の厚み
は、膜としての強度を保つために必要な厚みである限り
特に制限がないのであるが、通常10〜500μmであ
り、好ましくは50〜300μmであり、特に好ましく
は100〜150μmである。陽イオン交換膜の厚みが
10μm未満であると、膜強度が不十分になり、陰イオ
ン交換膜との積層一体化処理に困難を生じることがあ
る。陽イオン交換膜の厚みが100〜150μmである
と、特に膜強度が十分に高く、また膜抵抗も低くなると
いう利点がある。
【0023】この発明における陰イオン交換膜として
は、実質的に芳香環を有し、かつ陰イオン交換基が導入
された重合体をベースポリマーとして使用する限り特に
制限がなく、実質的に芳香環と連結基とを有し、かつ陰
イオン交換基が導入されてなる重合体が好ましい。
【0024】前記陰イオン交換膜としては、たとえばス
チレンとクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンとの
共重合体と1〜3級アミンとの反応生成物、ビニルピリ
ジン系重合体(例えばポリ−4−ビニルピリジン、4−
ビニルピリジン−ジビニルベンゼン共重合体)、ポリエ
チレンイミン架橋体、エポキシ樹脂のポリアミン架橋
体、ビニルアニリン系重合体、ビニルイミダゾール系重
合体の他に、臭素化ポリフェニレンオキサイド、クロロ
メチル化ポリエーテルイミド、クロロメチル化ポリエー
テルイミド、クロロメチル化ポリエーテルケトン、クロ
ロメチル化ポリエーテルエーテルケトン、クロロメチル
化ポリエーテルスルホン、クロロメチル化ポリスルホン
等のエンジニアリングプラスチックをベースポリマーと
し、その芳香環中に、1〜3級アミノ基および4級アン
モニウム塩基よりなる群から選択される少なくとも一種
のイオン交換基が導入されてなる重合体を挙げることが
できる。
【0025】上記の他に好ましい前記陰イオン交換膜と
しては、機械的性質、耐熱性、耐薬品性および薄膜成形
性に優れている点からして、主鎖中に芳香環を有し、か
つ少なくとも一の繰り返し単位が一般式(化1)
【0026】
【化1】
【0027】で示される芳香族系重合体であって、その
芳香環中に、1〜3級アミノ基および4級アンモニウム
塩基よりなる群から選択される少なくとも一種の陰イオ
ン交換基が導入されてなる重合体を挙げることができ
る。
【0028】この陰イオン交換膜が、イオン交換基が導
入されたセグメントとイオン交換基が実質的に導入され
ていないセグメントとからなる芳香族系ブロック共重合
体であるときには、この発明における複層イオン交換膜
の機械的性質が優れ、薄膜化が可能であるのでイオン透
過性が高くなるから好ましい。
【0029】前記芳香族系ブロック共重合体としては、
主鎖中に芳香環を有し、かつ少なくとも一つの繰り返し
単位が一般式(化2)
【0030】
【化2】
【0031】で示される芳香族系ブロック共重合体を挙
げることができる。
【0032】前記芳香族系ブロック共重合体として、例
えば、ポリフェニレンオキシド/ポリエーテルスルホン
ブロック共重合体、ポリフェニレンスルフィド/ポリエ
ーテルスルホンブロック共重合体、ポリアリールエーテ
ルエーテルスルホン/ポリエーテルスルホンブロック共
重合体、ポリアリールエーテルアリレート/ポリアクリ
レートブロック共重合体、およびポリアリールエーテル
スルホン/ポリチオエーテルスルホンブロック共重合体
を挙げることができる。
【0033】前記陰イオン交換膜の中でも好ましいの
は、一般式(化3)
【0034】
【化3】
【0035】で示される芳香族系ブロック共重合体であ
って、その芳香環中に、1〜3級アミノ基および第4級
アンモニウム塩基よりなる群から選択される少なくとも
一種の陰イオン交換基が導入されてなる重合体を挙げる
ことができる。
【0036】このような芳香族系ブロック共重合体を有
する陰イオン交換膜は、耐薬品性、イオン選択性、成形
加工性および機械的性質に優れ、さらに薄膜化が可能で
あり、低抵抗であると言う優れた特性を有する。
【0037】芳香環を有する重合体における少なくとも
一部の芳香環に、1〜3級アミノ基および/または第4
級アンモニウム塩基を導入する方法は、本出願人による
特開平2−21257号公報および特開平5−2283
44号公報に記載されている。
【0038】さらに詳述すると、芳香環を有する重合体
における、少なくとも一部の芳香環に1〜3級アミノ基
および/または4級アンモニウム塩基を導入する方法と
しては、(a)芳香族環例えばベンゼン環またはナフタ
レン環にアミノアルキル基を導入し、必要によりハロゲ
ン化アルキルとの反応により4級アンモニウム塩に転換
する方法、(b)芳香族環例えばベンゼン環またはナフ
タレン環の水素をハロアルキル基に置換し、NH3 、1
〜2級アミンまたは3級アミンと反応させる方法、
(c)芳香族環例えばベンゼン環またはナフタレン環に
アルキル基が導入されている場合には、そのアルキル基
をハロアルキル基に転換した後に、アミンと反応させる
方法等を挙げることができる。
【0039】これら各種の方法の内、反応が容易に進行
し、イオン交換容量の調整を容易に行えること、および
ハロアルキル基の反応性を利用して架橋を導入すること
ができることという点で、前記(b)方法および(c)
のハロアルキル化−アミノ化反応を利用した方法が好ま
しい。
【0040】ハロアルキル基の導入方法としては、
(b)方法であって、クロルメチルメチルエーテル、
1,4−ビス(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメ
トキシ−4−クロロブタン、ホルマリン−塩化水素、パ
ラホルムアルデヒド−塩化水素等を使用する親電子置換
反応性のクロルメチル化反応を利用する方法、ならびに
(c)方法であって、塩素や臭素により直接にアルキル
基をハロゲン化する方法、N−ブロモスクシンイミドを
用いて光の存在下で臭素化する方法、および相間移動触
媒の存在下でハロゲン化する方法等を挙げることができ
る。
【0041】かくしてハロアルキル化例えばクロルメチ
ル化された重合体、すなわちハロアルキル化重合体に
は、好ましくは以下の方法にて1〜3級アミノ化または
4級アンモニウム塩基が導入される。
【0042】(A) ハロアルキル化重合体例えばクロルメ
チル化重合体を溶媒に溶解し、得られる溶液にアミンを
添加してアミノ基を導入する。(B) ハロアルキル化重合
体例えばクロルメチル化重合体を溶媒に溶解し、得られ
る溶液を流延し、膜状に形成した後、NH3 または1〜
3級アミンと接触させる。(C) ハロアルキル化重合体例
えばクロルメチル化重合体を溶媒に溶解し、ハロアルキ
ル基例えばクロルメチル基の一部例えば20〜80%の
3級アミンを添加し、陰イオン交換樹脂溶液とし、これ
を流延し、膜状に形成してから、残余のハロアルキル基
例えばクロルメチル基を加熱処理し、ルイス酸と接触さ
せ、あるいは少なくとも2個以上のアミノ基を有するア
ミンと反応させて架橋構造を導入する。
【0043】主鎖に芳香環を有する重合体からなる陰イ
オン交換膜のイオン交換容量は、通常0.5〜3.5ミ
リ当量/g乾燥樹脂、好ましくは1.0〜3.0ミリ当
量/g乾燥樹脂、更に好ましくは1.5〜2.5ミリ当
量/g乾燥樹脂である。また、このイオン交換容量は、
この明細書の実施例で採用された陰イオン交換膜の内最
小のイオン交換容量から他の実施例で採用された陰イオ
ン交換膜の内最大のイオン交換容量までの範囲を好適な
イオン交換容量範囲とすることもできる。また場合によ
っては、この明細書の実施例で採用された陰イオン交換
膜の内最大のイオン交換容量を上限値とし、前記0.5
ミリ当量/g乾燥樹脂、1.0ミリ当量/g乾燥樹脂ま
たは1.5ミリ当量/g乾燥樹脂を下限値とするイオン
交換容量の範囲を好ましい範囲とし、あるいは、この明
細書の実施例で採用された陰イオン交換膜の内最小のイ
オン交換容量を下限値とし、前記3.5ミリ当量/g乾
燥樹脂、3.0ミリ当量/g乾燥樹脂または2.5ミリ
当量/g乾燥樹脂を上限値とする範囲を好ましいイオン
交換容量の範囲とすることもできる。一般的に言うとイ
オン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂より小さい
と膜抵抗が急激に上昇し、前述の各イオン交換容量の下
限値よりも小さいと、場合によっては膜抵抗が急激に上
昇し、また、一般的に言うと3.5ミリ当量/g乾燥樹
脂より高いと選択性および機械的強度が急激に低下し、
前述の各イオン交換容量の上限値よりも大きいと選択性
および機械的強度が急激に低下することがある。
【0044】この陰イオン交換膜の膜厚は、イオン交換
容量の値により異なるのであるが、目的とするイオン種
選択性と積層一体化された積層イオン交換膜が有する限
界電流密度の値から適宜に設定される。ともあれ、この
陰イオン交換膜の厚みは、通常0.05〜100μmで
あり、好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ま
しくは1〜5μmである。また、このイオン交換体の膜
厚は、この明細書の実施例で採用された陰イオン交換膜
の内最小の膜厚から他の実施例で採用された陰イオン交
換膜の内最大の膜厚までの範囲を好適な膜厚範囲とする
こともできる。また場合によっては、この明細書の実施
例で採用された陰イオン交換膜の内最大の膜厚を上限値
とし、前記0.05μm、0.1μm、または1μmを
下限値とする膜厚の範囲を好ましい範囲とし、あるい
は、この明細書の実施例で採用された陰イオン交換膜の
内最小の膜厚を下限値とし、前記100μm、20μ
m、または5μmを上限値とする範囲を好ましい膜厚の
範囲とすることもできる。一般的に言うと、膜厚が0.
05μmより小さいとピンホールフリーの緻密膜が形成
されにくくて選択性が低下し、前述の各膜厚の下限値よ
りも小さいと、場合によってはピンホールフリーの緻密
膜が形成されにくくて選択性が低下し、また一般的に言
うと、100μmより厚いと膜抵抗が高くなって透過性
が低下し、前述の各膜厚の上限値よりも大きいと、場合
によっては膜抵抗が高くなって透過性が低下するので好
ましくない。
【0045】本発明において、陽イオン交換膜と陰イオ
ン交換膜とが、加熱下に加圧することにより一体化さ
れ、積層される(以下、この処理を加熱加圧積層処理と
称することがある。)。
【0046】前記加熱の温度は、通常50〜190℃で
ある。前記温度が50℃未満であると陽イオン交換膜と
陰イオン交換膜との界面接着性に劣り、一方前記温度が
190℃を超えると膜素材の熱劣化により得られる積層
イオン交換膜の強度が著しく低下するので好ましくな
い。前記温度範囲の中でも90〜160℃であると特に
接着性に優れるので好ましく、110〜160℃である
と接着性に優れる上に、温度と処理時間との関係におい
て効率的で作業性にも優れるので特に好ましい。
【0047】前記押圧時の圧力としては、通常1〜40
0kg/cm2 である。前記圧力が1kg/cm2 未満
であると接着性に劣ることがあり、一方400kg/c
2を超えると陽イオン交換膜を構成する重合体の脆性
破壊による小クラックが発生し、膜の強度が低下するの
で好ましくない。前記圧力が5〜150kg/cm2
あると、安定的な接着力が得られると同時に膜強度の低
下もないので好ましく、特に10〜100kg/cm2
であるとある程度の前工程での加工歪みを有する膜であ
っても全面にわたり良好な積層膜を得ることができるの
で特に好ましい。
【0048】加熱加圧積層処理の時間は、通常1秒〜3
0分である。1秒未満であると両膜の接着性に劣ること
があるなど接着が不安定になり、30分を超えると効率
的でなく実用的な生産性に難点がある。好ましい処理時
間は5秒〜10分である。この範囲であると十分な接着
性を得られると共に効率的である。特に好ましくは、1
0秒〜3分である。
【0049】前記加熱加圧積層処理に用いる装置として
は、特に限定はなく、例えば、二枚の平行に対峙する加
熱盤からなるプレス装置等を採用することができる。押
圧の方向は上下方向でも左右方向でも良い。本発明にお
ける加熱加圧積層処理は、例えば、陽イオン交換膜と陰
イオン交換膜とを重ね合わせた後、その両面から前記プ
レス装置の加熱盤によって押圧することにより行なうこ
とができる。
【0050】本発明においては、上記加熱加圧積層処理
の前に以下の処理を行なうことが特に重要である。すな
わち、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂の両
方、またはいずれか一方を前記加熱加圧積層処理に先立
ち、水もしくは親水性液体またはそれらの蒸気で膨潤さ
せる。
【0051】最も簡単に膨潤させる方法は、水に所定時
間浸漬することである。この膨潤処理を行なってから、
前記加熱加圧積層処理を行なうまでの時間は、膜の平衡
膨潤度が10%以上に維持されている限りにおいて特に
制限はない。浸漬する水もしくは親水性液体または蒸気
の温度および時間は、前記平衡膨潤度が所定の範囲にな
るように適宜に決定される。
【0052】前記加熱加圧積層処理時における前記平衡
膨潤度は通常10%以上であり、15%以上であるのが
好ましく、特に20%以上であるのが好ましい。前記平
衡膨潤度が10%未満であると膨潤した効果が期待でき
ず、両膜の接着性に劣ることがある。
【0053】なお、ここで、平行膨潤度は、水もしくは
親水性液体またはそれらの蒸気で膨潤させたときの膜の
重量をW1 、この膜を50℃で2時間真空乾燥させたと
きの重量をW0 とすると、次の式にて表示することがで
きる。
【0054】 平衡膨潤度={(W1 −W2 )/W0 }×100(%)
【0055】
【実施例】以下、この発明を実施例により詳述するが、
この発明は以下の実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0056】(実施例1)特開昭61−168629号
公報に記載された合成法と同様にして、4,4’−ジフ
ェノール0.36モルとジクロロジフェニルスルホン
0.396モルとを反応させ、芳香族ポリスルホンのユ
ニットからなるm=10のプリカーサー0.36モルを
合成し、次いで前記プリカーサー0.36モルとジクロ
ロジフェニルスルホン0.324モルと硫化ナトリウム
0.378モルとを反応させ、次式で示される芳香族ポ
リスルホン−ポリチオエーテルスルホン共重合体220
gを得た。
【0057】
【化4】
【0058】(ただし、m/nは1/1である。この芳
香族ポリスルホン−ポリチオエーテルスルホン共重合体
の固有粘度は0.50である。) 得られた共重合体75gを1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン1,020mlに溶解し、クロルメチルメチル
エーテル400gおよび無水塩化スズ4.5gを更に添
加して、110℃に加熱して4時間かけてクロルメチル
化反応を行った。反応終了後、メチルアルコール5,0
00mlを用いて反応生成物を沈殿させ、これを洗浄
し、クロルメチル化共重合体85gを得た。
【0059】得られたクロルメチル化共重合体50gを
N,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解して1
5重量%溶液を調製した。冷却下に撹拌しながら−10
℃で1NトリメチルアミンのN,N−ジメチルホルムア
ミド溶液115mlをゆっくりと滴下し、その後所定量
の2−メトキシエタノールを添加し、イオン交換容量が
2.0ミリ当量/g乾燥樹脂である4級アミノ化ポリマ
ーを溶解したN,N−ジメチルホルムアミド溶液A52
0mlを得た(以下、この溶液をアミノ化ポリマー溶液
Aと称する。)。
【0060】次いで、得られたアミノ化ポリマー溶液A
500mlを、ポリエステルフィルム上にグラビアコー
ティング装置でコーティングすることにより、厚さ1.
5μmの陰イオン交換膜Bを得た。
【0061】一方、14.8重量%のジビニルベンゼン
と16.9重量%のブチルアクリレートと53.0重量
%のスチレンモノマーと5.1重量%のニトリルゴムと
8.5重量%の可塑剤としてのジオクチルフタレートと
重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1.7重量
%とを含有するモノマー溶液90mlを塩化ビニル製の
1m角の織布に含浸させた。次いで、含浸された織布を
上下ポリエステルフィルムで挟み、60℃で1.5時
間、更に70℃に昇温してその温度で5時間加熱するこ
とによりモノマーの重合を行った。ジビニルベンゼン−
スチレン共重合体を含浸保持する織布が得られた。この
織布を濃硫酸10mlで処理することにより、織布に含
浸保持されたジビニルベンゼン−スチレン共重合体をス
ルホン化した。その結果、膜厚120μmであり、イオ
ン交換容量が2.0ミリ当量/g乾燥樹脂であるところ
の、織布で補強されたジビニルベンゼン−スチレン共重
合体からなる陽イオン交換膜Cが得られた。
【0062】この陽イオン交換膜Cを30cm角に切断
した。得られた30cm角の陽イオン交換膜Cを20℃
のイオン交換水に10分間浸漬した後、陰イオン交換膜
Bとすばやく重ねた。なお、陽イオン交換膜Cを20℃
のイオン交換水に10分間浸漬した後のその陽イオン交
換膜Cの膨潤度は25%であった。
【0063】重ね合わせてなる積層膜の両側に40cm
×40cmのポリエステルフィルム、さらにその両側に
40cm×40cmで厚さ1mmの厚紙を置いて、前記
積層膜をポリエステルフィルムで挟み、更にその外側を
厚紙で挟んでなる積層状態とした。このような積層状態
にある積層物を、2枚の平行な加熱盤からなるプレス装
置を用いて、プレス盤面温度120℃、陽イオン交換膜
の投影面積(900cm2 )換算で40kg/cm2
圧力で、2分間プレスした。その後、20℃の水中に5
分間浸漬し、陰イオン交換膜側のポリエステルフィルム
を水中で剥離し、最終的な積層イオン交換膜Dを得た。
得られた積層イオン交換膜Dにおける陽イオン交換膜C
と陰イオン交換膜Bとの接着性は良好であり、作業上全
く問題なかった。
【0064】31.5重量%のジビニルベンゼンと4
0.5重量%の4−ビニルピリジンと18.0重量%の
スチレンと7.2重量%のニトリルゴムと2.8重量%
の重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイドとを含
有するモノマー溶液90mlを1m角の塩化ビニル製の
織布に含浸させた。次いで、含浸された織布を上下ポリ
エステルで挟み、60℃で1.5時間、更に70℃に昇
温してその温度で5時間加熱することによりモノマーの
重合を行い、ジビニルベンゼン−スチレン−4−ビニル
ピリジン共重合体を含浸保持するところの、膜厚が12
0μmのイオン交換膜Eが得られた。通常の陰イオン交
換膜の陰イオン交換基は4級アンモニウム塩基であり強
塩基であるのに対して、この膜の陰イオン交換基はピリ
ジニウム基で弱塩基であるから、膜抵抗は高くなるがプ
ロトン透過性は低いものであった。
【0065】8枚の陰イオン交換膜Eと9枚の前記積層
イオン交換膜Dとを交互に配列し、陰イオン交換膜Eと
積層イオン交換膜Dとの間に有効面積0.018m2
スペーサーネットを介装して、これらを電気透析層に組
み込んだ。次いで、積層イオン交換膜Dにおける陰イオ
ン交換膜Eを有する面側には、40g/リットルの硝
酸、100g/リットルの硫酸および20g/リットル
のアルミニウムを含有する酸廃液を、前記積層イオン交
換膜Dにおけるの陽イオン交換膜を有する面側には水を
流し、温度40℃、電圧2Vの条件で電気透析を行な
い、一価(プロトン)と三価(アルミニウム)との選択
透過性を測定した。前記積層膜のアルミニウムの輸率は
0.1%以下であり、限界電流密度は、1.5kA/m
2 であった。30日間この電気透析を続けたところ前記
輸率および限界電流密度の値はほぼ一定であった。また
30日後の前記積層イオン交換膜の状態を調べたとこ
ろ、接着の状態、すなわち積層状態に何ら異常はなかっ
た。
【0066】(実施例2)前記実施例1における陽イオ
ン交換膜Cを20℃の水に10分間浸漬する代わりに、
100℃の水蒸気に10秒接触させ、平衡膨潤度を20
%にした外は、前記実施例1と同様にして積層イオン交
換膜D1 を得た。この積層イオン交換膜D1 における陽
イオン交換膜C1 と陰イオン交換膜Bとの接着性は良好
であり、作業上全く問題がなかった。
【0067】(実施例3)前記実施例1における陽イオ
ン交換膜Cを20℃の水に10分間浸漬する代わりに、
20℃のエタノールに10分間浸漬させ、平衡膨潤度を
27%にした外は、前記実施例1と同様にして積層イオ
ン交換膜D2 を得た。この積層イオン交換膜D2 におけ
る陽イオン交換膜D2 における陽イオン交換膜C2 と陰
イオン交換膜Bとの接着性は良好であり、作業上全く問
題がなかった。
【0068】(比較例1)実施例1における20℃のイ
オン交換水に10分間浸漬する前の陽イオン交換膜Cを
温度20℃および相対湿度60%の環境下に一昼夜保持
した後、水に浸漬する等の膨潤処理を行なわずに積層し
た外は、実施例1と同様にして、積層イオン交換膜D1
を得た。この積層イオン交換膜D1 における陽イオン交
換膜C1 と陰イオン交換膜Bとの接着性は実施例1にお
ける積層イオン交換膜Dに比較して著しく劣り、面積に
して80%以上の部分で剥離が生じていた。この積層イ
オン交換膜D1 を用いて、実施例1と同様に、電気透析
槽で30日間運転した後、解体したところ陽イオン交換
膜C1 と陰イオン交換膜Bとの間の多くの部分に剥離が
生じていた。
【0069】(比較例2)実施例1における20℃のイ
オン交換水に10分間浸漬する前の陽イオン交換膜Cを
温度20℃および真空度740mmHgの条件下で真空
乾燥機により一昼夜乾燥した。一昼夜かけて乾燥した後
に、膨潤処理を行なわない外は実施例1と同様にして、
積層イオン交換膜D2 を得た。この積層イオン交換膜D
2 における陽イオン交換膜C2 と陰イオン交換体薄膜B
との接着性は前記実施例1または前記比較例1における
積層イオン交換膜D1 に比較して著しく劣っており、接
着されている部分がほとんど認められなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明によると、別個に調製した陽イオ
ン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを積層するに際し、接
着性に優れたイオン交換膜の積層方法を提供することが
できる。また、簡単な操作によって陽イオン交換樹脂と
陰イオン交換樹脂とを積層することができ、選択透過性
および耐久性に優れる積層イオン交換膜を得ることがで
きるイオン交換膜の積層方法を提供することができる。
【0071】本発明のイオン交換膜の積層方法によっ
て、別個に諸種のイオン交換容量を有する陽イオン交換
膜および陰イオン交換膜を予め調製しておき、必要に応
じて適宜に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを選択
し、それらを組み合わせて積層することによりその用途
に最適な同符号イオン選択透過膜を迅速かつ簡単に調製
することができる。
【0072】また、種類の異なる陽イオン交換膜および
陰イオン交換膜を予め調製しておき、必要に応じて適宜
に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを選択し、それら
を組み合わせて積層することにより、さらに幅広い用途
に対応し得る積層イオン交換膜を迅速に得ることができ
る。
【0073】本発明において、前記加熱押圧処理前に親
水性液体等による膨潤処理を行なうことによって、陽イ
オン交換膜と陰イオン交換膜との接着性が向上する理由
は明らかではない。しかしながら、イオン交換性ポリマ
ーの分子運動性が水の存在下で活性化することにより接
着性が向上するものと推定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 晴久 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平5−15743(JP,A) 特開 平5−255522(JP,A) 特開 平4−100521(JP,A) 特公 昭48−7193(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 - 5/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を
    有してなる積層イオン交換膜を形成するに際し、陽イオ
    ン交換膜および陰イオン交換膜のいずれか一方または両
    方を水もしくは親水性液体またはそれらの蒸気で膨潤さ
    せた後に、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを加熱下
    で加圧することにより積層することを特徴とするイオン
    交換膜の積層方法。
  2. 【請求項2】 前記陰イオン交換膜は、主鎖に芳香環を
    含有する重合体を母体とし、1〜3級アミノ基および4
    級アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも
    一種の陰イオン交換基が導入されてなる前記請求項1
    記載のイオン交換膜の積層方法。
  3. 【請求項3】 前記主鎖に芳香環を含有する重合体が、
    一般式(化1) 【化1】 で示される少なくとも一の繰り返し単位を有する芳香族
    系重合体である前記請求項2に記載のイオン交換膜の積
    層方法。
  4. 【請求項4】 前記主鎖に芳香環を含有する重合体が、
    一般式(化2) 【化2】 で示される芳香族系ブロック共重合体である前記請求項
    2に記載のイオン交換膜の積層方法。
  5. 【請求項5】 水もしくは親水性液体またはそれらの蒸
    気で膨潤させた前記陽イオン交換膜および陰イオン交換
    膜のいずれか一方または両方の平衡膨潤度が10%以上
    であることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれか一
    項に記載のイオン交換膜の積層方法。
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