JP3311010B2 - 水素イオン選択電気透析方法 - Google Patents
水素イオン選択電気透析方法Info
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Description
含有する水溶液から、水素イオンを隔膜を通じて選択的
に陰極側に透過せしめる水素イオン選択電気透析方法に
関する。更に詳しくは、酸廃液からの酸の濃縮回収、酸
性メッキ液のpH調整または脱酸等において有用な水素
イオン選択電気透析方法に関する。
層膜は、その陰イオン交換層側を陽極に向けて配置し、
中性塩またはアルカリを含有する溶液を陽極側に接触さ
せ、中性塩または酸溶液を陰極側に接触させて電流を印
加せしめると、複層膜の界面で水が分裂して水酸イオン
と水素イオンとに解離し、陽極側に水酸イオンが、また
陰極側に水素イオンが生成し、いわゆるバイポーラ膜
(複極性膜)として機能することは、既に知られてい
る。
よび陽イオン交換膜を1ユニットとして中性塩を電気透
析により複分解し、酸とアルカリを製造する方法が報告
され、上記中性塩の複分解法の中核を成す水スプリッタ
ーとしてのバイポーラ膜の製法についても数多くの提案
がされている。
高分子膜の片面にスルホン化等の処理により陽イオン交
換基を導入し、もう一方の片面に4級アンモニウム基の
陰イオン交換基を導入する方法が特公昭60−3186
0号、特開昭62−205135号、特開昭62−20
5135号、特開昭63−95235号に示されてい
る。
フッ化ビニリデンの混合溶液から形成される4級アンモ
ニウム塩基を含有するキャスト膜上に、微粒子状の陽イ
オン交換樹脂を分散させたポリフッ化ビニリデン溶液を
キャストした膜が特公昭60−35936号に、更に陰
イオン交換膜と陽イオン交換膜の積層界面に塩化鉄など
の無機化合物を介在させて接合させた膜が特公昭59−
47235号に示されている。
交換基を有し、他方の層のペンダント鎖に陰イオン交換
基を有し、かつ主鎖がパーフルオロカーボン重合体から
なる非架橋型含フッ素系バイポーラ膜が特開昭60−1
234号に示されている。
オン間のイオンの選択分離膜として使用できることは、
特公昭60−28849号、特開昭55−86821号
に示されているが、水素イオン選択透過性については、
明らかにされていない。
に海水中からNaイオンを選択的に透過する方法として
陽イオン交換膜の表面に反対電荷を有する化合物を吸着
または結合させることが、特公昭46−23607号、
同46−42082号、同47−3801号、同47−
38310号に示され、また特公昭47−3081号、
特開昭62−205135号等には、反対電荷を有する
化合物を付着後架橋または重合処理することが示されて
いる。
表面に含窒素化合物の薄層を形成させた膜が、特公昭6
1−27084号に示されているが、これら1価陽イオ
ン選択透過膜の水素イオン選択透過性については明らか
にされていない。
イオンを選択的に透過せしめる1価イオン選択分離膜で
は、Naイオンの透過性が大きく、水素イオン選択透過
性が不充分であり、また従来のバイポーラ膜では、水分
裂しやすく、水分裂で生成した水酸イオンにより、不純
物として酸溶液に含有されている多価カチオンと反応し
て難溶性の沈澱物が生成する欠点がある。
等の電気透析用などに水素イオンを選択的に電気透析す
る方法は大きなニーズがあるのにもかかわらず充分にこ
れを満たす方法はなかった。本発明は、これらの欠点を
解消する新規な水素イオン選択電気透析方法を提供する
ことを目的とする。
達成すべくなされたものであり、陽極側の水素イオンを
含有する溶液から、水素イオンを隔膜を通じて選択的に
陰極側に透過せしめる水素イオン選択電気透析方法にお
いて、上記隔膜が、イオン交換容量0.5〜4ミリ当量
/g乾燥樹脂、固定イオン濃度1〜10ミリ当量/gH
2 O、膜厚0.1〜150μm、硫酸0.5モル/リッ
トル溶液中の抵抗1Ω・cm2以下である陽極側の陰イ
オン交換体層と、陰極側の陽イオン交換体層との複層イ
オン交換膜であり、陰イオン交換体層が、繰り返し単位
内に一般式−X−Ar−Y−(但し、式中X,Yは、互
いに同一または異なる電子供与性の連結基を表し、好ま
しくは−O−、−S−、炭素数1〜13のアルキレン基
または単結合であり、Arは、
8の炭化水素基であり、aは0〜4、b+cは0〜6、
d+eは0〜6から選ばれる。)を有する芳香族系重合
体からなり、その芳香族環に陰イオン交換基が導入され
た陰イオン交換体層であり、印加する電流密度が前記複
層イオン交換膜の水分裂の限界電流密度以下であること
を特徴とする水素イオン選択電気透析方法である。
陰イオン交換体層と陽イオン交換体層との複層イオン交
換膜からなるが、単なる陰イオン交換体層と陽イオン交
換体層との複層膜では、目的とする水素イオン選択性が
達成できない。すなわち、陰イオン交換基として作用す
る官能基を含有する化合物を陽イオン交換膜の表面に吸
着、または付着後不溶化した複層膜では、陰イオン交換
体層は、本発明に規定する陰イオン交換体層に比べて、
固定イオン濃度が低く、また膜厚も薄いためNaイオン
等の1価陽イオンが膜を透過しやすい。すなわち、水素
イオン選択透過性が低い。
除性が優れた陰イオン交換体層と陰イオン排除性が高い
陽イオン交換膜との複層膜いわゆるバイポーラ膜は、複
層界面で水分裂しやすく、水分裂で生成したアルカリに
より、多価カチオンが析出したり電圧が高い欠点があ
る。すなわち後述する水分裂の限界電流密度が低い。し
かも、良好な水素イオン選択透過性が得られない。
性、特には水素イオン/Naイオンの選択透過比が高
く、水分裂の限界電流密度が高い水素イオン選択電気透
析方法について、鋭意検討した結果、イオン交換容量
0.5〜4ミリ当量/g乾燥樹脂、固定イオン濃度1〜
10ミリ当量/gH2O、膜厚0.1〜150μm、硫
酸0.5モル/リットル溶液中の抵抗1Ω・cm2以下
である陽極側の陰イオン交換体層と陰極側の陽イオン交
換層との複層イオン交換膜を使用することにより上記目
的が達成できることを見出した。
〜10ミリ当量/gH2Oである。固定イオン濃度が1
ミリ当量/gH2O未満では、Naイオンの透過性が大
きく水素イオン選択透過性が低下し、10ミリ当量/g
H2O超では、水素イオン/Naイオン選択透過比は高
いものの、水分裂が起きやすいことから、それぞれ不適
当である。固定イオン濃度が2〜6ミリ当量/gH2O
である場合は、特に好ましい。
0μmである。0.1μm未満では、Naイオンの透過
性が大きくなり、また150μm超では、水素イオンの
透過性が低下し水分裂しやすくなることから、それぞれ
不適当である。陰イオン交換体層の膜厚が1〜50μm
である場合は、特に好ましい。
ットル溶液中の抵抗が1Ω・cm2以下である。この抵
抗が1Ω・cm2超では、水素イオンの透過性が小さく
なるので不適当である。この抵抗が0.8Ω・cm2以
下、かつ、0.01Ω・cm2以上である場合は、特に
好ましい。
の複層イオン交換膜は、陽イオン交換体層と陰イオン交
換体層とを接合させるなどいずれの方法でも製造される
が、なかでも膜状に成形された陽イオン交換体層の表面
上に、陰イオン交換体層を形成する重合体溶液を流延、
乾燥し、積層せしめる方法が、得られる水素イオン選択
透過膜の抵抗が低く、また両イオン交換体層の密着性が
よく、機械的強度も大きく安定した複層膜が得られる点
で好ましい。
オン交換容量が好ましくは0.5〜4.5ミリ当量/g
乾燥樹脂、特には0.8〜3.0ミリ当量/g乾燥樹脂
が適切である。また膜厚が10〜1000μm、特には
50〜500μmの厚い膜が好ましく使用される。
縮や電解質溶液の濃縮または脱塩に使用されている炭化
水素系陽イオン交換膜や、水電解や燃料電池に使用され
ているパーフルオロスルホン酸重合体からなる陽イオン
交換膜が使用できる。なかでも入手が容易なことおよび
表面に積層される陰イオン交換体溶液の塗布性が良いこ
とから、好ましくはスチレンまたはその誘導体とジビニ
ルベンゼンとの共重合体を母体とし、スルホン酸基など
の強酸性陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜が使用
される。
交換体層としては、スチレンまたはクロロメチルスチレ
ンとジビニルベンゼンとの共重合体、ビニルピリジン系
重合体、ビニルアニリン系重合体、ビニルイミダゾール
系重合体、エポキシ/アミン系重合体、および側鎖の末
端に陰イオン交換基を有し、ポリマー骨格がパーフルオ
ロポリマーからなる含フッ素系重合体が例示される。
耐熱性、耐薬品性、および薄膜成形性に優れている点か
らして、繰り返し単位内に一般式−X−Ar−Y−(但
し、式中X,Yは、互いに同一または異なる電子供与性
の連結基を表し、好ましくは−O−、−S−、炭素数1
〜13のアルキレン基または単結合であり、Arは、
る炭素数1〜8の炭化水素基であり、aは0〜4、b+
cは0〜6、d+eは0〜6から選ばれる。)を有する
芳香族系重合体からなり、その芳香族環に陰イオン交換
基が導入された陰イオン交換体層を使用する。
が導入されたセグメントとイオン交換基が実質的に導入
されていないセグメントからなるブロック共重合体から
なる場合には、得られる複層イオン交換膜の水素イオン
選択透過性が高く、かつ機械的性質に優れているので特
に好ましい。
ェニレンオキシド/ポリエーテルスルホンブロック共重
合体、ポリフェニレンスルフィド/ポリエーテルスルホ
ンブロック共重合体、ポリアリールエーテルスルホン/
ポリエーテルスルホンブロック共重合体、ポリアリール
エーテルアリレート/ポリアリレートブロック共重合体
またはポリアリールエーテルスルホン/ポリチオエーテ
ルスルホンブロック共重合体が例示される。なかでも好
ましいブロック重合体として、
れぞれ2〜200、m/nは0.1〜100である。か
かる共重合体は、本出願人による特開平1−21534
8号、特開平2−245035号および特開平2−24
8434号に記載の方法によって得ることができる。
Y−を有する芳香族系重合体に陰イオン交換基を導入す
る方法としては、(a)芳香族環にアミノアルキル基を
導入し、必要によりハロゲン化アルキルとの反応により
4級アンモニウム塩に転換する方法、(b)芳香族環の
水素をハロアルキル基と置換反応せしめ、アミンと反応
させイオン交換基を導入する方法、または、(c)芳香
族環にアルキル基が導入されている場合には、置換基を
ハロアルキル基に転換後、NH3、1〜2級アミンまた
は3級アミンにより1〜3級アミンの弱塩基性陰イオン
交換基または4級アンモニウム塩の強塩基イオン交換基
を導入する方法、が使用できる。
の制御が容易であること、イオン強度の異なるイオン交
換基の導入性が優れていること、ハロアルキル基の反応
性を利用して架橋を導入できる点で、(b)または
(c)のハロアルキル化−アミノ化反応が好ましく使用
される。
(b)法のクロロメチルメチルエーテル、1,4−ビス
(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−
クロロブタンやホルマリン−塩化水素、パラホルムアル
デヒド−塩化水素等の親電子反応性のクロロメチル化反
応剤が使用できる。(c)法としては、塩素や臭素によ
り直接置換基をハロゲン化する方法や、N−ブロモスク
シノイミドを用いて光の存在下で臭素化する方法、相間
移動触媒の存在下でハロゲン化する方法等が例示され
る。
るハロメチル化重合体は、好ましくは以下の、いずれか
の方法にて複層イオン交換膜とすることができる。 (1)クロロメチル化重合体を溶液化せしめ、アミンを
添加、陰イオン交換樹脂溶液とした後、陽イオン交換体
層上に流延し、複層状に成形せしめる。 (2)クロロメチル化重合体を溶液化せしめた後、陽イ
オン交換体層上に流延し、複層膜状に成形せしめた後、
NH3 または1〜3級アミンと接触させ、クロロメチル
基を塩基性イオン交換基に変換する。 (3)クロロメチル化重合体を溶液化せしめ、クロロメ
チル基の一部、好ましくは20〜80モル%に相当する
3級アミンを添加し、陰イオン交換樹脂溶液とし、陽イ
オン交換体層上に流延し複層膜状に成形せしめた後、残
余のクロロメチル基を加熱処理、ルイス酸との接触、ま
たは少なくとも2個以上のアミノ基を有するアミンと反
応し架橋構造を導入する。
る陰イオン交換体層は、全イオン交換容量が、0.5〜
4ミリ当量/g乾燥樹脂、好ましくは、0.8〜3.5
ミリ当量/g乾燥樹脂、特には1.0〜3.0ミリ当量
/g乾燥樹脂の高いイオン交換容量にもかかわらず、固
定イオン濃度が、1〜10ミリ当量/gH2O、好まし
くは2〜6ミリ当量/gH2Oを有し、膜厚は、0.1
〜150μm、好ましくは、1〜50μm、特には5〜
25μmとすることができる。そして、得られる複層イ
オン交換膜の有する水素イオン選択透過性は、水素イオ
ンとNaイオンの透過速度比が20以上、場合により3
0以上と極めて高い値を有しうる。
優れた寸法安定性、取扱容易性等を与える大きい強度を
付与するために、多孔性基材により補強することができ
る。織布、編布、不織布などの多孔性基材は、陽イオン
交換体層に埋め込んでそれ自体が補強された複層イオン
交換膜として使用できる他、更に、層状にした多孔性基
材層と複層イオン交換膜層とを複層化し補強された複層
膜とすることもできる。複層イオン交換膜の形状は、一
般的な平面状だけではなく、袋状、中空糸、中空管など
にすることもできる。
極と陰極との間に、陰イオン交換体層が陽極に面するよ
うに配置され、陽極側の水素イオンを陰極側に透過せし
める電気透析に使用される。
おいて、印加する電流密度は、複層イオン交換膜内で水
分裂を生じないように、水分裂の生じない範囲での最大
の電流密度(本明細書においては、水分裂の限界電流密
度という)以下である。好ましくは、水分裂の限界電流
密度の1/2以上の電流を印加するのが好ましい。電気
透析を実施する方法は、既知の方法が採用でき、その装
置も水槽型、フィルタープレス型などの既知の装置がい
ずれも使用できる。
は、かかる実施例に限定されるものではない。
にして4,4’−ジフェノールとジクロロジフェニルス
ルホンとを反応せしめ、芳香族ポリスルホンのユニット
からなる固有粘度0.22のプリカーサーを合成し、つ
いで該プリカーサーとジクロロジフェニルスルホンと硫
化ナトリウムとを反応し、化5の構造を有し、芳香族ポ
リスルホンとポリチオエーテルスルホンが等モルで、固
有粘度0.65のブロック共重合体Aを得た。
ルエーテルと塩化スズの存在下で反応させてクロロメチ
ル化共重合体Bを得た。該共重合体BのNMR測定か
ら、ジフェノールの芳香族環の92%に選択的にクロロ
メチル基が導入されていた。得られた共重合体Bをジメ
チルホルムアミドに溶解し、次いでトリメチルアミンと
反応させてイオン交換容量2.0ミリ当量/g乾燥樹脂
の陰イオン交換樹脂溶液C1を得た。
オン交換膜(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のス
ルホン化物からなり、イオン交換容量1.8ミリ当量/
g乾燥樹脂、厚み110μm)の片面に流延した後、5
0℃、16時間加熱乾燥して、膜厚20μmの陰イオン
交換体層と陽イオン交換体層との複層イオン交換膜D1
を作成し、40℃の水に浸漬してイオン交換基を水和し
た。
イオン交換層が陽極に面するように配置して電解セル中
を2室に区画し、陽極室に0.5Nの水素イオン、2.
5NのNiイオン、2.0NのZnイオンそして1.0
NのNaイオンを含有する硫酸と硫酸塩の混合水溶液を
満たし、もう一方の陰極室には、0.5Nの硫酸を満た
し、80℃にて電流密度を変化させ膜間の電圧変化を調
べたところ、10A/dm2以上で急激な電圧上昇が観
察された。膜を解体調査したところ、陽極側の陰イオン
交換体層にニッケルの水酸化物の析出が認められたこと
から、水分裂の限界電流密度は10A/dm2であると
確認した。
使用して、80℃、7A/dm2にて電気透析し、陰極
側に透過する陽イオンMと陰極側に透過する水素イオン
の電流効率を算出し、陽イオンMに対する水素イオンの
選択透過性RSH Mを次式により求めた。 RSH M=(水素イオンの電流効率/陽イオンMの電流効
率)/(陽極側水素イオンの濃度/陽極側陽イオンMの
濃度)
の選択透過性すなわちRSH Niは160、Znイオンに
対する水素イオンの選択透過性すなわちRSH Znは11
0、Naイオンに対する水素イオンの選択透過性すなわ
ちRSH Naは60であった。なお、陰イオン交換樹脂溶
液C1を使用して、膜厚20μmの単層の陰イオン交換
膜を作成し、その固定イオン濃度および0.5M硫酸中
の膜抵抗を求めたところ、それぞれ3ミリ当量/gH2
Oおよび0.15Ω・cm2であった。
交換膜のみを使用し、実施例1と同様にしての電気透析
から水素イオン選択透過性を求めた結果、RSH Ni=1
0、RSH Zn=30、RSH Na=4であった。
ン交換容量1.6ミリ当量/g乾燥樹脂の陰イオン交換
樹脂溶液C2を使用した以外は、全く同様にして複層イ
オン膜D2を作成した。得られた複層イオン膜の水分裂
の限界電流密度は、8A/dm2であった。温度80
℃、電流密度6A/dm2の電気透析から水素イオン選
択透過性を求めた結果、RSH Ni=300、RSH Zn=1
50、RSH Na=100であった。
膜厚20μmの単層の陰イオン交換膜を作成し、その固
定イオン濃度および0.5M硫酸中の膜抵抗を求めたと
ころ、それぞれ5ミリ当量/gH2 Oおよび0.4Ω・
cm2であった。
ン交換容量1.2ミリ当量/g乾燥樹脂の陰イオン交換
樹脂溶液C3を使用した以外は、全く同様にして複層イ
オン膜D3を作成した。得られた複層イオン膜の水分裂
の限界電流密度は、5A/dm2であった。温度80
℃、電流密度4A/dm2の電解テストから水素イオン
選択透過性を求めた結果、RSH Ni=800、RSH Zn=
400、RSH Na=200であった。
て膜厚20μmの単層の陰イオン交換膜を作成し、その
固定イオン濃度および0.5M硫酸中の膜抵抗を求めた
ところ、それぞれ8ミリ当量/gH2 Oおよび0.8Ω
・cm2であった。
乾燥樹脂の陰イオン交換体層の膜厚を200μmとした
以外は同様にして複層イオン交換膜を作成し、25℃の
水中にて水和した。水分裂の限界電流密度を求めたとこ
ろ2A/dm2であった。求められた水分裂の限界電流
密度の50%にあたる電流密度1A/dm2にて電気透
析したが、電圧が上昇し、解体したところ陽極側の陰イ
オン交換膜表面にニッケルの水酸化物の析出が起きてい
た。
て膜厚200μmの単層の陰イオン交換膜を作成し、そ
の固定イオン濃度および0.5M硫酸中の膜抵抗を求め
たところ、それぞれ12ミリ当量/gH2 Oおよび8Ω
・cm2であった。
ンモノマーにニトリルゴムを溶解したシロップ溶液を、
ポリ塩化ビニルに含浸させて重合せしめ、ついでトリメ
チルアミンでアミノ化した膜厚120μm、イオン交換
容量2.0ミリ当量/g乾燥膜、固定イオン濃度6ミリ
当量/gH2 O、0.5M硫酸中の膜抵抗0.9Ω・c
m2の陰イオン交換膜を得た。
=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2SO3Hと四
フッ化エチレンとの共重合体からなるイオン交換容量
1.1ミリ当量/g乾燥樹脂のエタノール溶液を塗布加
熱し、膜厚20μmの陽イオン交換体層を複層化した複
層イオン交換膜E1を得た。実施例1と同様にして、水
分裂の限界電流密度を求めたところ4A/dm2であっ
た。80℃、3A/dm2の電解テストから水素イオン
選択透過性を求めた結果、RSH Ni=400、RSH Zn=
200、RSH Na=150であった。
レンモノマーにニトリルゴムを溶解したシロップ溶液を
塩化ビニルに含浸重合せしめ、ついでトリメチルアミン
でアミノ化した膜厚200μm、イオン交換容量1.9
ミリ当量/g乾燥樹脂、固定イオン濃度12ミリ当量/
gH2 O、0.5M硫酸中の膜抵抗2.5Ω・cm2の陰
イオン交換膜を得た。
にして陽イオン交換体層を複層化した複層イオン交換膜
の水分裂の限界電流密度を求めたところ、3A/dm2
であった。求められた水分裂の限界電流密度の50%に
あたる1.5A/dm2にて電気透析したが、電圧が上
昇し、解体したところ陽極側の陰イオン交換層の表面に
ニッケルの水酸化物の析出が起きていた。
N,N’,N’−テトラメチルジアミノプロパンのメタ
ノール溶液に浸漬し、架橋した複層イオン交換膜D4を
作成した。得られた複層イオン交換膜の水分裂の限界電
流密度は、12A/dm2であった。温度80℃、電流
密度10A/dm2での電気透析から水素イオン選択透
過性を求めた結果、RSH Ni=130、RSH Zn=13
0、RSH Na=30であった。
し、膜厚20μmの単層の陰イオン交換膜を作成し、そ
の固定イオン濃度および0.5M硫酸中の膜抵抗を求め
たところ、それぞれ4.0ミリ当量/gH2 Oおよび
0.12Ω・cmであった。
は、膜抵抗が低く、高い水素イオン選択透過性を有し、
かつ水分裂の限界電流密度が大きいので、高電流密度で
電気透析できる。このため、本発明の水素イオン選択電
気透析方法は、低濃度廃酸溶液から高純度の濃縮酸を回
収するプロセス、pH調整プロセス、脱酸プロセスなど
に有利に適用できる。
Claims (5)
- 【請求項1】陽極側の水素イオンを含有する水溶液か
ら、水素イオンを隔膜を通じて選択的に陰極側に透過せ
しめる水素イオン選択電気透析方法において、上記隔膜
が、イオン交換容量0.5〜4ミリ当量/g乾燥樹脂、
固定イオン濃度1〜10ミリ当量/gH2O、膜厚0.
1〜150μm、硫酸0.5モル/リットル溶液中の抵
抗1Ω・cm2以下である陽極側の陰イオン交換体層
と、陰極側の陽イオン交換体層との複層イオン交換膜で
あり、陰イオン交換体層が、繰り返し単位内に一般式−
X−Ar−Y−(但し、式中X,Yは、互いに同一また
は異なる電子供与性の連結基を表し、好ましくは−O
−、−S−、炭素数1〜13のアルキレン基または単結
合であり、Arは、 【化1】 を表す。R 1 〜R 5 は互いに同一または異なる炭素数1〜
8の炭化水素基であり、aは0〜4、b+cは0〜6、
d+eは0〜6から選ばれる。)を有する芳香族系重合
体からなり、その芳香族環に陰イオン交換基が導入され
た陰イオン交換体層であり、印加する電流密度が前記複
層イオン交換膜での水分裂の限界電流密度以下であるこ
とを特徴とする水素イオン選択電気透析方法。 - 【請求項2】陰イオン交換体層が、芳香族系重合体から
なり、その芳香族環に陰イオン交換基が導入された重合
体であって、陰イオン交換基が導入されたセグメントと
陰イオン交換基が実質的に導入されていないセグメント
とのブロック共重合体からなる請求項1記載の水素イオ
ン選択電気透析方法。 - 【請求項3】陽イオン交換体層が、スチレンまたはその
誘導体とジビニルベンゼンとの共重合体を母体とする強
酸性陽イオン交換膜である請求項1または2記載の水素
イオン選択電気透析方法。 - 【請求項4】複層イオン交換膜での水分裂の限界電流密
度の1/2以上の電流密度を印加する請求項1、2また
は3記載の水素イオン選択電気透析方法。 - 【請求項5】印加する電流密度が4A/dm 2 以上であ
る請求項1、2、3または4記載の水素イオン選択電気
透析方法。
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