JPH0952031A - 半透膜およびその製造方法 - Google Patents

半透膜およびその製造方法

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JPH0952031A
JPH0952031A JP21068895A JP21068895A JPH0952031A JP H0952031 A JPH0952031 A JP H0952031A JP 21068895 A JP21068895 A JP 21068895A JP 21068895 A JP21068895 A JP 21068895A JP H0952031 A JPH0952031 A JP H0952031A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 スルホン酸基を有する特定構造官能基を有し
てなることを特徴とする半透膜。 【効果】 本発明により、従来の半透膜に比較して水透
過速度が3〜5割向上した半透膜およびその製膜方法を
提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液状混合物の成分を選
択透過分離するための高性能な半透膜およびその製造方
法に関するものである。本発明によって得られる逆浸透
膜は特にカン水の脱塩、海水の淡水化、また半導体の製
造に利用される超純水の製造や、食品分野でのホエ−、
果汁等の回収などに用いることができる。さらには硬水
の軟水化、河川水からの汚染物質の除去に用いることが
でき、また染色排水、電着塗料排水などから、そのなか
に含まれる汚染物質あるいは有用物質を選択的に除去あ
るいは回収し、ひいては排水のクロ−ズド化に寄与する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】従来、工業的に利用されている半透膜、
特に逆浸透膜の構造には、非対称膜と複合膜がある。
【0003】このうち非対称膜には例として酢酸セルロ
−ス膜があった(例えば、米国特許第3,133,13
2号明細書、同第3,133,137号明細書)。しか
しこの膜は耐加水分解性、耐微生物性などに問題があ
り、塩排除率、水透過性も十分ではなかった。このた
め、酢酸セルロ−ス非対称膜は一部の用途には使用され
ているが、広範囲の用途に実用化されるには至っていな
い。
【0004】これらの欠点を補うべく考案されたのが、
微多孔性支持膜上にこれと異なる素材で実質的に膜分離
機能を司る分離機能層を被覆した複合膜であった。複合
膜では分離機能層と微多孔性支持膜の各々に最適な素材
を選択することが可能であり、製膜技術も種々の方法を
選択できる。
【0005】現在市販されている複合膜の大部分は微多
孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有
するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを界面重縮合
した活性層を有するものの2種類である。前者の具体例
としては、特公昭55−38164号公報、PBレポー
ト80−182090、特公昭59−27202号公報
などがある。後者の具体例としては米国特許第4,27
7,344号明細書、特開昭55−147106号公
報、同62−121603号公報、特開平6−1545
68号公報などがあり、特に、後者の複合半透膜はその
高い透過性と高い選択分離性を有することから半透膜開
発の主流となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】半透膜の水透過性お
よび選択分離性の向上に対する要求は年々高まってお
り、特に高い水透過性を有する膜が期待されている。こ
のように高い水透過性を有する膜であれば、操作圧力を
低く設定することが可能であり、低コストで分離装置を
運転することが可能となる。しかしながら従来の半透膜
の分離機能層の形成技術では、高い選択分離性と高透水
性とを同時に得ることは非常に困難であった。すなわち
高い透水性を望むと選択分離性が大幅に低下したり、逆
に選択分離性を優先させると透水性が著しく低下すると
いうように選択分離性と透水性とは相反する関係にあっ
た。
【0007】本発明は、かかる半透膜の透水性を向上さ
せ、かつ高い選択透過性を有する膜およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
め本発明は下記の構成から成る。
【0009】すなわち本発明は、「下記式1で表される
官能基を有してなることを特徴とする半透膜。
【0010】
【化2】 (但し、−R1 は−OH基、−NH2 基、−SH基を、
−R2 は水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪
族基または芳香族基を表し、M+ は水素イオン、また
は、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わ
す。)」に関する。
【0011】複合半透膜の透水性能を向上させる方法と
して例えば特開平4−94726号公報に4級アンモニ
ウム塩を複合半透膜に導入する処理方法が提案されてい
るが、この方法では、複合半透膜がカチオン荷電性を有
することからファウリングが懸念される。本発明者らは
半透膜にアニオン荷電性の官能基、特にスルホン酸基を
導入することにより、半透膜の透水性能が向上すること
を見出だし、本発明に到達したものである。
【0012】本発明において、半透膜とは、水溶液中の
水を透過し、それ以外の物質を透過しにくい性質の膜で
ある。このような半透膜の構造には非対称半透膜と複合
半透膜とがある。
【0013】非対称半透膜とは分離性能を有する緻密層
と支持体としての多孔層を有し、緻密層、多孔層ともに
単一素材からなる半透膜である。
【0014】また、複合半透膜とは微多孔性支持膜と分
離性能を司る超薄膜層とから構成される半透膜である。
微多孔性支持膜とは実質的には分離機能を有さない層で
あり、実質的に分離性能を有する超薄膜層に強度を与え
るために用いられるものである。微多孔性支持膜は均一
な微細な孔あるいは片面に緻密で微細な孔を持ち、もう
一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもつ非対称構造
で、その微細孔の大きさはその緻密な片面の表面で10
0nm以下であるような構造が好ましい。また、微多孔
性支持膜の厚みは1μm〜数mmであり、膜強度の面か
ら10μm以上、扱いやすさ、モジュール加工のしやす
さの面で数100μm以下が好ましい。これら微多孔性
支持膜は、布あるいは不織布で補強されていても良い。
【0015】本発明の半透膜はスルホン酸基を有するこ
とに特徴がある。即ち、本発明において半透膜が有する
官能基は、請求項1記載の式(1)で表されるものであ
る。R1 は、OH基、−NH2 基、−SH基の少なくと
も一種であり、該官能基の導入のしやすさ、原料の入手
のしやすさからR1 としては、OH基が好ましい。nは
1以上の整数であり、好ましくは1〜10、さらに好ま
しくは1〜5である。nがおおきすぎると膜の疎水性が
高くなり、水透過水量が小さくなる。
【0016】本発明の半透膜は、あらかじめ作製した反
応性基を有する非対称膜あるいは複合半透膜にスルホン
酸基を導入することで得ることができる。
【0017】反応性基を有する非対称半透膜の素材とし
てはポリアミドや酢酸セルロースが使用される。製膜方
法として例えば、酢酸セルロースのホルムアミド溶液を
ガラス板状に一定の厚さに流延し、溶媒の一部を蒸発さ
せた後、水などの非溶媒に浸漬してゲル化させる方法が
ある。この方法によって得た膜は、溶媒の蒸発面側に分
離性能を示す緻密層を有し、その下に支持体の役目をす
る多孔層を有する。
【0018】反応性基を有する複合半透膜の微多孔性支
持膜は、例えばミリポア社製“ミリポアフィルターVS
WP”(商品名)や、東洋ろ紙社製“ウルトラフィルタ
ーUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択
することもできるが、通常は、“オフィス・オブ・セイ
リーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップ
メント・プログレス・レポート”No.359(196
8)に記載された方法に従って製造できる。その微多孔
性支持膜の素材にはポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマ
ー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
フェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホ
ン、ポリフェニレンオキシド等のホモポリマーまたはコ
ポリマーを単独であるいはこれらのポリマーをブレンド
して使用することができる。これらの素材の中では化学
的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であるこ
とからポリスルホンが一般的に使用される。例えば、ポ
リスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密
に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚
さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%お
よびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させるこ
とによって、表面の大部分が直径数十nm以下の微細な
孔を有した微多孔性支持膜が得られる。
【0019】この微多孔性支持膜に分離機能を司る超薄
膜層を被覆して複合半透膜を製造する。その超薄膜層の
素材としては架橋あるいは線状の有機物のポリマーを使
用することができる。
【0020】超薄膜層の被覆はポリマーをコ−ティング
する方法、コーティングしたポリマーをさらに架橋する
方法、モノマーを微多孔性支持膜の表面で重合する方
法、あるいは微多孔性支持膜の膜面で界面重縮合する方
法で行なうことができる。複合半透膜が高い分離性能を
発現するためには、ポリマーはポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリエーテル、ポリエステル、セルロースエステ
ル、ポリイミド、ポリアミック酸、ビニルポリマーが好
ましく、さらに好ましくはポリアミド、とくに架橋ポリ
アミドが好ましい。
【0021】該架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官
能酸ハロゲン化物との界面重縮合によりその骨格が形成
される。
【0022】多官能アミンは、一分子中に2個以上のア
ミノ基を有するアミンであり、後述する多官能酸ハロゲ
ン化物との界面重縮合により本発明の複合半透膜の超薄
膜層を形成する架橋ポリアミド骨格の原料となる。かか
る多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジア
ミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミ
ノベンゼン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロ
パン、エチレンジアミンなどを用いることができるが、
膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると多官能芳香族アミ
ンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミ
ンとしてはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジ
アミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが膜の透過
性、選択分離性の面で好適に用いられる。これらのアミ
ンはいずれかの化合物を単独で用いることもできるが、
2種類以上を混合して用いてもよく、特に、1,3,5
−トリアミノベンゼンとm−フェニレンジアミンを混合
して用いると、透過性、選択分離性が非常に優れた膜が
得られる。
【0023】多官能酸ハロゲン化物は、一分子中に2個
以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物
であり、上記多官能アミンとの界面重縮合反応により架
橋ポリアミド骨格を与えるものである。該多官能酸ハロ
ゲン化物としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサ
ントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5
−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボ
ン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸等の脂環式または
芳香族酸ハロゲン化物が好適に用いることができる。
【0024】多官能アミンとの反応性を考慮すると、多
官能酸ハロゲン化物は、多官能酸塩化物であることが好
ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、
多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。さらに、
多官能酸ハロゲン化物は1,3,5−ベンゼントリカル
ボン酸塩化物、1,3−ベンゼンジカルボン酸塩化物、
1,4−ベンゼンジカルボン酸塩化物を単独あるいは混
合して用いるのが最も好ましい。
【0025】超薄膜層が架橋ポリアミドである複合半透
膜は前述の多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多
官能性酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶
媒溶液を用い、界面重縮合によりその骨格が形成され
る。
【0026】アミン水溶液における多官能アミンの濃度
は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量
%である。該水溶液には多官能アミンと多官能酸ハロゲ
ン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤
や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤等が含まれ
ていてもよく、性能を損なわない範囲で水溶性ポリビニ
ールアルコール等の水溶性高分子化合物が含まれていて
もよい。
【0027】微多孔性支持膜表面への該アミン水溶液の
被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆され
ればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を微多孔
性支持膜表面にコーティングする方法、微多孔性支持膜
を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。
【0028】次いで過剰に塗布された該アミン水溶液は
液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例
えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等が
あり、液滴が残らないようにするのが好ましい。
【0029】次いで、前述の多官能酸ハロゲン化物の有
機溶媒溶液を塗布し、界面重縮合により架橋ポリアミド
超薄膜層を形成させる。
【0030】該溶液中の多官能酸ハロゲン化物は通常
0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜2重量%
を有機溶媒に溶解して用い、該溶液にN,N−ジメチル
ホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジエチルアセト
アミド、ピリジンのようなアシル化触媒等を含有させる
と界面重縮合が促進され、更に好ましいことがある。
【0031】該有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ
酸ハロゲン化物を溶解し微多孔性支持膜を破壊しないこ
とが必要であり、アミノ化合物および酸ハロゲン化物に
対して不活性であるものであればいずれであっても良
い。好ましい例としては炭化水素化合物、トリクロロト
リフルオロエタンなどが挙げられるが、反応速度、溶媒
の揮発性の点からは炭素数6〜20の炭化水素系溶媒が
好ましく、引火性という安全上の問題を考慮すると炭素
数8〜15の炭化水素系溶媒を用いるのが更に好まし
い。
【0032】多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液のア
ミノ化合物水溶液相への接触の方法は、アミノ化合物水
溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよ
く、その後、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で洗浄
してもよい、また、他の適当な後処理を行なってもかま
わない。
【0033】反応性基を有する半透膜にアニオン性基、
特にスルホン酸基を導入する方法としては、半透膜の反
応性基と反応する官能基を有するスルホン酸基含有化合
物と反応させることにより導入することができる。かか
る反応性の官能基としては、エポキシ基、アジリジン
基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ
基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキ
シル基などをあげることができる。
【0034】スルホン酸基を有し、かつ、エポキシ基を
有する化合物としては、下記式(2)
【化3】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、
または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基
を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを
表わし、nは1以上の整数を表わす。)で表わされるエ
ポキシド化合物を例示することができる。架橋ポリアミ
ドに対する反応性、得られた膜の性能、入手の容易さを
考慮すると、好ましいエポキシド化合物としてグリシジ
ルスルホン酸ナトリウムをあげることができる。
【0035】スルホン酸基を有し、かつ、アジリジン基
を有する化合物としては、下記式(3)
【化4】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、
または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基
を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを
表わし、nは1以上の整数を表わす。)で表わされるア
ジリジン化合物を例示することができる。
【0036】スルホン酸基を有し、かつ、エピスルフィ
ド基を有する化合物としては、下記式(4)
【化5】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、
または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基
を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを
表わし、nは1以上の整数を表わす。)で表わされるエ
ピスルフィド化合物を例示することができる。
【0037】例えば、反応性基を有する半透膜の分離機
能層の主成分が架橋ポリアミドである半透膜は多官能ア
ミンと多官能酸クロライドとの界面重縮合によりその骨
格が形成されることから、必然的に膜中および膜表面に
未反応アミン末端や酸末端が存在する。これらのエポキ
シ基やアジリジン基、エピスルフィド基は、架橋ポリア
ミドの有する末端アミノ基などにより求核攻撃を受けて
開環し、架橋ポリアミドに結合する。一方、ハロゲン化
アルキル基は架橋ポリアミドの有する末端1級アミノ基
との反応により2級アミンを与える。カルボン酸基は架
橋ポリアミドの有する末端アミノ基と脱水縮合してアミ
ド結合を形成する。ハロゲン化カルボニル基は架橋ポリ
アミドの有する末端アミノ基をアシル化してアミド結合
を形成し、アミノ基やヒドロキシ基は架橋ポリアミドの
有する末端カルボン酸基と脱水縮合してアミド結合ある
いはエステル結合を形成する。したがって、これらの官
能基を有し、かつ、スルホン酸基を有する化合物を用い
ることにより共有結合を介してスルホン酸基を半透膜に
導入することができる。しかしながら、反応性基を有す
る半透膜の分離機能層の主成分は架橋ポリアミドに限定
されるものではなく、該分離機能層中に次に示す既述の
官能基、すなわちエポキシ基、アジリジン基、エピスル
フィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボン
酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシル基の少な
くとも一つと反応する反応性基が存在すればよい。該反
応性基としてはアミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル
基などがある。
【0038】以下に反応性基を有する半透膜へのスルホ
ン酸基の具体的な導入方法を示す。
【0039】本発明の半透膜は前述した反応性基を有す
る半透膜をスルホン酸基を有し、かつ、エポキシド基、
アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル
基、アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル
基、ヒドロキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも
一つの官能基を有する化合物(以後、スルホン酸基含有
化合物と称する)と接触させることで得られる。かかる
スルホン酸基含有化合物は、単独で用いることもできる
が、2種類以上を混合して用いてもよい。架橋ポリアミ
ドに対する反応性、得られた膜の性能、入手の容易さを
考慮すると、かかるスルホン酸基含有化合物としてはグ
リシジルスルホン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0040】接触の方法としては該スルホン酸基含有化
合物を反応性基を有する半透膜を侵さない溶媒に溶解
し、この溶液を該半透膜に塗布するか、あるいはこの溶
液に該半透膜を浸漬する方法を用いることができる。反
応性基を有する半透膜を侵さない溶媒とは該半透膜の超
薄膜層や多孔性支持膜層を溶解あるいは大きく膨潤させ
ず、膜性能を大きく損なうことのない溶媒であり、好ま
しい例としては水、アルコール、炭化水素化合物、トリ
クロロトリフルオロエタンなどが挙げられるが、該スル
ホン酸含有化合物の溶解性や、取扱いの容易さ、経済
性、処理の簡便さなどを考慮すると、水を用いるのが最
も好ましい。
【0041】接触させる該スルホン酸基含有化合物の濃
度は、0.01〜20重量%、好ましくは0.5〜5重
量%である。該スルホン酸基含有反応性化合物の濃度が
低すぎる場合は膜へのスルホン酸基の導入量が極端に少
なくなり、透過水量が充分に向上しない。濃度が高すぎ
る場合は膜へのスルホン酸基の導入量が多くなりすぎる
ため、脱塩率が大幅に低下する。
【0042】反応性基を有する半透膜を該スルホン酸基
含有化合物と接触させた後、10℃〜150℃で適当な
時間放置することにより該スルホン酸基含有化合物を該
半透膜と反応させる。このとき、50〜150℃で加熱
処理を行なうと、反応速度が速くなり、製造に要する時
間を1〜30分に短縮することができ、好ましい。ま
た、加熱処理工程の前に過剰の該スルホン酸基含有化合
物溶液を液切り等の方法により除去する工程や、予備乾
燥工程を設けることが好ましい場合もある。一方、該ス
ルホン酸基含有化合物を半透膜に接触させる際、該スル
ホン酸基含有化合物の溶液を50〜100℃に加熱し、
これに膜を浸漬することによっても製造に要する時間を
1〜30分に短縮することができる。
【0043】さらに該スルホン酸基含有化合物の反応性
を上げるためにスルホン酸基含有化合物の溶液中に触媒
を添加することができる。その触媒は、半透膜に存在す
る反応性基とスルホン酸基含有化合物の官能基との種類
によって異なるが、例えば、水酸化物塩、4級アンモニ
ウム塩、有機酸の塩、イミダゾール化合物、アルコール
類などがあげられる。
【0044】かかる半透膜の製造方法により、高い選択
性を有し、かつ高い透水性を有する半透膜を得ることが
できる。
【0045】本発明における半透膜の形態は平膜でも、
中空糸膜でも構わない。また、得られた本発明の半透膜
は平膜はスパイラル、チューブラー、プレート・アンド
・フレームのモジュールに組み込んで、また中空糸膜は
束ねた上でモジュールに組み込んで使用することができ
るが、本発明はこれらの膜の使用形態に左右されるもの
ではない。
【0046】本発明における半透膜は低圧運転で高い透
水性が要求される用途に最適である。しかしながら、本
発明はこのような用途に限定されるものではない。
【0047】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明は、これらに限定されるものではない。
【0048】なお、実施例において逆浸透膜の性能につ
いては、選択分離性能として無機塩(食塩)の濃度を電
気伝導度の測定によって決定した後、次式から脱塩率を
求めた。
【0049】脱塩率=(1−透過液の無機塩濃度/供給
液の無機塩濃度)×100[%] また、透過性能としての造水量は、単位面積[m2 ]、
単位時間[日]当たりの水の透過量[m3 /m2 ・日]
で決定した。
【0050】参考例1 タテ30cm、ヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維か
らなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸とも150デニ−ルのマ
ルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨコ
67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固定
し、その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel P
−3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DM
F)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャス
トし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することに
よって繊維補強ポリスルホン支持膜 (以下FR−PS
支持膜と略す)を作製する。このようにして得られたF
R−PS支持膜(厚さ210〜215μm)の純水透過
係数は圧力1Kg/cm2、温度25℃で測定して0.
005〜0.01g/cm2 ・sec・atmであつ
た。
【0051】比較例1 参考例1によって得られたFR−PS支持膜をm−フェ
ニレンジアミン1重量%、1,3,5−トリアミノベン
ゼン0.5重量%を含有する水溶液に1分間浸漬した。
FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた
後、該膜にノルマルパラフィンにトリメシン酸クロライ
ド0.04重量%、テレフタル酸クロライド0.09重
量%を溶解した溶液を表面が完全に濡れるようにコ−テ
ィングして1分間静置した後、膜を垂直にして液切り
し、余分な該溶液を除去して、洗浄した。このようにし
て得られた膜は、表1に示したような性能が得られた。
【0052】実施例1〜3 比較例1で得られた複合逆浸透膜に、グリシジルスルホ
ン酸ナトリウムの1〜3%水溶液を塗布した後、膜を垂
直にして余分な溶液を液切りして除去し、80℃で15
分間乾燥器中で熱処理し、水洗した。このようにして得
られた複合膜を0.15重量%食塩水を使用して、圧力
1.5MPa、温度25℃の条件下で逆浸透テストした
結果、表1に示したような性能が得られた。
【0053】
【表1】 比較例2 参考例1によって得られたFR−PS支持膜をピペラジ
ン1.5重量%、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロ
パン0.3重量%を含有する水溶液に1分間浸漬した。
FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた
後、80℃の熱風乾燥機で1分間乾燥した。該膜にノル
マルパラフィンにトリメシン酸クロライド1.0重量%
を溶解した溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティン
グして1分間静置した後、膜を垂直にして液切りし余分
な該溶液を除去した。次に該膜を洗浄した後、pH6の
次亜塩素酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した。このよ
うにして得られた膜は、表2に示したような性能が得ら
れた。
【0054】実施例4〜6 比較例2で得られた複合逆浸透膜を、グリシジルスルホ
ン酸ナトリウムの1〜3%水溶液に5分間浸漬した後、
膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去し、110
℃で2分間乾燥器中で熱処理し、水洗した。このように
して得られた複合膜を0.05重量%食塩水を使用し
て、圧力0.34MPa、温度25℃の条件下で逆浸透
テストした結果、表2に示したような性能が得られた。
【0055】
【表2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式1で表される官能基を有してなる
    ことを特徴とする半透膜。 【化1】 (但し、−R1 は−OH基、−NH2 基、−SH基を、
    −R2 は水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪
    族基または芳香族基を表し、M+ は水素イオン、また
    は、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わ
    す。)
  2. 【請求項2】 半透膜がポリアミドからなることを特徴
    とする請求項1記載の半透膜。
  3. 【請求項3】 半透膜が分離機能層と微多孔性支持膜か
    らなる複合半透膜であることを特徴とする請求項1記載
    の半透膜。
  4. 【請求項4】 反応性基を有する半透膜に、スルホン酸
    基および該半透膜の反応性基と反応する官能基を有する
    化合物を反応させることを特徴とする半透膜の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 該反応する官能基が、エポキシ基、アジ
    リジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、
    アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒ
    ドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項4記載の半透膜の製造方
    法。
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