JPH0746105B2 - インタ−フエロン−γの免疫化学的測定法および測定用試薬 - Google Patents

インタ−フエロン−γの免疫化学的測定法および測定用試薬

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JPH0746105B2
JPH0746105B2 JP61024639A JP2463986A JPH0746105B2 JP H0746105 B2 JPH0746105 B2 JP H0746105B2 JP 61024639 A JP61024639 A JP 61024639A JP 2463986 A JP2463986 A JP 2463986A JP H0746105 B2 JPH0746105 B2 JP H0746105B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はインターフェロン−γの測定法および測定用試
薬に関する。
従来の技術 ヒトのインターフェロン(IFN)には、抗原的に異なる
α,β,γ型の少くとも3種のタイプが存在することが
知られている[ネイチャー,286,110(1980)]。イン
ターフェロン−γ(IFN−γ)については、マイト−ジ
エンや抗原刺激によって、主としてTリンパ球から産生
されることが判っており、別名免疫インターフェロン
(I−IFN)とも呼ばれている[ザ インターフェロン
システム,スプリンガー社,ニューヨーク,11頁−26
頁,1979年]。IFN−γは生体内で、種々の免疫反応にと
もなって産生されることが予想され、免疫調節に重要な
役割を果たしていると考えれている。また、IFN−γの
性質としては、インターフェロン−α(IFN−α)やイ
ンターフェロン−β(IFN−β)と抗原性が異なること
や、誘起剤の種類が異なることの他に、酸や熱に対する
安定性が悪いことなども判っている[ザ インターフェ
ロン システム,スプリンガー社,ニューヨーク,11頁
−26頁,(1979年)]。
一般的にIFNは、生体の産生する抗ウイルス作用をもつ
ものとして定義されているが、この他に多くの生物活性
をもつことが証明されており、特に抗腫瘍効果を有する
点で注目されている[ブラット,55,711−721(198
0);同誌,55,875−884(1980)]。
腫瘍の増殖を抑制する方法として、腫瘍細胞の増殖を直
接抑制する方法と、宿主の免疫反応を介して、間接的に
腫瘍を抑制する方法が考えられ、後者の場合、例えばナ
チュラルキラー細胞(NK)や、マクロファージの活性
化、或いはキラーT細胞の活性化などが考えられる。実
際、IFNには直接作用の他に、この様な種々の免疫増強
活性があることが証明されている[バイオケミカ エト
バイオフイジカ アクタ,516,231−247(1978)]。
IFN−γはインビトロでのこれら抗腫瘍につながる各種
の活性、およびインビボ於ける抗腫瘍活性が、IFN−α
やIFN−βに比べはるかに高いことから、その重要性が
強く指摘されている[セルラ−イムノロジー,49,390−
394(1980)]。
上記状況のもとで、IFN−γの医薬品としての開発が行
われており、特に遺伝子工学に基づくIFN−γ精製蛋白
質の大量製造法[特開昭59−186995号公報]も確立さ
れ、実用化も間近に来ている。
これに伴い、IFN−γの精製過程,最終製品の純度決定
や品質管理、動物投与時の生体内挙動を調べるため、IF
N−γの抗ウイルス活性に基づく方法[蛋白質核酸酵
素,別冊No.25,“インターフェロン研究の進歩",P355−
363,共立出版,東京(1981)]やIFN−γ関連抗体を用
いる免疫化学的方法[ザ・エンボ・ジャーナル,,152
7−1530(1983);特開昭59−186995号公報;特開昭60
−107569号公報など]などが発表されまた用いられてい
る。
発明が解決しようとする問題点 上述のとおり、数種のIFN−γの検出・測定法が知られ
ているが、これらの方法は測定感度が限られておりIFN
−γの医薬品としての使用において必須である、品質管
理上あるいは生体内挙動観察上必要なその極微量測定に
適用するには不充分である。
また測定感度のみならず正確にIFN−γ活性物質のみを
認識して行なう方法が要求される。
本発明は、測定用試料を、第1図で示されるポリペプ
チド(I)と結合し、ペプチド<Glu−Asp−Pro−Tyr−
Val−Lys−Glu−Ala−Glu−Asn−Leu−Lys−Lys−Tyr−
Phe−Asn−Ala−Gly(II)およびペプチドLys−Arg−Ly
s−Arg−Ser−Gln−Met−Leu−Phe−Arg−Gly−Arg−Ar
g−Ala−Ser−Gln(III)のいずれとも結合しないモノ
クローナル抗体およびポリクローナル抗インターフェ
ロン−γ抗体のいずれか一方を含有する固定相と他方を
含有する標識体とをサンドイッチ法に付すことを特徴と
するインターフェロン−γの免疫化学的測定法ならびに ポリペプチド(I)と結合し、ペプチド(II)および
ペプチド(III)のいずれとも結合しないモノクローナ
ル抗体およびポリクローナル抗インターフェロン−γ
抗体のいずれか一方を含有する固定相と他方を含有する
標識体とを組合せてなるインターフェロン−γの免疫化
学的測定用試薬を提供するものである。
以下本願明細書において特に注記した場合を除きIFN−
γとは、天然のIFN−γ(nIFN−γ)および遺伝子組み
換え技術で製造されたIFN−γ(rIFN−γ)双方を包含
する。
nIFN−γとは、天然から得られるIFN−γ(例えば、ヒ
ト末梢血リンパ球をインデューサーで誘導したもの)や
そのN末端部分またはC末端部分を欠くフラグメント
[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー,
259,6790−6797(1984)]の中、抗ウイルス活性を有す
るものを意味し、通常糖鎖を有する。
rIFN−γには、第1図に示される146個のアミノ酸から
なるポリペプチド(I)ならびにポリペプチド(I)の
9番目のアミノ酸がGlnのものおよび140番目のアミノ酸
がGlnのものが包含される。またポリペプチド(I)の
N末端アミノ酸から131番目までのアミノ酸残基を含み1
32番目以降のいずれかの部分で切断された15Kスピーシ
ーズやその他のフラグメントも包含する。さらにポリペ
プチド(I)のN末端アミノ酸から4番目までのいずれ
かのアミノ酸残基またはペプチドを欠除したポリペプチ
ドならびにこれらのC末端部分を欠く対応するフラグメ
ントをも包含する。
上記モノクローナル抗体は、例えば第1図における22番
目から130番目までのアミノ酸配列を含有するポリペプ
チド(IV)で免疫した動物のリンパ球と、同種または異
種の動物のリンパ球様細胞株とを細胞融合し、上記モノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマをクローン化
して製造し、該ハイブリドーマを培養することにより製
造することができる。
動物の免疫に用いる第1図における22番目から130番目
までのアミノ酸配列を含有するポリペプチド(IV)に関
し、前記ポリペプチド(I)が好ましく、とりわけ大腸
菌を用いて製造された精製rIFN−γ蛋白質(EPC公開第0
110044号公報)が有利に使用できる。
免疫する動物は、羊,山羊,兎,モルモット,ラット,
マウス等の哺乳動物,とりわけそれらの実験動物やニワ
トリ,七面鳥,ウズラ等の鳥類が使われるが、モノクロ
ーナル抗体を得るためには、ラット,マウスが好まし
い。免疫方法は、例えばマウスを免疫する場合、皮下,
腹腔内,静脈内,筋肉内,皮内等のいずれのルートから
でも可能であるが、主として皮下,腹腔内,静脈内に
(とりわけ皮下)注入するのが好ましい。また、接種間
隔,接種量等も可変度は高く、種々の方法が可能である
が、例えば2週間隔で2〜8回接種し、最終免疫後、1
〜5日、好ましくは2〜4日後の脾細胞を用いる方法が
よく用いられる。接種量は1回にポリペプチド量とし
て、マウス当り0.1μg以上、好ましくは10μg〜300μ
g用いることが望ましい。
またIFN−γのアミノ酸配列の一部を有するペプチド、
例えば前記したペプチド(II)を用いて、上記ポリペプ
チド(I)と二重免疫によっても製造することができ
る。すなわち、例えばまずポリペプチド(I)を接種
し、その後ペプチド(II)の蛋白質複合体を接種し、さ
らにポリペプチド(I)およびペプチド(II)の蛋白質
複合体を合わせて接種する。なおこの免疫方法において
は、接種の順序および免疫原の構成は自由に変更でき、
各接種時の免疫原の総量は上記の範囲で行う。
リンパ球源として脾臓細胞を用いる場合において、脾臓
を摘出する場合はその前に、部分採血を行い、血中の抗
体価の上昇を確認した上で、融合実験を行うことが望ま
しい。
上記リンパ球とリンパ球様細胞株との細胞融合は、例え
ば免疫したマウスのリンパ球(とりわけ脾臓細胞由来の
もの)をヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルト
ランスフェラーゼ欠損(HGPRT-)やチミジンキナーゼ欠
損(TK-)の様なマーカーを持った適切な同種または異
種動物(好ましくは同種)のミエローマ等の、リンパ球
様細胞株との間で融合させる。融合には、センダイウイ
ルス,ポリエチレングリコール(PEG)等の融合剤が用
いられる。もちろんジメチルスルホキシド(DMSO)その
他の融合促進剤を加えることも可能である。PEGの重合
度は、ふつう1000〜6000,時間は0.5〜30分,濃度は10%
〜80%等が用いられるが、好ましい条件の一例として、
PEG6000を35〜55%で4〜10分処理することにより、効
率よく融合させることが出来る。融合細胞は、ヒポキサ
ンチン−アミノプテリン−チミジン培地[HAT培地;ネ
イチャー,256,495−497(1975)]等を用いて、選択的
に増殖させることが出来る。
マウスの血清や増殖して来た細胞の培養上清は、目的と
する抗体産生があるか否かについてスクリーニングを行
うことができるが、抗体価のスクリーニングは次の様に
行うことが出来る。即ち、放射線免疫測定法(RIA法)
または酵素免疫測定法(EIA法)等の方法で調べること
が出来るが、これらの方法についても種々の変法が可能
である。好ましい測定法の一例として、EIAを用いる方
法について述べる。固相にrIFN−γを常法に従って固定
(例えば96穴のマイクロタイタ−プレートを固相として
用いるとマルチスキャン等を用いた迅速な測定が可能と
なり有利である)させておき、これに測定したい培養上
清や、マウスの血清を加え、一定時間、定温(以下4〜
40℃を示す)で反応させる。この後、反応物をよく洗っ
た後、酵素で標識した抗マウス抗体(山羊,兎などのポ
リクローナル抗体に例えばホースラディッシュペルオキ
シダーゼ等の酵素を結合したものを市販品として入手出
来る)を加え、一定時間、定温で反応させる。反応物を
よく洗った後、酵素基質を加え、一定時間、定温で反応
させ、その後、生成発色物を吸光度または蛍光強度等で
測定することができる。
選択培地で増殖を示し、かつIFN−γへの結合能や免疫
に用いたポリペプチド(IV)に対する抗体活性のみられ
たウエルの細胞は、限界希釈法等によりクローニングを
行うことが望ましい。クローン化された細胞の上清につ
いて同様にスクリーニングを行い抗体価の高いウエルの
細胞を増やすことにより、免疫したポリペプチド(IV)
と反応性を示すと考えられるモノクローナル抗体産生ハ
イブリド−マクローンが得られる。
これらポリペプチド(IV)と反応性を示すハイブリドー
マやそのクローンの産生するモノクローナル抗体がIFN
−γのどの部分を認識するかということを調べること
は、単にモノクローナル抗体を特定化するという意味だ
けでなく、IFN−γの検出や精製におけるモノクローナ
ル抗体の使い方を明確にし、また認識部位の異なる複数
のモノクローナル抗体の組み合わせによる応用展開を広
くする上で重要である。
この目的のためには、例えばペプチド(II),ペプチド
(III)および第1図における5番目から146番目までの
アミノ酸からなるポリペプチド(V)[特開昭61−5096
号公報]を用いることにより、上記により得られるモノ
クローナル抗体が、rIFN−γのN末端部分を認識してい
るか、C末端部分を認識しているか、或いはN末端,C末
端以外の部分を認識しているかを容易に知ることができ
る。即ち、ポリペプチド(IV)に反応性のあるモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニング
法について前に述べたが、この方法の中で、固相にポリ
ペプチド(IV)を固定する代りに、ペプチド(II)また
はペプチド(III)を用いる方法により有利にこの目的
を達成することができる。
さらにこれらクローンの産生する抗体がnIFN−γ(例え
ばヒト末梢血リンパ球からレクチンとホルボールエステ
ル等で誘導したもの)およびrIFN−γ(例えばポリペプ
チド(I),ポリペプチド(V)など)を吸収する能力
について生物活性を用いて調べることができる。その方
法として有利に用いられる一例を次に述べるが、もちろ
ん種々の変法も可能である。例えばウサギ抗マウスイム
ノグロブリン抗体をセルロースビーズ等の担体に常法に
従いカプリングさせておき、これに測定したいハイブリ
ドーマ上清またはマウスの血清を加え、一定時間、定温
で反応させる。この後反応物をよく洗い一定量のIFN−
γを加える。IFN−γとして、例えばnIFN−γやrIFN−
γを加えた後、一定時間,定温で反応させ、反応上清中
に含まれるIFN−γの活性を測定する。この様にして目
的とする抗体のIFN−γ活性の吸収能を測定することが
できる。
次に、これらクローンの産生する抗体が、rIFN−γ(例
えばポリペプチド(I),ポリペプチド(V)など)や
nIFN−γのもつ抗ウイルス作用(以後AVAと略す)を中
和する能力があるか否かを調べることもできる。中和活
性のある抗体の取得は、該抗体が直接生物活性に関連し
た部位を認識していることになるのでIFN−γを含むサ
ンプルから、IFN−γを精製したり、EIA法やRIA法を用
いて定量したりする上に於て、極めて重要である。抗体
の中和活性は例えば次の様にして測ることができる。即
ち、一定量のIFN−γに対して大過剰量の抗体を加え、
一定時間、一定温度で反応させた後、反応物をAVAにて
測定することができる。
このようにしてクローン化されたハイブリドーマは、液
体培地中または哺乳動物の腹腔内で増殖させる。例え
ば、液体培地たとえばPMI−1640に0.1〜40%の牛血清を
加えた培地等で2〜10日間、好ましくは3〜5日間培養
することにより、培養液から該モノクローナル抗体を得
ることができるが、この他にマウス等の適切な哺乳動物
の腹腔内に接種し、細胞を増殖させ、腹水を採取するこ
れにより、細胞培養上清よりも遥かに高力価の抗体を、
多量に効率よく取得することができる。このためには、
例えばマウスの場合、ミネラルオイル等を前もって接種
したBALB/C等のマウスに1×104〜1×107個、好ましく
は5×105〜2×106個のハイブリドーマを腹腔内等に接
種し、7〜20日後、好ましくは10〜14日後に腹水液等を
採取する。腹水に生成蓄積した抗体は、例えば硫安分
画,DEAE−セルロースカラムクロマト等により容易にモ
ノクローナル抗体を純粋な免疫グロブリンとして単離す
ることができる。
上記で得られるモノクローナル抗体は、下記の性状を有
する。
(1) nIFN−γおよびポリペプチド(I)と結合す
る。
(2) 第1図における第1番目から第131番目までの
アミノ酸からなるポリペプチド(15Kスピーシーズ)と
結合する。
(3) ペプチド(II)およびペプチド(III)のいず
れとも結合しない。
(4) IFN−αおよびIFN−βとは結合しない。
(5) nIFN−γおよびポリペプチド(I)の抗ウイル
ス活性を中和する。
(6) ポリペプチド(V)を認識しその抗ウイルス活
性を中和する。
(7) オクタロニー法による検定によりIgG1のサブク
ラスの抗体に属する。
(8) SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動におい
て、標準免疫グロブリンのH鎖およびL鎖の分子量に完
全に一致する2本のバンドのみを示す。
本発明においては、上記モノクローナル抗体に包含され
るモノクローナル抗体WNγ3−29.33がとりわけ有利に
使用できる。
上記本発明に用いられるポリクローナル抗インターフェ
ロン−γ抗体は、rIFN−γもしくはnIFN−γなどIFN−
γに対するポリクローナル抗体で、例えばrIFN−γもし
くはnIFN−γを人以外の温血動物に接種して抗体を形成
せしめ、これを採取することにより得られるポリクロー
ナル抗体が挙げられる。人以外の温血動物としては、た
とえば哺乳動物(例、ウサギ,ヒツジ,ラット,マウ
ス,モルモット,ウシ,ウマ,ブタ),鳥類(例、ニワ
トリ,ハト,アヒル,ガチョウ,ウズラ)などが挙げら
れ、とりわけウサギが有利に用いられる。
抗原として用いるIFN−γとして、rIFN−γ、なかでも
前記ポリペプチド(I)が好ましく、とりわけ大腸菌を
用いて製造された精製rIFN−γが好ましい。IFN−γを
人以外の温血動物に接種する方法として動物に接種する
抗原量は抗体産生するに有効な量でよく、たとえばウサ
ギに1回約0.1mgないし約2mgをほぼ等容量の生理食塩水
およびフロインドの完全アジュバンド(たとえば容量で
前者1に対し後者0.5〜2の割合)で乳化して、背部お
よび(または)後肢掌皮下に約2ないし約4週間おきに
約3ないし6回接種すると良好な抗体を産生させ得る場
合が好ましい。このようにして、温血動物中に形成され
た抗体を採取する方法としては、たとえばウサギでは、
通常最終接種後約7日から12日の間に耳静脈から採血
し、遠心分離して血清として得られる。得られた抗血清
は所望により、公知の方法に従って塩析し、通常rIFN−
γを保持させた担体を用いるアフィニティ・クロマトグ
ラフィーで吸着した画分を回収することによりポリクロ
ーナル抗体として得ることができる。
本発明においては上記モノクローナル抗体およびポリク
ローナル抗体の2種の抗体はイムノグロブリンでもよ
く、またはそのフラクション{例、F(ab′)2,Fab′
もしくはFab}であってもよい。
本発明の上記モノクローナル抗体もしくはポリクローナ
ル抗体のいずれか一方を含有する固定相は担体に保持さ
れた該抗体である。担体としては、たとえば、ゲル粒子
(例、アガロースゲル[例、セファロース4B,セファロ
ース6B(ファルマシア・ファインケミカル社(スエーデ
ン社)製]デキストランゲル[例、セファデックスG−
75,セファデックスG−100,セファデックスG−200(フ
ァルマシア・ファインケミカル社製)],ポリアクリル
アミドゲル[例、バイオゲルP−30,バイオゲルP−60,
バイオゲルP−100(バイオラッド・ラボラトリーズ社
(米国))],セルロース粒子[例、アビセル(旭化成
製),イオン交換セルロース(例、ジエチルアミノエチ
ルセルロース,カルボキシメチルセルロース)],物理
的吸着剤[例、ガラス(例、ガラス球,ガラスロッド,
アミノアルキルガラス球,アミノアルキルガラスロッ
ド),シリコン片,スチレン系樹脂(例、ポリスチレン
球,ポリスチレン粒子)],イオン交換樹脂{例,弱酸
性陽イオン交換樹脂[例、アンバ−ライトIRC−50(ロ
ーム・ハース社(米国)製),ゼオカーブ226(パーム
チット社(西ドイツ)製)],弱塩基性陰イオン交換樹
脂[例、アンバ−ライトIR−4B,ダウエックス3(ダウ
ケミカル社(米国)製)]}などが挙げられる。
とりわけ本発明において、ポリスチレン球,ポリスチレ
ン粒子などスチレン系樹脂,ガラス,シリコン片,ポリ
アクリルアミドゲルなどが有利に用いられる。
抗体を担体上に保持するには、公知の常套手段を応用し
得るが、たとえば“代謝",第8巻(1971年),第696頁
に記載されているブロムシアン法,グルタールアルデヒ
ド法などが挙げられる。また、より簡単な方法として物
理的に担体表面に吸着させてもよい。
本発明の、上記モノクローナル抗体もしくはポリクロー
ナル抗体の他方を含有する標識体は、抗体と標識剤の結
合物として用いる。標識剤としては、放射性同位元素,
酵素,蛍光物質,発光物質などが挙げられる。
放射性同位元素としてはたとえば125I,131I,3H,14Cなど
が、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、その例としてはたとえば(1)カルボヒドラー
ゼ[例、グリコシダーゼ(例、β−ガラクトシダーゼ、
β−グルコシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−フル
クトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダ
ーゼ、α−マンノシダーゼ)、アミラーゼ(例、α−ア
ミラーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコア
ミラーゼ、タカアミラーゼA)、セルラーゼ、リゾチー
ム]、(2)アミダーゼ(例、ウレアーゼ、アスパラギ
ナーゼ)、(3)エステラーゼ[例、コリンエステラー
ゼ(例、アセチルコリンエステラーゼ)、ホスファター
ゼ(例、アルカリホスファターゼ)、スルファターゼ、
リパーゼ]、(4)ヌクレアーゼ(例、デオキシリボヌ
クレアーゼ、リボヌクレアーゼ)、(5)鉄・ポルフィ
リン酵素(例、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、チトク
ロームオキシダーゼ)、(6)銅酵素(例、チロシナー
ゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ)、(7)脱水素酵素
(例、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、乳
酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素)などが、蛍光
物質としては、フルオレスカミン、フルオレッセンスイ
ソチオシアネートなどが、発光物質としてはルミノー
ル,ルミノール誘導体,ルシフェリン,ルシゲニンなど
がそれぞれ挙げられる。上記標識剤のうち、酵素とりわ
けペルオキシダーゼが有利に用いることができる。
本発明においては、モノクローナル抗体を含有する固定
相およびポリクローナル抗体を含有する標識体を用いる
ことが好ましい。またポリクローナル抗体は抗体フラク
ション(とりわけFab′が好ましい)として用いること
が好ましい。
標識体の製造法をより具体的に説明するため、以下上記
の場合について説明するが、ポリクローナル抗体を含有
する固定相およびモノクローナル抗体を含有する標識体
を用いる場合も、公知手段に基づき同様に製造すること
ができる。
ポリクローナル抗体と標識剤とを結合させるには公知の
常套手段であるクロラミンT法[ネイチャー,194,495
(1962)],過ヨウ素酸法[ジャーナル・オブ・ヒスト
ケミストリー・アンド・サイトケミストリー,22,1084
(1974)],マレイミド法[ジャーナル・オブ・バイオ
ケミストリー,79,233(1976)]などが用いられる。標
識剤としてペルオキシダーゼを用いる場合、とりわけ特
開昭58−149700号公報記載の一般式 [式中、nは0ないし5の整数を、Rは化学結合または
6員環状炭化水素残基をそれぞれ示す。]で表わされる
結合剤が有利に用いられる。
次にサンドイッチ法について、その測定原理を説明す
る。未知量の抗原を含む被検液に担体上に保持された過
剰量の抗体を加えて反応させ(第1反応),次に標識剤
で標識した過剰量の抗体の一定量を加えて反応させる
(第2反応)。担体上に保持された標識剤もしくは担体
上に保持されなかった標識剤の活性を測定する。第1反
応,第2反応は同時に行なってもよいし時間をずらして
行なってもよい。
本発明のサンドイッチ法によるrIFN−γもしくはnIFN−
γの高感度は免疫化学的測定方法は、未知量のrIFN−γ
もしくはnIFN−γを含有する被検試料に固定相を加えて
反応させる(第1反応)。固定相を洗浄したのち、標識
体の一定量を加えて反応させる(第2反応)。次に通
常、固相をよく洗浄し、固相上に結合している標識剤の
活性を測定する。標識剤が放射性同位元素である場合、
ウエルカウンターもしくは液体シンチレーションカウン
ターで測定する。標識剤が酵素である場合、基質を加え
て放置し、比色法もしくは蛍光法で酵素活性を測定す
る。標識剤が蛍光物質,蛍光物質であっても、それぞれ
公知の方法に従って測定する。上述のアッセイ方法にお
いて、第1反応と第2反応の間における洗浄を省略して
もよいし、さらに簡略化するために被検液,抗体結合固
相および標識剤で標識した抗体を同時に加えて反応させ
てもよい。
上記本発明のインターフェロン−γの免疫化学的測定用
試薬は、例えば下記測定試薬キットとすることができ
る。
(1)担体上に保持された該モノクローナル抗体 (2)標識化された該ポリクローナル抗体 (3)0〜10ngの標準rIFN−γもしくはnIFN−γ (4)上記(1)〜(3)の試薬および被検試料の希釈
に用いる緩衝液(該試薬および該被検試料の希釈に用い
るとができる緩衝液であればいずれでもよいが、その一
例としてはpH6〜9のリン酸緩衝液またはグリシン緩衝
液が挙げられる。) (5)インキュベーション後、担体の洗浄に用いる緩衝
液(該担体の洗浄に用いることができる緩衝液であれば
いずれでもよいが、その一例としてはリン酸緩衝液また
はグリシン緩衝液が挙げられる。) (6)標識剤として酵素を用いる場合は、酵素の測定に
必要な試薬。その一例として、酵素にペルオキシダーゼ
を用いた場合、ペルオキシダーゼ活性測定に必要な試
薬,比色法を利用する場合、o−フェニレンジアミンと
過酸化水素、酵素基質の溶解に用いる緩衝液(好ましく
はクエン酸緩衝液)および反応停止液が挙げられる。
上記キットはたとえば下記の方法により使用することが
できる。
標準rIFN−γ,nIFN−γもしくは被検液約10ないし200μ
に試薬(4)を加えて希釈し、一定量の試薬(1)と
接触させて約0ないし40℃で約1ないし48時間反応させ
る。担体を水洗後、試薬(2)の約10ないし300μを
加えたのち、約0ないし40℃で反応させる。約1ないし
48時間反応後、試薬(5)で洗浄し担体上に結合してい
る標識剤の活性を測定する。標識剤が放射性同位元素で
ある場合、ウエルカウンターもしくは液体シンチレーシ
ョンカウンターで測定する。標識剤が酵素である場合、
基質液約10〜1000μを加えて約20〜40℃で約0.2〜24
時間反応させたのち、酵素反応を停止させ、反応液中の
吸光度もしくは蛍光強度を測定する。
本発明のIFN−γの測定法は、用いるモノクローナル抗
体の性状が明確化されており、また標識体の感度が高
い。従ってIFN−γの活性部位を正確に認識し、分解物
等を明確に区別して極めて高感度な信頼性の高いIFN−
γの測定ができる。
作用および実施例 以下に参考例および実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するもので
ないことはいうまでもない。
参考例に開示するマウス B ハイブリドーマWNγ3−
29.33は、財団法人発酵研究所(Institute for Ferment
ation, Osaka)にIFO−50001として寄託されている。
参考例1 (i)免疫原の製造 免疫原として用いた、ポリペプチド(I)(rIFN−γ)
はEPC公開第0110044号公報記載の方法により、ポリペプ
チド(II)と牛サイログロブリンの結合物(IFN−γNP
−TG)は特願昭58−215168号明細書記載の方法により製
造した。
(ii) 免疫 ポリペプチド(I)をタンパク量として50μg,フロイン
ドコンプリートアジュバントとよく混合し、7〜8週令
のBALB/C雌マウスの皮下に接種した(初回接種)。初回
接種の2週後、同量のポリペプチド(I)をフロインド
インコンプリートアジュバント(FIA)とよく混合し、
皮下に接種した(二次接種)。三次・四次接種は2週間
隔で二次接種と同じ方法で行なった。五次,六次,七次
接種は、ポリペプチド(I)をタンパク量として40μg
およびIFN−γNP−TGをタンパク量として40μg,FIAとよ
く混合し、皮下に2週間隔で接種した。七次接種の2週
後、ポリペプチド(I)25μg,IFN−γNP−TG40μgに
0.5mlの生理食塩水を加え、静脈内に最終免疫を行なっ
た。
(iii) ELISA法を用いた抗体アッセイ法 上記(ii)の方法で免疫したマウスの血清あるいは参考
例1(iv)および(v)で得られたハイブリドーマ培養
上清中の抗体活性はエンザイム リンクド イムノソー
ベント アッセイ(ELISA)法を用いて検索した。即
ち、ポリペプチド(I)に15μg/mlになるよう0.1M重炭
酸ナトリウムを含有したリン酸緩衝液(pH8.0)を加
え、96ウエルマイクロプレートの各ウエルに100μず
つ分注し、4℃で24時間反応させた。反応後、ウエルの
余剰の結合部位をふさぐため2%牛血清アルブミン(BS
A)含有リン酸緩衝液を100μずつ分注し、4℃24時間
処理し、ELISAに使用するプレートを作成した。
以上のように調製したプレートに血清あるいはハイブリ
ドーマ培養上清100μを加え、24℃で3時間反応させ
た。反応後、生理食塩水でよく洗浄し、ホースラデイシ
ュベルオキシダーゼ(HRP)でラベルしたヤギ抗マウス
イムノグロブリン抗体を各ウエルに100μ加え、室温
で3時間反応後させた。反応終了後、各ウエルをリン酸
緩衝液でよく洗浄し、10mlの0.1Mクエン酸緩衝液に22mg
のオルソフェニレンジアミン,10μのH2O2を加えた酵
素基質溶液100μを各ウエルに加えて、酵素反応を室
温で15分行ない、4規定硫酸で反応を停止させた。反応
停止後、タイターテックマルチスキャン(フロー社製)
を用いて波長492nmで発色色素量を措定し、抗体の活性
を判定した。
(iv) 細胞融合およびハイブリドーマ上清の抗体の測
定 参考例1(ii)の最終免疫の3日後マウスの脾臓を摘出
し、ステンレスメッシュで圧迫,ろ過し、イーグルズ・
ミニマム・エッセンシャルメディウム(MEM)に浮遊さ
せ、脾臓細胞浮遊液を得た。細胞融合に用いる細胞とし
て、BALB/Cマウス由来ミエローマ細胞P3−×63,Ag8.U1
(P3U1)を用いた[カレント トピックス イン マイ
クロバイオロジー アンド イムノロジー,81,1−7
(1978)]。細胞融合は、原法[ネイチャー,256,495
−497(1975)]に準じて行なった。即ち、リンパ球含
有脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ血清を含有しないMEM
で3度洗浄し、脾臓細胞とP3U1数の比率を5:1になるよ
うに混合して、800回転で15分間遠心分離を行なって細
胞を沈殿させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽く
ほぐし、45%ポリエチレングリコール(PEG)6000(コ
ッホライト社製)を0.3ml加え、37℃温水槽中で7分間
静置して融合を行なった。融合後細胞に毎分2mlの割合
でMEMを添加し、合計12mlのMEMを加えた後600回転15分
間遠心して上清を除去した。この細胞沈殿物を10%牛胎
児血清を含有するRPMI1640メディウム(RPMI1640−10FC
S)にP3U1が1ml当り2×105個になるよう浮遊し、24穴
マルチディシュ(リンブロ社製)に1ウエル1mlずつ144
ウエルに播種した。播種後、細胞を37℃で5%炭酸ガス
フラン器中培養した。24時間後、HAT(ヒポキサンチン
1×10-4M,アミノプテリン4×10-7M,チミジン1.6×10
-5M)を含んだRPMI1640−10FCS培地(HAT培地)を1ウ
エル当り1mlずつ添加することにより、HAT選択培養を開
始した。HAT選択培養は、培養開始3,5,7日後に旧液を1m
l捨てたあと、1mlのHAT培地を添加することにより継続
した。ハイブリドーマの増殖は、細胞融合後10〜14日で
播種した全ウエルに認められ、培養液が黄変したとき
(約1×106個/ml)、上清を採取し、ポリペプチド
(I)をコートしたマイクロプレートを用いたELISA法
(参考例1(iii)記載)で、抗体の有無を検討した。
抗体活性は、144ウエル中3ウエルに認められた。
次に、これら3ウエルの抗体が、IFN−γを認識するか
どうか抗ウイルス活性の吸収により検索した。すなわ
ち、ウサギ抗マウスIgG抗体を結合させた3%セルロー
ス溶液500μに培養上清を500μを加え、4℃で24時
間反応させた。反応後セルロースを生理食塩水でよく洗
浄し、2200U/mlのIFN−γを加え、4℃で24時間反応さ
せ、上清中のIFN活性を測定した。IFN−γサンプルとし
て、参考例1(i)記載のポリペプチド(I)を用い
た。
IFN活性の測定は、マイクロプレートを用いた細胞変性
効果(CPE)リーディング法で測定した[アプライド
マイクロバイオロジー,16,1706−1707(1968)]。す
なわち、96穴マイクロプレート(ヌンク社製)全てのウ
エルに50μのMEMを入れ、最初のウエルにIFNサンプル
を50μ加えて、連続的に2倍希釈を行なった、このよ
うにした各ウエルに、WISH細胞を20%FCS含有MEMに1ml
当り4×105個になるよう調製した細胞浮遊液50μを
加え、24時間,37℃,炭酸ガスフラン器で培養した。培
養後、水泡性口内炎ウイルス(ニュージャーシー株)を
2000TCID50(ティッシュ−カルチュァインフェクティン
グドーズ50)になるようMEMで調整し,その50μを各
々のウエルに加え、37℃,炭酸ガスフラン器内で培養し
た。約35時間後、IFNサンプルを加えていないウエル細
胞が100%CPEを起こした時点で、各ウエルのCPEを顕微
鏡で観察し、50%のCPEを起こしているウエルのIFN−サ
ンプルの希釈数の逆数をもってIFNの力価とした。
その結果、3ウエル(WNγ3−16,29,45)からの抗体が
rIFN−γ(ポリペプチド(I))の抗ウイルス活性を吸
収することが分り、そのうちの1つ(WNγ3−29)は、
強い吸収能を示した(第1表)。
(v) クローニング 上記(iv)で得られたポリペプチド(I)に強い結合性
を示す抗体を産生するハイブリドーマWNγ3−29を、限
界希釈法によりクローニングを行なった。すなわち、ハ
イブリドーマが2個/mlになるようRPMI−20FCSに浮遊さ
せ、96穴マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウエル当
り、0.1mlずつ分注した。分注する際、フイーダー細胞
としてBALB/Cマウスの胸腺細胞をウエル当り5×105
になるように加えた。このようにして、約2週間後に細
胞の増殖が認められるようになった細胞の培養上清を採
取して、抗体の有無を参考例1(iii)記載のELISA法で
調べた。その結果、得られた48クローン中38クローンに
抗体活性を認めた。
以後の実験ではこれらクローンの中の代表的なクローン
としてマウス B ハイブリドーマWNγ3−29.33を選
んで実験に用いた。
(vi) 抗体の認識部位の検討 上記(v)で得られたポリペプチド(I)に強い結合性
を示すモノクローナル抗体が、IFN−γのどの部位を認
識するかを検討した。すなわち、ハイブリドーマWNγ3
−29.33の培養上清50μとペプチド(II)(IFN−γN
P)またはペプチド(III)(IFN−γCP)をそれぞれ20
μg/mlに調製したもの50μとを混合し、37℃で1時間
反応させた後、この混合液中の抗体価を、参考例1(ii
i)記載のELISA法で検討した。なお対照はペプチド(I
I)またはペプチド(III)溶液のかわりにHAT培地を用
いた。この実験で、抗体がIFN−γN末部を認識するも
のならばIFN−γNPにより、IFN−γC末部を認識するも
のならば、IFN−γCPにより抗体の活性基がマスクさ
れ、マイクロプレート上のrIFN−γに結合しない筈であ
る。結果は第2表に示したように、WNγ3−29.33モノ
クローナル抗体のマイクロプレート上のrIFN−γへの結
果は、IFN−γNPまたはIFN−γCPによって阻害されなか
った。
従ってこの抗体は、第1図における4番目から21番目お
よび131番目から146番目以外のアミノ酸部分を認識する
ことが分かった。なお、対照として用いたIFN−γN末
部を認識するWNγ2−76.53モノクローナル抗体(特開
昭60−107569号公報参照),C末部を認識するγ2−11.1
モノクローナル抗体(EPC公開第0103898号公報参照)の
マイクロプレート上のポリペプチド(I)への結合は、
それぞれペプチド(II)およびペプチド(III)によっ
て阻害された。
参考例2 モノクローナル抗体の製造 (i) 抗体産生ハイブリドーマの腹水化および腹水か
らの抗体精製 クローニングによって得られたマウスBハイブリドーマ
WNγ3−29.33細胞1×106個を、あらかじめ0.5mlのミ
ネラルオイルを腹腔内に投与しておいたBALB/Cマウス腹
腔内に接種することにより腹水化を行なった。ハイブリ
ドーマを腹腔に投与して10日後、腹水を採取した。得ら
れた腹水9.7mlから、ステーリンら[ジャーナル・オブ
・バイオロジカルケミストリー,256,9750−9754(198
1)]の方法に準じてモノクローナル抗体を精製した。
まず腹水からフイブリン様物質を除去するため10,000rp
m15分間遠心した後、リン酸緩衝液−食塩水(PBS:8.1mM
Na2HPO4,1.5mM KH2PO4,2.7mM KCl,137mM NaCl,pH7.2)
で280nmの紫外部吸収(A280)が12〜14の値を示す濃度
に希釈した。希釈後サンプルに飽和硫酸アンモニウム溶
液を47%の濃度になるように加え、4℃で撹拌しながら
60分間塩析を行ない、その後遠心(10,000rpm,15分間)
を行なって沈殿物を得た。沈殿物を50mM NaCl含有20mM
トリス緩衝溶液(pH7.9)に溶解し、同溶液2に対し
て透析を行なった。2時間後、2の新しい透析液に換
え、さらに15時間透析を行なった。透析後、沈殿を除去
するため10000rpm,15分間遠心を行ない、上清をA280
値が20〜30の濃度になるように調整した。このサンプル
を充分量の50mM−NaCl含有トリス緩衝溶液で平衡化した
17mlのDEAEセルロースカラム(ワットマンDE52)にか
け、50mM NaCl含有トリス緩衝溶液でよく洗った後、50m
M−500mM NaClを含む同緩衝液の濃度勾配塩溶液を用い
て1.5ml/分の流出速度で分画を行なって素通り分画を濃
縮し、モノクローナル抗体WNγ3−29.33を得た。抗体
の純度の確認にはラエムリらの方法[ネイチャー,227,
680−685(1970)]に準じてSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動を用いた。すなわち、硫安塩析し、DEAEセ
ルロースカラムで素通りした分画を、2−メルカプトエ
タノールで還元し、アクリルアミド濃度10%のゲルを用
いて180ボルトで2.5時間泳動を行なった。その結果、分
子量52K前後にH鎖,28K前後にL鎖の2つのバンドが認
められた。
(ii) モノクローナル抗体のIFN−γに対する結合能
および中和能 WNγ3−29.33モノクローナル抗体のIFN−γに対する結
合能,および中和能を、γ2−11.1−モノクローナル抗
体,WNγ2−76.53モノクローナル抗体と比較検討した。
結合能:ウサギ抗マウスIgG抗体を結合させた3%セル
ロース溶液500μにそれぞれ精製したモノクロール抗
体を500μ(約25μgの抗体含有)加え、4℃で24時
間反応させた。反応後セルロースを生理食塩水でよく洗
浄し、550U/mlのrIFN−γを加え、4℃で24時間反応さ
せ、上清中のIFN活性を参考例1(iv)記載のCPEリーテ
ィング法で測定した。IFN−γサンプルとして、ポリペ
プチド(I)およびヒト末梢血リンパ球をコンカナバリ
ンA40μg/mlと12−O−テトラデカノイル−ホルボール
−13−アセテート15ng/mlで刺激して72時間後採取した
上清(nIFN−γ)を用いた。また対照として500μのI
FN−α(ナマルバ細胞をセンダイウイルス10HAユニット
で刺激して48時間後の培養上清で550U/mlのIFN−αを含
む),500μのIFN−β(リー・バイオモレキュラー・
リサーチラボラトリーズ社から購入したもの550U/mlのI
FN−βを含む)を用いた。その結果、WNγ3−29.33モ
ノクローナル抗体は、これまでに得られていたモノクロ
ーナル抗体よりIFN−γに対して強い結合能を示すこ
と、およびIFN−α,IFN−βには全く結合性を示さない
こと等が分かった(第3表)。中和能:上記の2種のIF
N−γ(nIFN−γ,ポリペプチド(I)),IFN−αおよ
びIFN−β(力価は何れも上記と同じ)それぞれ500μ
に、精製した抗体500μ(約25μgの抗体含有)を加
え、4℃で24時間反応させた。反応後反応液中のIFN活
性をCPEリーティグ法で測定した。その結果、WNγ−3
−29.33モノクローナル抗体は、nIFN−γ,ポリペプチ
ド(I)の抗ウイルス活性をほぼ完全に中和し、WNγ2
−76.53抗体より強い中和能を示したが、IFN−α,βに
対しては中和活性を持たないことが分かった(第4
表)。
(iii) モノクローナル抗体のポリペプチド(V)に
対する中和能 ポリペプチド(V)に対してWNγ3−29.33モノクロー
ナル抗体が反応するかどうかを参考例2(ii)記載の中
和法で検討した。すなわち、1370U/mlの抗ウイルス活性
を示すポリペプチド(V)含有上清500μと等量の精
製した抗体(約25μgの抗体含有)を加え24℃で24時間
反応させ、残存するIFN活性をCPEリーティング法で測定
した。その結果、WNγ3−29.33モノクローナル抗体
は、ポリペプチド(V)の抗ウイルス活性をほぼ完全に
中和することが分かった(第5表)。本実験の結果およ
び,参考例2(ii)の結果から、該モノクローナル抗体
は、第1図における22番目から130番目までのアミノ酸
配列の何れかのエピトープを認識するものであることが
判明した。
(iv) モノクローナル抗体のサブクラス ハイブリドーマWNγ3−29.33培養上清中のモノクロー
ナル抗体とウサギ抗マウスIgG1,G2a,G2b,G3抗体(マイ
ルス社)との寒天内沈降反応(イムノロジカルメソッド
ゲル ディフュージョンテクニック ブラックウエル
オックスフォード 1964年)により抗体のサブクラスを
検討した。結果は、モノクローナル抗体とウサギ抗マウ
スIgG1抗体との間に著明な1つのバンドが認められ、他
の抗マウスIgG抗体との間には、バンド形成はみられな
かった(第6表)。従って当モノクローナル抗体は、Ig
G1サブクラスに属するものであることが判明した。
実施例1 標識剤としてペルオキシダーゼを用いる酵素
免疫測定法 (1) WNγ3−29.33結合固相の作成 96ウエルのマイクロテスト用プレート(ヌンク−イムノ
プレートI:ヌンク社(デンマーク)製)の各ウエルに参
考例2で得たWNγ3−29.33溶液(30μg/ml,0.1M炭酸緩
衝液pH9.6)150μを注入し、4℃で一晩放置した。PB
S(0.15M NaClを含むpH7.4の0.01Mリン酸緩衝液)300μ
で洗浄後、1%BSAおよび0.005%チメロサールを含む
0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)300μを注入し、4℃で
保存した。
(2) ポリクローナル抗体の製造 EPC公開第0110044号公報記載の方法で得られた精製rIFN
−γ蛋白質2mgを生理食塩水1mlに溶解し、これにフロイ
ンドの完全アジュバント[免疫の生化学,橘ら著,共立
出版株式会社(1967年)]1.5mlを加えてよく混合して
乳剤を作り、1mlをウサギの両大腿部筋肉内および背部
皮下数箇所に注射した。以上の操作を4週毎に4回行な
い最終免疫後1週間で採血して抗血清を得た。硫酸アン
モニウム法で塩析してグロブリン画分を調製したのち、
rIFN−γ結合セファロース4Bカラムを用いるアフィニテ
ィ・クロマトグラフィーに供した。カラムに保持された
抗体画分を0.17Mグリシン−塩酸緩衝液(pH2.3)で溶出
することにより、rIFN−γに強い親和性を有するポリク
ローナル抗体を得た。
(3) ポリクローナル抗体Fab′フラグメントの製造 前項で得られたポリクローナル抗体5mgに0.1mgのペプシ
ンを加え30℃で一夜反応後、セファデックスG−150カ
ラム(直径2.5cm,長さ55cm)で精製した。得られた抗体
F(ab′)画分を2−メルカプトエチルアミンで還元
し、セファデックスG−25のカラムによるゲルクロマト
グラフィーで精製してポリクローナル・ウサギ抗rIFN−
γ抗体(Fab′フラグメント)を得た。
(4) ポリクローナル抗原rIFN−γ抗体(Fab′)−H
RP複合体の製造 (a) マレイミド基の導入 6mgの西洋わさびペルオキシダーゼ[ベーリンガーマン
ハイム社(西ドイツ)製]を1mlの0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.0)に溶解し、50μのN,N−ジメチルホルムアミド
にとかした結合試薬MMC(一般式[I]において、n=
1,R=シクロヘキシレンである化合物)4.8mgを加えて30
℃で60分間撹拌しながら反応させた。生成した沈殿を遠
心分離して除去し、上清をセファデックスG−25のカラ
ム(1.0×45cm)に通し、0.1Mリン酸緩衝液で溶出させ
た。タンパクを含む画分を分取し、コロジオン膜を用い
て濃縮した。このようにして調製したマレイミド化ペル
オキシダーゼにおいてペルオキシダーゼ1分子あたり導
入されたマレイミド基の数は1.0〜1.2個であった(ペル
オキシダーゼの分子量を40,000,▲E280nm 1%▼22.75と
して計算)。
(b) マレイミド化ペルオキシダーゼと抗rIFN−γ抗
体(Fab′フラグメント)との複合体の製造 上記(a)で調製したマレイミド化ペルオキシダーゼ1.
5mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)0.15mlに溶解し、先に
(3)項で得たポリクローナル抗rIFN−γ抗体(Fab′
フラグメント)1.8mgをとかした5mMエチレンジアミン四
酢酸ナトリウム塩を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)0.1
5mlを加えて4℃で20時間反応させた。反応後、ウルト
ロゲルAcA44を充てんしたカラム(1.5×45cm)を用いる
ゲルクロマトグラフィーにかけ、0.1Mリン酸緩衝液(pH
6.5)で溶出させた。溶出液の280nmの吸光度ならびに酵
素活性を測定しペルオキシダーゼとウサギ抗rIFN−γ抗
体(Fab′フラグメント)との複合体の溶出画分を得
た。
(5) 操作法 (1)項で作成したプレートをPBSで洗浄後、各ウエル
に緩衝液B(10%仔牛血清,および0.005%チメロサー
ルを含む0.02Mリン酸緩衝液(pH6.5)50μおよび緩衝
液Bで希釈した標準rIFN−γ 100μを加え、室温で
一晩放置した。PBSで洗浄後、緩衝液Bで酵素濃度とし
て500ng/mlに希釈した第(4)項に作製した酵素標識剤
150μ加え、室温で4時間反応させた。各ウエルをPBS
で洗浄後,基質液として0.2%O−フェニレンジアミン
および0.02%過酸化水素を含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH
5.5)100μを加え、室温で20分間反応させた。2M硫酸
100μを加えて酵素反応を停止させたのち、各ウエル
の492nmの吸光度をタイターテック・マルチスキャン
(フロー社 米国)で測定した。
第2図に得られたrIFN−γの標準曲線を示した。
実施例2 IFN−γの免疫化学的測定キットおよびrIFN
−γの測定 下記のIFN−γ免疫化学的測定キットを用い、下記の操
作法に従って、rIFN−γ投与患者血清中rIFN−γ濃度を
測定した。
(1) 実施例1−(1)で得られたモノクローナル抗
体感作プレート。
(2) 実施例1−(4)で得られたペルオキシダーゼ
標識ポリクローナル抗体複合体。
(3) 0〜10ngの標準rIFN−γ。
(4) 上記(2),(3)の試薬および被検液の希釈
に用いる緩衝液E:10%仔牛血清,0.4M NaCl,0.005%チメ
ロサールを含むpH6.5の0.05Mリン酸緩衝液。
(5) O−フェニレンジアミン。
(6) 上記(5)の溶解に用いる緩衝液D:002%過酸
化水素,0.005%チメロサールを含むpH5.5の0.1Mクエン
酸緩衝液。
(7) 停止液:2M 硫酸。
測定 緩衝液Eに溶解させたrIFN−γ標準溶液あるいは緩衝液
Eで5倍以上に希釈された被検血清試料100μを、緩
衝液A{pH7.0の0.01Mリン酸緩衝液(NaCl:0.14M)}で
洗浄された(1)の各ウエルに注入し、室温で一晩反応
させた。各ウエルを緩衝液Aで洗浄後、緩衝液Eで希釈
された試薬(2)150μを加えて、室温で4時間反応
させた。各ウエルを緩衝液Aで洗浄後、試薬(6)で溶
解した0.2%の試薬(5)150μを加えて室温で30分反
応させた。各ウエルに2M H2SO4 100μを添加して反応
を停止させ、492nmの吸光度をマイクロプレート用自動
比色計[タイターテック・マルチスキャン・フロー社
(米国)製]を用いて測定した。
結果を第7表に示す。
発明の効果 本発明のIFN−γの測定法は、正確にIFN−γを認識し、
極めて高感度であり、とりわけ患者血中のIFN−γの測
定等に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は146個のアミノ酸からなるIFN−γのアミノ酸配
列を示す。 第2図は本発明で得られたrIFN−γの標準曲線を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−7300(JP,A) J.Immunol,Methods, 79(2),(1985),P.293−306 Blochem.Blophys.Re s.Commun.,128(1), (1985),P.171−178 J.Immunol,134(3), (1985),P.1609−1618 Hybridoma,3(4), (1985),P.321−332 Rroc.Natl.Acad.Sc i.USA,81(16),(1984),P. 5219−5222 J.Immunol,Methods, 77(2),(1985),P.275−282

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定用試料を、第1図で示されるポリペ
    プチドと結合し、ペプチド<Glu−Asp−Pro−Tyr−Val
    −Lys−Glu−Ala−Glu−Asn−Leu−Lys−Lys−Tyr−Phe
    −Asn−Ala−GlyおよびペプチドLys−Arg−Lys−Arg−S
    er−Gln−Met−Leu−Phe−Arg−Gly−Arg−Arg−Ala−S
    er−Glnのいずれとも結合しないモノクローナル抗体お
    よびポリクローナル抗インターフェロン−γ抗体のい
    ずれか一方を含有する固定相と他方を含有する標識体と
    を用いるサンドイッチ法に付すことを特徴とするインタ
    ーフェロン−γの免疫化学的測定法。
  2. 【請求項2】第1図で示されるポリペプチドと結合
    し、ペプチド<Glu−Asp−Pro−Tyr−Val−Lys−Glu−A
    la−Glu−Asn−Leu−Lys−Lys−Tyr−Phe−Asn−Ala−G
    lyおよびLys−Arg−Lys−Arg−Ser−Gln−Met−Leu−Ph
    e−Arg−Gly−Arg−Arg−Ala−Ser−Glnのいずれとも結
    合しないモノクローナル抗体およびポリクローナル抗
    インターフェロン−γ抗体のいずれか一方を含有する固
    定相と他方を含有する標識体とを組合せてなるインター
    フェロン−γの免疫化学的測定用試薬。
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Rroc.Natl.Acad.Sci.USA,81(16),(1984),P.5219−5222

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