JPH0745579B2 - パラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フイルムおよびその製造法 - Google Patents

パラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フイルムおよびその製造法

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JPH0745579B2
JPH0745579B2 JP61300421A JP30042186A JPH0745579B2 JP H0745579 B2 JPH0745579 B2 JP H0745579B2 JP 61300421 A JP61300421 A JP 61300421A JP 30042186 A JP30042186 A JP 30042186A JP H0745579 B2 JPH0745579 B2 JP H0745579B2
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武範 谷口
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、パラ配向型芳香族ポリアミドからなる難燃性
フィルムおよびその製造法に関し、さらに詳しくはフィ
ルムの長尺方向(以下、MD方向と略す)および幅方向
(以下、TD方向と略す)ともに優れた機械特性を示し、
かつ、限界酸素指数(L.O.I)が35を超える難燃性を兼
備するパラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルムおよ
びその製造法に関するものである。
(従来の技術) ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTAとい
う)に代表されるパラ配向型の芳香族ポリアミドは、特
に優れた結晶性や高い融点を有し、また剛直な分子構造
の故に、耐熱性で高い機械的強度を有しており、近年、
特に注目されている高分子素材である。またその光学異
方性を示す濃厚溶液から紡糸された繊維は高い強度およ
びモジュラスを示すことが報告され、すでに工業的に実
施されるに到っている。また、PPTAのフィルムへの成形
例もいくつか提案されている(例えば、特公昭56−4542
1号公報、特公昭57−17886号公報など)。
これらのパラ配向型芳香族ポリアミド成形物は、その高
い結晶性や構造の緻密性の故に難燃剤の含浸が非常に困
難である。これまで、芳香族ポリアミドの難燃化方法と
して、水に膨潤した乾燥していない繊維に難燃剤等の添
加剤を含浸することが、特開昭50−12322号公報、同49
−75824号公報、同53−35020号公報および特公昭56−33
487号公報に開示されている。しかしながら、パラ配向
型芳香族ポリアミド繊維については、ポリマー濃度の低
い紡糸原液を使用し、高温の凝固浴中へ湿式紡糸する技
術について開示されているだけであり、この方法によっ
て得られる糸条はボイドが多く、密度が小さく、さら
に、強度が著しく小さい。これは含浸処理のし易い密度
約1.35g/cm3以下の、ボイドの多い多孔質繊維をつくる
ことが前提になっていることによる。
また、このようにボイドの多い多孔質の繊維に難燃剤を
含浸させてあるために、堅牢性に欠けるという欠点があ
り、難燃剤を重合体に結合させることで堅牢性の低さを
補っているが、まだ十分とは言えない。
一方、パラ配向型芳香族ポリアミドフィルムに難燃剤を
含浸する技術は未だ全く開示されていない。ことに、緻
密で高配向の故に機械的性能に優れたパラ配向型芳香族
ポリアミドフィルムに難燃剤を含浸することは、機械的
性能の滅殺なしには不可能であると考えられてきた。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、高強度、高モジュラスを有し、かつ難
燃化され、かつ難燃効果の堅牢性に優れたパラ配向型芳
香族ポリアミド難燃性フィルムおよびその製造法を提供
することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、このようなフィルムを得る方法について
鋭意研究を重ねた結果、パラ配向型芳香族ポリアミドの
光学異方性ドープを支持面上にフィルム状にしたのち、
等方化し、次いで凝固させ、溶媒を除去して得た水分率
が50重量%以上の未乾燥フィルムと難燃剤を含む液とを
接触させ、その後乾燥させるという特別な方法によっ
て、優れた機械的特性を示し、しかも限界酸素指数が35
を超える難燃性およびその堅牢度に優れたフィルムが得
られることを見出し、さらに研究を重ねて本発明として
完成するに到った。
すなわち本発明の第1は、対数粘度ηinh2.5以上の実質
的にパラ配向型芳香族ポリアミドからなり、密度が1.37
g/cm3以上、ヤング率が500kg/mm2以上を有する緻密構造
のフィルム内に、脂肪族リン酸エステル、脂肪族環式リ
ン酸エステルおよび芳香族リン酸エステルからなる群よ
り選択される一種または二種以上の難燃剤を、フィルム
全重量中に少なくとも0.1重量%のリンを含むように含
有し、該フィルムの限界酸素指数が35を超えることを特
徴とするパラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルムで
ある。
本発明の第2は、対数粘度ηinhが2.5以上であるパラ配
向型芳香族ポリアミドと96重量%以上の濃度の濃硫酸、
クロル硫酸およびフルオル硫酸からなる群より選択され
た少なくとも一種の溶媒とを含んでなる光学異方性ドー
プを、光学異方性を保ったまま支持面上にフィルム状と
なし、吸湿および/または加熱により該ドープが光学等
方性ドープに実質的に転化するまで放置した後、凝固さ
せ、溶媒を実質的に除去して得た50重量%以上の水分を
含んだフィルムと難燃剤を含有する液とを接触させ、次
いで50℃以上の温度で収縮を制限しつつ乾燥することを
特徴とするパラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルム
の製造法である。
本発明のパラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルムに
含有される難燃剤としては、脂肪族リン酸エステル、脂
肪族環式リン酸エステルおよび芳香族リン酸エステルか
ら選択することが好ましい。これらの代表的な難燃剤
は、 (H5C2O)3P=O、(H3CO)3P=O、 などであり、脂肪族置換基、芳香族置換基の水素原子の
一部がハロゲンで置換したものであってもよい。通常、
これらの化合物から一種を選択し、フィルム中に拡散せ
しめることにより難燃化は達成されるが、二種以上の化
合物が拡散含浸させることもできる。一般に、エステル
化されていない、例えばフェニルホスホン酸のようなリ
ン酸化合物も難燃剤として有効ではあるが、これらの化
合物は酸性が強く。パラ配向型芳香族ポリアミドフィル
ム自体が含浸処理中または各種用途での使用中に劣化す
ることがある。
本発明の目的である高い難燃性(例えばL.O.Iが35以
上)を具備するためには、フィルム全重量に対して少な
くとも0.1重量%、さらに好ましくは0.3重量%のリンを
与えるように前記した難燃剤が含有されている必要があ
る。また、難燃性の高い堅牢度を保証するために、難燃
剤がフィルムの表層のみならず、中心部にも十分に含浸
されていることが好ましい。
本発明に用いられるパラ配向型芳香族ポリアミドは、次
の構成単位からなる群より選択された単位から実質的に
構成される。
−NH−Ar1−NH− …(I) −CO−Ar2−CO− …(II) −NH−Ar3−CO− …(III) ここでAr1、Ar2およびAr3は各々2価の芳香族基であ
り、(I)と(II)はポリマー中に存在する場合は実質
的に当モルである。
本発明のポリアミドフィルムにおいて、良好な機械的性
能を確保するために、Ar1、Ar2およびAr3は各々、所
謂、パラ配向型の基である。
ここで、パラ配向型とは、その分子鎖を成長させている
結合が芳香核の反対方向に同軸または平行的に位置して
いることを意味する。このような2価の芳香族基の具体
例としては、パラフェニレン、4,4′−ビフェニレン、
1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレ
ン、2,5−ピリジレンなどがあげられる。それらはハロ
ゲン、低級アルキル、ニトロ、メトキシ、スルホン酸、
シアン基などの非活性基で1または2以上置換されてい
てもよい。Ar1、Ar2およびAr3はいずれも2種以上であ
ってもよく、また相互に同じであっても異なっていても
よい。
本発明に用いられるポリマーは、これまでに知られた方
法により、各々の単位に対応するジアミン、ジカルボン
酸、アミノカルボン酸より製造することができる。具体
的には、カルボン酸基をまず酸ハライド、酸イミダゾラ
イド、エステル等に誘導した後にアミノ基と反応させる
方法、またはアミノ基をイソシアナート基に誘導した
後、カルボン酸基と反応させる方法が用いられ、重合の
形式もいわゆる低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合
法、固相重合法などを用いることができる。
本発明に用いられるパラ配向型芳香族ポリアミドには、
上記した以外の基が約10モル%以下共重合されたり、他
のポリマーがブレンドされたりしていてもよい。
本発明のパラ配向型芳香族ポリアミドとして最も代表的
なものは、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PP
TA)やポリーp−ベンズアミドである。
本発明のパラ配向型芳香族ポリアミドの重合度は、あま
りに低いと本発明の目的とする機械的性質の良好なフィ
ルムが得られなくなるため、通常2.5以上、好ましくは
3.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマー0.5gを
溶解して30℃で測定した値)を与える重合度のものが選
ばれる。
本発明のフィルムは、1.37g/cm3以上、より好ましくは
1.39g/cm3以上の密度を有している。これは先に述べた
フィルムの機械的物性を確保するために必要な密度であ
り、また、難燃剤の好ましい堅牢度を維持できる密度で
ある。
本発明のフィルムは、ヤング率が500kg/mm2以上、より
好ましくは700kg/mm2以上を有する。これは本発明のフ
ィルムが外力により変形を生じにくくするため、または
薄くても腰が強くあるために必要な条件である。
次にこのような難燃剤を含浸したパラ配向型芳香族ポリ
アミドフィルムを得るための方法について述べる。
本発明のフィルムの成型に用いる光学異方性ドープを調
製するのに適した溶媒としては、96重量%以上の濃度の
硫酸、クロル硫酸、フルオル硫酸またはそれらの混合物
があげられる。硫酸は100%以上のもの、すなわち発煙
硫酸であってもよいし、またトリハロゲン化酢酸など
を、本発明の効果を損なわない範囲で混合して用いても
よい。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を
示す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的には約
9重量%以上、好ましくは約10重量%以上で用いられ
る。これ以上のポリマー濃度、すなわち常温またはそれ
以上の温度で光学異方性を示さないポリマー濃度では、
成型されたフィルムが好ましい機械的性質を持たなくな
ることが多い。ドープのポリマー濃度の上限は特に限定
されるものではないが、通常は20重量%以下、特に高い
ηinhのPPTAに対しては16重量%以下が好ましく用いら
れる。
本発明に用いるドープには、ドープ中のポリマー溶解性
を著しく損なわない限り、添加剤、例えば、増量剤、除
光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、溶解
助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の方
法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べるこ
とができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポリ
マー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依存
するので、これらの関係を予め調べることによって、光
学異方性ドープを作り、光学等方性ドープとなる条件に
変えることで、光学異方性から光学等方性に変えること
ができる。
本発明のフィルムを得るには、例えばドープを支持面上
にフィルム状にした後、凝固に先立ってドープを光学異
方性から光学等方性に転化する。
光学異方性から光学等方性に転化するには、具体的には
支持面上にフィルム状にした光学異方性ドープを凝固に
先立ち、吸湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下
げ、溶剤の溶解能力およびポリマー濃度の変化により光
学等方性域に転移させるか、または加熱することにより
ドープを昇温し、同時または逐次的にドープを光学等方
性に転移させるか、あるいは加熱と吸湿を併用すること
により達成できる。
ドープを吸湿させる方法としては、例えば、空気中に一
定時間以上静置することにより達成することができる。
この場合の空気は50%以上の相対湿度をもっていること
が好ましい。
また通常の湿度雰囲気にさらに積極的に加湿を施す工夫
は、光学等方性化するまでの時間を短く、また加熱を併
用する場合にはその加熱温度を低くできる点から望まし
い実施態様である。相対湿度99%を超えると、低温では
ドープ上に水が凝縮するためポリマーが析出したり、フ
ィルムの平面性が失われることがあるが、45℃以上にお
いては、100%以上の相対湿度を用いることもできる。
また吸湿と同時または吸湿させた後加熱を併用する方法
においては、例えば、硫酸を溶媒に用いた場合、光学異
方性が実質的に消失し、ドープが光学等方性に転化する
温度は、ポリマー濃度、ポリマーの重合度、硫酸濃度、
ドープの厚み、さらには吸湿の程度により変動するが、
通常約45℃以上が好ましく、またその上限は、ポリマー
の分解性を考慮した場合、一般的にあまり高くないこと
が望ましく、フィルム状のドープの温度が200℃を超え
ない程度に選ばれることが望ましい。
この吸湿により光学等方性化する機構は必ずしも明らか
ではないが、おそらく吸湿することによるポリマー濃度
と溶媒濃度の低下により、PPTA−溶媒系の液晶域がかな
り縮小するためであろうと思われる。この吸湿だけでも
十分光学等方性化するが、これにさらに加熱が伴えば、
短時間の等方性化が可能となる。この方法は特にドープ
の厚みが厚いときに有効である。
本発明において、ドープの凝固液として使用できるの
は、例えば水約70重量%以下の希硫酸、約20重量%以下
の水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア水、約50重
量%以下の塩化ナトリウム水溶液および塩化カルシウム
水溶液などである。凝固浴の温度は特に制限されるもの
ではなく、通常約−5℃〜50℃の範囲で行なわれる。
凝固されたフィルムはそのままでは酸が含まれているた
め、加熱による機械的物性の低下の少ないフィルムを製
造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行なう必要が
ある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行な
うことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられる
が、必要に応じて温水で行なったり、アルカリ水溶液で
中和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例
えば洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液を噴霧
する等の方法により行なわれる。
本発明において、このようにして製造されたフィルム
は、乾燥させることなく、少なくとも50重量%以上、好
ましくは80重量%以上の水分量を含有させたまま保持
し、難燃剤を含有する液と接触させなければならない。
水分量が50重量%未満ではいわゆる生乾きまたは乾燥さ
れた状態であり、難燃剤を有する液からの難燃剤の拡散
速度が著しく低下し、実用的程度に難燃剤を含浸させる
ことができない。
難燃剤の含浸処理は、上記含浸剤の溶液にフィルムを接
触させることにより行なわれる。難燃剤の粒子は、難燃
剤溶液中で分子状に分散していることが好ましく、該難
燃剤含有液は水溶液が最も好ましい。水溶性でない難燃
剤であってもエマルジョン、分散液、コロイド状態で含
浸処理を行なうことができるが、フィルム内部まで含浸
され易いという観点から、0.1μ以下、好ましくは0.01
μ以下の粒径の粒子が分散していることが好ましい。こ
れらのエマルジョン、分散液等を安定化したり、または
難燃性を高めるために界面活性剤等の添加剤が添加され
ていてもよい。また難燃剤が水に不要または難溶の場合
は、アセトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の水溶性
の有機溶剤や、これらと水との混合溶液に難燃剤を溶解
または分散して用いることもできる。
含浸はフィルムを含浸剤含有液中に浸漬するか、または
噴霧、シャワーリングすることによって行なうことがで
きる。含浸温度は室温から含浸剤含有液の沸点までの間
で任意に設定できるが、高温の方が好ましい。含浸剤濃
度も0.1〜99重量%の間で任意である。
難燃剤の含浸は一般に拡散律速であるため、所望の難燃
度に応じて、含浸温度、時間、含浸濃度が決められるべ
きである。難燃効果が認められる難燃剤の含有量として
は、リンの対乾燥フィルム基準で大体、0.1重量%以上
である。
このようにして難燃化されたフィルムは、必要ならば表
面付着した難燃剤を洗浄した後、乾燥されるが、望むな
らば乾燥に先立って延伸することもできる。すなわち、
乾燥前の湿潤フィルムを1方向または2方向に1.01〜1.
4倍程度延伸することにより、フィルムの機械的性質を
向上させることができる。
フィルムの乾燥は、緊張下、定長下または僅かに延伸し
つつ、フィルムの収縮を制限して行なう必要がある。も
し、洗浄液(例えば水)の除去とともに収縮する傾向を
有するフィルムを、何らの収縮の制限を行なうことなく
乾燥した場合には、ミクロに不均一な構造形成(結晶化
など)がおこるためか、得られるフィルムの平面性が損
なわれたり、カールしてしまうこともある。収縮を制限
しつつ乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に
挟んでの乾燥などを利用することができる。乾燥に係る
他の条件は、特に制限されるものではなく、加熱気体
(空気、窒素、アルゴンなど)や常温気体による方法、
電気ヒータや赤外線ランプなどの輻射熱による方法、誘
電加熱法などの手段から任意に選ぶことができる。
本発明において、フィルムの乾燥温度は50℃以上である
ことが肝要である。これは、50℃未満の乾燥ではフィル
ムの構造の緻密化が不十分(密度が小さい)で、難燃性
の堅牢度が不十分となるからである。乾燥温度は好まし
くは100〜300℃である。
(実施例) 以下に本発明の実施例および参考例(PPTAの製造例)を
示すが、これらの参考例および実施例は本発明を説明す
るものであって、本発明を限定するものではない。な
お、実施例中特に規定しない場合は重量部または重量%
を示す。
実施例中の対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.
2gを溶解し、30℃で常法で測定した。ドープの粘度は、
B型粘度計を用い1rpmの回転速度で測定した。フィルム
の厚さは、直径2mmの測定面を持ったダイヤルゲージで
測定した。強伸度およびモジュラスは、定速伸長型強伸
度測定機により、フィルム試料を100mm×10mmの長方形
に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、引張り速度30mm/
分で荷重−伸長曲線を5回描き、これより算出したもの
である。密度は、四塩化炭素−トルエンを使用した密度
勾配管法により30℃で測定した。
<フィルム中の含リン量の測定> 難燃剤を含有したフィルムを約50mgないし100mg精秤
し、白金製バスケットに入れる。これを酸素気流中で燃
焼させ、燃焼によって生成するガスを0.01規定苛性ソー
ダ10mlと水10mlの混合溶液に導き吸収させる。難燃ガス
を吸収させた上記溶液に水を加え、精確に50mlに定容す
る。この溶液をイオンクロマトグラム(ダイオネックス
社製ダイオネックス10型)に通し、含リン量を測定し
た。その際分離カラムは、TSKゲルーアニオンPW(東洋
曽達社製)を充填したカラムを用い、溶離液は0.0015モ
ル/炭酸水素ナトリウム水溶液と0.0012モル/炭酸
ナトリウム水溶液の1:1混合溶液を用いた。またはリン
の定量は、あらかじめ既知量のリン酸二水素カリウムを
用いて上記操作を行ない、作製した含リン検量線に基づ
いて行なった。
<限界酸素指数の測定> 難燃性の指標である限界酸素指数(L.O.I)は日本工業
規格(JIS)K7201号に基づき、難燃性試験装置(スガ試
験機社製、ON−1型)を用い、フィルムそのものを試験
片として測定した。試験片が3分間以上または5cm以上
継続して燃焼し得る最低の酸素流量をA(/min)、こ
の時の窒素流量をB(=11.4−A)(/min)とする
と、L.O.Iは、 L.O.I=〔A/(A+B)〕×100によって表される値であ
る。
実施例1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマー濃
度12.0%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを得
た。このドープの粘度を常温で測定したところ、14500
ポイズであった。製膜しやすくするために、このドープ
を約70℃に保ち、真空下に脱気した。この場合も上記と
同じく光学異方性を有し、粘度は4200ポイズであった。
このドープをタンクからフィルターを通し、約70℃に保
ちながらギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を通
し、0.3mm×300mmのスリットを有するダイから、鏡面に
磨いたハステロイ製のベルトにキャストし、この流延ド
ープに相対湿度約95%の約90℃の空気を吹きつけて光学
等方化したのち、約1分間ベルト上に保持してから、ベ
ルトとともに0℃の20重量%硫酸水溶液の中に導いて凝
固させた。次いで凝固フィルムをベルトからひきはが
し、回転ローラを介して約20℃の水槽中を走行させて洗
浄し(滞留時間約3分)、水分率約400重量%のフィル
ムを得た。
このフィルムと50℃に保持したK−19A(明成化学工業
社製、登録商標、化学構造は第1表脚註に記載)の10%
水溶液とを5分間接触させて該難燃剤を含浸させた後、
得られた難燃性フィルムを水洗し、約10cm×15cmのステ
ンレス製の2枚の枠に挟み、200℃に保たれたエアーオ
ーブン中で定長乾燥した。得られたフィルムの測定結果
を第1表に示した。
比較例1 実施例1で得られた400%水分含有フィルムを一旦120℃
で乾燥して、水分含有量約30重量%にした後、実施例1
と同じ条件で含浸処理し、実施例1と同条件で乾燥し
た。結果を第1表に示した。
比較例2 実施例1で得られた400%水分含有フィルムに、実施例
1で示した難燃剤を実施例1の条件で含浸させた後、得
られたフィルムを約10cm×15cmのステンレス製の2枚の
枠に挟み、室温(約23℃)にて風乾した。結果を第1表
に示した。
実施例2 実施例1で得られた400%水分含有フィルムに、実施例
1で示した難燃剤を実施例1の条件で含浸させた後、得
られたフィルムを約10cm×15cmのステンレス製の2枚の
枠に挟み、100℃に保たれたエアーオーブン中で定長乾
燥した。結果を第1表に示した。
比較例3 実施例1で得られたフィルムを、一旦120℃で乾燥して
水分率を5%とした後、実施例2と同条件で同じ難燃
剤、含有液と接触させ乾燥した。結果を第1表に示し
た。
実施例3 実施例1で得られたゲル状凝固フィルムを、トリフェニ
ルホスフェート(TPPと略す)の15%アセトン溶液に浸
漬し、得られたフィルムを約10cm×15cmのステンレス製
の2枚の枠に挟み、50℃で60分加熱し、その後表面をア
セトンで洗浄し、150℃に保たれたエアーオーブンにて
乾燥した。結果を第1表に示した。
実施例4 実施例1、2および比較例2で得られたそれぞれのフィ
ルムを30、60、90分間沸騰水中に保持し、難燃剤の堅牢
度を評価した。その結果を第2表に示した。その結果か
ら本発明のフィルムは沸水処理後も優れた難燃性を維持
していることがわかった。
なお、難燃化処理を全くしなかったPPTAフィルムは約28
のL.O.Iを示し、例えばタバコ用のライター炎の接触さ
せると燃え、ライターを遠ざけると自己消化性を示し
た。これに対し、L.O.Iが約35以上の本発明のフィルム
はライターの炎を近づけても全く炎を挙げなかった。
(発明の効果) 本発明のフィルムは、高い強度と高いモジュラスで表さ
れる良好な機械的性質を有し、かつL.O.Iが35を超える
優れた難燃性を兼備し、さらに優れた難燃性の堅牢度を
有する。新規なフィルムである。また、本発明のフィル
ムは耐熱性および高い誘電率を有している。本発明のフ
ィルムは、このような性能上の特徴を活かした、コンデ
ンサー用絶縁体、電線やオプティカルファイバーの被覆
材などとして有用であり、これらの電気機械関連用途に
難燃性部材として特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度ηinh2.5以上の実質的にパラ配向
    型芳香族ポリアミドからなり、密度が1.37g/cm3以上、
    ヤング率が500kg/mm2以上を有する緻密構造のフィルム
    内に、脂肪族リン酸エステル、脂肪族環式リン酸エステ
    ルおよび芳香族リン酸エステルからなる群より選定され
    る一種または二種以上の難燃剤を、フィルム全重量中に
    少なくとも0.1重量%のリンを含むように含有し、該フ
    ィルムの限界酸素指数が35を超えることを特徴とするパ
    ラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルム。
  2. 【請求項2】対数粘度ηinhが2.5以上であるパラ配向型
    芳香族ポリアミドと、96重量%以上の濃度の濃硫酸、ク
    ロル硫酸およびフルオル硫酸からなる群より選択された
    少なくとも一種の溶媒とを含んでなる光学異方性ドープ
    を、光学異方性を保ったまま支持面上にフィルム状とな
    し、吸湿および/または加熱により該ドープが光学等方
    性ドープに実質的に転化するまで放置した後、凝固さ
    せ、溶媒を実質的に除去して得た50重量%以上の水分を
    含んだフィルムと難燃剤を含有する液とを接触させ、次
    いで50℃以上の温度で収縮を制御しつつ乾燥することを
    特徴とするパラ配向型芳香族ポリアミド難燃性フィルム
    の製造法。
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