JPH07442Y2 - 給紙装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、昇降可能なペーパ載置台上の積層ペーパを
上部から一枚づつ送り出すようにした給紙装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕 上記給紙装置の従来技術として第８図に示したものがあ
る。この給紙装置は、昇降可能なペーパ載置台40の上方
に給紙ローラ41を設け、上記ペーパ載置台40の上昇によ
ってその上に支持された積層ペーパＰの上面が一定のレ
ベルに保持されると、給紙ローラ41を下降させ、その給
紙ローラ41との接触回転によって、積層ペーパＰの最上
位のペーパを前方に送り出すようにしてある。

また、ペーパ載置台40から送り出されたペーパＰを、送
りローラ42と重送防止ローラ43の回転によって前方に搬
送すると共に、上部送り出しローラ44と下部送り出しロ
ーラ45の回転によってさらに前方に搬送し、その搬送路
に設けた位置検出センサPHがペーパＰの先端を検出する
と、各ローラ41、42、43、44、45を停止させてペーパＰ
を所定の位置で待機させるようにしている。

なお、上記重送防止ローラ43は、ペーパＰを送り出す方
向とは逆方向に回転しており、ペーパＰが重なり合って
送られてきたとき、下側のペーパをペーパ載置台40方向
に返送するようになっている。重送防止ローラ43は、送
りローラ42の回転によって前方に搬送されるペーパＰの
接触力が設定値を越えると、ペーパＰを送り出す方向に
回転してペーパＰの送り出しを阻害しないようになって
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記のような給紙装置においては、給紙ロー
ラ41のみを積層ペーパＰ上面に対して圧着・解除できる
ようにして、送りローラ42と重送防止ローラ43および上
部送り出しローラ44と下部送り出しローラ45を常に一定
の圧力で圧着させた構成であるため、圧着状態にある２
組のローラ相互間において、ペーパの送り速度に差が生
じ易い。このため、ローラとペーパの相互間にスリップ
が生じ、ペーパに擦り傷が生じ易いという問題がある。
とくに、ペーパに感材を設けたプリント用のペーパの場
合、感材はきわめてデリケートであるため、上記スリッ
プによって擦り傷が生じ易く、プリントに悪影響をおよ
ぼすという問題が生じる。また、重送防止ローラによ
る、重送されて来たペーパの返送が不完全である場合、
このペーパが搬送されて行くペーパの直後に連続して搬
送されるという問題もある。

そこで、この考案は上記の問題点を解決し、ペーパとロ
ーラの相互間においてはスリップの発生を防止し、ペー
パを傷つけることなく搬送することができるようにする
と共に、重送されて来たペーパが搬送されていくペーパ
に連続して搬送されることを防ぐようにした給紙装置を
提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この考案においては、昇
降可能なペーパ載置台の上方に給紙ローラを設け、この
給紙ローラとの接触回転によってペーパ載置台上から送
り出されるペーパの移送路に、送りローラおよび上部送
り出しローラをペーパ移送方向に順に設け、前記給紙ロ
ーラと上部送り出しローラの軸心間の間隔をペーパ載置
台から送り出されるペーパの移送方向の長さより短い間
隔とし、前記送りローラの下方には重送防止ローラを配
置すると共に、上部送り出しローラの下方に下部送り出
しローラを対向させた給紙装置において、前記給紙ロー
ラ、上部送り出しローラ及び重送防止ローラを上下動可
能に支持し、前記ペーパ載置台の昇降路にはペーパ載置
台上の積層ペーパの上面が所定の高さに搬送されたかど
うかを検出する高さ検出センサを設け、上部送り出しロ
ーラと下部送り出しローラの搬出側には、両ローラ間を
通過したペーパの先端位置を検出する位置検出センサを
配置し、上記高さ検出センサが積層ペーパの上面を検出
したとき、給紙ローラをペーパ載置台上の積層ペーパの
上面先端部と接触する位置まで下降させると共に、重送
防止ローラおよび上部送り出しローラを上昇させ、位置
検出センサがペーパの先端位置を検出したとき、給紙ロ
ーラを上昇させると共に、重送防止ローラおよび上部送
り出しローラを下降させるローラ昇降機構を設けた構成
を採用している。

〔作用〕

上記のように構成すれば、ペーパ載置台が上昇し、高さ
検出センサがペーパ載置台上の積層ペーパの上面を検出
すると、給紙ローラが下降し、重送防止ローラおよび上
部送り出しローラが上昇する。このため、ペーパ載置台
上の積層ペーパの上部のペーパは、給紙ローラの回転に
よって前方に送り出され、送りローラと重送防止ローラ
の回転によってさらに前方に搬送される。その搬送路に
設けた位置検出センサがペーパの先端を検出すると、重
送防止ローラおよび上部送り出しローラが下降し、給紙
ローラが上昇して各ローラが回転停止する。このため、
ペーパは、上部送り出しローラと下部送り出しローラと
で挾持され、ペーパの送り込み信号が出されると、上部
送り出しローラおよび下部送り出しローラの回転によっ
てペーパは前方に搬送される。

このように、ペーパは送りローラと重送防止ローラおよ
び上部送り出しローラと下部送り出しローラの両方によ
って同時に送られることがないため、ペーパとローラ相
互間におけるスリップの発生がなく、ペーパを傷付ける
ことなく搬送することができる。また、重送防止ローラ
によって返送されたペーパが搬送されていくペーパに連
続して搬送されることもない。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を第１図乃至第７図に基づいて
説明する。

第１図に示すように、積層ペーパＰが載置されるペーパ
載置台１は、図示省略した昇降装置によって上下動され
る。

ペーパ載置台１の前方には一対のサイドプレート２、２
が設けられ、そのサイドプレート２、２間に２本のロー
ラシャフト３、４が上下に配置されている。

上部ローラシャフト３には、ローラフレーム５の両側に
設けた一対の側板６、６の中途が回動可能に支持され、
その一対の側板６、６の一端部で両端部が支持された給
紙ローラ７は、前記ペーパ載置台１の上方に配置されて
いる。上部ローラシャフト３には一対の側板６、６間に
送りローラ８が取付けられ、また、一対の側板６、６の
他端部で上部送り出しローラ９の両端部が回転可能に支
持されている。

上記送りローラ８は、上部ローラシャフト３を図示省略
したモータによって回動させることにより回転され、そ
の回転は、ベルト伝動機構10を介して給紙ローラ７に伝
達される。このため、給紙ローラ７と送りローラ８は同
方向に回転する。

一方、下部ローラシャフト４には、２枚のローラ支持板
11、11が回動可能に支持され、そのローラ支持板11、11
の一端部でシャフト12の両端部が回動可能に支持されて
いる。シャフト12には、第３図に示すように、一対のロ
ーラ押えリング13とギヤ14とが非回転に取付けられ、一
対のローラ押えリング13間において上記シャフト12の外
周にスリップリング15と重送防止ローラ16とが回転可能
に嵌合されている。この重送防止ローラ16は、前記送り
ローラ８の下方に配置されている。

また、下部ローラシャフト４の外周には、一対のローラ
支持板11間において下部送り出しローラ17とギヤ18とが
下部ローラシャフト４に対して非回転に取付けられてい
る。

下部ローラシャフト４は、第１図に示すように、ベルト
伝動機構19を介して駆動軸20の回転が伝達され、同図の
矢印方向に回転される。その下部ローラシャフト４の回
転によって下部送り出しローラ17が回転すると共に、ロ
ーラ17と共に回転するギヤ18の回転は、２個のアイドル
ギヤ21を介して前記シャフト12のギヤ14に伝達される。
このため、重送防止ローラ16は、ローラ押えリング13と
スリップリング15間、およびスリップリング15と重送防
止ローラ16間に作用する摩擦力によって下部送り出しロ
ーラ17の逆方向に回転する。

前記ローラフレーム５の上方には、第２図に示すよう
に、上部ローラシャフト３に平行に上部回転軸22が設け
られ、その上部回転軸22に一端が固定された圧着プレー
ト23の他端は、ローラフレーム５上面の上部送り出しロ
ーラ９側と対向している。

上部回転軸22の端部にはレバー24が取付けられ、そのレ
バー24と前記ローラ支持板11の下方に配置した下部回転
軸25の端部のレバー26とはリンク27で連結されている。

上記下部回転軸25の中央部には、第１アーム28の下端部
が支持されている。この第１アーム28の上端部にはスプ
リング29を介してソレノイド30のプランジャ31が接続さ
れている。さらに、第１アーム28に第２アーム32の下部
が連結され、この第２アーム32の上端部に取付けたピン
33で前記ローラ支持板11の端部が支持されている。

ソレノイド30は、前記高さ検出センサPH₁が積層ペーパ
Ｐの上面を検出したとき励磁して第１アーム28の上端部
を引き、第２アーム32をピン33がローラ支持板11を持ち
上げる方向に偏向させる。このため、ローラ支持板11
は、下部ローラシャフト４を中心に回動し、重送防止ロ
ーラ16が送りローラ８に接触する。また、第１アーム28
の上端部がソレノイド30に引かれると同時に、第１アー
ム28が取付けられている下部回転軸25が、第２図矢印方
向に回転する。この動作が下部回転軸25の端部のレバー
26、リンク27、上部回転軸22端部のレバー24を介して伝
達され、上記回転軸22が、第２図矢印方向に回転し、圧
着プレート23の他端がローラフレーム５の上面から離反
する。

このとき、ローラフレーム５は、給紙ローラ７側の端部
が上部送り出しローラ９側の端部より重いため、ローラ
フレーム５は、上部ローラシャフト３を中心に回転し、
給紙ローラ７が下降する。

次いで、ソレノイド30は、上部送り出しローラ９と下部
送り出しローラ17の搬出側に設けた位置検出センサPH₂
（第６図参照）が、ペーパＰの先端を検出したとき励磁
が解除される。その励磁解除によって、ローラ支持板11
を支持するピン33は上記とは逆にローラ支持板11から離
れる方向に移動し、重送防止ローラ16が送りローラ８か
ら離反するとともに、圧着プレート23の他端がローラフ
レーム５上面の上部送り出しローラ９側を押し下げて、
ローラフレーム５は上部ローラシャフト３を中心に回転
し、給紙ローラ７が上昇する。

実施例で示す給紙装置は上記の構造から成り、次にその
作用を第４図乃至第７図に基づいて説明する。

第４図に示すように、ペーパ載置台１が上昇し、高さ検
出センサPH₁が積層ペーパＰの上面を検出すると、第２
図に示すソレノイド30の作動によって、ローラフレーム
５が上部ローラシャフト３を中心に回動し、給紙ローラ
７が下降して積層ペーパＰの上面に当接すると共に、上
部送り出しローラ９が上昇する。また、重送防止ローラ
16が上昇して送りローラ８に接触する（第５図参照）。

このため、積層ペーパＰの上部のペーパは、給紙ローラ
７との接触回転によって前方に搬送され、送りローラ８
と重送防止ローラ16によってさらに前方に搬送される。
その搬送されるペーパＰが２枚重なった状態で送られる
と、第５図の矢印方向に回転する重送防止ローラ16によ
って互いに重なり合う下側のペーパＰはペーパ載置台１
側に返送される。

搬送ペーパＰが一枚であると、この一枚のペーパＰを介
して送りローラ８に接触することにより、重送防止ロー
ラ16は、スリップリング15とローラ押えリング13との間
およびスリップリング15と重送防止ローラ16との間にお
いてスリップが生じ、ペーパ送り込み方向に回転する。

上記ペーパＰが、第６図に示すように、位置検出センサ
PH₂の位置まで移動し、そのセンサPH₂がペーパＰの先端
を検出すると、各ローラ７、８、16、17は停止すると共
に、ソレノイド30が作動し、ローラフレーム５が圧着プ
レート23で押されて上部ローラシャフト３を中心に回転
し、第７図に示すように、給紙ローラ７が積層ペーパＰ
の上面から離反し、上部送り出しローラ９が下降してペ
ーパＰを下部送り出しローラ17とで挾持する。一方、重
送防止ローラ16が下降してペーパＰから離反する。

上記のような状態において、給紙指令が出されると、各
ローラ７、８、９、16、17が回転し、上部送り出しロー
ラ９と下部送り出しローラ17の回転によってペーパＰは
前方に搬送される。

〔効果〕

以上のように、この考案においては、送りローラと重送
防止ローラがペーパを搬送する状態では、上部送り出し
ローラがペーパから離れ、逆に上部送り出しローラと下
部送り出しローラがペーパを送る状態では重送防止ロー
ラがペーパから離反しているため、重送防止ローラによ
って返送されたペーパが搬送されていくペーパに連続し
て搬送されることがない。またペーパとローラ間におけ
るスリップの発生がなく、ペーパを傷付けることなく搬
送することができ、感材を備えるペーパの搬送用にきわ
めて好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る給紙装置の一実施例を示す側
面図、第２図は同上の斜視図、第３図は同上の重送防止
ローラの正面図、第４図乃至第７図は同上の作動状態を
段階的に示す概略図、第８図は従来の給紙装置を示す概
略図である。 １……ペーパ載置台、７……給紙ローラ、８……送りロ
ーラ、９……上部送り出しローラ、16……重送防止ロー
ラ、17……下部送り出しローラ、PH₁……高さ検出セン
サ、PH₂……位置検出センサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降可能なペーパ載置台の上方に給紙ロー
   ラを設け、この給紙ローラとの接触回転によってペーパ
   載置台上から送り出されるペーパの移送路に、送りロー
   ラおよび上部送り出しローラをペーパ移送方向に順に設
   け、前記給紙ローラと上部送り出しローラの軸心間の間
   隔をペーパ載置台から送り出されるペーパの移送方向の
   長さより短い間隔とし、前記送りローラの下方には重送
   防止ローラを配置すると共に、上部送り出しローラの下
   方に下部送り出しローラを対向させた給紙装置におい
   て、前記給紙ローラ、上部送り出しローラ及び重送防止
   ローラを上下動可能に支持し、前記ペーパ載置台の昇降
   路にはペーパ載置台上の積層ペーパの上面が所定の高さ
   に搬送されたかどうかを検出する高さ検出センサを設
   け、上部送り出しローラと下部送り出しローラの搬出側
   には、両ローラ間を通過したペーパの先端位置を検出す
   る位置検出センサを配置し、上記高さ検出センサが積層
   ペーパの上面を検出したとき、給紙ローラをペーパ載置
   台上の積層ペーパの上面先端部と接触する位置まで下降
   させると共に、重送防止ローラおよび上部送り出しロー
   ラを上昇させ、位置検出センサがペーパの先端位置を検
   出したとき、給紙ローラを上昇させると共に、重送防止
   ローラおよび上部送り出しローラを下降させるローラ昇
   降機構を設けたことを特徴とする給紙装置。