JPH0744121B2 - 永久磁石の製造方法、製造装置及び磁界中配向成形用ゴムモールド - Google Patents

永久磁石の製造方法、製造装置及び磁界中配向成形用ゴムモールド

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JPH0744121B2
JPH0744121B2 JP3040861A JP4086191A JPH0744121B2 JP H0744121 B2 JPH0744121 B2 JP H0744121B2 JP 3040861 A JP3040861 A JP 3040861A JP 4086191 A JP4086191 A JP 4086191A JP H0744121 B2 JPH0744121 B2 JP H0744121B2
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    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/02Dies; Inserts therefor; Mounting thereof; Moulds
    • B30B15/022Moulds for compacting material in powder, granular of pasta form
    • B30B15/024Moulds for compacting material in powder, granular of pasta form using elastic mould parts
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B11/00Presses specially adapted for forming shaped articles from material in particulate or plastic state, e.g. briquetting presses, tabletting presses
    • B30B11/008Applying a magnetic field to the material

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は永久磁石の製造方法に関
するものであり、さらに詳しく述べるならば、永久磁石
粉末を磁界中で圧縮し配向することにより磁気特性を高
め、モータ、発電機などの電気機器に広く使用される永
久磁石を製造する方法に関するものである。さらに、本
発明は永久磁石の製造装置およびゴムモールドに関する
ものである。
【0002】永久磁石としては、c軸方向に強い磁気異
方性を有するBaO・6Fe2O3,SrO・6Fe2O3 などのマグネトプ
ランバイト型六方晶、CaCu5 型六方晶のc軸方向に強い
磁気異方性を有するSmCo5 合金、Th2Zn17 型菱面体結晶
またはTh2 Ni17型六方晶のc軸方向に強い磁気異方性を
有するSm2Co17 合金、およびNd2Fe14B型正方晶のc軸方
向に強い磁気異方性を有するNd2Fe14B合金、Mn−Al
(正方晶)、Mn−Bi(六方晶)など多数の材料があ
り、性能向上のために異方性化が通常行われている。
【0003】
【従来の技術】永久磁石粉末に最も普通に実施される異
方性化の方法は、金属製ダイ中に充填した粉末に、粉末
の粒子が回転できる状態で(パンチにより圧力が粉末に
かかっていることもある)一定時間磁界をかけることに
よって配向させ、磁化容易方向を磁界の方向にそろえる
方法である。この配向状態のままパンチによりダイ中で
粉末をプレスして粉末を動かないように固定した圧粉体
が得られる。これを樹脂で固め、あるいは磁石粉末と樹
脂をダイプレスして固める樹脂ボンド磁石、または圧粉
体を焼結する焼結磁石が製品化されている。
【0004】焼結磁石の製造法としては、薄いゴムモー
ルドに粉末を詰め磁界中配向した後液体媒体中にゴムモ
ールドを沈めて静水圧プレスを行い焼結を行う方法も知
られている(「新時代の磁性材料」未踏加工技術協会
編、1983年、2版、第44頁)。しかし静水圧プレ
ス(CIP)は能率が悪いためにこの方法は工業的にほ
とんど実施されていない。
【0005】工業的によく使用される磁界中プレスには
図48に示すような垂直ダイプレスと図49に示すよう
な平行ダイプレスがある。図中、1aは上パンチ、1b
は下パンチ、2はダイ、3はプレスプランジャ、4は電
磁コイル、5は磁石粉末、6は磁極である。
【0006】平行ダイプレスは扁平な磁石の主面に垂直
な方向に異方性を有する異方性磁石の製造に使用され、
垂直ダイプレスはブロック状等の磁化の方向の長さが十
分に大きい比較的単純な形状の異方性磁石の製造に使用
されている。最近の磁石の応用では、扁平形状を有し、
主面に垂直方向に磁化される磁石の需要がほとんどであ
る。そのため平行ダイプレスによる生産量は垂直ダイプ
レスによる生産量よりはるかに多い。特にフェライト磁
石はほとんどが平行ダイプレスにより生産されており、
垂直ダイプレスによる工業的生産は皆無に近いといえ
る。
【0007】垂直ダイプレスと平行ダイプレスにより得
られた代表的磁石の代表的特性を表1に示す。
【0008】
【表1】 代表的磁石の平行プレスと垂直プレスの特性
【0009】表1より磁界中配向法の相違により特性の
相違が見られる。すなわち、平行ダイプレスにより圧粉
された焼結磁石の磁気特性、特にBrおよび(BH)max は垂
直ダイプレスのものよりも低くなっている。同じ磁性粉
末を使用する限り、平行ダイプレスと垂直ダイプレスと
の製法の相違による磁気特性の相違は再現性が良いの
で、磁石のメーカーはこれらのプレス方法ごとに規定し
た特性を仕様書やカタログに掲載している。
【0010】特公昭55−26601号公報によると、
金型中にあらかじめ成形したゴム容器を入れ、このゴム
容器中に希土類コバルト合金粉末を入れてから、平行ダ
イプレスする方法が提案され、ゴム容器を圧力媒体とし
て使用する方法によると平行ダイプレスでも、垂直ダイ
プレスと同様にまで磁気特性が向上することが謳われて
いる。また、同公報ではこの方法はフェライト磁石の磁
気特性はむしろ悪くなるとの説明がある。
【0011】表1で「フェライト湿式」とあるのは湿式
プレスにより磁界中配向した粉末を焼結した磁石を意味
する。フェライト磁石では、30〜40%の水を含むス
ラリー状の粉末を磁界中で成形する湿式成形技術がよく
使われている。その理由はスラリー中では磁性体粉末が
回転しやすいので、磁界中で配向したとき、乾粉を使用
するより高い配向率が得られるからである。湿式成形に
よるフェライト磁石の利点は乾式成形のものよりBrが
高く、(BH)max も大きいところにある。湿式成形の
もう一つの利点は、粉末の各プレス機のダイ中への充填
が自動化しやすい点である。このような理由からフェラ
イト磁石では、湿式成形が乾式成形より多く行われてい
る。
【0012】ここで、フェライト磁石の湿式磁界中ダイ
プレス成形の具体的方法に言及すると、スラリーはダイ
側面の孔からダイ中に注入され、上パンチ吸引口に取り
付けた紙や布の一重又は多重のフィルターを使用して、
下パンチによる圧縮と上パンチからの真空吸引により、
水分が吸引され成形される。紙などのフィルターは目詰
まりのため1回又は数回のプレスごとに交換される。
【0013】希土類磁石粉末は、フェライト磁石粉末と
は異なって水により酸化されやすいので、スラリー化の
ために水よりも有機溶媒が使用される。しかし有機溶媒
は燃えやすく取扱が難しいので、希土類磁石では主とし
て乾式成形が使用される。特公昭60−24758号公
報は、ゴム等の弾性体のほぼ中心に穴をあけ、ここに磁
性粉末を挿入・充填し、該弾性体の周りに設けられた多
軸パンチにより等方性加圧を行い、加圧と同時に磁界を
作用させる異方性磁性体の製造方法を提案している。し
かしながらこの方法を実施するには六軸パンチが使用さ
れており、通常の上下パンチを有するダイプレス機より
も設備コストが著しく高くなり、異方性磁性体の価格も
高くなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前掲特公昭55−26
601号公報の方法は、ゴムを圧力媒体として使用する
磁界中配向成形により、平行ダイプレスでも垂直ダイプ
レスと同等の磁気特性をもつ希土類ーコバルト永久磁石
の製造を可能にする。この方法では永久磁石粉末は、予
めダイプレス機の金型中にセットされたゴムモールドに
入れられるから、ゴムモールドに自然充填される。その
場合の密度は約18%(希土類−コバルト合金の密度を
100%とする)以下となる。このような粉末を、密度
が通常50%程度である圧粉体に圧縮すると、ダイプレ
ス機内で圧粉体が割れてしまうか、あるいはゴムモール
ドが圧縮中に不均一変形し、その形状の設計変更によっ
ては修正できない程度に圧粉体が変形してしまうことが
分かった。ここで、磁石粉末の磁界中配向は、粉末の充
填密度に非常に敏感であり、自然充填よりも密度が高く
なると、磁界中配向が困難になることが知られている。
したがって従来はシェーカーなどを用いて18%以下の
低密度に永久磁石粉末が充填されていた。
【0015】本発明者は、ネオジウム磁石およびフェラ
イト磁石についてもゴム容器を使用する上記公報に示さ
れた方法を応用して、試作を行った。すなわち、ゴムを
ダイプレス機のパンチにより圧縮して、ゴムの弾性変形
による加圧力及びパンチによる加圧力を利用して、ゴム
内に充填した永久磁石粉末を磁界中で圧縮成形したとこ
ろ、自然充填後に圧粉を行うと同様に必ず割れ又は圧粉
体の変形が生じることを見出した。
【0016】前掲表1を引用して説明したように、現在
のところ工業生産された磁石では、平行ダイプレスは垂
直ダイプレスより磁気特性が劣るとの認識が一般的であ
り、前掲特公昭55−26601号が教示する垂直ダイ
プレスなみの磁気特性を有する平行ダイプレス製品は市
場には提供されていない。この原因は同公報に記載され
た方法では割れ又は変形が生じて、製品が得られないこ
とに関係すると考えられる。
【0017】したがって、本発明は、磁界中配向成形工
程においてゴムの弾性を利用して永久磁石圧粉体の配向
度を高めることにより優れた磁気特性を得るとともに、
割れや、ひび、かけなどが発生させないで永久磁石圧粉
体を得ることができる方法を提供することを第一の目的
とする。
【0018】さらに、従来の磁界中配向ダイプレス法で
は、磁界を永久磁石粉末に印加するタイミングと、該粉
末を圧縮するタイミングを調節する必要があるため、単
なる成形用ダイプレスよりも制御が複雑になっていた。
したがって、本発明はダイプレス法の制御を単なるダイ
プレス法と同様に単純にしつつ異方性を有する永久磁石
を得るとともに、望ましくは従来の磁界中配向成形法に
よるよりも配向性にすぐれた永久磁石を得ることができ
る永久磁石の製造方法を提供することを第二の目的とす
る。
【0019】さらにまた、前掲特公昭55−26601
号の方法は、ゴム容器はCIPの圧力媒体に換わるもの
として説明されているために、磁性粉末を完全に取り囲
んでいる。したがって、このようなゴム容器は湿式ダイ
プレスに応用することができない。よって、本発明は、
湿式法による磁界中配向成形工程においてゴムの弾性を
利用して永久磁石圧粉体の配向度を高めることにより優
れた磁気特性を有する永久磁石を得るとともに、割れ
や、ひび、かけなどが発生させないで永久磁石圧粉体を
得ることができる方法を提供することを第三の目的とす
る。
【0020】さらに、前掲特公昭55−26601号の
方法は、ゴム容器をあらかじダイプレス機内に入れ、そ
のゴム容器内に磁石粉末を入れるから、磁石粉末を入れ
るときにダイプレス機のパンチ、パンチの昇降を案内す
る柱などが粉末装入するフィーダーの邪魔になるために
能率が悪い。また、給粉、成形、圧粉体の取り出しの一
サイクルが終わるまで、次のサイクルを実施することが
できない。よって上記の方法は多数の磁石を連続生産す
るには適していない。したがって、本発明は、磁界中配
向成形工程においてゴムの弾性を利用して永久磁石圧粉
体の配向度を高めることにより優れた磁気特性を有する
永久磁石を連続生産するのに適する方法ならびに装置を
提供することを第四の目的とする。
【0021】加えて、本発明者はゴムの弾性変形を利用
した磁界中配向成形を実施したところ、ゴムモールドの
構造によりに圧粉体の変形程度及び割れ発生の有無がか
なり影響されることを見出した。したがって、本発明は
上記方法を実施するに適するゴムモールドを提供するこ
とを第五の目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明に係るダ
イプレス機により永久磁石粉末の磁界中配向成形を行う
工程を含む永久磁石の製造方法においては、永久磁石粉
末をダイプレス機外でゴムモールド内に加振及び/又は
プッシャーによる押圧によって高密度に充填するか、あ
るいは永久磁石粉末の予備成形体をダイプレス機外でゴ
ムモールドに装填し、その後永久磁石粉末が充填もしく
は装填されたゴムモールドをダイプレス機内に配置し、
ダイプレス機のパンチにより前記ゴムモールドおよび永
久磁石粉末を圧縮して永久磁石粉末の配向圧粉体を得、
第一の目的を達成する。ここで言う「ダイプレス機外
で」とは、ゴムモールドがダイプレスのパンチの軸方向
位置からずれた位置にある状態を指し、必ずしも完全に
パンチ、ダイ、ダイホルダー、ラムなどから構成される
ダイプレス装置の外に出ていなくともよい。また、ここ
で言うゴムモールドは少なくとも側面がゴムからなるモ
ールドである。又、本発明におけるゴムモールドは、モ
ールドと一体になった底部を有するか、あるいは下パン
チもしくは片閉じダイの底部が底部の役割を担うモール
ドである。さらに本発明のゴムモールドは取り外し可能
でありかつ金属、ゴムなどの材料からなる上蓋を有する
ことがあるが、その場合ゴムモールドには上蓋も一部と
して含まれる。
【0023】従来法による永久磁石粉末を自然充填する
方法をゴムモールドに適用すると、充填密度は希土類−
鉄−ほう素系磁石及び希土類−コバルト磁石では18%
以下、フェライト磁石では16%以下である。これらの
磁石の粉末は磁気特性を充分引き出すために、一般の金
属材料に比べると非常に粒径の細かい粉末であるため
に、流動性が極めて悪い。一般材料では流動性を改善す
るために相当量の潤滑剤を添加することができるが、磁
石材料では炭素等の残留が磁気特性に悪影響を及ぼすた
め、潤滑剤が添加されるとしてもその量は極めて僅かで
あり、粉末の流動性を改善できない。従って一般材料で
は粒径を粗くしたり、潤滑剤を添加することにより流動
性を改善して、自然充填でもある程度までの高密度化が
可能であるが、磁石材料では上述の理由により止むなく
流動性の悪い粉末を使うことになるため、普通充填によ
り上述の値の充填率となる。
【0024】ゴムモールドを使用するダイプレス法にお
いて、かかる自然充填密度に粉末を充填した場合割れが
が発生する原因について図50を参照して説明する。磁
石は扁平形状を有する磁石の例について説明する。この
場合希土類コバルト磁石では充填密度は11〜13%程
度になる場合が多く、粉末の圧縮成形による寸法収縮率
は30〜40%もの多きに達する。するとゴムモールド
の部材10s,10k,10u相互間及びゴムモールド
10と金型間に働く摩擦力等のためにゴムモールド10
は図50の(c)に示すように大きく変形する。この変
形のうちゴムモールドの蓋部10uおよび底部10kに
生じる不均一変形dyはパンチによる加圧方向と平行方
向の亀裂5dの発生を助長し、ゴムモールドの側方部に
生ずる不均一変形dxはパンチによる加圧方向と垂直方
向の亀裂5eの発生を助長する。また上記の不均一変形
dxは成形体のエッジ部に激しい「象の足」変形を発生
させる。
【0025】磁界中配向成形を行った磁石の圧粉成形体
では、磁界中配向成形後の脱磁が不充分であると、成形
体に磁化が残留し、これによる静磁エネルギによって圧
粉成形体内部に応力が発生する。そのために、圧粉成形
体に例え僅かな亀裂が発生しても、この応力によって亀
裂が急速に拡大し圧粉成形体が破片に割れてしまうこと
がある。このような割れはゴムモールドを使用する永久
磁石粉末のダイプレスでは非常に起こりやすくなる。特
に「象の足」変形を生じた圧粉体のエッジ部では特にこ
のような残留磁化による亀裂が発生しやすい。
【0026】本発明においては、こうしたゴムモールド
の不均一変形と残留磁化に基づく割れや変形などを防止
するために、自然充填よりも高密度に充填する必要があ
る。高密度充填された永久磁石粉末は磁界中配向成形工
程での圧縮量が通常の方法よりも少なくなるためゴムモ
ールドの不均一変形が少なくなり、圧粉成形体の割れ及
び形状不良が防止される。又、配向に関しては後述する
圧縮成形前の磁界印加及びパンチの移動方向と直交方向
のゴムの変形により、改善が見られる。したがって高密
度充填であるにもかかわらず、従来の磁界中ダイプレス
以上の配向性が得られる。
【0027】高密度充填のためにはゴムモールドに自然
充填された永久磁石粉末に振動を加えることにより、あ
るいはゴムモールドを振動させながら永久磁石粉末をゴ
ムモールドに給粉することにより密度を高める。あるい
はゴムモールドに自然充填された永久磁石粉末をプッシ
ャーで押しあるいは突き固めることにより充填密度を高
める。又は、加振後プッシャーによる押圧を行い充填密
度を高めることもできる。
【0028】本発明において充填の「高密度」とは磁石
の材質の種類にかかわらず自然充填密度の1.2倍より
大の値である。自然充填密度は主として磁石粉末の粒径
により定まるが、粒径3〜4μmの希土類磁石では14
%であり、粒径が約0.7μmのフェライト磁石では1
2%である。充填密度は、好ましくは、希土類−鉄−ほ
う素系磁石及び希土類−コバルト磁石では25%以上で
あり、フェライト磁石では20%以上である。より好ま
しい充填密度は29%以上である。ただし、充填密度が
50%を超えると通常の磁界強度では配向できなくなる
ので、充填密度は50%以下が好ましい。
【0029】上記高密度充填法以外に永久磁石粉末の予
備成形を行い上記した「高密度」を有する予備成形体を
作ることも可能である。この方法は、ダイプレス機など
の加圧機を使用し、永久磁石粉末を圧粉することにより
密度を高めるが、通常の圧粉体よりは低い密度の状態で
の加圧を行う方法である。予備成形体の密度は希土類磁
石では25〜50%、フェライト磁石では20〜50%
であることが好ましい。
【0030】続いて、図1を参照して加振方法を具体的
に説明する。粉末受け皿90からあらかじめ重量を測定
した永久磁石粉末5(以下「粉末5」という)をガイド
枠100を上部に固定したゴムモールド10に自然充填
する(図1の(a)参照)。粉末5はゴムモールド10
の上面よりさらに上方まで堆積する。続いてゴムモール
ド10を加振機41の上に載せ、振動を加える(図1の
(b)参照)。加振機41としては電磁式もしくはクラ
ンク式加振機などにより水平方向又は上下方向の振動を
発生するものを使用することができる。振動の周波数は
特に限定されないが、例えば1〜60Hzである。加振
は給粉時より行ってもよく、また給粉終了時以降に行っ
てもよい。
【0031】その後、粉末5がゴムモールド10よりさ
らに上方に盛り上がっている時は、プッシャー121に
より粉末5の上面をゴムモールド10の上面まで押し下
げる(図1の(c)参照)。続いて、プッシャー121
及びガイド枠100をゴムモールド10から引上げる
(図1の(d)参照)。
【0032】さらに、予備成形体の製造方法の具体例を
図2を参照して説明する。予備成形体を作る加圧機は、
ダイ125、可動式底板からなるダイ底部126、パン
チ128より構成される。粉末受け皿90からあらかじ
め重量を測定した粉末5をダイ空間に自然充填し(図2
の(a)参照)、15kg/cm2 〜100kg/cm
2 程度の圧力で圧縮する(図2の(b)参照)。その後
加圧機の下方にゴムモールド10を搬送し、ダイ底部1
26を引き抜き、パンチ128を更に押し下げて、ゴム
モールド10内に予備成形体129を落下させる(図2
の(c)および(d)参照)。予備成形体129の寸法
はゴムモールド10の内法寸法より小さくすることが、
パルスの撃力を予備成形体129に効率的に加えるため
に好ましい。
【0033】図1及び2に示されたような粉末の高密度
化およびゴムモールドへの充填を磁界中配向成形を行う
プレス機外で行うことによりプレスのアイドルタイムを
少なくして、生産性を高めることができる。図1、2と
は異なり、ゴムモールド10をダイと一体にして、ダイ
プレス機外にて粉末の充填あるいは予備成形体の装填を
行い、その後ダイをダイプレス機にセットしてもよい。
【0034】ゴムモールドは、一体もしくは分割型の連
続体である必要がある。ゴムモールドの間に摩擦力が生
じ変形が不均一になる場合もあり、これが好ましくない
場合もあるが、ゴムモールドをダイ中にセットすること
を容易にするために、その側方部を数個の部分(10
a、10b)に分割し、ダイ中で接触し連続体となるよ
うなゴム型を使用してもよい(図3参照)。能率上は好
ましくはないが磁石粉末と直接接触しない部分では一部
に粒状、液状、ゲル状、粉末状ゴム10cを使用しても
よい(図4参照)。ゴムモールドを配置するダイ空間内
の位置は製造する製品の形状に依存して粉末にできるだ
け均一な圧縮力が働くように工夫する。例えば、図5に
示すようにゴムモールド10の内部に設けた空洞部10
eに、水、油、液状ゴムなどを入れ、ゴムモールド10
内部の応力を均一化してもよい。
【0035】また、最も一般的な円盤状異方性磁石の場
合は、ダイの内周壁に接するようにゴムモールドを配置
すると、パンチ1の圧縮力により放射方向内向きの強い
圧縮力が発生する。この場合ゴムがダイに対して滑り、
十分に圧縮変形するように両者の間に潤滑剤、減摩剤な
どを配置することが好ましい。
【0036】図1に示すようなゴムモールドでは図6に
示すように圧粉体5′の上下エッジに「象の足」5aが
発生するときは、図7に示すようにゴムモールド10b
の上下端にテーパ10fをつけてもよい。図中、10k
はゴムモールドの底である。
【0037】なお、ゴムモールド内面にはBN(ボロン
ナイトライド)等の潤滑剤を塗り、磁性粉末とゴムモー
ルドとの付着力を減少させ付着から起こる割れを防止す
ることができる。さらにゴムモールドの内壁を薄いゴム
で覆ったゴムモールドを使用すると、圧縮力開放の時圧
粉体にかかる応力を弱め、割れを防止することができ
る。
【0038】磁界中配向成形は通常の方法のように、8
〜12kOeの静磁界強度の磁界を粉末に加え、その後
消磁することにより行われる。
【0039】続いて、好ましい圧縮条件を説明する。パ
ンチの移動方向と直交する面の粉末の圧縮比A1 はパン
チの移動方向の圧縮減面率はパンチの移動方向の圧縮比
0 (=パンチの移動方向の寸法減少量/変形前の寸
法)に対して以下の範囲にあることが好ましい。
【0040】(a)平行ダイプレス 0<A1 ≦6S0 より好ましくは 0.4S0 ≦A1 ≦4S0 である。 さらに好ましくはS0 ≦A1 ≦3.6S0 である。圧縮
比とは圧縮前磁性粉体の平均寸法に対する圧縮後の磁性
圧粉体の平均寸法変化量の比率である。圧縮減面率とは
圧縮前磁性粉体の断面積に対する圧粉体の断面積減少量
の比率である、A1 <0.4S0 であると顕著な磁気特
性向上効果は得られない。しかしこの範囲であっても異
形品や超薄物品の成形ができるという利点はある。0.
4S0 ≦A1 より好ましくはS0 ≦A1 であれば顕著な
磁気特性向上効果が得られる。一方、A1 があまり大き
すぎると過大なプレス圧力を必要とし、実際的ではな
い。A1 ≦6S0 、好ましくはA1 ≦4S0 、より好ま
しくは、A1 ≦3.6S0が望ましい。また、パンチの
移動方向と垂直な方向のゴムの厚さが0でない有限の値
をとれば、原理的にA1 は必ず0よりは大きくできる
が、ゴム厚の絶対値が小さくなりすぎるとプレス時にゴ
ムモールドが挫屈して成形ができなくなる。ゴムの弾性
率を考慮して、挫屈を起こさずかつA1 が好ましい値の
範囲に入るよう適切なゴム厚を選択する必要がある。
【0041】(b)垂直ダイプレス 0<A1 ≦4S0 、好ましくは、0<A1 ≦3S0 より
好ましくは、0<A1 ≦2.4S0 垂直ダイプレスにおいては、ゴムモールドと成形体の間
に間隙が生じるために、ゴムモールドから成形体を取り
出す時の摩擦が少なくなり異形品や超薄物などこれまで
ダイプレスでは困難であった形状の成形体を製造でき
る。また平行プレスの場合と同様、ゴムモールドの挫屈
を起こさずにA1 を好ましい範囲に入れるためにゴム厚
を選択する必要がある。A1 が大きすぎると過大なプレ
ス圧力が必要なことは平行ダイプレスの場合と同じであ
る。但し、直角プレスではA1 が大きいと磁気特性の向
上が顕著でなくなるので、A1 の上限値は上記のように
平行プレスの場合より低く限定される。
【0042】パンチの圧力は50kg/cm2〜5000kg/cm2の範
囲が一般に好ましい。より好ましいパンチの圧力は100k
g/cm2 〜1000kg/cm2の範囲である。この値は従来のダイ
プレスの値と一部重複しているが低くなっている。これ
はゴムの使用によりモールド全周から粉末に圧力が加え
られるために、高密度化が容易に進行するためである。
永久磁石の形状、寸法は特に制限がなく、腕時計用ロー
タ磁石、電子シリンダー錠等の超小型磁石や、OA機器
のステッピングモータ、ビデオカメラ用直流モータ、ロ
ボット用アクチュエータなどの超薄型磁石などの小型磁
石から、MRI(magnetic resonance image) などの大型磁
石を本発明により製造することができる。
【0043】さらに図8〜10に示すように弓形圧粉体
を作ることもできる。図8はゴム型の全体図、図9はゴ
ム型の断面図、図10は弓形の圧粉体をそれぞれ示す。
上下パンチ(図示せず)はゴムモールド10の上下面と
同じ形状の凹面および凸面をそれぞれ有する。さらにま
た、角柱状圧粉体を作る外形が円筒形のゴムモールド1
0(図11)、カマボコ型(すなわち上下面のいずれか
が湾曲した直方体)圧粉体をつくるゴムモールド(図1
2)、角錐台形を作るゴムモールド(図13)、溝付き
平板型ゴムモールド(図14)を示す。
【0044】ゴムモールドの設計は、複雑な形状の圧粉
体の場合、より単純な類似形状のゴムモールドで得られ
たゴムモールドの寸法と圧粉体のデータを基に、該複雑
な形状の圧粉体を成形するコンピューターシュミレーシ
ョンにより設計される。また単純な型状で、しかもゴム
モールドの外形状と圧粉体の外形状が同一の場合は以下
に示すような簡単な設計方法で大まかな寸法を予想でき
る。
【0045】ゴムモールドの簡易設計においては、プレ
ス前後でゴムの体積は不変であり(前提1)、またプレ
ス前の磁性粉末のかさ密度対圧粉成形体のかさ密度が一
定比率である(前提2)ことを前提としてゴムモールド
の大体の寸法を設計することができる。図15に示すよ
うなリング状ゴムモールド側方部10sを使用し、円盤
状成形体11を圧粉する場合、前提1より、 yπ{(x0/2)2−(xi/2)2}=YGπ {(x0/2)2 − (lG/2)2} となる。
【0046】前提2は未造粒の乾式フェライト粉末の場
合およそ1.9:1となるので、 yπ(xi/2)2 :YGπ (l G/2)2 =1.9:1 である。これら二つの式より作成したい圧粉成形体のゴ
ムモールド側方部10sの大体の寸法を設計することが
できる。設計後数回圧粉体の試作を行い、圧粉体のゴム
モールドからの取り出し易さ、圧粉体の寸法精度、ゴム
モールドの変形、ゴムモールドの固さなどを考慮してゴ
ムモールド側方部の寸法を調整する。
【0047】本発明に使用するダイプレス機は、油圧プ
レスでも機械プレスでもよく小型の手動式ダイプレス機
から大型の自動ダイプレス機まであらゆるダイプレスを
使用することができるが、上下シリンダーが同時に動き
同時に加圧する両押し型のダイプレス機や上下シリンダ
ーの一方のみが動くがシリンダの動きに合わせてダイが
動くダイフロート型ダイプレス機もしくはウィズドロー
アル型プレス機を使用することが好ましい。
【0048】以上説明したゴムモールドがパンチの移動
方向と直角方向に変形することにより永久磁石粉末の配
向度は高められる。配向度は一般にBr/4πIs(た
だし、Brは残留磁束密度、4πIsは飽和磁束密度)
である。
【0049】以下、原則として請求項の順に本発明の構
成及び作用を説明する。請求項2の方法は、ゴムモール
ドに充填された永久磁石粉末または装填された永久磁石
粉末の予備成形体に、磁界中配向成形工程前に、磁界を
瞬間的に印加するかあるいは磁界中ダイプレスより高い
静磁界を印加することを特徴とする。すなわち、この方
法によれば、乾式成形法においてゴムモールドの開放部
からゴムモールドに永久磁石粉末を充填し又は永久磁石
粉末の予備成形体を装填した後、ゴムモールドに蓋を
し、該粉末に磁界を印加し、その後上記本発明法により
磁界中配向成形を行う。
【0050】磁石粉末を著しく高密度にゴムモールドに
充填すると、充填密度が高くなればなるほど、特に29
%以上では粉末粒子間に働く摩擦力が大きくなり、通常
の磁界中ダイプレス法で使用されている静磁界(8〜1
2kOe)では摩擦に打ち勝って粉末を配向させるのに
十分な回転力を与えることが困難になる。この結果圧粉
体の配向度は低下する。請求項2の方法では、ゴムモー
ルドを磁界中配向成形する前に、ゴムモールド中の磁石
粉末に瞬間的磁界をあるいは磁界中配向成形工程よりも
高い磁界を印加することによって粉末に十分な回転力が
発生され、粉末の配向状態を変える。磁石粉末はその後
ダイプレス機でゴムモールド内で再び磁界を印加される
が、そのときは充填密度が例えば29%以上と著しく高
くとも、極めて良好な配向度が再現性よく得られる。配
向度を向上させるためには、予備磁界印加における回転
力は撃力として与えることが好ましい。磁界は5kOe
〜100kOe、好ましくは10kOe以上、特に15
kOe以上の高磁界を1μsec〜1secのパルスと
して少なくとも1回、好ましくは2回以上磁石粉末に印
加することが望ましい。またパルス磁界は立ち上がりの
磁界の強さ変化が急激であることが重要であり、所定強
度に到達後は磁界強さは一定でもあるいは徐々に減少し
てもよい。
【0051】また、著しく高い密度に充填された粉末を
そのまま圧縮すると粉末の変形が不均一になるが、上記
のように事前に磁界を印加することにより、粉末は解砕
され、粉末が充填時される時にゴムモールド内において
局部的に粗密がある充填状態から均一な充填状態に変化
する。粗密がある充填状態ではダイプレスにおいて変形
する時に、成形体が鋭いコーナーを有する等不均一変形
を起こしやすい形状であるときは、割れや欠けが圧粉体
に起こり、また焼結体の変形が起こって機械加工の削り
代を多く取らなければならないなどの問題が起こる。し
かし均一充填状態の粉末をゴムモールド内で変形するこ
とはこの問題の対策として有効である。
【0052】以上請求項2に関連して述べた方法は予備
成形体にも同様に当てはまる。予備成形体は磁石粉末の
加振装置よりも高価な装置を使用するので、粉末の密度
を高めることによって割れや欠けなどを出来るだけ起こ
さないようにすることが望ましいが、そうすると配向度
の低下が起こるので、この対策として予備磁界印加が有
効である。
【0053】請求項2の方法を実施する装置の具体例を
図16を参照して説明する。図の右半分に示されるのは
磁石粉末を充填しダイプレスに挿入するためのラインで
あって、4aはダイの外で磁石粉末を解砕し、配向する
パルスを発生させる電磁コイル、40はコンベヤー、4
1はコンベヤー40の裏側に摺動可能に接触している加
振機、42は磁石粉末のフィーダーである。加振機41
はゴムモールドの側方から接触させてもよい。このライ
ンでは、先ず、停止したコンベヤー40の上に載せられ
た底付きゴムモールド10iに磁石粉末5をフィーダー
42から注入し、注入と同時に加振機41により底付き
ゴムモールド10iを揺すって、磁石粉末5の充填密度
を高める。矢印方向にコンベヤー40が回転すると、底
付きゴムモールド10iがゴム蓋10hのセット場所ま
で移動し、次にコンベヤー40が停止し、油圧シリンダ
ー52のピストンロッド53が下降し蓋を底付きゴムモ
ールド10iに嵌込む。さらにコンベヤー40が回転す
ると、ゴム蓋10h付きゴムモールド10i(以下、ゴ
ムモールド10h,iという)は磁界コイル4a,4a
の中間に移動し、そしてパルス磁界が磁石粉末5に印加
される。配向された磁石粉末5を入れたゴムモールド1
0h,iはコンベヤー40およびダイ2の上部と同じレ
ベルに設けられた台44の上を、図示されないプッシュ
ロッドなどによりダイ2に向かって滑って行く。以上の
一連の操作の所要時間は例えば以下のとおりである。
【0054】(イ)フィーダー42からの注入:0.5
〜30秒 (ロ)加振:1〜30秒 (ハ)コンベヤー回転(フィーダー42から油圧シリン
ダーの位置への移動):1〜10秒 (ニ)蓋10hの嵌込み:1〜30秒 (ホ)コンベヤー回転(油圧シリンダから電磁コイルの
位置への移動):1〜10秒 (ヘ)パルス磁界印加:1〜10秒 (ト)コンベヤー回転(電磁コイルからダイ2への移
動):1〜10秒
【0055】以上の一連の操作(イ)〜(ト)は制御ユ
ニット50によりタイミング及び所要時間が制御され
る。すなわち、(イ)、(ロ)、(ニ)、(ヘ)の操作
中はコンベヤー40が回転しないように、コンベヤー4
0が停止してからこれらの操作が開始するように、制御
ユニット50は指令を発する。また、(ハ)、(ホ)、
(ト)のコンベヤー回転は同期して行うことが必要であ
る。上述の例では(ヘ)の所要時間が最短であるので、
最長の(ロ)が終了するまで(ハ)のコンベヤー移動は
開始しない。このような待機と同期運動の指令も制御ユ
ニット50が行う。
【0056】図16において、51はフィーダー42の
内部に設けられたスクリューロッド(図示せず)を回転
させるモーターである。制御ユニット50からの指令に
よりモーターはスクリューロッドを所定数回転させ、ス
クリュー間隙に巻き込まれた粉末が回転量に応じてゴム
モールド内へ定量供給される。55はパルス励磁電源で
あり、制御ユニット50により、設定された電力、所望
時間およびタイミングでパルスを発生する。
【0057】モーターが所定量回転し終わると同時にフ
ィーディング終了信号を発生させ、制御ユニット50に
送る。フィーディング終了信号が制御ユニット50に入
力されるとコンベヤー40が移動可能になる。41、5
4、55からも該当操作の終了信号が制御ユニット50
に入ると、コンベ−ヤー50は矢印の方向に所定距離移
動し、停止する。なお、コンベヤー40を複数の金属チ
ェーン又はベルトを配列して構成し、二つのチェーン間
に設けた電磁スイッチあるいは誘電率のセンサ−などが
ゴムモールド10h,iを機械的にあるいは物理的に検
出した時にコンベヤー40を停止させると、ゴムモール
ド10h,iが所定位置に正確に停止する。ダイプレス
後はゴムモールド10h,iは下パンチ1bにより押し
上げられ、図の紙面と直交方向のコンベヤによりダイプ
レスから搬出される。
【0058】請求項3の方法は請求項2の磁界印加を行
い、ダイプレスではゴムモールドを使用して高密度充填
粉末もしくは予備成形体の無磁界中成形を行うことを骨
子とする方法であり、ダイプレス機(図16参照)をコ
イル4およびその励磁電源が無いものとするか、あるい
はこれらを消磁用の低磁界用とした単純なプレス機とし
て第二の目的を達成するものである。この方法によれ
ば、ダイプレス機の構造は単純になり又ダイプレスの能
率は高められる。また、成形時に磁界を印加しないの
で、プレス時間を短縮できる。消磁も同様に省略するこ
とは可能であるが、成形体に磁化が残留するために割れ
などに影響するその形状・寸法を考慮して消磁を省略す
るか否かを定める。
【0059】請求項3において無磁界中成形とは、ダイ
プレス機に隣接するパルス磁界発生装置や電源、電動機
などによる漏洩磁界や地磁気等による不可避的磁界は磁
石粉末にかかっているが、配向のためのコイル4などの
手段を使用しない成形法を意味する。
【0060】上記の方法では、ゴムモールドを使用す
る、パンチの移動と直行方向の圧縮により、パルスによ
る解砕時の予備配向が乱れ難いので、プレス時に配向の
ための磁界を粉末に印加しなくとも、従来の平行ダイプ
レスによる磁石製品とは同等の十分な磁気特性が得られ
る。すなわち、磁界配向の方向がパンチの移動方向と同
じ場合、粉末の粒子は上下パンチにより座屈させられる
ような力を受ける。本発明ではパンチの移動と直交方向
の圧縮力はかかる座屈を妨げるように、すなわち粉末粒
子を上下パンチの方向に維持するように、働くので、従
来の平行ダイプレスよりも良好な配向性が得られる。な
お圧縮中に磁界を印加すると良好な配向性がばらつくこ
となく安定して得られる。
【0061】以下、請求項4以降のダイプレス法を説明
するが、これらの方法は特に断らない限り、磁界中ダイ
プレス法にも無磁界中ダイプレス法の何れにも適用され
る。
【0062】請求項4記載の方法では、ゴムモールド
と、上下パンチのいずれか一方の間に前記ゴムモールド
よりも硬質の弾性体からなるバックアッププレートを配
置する。バックアッププレートの使用例を図17により
説明する。ダイ2中に配置されたゴムモールド10を直
接パンチ1a,1bで加圧すると、特にゴムが軟質の場
合はゴムがダイ2とパンチ2a,2bの隙間に塑性流動
して(図17の(a)の矢印参照)、噛み込みを生じ
る。この結果、パンチ1a,1bがダイ2から抜き取り
にくくなり、またゴムモールド10が損傷する。したが
って、図17の(b)に示すように、ゴムモールド10
と、上パンチ1aと下パンチ1bの両者のにゴムモール
ド10よりも硬質のゴムからなるバックアッププレート
12を配置すると、パンチ1aおよび1bによる圧下に
よってバックアッププレート12が弾性変形して、パン
チ1a,1bとダイ2の間の隙間をシールする。また、
バックアッププレート12は上パンチ1aにのみ取り付
けてもよく、図17の(c)に示すように、上下パンチ
1a,1bのエッジに窪みを設けて、そこにリング上の
バックアッププレート12を取り付けてもよい。
【0063】バックアッププレート12は図17の
(d)のようにゴムモールドの外周部上下端にリング状
のものをはめ込んでもよい。図18は本発明の実施例に
係る装置の平面図、図19は図18の側面図、但し一部
断面図である。この装置では、ダイを円盤状回転ダイ2
aとし、穿設した複数個(図面では2個のみが示されて
いるが3個以上でもよい)の円筒形孔部により形成し、
それぞれのダイが円形経路に沿って移動するように回転
ダイ2aをモーター91により回動させ、上下パンチ1
a,1bをダイ内に上下から奘入する第一の位置P1
設け、第二の位置P2 で回転ダイに磁石粉末をゴムモー
ルドともに奘入するモールドローダー70を設け、さら
に、第三の位置P3 において回転ダイ2aから圧粉成形
体を包含するゴムモールドを取り出す取出器78,84
を設けている。回転ダイ2aはモーター91によりP
1 ,P3 ,P2 を順次循環される。
【0064】円盤ダイ2aはすべてが高価なダイス鋼で
なくパンチと接触する周囲だけ使用すればよく、他は軽
量化低コスト化の為に、その一部をプラスチック、鉄等
を使用できる。モールドローダー70は2基のシリンダ
ー71、80により駆動される。シリンダー71は先端
に吸引口を取り付けた中空ロッド79を前進後退させ
る。図19の位置では右側に示されたゴムモールド10
がダイ中に挿入されている。シリンダー80はそのピス
トン82に固着されたシリンダー71を全体として昇降
させる。上昇状態では、吸引口はコンベヤー40上でゴ
ムモールド10を吸引し、その後上昇状態のままピスト
ン79が前進し、ダイの上方まで移動する。その後シリ
ンダー71は下降し、ダイ中にゴムモールド10を挿入
する。76、81は油圧ユニットである。75は固定カ
ムであって、回転ダイ2aが回転すると、ダイ中に設け
られた昇降底2dが固定カム75の上面輪郭に沿って図
20に示すように摺動する。すなわち、まずプレス中に
はダイは固定カム75からは完全にはなれているが
((a)図参照)、次に固定カム75の裾の部分に乗り
((b)図参照)さらに山の斜面に沿って上昇し
((c,d図参照))、頂上の平坦部に達すると、圧粉
成形体を内部に配置したゴムモールド10は回転ダイ2
aの上面と同じレベルに達する((e)図参照)。この
時ゴムモールドは第三の位置P3 に達している(図19
参照)。その後再び昇降底2dは下降するので、未成形
の磁石粉末をダイに受け入れできるようになる((f)
図参照)。
【0065】第二の位置P2 近傍に末端が位置する第一
のコンベヤー40を設け、第一のコンベヤー40により
磁石粉末を充填したゴムモールドを搬送する。第一のコ
ンベヤー40の所定位置にパルス磁界発生器4aを設
け,別の位置に底付き型に蓋を押圧するモールドローダ
ー70を設け、さらに別の位置に磁石粉末末のフィーダ
ー42を設ける。
【0066】第三の位置P3 近傍に末端が位置する第二
のコ−ンベヤー140を設けている。ゴムモールド10
は回転ダイ2aの回転運動によってゴムモールド回収板
78に沿って案内され、さらに固定式の台84上を若干
滑って第二のコンベヤー140上に受け渡される。
【0067】請求項5記載の方法では、ゴムモールドに
希土類永久磁石粉末を不活性ガスの存在下で充填または
装填することにより、粉末の酸化を防止する。この実施
態様では図1及び2に示す工程を図21の(a)に示す
ように不活性ガスを充満したチャンバー95内で行う。
その後、図21の(b)に示すようにゴムモールド10
をダイプレス機にセットし、ダイプレスを行い、(c)
に示すようにダイプレス機からゴムモールド10を取り
出す。このようにすると、酸化し易い希土類粉末の酸化
を避け、磁気特性を良好に保つことができる。この方法
は、無酸素雰囲気中でジェットミル粉砕した磁石粉末に
提供すると格段の利益が得られる。この粉砕法は、酸素
量を検出限界以下にしたN2 雰囲気を使用するので得ら
れた粉末は酸素量が低く、すぐれた磁気特性を発揮する
可能性はあるが、一方で極めて活性であり空気中で直ち
に発火し、取り扱いが困難である。
【0068】請求項5の方法によると、かかる高活性粉
末を利用しそのすぐれた磁気特性を引き出すとともに、
ゴムモールドの変形による磁気特性向上の効果と相まっ
て、極めて良好な磁気特性を得ることができる。
【0069】以上の方法によって得られた圧粉体に公知
の方法で焼結を施し、必要により熱処理も施して、焼結
永久磁石を製造することができる。また、樹脂と磁石粉
末を圧粉することによって樹脂結合磁石を製造すること
ができる。
【0070】請求項8記載の方法では、ゴムモールドへ
の永久磁石粉末の高密度充填、磁界印加、ダイプレス、
及び圧粉成形体のゴムモールドからの取りだし、をゴム
モールドを搬送する周回経路で順次繰り返し行う構成と
し、請求項29の装置では、ゴムモールドを周回させる
経路に沿って、永久磁石粉末をゴムモールドに供給する
フィーダー、プッシャー、磁界発生器、ダイプレス、及
び圧粉成形体をゴムモールドから取りだす治具を順次配
列した構成とし、第四の目的を達成する。また、請求項
30の装置では、プッシャーに代えてもしくはプッシャ
ーとともに加振気を前記フィーダーの位置もしくはフィ
ーダーと磁界発生器の中間の位置に配列する
【0071】これらの構成の一実施例を図22を参照と
して説明する。ゴムモールド10i(図23参照)のゴ
ム自体は底なしモールドを形成し、ゴムモールドの開放
底部は回転ダイ2aの一部に閉じられている。したがっ
て、回転ダイ2aがゴムモールドの底部を構成してい
る。ゴムモールド10iがリング状回転ダイ40上で順
次回転移動しながらフィーダー42による粉末のゴムモ
ールド10iへの充填、Cの位置で行われる蓋10uの
はめこみ(図示せず)、電磁コイル4aによるパルス配
向、磁界中ダイプレス装置60によるダイプレス、蓋1
0uの取りはずし(Fの位置で行われる)、成形体取り
出し装置62による成形体の取りだしなどの一連の操作
(A〜H)を行うことができる。
【0072】取り外された蓋10uはリニヤートランス
ポーター140により蓋はめ込み場所Cに戻される。リ
ニヤートランスポーター140(図24参照)は吸引口
140aを移動させるレールより構成されている。吸引
口140aは吸気ポンプと連通され、またレールに可動
に装着されたモーター(図示せず)により上蓋を吸着し
てレールを走行する。
【0073】磁界中ダイプレス装置60は上下パンチ、
電磁コイルなどから構成されている。成形体取り出し装
置62は、シャフト65の周りを一定角度振回しうる電
磁石よりなるアーム64を含んでなり、、励起された電
磁石が異方性を付与された圧粉体63をコンベヤー40
上にて吸収し、振回後電磁石の電源が切られると成形体
を別のコンベヤー66上に載せるように動作する。
【0074】図22において、150はエアーピスト
ン、151はエアーユニット、152は電磁石、153
は電磁石励磁電源である。電磁石152は圧粉体をダイ
から取り出した後、ダイキャビティ上方に移動し、そし
て電源153により励磁されて、磁力によりゴムモール
ド内に残存する永久磁石残粉を吸引して、ゴムモールド
の清掃を必要により行う。
【0075】なお圧粉成形後ゴムモールド10iは原形
に復帰するので圧粉体63の周りにリング状間隙10r
が作られる。この間隙10rは上記した吸引により圧粉
体63をゴムモールド10iから取り出すのに十分な大
きさを有する。66は制御ユニット50により駆動され
るステップモータ67により駆動されるコンベヤーであ
る。アーム64が該コンベヤー66上方に振回、圧粉体
63をコンベヤー66上に載せた後に、コンベヤー66
が移動する。かかる一連の動作は制御ユニット50によ
り制御される。
【0076】ダイプレスの中でゴムモールドセット、磁
界中プレス、ゴムモールド取り出しと三つの工程を行う
方法と比較すると、図22の方法は、ダイプレスでは磁
界中プレスのみを行い、他の部分で同時にゴムモールド
セット及びゴムモールド取り出しが行えるので、一つの
プレスサイクルが大変短くなり、大量生産用の装置とし
て好ましい。
【0077】図22に示される無終端経路式ダイプレス
法により永久磁石を量産する場合、各工程の所要時間は
例えば以下のとおりである。 (a)給粉、振動、プッシャー(図22のAで行われ
る)から(b)まで−15秒 (b)上蓋取り付け(Cで行われる)−5秒 (c)パルス磁界印加(Dで行われる)−10秒 (d)ダイプレス(Eで行われる)−15秒 (e)上蓋取り外し(Fで行われる)−5秒 (f)圧粉体の取り出し及びゴムモールド清掃(Gで行
われる)−10秒 最長の所要時間は15秒であり、(a)〜(f)の各工
程から次の工程への2秒の搬送時間であるから17秒毎
に1個の圧粉体が作られる。
【0078】続いて、ダイ中で粉末を充填する通常のダ
イプレスの所要時間を示す。 (a)フィーダーによる粉末の充填−10秒 (b)上パンチ下降(上パンチがフィーダーから退避し
ていた位置からダイ内まで下降する)−5秒 (c)プレス(静磁場印加、上下パンチにて加圧、逆磁
界印加−27秒 (d)逃げ調整−5秒 (e)圧粉体取り出し−10秒 (a)〜(e)の合計57秒、通常のダイプレス法では
全工程(a)〜(e)が終了するまで最初の工程(a)
を開始することができない。したがって、1個の圧粉体
をつくるために57秒もの長い時間が必要である。
【0079】本発明法においては、ゴムモールドへの永
久磁石粉末の給粉と、ゴムモールドへの高密度充填は同
一場所で行うことが好ましい。給粉はガイド枠100
(図1参照)を利用して行うが、プッシャーなどによる
高密度充填を給粉と別の場所で行うと、ガイドプレート
給粉場所からプッシィング場所まで移動させる必要が
出てくる。このようにするとガイドプレートの必要個数
が増え、装置の複雑化を招く。
【0080】さらに図22に示されるようにフィーダー
42から粉末を直接ゴムモールド10に供給するより
も、フィーダーから粉末を、必要ならば粉末の塊を篩い
分けるメッシュを通して、一旦別の容器に供給し、精密
に粉末を秤量した後に、その容器からゴムモールドに粉
末を供給することが好ましい。永久磁石粉末の流動性が
非常に低いためにフィーダーから正確な重量の粉末を直
接ゴムモールドに供給することは困難であるから、上記
のように別の容器を使用することが好ましい。
【0081】請求項10の方法及び請求項31の装置で
は、不活性ガスチャンバー内に前記周回経路を収納する
ことにより請求項5記載の方法によって得られるのと同
等の効果を得、高性能の希土類磁石を能率よく製造する
手段を得る。Nd2 Fe14B、Sm−Coなどの永久磁
石粉末は極めて酸化し易く、粉末が酸化することにより
磁気特性が直ちに劣化する。これを防止するために、ゴ
ムモールドが不活性ガスが充満したドーム状の覆いの中
を移動させる。ドーム状の覆いは周回経路に添ったリン
グ状とするかあるいは周回経路とその中心空間を被覆す
る円盤もしくは楕円盤状とすることができる。
【0082】請求項9記載の方法及び請求項32記載の
装置では、ゴムモールドへの予備圧粉体の装填、磁界印
加、ダイプレス、及び圧粉成形体のゴムモールドからの
取りだし、をゴムモールドを搬送する周回経路で、順次
繰り返し行う構成とする。これらの発明は図22のフィ
ーダー42に代えて、予備成形体をゴムモールドへ装填
する装置125、128(図2参照)を配置する。
【0083】−湿式成形法− 以上説明した本発明の構成は乾式成形法にも湿式成形法
にも該当するが、ここでは湿式成形法の特長とするとこ
ろを説明する。湿式成形法ではスラリー状の磁石粉末を
使用する。スラリー中の水または有機溶媒と磁石粉末の
割合は公知のものでよく、特に限定されないが重量比で
水2〜4に対して磁石粉末が8〜6の割合が好ましい。
【0084】湿式成形法では水または有機溶媒を圧縮が
完了するまでにスラリーから除去する必要があるが、ゴ
ムモールドに穴を開けてここから水などを吸い出すこと
は困難であるので、一方のパンチからフィルターを通じ
て、スラリー中の水などを吸い出すことが不可欠であ
る。そこで、本発明の湿式成形法では、上蓋をもたず側
方又は側方と底部にゴムをもつゴムモールドをフィルタ
ーを介して吸水孔を有する上パンチで加圧することによ
りスラリー中の水分を吸水孔からゴムモールド外へ排出
するしつつ、磁界中配向成形を行う。この場合上蓋をも
たないゴムモールドを使用するので、従来の擬似CIP
とは異なり磁石粉末の一部だけがゴムモールド(圧力伝
達媒体)により囲まれているので圧縮の等方性がやや小
さいが、粉末粒子間の摩擦が水や溶媒の存在により小さ
くなっているために、十分な配向性が得られる。また側
方からの圧縮によって排水速度が極めて大きくなり、大
幅に能率が向上する。
【0085】また、フィルターとしては紙、布フィルタ
ーもしくは石膏などのセラミックフィルターを使用す
る。さらに、ゴムモールドへのスラリーの充填・圧縮方
法としては、ダイの外でゴムモールドにあらかじめスラ
リーを注入しておき、その後ゴムモールドをダイ中に入
れて、パンチによりゴムモールドとスラリーを圧縮する
か、あるいはダイ中にあらかじめゴムモールドをいれて
おき、スラリーをその型に注入する方法が可能である。
スラリーをゴムモールドに充填するのに:ゴムモールド
内を−予め真空引きした後、スラリーを充填する;ゴム
モールドにスラリーを注入した後にゴムモールド中のス
ラリーを真空又は減圧下に置く;ゴムモールド中にスラ
リーを高圧注入する等の処理をすれば、ゴムモールド表
面に気泡が残留せず、これにより発生する不良を低減す
ることができる。
【0086】請求項16〜19は第三の目的を達成する
湿式ダイプレス法の発明に関する。ダイプレス機が湿式
ダイプレス機である場合ゴムモールドから水を吸引する
装置を設けることが必要になる。このためには、上パン
チに、ポンプに連通した吸水孔を設けて吸引を行うこと
が必要である。したがって、本発明に係る湿式ダイプレ
ス法は、吸水孔を備えた上パンチとフィルターを有する
ダイプレス機により永久磁石粉末のスラリーを圧縮し、
磁界中配向成形を行う工程を含む永久磁石の製造方法に
おいて、ダイプレス機内でまたは外で永久磁石粉末のス
ラリーを充填し、少なくとも側面部がゴムからなり、上
部が開放されたゴムモールドをダイプレス機内に配置
し、前記上パンチと前記ゴムモールドの開放部の間にフ
ィルターを配置し、前記圧縮に際して前記ゴムモールド
および永久磁石粉末を圧縮するとともに、前記フィルタ
ーおよび前記吸水孔を介してスラリー中の水分又は溶媒
を排出する構成とする。この方法によりゴムの弾性を利
用して配向性を高める湿式磁界中配向成形が実施可能に
なる。
【0087】この吸水孔は磁石粉末より小さい径とすれ
ば、水だけを吸収できるがポンプの効率が極端に低下し
て実際的ではないので、吸水孔は例えば1mm以上の大
径とし、上パンチとダイの間に多孔質セラミック、紙、
布などよりなるフィルターを設けることが好ましい。ま
た、ゴムモールドにダイプレス機外で磁石粉末のスラリ
ーを充填するためのフィーダーを設けることができる。
【0088】図25は湿式ダイプレス装置の一例を示す
図面である。図中、30は磁場電源、31は油圧ユニッ
ト、32、33は油圧シリンダー、34は吸水紙、吸水
布などからなるフィルター、35はフィルター34を巻
き付けるロール、36は上パンチ1aの先端に穿孔され
た吸水孔、38は吸水ポンプ、39は吸水ポンプ38の
駆動源であるモーター、42は原料のフィーダーであ
る。上記以外の参照数字は図16の場合と同じ要素を示
す。
【0089】原料フィダー42は、スラリーを高圧圧送
する必要がある場合は図示されない圧縮空気源と連通さ
れており、またスラリーをゴムモールド10に供給した
後パンチの圧縮領域外に退避する。油圧ユニット31か
ら油圧シリンダー32に送られる圧力媒体の作用によ
り、フィルター34は上パンチ1aと共に、先端がダイ
2との間を密閉するまで下降される。続いて、下パンチ
1bが上昇し、同時にポンプ38が吸水孔36を通して
スラリー中の水を吸い上げる。吸い上げが完了すると下
パンチ1bがさらに上昇し、圧縮を行う。
【0090】磁場電源30は上パンチ1aがダイ2との
間を密閉後励起され、コイル4が発生する磁界は上下パ
ンチ1a,1bを通り磁石粉末を配向する。ダイプレス
終了後は上記動作とは逆の動作が行われ、さらにロール
35が回転し、フィルタ−34を未使用面が出るまで巻
き取る。
【0091】図26は、フィルター34がセラミックで
ある場合の図25と同様の装置の要部を示す図面であ
る。この装置ではセラミックの内外面に連続した孔を吸
水孔として利用し、ダイプレス後に吸水孔に高圧空気を
吹き出して磁石粉末による目詰まりを取り除き、フィル
ターを何回も使用する。セラミックスフィルターとして
非常に安価に入手できる石膏製フィルターや、耐久性、
吸水性向上の為に二層構造をもったフィルターを使用す
ることができる。
【0092】図27は図25の装置の動作を説明するグ
ラフである。まず、上パンチ1aが上限から下限まで下
降し、停止するとほぼ同時に電源が励起され、その直後
に吸水ポンプが付勢される。すなわち、磁場電源により
正磁場が磁石粉末に加えられ、磁石粉末が配向し、また
配向中に吸水ポンプによりスラリーから水分が取り除か
れる。真空ポンプの付勢と同時に下パンチが上昇を開始
して、スラリーから水分を押し出す。さらに下パンチを
上限まで上昇させて、磁石粉末を所望の密度に圧縮す
る。その後磁場電源を除勢し、再び励起して正磁場より
弱い逆磁場を発生させて、以降の取扱が容易なように磁
石粉末の残留磁束密度を低下させる。以上の処理の間真
空ポンプは付勢状態を保ち、水分をさらに取り除く。真
空ポンプ、励磁電源及び下パンチをすべて除勢した後、
上パンチを上昇させ、加圧ガスをフィルターから吹き出
して目詰まりを取り除く。
【0093】以上の一連の動作は、マイコンなどの制御
ユニットにパンチの位置、ポンプの圧力、磁場の強さな
どを入力して、図27のどの段階にあるかをモニタし、
次の段階の指令を、磁場電源、ポンプ、パンチなどに与
える制御により行われる。また、それらの動作をはじめ
からルーチン化したシーケンス制御を行ってもよい。
【0094】請求項17記載の方法では、ゴムモールド
に充填されたスラリーの上面の形状が上パンチの下面の
形状とほぼ一致するようにスラリーをゴムモールドに充
填する。スラリーの上面がゴムモールドの上面より低い
と、ゴムモールドの上部が大きく変形し、圧粉体に割れ
が発生する。一方、スラリーがゴムモールドよりも盛り
上がっていると、プレスされたスラリーがゴムモールド
上にはみ出してバリ5g(図28参照)を発生させる。
特に、上パンチ1aの形状が図29に示すように曲面で
あるときは、スラリー15のはみ出しが起こりやすいの
で、スラリー15の上面形状を上パンチ1aの下面形状
と一致させることが好ましい。ただし、スラリーが不定
形であるので、その表面に多少の凹凸が生じるのはやむ
を得ないが、水分、溶媒等の量を例えば60重量%以上
と多くして、スラリー上面にできるだけ「だれ」が生じ
ないようにすることが好ましい。上記の方法を実施する
ための好ましい治具は図30に105として示されたガ
イドプレートであり、ガイドプレート105を用いてス
ラリーを、注入口107より注入し、その後ガイドプレ
ート105を矢印方向に移動させて、スラリーを擦り切
りにする。あるいはガイドプレート105を引上げる。
【0095】請求項18記載の方法では、メチルアルコ
ール、エチルアルコールなどの消泡剤を添加したスラリ
ーを使用することによって、泡の発生を防止する。この
泡はスラリー中あるいはゴムモールドのキャビティ内の
空気が原因でゴムモールドの表面に出来易く、圧粉体の
表面に凹部などの表面欠陥を生じるので、消泡剤により
泡をつくらないようにすることが好ましい。請求項19
の方法では、請求項18と同様に泡を作らないことを目
的としており、スラリーの充填前または後にゴムモール
ド内面を減圧処理する。スラリー充填前の真空排気方法
を図31に、スラリー充填後の真空排気法を図32に示
す。図中、92は蓋、93は真空チャンバーである。吸
引口94から真空吸引後にゴムモールド10が再び大気
にさらされることはあるが、気泡はほとんど発生しな
い。
【0096】スラリー上面の形状調整および減圧処理を
行う装置の具体例を図33に示す。ゴムモールド10は
ゴムモールド固定台131及び側面押さえ131により
固定されている。側面押さえ131にはパッキング13
3を介してアクリル樹脂製真空容器132が気密に固定
されている。真空容器132の上部中心に形成された孔
部にパッキング134を介してピストン135が気密に
かつ昇降可能に装着されている。ピストン135の真空
容器132の外にある部分にはカラー137が固着さ
れ、このカラー137と真空容器上部の間にはバネ13
6がピストン135を常時上向きに付勢している。ピス
トン135の先端にはストッパ142が取りつけられ、
その内部にはスラリー供給管138が固着されている。
スラリー供給管138はパッキング139を介して真空
容器132に気密にかつ出し入れ可能に取りつけられて
おり、したがってピストン135の上下に伴って上下す
る。140は好ましくはフッ素樹脂などの水とのぬれ性
が小さい材料である離型材よりなる離型板141を固着
した強化板であり、その上部中心は電磁バルブ149で
開閉できる通路になっている。離型板141の下面はダ
イプレス機の上パンチの下面と同一形状になっている。
【0097】図32に示される装置の動作方法は以下の
とおりである。すなわち、ピストン135を強化板14
0と接続し、あらかじめ電磁弁149を閉じておき、ピ
ストン135に接続された強化板140を吸引し、点線
で示された位置まで引上げる。次に、エアー導入ポート
145を閉じ、真空ポート144から真空容器132内
を真空排気する。その後、ピストン135を下降させ、
強化板140とゴムモールド10を加圧接触させ、真空
容器132外からの遠隔操作により電磁弁141を開放
し、そしてスラリーをスラリー供給管138からゴムモ
ールド10内に高圧ガスにより供給する。その後、エア
ー導入ポート145から空気を真空容器132内に送
り、ピストン135を上昇させ、ストッパ142に真空
容器132を引掛けて持ち上げる。
【0098】図25、図26及び図33で示されるスラ
リーの流動充填に代えてスラリーの予備成形体をゴムモ
ールドにより均一に装入充填することができる(請求項
27の方法)。予備成形スラリーの装入に使用する装置
の一例を図34に示す。図中、ピストン151は壁部
材、152、153に対して摺動してスラリー15を圧
縮し、スラリー成形器160の出口から予備成形体15
aとして押し出す((a)参照)。スラリー成形器16
0は上記151、152、153の部材より構成される
押出器である。予備成形体15aは以下説明する15
7、158、159、161より構成される装置により
ゴムモールド10s、10kに装入される。予備成形体
15aは引込み式底部159上に押出され、次にカッタ
ー158を下降させて切断される。切断後プッシャー1
57をカッター158、壁部材161に摺動させて下降
させ、予備成形体15aの上面に突き当たったときに下
降を停止する((b)参照)。次に引込み式底部159
を後退させ、プッシャー157によりゴムモールド10
s、10k内に予備成形体15aを押し込む((c)参
照)。
【0099】続いて、周回経路において各工程を行う湿
式装置の具体例を図35を参照して説明する。なお、図
35の参照符号で図22、図33と同一のものは同一の
部材を意味している。
【0100】例えば図33に示されるスラリー充填装置
をAで示される位置に設置し、スラリーの充填と真空吸
引をAの位置で行なうか、あるいはAの位置ではスラリ
ーの充填のみを行い、Bの位置で真空吸引を行う。16
5は真空吸引を行うポンプであり、また166はスラリ
ーを圧送するエアーニットである。AおよびBの位置に
は真空チャンバー132は設置しなくともよい。又Aの
位置には図34に示されるスラリーの予備成形体を設置
することができる。
【0101】続いて、周回経路で湿式成形法の各工程を
行う請求項26の方法の所要時間の一例を示す。 (a)スラリー充填(真空吸引を含む)−15秒 (b)プレス(上パンチ下降、静磁界印加、脱水加圧、
逆磁界印加及び上パンチ上昇の各操作が行われる)−2
0秒 (c)圧粉体の取りだし(ゴムモールド清掃を含む)−
10秒 上記(a)、(b)、(c)の各工程の間ではゴムモー
ルドの搬送が行われ、その所要時間は3秒である。最長
の所要時間は20秒であり、また搬送時間が3秒である
から23秒毎に1個の圧粉体が作られる。
【0102】続いて、スラリーをダイ中に充填する通常
のダイプレスの場合の各工程の所要時間の一例を示す。 (a)上パンチ下降−5秒 (b)スラリー充填−5秒 (c)プレス(静磁界印加、脱水加圧及び逆磁界印加の
各操作が行われる)−90秒 (d)上パンチ上昇−5秒 (e)圧粉体取り出し−10秒 合計所要時間は115秒である。通常のダイプレスでは
圧粉体の割れなどを防止するために、脱水工程において
ゆっくり脱水することが必要である。これに対して、本
発明ではゴムモールドがパンチの移動方向と直交方向に
かつモールド空隙に向かって変形するために、水分等の
排出が促進され、また粉末とダイとの摩擦もなく、その
結果プレス工程が短時間で行われる。さらに、本発明で
は各工程を同時に実施することができるため、圧粉体の
生産性が極めて高い。
【0103】請求項14(乾式法)及び請求項23(湿
式法)はリングなどの中空体の製造方法に関し、ゴムモ
ールドが中空部形成のために該ゴムモールドより硬質の
材料からなるマンドレルを備えている構成とする。この
構成とは逆にマンドレルが軟質であると、パンチの加圧
力により圧粉体と一緒にマンドレルが径方向に収縮し、
次にパンチを後退させ、ゴムモールドと圧粉体に加えら
れていた荷重を除くと、マンドレル10mが収縮した圧
粉体5の中心穴を押し広げるように膨張する(図36参
照)。この結果圧粉体5′に割れが発生する。したがっ
てマンドレル10m(図36参照)は側方部10sより
も硬質であることが好ましい。
【0104】中空形状の磁石は放射方向に配向したラジ
アル異方性、厚み方向に配向したアキシャル異方性など
を付与される。
【0105】図37はマンドレルを使用して図38に示
すような二つの中空部を有する圧粉体を作る成形法の一
具体例を示し、マンドレル10m,10m’を金属から
構成し、マンドレル10mが入る凹部1a’を上パンチ
1aの中に形成している。続いて、乾式ダイプレスおよ
び湿式ダイプレスならびに、すべての形状の圧粉体に共
通するゴムモールドの好ましい実施態様を説明する。
【0106】その第一は、ゴムモールドがゴムモールド
内面のうち上下面の少なくとも一方を形成する材料(上
面を形成する材料を蓋部、下面を形成する材料を底部と
呼ぶ)が前記内面の側面部を形成する材料(これを側方
部と呼ぶ)よりも硬質であるように構成したものであ
る。この構成とは逆に、底部が軟質で、側方部が硬質で
あると、図50の(c)で示した不均一変形に加え図3
9に模式的に示すように、側方部10sの変形に伴って
底部10kが縮もうとし、しわが底部10k表面に発生
する。このしわがクラックの起点になり、圧粉体5′が
割れてしまう。また軟質材は、表面に粉末が噛み込まれ
やすく、また圧粉体とモールドとの間の摩擦も大であ
る。さらに、パンチによる圧力を取り除いた時、軟質の
底部10kは元の形状に戻ろうとし、逆変形するが、こ
のとき底部のゴムが圧粉体5′とかみ込んで逆変形に追
随させようとし、圧粉体5′が割れに至る。これらのこ
とが圧粉体の割れを生じさせる原因となる。側方部10
sと底部10kの硬さが同じ場合は、パンチによる圧縮
量が多くなると同様に割れの危険が高まる。したがっ
て、本発明では底部および/または蓋部を側方部より硬
いゴムとするか、あるいは底部および/または蓋部を金
属もしくは硬い樹脂とする。
【0107】第二のゴムモールドにおいては、ゴムモー
ルドの蓋部もしくは底部の少なくとも一方の厚み(t、
単位mm)が式:t≦16h/D(ただし、hは圧粉体
の厚み、Dは圧粉体の断面積の正の平方根である)で表
されるように構成する。ここで蓋部もしくは底部の厚み
及び圧粉体の厚みとはパンチによる加圧方向の厚みを言
い、圧粉体の断面積とはパンチによる加圧方向に直交す
る圧粉体の断面積を言う。圧粉体の面積が大になる(式
の右辺が小さくなる)ほど、ゴムが逆変形する時の力が
大きくなり、圧粉体が割れやすくなるので、ゴムモール
ドの蓋部および底部の厚みを小さくする。底部10kの
厚みを小さくすることを示す図39において、底部10
kは上パンチ1aの加圧力Paとその反作用Pbにより
押さえつけられている。一方、底部10kにしわを作る
力はゴムモールドの側方部10sおよび粉末5が断面積
を小さくするように縮小する力Pcである。底部10k
の厚みが小さくなるほど前者の押さえつけ力Pa、Pb
が大になり、後者の力Pcを上回ると、しわが発生しな
くなる。また、上記の式の係数16は下記の実験の結果
割れ発生有無に対して臨界的であることが見出された。
後述の図40の(e)及び(g)の形状をもつゴムモー
ルド(寸法30×30×5mm、h/D=0.17)を
用いてNd−Fe−B系磁石粉末を1.0t/cm2
圧力で成形した。この成形を、ゴムモールドの底部厚み
(t)を0.5〜3.5mmの範囲で変化させて、各厚
みにつき10回行い、10個の成形体を作製した。その
結果、次の割れ個数が得られた。t=0.5、1.0、
1.5mm、0個;t=2.0mm、1個;t=2.5
mm、4個;t=3.0mm,10個。この割れ調査結
果より上記した係数16が求められた。
【0108】図41の(a)〜(k)に、図39、図4
0に示された二つの方法を具体化したゴムモールドの例
を示す。図中ハッチングは金属または硬質ゴムを示す。
(a)は上蓋10uを軟質ゴム、側方部10sを軟質ゴ
ム、底部10kを硬質ゴムまたは金属とした例である。
(b)は上蓋10uを軟質ゴム、側方部10sを軟質ゴ
ム、底部10kを硬質ゴムまたは金属とした例である。
(c)は上蓋10uを上記の式を満たす薄い(以下、単
に「薄い」という)軟質ゴム、側方部10sを軟質ゴ
ム、底部10kを硬質ゴムまたは金属とした例である。
(d)は上蓋10uを上記の式を満たす薄い(以下、単
に「薄い」という)軟質ゴム、側方部10s及び底部1
0kを一体の軟質ゴムとした例である。(e)は上蓋1
0uを硬質ゴムまたは金属、側方部10sおよび底部1
0kを一体の軟質ゴムとした例である。(f)は上蓋1
0uを軟質ゴムまたは金属、側方部10sおよび薄い底
部10kを一体の軟質ゴムとした例である。(g)は上
蓋10uを硬質ゴムまたは金属、側方部10sおよび薄
い底部10kを一体の軟質ゴムとした例である。(h)
は上蓋10uを薄い軟質ゴム、側方部10sおよび薄い
底部10kを一体の軟質ゴムとした例である。(i)は
上蓋10uを硬質ゴムまたは金属、側方部10sを軟質
ゴム、底部10kを硬質ゴムまたは金属とした例であ
る。(j)は上蓋なし、側方部10sを軟質ゴム、底部
10kを側方部の切り欠きに固定した硬質ゴムまたは金
属とした例である。(k)は硬質ゴムまたは金属の底部
10kを側方部10sで側面と下面から取り囲んだ例で
ある。底部が薄い場合は、底部下側を金属もしくは硬質
ゴムなど、底部上側より硬質の材料で補強することがで
きる。(l)は(i)の上蓋10uに下向きの突起を設
け、プレス機外で上蓋により粉末を高密度に圧縮し、
(l)に示された状態でプレスする例である。
【0109】図42の(a)には図41の(e)と同じ
作用を有するゴムモールドを示す。この(a)のゴムモ
ールドでは上パンチ1aが上蓋10uの作用を営み、圧
粉体の割れを防止する(請求項12、20の方法)。さ
らに図42の(b)には図41の(i)における上蓋1
0u、底部10kの作用をそれぞれ上パンチ1a及び下
パンチ1bが営むゴムモールドの例を示す。さらに図4
2の(c)には上パンチ1a及び下パンチ1bが硬質材
料であり、硬質上蓋10u(例えば図41の(e)参
照)の作用を営むゴムモールドの例が示されている。
ンチ先端部は金属以外の硬質材料で構成されていてもよ
【0110】図43に示される圧粉成形体5′のエッジ
5eが鋭い場合あるいはゴムモールドの均一変形度が劣
る場合は、圧粉成形体のコーナー部分は、機械的衝撃に
対して弱くまた特に自動化工程におけるロボットによる
ハンドリングや搬送時の機器による蹴りだしによって欠
けが発生しやすい。また鋭いコーナーは磁界中配向成形
後に消磁を行っても磁化が残留しやすく、機械的強度が
低下する。図44の(a)は磁界中配向成形においてコ
ーナー部5eが割れていることを示す。消磁後にはコー
ナー部5eには僅かな磁化が残留していれば、図44の
(b)に示すようにコーナー部5eが脱落して反転し、
コーナー部5eと圧粉成形体5′本体と異極どうしが引
き合い、これらは内部に蓄えたエネルギを解放しようと
するために、磁界中配向成形中よりも一層消磁後に欠け
が起こりやすい。このような欠けを防止し且つ圧粉成形
体のコーナーを丸くするためには、図45に示すように
ゴムモールド10sに湾曲部10rを設けることが好ま
しい。湾曲部10rはゴムモールドが粉末と面する面に
おいて上下のいずれか一方または両方の末端部である。
湾曲部10rの曲率半径は約0.1〜5mmであること
が好ましい。以下実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【0111】実施例1(Nd-Fe-B 焼結磁石) 使用したゴムモールドを図46に示す。上蓋10uは金
属製、側方部10sおよび底板部10kは一体の軟質ウ
レタンゴム(硬度40)とし、底部10kの下にゴムの
噛み込み防止用として硬質ウレタンゴム製(硬度90)
のバックアッププレート12を配置した。モールドキャ
ビティの形状は30mm,30mm,5mmであった。
【0112】金属ネオジウム(Nd),電解鉄(Fe),金属ほ
う素(B) 、金属ディスプロシウム(Dy) をNd13.8Dy0.4F
e78.2B7.6 の組成に配合後、アルゴンガス中でアーク溶
解してインゴットを作成した。このインゴットをスタン
プミルで平均粒径が20μmになるように粗粉砕し、次
にジェットミルで平均粒径が3.0μmになるように微
粉砕した。この微粉末を上記のゴムモールド10s、1
0kに振動及びプッシャー押圧を加えて、充填密度が
1.0〜4.2g/cm2(13〜56%)になるよう
に充填した。ゴムモールド10s、10kに上蓋10u
を被せ、40kOeのパルス磁界を5μ秒間5回加え
た。その後、ゴムモールドをダイプレス機内に配置し、
12kOeの磁界を掛けながら、0.8ton/cm2
の圧力で平行プレス成形を行った。圧粉成形体を110
0℃で2時間焼結した後、650℃で1時間時効処理を
行った。その後磁気特性を評価した結果を表2に示す。
【0113】
【表2】 充填密度1.0g/ccは自然充填による比較例であ
る。 われ、欠け判定基準(n=50) 〇 われ、欠けが発生しない △ 全数の10%未満のわれ欠けが発生 × 全数の10%以上のわれ欠けが発生 変形判定基準(n=50) ×−不均一変形が著しく後の加工による寸法調整が不可
能、ゴムモールドを改良しても改善が困難:△−若干不
均一変形があるが、後の加工による寸法調整により補え
る程度:○−ほとんど不均一変形しない、若干の不均一
変形が残るがゴムモールドの内側面の形を若干変えるだ
けで、ほぼ完全な成形体が得られる。
【0114】実施例2(Sm-Co 焼結磁石) ゴムモールドは実施例1におけるものを使用した。原料
として、Sm(Co0.72Fe0.2Cu0.06Zr0.03)7.3の組成をもつ
インゴットを使用した。このインゴットをスタンプミル
で平均粒径が25μmになるように粗粉砕し、次にジェ
ットミルで平均粒径が3.5μmになるように微粉砕し
た。
【0115】この微粉末を上記のゴムモールド10s、
10kに振動及びプッシャー押圧を加えて、充填密度が
1.1〜4.9g/cm2 (13〜58%)になるよう
に充填した。ゴムモールド10s、10kに上蓋10u
を被せ、40kOeのパルス磁界を5μ秒間5回加え
た。その後、ゴムモールドをダイプレス機内に配置し、
12kOeの磁界を掛けながら、0.8ton/cm2
の圧力で平行プレス成形を行った。得られた微粉末に上
述の条件で乾式プレスを施し、成形体を1215℃で1
時間焼結し、1170℃で1時間溶体化処理を行い、そ
の後850℃で2時間時効処理後徐冷した。その後磁気
特性を評価した結果を表3に示す。
【0116】
【表3】 充填密度1.1g/ccは自然充填による比較例であ
る。 われ、欠け判定基準(n=50) 〇 われ、欠けが発生しない △ 全数の10%未満のわれ欠けが発生 × 全数の10%以上のわれ欠けが発生 変形判定基準(n=50) 実施例1と同じ
【0117】実施例3(フェライト焼結永久磁石) ゴムモールドは実施例1におけるものを使用した。原料
としては工業用炭酸ストロンチウム(SrCO3), 工業用酸
化第2鉄(Fe2O3)を使用した。これら原料をモル比で
1:5.9に配合し、5時間ボールミルで粉砕、混合
後、1270℃で1時間仮焼した。仮焼後の試料をスタ
ンプミルで平均粒径が4μmになるように粗粉砕し、次
にボールミルで平均粒径が0.7μmになるように微粉
砕した。得られた微粉砕粉を、乾式プレスを施すものは
大気中で乾燥した後解砕した。この微粉末をゴムモール
ド10s、10kに振動及びプッシャー押圧を加えて、
充填密度が0.6〜2.8g/cm2 (12〜44%)
になるように充填した。
【0118】ゴムモールド10s、10kに上蓋10u
を被せ、40kOeのパルス磁界を5μ秒間5回加え
た。その後、ゴムモールドをダイプレス機内に配置し、
12kOeの磁界を掛けながら、0.8ton/cm2
の圧力で平行プレス成形を行った。圧粉体を1200℃
で焼結した後に、磁気特性を測定した。実験結果を表4
に示す。
【0119】
【表4】 充填密度0.6g/ccは自然充填による比較例である われ、欠け判定基準(n=50) 〇 われ、欠けが発生しない △ 全数の10%未満のわれ欠けが発生 × 全数の10%以上のわれ欠けが発生 変形判定基準(n=50) 実施例1と同じ
【0120】実施例4(Sm−Coボンド磁石) 原料として、Sm(Co0.72Fe0.2Cu0.06Zr0.03)7.3の組成を
もつ、平均粒径が20μm、保磁力iHcが15.5k
Oeのボンド磁石用粉末を使用した。この粉末をエポキ
シ樹脂粉末とともにゴムモールド10s、10k(図4
6参照)に振動及びプッシャー押圧を加えて、充填密度
が1.4〜5.5g/cm2 (18〜65%)になるよ
うに充填した。ゴムモールド10s、10kに上蓋10
uを被せ、40kOeのパルス磁界を5μ秒間5回加え
た。その後、ゴムモールドをダイプレス機内に配置し、
12kOeの磁界を掛けながら、1ton/cm2 の圧
力で平行プレス成形を行った。圧粉体を120℃で1時
間キュアリングした後に、磁気特性を測定した。実験結
果を表5に示す。
【0121】
【表5】 充填密度1.5g/ccは自然充填による比較例であ
る。 われ、欠け判定基準(n=50) 〇 われ、欠けが発生しない △ 全数の10%未満のわれ欠けが発生 × 全数の10%以上のわれ欠けが発生 変形判定基準(n=50) 前回実施例1と同じ
【0122】実施例5 原料として、平均粒径1.35μm、保磁力2.7kO
eの(戸田工業製)フェライトボンド磁石用微粉末を使
用した。これらの原料粉末を解砕した後、エポキシ樹脂
を0.5重量%添加し、充填密度が0.6〜2.2g/
cm3 (12〜44%)になるように振動及びプッシャ
により図46に示すゴムモールド10s,10kに充填
した。ゴムモールド10s、10kに上蓋10uを被
せ、40kOeのパルス磁界を5μ秒間5回加えた。そ
の後、ゴムモールドをダイプレス機内に配置し、12k
Oeの磁界を掛けながら、0.8ton/cm2 の圧力
で平行プレス成形を行った。得られた成形体を120℃
で2時間キュアリングした後に、磁気特性を測定した。
実験結果を表6に示す。
【0123】
【表6】 充填密度0.6g/ccは自然充填による比較例である われ、欠け判定基準(n=50) 〇 われ、欠けが発生しない △ 全数の10%未満のわれ欠けが発生 × 全数の10%以上のわれ欠けが発生 変形判定基準(n=50) 実施例1による
【0124】実施例6 実施例1〜5において、充填密度がそれぞれ下記の値に
なるように粉末を通常のダイプレス機のダイ(ゴムモー
ルドなし)中に充填し、1.5t/cm2 の圧力で平行
ダイプレスを行った他は、それぞれの実施例と同様に処
理して永久磁石を製造した。本発明実施例との比較を表
7に示す。この実施例及び比較例の磁石粉末は同一組成
であり同一処理プロセスを経たものである。したがって
これらの磁石粉末の4πIsは同じである。したがって
平行ダイプレス法よりもBrが約7%高い本発明の方法
により各種永久磁石の配向度が平行ダイプレス法よりも
高められることが明らかである。なおiHcに関しては
本発明法と平行ダイプレス法では1%程度の差がある。
しかしiHcは非常にばらつきやすくこれらの方法によ
る有意差は認められない。
【0125】
【表7】
【0126】実施例7 金属ネオジウム(Nd),電解鉄(Fe),金属ほう素(B) 、金
属ディスプロシウム(Dy) をNd13Dy0.5Fe79.5B7.6 の組
成に配合後、アルゴンガス中でアーク溶解してインゴッ
トを作成した。このインゴットを不活性ガス中でスタン
プミルで平均粒径が20μmになるように粗粉砕し、次
にO2 濃度検出限界以下の窒素ガス雰囲気中でジェット
ミルで平均粒径が3.0μmになるように微粉砕した。
この微粉末を上記のゴムモールド10s、10kに振動
及びプッシャー押圧を加えて、充填密度が2.6g/c
2 (34%)になるように窒素ガスチャンバー中で充
填した。一方大気中での充填も試みたが粉末が発火し、
以降の続行が不可能であった。ゴムモールド10s、1
0kに上蓋10u(図46参照)を被せ、40kOeの
パルス磁界を5μ秒間5回加えた。その後、ゴムモール
ドをダイプレス機内に配置し、12kOeの磁界を掛け
ながら、0.8ton/cm2 の圧力で平行プレス成形
を行った。圧粉成形体を1100℃で2時間焼結した
後、630℃で1時間時効処理を行った。その後磁気特
性を評価したところ、Br=13.9kOe,(BH)
max =45.1MGOe,iHc=12.8kOeが得
られた。また、焼結体の酸素濃度は2680ppmであ
った。
【0127】実施例8(フェライト湿式磁石) 工業用炭酸ストロンチウム(SrCO5 )、工業用酸化
第二鉄(Fe23 )をモル比で1:5.95に配合し
6時間ボールミルで粉砕後、1260℃で2時間仮焼し
た。仮焼後の試料を粗粉砕し、その後平均粒径が0.7
5μmになるように微粉砕した。得られた微粉砕をスラ
リー濃度(全重量に対するフェライト微粉の重量%)が
71%になるように調節したスラリーを使用した。
【0128】図25に示したような布及び紙製のフィル
ター34と真空吸引装置、スラリー注入装置を備えた図
25に示す湿式ダイプレス装置、及び図26に示したよ
うなセラミックス製のフィルター34を装着した湿式ダ
イプレスを使用して、図10に示すような弓形圧粉体を
製造した。スラリー注入はダイプレス外部で行う方式、
及び予めダイ内に配置されたゴムモールドの上方法より
注入する方式(図25参照)あるいはダイプレス機の外
部でゴムモールドにスラリーを注入する方式を採用し
た。すなわち従来の湿式ダイプレスのようにダイ内側面
よりの注入システムは利用しなかった。圧縮成形は各プ
レス工程のタイミングを微調整し、あらかじめプレス工
程が相互に干渉したり、あるいは余分の待ち時間が生じ
ないように、工程設計をした後に行った。
【0129】また各試料の成形はすべて100回づつ行
い、ヒビ割れ等の不良発生率を調査した。比較のため従
来の湿式平行ダイプレス(ゴムモールドを用いず)によ
り成形を100回行った。また焼結磁石の密度及びその
磁気特性はプレスサイクル5回に1回ごとにサンプリン
グを行い1235℃で1.5時間焼結した後の値の平均
値を用いた。磁気特性は弓型磁石から試験片を切り出
し、加工を行い、B−Hトレーサーにて磁気特性を評価
した。その結果を表8に示す。
【0130】
【表8】
【0131】表8より、本発明法によれば、割れが少な
くなり、またBrおよび(BH)max が高められることが明
らかである。
【0132】実施例9(フィルタの耐久性試験) 実施例8に用いた石膏製フィルター、及び通気性の異な
る二層からなり、スラリーに面する側の通気性が低い二
層構造をもったフィルターを用い、石膏製フィルターの
場合は100回、二層構造セラミックフィルターの場合
は1万回繰り返し成形を行い、各フィルターの耐久性を
調査した。
【0133】石膏フィルターは最初の1〜20回まで及
び21〜100回までのプレス時と二層構造セラミック
フィルターは最初の100回と最後の100回のプレス
時の不良発生率及び1235℃で1.5時間焼結した後
の磁石の磁気特性を評価した結果を表9に示す。
【0134】
【表9】
【0135】セラミックフィルターは紙や布フィルター
と比較してプレス後の紙や布の巻き取りが不要な為、上
パンチ周辺部の装置が簡単になり量産時のトラブルが少
なくなる。また、紙や布フィルターは良質な材料を毎回
取り替えなくてはならず非常にコストがかかるが、セラ
ミックフィルターは繰り返し連続使用が可能となるため
コスト的にも非常に有利である。またセラミックフィル
ターにより製造した焼結体の表面は平滑であり、加工時
の取代が少なくてすみ歩留まりが向上する。
【0136】二層構造セラミックフィルターは1万回以
上使用でき十分に量産性がある。石膏製フィルターでは
100回程度しか使用できないが、きわめて安価なため
数10回プレスを行うごとに取り替えても十分量産性は
ある。
【0137】実施例10 実施例8で用いたスラリーを乾燥させ、ボールミル中で
1時間解砕を行い、乾式粉を作成した。この乾粉のかさ
密度を測定したところ0.80g/cm3 であった。こ
の乾粉を外径23.95mm、内径12mm、高さ10
mmのシリコンゴム製ゴムモールドに入れ下記の手法を
必要に応じて組み合わせて行い、ゴムモールドの上限ま
で入る粉の量を調整し、ゴムモールド中の粉末のかさ密
度(g/cm3 )が磁界中成形に及ぼす影響を調べた。
【0138】工程 加振機(バイブレーター)上に乗せ、振動より充填密
度を上げる。タッピング機に入れ、タッピングにより
充填密度を上げる。磁界を加え、粉末か磁界に吸引さ
れる力及び粉末同志が磁力により吸引される力により充
填密度を上げる。磁界中で容易に解砕できる程度に造
粒された造粒粉を使用する。磁界中で配向した状態で
比較的固く造粒した造粒粉を使用する。磁石粉末を数
10kg/cm2 以下の圧力で予備成形的な加圧成形を
行い、充填密度を高める。また5μsecのパルス(4
0kOe)を5回印加し、焼結磁石の特性を確認する為
に圧粉体を1230℃で2時間焼結を行い、最大エネル
ギー積(MGOe)を調べた。
【0139】
【表11】 以下の基準によりワレ、ヒビの発生を判定した。 ×−5%以上のわれ、ヒビが発生:△−割れ、又はヒビ
発生が5%;○−割れ、又はヒビがほとんど発生しない 以下の基準により圧粉体の不均一変形を判定した。 ×−不均一変形が著しく後の加工による寸法調整が不可
能、ゴムモールドを改良しても改善が困難:△−若干不
均一変形があるが、後の加工による寸法調整により補え
る程度:○−ほとんど不均一変形しない、若干の不均一
変形が残るがゴムモールドの内側面の形を若干変えるだ
けで、ほぼ完全な成形体が得られる
【0140】実施例11 実施例1で作成した微粉末を用い、図16に略図を示す
本発明の一連の乾式平行プレス装置により成形した。ま
た、図47の平面図に示すように磁界(H)の方向とゴ
ムモールド10の方向を設定した。その後は実施例1と
同一条件で、焼結磁石を100個作成した。その磁気特
性を表12に示した。
【0141】
【表12】 この方法によれば安定した特性をもつ磁石の連続生産
が可能になり、工程の自動化ができる。
【0142】実施例12 市販フェライト磁石のスラリー原料を入手し、通常の平
行ダイプレスと本発明の実施例3によるダイプレスを行
い、それぞれの方法による圧粉成形体を焼結した。焼結
磁石の磁気特性を以下に示す。
【0143】
【表13】
【0144】この実施例と実施例3の表4を比較する
と、表13の比較例の(BH)max は実施例8の「本発
明法」の値に等しいことが分かる。本実施例11では原
料として磁性特性がすぐれたフェライト粉を使用したた
め、比較例でも良好な値が得られた。本発明法の(B
H)max は比較例より約10%高く、磁気特性がすぐれ
た磁性粉を使用することにより極めてすぐれた(BH)
max が得られることが分かる。
【0145】実施例13 市販のNd−Fe−B磁石の原料を入手し、従来の平行
ダイプレスと本発明の実施例1による平行ダイプレスを
行い、それぞれの方法による圧粉成形体を焼結した。焼
結磁石の磁気特性を以下に示す。
【0146】
【表14】 本実施例13では原料として磁性特性がすぐれたNd
−Fe−B粉を使用したため、比較例でも良好な値が得
られた。本発明法の(BH)max は比較例より約14%
高く、磁気特性がすぐれた磁性粉を使用することにより
極めてすぐれた(BH)max が得られることが分かる。
【0147】実施例14 実施例1の方法において、充填密度、パルス磁界による
解砕の有無が磁気特性に及ぼす影響を調査した。結果を
表15に示す。
【0148】
【表15】 表15より充填密度が高いと予備パルス磁界印加が配向
性向上に有効であることが分かる。
【0149】実施例15 実施例2の方法において充填密度及びパルス磁界による
解砕の有無が磁気特性に及ぼす影響を調査した。結果を
表16に示す。
【0150】
【表16】 表16より充填密度が高いと予備パルス磁界印加が配向
性向上に有効であることが分かる。
【0151】実施例16 実施例3において、充填密度及びパルス磁界による解砕
の有無が磁気的性質に及ぼす影響を調査した。結果を表
17に示す。
【0152】
【表17】
【0153】実施例17 微粉砕工程まで及び焼結以降の工程は実施例1〜5と同
一方法及び条件で永久磁石の製造を行った。比較例及び
実施例A、Bについては下記の処理を行った。 比較例−平行磁界中ダイプレス(プレス圧力1.5t/
cm2 、磁界12kOe) 実施例A−40kOeのパルス磁界を5μsecで5回
高密度充填粉末に印加し、次に磁界なし、ゴムモールド
使用ダイプレスを行った。プレス圧力は1.0t/cm
2 、プレス方向はパルス磁界印加方向と同一であった。 実施例B−実施例Aと同一のパルス磁界印加を行い、次
にプレス圧力1.0t/cm2 、磁界12kOeの平行
ダイプレスを行った。 得られた永久磁石の磁気特性を表18および表19に示
す。
【0154】
【表18】
【0155】
【表19】
【0156】表18及び表19より、本発明法(実施例
A)によれば比較例(従来の平行磁界中ダイプレス)よ
りもすぐれた磁気特性が得られることが分かる。しか
し、無磁界中プレス法(実施例A)よりも磁界中配向方
法(実施例B)の方が磁気特性が安定している。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ゴムの
弾性を利用してプレスを行い圧粉成形体の配向を高める
際に圧粉成形体に割れ、欠け、ひび、変形などが起こる
ことを見出し、かかる割れなどによる製品不良を防止し
て磁気的に配向された製品を提供することを共通の特徴
とする。
【0158】従来、磁石材料の磁界中配向成形法ではダ
イ中の充填密度を自然充填程度の低密度にしないと十分
な配向性が得られないと考えられていたが、意外にもゴ
ムの弾性を又はゴム弾性と圧縮成形前の磁界印加を利用
すれば高密度充填でも十分な配向性が得られる。又、高
密度に充填された粉末をゴムモールドで圧縮すると割れ
などの欠陥が防止される。
【0159】ゴムの弾性を利用して、第一の目的を達成
する磁界中配向成形法では磁気特性は通常のダイプレス
品より優れており、特に、平行ダイプレス製品は通常の
垂直ダイプレス製品と同等もしくはそれを上回る特性を
発揮する。但し、粉末の充填方法に工夫をしないと割れ
などの問題によって、製品が得られないのでゴムの弾性
を利用する方法は磁気特性向上の潜在的可能性があった
が、それが実際には利用できなかった。第一の目的を達
成する本発明によれば、以下説明するような特性が向上
した永久磁石を提供することができる。
【0160】Nd2 Fe14B磁石は小型モーターやアク
チュエーターに多量に使用されている。これらの用途で
はそのほとんどが着磁方向の厚みが小さい扁平な形状を
有しており、生産性の観点からそれらの多くが平行ダイ
プレスにより製造されてきた。しかし平行ダイプレス特
有の低い磁気特性により、現状の量産水準では最高の磁
気特性を示す粉末を用いても、35MGOeを得るのが
限界であった。しかし本発明法による大幅な磁気特性向
上により、従来のダイプレス法により量産される磁石で
は達成不可能であった40MGOeの高特性、特に無酸
素粉末を使用する場合は45MGOeを得ることが可能
となった。
【0161】第二の目的を達成する本発明法によれば、
ダイプレス機の構造が簡単になり、また、ダイプレス機
外でダイプレスと同時に磁界印加を行うことにより磁界
中配向成形の生産性が高められる。さらに、粉末の充填
密度を適切に定めることにより、第一の目的を達成する
発明のように高い磁気特性を得ることができる。
【0162】第三の目的を達成する本発明の湿式法によ
りゴムモールドを使用する湿式磁界中ダイプレス法が始
めて可能になり、かつ磁気特性が向上した。
【0163】さらに従来湿式法で多く生産されていたフ
ェライト磁石では(BH)max 5MGOeの磁気特性は
工業生産では得られなかったが、(BH)max ≒4.5
MGOeの磁気特性をダイプレス法により達成すること
ができる粉末に10%の特性向上をもたらす本発明法を
適用することにより(BH)max =5MGOeのフェラ
イト磁石を工業生産で製造することができる。現在4.
5MGOeのフェライト磁石は通常のダイプレス法を用
いて量産されている。(BH)max =4.5MGOeは
現在までの技術では限界に近いが、本発明法を適用すれ
ば(BH)max=5MGOeが可能となる。フェライト
磁石は長い歴史を持っているため多くの改良が既に出つ
くして(BH)max の改良は限界に達していた。本発明
法はこの限界を大きく破る突破口を開いた。又、スラリ
ー中の排水が速いために通常の湿式法に比べて高能率で
圧縮成形が可能になる。
【0164】第四の目的を達成する本発明によれば、ゴ
ムモールドを周回経路で移動させている過程で、(無)
磁界中ダイプレス以外の操作を済ませてしまうために、
従来法と比較して著しく生産性が向上する。
【0165】第五の目的を達成するゴムモールドは圧粉
成形時に生じる成形体の亀裂、割れ、変形などに対して
非常に有効である。また圧粉成形体のエッジの部分を成
形するゴムモールドの部分が面取りされた状態になって
いる(請求項38)と、特に磁化が残留しやすいエッジ
の部分の割れなどを防止できる。したがって圧粉成形体
の自動化工程におけるロボットによる取り扱いやけり出
しに際して割れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】永久磁石粉末を高密度に充填する方法の説明図
である。
【図2】永久磁石粉末の予備圧粉体をつくる方法の説明
図である。
【図3】分割ゴムモールドの図である。
【図4】ゴムモールドの実施例を示す図である。
【図5】ゴムモールドの実施例を示す図である。
【図6】圧粉成形体の形状の説明図である。
【図7】ゴムモールドの実施例を示す図である。
【図8】弓形圧粉体成形用ゴムモールドの実施例の説明
図である。
【図9】図8のゴムモールドの断面図である。
【図10】弓形圧粉体の図である。
【図11】角型を成形するゴムモールドの実施例を示す
図である。
【図12】カマボコ型を成形するゴムモールドの実施例
を示す図である。
【図13】角錐型を成形するゴムモールドの実施例を示
す図である。
【図14】溝付き平板を成形するゴムモールドの実施例
を示す図である。
【図15】ゴムモールドの設計方法の説明図である。
【図16】乾式ダイプレス装置の図である。
【図17】粉末の噛み込みを防止する方法の説明図であ
る。
【図18】乾式ダイプレス装置の図である。
【図19】図18の乾式ダイプレス装置の一部断面図で
ある。
【図20】図18の乾式ダイプレス装置におけるカムの
動作を説明する図である。
【図21】不活性ガス雰囲気中で磁石粉末をゴムモール
ドに充填する方法の説明である。
【図22】周回経路を利用した乾式ダイプレス装置の図
である。
【図23】ゴムモールドの実施例を示す図である。
【図24】リニアートランスポーターの図である。
【図25】湿式成形装置の図である。
【図26】弓形圧粉体を成形する湿式成形装置(セラミ
ックスフィルター使用)の要部を示す図である。
【図27】図25の湿式成形法の各工程の説明図であ
る。
【図28】ばりの発生の説明図である。
【図29】湿式成形法におけるスラリーの充填法の説明
図である。
【図30】湿式成形法におけるスラリーの充填法の説明
図である。
【図31】ゴムモールドの減圧処理法の説明図である。
【図32】ゴムモールドの真空処理法の説明図である。
【図33】ゴムモールドを真空処理しかつゴムモールド
へスラリーを充填する方法の説明図である。
【図34】スラリーを成形する方法の説明図である。
【図35】湿式周回装置の平面図である。
【図36】中空体の成形方法の説明図である。
【図37】マンドレルを備えたゴムモールドの図であ
る。
【図38】図37のゴムモールドで成形される圧粉体の
図である。
【図39】しわによる割れの発生の説明図である。
【図40】ゴムモールドに働く力の説明図である。
【図41】材質、厚みを各部で変えたゴムモールドの図
である。
【図42】上部及び下部が開放されたゴムモールドの図
である。
【図43】圧粉成形体の図である。
【図44】圧粉成形体のコーナーに発生する割れの説明
図である。
【図45】ゴムモールドの実施例を示す図である。
【図46】実施例1〜5で使用したゴムモールドの図で
ある。
【図47】磁界の方向の説明図である。
【図48】従来の垂直ダイプレス法を実施する装置の模
式図である。
【図49】従来の平行ダイプレス法を実施する装置の模
式図である。
【図50】ゴムモールドを使用する粉末の圧縮変形の際
の割れ発生の説明図である。
【符号の説明】
1a 上パンチ 1b 下パンチ 2 ダイ 3 プレスプランジャ 4 電磁コイル 5 磁性粉末 6 磁極 10 ゴムモールド 30 磁場電源 31 油圧ユニット 32 油圧シリンダー 34 フィルター 40 コンベヤー 42 フィーダー 45 フィーダー 50 制御ユニット 60 磁界中プレス装置 62 成形体取り出し装置 63 圧粉体 66 コンベヤー 70 プッシャー 71 シリンダー 75 固定カム 76 油圧ユニット 78 ゴムモールド取出器 79 中空ロッド 80 シリンダー 81 油圧ユニット 82 ピストン 84 ゴムモールド取出器 90 粉末受け皿 92 蓋 93 真空チャンバー 94 吸引口 95 チャンバー 100 ガイド枠 105 ガイドプレート 107 注入口 125 装填装置 128 装填装置 132 真空容器 133 パッキング 134 パッキング 135 ピストン 136 バネ 137 カラー 138 スラリー供給管 139 パッキング 140 第二コンベヤー 141 離型板 142 ストッパ 144 真空ポート 145 エアー導入ポート 150 エアーピストン 151 エアーユニット 152 電磁石 153 電磁石励磁電源 157 プッシャー 158 カッター 159 引込式底部 165 ポンプ 166 エアーユニット
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B30B 11/00 A 9347−4E 15/02 Z 8718−4E H01F 1/08 H01F 1/08 B

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイプレス機により永久磁石粉末の磁界
    中配向成形を行う工程を含む永久磁石の製造方法におい
    て、永久磁石粉末をダイプレス機外で少なくとも側面部
    がゴムからなりかつ、底を有するモールド内に加振及び
    /又はプッシャーによる押圧によって高密度に充填する
    か、あるいは永久磁石粉末の予備圧粉体をダイプレス機
    外で、少なくとも側面部がゴムからなりかつ底を有する
    ゴムモールドに装填し、その後前記永久磁石粉末が充填
    もしくは装填された前記ゴムモールドをダイプレス機内
    に配置し、ダイプレス機のパンチにより前記ゴムモール
    ドおよび永久磁石粉末を圧縮して永久磁石粉末の圧粉体
    を得ることを特徴とする永久磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ゴムモールドに前記加振及び/又は
    押圧によって永久磁石粉末を高密度充填しあるいは前記
    予備圧粉体を装填し、次にゴムモールドの上部開放部に
    蓋をかぶせ、その後永久磁石粉末または予備成形体に磁
    界中配向成形工程前に、磁界を瞬間的に印加するか又は
    磁界中配向成形工程より強い静磁界を印加することを特
    徴とする請求項1記載の永久磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 ダイプレス機により永久磁石粉末の配向
    成形を行う工程を含む永久磁石の製造方法において、永
    久磁石粉末をダイプレス機外で、少なくとも側面部がゴ
    ムからなりかつ底を有するモールド内に自然充填し次に
    加振及び/又はプッシャーによる押圧によって高密度に
    充填するか、あるいは永久磁石粉末の予備圧粉体をダイ
    プレス機外で少なくとも側面部がゴムからなりかつ底を
    有するゴムモールドに装填し、続いてゴムモールドの上
    部開放部に蓋をかぶせ、その後永久磁石粉末または予備
    圧粉体に磁界を瞬間的に印加し、その後前記永久磁石粉
    末が充填もしくは装填されたゴムモールドをダイプレス
    機内に配置し、ダイプレス機のパンチにより前記ゴムモ
    ールドおよび永久磁石粉末を無磁界中で圧縮することを
    特徴とする永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ゴムモールドと、上下パンチのいず
    れか少なくとも一方の間にゴムモールドよりも硬質の弾
    性体からなるバックアッププレートを配置し、パンチに
    よりバックアッププレートを圧縮することを特徴とする
    請求項1から3までの何れか1項記載の永久磁石の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記ゴムモールドに希土類永久磁石粉末
    又は予備成形体を不活性ガスの存在下で充填または装填
    することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1
    項記載の永久磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれか1項記載
    の方法によるプレス成形工程後に、圧粉体の焼結を行う
    ことを特徴とする永久磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 ゴムモールドへ永久磁石粉末とともに樹
    脂を充填することを特徴とする請求項1から5までのい
    ずれか1項記載の永久磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 ゴムモールドへの永久磁石粉末の自然充
    填後に行うゴムモールドへの高密度充填、請求項2又は
    3記載の磁界印加、ダイプレス、及び圧粉成形体のゴム
    モールドからの取りだし、をゴムモールドを搬送する周
    回経路で順次繰り返し行うことを特徴とする請求項2か
    ら7までの何れか1項記載の永久磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 ゴムモールドへの予備圧粉体の装填、請
    求項2または3記載の磁界印加、ダイプレス、及び圧粉
    成形体のゴムモールドからの取りだし、をゴムモールド
    を搬送する周回経路で順次繰り返し行うことを特徴とす
    る永久磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ゴムモールドの周回経路内での搬
    送を不活性ガスチャンバー内で行うことを特徴とする請
    求項8又は9記載の永久磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 ゴムモールドがダイプレス機の上下パ
    ンチと面する上下側の少なくとも一方の側の材料が、ゴ
    ムモールドがダイプレス機のダイに面する側方側のゴム
    よりも硬質であることを特徴とする請求項1から10ま
    でのいずれか1項記載の永久磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 上部又は上下部が開放されたゴムモー
    ルドの少なくとも一方の開放口を有する面をパンチで直
    接加圧することを特徴とする請求項1から11までのい
    ずれか1項記載の永久磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記ゴムモールドの上蓋部もしくは底
    部の少なくとも一方の厚み(t、単位mm)が式:t≦
    16h/D(ただし、hは圧粉体の厚み、Dは圧粉体の
    断面積の正の平方根である)で表されることを特徴とす
    る請求項1から12までのいずれか1項記載の永久磁石
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記圧粉体が中空体であり、前記ゴム
    モールドが中空部形成のために該ゴムモールドより硬質
    の材料からなるマンドレルを備えていることを特徴とす
    る請求項1から13までのいずれか1項記載の永久磁石
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記ゴムモールドがその内側面の末端
    部でかつ上面側および下面側の少なくとも一方において
    粉末側に湾曲している湾曲部を有することを特徴とする
    請求項1から14までのいずれか1項記載の永久磁石の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 吸水孔を備えた上パンチとフィルター
    を有するダイプレス機により永久磁石粉末を圧縮し、ス
    ラリーの磁界中配向成形を行う工程を含む永久磁石の製
    造方法において、ダイプレス機内でまたは外で永久磁石
    粉末のスラリーを充填し、少なくとも側面部がゴムから
    なり、上部が開放されかつ底を有するゴムモールドをダ
    イプレス機内に配置し、前記上パンチと前記ゴムモール
    ドの開放部の間にフィルターを配置し、前記圧縮に際し
    て前記ゴムモールドおよび永久磁石粉末を圧縮するとと
    もに、前記フィルターおよび前記吸水孔を介してスラリ
    ー中の水分又は溶媒を排出することを特徴とする永久磁
    石の製造方法。
  17. 【請求項17】 ゴムモールドに充填されたスラリーの
    上面の形状が上パンチの下面の形状とほぼ一致するよう
    にスラリーをゴムモールドに充填することを特徴とする
    請求項16記載の永久磁石の製造方法。
  18. 【請求項18】 消泡剤を添加したスラリーを使用する
    ことを特徴とする請求項16又は17記載の永久磁石の
    製造方法。
  19. 【請求項19】 ゴムモールドへスラリーを充填する前
    又は後にゴムモールド内を真空減圧処理することを特徴
    とする請求項16から18までのいずれか1項記載の永
    久磁石の製造方法。
  20. 【請求項20】 上部が開放されたゴムモールドの上面
    を金属パンチで直接加圧する請求項16〜19までの何
    れか1項記載の永久磁石の製造方法。
  21. 【請求項21】 ゴムモールドがダイプレス機の下パン
    チと面する側の材料が、ゴムモールドがダイプレス機の
    ダイに面する側方側のゴムよりも硬質であることを特徴
    とする請求項16から19までのいずれか1項記載の永
    久磁石の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記ゴムモールドの底部の厚み(t、
    単位mm)が式:t≦16h/D(ただし、hは圧粉体
    の厚み、Dは圧粉体の断面積の正の平方根である)で表
    されることを特徴とする請求項16から21までのいず
    れか1項記載の永久磁石の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記圧粉体が中空体であり、前記ゴム
    モールドが中空部形成のために該ゴムモールドより硬質
    の材料からなるマンドレルを備えていることを特徴とす
    る請求項16から22までのいずれか1項記載の永久磁
    石の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項16記載の方法のゴムモールド
    への充填、請求項16記載の圧縮及び水分又は溶媒の排
    出、圧粉成形体のゴムモールドからの取りだし、をゴム
    モールドを周回経路に沿って搬送しながら、順次繰り返
    し行うことを特徴とする永久磁石の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項16記載の方法のゴムモールド
    への充填、請求項16記載の圧縮及び水分又は溶媒の排
    出、圧粉成形体のゴムモールドからの取りだし、及び請
    求項19記載の減圧処理を、ゴムモールドを周回経路に
    沿って搬送しながら、順次繰り返し行うことを特徴とす
    る永久磁石の製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項16記載の方法のゴムモールド
    への充填、請求項19記載の減圧処理、請求項16記載
    の圧縮および水分又は溶媒の排出、圧粉成形体のゴムモ
    ールドからの取りだし、をゴムモールドを周回経路に沿
    って搬送しながら、順次繰り返し行うことを特徴とする
    永久磁石の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記スラリーに換えてスラリーを予備
    成形した成形体スラリーを使用する請求項16から26
    までのいずれか1項記載の永久磁石の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記ゴムモールドがその内側面の末端
    部でかつ上面側および下面側の少なくとも一方において
    粉末側に湾曲している湾曲部を有することを特徴とする
    請求項16から27までのいずれか1項記載の永久磁石
    の製造方法。
  29. 【請求項29】 少なくとも側面部がゴムからなりかつ
    底を有するゴムモールドを周回させる経路に沿って、永
    久磁石粉末をゴムモールドに自然充填させるフィーダ
    ー、プッシャーもしくは加振機、磁界発生器、ダイプレ
    ス、及び圧粉成形体をゴムモールドからの取りだす治具
    を順次配列したことを特徴とする永久磁石の製造装置。
  30. 【請求項30】不活性ガスチャンバー内にて前記モール
    ドを周回させる請求項29記載の永久磁石製造装置。
  31. 【請求項31】 少なくとも側面部がゴムからなりかつ
    底を有するゴムモールドを周回させる経路に沿って、永
    久磁石粉末の予備圧粉体のローダー、磁界を印加するパ
    ルス発生器、ダイプレス、及び圧粉成形体をゴムモール
    ドからの取りだす治具を順次配列したことを特徴とする
    永久磁石の製造装置。
  32. 【請求項32】 少なくとも側面部がゴムからなり、上
    部が開放されかつ底を有するゴムモールドを周回させる
    経路に沿って、永久磁石粉末のスラリーをゴムモールド
    に自然充填させるフィーダーもしくはスラリー成形体を
    ゴムモールドに装填するローダー、ダイプレス、及び圧
    粉成形体をゴムモールドからの取りだす治具を順次配列
    したことを特徴とする永久磁石の製造装置。
  33. 【請求項33】 少なくとも側面部がゴムからなり、上
    部が開放されかつ底を有するゴムモールドを周回させる
    経路に沿って、永久磁石粉末のスラリーをゴムモールド
    に自然充填させるフィーダーもしくはスラリー成形体を
    ゴムモールドに装填するローダー、ダイプレス、圧粉成
    形体をゴムモールドからの取りだす治具、及びゴムモー
    ルドを減圧処理するポンプを順次配列したことを特徴と
    する永久磁石の製造装置。
  34. 【請求項34】 少なくとも側面部がゴムからなり、上
    部が開放されかつ底を有するゴムモールドを周回させる
    経路に沿って、永久磁石粉末のスラリーをゴムモールド
    に自然充填させるフィーダーもしくはスラリー成形体を
    ゴムモールドに装填するローダー、ゴムモールド内面を
    減圧処理するポンプ、ダイプレス、及び圧粉成形体をゴ
    ムモールドからの取りだす治具を順次配列したことを特
    徴とする永久磁石の製造装置。
  35. 【請求項35】 少なくとも側面部がゴムからなりか
    つ、ゴムモールドの上蓋部もしくは底部の少なくとも一
    方の材料が、ゴムモールドがダイプレス機のダイに面す
    る側方側のゴムよりも硬質であることを特徴とする永久
    磁石の圧粉体製造用ゴムモールド。
  36. 【請求項36】 少なくとも側面部がゴムからなり、ゴ
    ムモールドの上蓋部もしくは底部の少なくとも一方の厚
    み(t)が式:t≦16h/D(ただし、hは圧粉体の
    厚み、Dは圧粉体の断面積の正の平方根である)で表さ
    れることを特徴とする永久磁石の圧粉体製造用ゴムモー
    ルド。
  37. 【請求項37】 圧粉体が中空体であり、ゴムモールド
    が中空部形成のために該ゴムモールドより硬質の材料か
    らなるマンドレルを備えていることを特徴とする請求項
    35又は36記載の永久磁石製造用ゴムモールド。
  38. 【請求項38】 前記ゴムモールドが内側面の末端部で
    かつ上面側および下面側の少なくとも一方において粉末
    側に湾曲した湾曲部を有することを特徴とする請求項3
    5から37までのいずれか1項記載の永久磁石の圧粉体
    製造用ゴムモールド。
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