JPH074248U - 乳母車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳母車の背もたれ部の背面側にベルトアセン
ブリ７を配置し、このベルトアセンブリ７の長さ調整に
より背もたれ部の傾斜角度を変更する。ベルトアセンブ
リ７は、第１のベルト１０と第２のベルト１１と第１の
ベルト１０の端に連結されかつ第２のベルト１１を通過
させるバックル１２とを備える。第２のベルト１１の一
方主面上には、複数個の係合凹部１３が形成される。バ
ックル１２には、第２のベルト１２の幅方向に移動可能
とされた操作部材１９が保持され、操作部材１９は、下
方へ移動されるようにばね２０で付勢される。操作部材
１９には、係合凸部２２が設けられ、これらが係合凹部
１３に係合したとき、ベルトアセンブリ７の長さが固定
され、係合凹部１３から離脱したとき、ベルトアセンブ
リ７の長さが変更可能とされる。 【効果】 ベルトアセンブリの調整された長さが係合凹
部と係合凸部との係合により確実に維持されることがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、乳母車に関するもので、特に、乳母車に備える座席の背もたれ部 の傾斜角度を変更するための機構の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

現在、座席を備える乳母車が主流となっている。このような乳母車において、 多くの場合、背もたれ部の傾斜角度が変更可能とされている。軽量化が追求され る乳母車にあっては、この背もたれ部の傾斜角度変更機構の構造をできるだけ簡 略化することが望まれる。

【０００３】 たとえば、本件実用新案登録出願人による実開平３−８９６８号公報には、簡 単な構造で実現し得る背もたれ部の傾斜角度変更機構が記載されている。ここに 記載された乳母車では、背もたれ部を支えるように背もたれ部の背面側にベルト アセンブリが配置され、このベルトアセンブリの長さ調整により、背もたれ部の 傾斜角度が変更される。

【０００４】 上述したベルトアセンブリの長さ調整は、次のように達成される。すなわち、 ベルトアセンブリは、その一方端が一方の押棒に連結される第１のベルトと、そ の一方端が他方の押棒に連結される第２のベルトと、第１のベルトの他方端に連 結されかつ第２のベルトを通過させるベルト通路を有するバックルとを備える。 そして、バックルには、所定の回動位置にもたらされたときベルト通路に位置す る第２のベルトに摩擦係合してバックルと第２のベルトとの間の相対移動を禁止 するカム面を有するストッパが回動可能に取付けられる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上述した背もたれ部の傾斜角度変更機構は、構造が簡単であり、操作も簡単で あり、さらに、摩擦係合によってバックルのベルト通路内にある第２のベルトを 固定するものであるので、ベルトアセンブリの長さ調整を無段階で行なうことが でき、そのため、背もたれ部の傾斜角度を無段階に調整することができる、とい うような利点を有する。

【０００６】 しかしながら、上述した第２のベルトの固定のための摩擦係合は、無段階の調 整を可能とする利点をもたらすものの、他方では、第２のベルトの固定の確実さ に欠けるという問題を引起こす。すなわち、摩擦係合する箇所における摩耗が進 んだときには、所期のごとく第２のベルトの固定を確実に達成し得ない事態が生 じてくる。

【０００７】 それゆえに、この考案の目的は、ベルトアセンブリを用いた背もたれ部の傾斜 角度変更機構において、その調整後の長さを確実に維持できるように改良された 、乳母車を提供しようとすることである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案にかかる乳母車は、まず、座部、および前記座部の後端部から上方へ 立上がり、その傾斜角度が変更可能とされた背もたれ部を備える、座席と、前記 座席の各側にそれぞれ位置する第１および第２の固定部材と、前記背もたれ部を 支えるように背もたれ部の背面側に配置され、その各端部が前記第１および第２ の固定部材にそれぞれ連結されるとともに、長さ調整が可能であり、この長さ調 整により前記背もたれ部の傾斜角度を変更する、ベルトアセンブリとを備える。 このベルトアセンブリは、その一方端が前記第１の固定部材に連結される第１の ベルトと、その一方端が前記第２の固定部材に連結される第２のベルトと、前記 第１のベルトの他方端に連結されかつ前記第２のベルトを通過させるベルト通路 を有するバックルとを備える。そして、この考案は、上述した技術的課題を解決 するため、特に次のような構成を備えていることを特徴とする。

【０００９】 すなわち、前記第２のベルトの一方主面上には、複数個の係合凹部を当該ベル トの長手方向に分布させる鋸歯状の段部が形成される。他方、前記バックルには 、前記第２のベルトの前記一方主面側において前記ベルト通路を横切り、かつ前 記第２のベルトの幅方向に移動可能とされた操作部材が保持されるとともに、前 記操作部材を一方方向へ移動させるように付勢するばねが設けられる。そして、 前記操作部材には、前記ばねの付勢により一方方向へ移動したとき、前記複数個 の係合凹部のいずれかに係合する係合凸部が設けられるとともに、その押圧によ り他方方向へ移動させる押圧操作部が前記バックルから突出する状態で形成され ている。

【００１０】

【作用】

この考案において、ベルトアセンブリの調整された長さは、操作部材がばねの 付勢により一方方向へ移動し、操作部材に設けられた係合凸部が第２のベルトに 形成された複数個の係合凸部のいずれかに係合することによって維持される。

【００１１】 また、操作部材に形成された押圧操作部を、ばねの弾性に抗して押圧すること により、係合凸部が係合凹部から離脱し、第２のベルトがバックルに対して自由 に動き得る状態となる。この状態で、ベルトアセンブリの長さを調整することに よって、背もたれ部の傾斜角度を調整する。この調整を終えたとき、押圧操作部 を押圧する力を除けば、ばねの付勢により、操作部材は、係合凸部を所望の係合 凹部に係合させるように移動する。

【００１２】

【考案の効果】

このように、この考案によれば、調整されたベルトアセンブリの長さが、ばね により付勢された操作部材に設けられる係合凸部が、第２のベルトに形成された 係合凹部に係合することによって維持されるので、この長さを確実に維持するこ とができる。そして、従来のように、摩擦係合によらないので、摩耗によって長 さの維持が不確実になることはない。

【００１３】 また、この考案によれば、ベルトアセンブリの長さ調整は、実質的に、操作部 材の押圧操作部を押すか、この押す力を除去するかの操作だけで済むので、長さ 調整を簡単に行なうことができる。

【００１４】 また、この考案によれば、係合凹部が第２のベルトの一方主面上に形成された 鋸歯状の段部によって与えられ、操作部材が、この第２のベルトの一方主面側に おいてベルト通路を横切るようにバックルに保持され、かつ第２のベルトの幅方 向に移動可能とされるので、バックルの部分における厚みを比較的薄くすること ができる。そのため、乳母車の背もたれ部の背面側において、バックルが、後方 へ大きく突出することを防止できる。

【００１５】

【実施例】

図１および図２は、この考案の一実施例による乳母車１を後方から示した斜視 図である。

【００１６】 乳母車１は、座席２を備え、座席２は、座部３、および座部３の後端部から上 方へ立上がり、その傾斜角度が変更可能とされた背もたれ部４を備える。また、 乳母車１は、座席２の各側にそれぞれ位置する第１および第２の固定部材５およ び６を備える。この実施例では、固定部材５および６は、それぞれ、押棒によっ て与えられている。押棒以外の同等の部材を、これら固定部材としてもよい。

【００１７】 背もたれ部４は、布のような可撓性のあるシート材料から構成され、その幅方 向中央部分にのみ、芯材（図示せず）が装着される。背もたれ部４の両側部分は 、それぞれ、固定部材５および６上に巻付けられることにより、これら固定部材 ５および６に連結された状態とされる。図１には、背もたれ部４が比較的立上が った状態が示されているが、この状態では、背もたれ部４の両側部分は、弛んだ 状態となっている。他方、図２には、背もたれ部４が後方へ傾斜した状態が示さ れているが、この状態では、背もたれ部４の両側部分は、比較的張った状態とな っている。

【００１８】 図１および図２に示すように、背もたれ部４の傾斜角度を変更するため、ベル トアセンブリ７が設けられる。ベルトアセンブリ７は、背もたれ部４を支えるよ うに背もたれ部４の背面側に配置される。ベルトアセンブリ７は、単独で、図３ に示されている。図３に示すように、ベルトアセンブリ７の各端部には、Ｃ字状 の留め具８および９がそれぞれ取付けられている。これら留め具８および９を用 いて、ベルトアセンブリ７の各端部が固定部材５および６にそれぞれ連結される 。図４において、一方の留め具８を用いてベルトアセンブリ７の一方端部を固定 部材５に連結している状態が示されている。図４に示すように、ベルトアセンブ リ７の一方端は、固定部材５に巻掛けされた後、留め具８内にベルトアセンブリ ７の一部を受入れることによって、連結が達成される。

【００１９】 ベルトアセンブリ７は、その長さ調整が可能であり、この長さ調整により背も たれ部４の傾斜角度が変更される。このような長さ調整を可能とする構成の詳細 について以下に説明する。

【００２０】 ベルトアセンブリ７は、その一方端に前述した留め具８を保持し、それによっ て第１の固定部材５に連結される第１のベルト１０と、その一方端に前述した留 め具９を保持し、これによって第２の固定部材６に連結される第２のベルト１１ と、第１のベルト１０の他方端に連結されるバックル１２とを備える。

【００２１】 上述した第２のベルト１１の一部が図５に示されている。図６は、図５の線Ｖ Ｉ−ＶＩに沿う断面図であり、図７は、図５の線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う断面図で ある。

【００２２】 第２のベルト１１の一方主面上には、複数個の係合凹部１３をこのベルト１１ の長手方向に分布させる鋸歯状の段部１４が形成される。この実施例では、２個 の段部１４が形成され、それによって、複数個の係合凹部１３が２列に配列され る。

【００２３】 第２のベルト１１の、前述した留め具９が取付けられた側とは逆の端部には、 タングプレート１５が設けられる。タングプレート１５には、たとえば図３に示 されるように、第１のベルト１０を挿通させるスロット１６が設けられている。

【００２４】 図３に示したベルトアセンブリ７におけるバックル１２付近の構成が拡大され て図８に示されている。図８では、バックル１２は、そのカバー１７（図３参照 ）が除去されて図示されている。また、図３と図８とでは、第１および第２のベ ルト１０および１１の相対的位置関係が異ならされている。

【００２５】 主として図８を参照して、バックル１２には、第２のベルト１１を通過させる ベルト通路１８が形成される。このベルト通路１８を通過した後、第２のベルト １１は、図８において、第１のベルト１０の裏側に位置し、タングプレート１８ の先端部のみを第１のベルト１０の表側に位置させる。

【００２６】 バックル１２には、第２のベルト１１の一方主面側、すなわち係合凹部１３が 形成された側においてベルト通路１８を横切るように、操作部材１９が保持され る。この操作部材１９は、第２のベルト１１の幅方向に移動可能とされる。操作 部材１９のこの幅方向の移動をガイドするためのガイド部材は、図示しないが、 カバー１７側に設けられている。また、バックル１２には、操作部材１９を一方 方向へ移動させるように付勢するばね２０が設けられる。このばね２０により、 操作部材１９は、図８において下方へ移動するように付勢される。なお、操作部 材１９の下方への移動の終端を規定するため、操作部材１９には、肩部２１が形 成され、これら肩部２１がバックル１２の一部に係合するようにされる。

【００２７】 操作部材１９には、ばね２０の付勢により下方へ移動したとき、複数個の係合 凹部１３のいずれかに係合する係合凸部２２が設けられる。図８において、係合 凸部２２が破線で示されているように、これら係合凸部２２は、操作部材１９の 背面側に突出している。操作部材１９の背面図が、図９に示されている。係合凸 部２２は、係合凹部１３の各列ごとに２個設けられる。なお、係合凹部１３およ び係合凸部２２には、ベルトアセンブリ７を短くする方向への第２のベルト１１ とバックル１２との相対的移動をより円滑にするため、アール面２３および傾斜 面２４がそれぞれ設けられることが好ましい。

【００２８】 操作部材１９の図８による下端部は、バックル１２から突出していて、ここに 押圧操作部２５を与えている。この押圧操作部２５を押圧した状態が、図１０に 示されている。図１０に示すように、押圧操作部２５が押圧されたとき、係合凸 部２２は係合凹部１３から離脱する。これによって、第２のベルト１１は、バッ クル１２に対して自由に移動し得る状態となる。他方、押圧操作部２５から、こ れを押圧する力を除去すれば、ばね２０の弾性に従って、図８に示すように、操 作部材１９が下方へ移動し、係合凸部２２が係合凹部１３に係合する状態が得ら れる。この状態では、第２のベルト１１のバックル１２に対する移動が禁止され 、ベルトアセンブリ７の長さが固定される。

【００２９】 このように、この実施例による乳母車１によれば、たとえば図１に示す状態に おいて、押圧操作部２５を押圧しながらベルトアセンブリ７の長さを延ばすよう に調整した後、押圧操作部２５への押圧を解除すれば、ベルトアセンブリ７の調 整された長さに従って、背もたれ部４がより傾斜された状態とされる。他方、図 ２に示す状態において、バックル１２を持ちながら押圧操作部２５を押圧し、も う一方の手によってタングプレート１５をバックル１２から離すように引けば、 ベルトアセンブリ７の長さが縮められ、このベルトアセンブリ７の調整された長 さに応じて、背もたれ部４をより立上がった状態とすることができる。

【００３０】 以上述べた実施例において、第２のベルト１１の端部にタングプレート１５が 設けられていたため、第２のベルト１１は、常に、第１のベルト１０に沿う状態 に維持されることができる。しかしながら、このような利点を望まないならば、 第２のベルト１１の端部は、バックル１２から垂下がったままの状態とされても よい。

【００３１】 また、上述した実施例では、第１および第２のベルト１０および１１ならびに バックル１２が、樹脂の成型品で構成することができる。そのため、これらの部 材の着色を自由に選ぶことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による乳母車１を後方から
示した斜視図である。

【図２】図１に相当する図であって、背もたれ部４をよ
り傾斜させた状態を示す。

【図３】図１に示した乳母車１に備えるベルトアセンブ
リ７を単独で示す正面図である。

【図４】図３に示したベルトアセンブリ３の一方端部を
固定部材５に連結した状態を示す正面図である。

【図５】図３に示したベルトアセンブリ７に含まれる第
２のベルト１１の一部を拡大して示す正面図である。

【図６】図５の線ＶＩ−ＶＩに沿う断面図である。

【図７】図５の線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿う断面図である。

【図８】図３に示したベルトアセンブリ７のバックル１
２が位置する部分を示す拡大正面図である。

【図９】図８に示した操作部材１９の背面図である。

【図１０】図８に相当する図であって、操作部材１９が
上方へ移動した状態を示す。

【符号の説明】

１ 乳母車 ２ 座席 ３ 座部 ４ 背もたれ部 ５ 第１の固定部材 ６ 第２の固定部材 ７ ベルトアセンブリ １０ 第１のベルト １１ 第２のベルト １２ バックル １３ 係合凹部 １４ 段部 １８ ベルト通路 １９ 操作部材 ２０ ばね ２２ 係合凸部 ２５ 押圧操作部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座部、および前記座部の後端部から上方
   へ立上がり、その傾斜角度が変更可能とされた背もたれ
   部を備える、座席と、 前記座席の各側にそれぞれ位置する第１および第２の固
   定部材と、 前記背もたれ部を支えるように背もたれ部の背面側に配
   置され、その各端部が前記第１および第２の固定部材に
   それぞれ連結されるとともに、長さ調整が可能であり、
   この長さ調整により前記背もたれ部の傾斜角度を変更す
   る、ベルトアセンブリと、 を備え、 前記ベルトアセンブリは、その一方端が前記第１の固定
   部材に連結される第１のベルトと、その一方端が前記第
   ２の固定部材に連結される第２のベルトと、前記第１の
   ベルトの他方端に連結されかつ前記第２のベルトを通過
   させるベルト通路を有するバックルとを備え、 前記第２のベルトの一方主面上には、複数個の係合凹部
   を当該ベルトの長手方向に分布させる鋸歯状の段部が形
   成され、 前記バックルには、前記第２のベルトの前記一方主面側
   において前記ベルト通路を横切り、かつ前記第２のベル
   トの幅方向に移動可能とされた操作部材が保持されると
   ともに、前記操作部材を一方方向へ移動させるように付
   勢するばねが設けられ、 前記操作部材には、前記ばねの付勢により一方方向へ移
   動したとき、前記複数個の係合凹部のいずれかに係合す
   る係合凸部が設けられるとともに、その押圧により他方
   方向へ移動させる押圧操作部が前記バックルから突出す
   る状態で形成されている、 乳母車。