JPH0741774B2 - 自動二輪車用タイヤ - Google Patents

自動二輪車用タイヤ

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JPH0741774B2
JPH0741774B2 JP63286030A JP28603088A JPH0741774B2 JP H0741774 B2 JPH0741774 B2 JP H0741774B2 JP 63286030 A JP63286030 A JP 63286030A JP 28603088 A JP28603088 A JP 28603088A JP H0741774 B2 JPH0741774 B2 JP H0741774B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トレッドシヨルダ部分における偏摩耗を抑制
し、コーナリングにおけるグリップ性能の維持を計りう
る自動二輪車用タイヤに関する。
〔従来の技術〕
車両の高出力化、高性能化に伴い自動二輪車による高速
度のスポーツ走行がさかんに行われており、又このよう
なスポーツ走行には、直進走行安定性、ウエットグリッ
プ性能等を高めるべく、例えば第8図(a)に示すよう
にタイヤ赤道CO両側にタイヤけり出し方向Sに向かって
外側に傾斜角度を漸増させてのびるハ字状の横溝aを配
したトレッドパターンを有するタイヤが用いられる。
一方、タイヤトレッド面には、同図に示すごとく駆動に
起因するけり出し側に向く反力ffとコーナリング時の遠
心力に起因するシヨルダー側へ向く反力f2とが作用し、
しかも反力f2はキャンバー角が大きくなる、すなわちシ
ョルダ縁に近づくに従い大きくかつ反力ffは小さくな
り、従ってこの反力ffとf2との合力Fが前記横溝aとほ
ぼ同方向となるため、このようなトレッドパターンのも
のは極めて偏摩耗の少ないものとされていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、スポーツ走行にあっては、近年、より安全にか
つより速く走行するために、コーナリング時には加速を
行わず、むしろ減速状態でかつ深いバーンク角ですばや
く車体の向きをかえ、しかる後、車体を起立させてフル
加速を行う走法が主流となっている。
従って従来のタイヤを用いてこの走法を行った場合、第
8図(b)に示すようにコーナリング時においてトレッ
ドショルダ部に作用する合力FN、すなわち制動に起因す
るふみ込み側に向く反力frと前記反力f2とからなる合力
FNが従来の横溝aとは深い角度で交わる方向に作用し、
その結果、横溝a近傍のトレッド面に偏摩耗bを招きコ
ーナリング時のグリップ性能を大巾に損ねるという問題
がある。
本発明は、トレッドシヨルダ縁側の側部分に所定形状の
側溝部を配することを基本として、近代走法に起因した
シヨルダ部での偏摩耗を抑制しうる自動二輪車用タイヤ
の提供を目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的を達成するために、本発明の自動二輪車用タイ
ヤは、タイヤトレッドに、タイヤ赤道CO上に周方向にの
びる直線状の縦溝を具えるとともに、タイヤ赤道COから
タイヤ巾方向外方に向かってトレッド巾TWの0.15倍以上
かつ0.3倍以下の距離L1を隔ててかつ前記縦溝の側壁と
の間に距離を隔てた位置を起点として該起点位置P1から
内方に前記距離L1の0.7倍以上かつ1倍以下の距離L2を
隔てた終点位置P2までの間の中央部分に、溝中心線l1の
傾き角度αが前記タイヤ赤道COに対して15度以上かつ35
度以下の角度範囲で傾斜してのびる中央溝部及びトレッ
ドシヨルダ縁から内方に前記トレッド巾TWの0.15倍の距
離L3を隔てた位置を起点として該起点位置Q1から外方に
前記距離L3の0.7倍以上かつ1倍以下の距離L4を隔てた
終点位置Q2までの間の側部分に、前記起点位置Q1におけ
る溝中心点と前記終点位置Q2における溝中心とを結ぶ傾
き角βが前記タイヤ赤道COに対して30度以上かつ90度以
下の角度範囲でしかも前記中央溝部と逆方向に傾斜する
とともに溝中心線l2が曲線となる側溝部を有する横溝
を、前記タイヤ赤道COを隔てた両側に設け、しかも中央
溝部は、前記起点において、縦溝の前記側壁に沿って平
行にのびかつ5mm以上の内端縁長さBを有するとともに
中央溝部の前記起点近傍に、内端縁に向かって、溝深さ
が減じる隆起部を具えている。
又前記側溝部は、その溝中心線l2が前記距離L3の0.7倍
以上かつ1.8倍以下の長さの半径を有する円弧で形成す
るのがよい。
〔作用〕
このように構成する自動二輪車用タイヤは、近代走法に
よって作用する合力FNとほぼ同方向もしくは浅い角度で
傾く側溝部をトレッドシヨルダ側の側部分に有するた
め、該合力FNに起因する偏摩耗を抑制できる。
〔実施例〕
以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
第1図は、本発明の自動二輪車用タイヤ(以下タイヤと
いう)の一実施例を示す断面図、第2図はその平面図で
ある。
図においてタイヤ1は、中央溝部10と側溝部11とを有す
る横溝12……を具えるトレッド2と、その両端からタイ
ヤ半径方向内方に向かってのびるサイドウオール3と、
該サイドウオール3のタイヤ半径方向内端部に位置する
ビード4とを有しており、又ビード4に設けるビードコ
ア5、5間にはトロイダル状のカーカス6が架け渡され
るとともにその半径方向外側にはベルト層7が配され
る。なおトレッド2は、カーカス6のクラウン上にその
輪郭と略平行にクラウン中央から外方に延びその直線巾
であるトレッド巾TWがサイドウオール3の最大巾を越え
る断面形状をなすことによりコーナリング時のキャンバ
ースラストが維持される。
又カーカス6は、本例ではそのコードがタイヤ赤道に対
して約70〜90度の角度で傾斜する2枚のプライで構成さ
れ、ビードコア6のまわりを内側から外側に折返される
両端は前記サイドウオール3で終端する。
ビード4外側に位置するカーカス6の折返し端6aは、ビ
ード4内側のカーカス6の折返し端6bよりも高い位置ま
で延長し、前記内の折返し端6bを完全に被覆することに
より該端部での応力集中を緩和する。
なお本例ではラジアル構造をなすことにより低下するタ
イヤ横剛性を補強するため、前記内、外の折返し端6b、
6aのビード底からの高さHb、Haをタイヤ断面高さHの15
〜30%及び20〜40%の範囲に設定し、かつカーカス6本
体部とその折返し端6a、6bに囲まれる部分にビードコア
5からサイドウオール方向に厚さを漸減してのびる硬質
ゴムよりなるビードエーペックス9を配置するととも
に、前記サイドウオール3自体も比較的硬質のゴムで形
成している。又カーカス6のプライコードには、初期引
張弾性率が850kg/mm2以下の有機繊維コード、例えばレ
ーヨン、ポリエステル、ナイロン等が使用される。
又ベルト層7は、本例ではタイヤ赤道に対して30度以下
程度の角度で傾斜されたコードを具えかつ前記トレッド
2の略全巾に亘る巾を有して配置される2層のベルトプ
ライ7a、7bからなり、プライコードを初期引張弾性率が
2500kg/mm2程度もしくはそれ以上の高モジュラスの繊維
コード、例えば芳香族ポリアミド繊維、スチール繊維、
ガラス繊維、炭素繊維等で構成することにより、高速走
行性能を向上する。なおカーカス6、ベルト層7は夫々
使用条件により、そのプライ数及びプライコードの材質
を適宜に変化させることができる。
又前記カーカス6、ベルト層7を埋設するトレッド2表
面には、横溝12……を、タイヤ赤道COを隔てた両側かつ
本例では対称位置に隔設してなるトレッドパターンが形
成される。
横溝12は、第2図に示すように、前記トレッド2の中央
部分13に配される中央溝部10と側部分15に配される側溝
部11とを有する。
前記中央部分13は、タイヤ赤道COからタイヤ巾方向外方
に向かって前記トレッド巾TWの0.15倍以上かつ0.3倍以
下の距離L1を隔てた位置を起点として該起点位置P1から
内方に前記距離L1の0.7倍以上かつ1倍以下の距離L2を
隔てた終点位置P2までの間の領域で定義され、該中央部
分13は、直線コース及び比較的大きい曲率半径を有する
コーナ部においてフル加速状態で走行するための接地領
域である。
又側部分15は、トレッドシヨルダ縁Taから内方に前記ト
レッド巾TWの0.15倍の距離L3を隔てた位置を起点として
該起点位置Q1から外方に前記距離L3の0.7倍以上かつ1
倍以下の距離L4を隔てた終点位置Q2までの間の領域で定
義され、該側部分15は小さな曲率半径を有するコーナ部
において非加速状態でしかも大きなバンク角度で走行す
るための接地領域である。
そして中央溝部10は、溝中心線l1を、タイヤ赤道COに対
して15度以上かつ35度以下の傾き角度αで傾斜させた本
例では直線溝状をなす。
なおこの傾き角αは、排水性を維持させる範囲内におい
て、直進走行の際の加速、制動による反力Ff、Fr及び低
バンク角で加速旋回する際の遠心力により反力f2と加速
による反力ffとの合力の双方の力の向きに沿わせた角度
であり、このことにより、該力Fr、Ff、F、への担持能
力を高め、直進走行性能、加速旋回性能を向上するとと
もに偏摩耗を抑制する。
傾斜角度αが15゜未満の場合排水性を低下し又35゜を越
えると反力Ff、Frの担持能力に欠け直進走行性能を損ね
るとともに偏摩耗を招く。
なお前記反力f2はショルダ縁Taに近づくにつれ増加する
ため、中央溝部10を、外方に向けて傾斜角が漸増する円
弧で形成することもでき、かかる場合、溝中心線l1の接
点の傾き角は前記15〜35度の範囲である。
側溝部11は、前記起点位置Q1における溝中心点と前記終
点位置Q2における溝中心点とを結ぶ直線l3の傾角βがタ
イヤ赤道に対して50度以上かつ90度以下の角度範囲でし
かも前記中央溝部10と逆方向に傾斜するとともに、その
溝中心線l2は、前記直線l3に踏み込み側を通る略円弧曲
線で形成している。
この傾き角βは、非加速状態、特に弱制動状態でかつ深
いバンク角で急旋回する際に側部分15に作用する合力す
なわち遠心力による反力f2と制動による反力frとの合力
FNの向きに沿わせた角度であり、このことにより急旋回
性能を高めかつ偏摩耗を抑制する。なおより好ましくは
本例の如くショルダ縁Taに近づくにつれ増加する反力f2
及び減少する反力frを考慮し、その中心線l2を前記距離
L3の0.7倍〜1.8倍の長さの半径Rを有する円弧で形成す
るのがよい。前記傾き角βが30゜未満の場合及び90゜以
上の場合合力FNの向きと著しく相違し偏摩耗等の原因と
なる。
又本例では前記中央溝部10と側溝部11とはU字状の継ぎ
溝部16で連結し、排水性を高めておりこのような横溝12
は、その溝巾を一定とすることができるが、例えば排水
性をより高めるため、シヨルダ縁に向けて拡巾してもよ
い。又さらに横溝には第5図に示すように、ふみ込み側
に向く溝壁12Aの傾きγaを3〜10度とすることにより
走行の際の溝壁12Aの溝内へのたおれ込みを防止しかつ
けり出し側に向く溝壁12Bの傾きγbを10〜20度とする
ことにより溝内の水のタイヤ回転による放出を容易とし
ている。
前記距離L2を距離L1の1倍未満とすることにより形成さ
れる横溝12の内端12a、12a間にタイヤ円周方向にのびる
縦溝19を有し、該内端12aは、第3〜4図に示すように
該縦溝19の側壁19A上縁19A1に沿って平行にのびしかも
上縁19A1との間に、距離Aを隔てた内端縁12a1で終端す
る。しかも内端縁12a1の長さBを5mm以上かつ前記距離
Aを3mm以下に設定し、内端縁12a1と上縁19A1との間の
間隙部分18上面巾を小巾にかつ該上面にのぞむ横溝12開
口巾を大巾にすることにより該上面と路面との間に介在
する水膜の排水性を高めウエットグリップ性を向上す
る。又前記内端12a近傍には、第4図に示すように、横
溝12の溝底12bから前記内端縁12a1に向かって溝深さが
暫減することにより隆起する隆起部20を具え、前記間隙
部分18を補強しその剛性を高めることにより、ドライグ
リップ性能と方向安定性と耐摩耗性とを向上する。なお
隆起部20は、溝底12bから隆起する始点R1と内端縁12a1
に至る隆起の終点R2とを結ぶ横溝方向の傾きθが40度以
上かつ80度以下とすることにより前記排水性を損ねるこ
となく前記剛性を効果的に高める。
又第6図に本発明の他の実施例を示す。
第6図において各横溝12……は、継ぎ溝部16……間を通
る縦溝21及び隣り合う中央溝部10、10間を継ぐ斜溝22に
より互いに導通し排水性を高めている。
〔具体例〕 第1〜2図に示す構造をなしかつ第1表に基づく実施例
品のタイヤを試作し実車テストにより制動性、加速性、
耐摩耗性、グリップ性、ラップタイムを夫々測定し、そ
の結果を第2表に指数で表示した。なお前記指数は第8
図に示すトレッドパターンを有するタイヤの測定値を10
0とした比較値であり、値の大きい方が優れている。
〔発明の効果〕
叙上のごとく本発明の自動二輪車用タイヤは、トレッド
シヨルダ縁側の側部分に所定形状の側溝部を形成してい
るため、近代走方に伴うトレッドシヨルダ部での偏摩耗
を抑制でき、グリップ低下を防止し、走行ラップタイム
を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す断面図、第2図はその
平面図、第3図は横溝内端を拡大して示す平面図、第4
図は隆起部を示す第3図のII線断面図、第5図は横溝を
示す断面図、第6図は横溝の他の実施例を示す線図、第
7図は比較テストに用いたタイヤの平面図、第8図
(a)、(b)は従来技術を説明する略線図である。 2……トレッド、10……中央溝部、 11……側溝部、12……横溝、 13……中央部分、15……側部分。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイヤトレッドに、タイヤ赤道CO上に周方
    向にのびる直線状の縦溝を具えるとともに、 タイヤ赤道COからタイヤ巾方向外方に向かってトレッド
    巾TWの0.15倍以上かつ0.3倍以下の距離L1を隔ててかつ
    前記縦溝の側壁との間に距離を隔てた位置を起点として
    該起点位置P1から内方に前記距離L1の0.7倍以上かつ1
    倍以下の距離L2を隔てた終点位置P2までの間の中央部分
    に、溝中心線l1の傾き角度αが前記タイヤ赤道COに対し
    て15度以上かつ35度以下の角度範囲で傾斜してのびる中
    央溝部、 及びトレッドシヨルダ縁から内方に前記トレッド巾TWの
    0.15倍の距離L3を隔てた位置を起点として該起点位置Q1
    から外方に前記距離L3の0.7倍以上かつ1倍以下の距離L
    4を隔てた終点位置Q2までの間の側部分に、前記起点位
    置Q1における溝中心点と前記終点位置Q2における溝中心
    とを結ぶ線l3の傾き角βが前記タイヤ赤道COに対して30
    度以上かつ90度以下の角度範囲でしかも前記中央溝部と
    逆方向に傾斜するとともに溝中心線l2が曲線となる側溝
    部を有する横溝を、前記タイヤ赤道COを隔てた両側に設
    け、 しかも中央溝部は前記起点において、縦溝の前記側壁に
    沿って平行にのびかつ5mm以上の内端縁長さBを有する
    とともに、中央溝部の前記起点近傍に、内端縁に向かっ
    て、溝深さが減じる隆起部を具えてなる自動二輪車用ラ
    ジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】前記溝中心線l2は、前記距離L3の0.7倍以
    上かつ1.8倍以下の長さの半径Rを有する円弧で形成さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用タイ
    ヤ。
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