JP3424975B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP3424975B2
JP3424975B2 JP06776994A JP6776994A JP3424975B2 JP 3424975 B2 JP3424975 B2 JP 3424975B2 JP 06776994 A JP06776994 A JP 06776994A JP 6776994 A JP6776994 A JP 6776994A JP 3424975 B2 JP3424975 B2 JP 3424975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の片流れを改善で
き、直進走行性能を高めうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の車両の高性能化、道路網の整備に
伴い、タイヤについても、耐久性、操縦安定性、乗心地
などの諸性能に加えて、例えばハンドルを手離した際に
おいて所定の距離を走行する間に、その直進方向線に対
して片側に位置ずれし横流れする、いわゆる車両の片流
れを減じ、直進走行安定性を高めるなど、さらに運転の
快適性を改善することが望まれている。
【0003】従来、この車両の片流れは、トレッド部の
タイヤ軸方向左右において、特にベルト層の周長が異な
ることによりコーン状となるいわゆる円錐度に起因する
ものとされ、従って、タイヤ軸方向左右の均等性を高め
るべく、種々の対策がとられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この円
錐度の改善によっては、車両の片流れを充分には防止し
えないことが判明した。
【0005】他方、近年のタイヤ測定技術の進歩によっ
て、図14に略示するごとく、タイヤ進行方向Xに対し
て微小のスリップ角αを付与したときの、タイヤ軸方向
Yに生じるコーナリングフオース、即ち横力Foと、タ
イヤ中心を通る垂直軸Zまわりでスリップ角αの方向に
回転するセルフアライニングトルクSATとを高精度で
計測することが可能となった。
【0006】このような計測結果は、キャンバー角βを
0として、例えば図15に示すように、横軸にセルフア
ライニングトルクSATを、縦軸に横力Foを用いて直
線Kを用いて示される。又直線Kにおいて、スリップ角
αが0度、−0.2度、+0.4度の場合を黒丸で示し
ている。
【0007】このように、ラジアルタイヤにおいては、
一般に、直進走行状態においても、横力Fo、セルフア
ライニングトルクSATが発生している。なおスリップ
角α、キャンバー角βがともに0であるときの横力Fo
は、LFD(ラテラルフオースデビエーション)と言わ
れる。
【0008】このようなセルフアライニングトルクSA
T、横力Foとの関係において、前記直線Kが縦軸と交
わる交点ko1の横力Fo、即ちセルフアライニングト
ルクSATが生じないときの横力Foを残余CFと名付
ける。この残余CFが車両の片流れに影響を及ぼすこと
が判明した。即ちこの残余CFがプラス方向であるとき
車両が右方向に片流れすることを意味するように、残余
CFの向き、大きさによって車両の片流れ性を評価で
き、従って車両の片流れを防止するには、この残余CF
を低下することが必要となる。
【0009】なお、タイヤ赤道を中心としてその左右に
半径差が生じる、いわゆる円錐度のあるタイヤにおいて
は、タイヤの組付に際して、前記残余CF、セルフアラ
イニングトルクSATは、大径側を進行方向に対して右
又は左に変化させ、いわゆる表組、裏組をした際におい
ては、図16に示すように、前記直線Kは、表組の直線
K1、裏組の直線K2に示すように、2つの平行な直線
となる。又図16に示すように、ともにスリップ角αが
0、キャンバー角βが0の場合における横力の平均値を
プライステアとよび、各平均値からの偏差を、横力Fo
におけるコニシテイと定義している。
【0010】さらに車両の片流れと、残余CF、残余セ
ルフアライニングトルクSATとの関係において、ハン
ドルを手離しして走行する際には、合計のセルフアライ
ニングトルクSATが0となるため、従ってこのとき、
タイヤには残余CFが発生することとなる。通常、これ
にさらにコニシテイに基づく力が作用し、車両には、残
余CFの合力とコニシテイに基づく横力が、タイヤに関
して車両に発生する。
【0011】なお残余CFと、車両流れの一例を図17
に示す。この車両の片流れ量は、時速50kmで100m
を、ハンドルを手離し状態で走行させたときに生じる横
ずれ量であり、図12はサイズ215SR15のタイヤ
を用いて測定している。このように残余CFと車両流れ
とは、相関関係を有するのがわかり、車両流れを防ぐに
は残余CFを低減させるのがよいことが判明した。
【0012】本発明者は、コニシティを所定の値以下と
することを前提として、残余CFを低下するべく種々研
究を行った結果、残余CFはタイヤのトレッドパターン
と、ベルト層の構造とによって変化することを見出し
た。
【0013】ここでベルト層が残余CFに及ぼす影響と
しては、このベルト層を形成するベルトプライのなかで
最も半径方向外側に位置するベルトプライにおいて、そ
のベルトコードがタイヤ赤道に対して傾斜するその向き
によるのが最も大きいことが知られている。
【0014】即ち、図8(A)に示すように、タイヤを
正面から見たとき、最外側のベルトプライのベルトコー
ドbがタイヤ軸方向左側が先着する向きに傾けて配列し
たとき(正貼り)には、そのタイヤの接地面を、タイヤ
内側から見た図8(B)においては、反時計廻りの方向
に作用する回転モーメントMLが路面からタイヤの接地
面に作用し、この回転モーメントMLによってタイヤの
接地部が波打ち車両が片流れすることになる。
【0015】又、図9(A)に示すようにベルトコード
b′がタイヤ軸方向右側が先着する向きに傾けて配列し
たとき(逆貼り)には、タイヤの接地面には時計廻りの
方向に作用する回転モーメントMRが作用し、この回転
モーメントMRによって、図9(B)に示すように、タ
イヤの接地部は図8の場合とは逆向きの波打ちが生じ車
両が図8のものとは逆の方向に片流れすることとなる。
【0016】前記問題点を解決すべく、ベルト層の半径
方向外側にタイヤ周方向に周回するコードを用いた補強
層を設ける提案(例えば特開昭60−234003号公
報)もある。しかしこのような補強層を設けることによ
って、タイヤ重量が増し燃費を増大させるという問題が
ある。
【0017】そこで、ベルト層の構成と対応したブロッ
クパターンの提案がなされている。例えば特開昭63−
13802号公報においては、ブロックの剪断剛性の最
大となる方向をベルト層の最外層のコードの向きと対応
させて規制する提案、又出願人による特開平2−147
416号公報において、ブロックを形成する横溝のタイ
ヤ軸に対する傾き角度をトレッド部の中央部分と側部分
とで変化させる提案、さらには特開平4−193607
号によってなされたブロックの個数を規制する提案がな
されている。
【0018】しかしこれらの提案のものでは、何れもブ
ロックパターンのものに限定され、しかもそのパターン
が自ずと規制されることにより、例えば乗用車用として
広く用いられる一部の横溝がリブ状につながっているパ
ターンを有するタイヤに適用することが出来ないという
問題が生じた。
【0019】特に乗用車用タイヤにあっては、近年、高
速走行性の向上及びより低騒音化の要望がより高くな
り、これらの要請に対してブロックパターンに限定され
ることなく、普遍的なパターンであっても車の片流れを
改善しうるタイヤの出現が期待されるようになった。
【0020】発明者は、トレッド部に形成される横溝に
ついて、その横溝を形成する溝壁面の傾きを前記ベルト
層の最外側のベルトコードの傾きと関連づけて規制する
ことにより、ベルト層によって生じる残余CFとトレッ
ドパターンによって生じる残余CFとが互いに打消し合
い、パターンに制約されることなく車両の片流れを改善
しうることを見出し本発明を完成させたのである。
【0021】本発明は、車両の片流れを改善し、直進走
行性能を高め、乗用車に好適に採用しうる空気入りタイ
ヤの提供を目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、トレッド部か
らサイドウォール部を通りビード部のビードコアの周り
を折返すカーカスと、トレッド部の内部かつカーカスの
タイヤ半径方向外側に配されかつベルトコードをタイヤ
赤道に対して傾けて重ねた複数枚のベルトプライからな
るベルト層とを具え、しかもトレッド部に周方向にのび
る複数本の縦溝と、この縦溝に交わる方向にのびる横溝
とを設けた空気入りタイヤであって、前記トレッド部が
タイヤ赤道面を境界としてタイヤ軸方向左右に、半径方
向最外側の前記ベルトプライのタイヤ赤道に対して傾く
ベルトコードがタイヤ転動に際して先着する側の領域と
なる先着領域と、他方の後着領域とに仮想区分されてお
り、前記先着領域において、前記横溝の先着する側の溝
壁面は、トレッド面に垂直な法線に対してトレッド面が
先着する向きにかつ傾き角度θ2で傾き、かつ後着する
側の溝壁面は、前記法線に対してトレッド面が後着する
向きに傾き角度θ1で傾くとともに、前記後着領域にお
いては、前記横溝の先着する側の溝壁面は前記法線に対
してトレッド面が先着する向きに傾き角度θ3で傾き、
かつ後着する側の溝壁面は、前記法線に対してトレッド
面が後着する向きに傾き角度θ4で傾かつ前記横溝
は、先着領域、後着領域の夫々において、前記傾き角度
θ2、θ4を、夫々傾き角度θ1、θ3よりも大とした
倒れ溝部分を、トレッドの端縁側の先着側領域、後着側
領域に形成し、 しかも前記倒れ溝部分以外の横溝は、前
記各傾き角度前記θ1、θ2、θ3、θ4を略同一とし
ことを特徴とする
【0023】なお、横溝は、縦溝と交差することによ
り、トレッド部にこれらの縦溝と横溝とによって区分さ
れたブロックパターンを形成することが出来る。
【0024】又、半径方向最外側のベルトプライのベル
トコードは、タイヤ赤道に対して16〜26度の角度で
傾けて配設するのが好ましい。
【0025】
【作用】前記構成を具えることにより、タイヤ走行時に
トレッド部が接地する際において、ベルト層の半径方向
最外側のベルトプライのコードがタイヤ赤道に対して傾
斜することによって生じる回転モーメントを、トレッド
部の前記横溝が先着領域と後着領域とにおいて溝壁面の
傾き角度を違えたことによる溝壁面の倒れの差によって
生じる回転モーメントによって打消されるため、タイヤ
全体の残余CFを0に近づけることが出来る。これによ
り車両の片流れが減少し、直進走行性を高めうる。
【0026】なお、本発明においては、前述の如く横溝
の先着側、後着側の夫々において向き合う溝壁面の相対
的な傾き角度を規制した倒れ溝部分を含んでいるため、
トレッドパターンはブロックパターンに限定されること
なく、一部がリブ状につながっているもの、さらには一
部にラグ溝が存在するもの等、従来のものに比して巾広
いパターンのタイヤについて採用することが出来、高
速、高性能化を目指す乗用車用タイヤに好適に採用する
ことが出来るのである。
【0027】
【実施例】以下本発明の一実施例を、空気入りタイヤが
乗用車用ラジアルタイヤである場合を例にとり図面に基
づき説明する。
【0028】図1〜4において、空気入りタイヤ1は、
トレッド部2とその両端からタイヤ半径方向内側に向け
てのびるサイドウォール部3と、該サイドウォール部3
のタイヤ半径方向内端に位置するビード部4とを有す
る。
【0029】又空気入りタイヤ1には、前記トレッド部
2からサイドウォール部3を通りビード部4のビードコ
ア5をタイヤ軸方向内側から外側に向かって折返すカー
カス6と、トレッド部2の内部かつカーカス6の半径方
向外側に配されるベルト層7とを具える。
【0030】カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤
道COに対して45度〜90度の角度で配列したセミラ
ジアル又はラジアル方向配列体であり、又カーカスコー
ドとしてナイロン、ポリエステル、レーヨン等の繊維コ
ードの他、スチールコードが採用される。
【0031】前記ベルト層7は、カーカス6から半径方
向外側、即ちトレッド部2の外表面に向かって順次第1
のベルトプライ7A、第2のベルトプライ7Bの順に配
される2層のベルトプライからなる。第1のベルトプラ
イ7Aは、例えばそのコード12をタイヤ赤道COに対
して右上りに16度〜26度の範囲で傾けて配列する一
方、第2のベルトプライ7Bは、第1のベルトプライ7
Aとは逆に左上りに16度〜26度の範囲γで傾けて配
列され、いわゆる正貼りとして形成されている。従って
第1、第2のベルトプライ7A、7Bは、そのコード1
2が互いに交叉することにより、両プライ7A、7Bに
よってタガ効果が生じトレッド部2の周方向及び軸方向
に対する剛性を高めうるのである。本実施例では、前記
第2のベルトプライ7Bが最外側のベルトプライ11と
して形成される。
【0032】なお、前記ベルトコード12の傾き角度γ
が16度未満では、タイヤ走行時において、接地面の形
状がタイヤ軸方向に拡がるフラット形状となり、又26
度をこえて大となれば接地面形状がタイヤ軸方向に巾狭
の円形状となり、ともにトレッド面2Aの中央部分とシ
ョルダー部分との接地性が変化しそれぞれのバランスが
くずれることとなり好ましくない。
【0033】前記第1、第2のベルトプライ7A、7B
の各ベルトコード11は、スチールコードの他、比較的
高い弾性率を有するナイロン、ポリエステル、レーヨン
等の繊維コードの他、テフロン、芳香族ポリアミドの繊
維が用いられる。
【0034】ベルト層7は、前記した如く、最外側のベ
ルトプライ11のベルトコード12が図3において左上
がりに傾くことにより、図3におけるタイヤ軸方向左側
が右側に比べてベルトコード12が先着することとな
り、本実施例ではトレッド部2をタイヤ赤道COから左
側を占める先着領域Fと、タイヤ赤道COから右側を占
める後着領域Rとに仮想区分している。
【0035】又トレッド部2には、周方向に略直線状に
のびる複数本、本例では6本の縦溝9A、9A、9B、
9B、9C、9C(総称するときには縦溝9という。)
がタイヤ赤道COを挟んで対称の位置に配される。
【0036】又トレッド部2にはこれらの縦溝9…と交
わる向きに配される複数本の横溝10がトレッド部の一
方の端縁E1からタイヤ赤道COを横切り他方の端縁E
2に向かってかつタイヤ赤道COと交差部においてはタ
イヤ赤道COに対する交わり角が最も小さくなるようS
字状に曲折し形成される。従ってトレッド部2にはこれ
らの縦溝9…、横溝10及び前記端縁E1、E2によっ
て囲まれたブロックからなるブロックパターンが形成さ
れるとともに、この横溝10は、先着領域部分10Fと
後着領域部分10Rとに区分される。
【0037】前記先着領域Fにおいて横溝10の先着領
域部分10Fは、図4(A)に示す如く、先着する側の
溝壁面16が、トレッド面2Aに垂直な法線Nに対して
トレッド面2が先着する向きfに傾き角度θ2で傾き、
かつ後着する側の溝壁面17が、前記法線Nに対して後
着する向きrに傾き角度θ1で傾いている。
【0038】他方、後着領域Rにおいては、横溝10の
後着領域部分10Rは、図4(B)に示す如く、先着す
る側の溝壁面19が前記法線Nに対してトレッド面2が
先着する向きfに傾き角度θ3で傾き、かつ後着する側
の溝壁面20が前記法線Nに対して後着する向きrに傾
き角度θ4で傾いている。又これらの各傾き角度θ1、
θ2、θ3、θ4は何れも5〜20°の範囲に設定され
る。
【0039】本実施例では、先着領域Fでは、一方の端
縁E1と中間の縦溝9Bとの間に形成される先着側領
おいて、横溝10の先着領域部分10Fの前記先着す
る側の溝壁面16の前記傾き角度θ2が、後着する側の
溝壁面17の傾き角度θ1よりも大とした倒れ溝部分1
3が設けられる。
【0040】他方後着領域Rでは、他方の端縁E2と中
間の縦溝9Bとの間に形成される横溝10の後着領域部
分において、横溝10の後着領域部分10Fの前記後着
する側の溝壁面20の前記傾き角度θ4が先着する側の
溝壁面19の傾き角度θ3よりも大とした倒れ溝部分1
4が設けられる。
【0041】前記倒れ部分13、14において、前記傾
き角度θ1、θ3が5度未満であれば溝壁面17、19
がトレッド面2Aと交わるエッジ部分での剛性が低下
し、ヒールアンドトウ摩耗などの偏摩耗が生じやすい。
又傾き角度θ2、θ4が20度をこえて大となれば溝断
面積が小さくなり、排水性が低下することにより湿路面
での操縦安定性が低下する危険がある。
【0042】この倒れ溝部分13、14では傾き角度差
(θ2−θ1)、及び(θ4−θ3)は何れも5度以上
かつ15度以下の範囲で設定される。
【0043】なお、倒れ溝部分13、14以外の部分に
おける横溝10は、その溝壁面の前記各傾き角度θ1、
θ2、θ3、θ4を略同一とした対称の溝断面をなす溝
として形成している。
【0044】図5、6に最外側のベルトプライ11のベ
ルトコード12が右上がりに16〜26度の範囲で傾け
て配された、いわゆる逆貼りとして形成された態様を示
す。
【0045】本例では、前記最外側のベルトプライ11
のベルトコード12が図5において右上がりに傾くこと
により、図3における右側が左側に比べてベルトコード
12が先着することとなり、本実施例では、トレッド部
2をタイヤ赤道COから右側を占める先着領域Fと、タ
イヤ赤道COから左側を占める後着領域Rとに仮想区分
している。
【0046】従って、本例では、倒れ溝部分13、14
の間では、横溝10の溝断面形状は、図6に示すよう
に、前述の図3、4のものとタイヤ軸方向に対して左右
逆に傾く形状となる。
【0047】然して、図1〜4に示すベルト層7の最外
側のベルトプライ11のベルトコード12が左上がり、
即ち正貼りのときにおいては、該ベルトコード11は模
式図として示す図8(A)の如く配設される。
【0048】この正貼りにおけるトレッド面2Aの接地
面をタイヤ内側から見た図8(B)においては、前記ベ
ルトコード12が傾斜することによって、タイヤ1が時
計廻りに回転したとき、反時計廻りの方向に作用する回
転モーメントMLがタイヤの接地面に作用し、この回転
モーメントMLによってタイヤの接地部分が波打ち変形
し、車両が片流れすることになる。
【0049】他方、トレッドパターンにあっては、横溝
10は、先着領域Fの倒れ溝部分13と後着領域Rとに
おいて、溝壁面の各傾き角度θ1、θ2、θ3、θ4を
図4(A)、(B)に示す如く違えており、図4に示す
構成によって、時計廻りの方向に作用する回転モーメン
(ml)が作用する。
【0050】従って、タイヤの接地面には、前記ベルト
コード12の傾斜することによって生じる回転モーメン
トMLと、トレッドパターンによって生じる回転モーメ
ント(−ml)とが互いに打消し合い0に近づくよう作
用し、綜合的には接地面での回転モーメントが著減する
こととなる。
【0051】さらに図5、6に示すように最外側のベル
トプライ11のベルトコード12が右上がり、即ち逆貼
りにおいて、該ベルトコードは図9(A)の如く配設さ
れる。
【0052】この逆貼りにおけるトレッド面2Aの接地
面をタイヤ内側から見た図9(B)においては、タイヤ
1が時計回りに回転したとき時計回りの方向に作用する
回転モーメントMRがタイヤの接地面に作用し、この回
転モーメントMRによって、前述の正貼りのタイヤとは
逆の方向に車両が片流れすることとなる。
【0053】トレッドパターンにあっては、横溝10
は、その溝壁面の傾き角度θ1、θ2、θ3、θ4の構
成が図6に示す如く図4に示す正貼りのタイヤとはタイ
ヤ赤道COを中心として対称位置に配されており、反時
計方向に作用する回転モーメント(−mr)が作用す
る。
【0054】これによって、回転モーメントMRと回転
モーメント(−mr)とが互いに打消し合い接地面の回
転モーメントが正貼り時と同様に減じうる。
【0055】このように、ベルト層7の正貼り、逆貼り
に対応してトレッド面2Aに形成される横溝10に、ベ
ルトコード12の先着領域F、後着領域Rのそれぞれに
向き合う溝壁面の傾きの大小を互いに逆とした1対の倒
れ溝部分13、14を設けることにより、ベルトコード
12が傾くことによって生じる回転モーメントを、この
横溝10によって打消しうる逆方向の回転モーメントを
発生させ、トレッド面2Aに生じる回転モーメントが0
に近づくよう打消し合い走行時に生じる車両の片流れを
抑制し、走行の安定性を高めうるのである。
【0056】図7は、タイヤ赤道COを中心として夫々
トレッド縁E1、E2に向かう対称の山状をなす横溝1
0を設けた他の態様を示す。図7においてはベルト層1
0は正貼りとして形成され、従って本例では、図に向か
ってタイヤ赤道COの左側に先着領域Fを、又タイヤ赤
道COの右側に後着領域Rを形成している。又先着、後
着各領域F、Rには、横溝10にトレッド縁E1、E2
と中間の縦溝9Bとの間にそれぞれ倒れ溝部分13、1
4が形設される。
【0057】先着領域Fにおける倒れ溝部分13では、
先着する側の溝壁面の傾き角度θ2を後着する側の溝壁
面の傾き角度θ1よりも大、又、後着領域Rにおける倒
れ溝部分14では後着する側の溝壁面の傾き角度θ4を
先着する側の溝壁面の傾き角度θ3よりも大としてそれ
ぞれ形成している。
【0058】図12、図13にトレッドパターンの他の
実施例を示す。図12においては、タイヤ赤道COに沿
って周回する中央の縦溝21Aと、この中央の縦溝21
Aと両側のトレッド縁E1、E2との間に夫々配される
1対の側の縦溝21B、21Bとからなる縦溝21によ
って内のリブ22A、22A、外のリブ22B、22B
の4つのリブを有するトレッドパターンを形成する。
【0059】外のリブ22Bにはトレッド縁E1、E2
と側の縦溝21Bとの間を結ぶ連続の横溝23Aが、又
内のリブ22Aには、側の縦溝21Bから4タイヤ赤道
COに向かってのびるとともに内のリブ22A内で途切
れる第1の途切れの横溝23Bと、中央の縦溝21Aか
らトレッド縁E1、E2に向かってのびるとともに前記
内のリブ21A内で途切れる第2の途切れの横溝23C
とを有する。これら連続の横溝23A及び第1、第2の
横溝23B、23Cによって横溝が形成され、従って本
例では、トレッド面2Aにリブ、ブロックパターンが形
成される。
【0060】他方、ベルト層7は最外側のベルトプライ
11において、そのベルトコードは、図12に向かっ
て、タイヤ軸方向左上がりに傾斜する正貼りとして形成
される。従って、本例では図12に向かって左側に先着
領域Fが、又右側に後着領域Rが夫々形成される。
【0061】前記倒れ溝部分13、14は各トレッド縁
E1、E2と内のリブ21Aに配された前記第1の途切
れの横溝21Bの途切れ端との間に前記構成に係る倒れ
溝部分13、14がそれぞれ形成される。
【0062】図13においては、図12の構成による外
のリブ22Bに配される横溝23は、トレッド縁E1、
E2からタイヤ赤道COに向かってのび、かつ外のリブ
22Bで途切れる第3の途切れの横溝23Dと、前記構
成の第1、第2の横溝23B、23Cとによって形成さ
れ、本例ではリブパターンをなす。
【0063】又、ベルト層7は図12のものと同様に正
貼りとして形成され、本例では図12に向かって左側に
先着領域Fが、又右側に後着領域Rが夫々形成される。
【0064】本例では、各トレッド縁E1、E2と外の
リブ21Bに配された第3の途切れの横溝21Dの途切
れ端との間に前記構成に係る倒れ溝部分がそれぞれ形成
される。
【0065】従って、横溝23は、先着領域Fにおい
て、先着する側の溝壁面16の傾き角度θ2が後着する
側の溝壁面17の傾き角度θ1よりも大とした倒れ溝部
分13が形成される一方、後着領域Rにおいては後着す
る側の溝壁面20の傾き角度θ4が先着する側の溝壁面
19の傾き角度θ3よりも大とした倒れ溝部分14が形
成される。このように本発明は、種々なトレッドパター
ンのものに採用することができる。
【0066】なお前記倒れ溝部分13、14のタイヤ軸
方向のタイヤ軸方向距離は、トレッド面2Aの接地領域
内でかつ先着領域F、後着領域Rのタイヤ軸方向距離の
1/3倍以上であることが好ましく、又この倒れ溝部分
13、14は、回転モーメントを効果的に生じさせるた
め接地領域内において互いに離間させて設けるのが好ま
しい。
【0067】
【具体例】タイヤサイズが225/50R16でありか
つ図1に示す断面構成と、図7に示すパターン構成を有
するタイヤ(実施例1〜8)について、表1に示す仕様
で試作するとともにその性能についてテストを行った。
なお本願構成以外のタイヤ(比較例1〜3)についても
併せてテストを行い性能の比較を行った。
【0068】テスト方法は次の通り。 1)横流れテスト 試供タイヤを7J×16のリムに取付け、かつ2.0kg
/cm2 の内圧を付加し、3000cc級のFR乗用車の
前、後輪に装着するとともに、手放し走行で舗装された
平坦路を50km/hの速度で100m走行され、横流れ
した距離の逆数を比較例 を100とする指数で表示し
た。数値が大きいほど横流れ量が少なく良好であること
を示す。
【0069】
【表1】
【0070】2)テストB タイヤサイズが175/65R14であり、かつ図1
2、13に示すパターン構成を有するタイヤ(実施例1
1〜12及び実施例21〜22)について、表2に示す
仕様で試作するとともに、その性能についてテストを行
い、従来構成のタイヤ(比較例11、21)とその性能
を比較した。
【0071】テストは、5 1/2JJ×14のリムに取付
けかつ2.0kgの内圧を付加し、1600cc級のFF
車に装着するとともに、前述のテストAと同様の手法に
より横流れテストを行った。評価は各パターンにおける
比較例11、21をそれぞれ100とする指数で表示し
た。テスト結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】テストの結果各比較例のものに比し、各実
施例のものは横流れが少なく、タイヤサイズが大なるほ
ど、又リブパターンに比べてブロックパターンのタイヤ
がより効果的であることが確認できた。
【0074】
【発明の効果】叙上の如く、本願発明の空気入りタイヤ
は、前記した各構成を具えることにより、走行時におけ
る片流れを改善でき直進走行性能を高めることが出来、
乗用車用タイヤとして好適に採用しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すタイヤ子午断面図であ
る。
【図2】そのタイヤ右半分を示す一部断面斜視図であ
る。
【図3】そのトレッドパターンをベルト層とともに展開
して示す展開平面図である。
【図4】(A)はそのP−P線断面図、(B)はそのQ
−Q線断面図である。
【図5】他の態様のトレッドパターンをベルト層ととも
に展開して示す展開平面図である。
【図6】(A)はそのU−U線断面図、(B)はそのV
−V線断面図である。
【図7】他のトレッドパターンを示す展開平面図であ
る。
【図8】(A)はベルト層による作用を示す斜視図、
(B)はそのJ−J視平面図である。
【図9】(A)はベルト層による作用を示す斜視図、
(B)はそのK−K視平面図である。
【図10】トレッドパターンによる作用を示す平面図で
ある。
【図11】トレッドパターンによる作用を示す平面図で
ある。
【図12】他の実施例のトレッドパターンを示す展開平
面図である。
【図13】トレッドパターンによる作用を示す平面図で
ある。
【図14】残余CFについて説明する斜視図である。
【図15】その線図である。
【図16】その線図である。
【図17】残余CFと片流れの測定結果を例示する線図
である。
【符号の説明】
2 トレッド部 2A トレッド面 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 7 ベルト層 9、21 縦溝 10、22 横溝 11 最外側のベルトプライ 12 ベルトコード 13 倒れ溝部分 14 倒れ溝部分 15 先着する側の溝壁面 16 後着する側の溝壁面 19 先着する側の溝壁面 20 後着する側の溝壁面 CO タイヤ赤道 F 先着領域 R 後着領域 f 先着する向き r 後着する向き
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 9/18,11/04 B60C 11/11,11/13

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部を通りビ
    ード部のビードコアの周りを折返すカーカスと、トレッ
    ド部の内部かつカーカスのタイヤ半径方向外側に配され
    かつベルトコードをタイヤ赤道に対して傾けて重ねた複
    数枚のベルトプライからなるベルト層とを具え、しかも
    トレッド部に周方向にのびる複数本の縦溝と、この縦溝
    に交わる方向にのびる横溝とを設けた空気入りタイヤで
    あって、 前記トレッド部がタイヤ赤道面を境界としてタイヤ軸方
    向左右に、半径方向最外側の前記ベルトプライのタイヤ
    赤道に対して傾くベルトコードがタイヤ転動に際して先
    着する側の領域となる先着領域と、他方の後着領域とに
    仮想区分されており、 前記先着領域において、前記横溝の先着する側の溝壁面
    は、トレッド面に垂直な法線に対してトレッド面が先着
    する向きにかつ傾き角度θ2で傾き、かつ後着する側の
    溝壁面は、前記法線に対してトレッド面が後着する向き
    に傾き角度θ1で傾くとともに、 前記後着領域においては、前記横溝の先着する側の溝壁
    面は前記法線に対してトレッド面が先着する向きに傾き
    角度θ3で傾き、かつ後着する側の溝壁面は、前記法線
    に対してトレッド面が後着する向きに傾き角度θ4で傾
    かつ 前記横溝は、先着領域、後着領域の夫々において、
    前記傾き角度θ2、θ4を、夫々傾き角度θ1、θ3よ
    りも大とした倒れ溝部分を、トレッドの端縁側の先着側
    領域、後着側領域に形成し、 しかも前記倒れ溝部分以外の横溝は、前記各傾き角度前
    記θ1、θ2、θ3、θ4を略同一とした ことを特徴と
    する空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】前記横溝は、縦溝と交差することにより、
    トレッド部にこれらの縦溝と横溝とによって区分された
    ブロックパターンが形成されたことを特徴とする請求項
    1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】前記半径方向最外側のベルトプライのベル
    トコードは、タイヤ赤道に対して16〜26度の角度で
    傾くことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
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