JPH0741673Y2 - 運搬船のポータブルシールド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、船艙に対して荷役を搬出入するために甲板
上に設置された運搬船の荷役クレーンに係り、特に荷役
クレーンの作業空間及び船艙の搬出入口を雨水から遮断
するためのシールド手段を有した運搬船のポータブルシ
ールド装置に関する。

［従来の技術］ 船艙に対する荷役設備として運搬船甲板に門型クレーン
を搭載した運搬船が提案され開発されている。すなわ
ち、甲板に荷役の搬出入口を開口させて船艙を区画形成
し、運搬船の甲板に上記搬出口を舷方向に跨ぐように門
型クレーンを設置すると共に、この門型クレーンの両脚
に甲板上に敷設された走行レール上を走行自在とする車
輪を取付け、船長方向に対する門型クレーンの位置を適
正に決定して良好な荷役作業を行えるようにしている。

［考案が解決しようとする課題］ 近年、門型クレーンによる荷役作業を雨天時にあっても
継続して行えるようにするために、上記門型クレーンの
ガーダ上部に、船艙内に雨水が侵入することのないよう
に屋根を設け、風雨を遮断するように構成した提案が検
討されている。しかし、屋根を設けて門型クレーン上方
からの風雨の侵入を防止できても舷方向からの横雨、特
に反岸壁側からの横雨が船艙内に吹き込んでしまいロー
ルペーパ等の積荷が濡れてしまうという問題があった。

この考案の目的は、強風下においても横雨を遮断して雨
風から荷役を保護し、着脱が可能な運搬船のポータブル
シールド装置で提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記目的を達成するために、船長方向に所定の
間隔を以て形成された脚体により、船艙の搬入口を舷方
向に跨いで舷方向に移動する門型クレーンを備え、該門
型クレーンの上部に屋根を設けた運搬船において、脚体
の間隔に相応する大きさを有してその内方に防水キャン
バスが張設された枠体と、上記クレーンの脚体に設けら
れ上記枠体の側部に係合して上下方向に移動自在に案内
するガイドと、上記枠体の下部と上記脚体の下部とを着
脱自在に固定する固定部材とを備えたことを特徴として
いる。

［作用］ 雨天時において、横雨が船艙内に侵入して荷役を濡らし
てしまう虞れがある場合には、枠体をガイドにより脚体
間に装着し、固定部材により固定してその防水キャンバ
スにより門型クレーンの舷方向の横雨を遮断する。また
荷役の妨げになる時や晴天時には、枠体の固定を解除
し、ガイドにより脚体から取外す。

［実施例］ 以下にこの考案の好適一実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図に示されるように運搬船１には搬出入口２を運搬
船１の甲板３に開口させて荷役を搭載するための船艙４
が区画形成されている。そして甲板３には、搬出入口２
を挟む舷方向の両側位置に、走行用レール（図示せず）
がそれぞれ敷設されている。この走行用レール５には、
上記搬出入口２に荷役を搬出入させるための門型クレー
ン６が設置される。門型クレーン６は、まず上記搬出入
口２を跨ぐように設置される２基のガーダ７の両端にそ
れぞれビーム状の脚体８を連結して門型のクレーン構造
体９を２基形成し、次にこれらクレーン構造体９を間隔
をおいて平行に設置した後、これらクレーン構造体９の
脚体８の基部側同士が、船長方向に沿ったビーム状で脚
体８の下部となる連結部材10で一体に連結され、クレー
ン本体11が形成される。各ガーダ７の両端には、運搬船
１の右舷、左舷より陸側へ回動されて展開されるブーム
12が枢支して取付けられる。そして各脚体８には、上記
レール上を走行自在とする走行輪（図示せず）がそれぞ
れ設けられ、各ガーダ７には、ガーダ７及びブーム12に
沿って走行自在に荷役昇降用トロリ13が取付けられる。
また、上空からの風雨を遮断すべく上記各ガータ７に
は、屋根14が設置されている。

このように構成し上記クレーン本体11を駆動装置（図示
せず）で搬出入口２に対して適正な走行位置に停止した
後、ブーム12を陸側に水平に展開させて荷役昇降用トロ
リ13を陸側に船艙４側との間を往復移動させ、良好な荷
役作業を行う。

ところで、この考案の目的とするところは、上記門型ク
レーン６の作業空間を風雨から全体的に遮断し風雨から
荷役を保護できるように構成することにある。

そこで、第１図に示されるように門型クレーン６の側部
には横雨を遮断すべく枠体状のシールド手段37が取付け
られる。

シールド手段37は次のようにして構成される。

第２図に示されるように角パイプから形成された支柱15
を間隔をおいて一列に複数設置し、これら支柱15の上下
部分を相互に同一角寸法の角パイプからなる接続部材５
で長手方向に順次連結し１体の枠体16が形成される。枠
体16の両端位置にあたる支柱15は他の支柱15に対して上
方へ長く形成されている。そして第３図及び第４図に示
されるように各支柱15には、これら支柱15の角寸法より
小さな角寸法の角パイプから形成されたポール17が昇降
自在に嵌合され、チェン18で支柱15の上部に取付けられ
たトグルピン19を、ポール17の下端側に形成された貫通
穴20及びこの貫通穴20に符号させて支柱上部に形成され
た別の貫通穴21に挿通することにより、ポール17を支柱
15の最大昇降位置に固定し、貫通穴20,21からトグルピ
ン19を引き抜くことによりポール17を支柱15内に収容す
るようにしている。なお各支柱15上部側には枠体吊上げ
用のフック22が一体に取付けられている。さらに両端の
支柱15部材及び上記ポール17の上端には、ロープ24を各
ポール17に張架するためのＵ字形（またはアイ形）のフ
ック23が一体的に取付けられており、第２図に示すよう
にこれらフック23に引止められたロープ24には、第５図
及び第６図に示されるようにリング状の掛け金具25を介
して防水キャンバス26が吊架されている。防水キャンバ
ス26の面積は、上記ポール17の最大昇降位置において枠
体16全面を完全にカバーする面積で形成される。この防
水キャンバス26の下部には、長手方向に間隔をおいて引
止め部40が形成され、縛り紐またはバインド線で接続部
材５に引止められる。

実施例では枠体16を上記クレーン本体11の側部に取付け
取り外し自在とするため、上記船長方向に向かい合う脚
体８同士には、上下方向に沿って断面コ字形のレールを
形成するためのガイド27が一体的に取付けられ、連結部
材10の両端側には、それぞれ係止穴（図示せず）が形成
されている。

上記連結部材10と上記枠体16の下部である各支柱15を固
定するには、係止穴用ブラケット29と固定具34からなる
固定部材を用いる。係止穴用ブラケット29は連結部材10
と支柱15の対応位置に取り付けられ、第７図及び第８図
に示されるように上記支柱15の基部を係合して着座させ
べく連結部材10の上面に取り付けられるＬ形形状の角パ
イプ部材30と、その角パイプ部材30の先端に取付けられ
た板状ブラケット31とから構成される。これら板状ブラ
ケット31と角パイプ部材30との間に係合された支柱15に
は、第９図に示されるように、上記角パイプ部材30に形
成された貫通穴32と符号して別の貫通穴33が形成され、
また、上記連結部材10の上部位置には、上記貫通穴32,3
3に挿入されて枠体16を各支柱15ごとに固定するための
ねじ式の固定具34がそれぞれ取付けられている。そして
上記支柱15の側部及び下端には上記ガイド27及び上記係
止穴28と昇降自在に係合される第1,第２の係合部35,36
がそれぞれ一体的に取付けられる。従って全面にわたっ
て防水キャンバス26を張設した枠体16を、横雨側のクレ
ーン本体11の側部にガイド27と固定部材により強固に固
定できるため、強風下でも横雨を遮断し船艙４内への風
雨の侵入を防止できる。また、着脱自在に固定されるた
め、荷役の妨げになる時や晴天時にはただちに取外すこ
とができる。

次に上記シールド手段37の取付け手順の一例を説明す
る。

横風が強く船艙４内に横雨が侵入する虞があるような場
合には、まず上記荷役昇降用トロリ13のフック38を直接
に支柱15のフック23に連結するか、または吊りワイヤ
（図示せず）を介してフック23に連結し、荷役昇降用ト
ロリ13を吊上げ操作して枠体16を横雨側に搬送する。次
に荷役昇降用トロリ13のフック38を微速度で下降操作し
て枠体16の第1,第２の係合部35,36を、脚体８のガイド2
7及び係止穴に、係止穴用ブラケット29に各支柱15をそ
れぞれ係合し、第１段階の取付けを終了する。この後、
第５図に示されるように各支柱15及び係止穴用ブラケッ
ト29の貫通穴32,33に上記ねじ式の固定具34を挿入して
各支柱15を連結部材10に固定する。次に、第６図に示さ
れるようにトグルピン19を抜き差してポール17を最大昇
降位置に固定し、防水キャンバス26を枠体16の幅方向及
び高さ方向に展開しバインド線等で接続部材５に引止め
る。なお、防水キャンバス26が損傷するような虞のある
場合は、枠体16取付け後に、防水キャンバス26を展開、
引止めするような手順でも構わない。

シールド手段37の未使用時は構造物側面等に収容され
る。

［考案の効果］ 以上説明したことから明らかなようにこの考案によれば
次の如き優れた効果を発揮する。

（１）門型クレーンの脚体に防水キャンバスを張設した
枠体をガイドと固定部材により強固に固定するようにし
たので強風下においても横雨を遮断でき、荷役作業を良
好に継続できる。また不要時には簡単に取り外すことが
可能であり、邪魔にならない任意の場所に収納できる。

（２）構造が簡易で容易に製作できると共に、既設の運
搬船に容易に適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る門型クレーンのシールド装置を
設けた運搬船１の斜視図、第２図は枠体の平面図、第３
図は支柱とポールとの取付け関係を示す平面図、第４図
は第３図の側面図、第５図及び第６図は枠体の取付け状
態を示す概略図、第７図は係止ブラケットの部分詳細
図、第８図は第５図の側面図、第９図は支柱の取付状態
を示す図である。 図中、１は運搬船、４は船艙、６は門型クレーン、37は
シールド手段である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】船長方向に所定の間隔を以て形成された脚
   体により、船艙の搬入口を舷方向に跨いで上記舷方向に
   移動する門型クレーンを備え、該門型クレーンの上部に
   屋根を設けた運搬船において、 上記脚体の間隔に相応する大きさを有してその内方に防
   水キャンバスが張設された枠体と、 上記クレーンの脚体に設けられ上記枠体の側部に係合し
   て上下方向に移動自在に案内するガイドと、 上記枠体の下部と上記脚体の下部とを着脱自在に固定す
   る固定部材と、 を備えたことを特徴とする運搬船のポータブルシールド
   装置。