JPH0740807U - 木造建築物における柱・梁接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般木材を使用した木造建築物はもちろん構
造用集成材を使用した大規模木造建築物においても、そ
れの梁の接合構造を外観を損なうことなく、しかも、き
わめて簡単な構造によって、十分満足できる緊締強度を
得られるようにすること。 【構成】 梁ｂの嵌合空処１２の縦溝１４₂ ，１４
₂ が、柱ａに柱取付け側壁２によって水平に取り付けら
れている接合金具ｃの梁嵌合側壁３，３に、また、拡幅
縦溝１４₃ ，１４₃ が楔案内枠４，４に嵌合し、さら
に、その楔案内枠４，４の案内斜面５，５と拡幅縦溝１
４₃ ，１４₃ との間に、打込み楔１５，１５が打設挿入
することによって、接合端面１１₁ を柱ａの側面に強固
に圧接している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は木造建築物における柱・梁接合構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

木造建築物において、二つの木材を繋ぎ合わせている接合構造箇所としては、 柱と梁・桁等の横架材との接合構造、柱と土台との接合構造、梁・桁等の横架材 同士の直列あるいは直交方向における接合構造、合掌すなわち梁と相俟ってトラ スの三角形を形成する左右一対の斜材の頂部の接合構造等、各種の接合構造があ る。 この各種の接合構造における二つの木材の繋ぎ合わせには、従来から切り刻み ，穿孔等の加工によるものや、釘，ボルト・ナット，ジベル、フランジプレート 等の接合金具によるもの、接着剤によるもの、これらを併用するもの等各種の型 式が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の上記各種の型式の繋ぎ合わせは、いずれも一般木材すなわちムク材を接 合するために開発採用されているものであって、それなりの作用効果を挙げてい るとは認められる。 しかし、この繋ぎ合わせ型式は、近時、注目されかつ建築されるようになった 構造用集成材を主要構造部に使用する大規模木造建築物における接合構造にとっ ては、緊締強度が不足する、接合金具が外面に露出し不体裁である、構造が複雑 である等の欠点があり必ずしも十分満足するものではない。 本考案の主たる目的は、一般木材を使用した木造建築物はもちろん構造用集成 材を使用した大規模木造建築物においても、それの梁の接合構造を外観を損なう ことなく、しかも、きわめて簡単な構造によって、十分満足できる緊締強度を得 られる柱・梁接合構造の提供にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案柱・梁接合構造の構成は次のとおりである。

【０００５】 接合金具ｃが、底板１に柱取付け側壁２と梁嵌合側壁３，３を設立し、一側 面と上面とを開口させた函形をなし、その梁嵌合側壁３，３に、上記柱取付け側 壁２に対向する側面を下方に至るにしたがい該柱取付け側壁２側に近づく上向き に傾斜する案内斜面５，５を備えた楔案内枠４，４を設けている。 柱ａが、その側面に上記接合金具ｃをそれの柱取付け側壁２によって水平に 取り付けている。 梁ｂが、接合端面１１₁ と底面１１₂ に開口しかつ上記接合金具ｃの上記底 板１を受入する所要の大きさと形状にした扁平空処１３と、同端面１１₁ と上面 １１₃ に開口するとともに上記扁平空処１３に連続する縦溝１４₂ ，１４₂ と、 これらの縦溝１４₂ ，１４₂ を拡幅して設けた拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ とを、互 いに連続させて形成してなる嵌合空処１２を有している。 その梁ｂが、上記嵌合空処１２の縦溝１４₂ ，１４₂ を梁嵌合側壁３，３に 、また、拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ を楔案内枠４，４に嵌合させるとともに、これ ら楔案内枠４，４の上記案内斜面５，５と拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ との間に、打 込み楔１５，１５を打設挿入し、これによって、上記端面１１₁ を柱ａの側面に 圧接している。

【０００６】

【作用】

梁ｂを、柱ａに水平に取付け固定してある接合金具ｃの上方に支持するととも に、それの嵌合空処１２の縦溝１４₂ ，１４₂ を梁嵌合側壁３，３に、また、拡 幅縦溝１４₃ ，１４₃ を楔案内枠４，４に嵌合させ、さらに、その楔案内枠４， ４の案内斜面５，５と拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ との間に、打込み楔１５，１５を 打設挿入することによって、上記接合端面１１₁ を柱ａの側面に強固に圧接する ものである。

【０００７】

【実施例】 まず、図１〜５に示す第１実施例について説明する。 ａは柱、ｂはその柱ａの側面に接合する梁（本明細書では「桁」も含めて用い る）であり、ｃは接合金具である。 接合金具ｃは、長方形状の底板１の一側の短辺縁を除く３辺縁、すなわち他側 の短辺縁と両側の長辺縁に、柱取付け側壁２と梁嵌合側壁３，３を設立して、上 記一側の短辺縁側面と上面とを開口させた一体の函形をなしている。

【０００８】 柱取付け側壁２はその上端外側に鍔片２₁ を突設している。また、梁嵌合側壁 ３，３はその側面開口端の外側に楔案内枠４，４を備えるとともに、その楔案内 枠４，４内には案内斜面５，５が、上記柱取付け側壁２側に向けてかつ下方に至 るにしたがい徐々に該柱取付け側壁２側に近づくようにした上向き傾斜面として 設けられている。 函形の接合金具ｃの高さｈは梁ｂの高さ（厚さ）ｈ′と同じであるが、幅員ｗ は梁ｂの幅員ｗ′より小さい。 ６は柱取付け側壁２に所要の間隔をおいて穿ったボルト挿通孔である。

【０００９】 かかる構成の接合金具ｃは、底板１，柱取付け側壁２，梁嵌合側壁３，３およ び楔案内枠４，４を各別に用意し、それらを溶接またはねじ止め等適宜の手段方 法で組み立てるか、全体を一体成型するかして、いずれにしても簡単に製作でき るものである。

【００１０】 上記柱ａは、その側面の梁接合部位に鍔挿入溝７を掘設形成しているとともに 、ボルト挿通孔８を、上記柱取付け側壁２のボルト挿通孔６と一致する配置して 貫通設置している。

【００１１】 柱ａに接合金具ｃが、次のようにして取り付けられている。すなわち、接合金 具ｃの上記柱取付け側壁２の鍔片２₁ を鍔挿入溝７に挿入し、その接合金具ｃの 内方からボルト挿通孔６，８に挿通したボルト９の先端を柱ａの反対側面に突出 させ、その先端に緊締ナット１０を螺合緊締し、これによって、接合金具ｃは柱 ａに水平にかつしっかりと取付け固定される（図３）。 ボルト９の頭端９′は当然のことながら柱取付け側壁２の内側に位置する。

【００１２】 梁ｂは、その接合端部に、上記構成の接合金具ｃの形態とほぼ同形の嵌合空処 １２を形成している。 この嵌合空処１２は、上記のようにして柱ａに取付け固定した接合金具ｃに嵌 合するためのもので、梁ｂの接合端面１１₁ と底面１１₂ に開口させて設けられ かつ上記底板１を受入する所要の大きさと形状にした扁平空処１３と、上記接合 端面１１₁ と上面１１₃ に開口していて柱取付け側壁２とボルト９の頭端９′を 受入する縦溝１４₁ と、扁平空処１３に連続する縦溝１４₂ ，１４₂ と、これら の縦溝１４₂ ，１４₂ を外側に拡幅し外向きにして設けた拡幅縦溝１４₃ ，１４ ₃ とを、互いに連続させて形成してなる。

【００１３】 梁ｂの柱ａへの接合は次のようにして行われる。 梁ｂの接合端部を、柱ａに前記のようにして取付け固定してある接合金具ｃの 上方に支持し、嵌合空処１２の縦溝１４₁ を柱取付け側壁２に、縦溝１４₂ ，１ ４₂ を梁嵌合側壁３，３に、さらに、拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ を楔案内枠４，４ に嵌合させながら降ろす。 これによって、接合金具ｃの柱取付け側壁２、および楔案内枠４，４を含む梁 嵌合側壁３，３の上面が、梁ｂの上面１１₃ と面一になり、かつまた、上記楔案 内枠４，４内の案内斜面５，５側に楔挿入空間ｓ，ｓが形成される（図４）。

【００１４】 そこで、上記楔挿入空間ｓ，ｓに、打込み楔１５，１５を打ち込む（図４）。 この打込み楔１５，１５は、梁ｃの高さ（厚さ）ｈ′より十分に長くかつ先細の もので、上記打込みにより、梁ｃ全体が接合金具ｃに対して柱ａ側に向かって移 動し、その接合端面１１₁ を柱ａの側面に圧接する。 この圧接が、完全なものとなったときに、梁ｃの上面１１₃ と底面１１₂ の外 方に突出している打込み楔１５，１５の上下端を鋸で切断除去する。

【００１５】 なお、柱ａへの接合を終えた梁ｂに覆板（図示していない）を載せ、それを接 合金具ｃの上記梁嵌合側壁３，３の上端面にねじ止めすると、その接合金具ｃと 嵌合空処１２との間の隙間を閉塞できるとともに、当該部分を保護し、また、梁 ｂと接合金具ｃとの結合を一層強固にすることができる。

【００１６】 次に、図６，７に示す第２実施例について説明する。 この第２実施例は、柱ａ′が、その側面に接合金具ｃ′の柱取付け側壁２を受 入する凹処７′を掘設形成していること、梁ｂ′が、接合端面１１₁ に縦溝１４ ₁ を形成していないこと、接合金具ｃ′が、柱取付け側壁２の上端に鍔片２₁ を 突設していないことにおいて、第１実施例と相違し、その他の構成は同第１実施 例と同じである。 この第２実施例の接合金具ｃ′の柱ａ′への取付け固定は、柱取付け側壁２が 位置する側の端部所要長さを、上記凹処７′に嵌合すること以外は、第１実施例 の接合金具ｃの柱ａへの取付け固定方法と同じであり、また、梁ｂ′の柱ａ′へ の接合方法も、第１実施例と変わるところがないから、重複説明の煩を避けるた め同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。

【００１７】 さらに、図８，９に示す第３実施例について説明する。 この第３実施例は、接合金具ｃ″が、楔案内枠４，４を梁嵌合側壁３，３の内 側に備えていること、梁ｂ″の嵌合空処１２が、拡幅縦溝１４₃ ，１４₃ を縦溝 １４₂ ，１４₂ を内側に拡幅し内向きにして設けたことにおいて、第１実施例と 相違し、その他の構成、および梁ｂ″の柱ａ″への接合方法も、第１実施例と変 わるところがないから、重複説明の煩を避けるため同じ部分には同じ符号を付し て説明を省略する。

【００１８】

【考案の効果】

以上述べたところから明らかなように、本考案によれば次の効果を奏する。 梁を、柱に水平に取付け固定してある接合金具の上方に支持するとともに、そ れの嵌合空処の縦溝を梁嵌合側壁に、また、拡幅縦溝を楔案内枠に嵌合させ、さ らに、その楔案内枠の案内斜面と拡幅縦溝との間に、打込み楔を打設挿入するこ とによって、梁の接合端面を柱の側面に強固に圧接できる。 打込み楔による上記圧接は簡単にしかも確実に行うことができ、梁と柱との接 合緊締は十分強固になっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案木造建築物の柱・梁接合構造の第１実施
例の斜視図である。

【図２】同上の分解状態の斜視図である。

【図３】同上の接合金具を柱に取り付けた状態の斜視図
である。

【図４】同上の接合構造の要部断面図で、打込み楔を挿
入打設しようとしている状態を示すものである。

【図５】同上の打込み楔の挿入打設を終えた状態の同要
部断面図である。

【図６】本考案木造建築物の柱・梁接合構造の第２実施
例の分解状態斜視図である。

【図７】同上の接合構造の要部断面図で、打込み楔を挿
入打設しようとしている状態を示すものである。

【図８】本考案木造建築物の柱・梁接合構造の第３実施
例の分解状態斜視図である。

【図９】同上の分解状態の斜視図である。

【符号の説明】

ａ 柱 ａ′ 柱 ａ″ 柱 ｂ 梁 ｂ′ 梁 ｂ″ 梁 ｃ 接合金具 ｃ′ 接合金具 ｃ″ 接合金具 ｈ 接合金具の高さ ｈ′ 梁の高さ（厚さ） ｗ 接合金具の幅員 ｗ′ 梁の幅員 １ 底板 ２ 柱取り付け側壁 ３ 梁嵌合側壁 ４ 楔案内枠 ５ 案内斜面 ６ ボルト挿通孔 ７ 挿入溝 ７′ 凹処 ８ ボルト挿通孔 ９ ボルト ９′ ボルトの頭端 １０ 緊締ナット １１₁ 梁の接合端面 １１₂ 梁の底面 １１₃ 梁の上面 １２ 嵌合空処 １３ 扁平空処 １４₁ 縦溝 １４₂ 縦溝 １４₃ 拡幅縦溝 １５ 打込み楔

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】接合金具が、底板に柱取付け側壁と梁嵌合
   側壁を設立し、一側面と上面とを開口させた函形をな
   し、その梁嵌合側壁に、上記柱取付け側壁に対向する側
   面を下方に至るにしたがい徐々に該柱取付け側壁に近づ
   く上向きの案内斜面を備えた楔案内枠を設けているこ
   と、 柱が、その側面に上記接合金具をそれの上記柱取付け側
   壁によって水平に取り付けていること、 梁が、接合端面と底面に開口しかつ上記接合金具の底板
   を受入する所要の大きさと形状にした扁平空処と、同接
   合端面と上面に開口するとともに上記扁平空処に連続す
   る縦溝と、この縦溝を拡幅して設けた拡幅縦溝とを、互
   いに連続させて形成してなる嵌合空処を有しているこ
   と、 その梁が、その嵌合空処の縦溝を上記接合金具の梁嵌合
   側壁に、また、拡幅縦溝を楔案内枠に嵌合させるととも
   に、その楔案内枠の上記案内斜面と拡幅縦溝との間に、
   打込み楔を打設挿入し、これによって、上記接合端面を
   柱の側面に圧接していることを特徴とする木造建築物に
   おける柱・梁接合構造。
2. 【請求項２】接合金具が、楔案内枠を梁嵌合側壁の外側
   に設けているとともに、梁が、拡幅縦溝を縦溝に対し外
   向きにして連続させていることを特徴とする請求項１記
   載の木造建築物における柱・梁接合構造。
3. 【請求項３】接合金具が、楔案内枠を梁嵌合側壁の内側
   に設けているとともに、梁が、拡幅縦溝を縦溝に対し内
   向きにして連続させていることを特徴とする請求項１記
   載の木造建築物における柱・梁接合構造。
4. 【請求項４】柱が、その側面に掘設形成した挿入溝に、
   上記接合金具の柱取付け側壁に突設した鍔片を挿入し
   て、該該接合金具を水平に取り付けていることを特徴と
   する請求項１，２または３記載の木造建築物における柱
   ・梁接合構造。
5. 【請求項５】柱が、その側面に対し掘設形成した凹処に
   上記接合金具の柱取付け側壁を嵌入して、該接合金具を
   水平に取り付けていることを特徴とする請求項１，２ま
   たは３記載の木造建築物における柱・梁接合構造。
6. 【請求項６】柱に接合した梁に覆板を載せ、それを上記
   接合金具の梁嵌合側壁の上端面にねじ止めしてなること
   を特徴とする請求項１，２，３，４または５記載の木造
   建築物における柱・梁接合構造。